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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
376/406

268話 死神と執事

お疲れ様です。


緋色火花です。


今日はタピオカを頂きましたw

まぁ、なつい感じはしますが大好きですw


さて、今回のお話は前回の続きと成りますので、

楽しんで頂ければと思います。


それでは、268話をお楽しみ下さい。

南雲の異様な行動に悪寒が走った堅狼族達・・・。


焦ったボレアスはルチアーノに念話を送り、

今後の行動を話し合った。


{・・・長っ!

 ど、どうするよ?!}


{・・・何者かは知らないが、

 あのじいさん・・・只者じゃないね~?}


{何を悠長な事言ってんだよっ!

 よ、よく分からねーが、俺の本能がヤバいって言ってんだっ!

 何か打つ手はないのかよっ!}


得体の知れない恐怖を感じたボレアスがそう言うと、

ルチアーノは『どうするも何も・・・』と言葉を続けた。


{ボレアスっ!あんたっ!ビビってんじゃないわよっ!}


{ビビってって・・・。

 そりゃ~ないぜ?!

 あんな得体も知れないモノを見ちまったら、

 こうなっても仕方がねーだろうっ!}


そう怒声を挙げるボレアスに、

ルチアーノは『チっ!』と舌打ちしながらも考えていた・・・。


(一体あのじいさんは何者なのさ?

 あのじいさんの奇妙な行動で我ら堅狼族達がビビっちまうなんて・・・。

 こ、こんな事・・・今まで1度も・・・)


『ぐぬぬぬ』と呻くように声を漏らしたルチアーノは、

仲間達に告げた・・・。


{・・・このままじゃ埒が明かないわっ!

 我ら堅狼族の誇りに賭けて依頼は達成しなくちゃならないのよっ!

 お前達っ!誇りを忘れるんじゃないわよっ!}


そう皆に伝えるも一度下がってしまった士気は上がらない・・・。


そんな仲間達を見たルチアーノは念話で声を張り上げた。


『我ら堅狼族は例えどんな相手でも怯まず立ち向かうっ!

 これが我らの理念だっ!忘れるなっ!』


そう念話を飛ばしたルチアーノが言い終わると遠吠えた。


『ワォォォォォォォンっ!』


堅狼族を統べる者としてそう遠吠えたルチアーノに、

仲間達が同時に『ワォォォォォンっ!』と応えた。


そして身体に冥界の神力を纏わせながら告げた。


『リズムを上げて行くよっ!』


長の声に仲間達は再び駆け出しな曲者周りを回り始めると、

先程よりも速度を上げて行ったのだった・・・。



先程よりも速度が上がった堅狼族に南雲の目が鋭さを増した。


(こやつらいい目をしておるの・・・

 ひょひよっ・・・これは儂も腹をくくるしかないの~)


再び南雲は『陰・呼吸』を始めながら、

周りの気配を探りつつ身体の力を抜いた・・・。


(さて・・・何処から・・・かの?)


そう考えた時だった・・・。


突然南雲の左側を駆けていた狼の2頭が突っ込んで来ると、

先程の攻撃と同じように身を屈めつつ回転し、

刀ですくい上げようとした・・・。


その時だった・・・。


『ワオンっ!』とルチアーノが声を短く支持を飛ばすと、

後方を駆けていた部隊の2頭が時間差で突っ込んで来た。


(な、なんとっ!?)


一瞬驚いた南雲だったが口角を上げると、

最初に向かって来た2頭をすくい上げるように刀を振りながら、

自らもその反応で飛び上り、襲い掛かる狼に対し刀を振り下ろした。


『ガキンっ!』


『っ!?

 刀に気を纏わせても斬れぬとはの?』


スタっと着地した南雲は刀を握り締め、

その堅狼の名に恥じぬ強靭な身体に目を細め、

そして呟くように『このままでは無理じゃの』と奥歯を噛み締めた。


南雲は周りを駆け回る狼達に鋭い視線を向け、

警戒しながら懐に手を入れた時だった・・・。


『ワオンっ!ワオンっ!ワオンっ!ガフっ!』


聞き慣れない声に懐に入れた手の動きが止まった瞬間、

左右と後方から同時に狼達が襲いかかって来た。


(左右から2頭ずつと後方から2頭じゃとっ!?)


動きを察知した南雲が対処しようとした時、

時間差で前方を駆けていた隊が右斜め前方に移動した瞬間、

隊から1頭が再び時間差を作り飛び出して来た。


(こ、これなら・・・まだっ!)


