31話 森からの脱出と忘れていた事
お疲れ様です。
少しずつではありますが、
ブックマークをしてくれる人も増え
大変嬉しく思います。
そして・・・有難う御座います。
今後とも益々頑張れるよう精進したいと思います。
ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。
それでは、31話をお楽しみ下さい。
二人はただ呆然としていた。
「はぁ~・・・やれやれ。イリア大丈夫か?
ちょっと、荒療治過ぎた・・・かな?」
(いつものユウトだ・・・うぅぅ・・・)
突然イリアが泣き始めた。
今まで押さえつけていたモノが溢れ出た・・・。
悠斗はイリアをそっと抱き締めた。
「ごめんね。私・・・ユウトに嫌われちゃったかと思った・・・
そう・・・思ったら、私・・・私・・・」
「あ~・・・はいはい。嫌ってないから安心していいぞー。
でも、もう自分を誤魔化したりするのはやめたほうがいい。
俺達・・・仲間だろ?」
「うぅっ・・・う、うん。有難うユウトー!」
イリアは悠斗の言葉が嬉しくて再び泣き始めた。
そして、イリアが落ち着くと・・・
「さてっと、今度はあっちだな・・・
イリア、落ち着いたみたいだから、
俺は獣人さんの方に行ってくるよ・・・」
「うん、わかった・・・」
悠斗はイリアに微笑みかけながら立上がると
獣人の女の元へ歩いて行く。
「で・・・。君は落ち着いたか?」
悠斗はしゃがみ込むと獣人の女と視線を合わせる。
「は、はい。あ、ありがとう・・・有難う御座います」
悠斗は獣人の女の頭を「ポンポン」と叩くと立ち上がり・・・
「んー・・・。思っていたよりも時間食っちまったな~・・・
とりあえず、移動しようかな」
イリアは黙って頷き立ち上がると、令嬢の元へ移動した。
悠斗は令嬢を背負うと、アイテムバッグをイリアに預けた。
手渡されたアイテムバッグを受け取るイリアはそれを見つめ・・・
「ねぇ、いいの?私が持っていて?」
「ああ、勿論いいに決まってるだろ?俺達はもう仲間なんだからさ」
「あ、ありがとう」
語尾が小さくなると同時に頬を染めるイリアは、
アイテムバッグを預けられた事が嬉しかった。
(大切なモノを預けてくれた・・・これは信頼の証ね)
「ニヤニヤ」とするイリアを見て悠斗も微笑む。
(とりあえず、大丈夫っぽいな)
「さてっと・・・行きますか!」
「ええ、行きましょう」
三人が移動を始めた時、背後から呼び止められた。
「あっ!あのー!!」
振り返る悠斗とイリア。
「ん?どうしたー?何か用か?」
「えっ、よ、用って言うか・・・わ、私はこれからどうしたらいいにゃ?」
悠斗は不思議そうな顔をして獣人の女を見ていた。
「どうしたらって・・・好きにすればいいんじゃないのか?」
「好きにするって言われても・・・わ、私は・・・捕虜にゃ・・・」
「捕虜って・・・いつそうなった?」
「えっ?だって私・・・捕まっちゃったにゃ・・・」
イリアも悠斗の顔を見て口を開く。
「・・・この人、解放してあげたんでしょ?」
「あ、ああ・・・俺はそのつもりだったんだけど・・・
ちゃんと伝わってなかったのかな?」
「そんな感じはしないけど・・・どうなのかしら?」
伝わってなかったのなら・・・と、悠斗は獣人の女に伝えた。
「・・・・」
「ん?何故黙っているんだろ?」
悠斗は令嬢を降ろすと、イリアにまかせ獣人の女の所へ行った。
「なぁ?一体どうしたんだ?何処か怪我でもしたのか?」
悠斗の言葉に黙って首を横に振る。
(まいったなー・・・何が何だか・・・)
悠斗はイリアに振り返り首を傾げて見せると
イリアもまた同じように首を傾げていた。
「あのさ、俺達ちょっと急ぎたいので、何もないならもう行くからな?」
「・・・わ、私も・・・付いて行ってもいいかにゃ?」
「はい?」
「いや、だから・・・私も一緒に行きたいにゃ」
「ん?どういう事?」
「だから!私もあんたらと一緒に付いて行きたいにゃ!」
「いやいや、だーかーらー!どうしてなのかを聞いてるんだ!」
「えっ、だって・・・恩返し・・・したいにゃ・・・」
「えっと・・・別にいらないんだけど?」
悠斗の言葉に「えっ?」っと、言葉を漏らすと、
少し呆然としていた。
「んん?どうしていらないにゃ?私の情報は必要なはずにゃ!」
「いや・・・別に・・・今はいらないかな?」
「にゃゃゃゃ!!どうしていらないにゃ!私の情報は有益なはずにゃ!」
「えっと・・・俺達は急ぐって言ったよな?
