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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
372/406

264話 復活

!ご無沙汰しております。緋色で御座います。


ちゃんと生きてますw

ってか、『Ⅹ』のパスワード・・・

念の為控えていたのに・・・な、無くして告知できなかった><


とりあえず社畜を貫き瀕死ですが生きています。

プロジェクのせいでアップ出来なく申し訳ありませんorz


まぁ~何とか書き上げましたのでアップしますっ!


では、264話をお楽しみ下さい。

『バキっ!ゴキっ!』と拳を鳴らしたジェミーは睨みを利かせ、

眼前に立ちはだかる『ミノタウロス・ビースト』と対峙した・・・。


「ふ~ん・・・。

 ソレって最近冥界で噂になっている『狂獣化』ってヤツか?」


「・・・狂獣化?」


ジェミーの言葉に呟くようにそう言ったイザナミの声に、

ジェミーの眼球が鋭く反応し答えた。


「あぁ・・・。

 お前の所まではまだ広がってないみたいだけどよ~

 最近妙な連中がコソコソしててよ?

 どうもその連中が妙な『薬』を与えているらしいんだよ」


「・・・妙な薬だと?」


「あぁ・・・。

 下級の魔物達がその薬を与えられっとさ、

 身体が赤く染まり一回り大きくなり、

 元来の強さよりも2段階は上がるっつーもんらしいぜ」


「・・・に、2段階もっ!?」


ジェミーの話にイザナミや黒紅は驚きの声を挙げ、

その表情もまた厳しいモノへと変わっていった・・・。


そんな2人の気配を背中越しに感じながらも、

ジェミーは鋭い眼光を魔物達へと向けながら口角を上げた。


そして呟くようにこう言った・・・。


「・・・この身体でどこまだやれるか、

 クっクっクっ・・・試してやんよ♪」


両腕を『ブンブン』振り回し身体の状態を確かめるように動かすと、

ジェミーは深く息を吸い込み気合いの雄叫びを挙げた。


「まずは小手調べといこうじゃねーかぁぁぁっ!」


そう叫んだジェミーは何も考えず駆け出すと、

電光石火の如く突進し、

その速さに両目を大きく開けて驚く魔物の懐に入り笑みを浮かべた。


「うぉりゃぁぁぁぁぁっ!」


『ドスっ!』


ジェミーの鋭く放たれた拳が鈍い音を立てて、

『ミノタウロス・ビースト』の腹にめり込んだ。


そして顏を上げ『ニヤり』と笑みを浮かべたジェミーは、

顏を引き攣らせたと同時に悲痛な叫び声を挙げた


「・・・いっ・・・いてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

 まじ硬てぇぇぇぇっ❕ぐおぉぉぉぉぉっ!」


そう叫ぶと同時にジェミーは右手首を押さえながら飛び回り、

遠目で見ていたイザナミ達の目でもわかるくらい、

その拳は赤く腫れ上がっていた・・・。


『かっ・・・硬てぇぇぇなっ!おいっ!』


『ズルっ』


その様子にイザナミ達はコケると、

顏を真っ赤にしながら怒声を挙げた。


「あ、あほかぁぁぁぁぁぁっ!?」


「う、うるせーよっ!」


「お、お・・・お前が今さっき『狂獣化』がどうのこーのってっ!

 言っていたばかりじゃんねっ!?」


顏を真っ赤にしたイザナミがそう怒鳴るも、

悶絶するジェミーは冷や汗を流しながらも声を荒げた。


「どっ、どれくらい強くなったのかをっ!

 ちょ、ちょい・・・確かめただけだろうがぁぁぁっ!