南雲は左右から迫り飛びかかって来る4頭に対し、

本身と鞘の二刀流で捌きながら、

すぐに迫る後方の2頭に空中で蹴りを放った・・・。


『ドカっ!』と鈍い音が聞こえたが、

南雲はそんな音を聞く間もなく最後に飛び出して来た1頭に対し、

身体を命一杯捩じりながら、鞘を振り上げた。


『ドカっ!』


『キャインっ!』


一瞬だがそう小さな悲鳴を挙げた狼の声を聞いた南雲が着地すると、

離れた場所から悠斗の声が響いた・・・。


「じぃーちゃんっ!まだだっ!」


「なっ、何じゃとっ!?」


悠斗の声に反応した南雲は思わず視線を彷徨わせ、

敵を見つけ出そうとしたが、

その視界が最後の敵を片隅に視認した瞬間、

『ザクっ!』と切り裂かれた痛みが身体を襲った・・・。


「ぬ、ぬかったわ・・・。

 ま、まさかもう1頭いたいとは・・・の」


南雲の左脇腹に激しい熱と痛みが走ると、

『ポタっポタっ』と紫色の血液が、冥界の荒れた地に落ちた。


「じ、じぃーちゃんっ!?」


孫である悠斗の声が耳に届くも、

今の南雲にはその孫の顔を確認出来る程の余裕はなかったのだ。


(・・・こ、声がキーではないのか・・・?)


ボスであるであろう狼の声に攻撃を仕掛けて来る・・・。

そう思っていた南雲の推理は外れたようだった。


左脇腹の痛みに耐えながらも、南雲は警戒し備えた・・・。


(うむ・・・す、少しでいい・・・。

 少しの時間さえあれば・・・)


周りを駆け回りながら南雲の出血量を見たルチアーノは、

ボレアスへと念話を送った・・・。


{・・・もう一押しってところね}


{あぁ・・・だがまだ油断はならねー。

 あのじいさんは得体が知れねーしよ、

 それに何度も鑑定をしてみてはいるんだが、

 全て弾かれているんだ・・・}


{・・・ほう。

 益々あのじいさんに興味出て来るわね~}


{おいおい・・・}


ルチアーノの言葉にボレアスはに呆れた表情を浮かべ、

次の攻撃へと備えたのだった・・・。



南雲が負傷し何も出来ず苦虫を潰したような顏を見せると悠斗は、

必死に考え込んでいた・・・。


(お、俺は本当に何もできないのか?

 このままじゃ・・・じぃーちゃんが・・・)


そう考えながらふと・・・南雲の言葉を思い出していた。


『魂に刻まれた力なら・・・』


(・・・ん?

 そ、それって・・・もしかすると・・・)


何かきっかけとなる事が頭を掠めた時だった・・・。


突然『ワオンっ!』と堅狼族の声が響いた・・・。


すると再び堅狼族達の猛攻が始まり、

南雲はその波状攻撃に対し、防戦一方だった・・・。


「じ、じぃーちゃんっ!」


そう悠斗が声を挙げるも、何事もなかったかのように、

堅狼族達の攻撃は勢いを増して行った・・・。


『ぐぅぅぅっ』と南雲がその猛攻に呻き声を挙げ、

それを見ながら様々な攻撃のバリエーションを見せる堅狼族達に、

悠斗は強く握られた拳に更に力が加わった・・・。


そんな時だった・・・。


ふと悠斗は南雲に対し違和感を感じ取った・・・。

『陰・呼吸』を使用しつつも何処かおかしく感じ目を凝らした。


(じぃーちゃん・・・何だ?

 気道を使いつつも・・・な、何だ?)


悠斗はその違和感の正体を調べるべく、

スキルである鑑定を使用したのだが『バリン』とその効果は打ち消された。


(鑑定出来ない?

 ん?あ、あれは・・・何だ?)


悠斗の鑑定が弾かれた瞬間、

ガラスのように弾かれ壊れた鑑定スキルの破片が、

一瞬・・・異様な光を映した・・・。


(あ、あれって・・・もしかして?)


悠斗は堅狼族達の猛攻に耐えている南雲を見ながらも、

再び鑑定を使用し、己が感じた違和感の正体を掴もうと何度も試みた。


すると、ようやくその違和感に気付き、

それが何かを理解した・・・。


(こ、これって確か・・・?)


