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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
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閑話・覗く者

お疲れ様です。


めっちゃ頑張ったっ!緋色で御座います。


まぁ~、自分で全消ししたのが悪いんだけどね?W


でもまぁ~、とりあえず書き切ったので、

楽しく読んでもらえると嬉しいです。



それでは、閑話をお楽しみ下さい。

温泉宿がある湖でヴァンと別れた悠斗は1人宿に戻ろうとしていた・・・。


(んんんっ~・・・。

 冥界に来ても俺の巻き込まれ体質は変わらないんだな~?)


大きく背伸びをした悠斗は夜空を見上げると、

星が綺麗に瞬いているのが見えた・・・。


(でも、あの瞬いてる星って・・・アレ、星じゃないんだよな~?

 まさかあの光1つ1つが・・・魔石だなんて・・・。

 やれやれ・・・ロマンも何もあったもんじゃないね?)


悠斗が感傷に浸ろうと思い夜空を見上げて見たものの、

この夜でさえ、本物ではない事実に今更嘆くのだった。


「・・・って言うかさ~?」


突然強めに声を挙げた悠斗は、

その身体に魔力を纏いながら続けた。


「いつまでそうして覗いているんだよ?

 何者かは知らないけどさ?

 いい加減・・・そのねちっこい視線・・・やめてくんない?」


悠斗はそう言いながら足元に転がっている石ころを蹴り上げると、

サッカーのボレーシュートのように石ころを蹴り放った。


『ヒュンっ!ドスっ!』


少し離れた場所に在る、大きな樹木の幹にめり込むと、

その視線と気配は一瞬にして消え去った・・・。


(一体何者なんだ?

 でも・・・殺気とかではないんだよな~・・・?)


悠斗は何者かの視線と気配に首を傾げるも、

一瞬にして気配を消した事に、油断しないよう心掛けるのだった。


翌日・・・。


冥界の温泉宿に1泊した者達は、

それぞれが帰路に着いた・・・。


スタークは悠斗と共に帰る事を望んだが、

黒犬がそれを許さず、スタークの首根っこを摘まみながら、

虎恫と共に時空洞を使って帰ったのだ。


帰る間際・・・。


スタークは悠斗との別れを惜しむ中、

割り込んで来たヴァンは『スタークっ!強くなって来いよ!』と、

そう激励されたのだが、スタークはギロリと睨みながら返答した。


「ヴァンなんて俺の足元にも及ばないメル。

 だから俺に偉そうな態度はしないでほしいメルっ!

 この・・・ヘタレのヴァンっ!」


「なっ!?なななななっ・・・何だとぉぉぉぉっ!?

 きっっっさまぁぁぁっ!今すぐこの俺と戦いやがれぇぇっ!

 ギッタギタにしてやるぜっ!」


ヴァンは激怒しそう叫ぶと、

スタークは『フンっ!』と鼻で笑って見せた・・・。


「・・・貴様?本当にいい度胸しているな?」


「メルメルメルメル・・・。

 それはこっちのセリフメル・・・。

 お前如き『戦闘民族』の誇りにかけても、

 ヴァン・・・お前にだけは何があっても負けないメル」


激怒するヴァンにそう言い放ったスタークだったが、

悠斗から見れば『黒犬に摘ままれながら言ってもな?』と苦笑され、

スタークはその白い羊毛を赤くしたのだった・・・。


するといつまでも口論が続く2人に、

とうとう黒犬の怒りの声が響いた・・・。


「貴様らぁぁぁぁっ!