だから獣人さんに構っている時間はないんだよ?」
獣人の女は疑問に思った・・・
(にゃら、どうして・・・私を捕まえたのにゃ?)
その事について、聞いてみようと考えていた時・・・
悠斗達は移動を開始していた・・・。
「まっ!待つのにゃゃ!!」
慌てて立ち上がり、悠斗達の後を追う獣人の女の声が森に響いていた。
暫く森の中を彷徨う悠斗達・・・それと・・・獣人の女。
「ねぇ・・・ユウト、あの人付いて来ているんだけど?」
困り顔をしているイリアが悠斗に小声で話していた。
「はぁ~・・・暫くほっとくさ。何かしようっていう時は・・・
容赦なく斬り捨てるつもりだけど・・・それもなさそうだな」
悠斗は後方をチラ見すると、獣人の女は隠れる素振りも見せず付いてくる。
(確かに、あの獣人さんの情報は必要なのかもしれないけど、
最優先にしたいのは・・・此処から出る事だからな)
悠斗が空を見上げると、陽が傾き始めている事に焦っていた。
(早く此処を出ないとな・・・。捜索隊に見つかるかもしれないしな)
悠斗は山や森を歩き慣れているが、ある程度離れないと
簡単に見つかってしまう事がわかっていた。
「イリア・・・すこし急ぐぞ」
「どうしたの?」
「陽が傾いてきたからな・・・陽が落ちる前に出口の手前まで行きたい」
「手前までって・・・?」
「後で話す・・・。それと・・・獣人さん!付いてくるなら傍に居ろ」
付いてくる獣人の女の方をチラ見すると、
黙って頷いているのが見えた。
そして暫く歩くと・・・
「イリア、止まれ」
悠斗が片手を広げて歩くのを止める・・・。
「ちょっと様子を見てくる」
「わかったわ、気をつけて・・・」
「ああ」
悠斗はチラッと獣人の女を見て姿を消した。
「また・・・消えたわね・・・謎過ぎるわ」
イリアの小声は獣人の女には聞こえていた。
(また・・・って、何にゃ?
そ、それに・・・私の目の前で消えたにゃ!!)
一人?マークになっているのだった。
暫くして陽が完全に落ちた頃・・・悠斗が戻ってきた。
いきなり現れた悠斗に、獣人の女は飛び上がりそうになったが
イリアが両手で肩を捕まえて、音を響かせずに済んだ。
「イリア・・・ナイス♪」
「ふふ♪いきなり現れるのには慣れてきたわ♪」
「あははは」
少し談笑した後、悠斗は二人に近づき話し始めた。
「もう捜索隊は到着しているみたいだ。陽が落ちたから
松明の明かりしかないし、何とかなると思う」
「それで・・・これからどうするの?」
「んー。一度岩場の聖域に戻る」
「えっ?戻るの??どうしてよっ!」
獣人の女が「岩場の聖域」について、訪ねてきたが
後で話すと言われ、今後の予定の続きを話していた。
「この令嬢を探す連中の人数がかなり増えてきている。
だから一度戻って、グレインに何とか連絡をしないとな。
このままアシュリナを目指すよりは、危険がなくていいしね」
「わかったわ。私はそれでいいんだけど・・・
この人はどうするのよ?」
二人の視線が、獣人の女に向けられる・・・
(な、なにか、すっっごく見られているのにゃ・・・
で、でも、私が使えると分かれば・・・アピールにゃぁぁ!)