そう・・・。

悠斗がこの時、それが何かを思い出した。


(俺がヴァン達と一緒に外に出た時・・・。

 俺はソウルイーターと勘違いして死神であるじぃーちゃんに・・・)


目を閉じ当時の記憶を探っていくと、

悠斗は南雲が何をしようとしているのかを理解した・・・。


「はっはっはっ!にゃるほど♪

 わかったよ・・・じぃーちゃんの狙いがさ・・・)


そう考え笑みを浮かべたが『でも・・・どうして?』と、

頭を悩ませた・・・。


(狙いはわかったけど、どうして早くそうしないんだ?

 ん?どう言う事?)


そう南雲に対し疑問を思った時、

先程見た鑑定スキルを使用した時の事を思い出した。


(も、もしかして・・・何か条件が?

 た、例えば・・・? 

 もし、そうなら・・・耐性が例え90%であったとしてもっ!)


そう考えた悠斗は瞬時に駆け出し『じぃーちゃんっ!』と声を張り上げ、

『いっけぇぇぇっ!』と、火属性の魔法を数発分散させながら放った。


「ゆ、悠斗っ!?」


『っ!?』


堅狼族達は突然の出来事に先程と同じように南雲から距離を取り、

悠斗の放った火属性の魔法が数か所で燃え上ったが、

その行動に南雲は悠斗の意図を察し行動に移った・・・。


『感謝するぞっ!悠斗っ!』


『はぁぁっ❕』とその身体から冥界の神力を吹き出させながら、

左手を懐に入れた。


『あ、あの面ってっ?!』


南雲が取り出したモノは白い面で、

それは髑髏の面だった・・・。


その白き面を顔に被せながら、

南雲は吹き出した冥界の神力を身体に纏わせると、

右手を高々と上げて口を開いた。


死魂招来(しこんしょうらい)・・・。

 我が魂に纏い力となれ・・・』


『ヒュッォォォォォォォォンっ!』


ドス黒い風が南雲の身体を包み、竜巻のように巻き上がった。


そしてその竜巻が冥界の上空に吹き上がった時、

その場に現れたのは『白き髑髏の面』をつけた南雲だったのだ。


『・・・し、死神っ!?

 あ、あのじいさん・・・死神だったのかっ!?』


驚愕しそう声を張り上げたボレアスに、

ルチアーノは『チッ!』と舌打ちをした後、

呟くようにこう言った・・・。


「死神とはね・・・。

 あの執事・・・私達をハメたってのかいっ?!」


『ガルルル』っと怒りを滲ませ呻るルチアーノに、

焦り声のボレアスが声を挙げた。


{どうするんだよっ!ルチアーノっ?!

 し、死神相手じゃ・・・}


ボレアスの動揺があからさまに見て取れ、

ルチアーノは『黙りなっ!』と声を荒げ黙らせた。


(ただでさえ苛ついてるってのに・・・

 身内にまで苛つかせられるなんてねっ!)


ルチアーノは黒き気を纏う死神を睨みつけながら、

周りで震える仲間達の気配を探った・・・。


(どいつもこいつもっ!

 全く・・・堅狼族の誇りはどこにいっちまったんだいっ!)


堅狼族に依頼をした執事と仲間達・・・。

そしてこの状況を打破する策を見出せない自分自身に怒りを覚えた。


(あ、相手がこの冥界最強である死神だなんて・・・

 ついてないったらないね・・・)


そう考え悔し気な表情を浮かべた時、

死神化した南雲はその足をゆっくりと踏み出しながら、

マジックボックスの中から『漆黒の大鎌』を取り出した。


漆黒の大鎌の刃が鈍く銀色の光を放ち、

身に纏った黒衣からは、まるで燃え上る炎のように、

黒き気を放っていた・・・。


(い、一体どうすりゃいいってんだいっ?!

 こ、ここは一旦撤退しなくちゃ・・・)


悔し気な表情でそう考えた時、

突然何処から低く静かではあるが、とても威圧的な声が響いた。


『おやおや堅狼族の皆様方・・・。

 どちらへ行かれるのでしょうか?』


その声に堅狼族達は身体を強張らせ、

『ザクっザクっザクっ』と足音がする方へと振り向いた・・・。


(・・・な、何者なのじゃ・・・アレは?)