 雑魚同士の口論が一番腹立たしいんだよっ!」


黒犬の一喝にスタークとヴァンは顏が青ざめると、

お互い罵り合いながら時空洞の中へと入っていったのだが、

その黒い穴の中からスタークの声が悠斗に向けられた。


「ユウトーっ!俺はもっと強くなって帰って来るメルよ~♪」


そんなスタークの声にヴァンは『あ、あの羊野郎っ!と怒り、

また、2人のやり取りを傍で見ていた虎恫は溜息を吐きながら言った。


「・・・ユウトとヴァンではあからさまに態度が違うよな?」


悠斗はその虎恫の言葉に乾いた笑いをする中、

ヴァンだけが『今度会ったらあいつをシープミート』にしてやるっ!』と、

鼻息荒く息巻いていたのだった・・・。


そんな事を思い出しながら帰路に着く悠斗は・・・。

南雲やヴァン・・・そしてライトニングと共に歩いていた。


歩き始めてまだそれほども経っていない距離で南雲が声を潜めた。


「なぁ、お前さん達・・・気付いておるかの?」


そう声を潜めて離す南雲に、皆が静かに頷いた。


「正確には昨日・・・ニビルとの決着が着いた後・・・くらいからですな?」


ライトニングがそう言うと、悠斗も昨夜の出来事を話した。

すると南雲は『うむ・・・なるほどの』と相槌を打つと、

此方を監視する者が『悠斗狙い』だと察しがつくのだった・・・。


察しが着いた面々は悠斗に『どうする?』と目配せすると、

首を左右に振り答えた。


「まぁ~今の所別に、殺気はないようだから放置で・・・」


そう答えた悠斗に皆が軽く頷くと再び帰路を目指したのだった。


暫く歩いて行くとふと・・・ヴァンが立ち止まりみんなに言った。


「なぁ?どうして俺達歩いて帰ってるんだよ?

 飛ぶとか門を使うとかあるだろうよ?」


そう不満げに口を開いたヴァンに答えたのはライトニングだった・・・。


「ヴァン・・・貴方は何も分かっていませんね~?」


「わかってないって・・・一体何がだよ」


「歩いて帰ってこその情緒・・・」


「じょっ、情緒って・・・何だよ?」


真顔でそう答えたヴァンに、3人は苦々しい表情を見せると、

悠斗と南雲の視線がライトニングに不意に向けられた・・・。


2人が何を言いたいのか察したライトニングは、

再び頭を左右に振りながら言った。


「わ、私はただ、ヴァンに頼まれて戦闘の手ほどきをしているだけでして、

 教養などについては、全くの管轄外ですよ?」


ライトニングの言葉に納得したのか、

『やれやれ』と言ったジェスチャーを見せた悠斗がこう言った。


「・・・勉強って大事なんだぞ?ヴァン坊」


「ヴァ、ヴァン坊っ!?

 ユ、ユウトっ!?俺をガキ扱いするのかっ!?」


そう怒鳴ったヴァンに、今度はライトニングが続けた。


「坊・・・と、呼ばれても仕方がありませんな?

 情緒もわからないようでは・・・ほっほっほっ♪」


呆れたように笑うライトニングにヴァンは哀しみの表情を見せると、

『師匠~ひで~じゃねーか~・・・』と甘えた声を出した。


そんな様子を見せるヴァンに悠斗は悪い笑みを浮かべると、

ヴァンに追い打ちをかけたのだった・・・。


「坊って言う話をスタークに聞かせたら・・・

 あいつ・・・ふっふっふっ・・・何て言うだろうな~♪」


スタークと言う名に敏感に反応したヴァンが絶叫に近い声を張り上げた。


「やっ、やめろぉぉぉぉぉぉっ!」


一頻り終わった面々はその後、

監視する者に警戒しながらも帰路に着くのだった・・・。



翌日・・・。


早朝から悠斗は南雲と共に修練していた・・・。


『はぁぁっ!』と、悠斗の気合いの籠った声を響き、

南雲の元、技の鍛錬をしていた・・・。


「よいか、悠斗よ・・・。

 あの時、儂が教えてやれなんだ事を、

 この冥界の地で、たっぷり教えてやるから覚悟せいっ!」


南雲の声に悠斗は超重量の大剣を振り、

如何なる場合でも剣筋がブレないよう一振り一振り確かめるように、

振っていたのだった・・・。


『ブゥンっ!シュっ!ブワっ!』

悠斗の振る木刀が次第に加速を始め、

その一振りが如何に正確かを物語っていた・・・。


汗が飛び散り、悠斗の気合いの籠った声が響き、

南雲は自然とその優秀な孫の剣に見惚れていた・・・。


『そうじゃ、それでよい・・・。

 一心不乱にその一振り一振りの己の全てを賭けるんじゃ。

 その超重量に気を取られる事無く、振り抜く事で、

 お前の剣筋は更に高まるのじゃっ!』


「はいっ!」


一心不乱に超重量の木刀を振る悠斗の姿に、

南雲はあの頃の・・・。

幼き悠斗の姿を重ねていたのだった・・・。


(あの頃の記憶が今、儂の心を揺さぶるわい・・・。

 幼き我が孫が・・・少し見ぬ間に何と逞しく・・・。

 しかし、何たる運命か?

