280話 黒犬vs悠斗の模擬戦
お疲れ様です。
最近コーヒー飲みすぎな緋色で御座いますw
あまりに飲み過ぎてちょっと・・・気分悪いw
と、まぁ~そんな感じですが、社畜として頑張ってますw
さて、今回のお話ですが・・・。
まぁ~、読んだ方が速いですよね?
楽しんでもらえたらと思います。
それでは、280話をお楽しみ下さい。
黒犬は内心打ち震えていた・・・。
(こいつには必ず何かある・・・。
凡人には無い何かが・・・くっくっくッ・・・)
サンダラーは横目で黒犬を見ていたが、
その僅かな表情の動きを見てね黒犬の心情を察すると、
思わず笑ってしまいそうになっていたのだった・・・。
(おいおい、あの、黒犬ともあろう者が、
些細にでも表情に出ちまってるぜ~?
まぁ、それだけ、こいつには何かを感じさせるモノがあるんだろうがな?)
悠斗に視線を向けながら、自らも笑ってしまいそうになる自分に、
サンダラーは表情を引き締めるのだった・・・。
そしていよいよ黒犬との訓練が始まった・・・。
悠斗の前に立つ黒犬は静かながらも威圧を試みたが、
当の悠斗は黒犬の訓練と聞いて、その瞳を輝かせていた・・・。
(おぉ~、黒犬・・・でかっ!
身長は2ⅿ越えてんじゃね?
ってか、訓練って言うくらいだから、かなり期待しちゃうな~)
黒犬を見上げる悠斗の瞳が、
まるで子犬のようにワクワクしているのを感じると、
『こ、こいつ、俺を前にして』と驚きつつも、
密かに笑みを浮かべるのだった・・・。
闘技場の中は風通しがいい・・・。
闘技場内で繰り広げられる競技や戦いなど、
出場者のパフォーマンスを低下させないよう心掛けて作った建築物だ。
その中でそれぞれが各々の訓練を始め、
南雲は悠斗の事が気になりつつも皆の指導をして行った。
「よいか、儂が皆を見ていて思う事は、
気持ちが前へと出すぎ、相手との距離感を無視している事じゃ」
まだ最初にそう説明した南雲に、
スタークが声を挙げた。
「先に何かされる前にぶっ飛ばしてしまえばいいメル」
そう答えたスタークに同調するように、
パルサーやボイドが大きく頷いていたのだった。
しかしそれを良く思わなかった虎恫が声を開けた。
「俺も昔はそう思っていたが、だがそれは間違っていたと今の俺は思っている」
そう話した虎恫にスタークは食って掛かったのだ。
「何を言ってるメル?
力やスピードで圧倒して何が悪いメル?」
「フっ、所詮は下等な『鬼』なだけあるわね?
そんな生温い事を言っているから、お前は今、此処にいるのよ?
おわかりかしら?」
パルサーの挑発・・・とも取れる言葉を聞いて虎恫だったが、
そんな言葉に対し『はっはっはっ!』と、何故か笑ったのだった。
「あら?気でも触れたのかしら?
馬鹿にされて笑うなんて・・・ほんと、下等としかいいようがないわね?」
この冥界においては基本的に強い者が尊敬され、
また、地位も向上して行く・・・。
そんな発言をするパルサーは、間違いなくカースト上位だった。
だが、虎恫はそんなもの意味はないとばかりに続けた。
「ふっ・・・。パルサー殿?
随分と視野が狭いお方なのですね?」
「わ、私の視野が・・・狭い?
おい、鬼・・・死ぬ覚悟があると思っていいのよね?」
今度は虎恫の挑発にまんまと乗ってしまったパルサーは、
『ギリギリ』と歯を食い縛りながら南雲に進言した。
「死神殿?訓練とやらを始める前に、
まずは序列決めでもしませんこと?」
「・・・序列じゃと?」
「はい、こう言った下等な発言をする者に対し、
少々自分の立場と言うモノをわからせる必要があると思うのですが?」
「・・・なるほどの?」
バルサーの提案に納得した南雲は皆の顔を見た。
(ふむ、序列など所詮は形だけの事だとわからぬ者がおるようじゃな?