死神と化した南雲の歩みが止まり、

無意識に大鎌を持つ手に力が入った・・・。


『ザクっ、ザクっ、ザクっ』


見た目は何処にでも居る『執事』の恰好そのものだが、

眼が真紅に染まり、身体から溢れる青紫の神力の濃度に、

南雲は更に警戒レベルを上げた。


『ジャリっ』とその執事が足を止めると周りを軽く見渡し、

ニヤりと不気味な笑みを浮かべながら口を開いた。


「もう一度お尋ね致しますが・・・。

 堅狼族の皆様方・・・どちらへいかれるのですかな?」


「・・・・・」


「・・・まさかとは思いますが、

 この場から逃走を計ろうなどとは思ってはおられませんよね?」


「・・・・・」


威圧が込められたその執事の問いに、

堅狼族達は何も言えず言葉を発する事が出来なかった。


「ほほう・・・その沈黙が答え・・・と、思っても?」


そう言いながら執事は殺気を放ちながら堅狼族達を見渡すと、

その中の1頭がゆっくりと歩みを進め、

女性の人間体になると口を開いた。


「・・・てめー、相手があの死神だと知っていて、

 わざと我らに話さなかったな?」


「おやおや・・・この私とした事が申しませんでしたかな?」


「て、てめーっ!」


そうとぼけながら口を開いた執事に、

ルチアーノは怒りの表情で睨み付けた・・・。


怒り今にも襲いかかりそうな身構えるルチアーノに対し、

その執事は気持ちを逆撫でるように言った。


「・・・堅狼族という輩も大した事ありませんね?」


「な、何だとっ!?」


「依頼された仕事を失敗された事など・・・無いと、

 そうお聞きしたのですがね~?

 いやはや・・・。

 あれは質の悪い『デマ』と言う事で宜しいですかな?」


堅狼族の長に対し嘲笑するかのように言葉を吐き捨てると、

執事の視線は白き髑髏の仮面を被り、

黒衣を纏い大鎌を持つ南雲に視線を向けた。


そして眼前に怒りで身体を震わせるルチアーノを無視するかのように、

南雲に口を開いたのだった・・・。


「これはこれは・・・お見受けしたところ、

 死の天使・・・はたまた冥府の死者・・・

 もしくは死の番人で在らせられる・・・死神様ではありませんかな?

 私めは、とあるご令嬢にお仕えする執事で御座います。

 以後・・・お見知り置きを・・・」


そうにこやかにお辞儀をしながらそう言った執事に、

南雲は『トンっ』と大鎌の柄を地面に着きながら応えた。


『儂は魂狩りの死神・・・南雲じゃ・・・。

 うぬが何者かは知らぬが即刻この場から立ち去るがよい・・・』


そう応えた南雲に対し、

執事はお辞儀をしたまま突然肩を揺らし始め、

次第にそれは身体を仰け反らしながら大きな声で笑い始めたのだった。


『フッフっフっ・・・クっクっクっ・・・ハっハっハっ・・・

 ワァ~ハッハッハッハッ!!』


『っ!?』


突然盛大に笑い声を始めた執事に、

南雲だけではなく、堅狼族や悠斗までも唖然とし固まった。


そんな執事を前に南雲は冷静な口調で尋ねた。


「貴殿・・・。

 一体何がそんなに可笑しいのだ?」


顏を隠すように右手を当て大笑いする執事は、

死神である南雲の声に、白い綿手袋の指の隙間を開け、

その隙間から南雲を見下ろす様にその真っ赤な瞳を見せ応えた。


『死の天使様が・・・クっクっクっ・・・

 よもや・・・こ、このような・・・脆弱なる者とは・・・フフっ。

 こんなにも大笑いした事は数千年ぶりで御座いますれば・・・

 多少は容赦して頂きたく・・・』


大きく肩を揺らし爆笑した執事は指の隙間からな雲を見下ろすと、

一瞬にして表情は無と成り、静かにこう告げたのだった・・・。


『死者の番人よ・・・

 これより共に愉快な宴と参りましょう』


そう言った執事の身体からは、

ゆらゆらと冥界の神力が立ち昇って行くのだった・・・。





ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?


とりあえず今現在・・・。

隙間時間を見つけて書いております。


ってか、腱鞘炎がヤバい・・・orz

マウスを持つ時はまだいいのですが、

ペンを持った時が・・・何気に・・・微妙に・・・痛いw


痛みを感じ、あぁ~今日も生きているんだな~って実感しております。

・・・嘘です。

痛いものは痛いし美味いもんは美味いっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
南雲、死神とはいえ、おじーちゃんなのにパワフルですねー 自分年々衰えを感じてるのでマジ尊敬です!
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