 あの時教え損ねたと悔いていたこの儂が、

 今、こうして望みが叶っておる。

 いやはや本当に・・・死神になって良かったと思えるわい)


あの当時も、何も迷う事無く木刀を振る幼き悠斗に、

可能性を見出していた南雲は再び笑みを浮かべた・・・。


その後、3時間ほど時間が経過し、

一度宿舎に戻ろうとした時だった・・・。


悠斗は南雲に先に戻るよう促すと、

『はぁ~、やれやれ・・・。こんな所にも来るのかよ?』と、

気だるく呟いたのだった・・・。


そしてこちらを覗き見る視線に、いい加減うんざりしていた悠斗は、

超重量の木刀を『ドスン』と落とした。


そしてその瞬間・・・。

一瞬にしてその場から姿や気配を一切残さず消失すると、

『・・・覗き見は良くないな~?』と、肩を掴みながら声をかけた・・・。


『ひゃいっ!?』


「・・・はい?」


悠斗の目の前には今・・・。

花魁風の衣装に身を包んだ女の後姿が見えていたが、

『沈香』だろうか?

その女性の身体から漂うその匂いに、悠斗は心は少し癒されていた。


「・・・派手過ぎね?」


そう思わず声がこぼれると、その女性から上ずった声が挙がった。


「は、派手ですみませんでしたぁぁっ!」


「・・・えっと~?」


その女性の反応に戸惑いつつも、掴んでいたその肩から、

かなり身の引き締まった身体である事が容易に想像出来た・・・。


『君さ・・・?一体何者なんだ?」


何処から見ても花魁なその女性にこっちに向くよう話すと、

その女性は素直にくるりと悠斗に向き直った・・・。


「えっと~・・・俺は悠斗。

 この前のヴァンパイアの戦闘の終わりぐらいから、

 ずっと俺達を・・・俺を見ていたよね?」


そう尋ねるとその女性はすんなりその身を明かし謝罪した。


「わっ、わたわたわたわたわたわた・・・ふぅ~・・・。

 おっ、落ち着け~・・・落ち着け・・・私・・・。

 い、いつも通り・・・いつも通りでいけば、万事OK牧場っ!」


「・・・お、OK・・・牧場って言った・・・今?」


そう呟いた悠斗の声に気付かないのか、

その女性は深呼吸をすると決意を固めたのか話し始めた・・・。


「わ、わたわたっ・・・コホン。

 私の名は・・・ひ、ひひひ・・・」


「ひひひ?」


「卑弥呼ぉぉぉっ!」


「お、落ち着けってっ!」


「う、うん・・・。

 私の名は・・・ひ、卑弥呼・・・。

 ゆ、悠斗きゅんの・・・」


『悠斗きゅん?』


思わず密かに『悠斗きゅん』と呼んでいたのをいい事に、

そう言葉がこぼれたのだった・・・。


更に戸惑う悠斗に卑弥呼は続けた・・・。


「ゆ、悠斗~・・・殿のの・・・う、噂を~・・・聞きつけまして、

 い、いちいち・・・一度そのお姿を拝見~・・・したく・・・」


(あぁ~・・・悠斗きゅんのいい匂いがするぅ~♪)


何とか自分の言いたい事を言いきったのか、

卑弥呼は『ふう~』っと、長く息を吐いたのだった。


未だに卑弥呼の言いたい事が掴めない悠斗だったが、

『殺意は無さそうだな?』と考えると、

視線を合わせない卑弥呼の手を握りながら笑顔を向けた。


「初めまして、神野悠斗です」


視線を合わせないどころか、

全身を真っ赤に染めた卑弥呼は、自分の手を両手で握るその手を見て、

『ひゃあああああああああっ!』と絶叫したかと思ったら、

そのまま気絶し倒れた卑弥呼を見て、

『・・・えっと~?』と戸惑うのだった・・・。


悠斗は『どうしよう?』と考えあぐねていた時、

偶然にも通りかかった衛兵に気絶し倒れている女性を頼むと、

遅い朝食を食べる為、宿舎に帰るのだった・・・。



そしてその夜の事だった・・・。


食事を済ませた悠斗は修練に励んでいたが、

いつもと同じではなく、南雲の隣にはヴァンが居た。


ヴァンは悠斗の修練を見ながら、

南雲に何かを話し掛け、何度か頷いていたのを悠斗は見ていた。


(あいつ・・・、一体何をしに来たんだ?)