 外野は黙って見とけよっ!」


「だ・・・誰が外野じゃぁぁぁっ❕

 このどあほうがぁぁぁっ!」


突然言い争いを始めたイザナミとジェミーに、

黒紅は『この人達は・・・』と溜息を吐き、

ミノタウロス・ビーストは顏を引き攣らせていた・・・。


暫く2人が言い争っていると、

痺れを切らした魔物達が『ドスっ!』と一歩踏み出した。


「・・・いかんっ!?」


イザナミの視線が魔物達へと向けられると、

1体が未だ倒れているイリアへと向おうとしているのが見えた。


咄嗟にイザナミはジェミーから受け取った『黄金の球』を頭上で割りつつ、

『これは黒紅にも効果あるのか?』と疑問を抱きつつも投げつけた。


『ビシャァァっ!』と大量の液体がイザナミと黒紅に降り注ぐと、

『ビカっ!』と身体が光り輝くと同時に黒紅の非難の声が響いた。


『な、何をするんですかぁぁぁっ!?』


「言いたい事があるのなら後で言えしっ!」


『・・・うぐっ』


そんな黒紅を他所にイザナミは『黄金の球』を1つ黒紅に預け、

イリアの元へと迫る魔物へと視線を向け、

屋根を傾げる黒紅に命令した。


『黒紅っ!ソレをセルンにっ!」


返事を聞く間もなくイザナミは駆け出すと、

暫く光っていた輝きが収束すると同時にその身体に異変が現れ始めた・・・。


『よしっ!戻ったっ!』


イザナミは身体の変化を感じその視線を失った腕へ向けると、

完全再生された腕に力を込め強く拳を握った。


「これで妾も戦えるっ!

 黒紅っ!任せたぞっ!

 間に合えぇぇぇっ!神速っ!」


イザナミはスキルの『神速』を使用し一瞬に姿を消す頃、

その後方で黒紅もまた身体が再生された事に驚き、

『うぉぉぉぉっ!』と歓喜の声を挙げながら移動した。


イザナミ達の様子に動きを止めた魔物達だったが、

その表情は険しく怒りの咆哮を挙げながら駆け出した。


『ドスっ!ドスっ!ドスっ!』


1体は意識を失っているイリアの元へ・・・。

そしてもう1体は右手首を『グルグル』と回すジェミーの元へと・・・。



瞬時に移動しイリアの元へと到着したイザナミは、

拳を振り上げる魔物へと鋭い眼光を向けた・・・。


『ブフォォォっ!』


大きく振りかぶり雄叫びを挙げながら振り下ろされた拳に、

イザナミは『フゥ~』と大きく息を吐きながら冷静に構えを取った。


そして振り下ろされたその大きな拳が直撃すると思われた瞬間、

『神力解放』と囁くように声を挙げた。


『バシュっ!』と銀色の鮮やかな光が身体から放たれると、

その大きな拳をいとも簡単に細い腕で受け止めたのだった・・・。


『ドカっ!』


『っ!?』


その細く華奢な腕で攻撃を防がれた魔物は驚き、

『・・・何故だ?』と言わんばかりにその巨体を硬直させた。


そして次の瞬間・・・。


「よくも今まで・・・」


魔物のその大きな拳の下からそんな声が聞こえたのも束の間・・・。


『ドーンっ!』と突然鈍い音を立て、

気が付いた時にはミノタウロス・ビーストの身体は、

激痛と共に吹き飛ばされ、

『ドカーン』と音を立てながら壁の瓦礫に埋もれたのだった。


壁に埋もれる魔物を見届ける事もなく、

イザナミは振り返りつつ『黄金の球』をイリアへとぶつけた。


そして光り輝くイリアを見届けると安堵の息を漏らし、

セルンの元へと向かう黒紅と、

笑みを浮かべるジェミーへとその視線を向けたのだった。


一方ジェミーはと言うと・・・。


「クっクっクっ・・・さぁ来なよ・・・木偶の棒・・・。

 今度はちょいと本気見せてやるからよ~♪」


口角を上げうすら笑うジェミーに、

魔物はショルダータックルの態勢を取りながら突進して来た。


赤黒く染まった皮膚から異様とも言えるほどの魔力を纏うと、

再び『ブフォォォォっ!』と嘶いた・・・。


その迫力に気圧される事もなく、

ジェミーは大きな笑みを見せながら吠えて見せた。


「来いよっ!牡牛ちゃんっ!

 今度は真正面から受け止めてやるぜっ!」


そう言い終わった瞬間・・・。


『ドゴっ!』と鈍い音を立てたが、

ジェミーは両手を前へと突き出し、魔物の重厚な肩を受け止めていた。


『っ!?ブフォっ!?』


「うぉぉぉぉぉぉぉっ!