「んー。この獣人さんは誰にも見られていないはずだから
ここで別れてもいいと思うんだけど?」
「にゃ?私は付いて行きたいにゃ!」
「何で貴女は一緒に来たいのよ?」
「一緒に行けば、私がグレインに連絡をするにゃ
それに安全な所で話した方が冷静に判断できるにゃ!」
「まぁ確かに・・・それもそうだな」
「じゃー・・・連れて行くのね?」
「・・・・そうなるな」
(ふっふっ♪やったにゃぁぁ!!アピール成功だにゃ♪)
一同が今後の予定を決めると、早速移動を開始した。
森の出口に来た悠斗達は近くに松明を持って歩いてくる騎士を見た。
「俺があいつを気絶させてくるから、イリアはロジーを背負ってくれ。
そしたら、真っ直ぐ走ってあの丘を迂回してくれ」
「わかったわ」
「私はどうしたらいいにゃ?」
「あんたは・・・もし行く先に敵がいたら、気絶されてくれ。
とりあえず、イリアの護衛を頼む。
ただし・・・無闇に戦わなくていいからな?」
「わかってるにゃ!まかせるのにゃ!」
「ああ・・・任せたよ」
悠斗達は作戦を実行して丘を迂回し街道を横切って行った。
「結構、遠回りしたわね・・・」
「ああ、イリア済まないな・・・ロジーをずっと背負わせて。
今更だけど・・・代わるよ。
それと・・・またバッグを持ってもらえるか?」
「えっ、ええ、勿論いいわよ♪」
令嬢を再び背負うと、闇夜に紛れて岩場を目指した。
イリアは再び手渡された赤いアイテムバッグを肩から下げ
愛おしそうに撫でていた。
悠斗達が闇夜に紛れながら歩いていると、イリアが質問してきた。
「ねぇ、ユウト。どうしてこんなに迂回してるのよ?
敵を倒して行けば最短距離で行けるじゃない?」
イリアは悠斗に質問したのだが、答えたのは獣人の女だった。
「ダークエルフの人・・・そんな事をしたら、
行き先の検討がついてしまうにゃ。
行き先を絞らせないように、この人は迂回してるのにゃ」
「ああ・・・なるほどね。ありがと。納得したわ」
(こいつらって・・・ちょっと不用心じゃにゃいか?)
獣人の女がそう思って二人を見ていると・・・
「別に不用心じゃないよ?君の事は信用しているからさ。
もしこれで敵だった時は・・・俺達が馬鹿だっただけだよ」
「にゃんで・・・考えている事がわかったのにゃ?」
「んー・・・こういう時にそんな顔されるのって、
結構な確率でそういう事を考えているもんさ」
「お前・・・何だかすごいのにゃ」
「あははは・・・お褒めに預かり光栄だね」
暫く闇夜を歩いて行く悠斗達は、松明の光を避けながら移動していく。
「そろそろ・・・だな」
「えっと・・・そうね。そろそろね♪」
二人が少し安心しているのを見た獣人の女は
?マークが再び舞い降りていた。
もうすぐ到着するというのに・・・空には雲が湧いていた。
「ヤバいな・・・一雨くるかな?」
「そうね・・・これは振りそうね」
二人は岩場の聖域を目指し歩いていると・・・
「ね、ねぇ・・・ユウト?」
「ん?どうした?」
「雨・・・降ったら・・・」
「まぁーこの雲を見る限りだと・・・確実に降ると思うけど?」
「・・・そうよね。降ったらどうするの?」
「降ったらって・・・まぁ当然小屋に避難・・・んんんんん???」
「・・・・忘れていたのね」
イリアは頭を抑えながら悠斗に呆れていた。
「し、しまった!!屋根がなかったんだったぁぁぁ!!
わっ、忘れてたぁぁぁ!!」
「あはははは♪ユウト、可笑しすぎ♪」
悠斗は大きな声で思わず叫んでしまった。
慌てて気配察知を使おうとすると・・・
「そんなに慌てなくてもいいにゃ。この近辺には誰も居ないにゃ♪」
「さ、サンキュー!」
そう言うと、悠斗は令嬢を背負ったまま
岩場の聖域へ駆け出し、イリアも追いかけたが
その顔は笑いに満ちていた。
「・・・こいつら・・・すごいのかすごくにゃいのか
まっっったくわからない連中にゃ♪」
そうつぶやく獣人の女もまた、笑顔がこぼれていた。
ラウル ・・・ もう閑話なくてもいいんじゃね?
ミスティ ・・・ どうされたのですか?
ラウル ・・・ 閑話組が僕を除け者にするんだ。
ミスティ ・・・ それはおかわいそうに・・・
ラウル ・・・ ミスティ君だけだよ。僕の気持ちがわかってくれるのは。
ミスティ ・・・ この小説を読んでくれる方が増えているようで・・・
ラウル ・・・ ん?急にどうしたの?
ミステイ ・・・ 今後ともこの小説を宜しくお願い致しますわね♪
ラウル ・・・ ねぇ?聞いてる?ねぇってばっ!
ミスティ ・・・ ここで点数を稼いでいれば、きっと私にも・・・
ラウル ・・・ まじか・・・。そんなに出番が欲しいのか!
ミスティ ・・・ ええ、もちのろんですわ♪
ラウル ・・・ ど、どこでそんな言葉を・・・orz
ってなことで、緋色火花でした。