そう思いつつも悠斗は南雲から言い渡された修練をしていた時だった。


突然『重罪人が脱走したぞぉぉぉっ❕』と声が木霊すると、

上空から『ドシャっ!』と音を立て何かが降って来た・・・。


「コ、コホン・・・悠斗き・・・悠斗・・・殿。

 しゅ、修練中・・・すまぬな?」


そう謝罪を口にするものの、卑弥呼と名乗った女性は、

何故か悠斗と視線を合わさなかった。


「・・・い、いえ。もう、終わるところなので」


「そ、そうか・・・。それは良かった」


そう言った卑弥呼に悠斗は首を傾げていると、

どうやら悠斗に伝えたかった事があるようだった・・・。


「実は頼み・・・が、あってな?」


「頼み?」


「あ、あぁ・・・悠斗きゅ・・・ゆ、悠斗殿のその・・・

 鬼の・・・」


卑弥呼が再び全身を真っ赤にし頼み事を口にしようとした瞬間、

突然少し離れた場所から、衛兵の声が挙がった・・・。


「居たぞぉぉぉっ!重罪人の脱獄犯が此処に居たぞぉぉぉっ❕」


その衛兵の声に『チっ!』と舌打ちした卑弥呼は、

悠斗に視線を合わせるとこう言った。


「タイミングの悪いツヤらだ・・・」


すると悠斗は首を傾げたまま疑問を口にした。


「・・・脱獄犯って、まさか?」


そう言った悠斗を見た卑弥呼は『キョトン』とすると、

迫る衛兵を見ながら最後にこう言った・・・。


「すまぬな、悠斗殿・・・。

 この話はまた・・・いずれ・・・でわっ!」


笑顔を向けそう言った卑弥呼に悠斗はポツリと声を漏らした。


「・・・綺麗なお姉さんだったな?」


そう呟いた悠斗は、走り去った卑弥呼の後姿を見つめていたのだった。



暫くして衛兵達に事情を聞かれた悠斗達は解放されると、

宿舎前に戻って来ていた・・・。


「アレが噂の重罪人・・・卑弥呼ね~?」


「うむ、儂も本人を見るのは初めてじゃったが、

 なるほどの~?アレが・・・」


そう楽し気に口を開いたヴァンと南雲だったが、

悠斗は別段気にする様子も見せず大きくあくびをした時だった・・・。


突然悠斗達の目の前に神界の門が現れたのだった・・・。


「こ、今度はなんじゃっ!?」


南雲が少しうんざりした様子を見せていると、

『ギィィィ』っと音を立てて扉が開き、

中から出て来たのは『上位神のヲグナ』だった・・・。


南雲とヴァンが慌てて膝を着く中、

事もあろうに悠斗はヲグナに歩み寄ると、

まるで友達と会った時のようにフレンドリーに話し掛けたのだった。


「やぁ、ヲグナ・・・。

 こんな時間に一体どうしたんだよ?」


そう気軽に声をかけた悠斗に、

南雲ばかりではなく、ヴァンまでも慌てて声を挙げた。


「ちょっ、ちょっと待ったぁぁぁっ!」


「ゆ、悠斗やっ!?」



慌てて声を挙げた2人に、悠斗は訝し気な顔を見せ、

『うるさいな~』と文句を言ったのだった。


「バっ!バカヤロウっ!