 こ、この私がぁぁぁっ!

 蜂の女王たるこの私がぁぁぁぁっ!

 こんな牛如きに負けてたまるかってーのっ!」


幼い容姿のジェミーの顔を歪ませながらも必死に耐え、

身体から力が立ち昇って行く・・・。


「ブフォっ!ブフォっ!」


「だ、黙れってんだっ!

 てめーの息が臭せーんだよっ!

 うぉぉぉぉぉぉっ!」


ジェミーはその息の臭さに顏を顰めながら、

一度奥歯を『ギチっ!』と音を鳴らし噛み締めると、

『ポイゾネス・・・ス、スティンガー・・・』と呻くように言った。


すると右手の手首から甲にかけて黄色と黒の体毛が膨れ上がり、

手の甲には真っ赤な突起物が出現した。


『ぐおぉぉぉっ!』と・・・。

苦悶の声を漏らしながらも鋭い眼光を向け、

ジェミーは『しつこいんだよっ!』と声荒げながら、

身体を浮かせると両腕に力を込め、

その威力を利用し上空へと舞い上がった。


そして『クルリ』と身体を反転させながら、

幼きその背中から(はね)を出現させると、

バランスを崩し前のめりに倒れる魔物の背中目掛け飛んだ・・・。


『ブブーンっ!』


『ドシャっ!』と無様に倒れ込んだ魔物の背中に向けて、

ジェミーは声を挙げた・・・。


『ポイゾネス・ニードルアタックっ!』(毒針の連撃)


『ドスっ!ドスっ!ドスっ!』


『ブフォォォォっ!』


黄色い閃光を放ちつつ、

連撃で魔物の背中に毒針を打ち込みながら声を挙げた。


「私の猛毒の連撃を受けた敵は・・・死ぬっ!」


そう宣言しながら更に打ち込むと、

魔物の背中を蹴って空中で一回転しながら着地した・・・。


そしてご満悦な笑みを浮かべながら『フンっ!』と鼻を鳴らして見せた。


ジェミーは後方に居るイザナミにくるりと向き直ると、

サムズアップしながら『どーよ?』と笑みを見せたのだった。


そんな楽勝とも言わんばかりにドヤ顏を決めるジェミーに、

イザナミは半ば呆れながらも『はいはい、よくできました』と答えた。


そしてジェミーは誇らしげに一歩踏み出した時だった・・・。


突然両目を見開いたイザナミの表情に、

ジェミーの双眼もまた見開かれ『嘘・・・だろ?』と声がこほれた。


ゆっくりとだがミノタウロス・ビーストは立ち上がり、

ジェミーの連撃による猛毒攻撃にも耐えて見せた・・・。


「・・・ど、どうして立ち上がれる?

 わ、私の毒・・・だぞ?」


そう呟きながらゆっくりと振り返るとミノタウロス・ビーストは、

その巨体を小刻みに震わせながら拳を握り振りかぶった。


『や、殺られるっ!?』


顏を顰め悔しさを滲ませ拳を握り締めた時だった・・・。


『ブラックエッジっ!アンダーワールドモードっ!』


突然そう叫ぶ声が聞こえたと同時に『はぁぁぁぁっ!』と、

気合いを込めながら跳躍するセルンの姿が見えた。


『セルンっ!?』


反対側の壁付近からイザナミの声が響き、

『いっけぇぇぇっ!』と黒紅の声が響き渡った・・・。


(私が死の間際状態にあった時・・・。

 ブラックエッジがそうはさせまいと喰い止めてくれた・・・。

 そしてそんな中・・・。

 必死に私に語り掛けてくれた・・・。

 『お前はまだ私の力のごく一部しか知らない』と・・・。

 ふっ・・・煽ってくれるじゃない?

 いいわ・・・必ず全てを・・・)


『なっ・・・何っ!?』とジェミーの驚きの声が漏れる中、

跳躍したセルンは双剣と化した『白銀の双月』を振りかぶり、

背後で双剣をクロスさせながら吠えた・・・。


『ブラック・クロスエッジっ!