パルサーやボイド・・・そしてスターク・・・。
ふむ、ここは冥界じゃからの?
そう考える事は確かに必然と言えるのじゃが・・・)
そう考えながら南雲はふと・・・
今だ黙ってこの様子を見ているヴァンへと向けられた。
そのヴァンの表情は無表情でありながらも、
どこか、この会話の無意味さを理解しているように見えたのだった。
そこで南雲は敢えて・・・ヴァンへと話を振って見た。
「ヴァン、お主はどう思っておるのじゃ?」
南雲の言葉は短かかったが、ヴァンにはその言葉の意味を理解出来ていた。
するとヴァンは薄気味悪く笑みを浮かべるとこう言った。
「正直、くだらねーと思ったぜ?」
『っ!?』
驚いたのは南雲と虎恫以外の者達だった・・・。
そんなヴァンの発言にパルサーは『恐れながら』と続けた。
「ヴァン様っ!?一体どうされたのですかっ!?
力こそパワーだと・・・」
そうバルサーが力説する中、
その声に片手を上げ止めたヴァンは口を開いた。
「誰だよ?力こそパワーなんて、そんな頭の悪い事を言ったのはよ?」
『フンっ!』と鼻であしらいながらそう言ったヴァンに、
バルサーは申し訳なさそうに答えた。
「・・・ヴァ、ヴァン・・・様です」
「・・・はぁ?」
「ヴァン様が嘗て・・・私共にそうおっしゃいました・・・」
「・・・・・」
パルサーの声に隣に居たボイドが激しく頷くと、
ヴァンは顏を真っ赤にし羞恥に震えた・・・。
(あ、あっれ~?
ま、まじで俺・・・そんな頭の悪い発現したっけな~?)
顔を真っ赤にしそう考えていた時、
『メルメルメルメルメル~♪』と、バカにしたようなスタークが居た。
そんなスタークにヴァンは『ギロリ』と視線を向けると、
『・・・そこの羊、今、俺を笑ったのか?』とドスの利いた声を挙げた。
するとスタークは『他に誰に笑うメルか?』と言い返すと、
『上等だぁぁぁっ!序列の話、乗ってやるぜっ!』と声を荒げたのだった。
そんなヴァンの怒声を聞いた南雲は額を押さえ、
虎恫は『短気過ぎるんだよな~?』と項垂れていた。
(・・・ヴァンの言うとる事は正しいんじゃがの?
それにしてもこやつは短気過ぎんかの?
悠斗との対戦や経験を元に、少し成長したように思えたが、
それは気のせいじゃったのかの?
・・・ライトニング殿の気持ちが痛いほどわかるの~)
困り顔を見せる南雲は、この状況を終わらせる為、
皆に向かって声を挙げた。
「わかった、わかった・・・。
全くしょうがない連中じゃの~?
なら、皆はパルサーが提案した『序列』とやらをするんじゃな?」
そう南雲が仕方なく発した言葉に大きく頷くのだった・・・。
(全く・・・こやつらと来たら・・・)
この後、仕方がなく『序列』をつける為、
素手のみの戦いが行われる事になったのだった・・・。
南雲が『やれやれ』と呆れつつ『序列』を着けるという目的で、
ある種の模擬戦を承諾する中、
黒犬と悠斗はこれから始まる訓練に胸を躍らせていた・・・。
「よし、悠斗・・・。
早速訓練といこうじゃないか?」
黒犬の声に悠斗は笑みを浮かべながら頷くと、
『まず・・・』と話を続けた・・・。
「まぁ、この前の深淵の者達との戦いをこの目で見たからな?
まぁ~今更お前の実力はわかってはいるが・・・」
そう話を続けた黒犬に、悠斗はわかやすく項垂れて見せると、
黒犬は『ガハハ』と笑った。
「心配するな悠斗・・・。
お前の実力の一端は確かに見たが・・・、
あれはお前のオリジナルの力ではあるまい?」
黒犬の言葉に悠斗は『あぁ、そうだよ』と答えると、
黒犬は『フっ』と笑って見せた。
「正直だな?」
「当たり前だろ?