 お、お前・・・あの御方は上位神のっ!」


ヴァンがそう声を挙げた時、悠斗は『はぁ?』と声を挙げた。


「ヲグナだろ?前に会ってるし、知ってるよ~」


「そ、そう言う事じゃないのじゃっ!」


悠斗の物言いに声を挙げた南雲だったが、

その言葉はヲグナによって止められた・・・。


「構わないよ・・・死神殿」


「こ、これはまた・・・な、何とも・・・」


全身から汗が滲み出すほど恐縮すると、

南雲は片膝を着いたまま俯いた。


するとヲグナは周りの様子など気にする事もなく、

フレンドリーに接してきた悠斗に声をかけたのだった・・・。


「やぁ、悠斗君・・・。

 ここに卑弥呼が来たんだって?」


「・・・そうだね。

 何か俺に頼み事があるって言ってたけど・・・。

 結局衛兵に邪魔されて聞けなかったよ」


「はっはっはっ!そうかい、そりゃ~また・・・」


そう賑やかしくヲグナと話す悠斗を見て、

南雲とヴァンは生きた心地がしなかった。


そんな2人を見る事も無く、

ヲグナは後から出て来た天使達に

テーブルとお茶を用意させ、悠斗を含め南雲やヴァンを座らせた。


「ところでヲグナ?一体何をしに来たんだ?」


お茶を飲みながらそう尋ねて来た悠斗に、

『実は・・・』と、質問に答えた。


「君に渡したいモノがあるんだ・・・」


「・・・俺に?」


「あぁ・・・」


そう返すとヲグナは天使達に『例のモノを・・・』と言って、

悠斗に渡したいモノを持って来たのだった。


見た目でわかる通り、高品質な木箱を運んで来ると、

ヲグナは『コレだよ♪』と、そう楽し気に言った。


「悠斗君・・・コレを貸す代わりに、

 君にちょっとした事を頼みたいんだ」


「・・・ちょっとした事ね~?」


悠斗はヲグナの申し出に少し嫌な顔を見せると、

『タダより怖いモノはないって言うじゃん?』と付け足した。


そんな悠斗の言葉にヲグナは『あははは』と笑ったものの、

その笑顔はとても引き攣っていた。


そして『コホン』と改めて仕切り直すと、

ヲグナは木箱を開け、中のモノを見せながら説明した。


「コレを君に使ってもらいたいんだ・・・」


そう言って見せたのは・・・『擬体』だった。


その擬体を見た瞬間、ヴァンは嫌な思い出が蘇り、

嫌悪感に包まれたが、ヲグナはそんなヴァンを見ながら口を開いた。


「コレは神界のラボで創った擬体じゃないよ?」


『えっ!?』


南雲とヴァンが驚き、悠斗が『へぇ~』と言う中、

ヲグナは自慢げに説明を続けた。


「これはね~?鬼神であり、色々なモノを開発する、

 『(よう)』が創った擬体なんだ」


ヲグナの説明にピンときていない様子だったが、

『ふむ』と一計を案じたヲグナはニヤりとしながら続けた。


「悠斗君・・・。

 これはあのっ!『絶』の仲間である『陽』が創ったんだっ!」


そう言った瞬間・・・。

悠斗の身体から凄まじい鬼の気が噴き出し、

天使達が用意した全てのモノが吹き飛ばされたのだった。


思わぬ悠斗の反応に冷や汗を流したヲグナは、

『・・・思っていた以上に引きずってるな~?』と思いながらも、

悠斗を落ち着かせ再びテーブルと椅子を用意すると座らせたのだった。


すると悠斗はヲグナに尋ねた・・・。


「もしかして、この擬体を俺が使って、感想を聞かせろって事か?」


するとヲグナは『うんうん』とにこやかに頷くと続けた。


「・・・今の君は魂だけの・・・剥き出したままの身体だ。

 それじゃ~色々と不便だろう?

 だから僕は急いで君の為に陽に頼み込んで創ってもらったんだ。

 急いだ分・・・色々な調整は出来ていないんだけど、

 そこは~・・・ほら?

 悠斗君に任せるからさ♪」


ヲグナの物言いに、悠斗なりに何か言いたげだったが、

擬体がない今の状態だと何かと不便があったのだった・・・。


それを考えるとヲグナの申し出は有難いと思った悠斗は、

南雲に一度視線を向け確認を取ると、

南雲も小さく頷いてくれた・・・。


その後・・・。


擬体の使い方を聞いた悠斗は、新しい擬体に入ると、

以前使っていた擬体との違いを感じ、気持ち悪いとまで思っていた。


そんな違和感を感じつつも、ヲグナの言った『まずは慣れないとね?』と、

その言葉を信じ、悠斗は有難く擬体を借りるのだった・・・。


そして悠斗と握手を交わしたヲグナは神界の門へと消えると、

扉が閉まると同時に閉まる扉を見るように背後を見ながら思っていた。


(さて・・・あの擬体がユウナギ君のモノとどちらが上か、

 確かめてもらおうじゃないか・・・?

 はっはっはっ・・・楽しみだな~♪)


『バタン』と閉まり神界の門が消えると、

悠斗達は暫くの間話し込むと、明日からの訓練に備え、

それぞれの部屋へと戻って行くのだった・・・。




ってな事で・・・。


感想はどうだったですかね?

楽しんで読んでもらえたら嬉しく思います。


全消しした時は時が止まったから・・・><

でもまぁ~妥協せずに書いてよかったと今は思っています。



ってなことで、緋色火花でした。


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― 新着の感想 ―
書き直し、お疲れ様でした(^_^) 消えた瞬間、愕然としますよね。。。 でも書いてもらって良かったんじゃないでしょうか? 色々興味深い場面があったし。 卑弥呼のストーカーぶりもかわいいしw
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