 はぁぁぁぁぁっ!』(黒い十字刃)


『ギュインっ!』


クロスさせた双剣が放たれる瞬間金属の鈍い音が広がると同時に、

漆黒に染まった『黒い斬撃』が放たれたのだった・・・。


『ブフォっ!?』


セルンの声に辛うじて反応を示した魔物だったが、

ジェミーの猛毒により身体が反応せず、

辛うじて顔だけが跳躍したセルンに反応した。


『ギュパンっ!』


『・・・・・・』


クロスしたセルンの斬撃が魔物を通過して束の間・・・。


『ツー』っと魔物の首筋に赤いラインが走り、

それはやがて黒く変色したかと思うと、

『グチュっ・・・グチュグチュグチュ』と黒い体液へと変貌し、

『ズルっ』と音を立てながら石畳の床へと落ちたのだった・・・。


「・・・見事じゃ、セルン」


『シュタっ!』と着地を決めたセルンは軽く息を吐き、

イザナミに対して親指を立てながら微笑んで見せると、

すぐさまその視線を瓦礫に埋もれている残り1体の魔物へと向けた。


すると瓦礫に埋もれたままの魔物は、

セルンの視線に呼応するかのように『ガラガラ』と瓦礫を落とすと、

口から鮮血を滴らせながらも立ち上がった。


その光景にイザナミは顏を顰めながら口を開いた。


「ほう・・・中々しぶといの?」


その声に一瞬反応し『ギロっ』と鋭い眼光を向けるも、

魔物の視線は不意に茫然とするジェミーへと向けられた。


『・・・えっ?』


そんなジェミーの言葉が口からこぼれた瞬間、

棒立ちになっているジェミーに魔物は崩れた瓦礫を投げつけた。


「危ないっ!」


その言葉と同時に行動に移したセルンがジェミーの前に踊れ出ると、

全身に『冥神力』を漲らせながら回し蹴りを放ち粉砕した。


「・・・それで終わりなの?」


セルンが魔物を挑発するように言い放ち、

その言葉に魔物は怒りの表情を浮かべ『ブフォっ!』と声を発した時、

突然声が挙がった・・・。


『ブルースピリット・・・アンダーワールドモードっ!』


またしても突然響いたその声に、

イザナミは『えっ!?』と驚き反射的に振り返った・・・。


「イ、イリア・・・いつの間に?」


イザナミの驚きの声に一瞬微笑んで見せたイリアだったが、

険しい表情へと変えるとすぐさま駆け出した。


「イリアっ!?」


そんな声を背中越しに聞きながらもイリアは駆け出し、

『ブルーフレイムソードっ!』と叫ぶと、

引き抜かれたレイピアが瞬く間にその刀身に青い炎を宿した。


突然復活したイリアに魔物はたじろぐものの、

咄嗟に切り替え防御の態勢をとり、反撃に転じようとしていた。


だがその行動は既にイリアは予測しており、

『フっ』と薄く笑みを浮かべると『無駄よっ!』と声を張り上げた。


そしてそのイリアの言葉は現実となる・・・。


(私が気絶している間・・・。

 私の中のブルースピリッツが語ってくれた。

 私の真の力はこんなモノじゃないって・・・。

 青き炎とは表裏一体の力・・・それは・・・)


イリアはレイピアを構えながら突進すると、

『ズザザザザザァァァっ!』と石畳の上を滑りながら、

レイピアを突き出しながら叫んだ。


『ブルーコキュートスっ!』(青き氷結)


突き出されたそのレイピアの剣先から青い粒子が放たれると、

ミノタウロス・ビーストを貫きつつ、その巨体を氷結させた。


石畳を滑り終えた瞬間イリアが声を張り上げた。


「ジェミーさんっ!」


その声にジェミーは『ジュルっ!』と舌舐めずりすると、

『任せなぁぁぁっ!』と声を入り挙げながら跳躍し、

セルンを飛び越しながら空中で一回転しながら蹴りの態勢に移行した。


『クイーンズ・ストライクっ!』(女王の一撃)