あんな力が本当に俺の力なら、
日本で出会った魔の者なんて瞬殺できるだろ?」
悠斗の言葉に数度頷いて見せた黒犬は、
そんな悠斗を見下ろしながら口を開いた・・・。
『悠斗・・・。
どこからでもいい、俺に打ち込んで来い』
ニヤりと笑って見せた黒犬に、悠斗は自然と口角が上がると、
『・・・楽しみだな?』とそう言ったのだった・・・。
悠斗は少し離れ身体を動かし擬体の動きを改めて確かめた。
(・・・やっぱり前の擬体より動きが鈍いし、
関節が弱い気がするな?
でもまぁ~・・・ないよりは・・・な)
『ふぅ~』っと息を深く吐き身構えた悠斗に、
黒犬は『さぁ、どこからでも来いっ!』と口を開くと、
悠斗は『・・・まずはかる~く』と楽し気に呟いた。
『ドンっ!』と勢いを着けて飛び出した悠斗は、
身構える事もしない黒犬の正面から攻撃した。
『シュっ!はぁっ!ほっ!そりゃっ!』
正面から恐れる様子も見せず、
悠斗はまるで型稽古のように突き、蹴り、肘、膝と・・・。
反復練習をするかのように攻撃を繰り出した。
悠斗の攻撃を躱しながらも黒犬は一切手を使わず、
その攻撃を足捌きのみで躱していった・・・。
(ほぉ~?
軽く打っている割にキレが半端じゃないな?
よほど幼き頃から南雲に鍛えられたと見えるな?)
悠斗の所作の1つ1つが、まるで型稽古の基本のように、
忠実且つ鋭く放たれ、その技の完成度に関心していた・・・。
(何千何万と繰り返し修練して来たのだろう・・・。
地球においてはもはやこいつに勝てるヤツはおらんだろうな?
だが、おかしい・・・。
どうして悠斗は気道を使わんのだ?)
無表情で攻撃をただ繰り返す悠斗を訝しげに見ていた黒犬は、
その心の中を覗いた時、『はぁ?』と声を挙げてしまった。
その声に鋭く反応した悠斗は睨みつけるとこう言った。
「黒犬・・・今、俺を覗いただろ?」
思わぬ悠斗の言葉に一瞬『ギョっ』とした瞬間、
悠斗の動きが突如変わったのだった・・・。
今まで単調ながらも技のキレを増しながら攻撃を繰り返してきたが、
その眼光が変ると同時に、蹴りの左右の打ち分けと、
掴みを混ぜたコンビネーションへと変化させたのだった・・・。
『クっ』と思わず声を出してしまった黒犬だったが、
悠斗は気にする素振りも見せず攻撃を繰り出して来る。
(・・・は、速い、確実に先程よりも。
だが、この程度なら・・・)
突然悠斗の攻撃速度が上がると同時に、
バリエーションも複雑化したが、黒犬は未だ手を使う事無く躱し続けた。
だがその黒犬の額には明らかに汗が浮き出ていたのだった・・・。
(人間ならこの威力と速さで攻められたら、
誰も手を出す事無く、沈黙しているだろうが・・・)
そう考えつつ、今までよりも半歩大きく下がり、
悠斗の攻撃に合わせると『フンっ!』と気を放った。
黒犬の放った気が悠斗の拳とぶつかった瞬間、
悠斗の拳は『パンっ!』と弾かれ、
このまま態勢を崩すかと思われたが、悠斗はやはり並みの者ではなかった。
上へと弾かれたその拳の反動を利用し後方に飛ぶと、
再び着地の反発を利用し飛び込んで来た。
『こいつ』と黒犬は悠斗の並外れた戦闘センスに驚くも、
正面から来る悠斗の動きを予測し躱そうと体重移動した時だった・・。
悠斗は黒犬の前で着地した瞬間、今度は悠斗が黒犬の予測をし黒犬が今、
まさに移動しようとした方へと回り込み、
上段回し蹴りを放った・・・。
足首から始まった円運動は膝や腰を経由し、
その力を足へと伝わると『クンっ!』と足が跳ね上がった。
黒犬は咄嗟にまずいと理解するも、
先程までの悠斗のリズムがいつしか黒犬の脳を支配し、
完全にそのリズムを刻まれてしまったのだった・・・。
その一瞬でその場の空気は張り詰め、
黒犬は『チィィっ!』と声を挙げ『ギリギリ躱せる』と思った瞬間、
突然悠斗が放った顔面への蹴りが黒犬の視界から消えた・・・。
(き、消えたっ!?蹴りが消えただとっ!?)