黄色い閃光と共に蹴りを放ったジェミーの一撃が炸裂し着地すると、

『バキンっ!ピキっ・・・ピキピキピキっ!』と亀裂が入り、

それが砕けると同時に塵と化した。


そして『えへへっ』とその容姿に似合うように笑みを浮かべると、

イリアに対しジェミーは親指を立てたのだった。


その様子を見たイザナミは『ふぅ~』と大きく息を吐くと、

腰を落し床に座り込みながら口を開いた。


「ようやく・・・終わったの・・・」


呟くようにそうこぼれた声だったが、

静寂に包まれたこのボス部屋の中で響き、

その声に皆が同時にその場に座り込んだのだった・・・。



暫くその場で休息を取る中・・・。


ジェミーの蜂達は解放されたままの扉を『蜜蝋』で塗り固め塞ぎ始め、

皆の安全を確保しようと懸命に働いていた。


そして休息を終えた者達は腰を上げると作業に入り、

完全回復するまでこのボス部屋に留まる事になったのだった。


宿泊する為の準備が整い食事を食べ終わる頃、

蜂達の作業も完了し焚火の前で寛ぐセルンがジェミーに声をかけた。


「ジェミー・・・さん」


「ん?」


少し申し訳なさそうに声を掛けて来たセルンに、

ジェミーは『呼び捨てでいいぞ』と笑みを浮かべ、

その言葉に『コクリ』と小さく頷くと口を開いていった・・・。


「ジェミーの蜂達って、赤や黄色いのが混ざっていますけど?」


そう話すセルンにジェミーは飛び回る蜂達を見ながら口を開いた。


「あぁ~それな?

 乗っ取られていた時に言ってたよな?

 黄色と黒のでかいのがいるってさ・・・」


ジェミーの話に皆が小さく頷いて見せると、

ジェミーはカップに注がれた飲み物に口を付けながら話しを続けた。


「前の私が見たり聞こえたりした事ってさ、

 その情報を元に反映する事ができんだよ・・・。

 だからまぁ~・・・そういうこった♪」


ドヤ顔でそう説明し終わり、暫くの間静寂が包んでいると、

突然ジェミーが『あっ、そうだ・・・』と、

何かを思い出しイザナミに質問したのだった・・・。


「イザナミ・・・ところでこれからどうすんだよ?」


そう少し苛立ったように質問してきたジェミーに、

イザナミの眉間に少し皺を寄せながら見つめると、

その意図を汲み取ったイザナミは『そうだな・・・』と返答した。


『・・・・・』


少し思いを巡らせたイザナミは真っ直ぐその視線を向けると、

軽く息を吸い込み話し始めた・・・。


「お前が言いたいのは、いつまで『ちんたら』と攻略して行くのか?