そして『ヒュンっ!』という風切り音が黒犬に聞こえた時、
『バシィィっ!』とその左ふとももに痛烈な一撃が入ったのだった・・・。
『グゥっ!』と黒犬がその一撃に顏を顰めた時、
一気に攻撃を仕掛けようと踏み出そうとした瞬間、
悠斗は逆に後方へと飛び、着地と同時に再び構え直したのだった。
(な、何だ!?突然悠斗のヤツはどうして下がったんだっ!?)
悠斗の行動に戸惑う黒犬が唖然としていると、
悠斗は構えを崩さないまま上空を見上げ楽し気に口を開いた。
「・・・あの人が・・・来る」
「あ、あの人っ?!、悠斗、お前は何を・・・?」
黒犬が悠斗の言葉に目を細めた瞬間だった・・・。
突然何かがこの冥界の闘技場に降って来たのだった・・・。
『ドシャっ!』
『っ!?』
その衝突音にこの闘技場に居た者達は驚きその動きを止め、
土煙りが立ち込める中、悠斗は笑みを浮かべ楽し気に口を開いた。
「・・・来ると思ってたよ?」
悠斗の声に声に皆が唖然とし、黒犬までもがポツリと声を漏らした。
「お、お前・・・一体誰に?」
その時だった・・・。
未だ土煙りが立ち込めるその中から、
『フッフッフっ、な~んだい?分かっていたとはね~?』と声が聞え、
その声の主が女性である事がわかると、
黒犬の表情は厳しさを増した・・・。
「・・・何者かは知らんが、貴様・・・何用だ?」
怒りにも似た低い声が、緊張を生み出すと、
その声の主は『はぁぁぁっ!』と気合いを込め、
立ち込める土煙りを吹き飛ばした・・・。
『畏怖堂々・・・』
悠斗の前に姿を現した女性には、その言葉がよく似合っていた。
半身で立ながらも、その身体から溢れ出る力に、
悠斗は笑みを浮かべ、そしてその女性もまた・・・笑みを浮かべていた。
「・・・確か、卑弥呼だっけか?」
笑みを見せながらそう言った悠斗に、
卑弥呼と呼ばれた女性は自信に溢れた笑みを見せながら、
『ご名答♪』とそう言った・・・。
「・・・来る気がしていたんだよね」
「はっはっはっ!そうか・・・なるほど。
どうやら聞いていた以上の男の・・・ようだな?」
卑弥呼の言葉に首を傾げて見せた悠斗に、
卑弥呼は『フっ』と含み笑いを見せると静かに、
『気にするな、こっちの話だ』と言った・・・。
すると悠斗はその表情を一変させながら続けてこう言った。
「・・・やるんだろ?」
「フフフフっ・・・ハッハッハッハッハっ!
神野悠斗・・・クククっ!たまんないね~?」
「そりゃどーも♪」
そう悠斗が返答した途端、
卑弥呼もまたその表情を一変させると流れるように構えた。
(・・・全身に力が漲っている。
ははは・・・すげー・・・まじですげー・・・)
ヒシヒシと卑弥呼から伝わるその自信と力に、
悠斗の心は今、最高に高鳴ったのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
卑弥呼が来ましたね~?w
それに悠斗も楽しそうで何よりですw
読者様方も楽しんで読んでもらえたらいいな?と、
思って思いますので、
今後とも応援のほど、宜しくお願いします。
ってなことで、緋色火花でした。