 って~事っしょ?」


イザナミの言葉に、

ジェミーは目を細めながら『あぁ』と言葉短く返答した。


その返答に小さく頷きながら皆を見渡すとイザナミは話を続けた。


「確かにこのペースだといつまでかかることやら・・・。

 とりあえず・・・さ

 アタシ的にはこやつらの成長させつつと思って来たけどさ~」


そう話して再びイリアとセルンに視線を向け、

2人の表情を確認すると『そろそろいいかも・・・』とそう言った。


『・・・そろそろ?』


シンクロしたかのようにイリアとセルンの声が重なり、

2人が少し恥ずかしそうにしている中、

イザナミの視線は真っ直ぐジェミーへと向けられた。


「・・・な、何?」


「・・・勿論、お前は一緒に来るっしょ?」


戸惑うジェミーにイザナミは薄く笑みを浮かべそう尋ねると、

ジェミーは少し顔を赤らめながら『あ、あぁ』と返答した。


そしてイザナミはその反応を見ながら口角を上げると、

『・・・決まったな♪』と満面の笑みを浮かべたが、

イリアとセルンにはその笑顔がとても怖いモノに見えたのだった。


そして恐る恐るイリアが『ゴクリ』と鳴らしながら、

『ど、どう・・・するのですか?』と尋ねると、

イザナミは『ニシシシっ!』と無邪気な笑みを浮かべながらこう言った。


『ズバリっ!タイムトライアルっしょっ♪』とそう告げたのだった。


その言葉にイリアとセルンが首を傾げていると、

ジェミーが『それはいいね~♪』とイザナミに同調して見せた。


ジェミーはイザナミの意図が理解出来ているらしく、

同じような笑みを浮かべたが2人には理解出来かねていた。


そんな2人にジェミーが面倒臭そうに説明した。


「つまりさ~・・・。

 此処を出たらよーいドンっ!で駆け出して、

 迫る敵をバッタバッタと蹴散らしボス部屋に突入し、

 ボスもけちらかし突破して行くって事だよ」


ジェミーの説明に2人同時に立ち上がると、

『そ、そんな事っ!?』と驚きと焦りの声を挙げた。


「つまりソレって最速でって事ですよねっ!?」


「み、道もわからないのにっ!?」


そう声を挙げる2人にジェミーは肩を竦めとぼけて見せた。

するとイザナミが笑みを浮かべながらジェミーを見ながらこう言った。


「道なら・・・こいつがわかんじゃね?」


『えっ!?』


驚き2人の視線がジェミーへと集まると、

『ニヤ~』と悪そうな笑みを浮かべたジェミーが、

自信有り気に口を開いた。


「・・・あったりまえだろ?♪

 何の為に逆から来たと思ってんだ?

 私は偉大なる蜂の女王だぞ?

 いくらこの冥界のダンジョンっつってもよ、

 道に迷う訳ねーだろうがっ!」


『・・・な、なる・・・ほど?』


そう言いながらお互いの顔を見つめ首を傾げる2人に、

イザナミは大声で笑い、ジェミーもまたそれに習うように笑った。



そして・・・。


「さてっと~・・・イリアっちとセルぴょん・・・。

 そして黒紅たん・・・ついでにジェミー・・・。

 準備は~・・・おけ?」


笑みを浮かべながら皆を見渡すイザナミに、

皆が頷く中、ジェミーは『ついでにって何だよっ!』と怒声を挙げた。


だがイザナミはそれをスルーすると昨日開けた壁の中から出て行くと、

皆もイザナミに続き厳しい戦いが繰り広げられた、

ボス部屋を後にしたのだった・・・。


通路へと躍り出た皆にイザナミは声を挙げた。


「ジェミー・・・道案内よろ~♪」


「ういーすっ!このジェミー様に任せなっ♪」


余りにも軽いノリにイリア達が顏を引き攣らせる中、

イザナミがさも楽し気に拳を突き上げながら口を開いた。


「さぁ~てっ♪

 タイムトライアル・・・ドーンと行ってみよ~♪」


『おーっ!』


元気よくそう声を挙げたのはジェミーと黒紅だけだったが、

イリアとセルンは小さく腕を上げつつその声もとても小さかったのだ。


「ね、ねぇ・・・セルン?」


「・・・な、何?」


「だ、大丈夫・・・なの?」


「わ、私が知る訳ないでしょっ!?」


小声ながらもそんな会話をしていると突然イザナミの声が響いた。


『女子~ず・・・れでぃー・ごーっ♪』


イザナミの掛け声と共に駆け出したのだが、

唖然としていた2人は後れを取ったのだった・・・。


『あっ!?』


前方を疾走する黒紅が未だ動けないで居る2人に声を挙げた。


『のろまな御二人さ~ん♪

 早く来ないと置いて行っちゃいますよ~♪

 ブブブブブブブブブゥ~♪』


馬鹿にしたような黒紅の言葉に、

2人は顏を一瞬見合わせるとその表情を変え、

顏を真っ赤にしつつ怒声を挙げながら駆け出した。


「黒紅ーっ!待ちなさぁぁぁぁいっ!」


「あんたっ!ぜっっっったいに許さないからねーっ!」


そう怒声を発しながら駆け出すとイザナミ達が言うところの、

『タイムトライアル』が開始されたのだった・・・。



ってな事で・・・。

かなり間が開きましたが楽しんで頂けたのなら幸です。


プロジェクトの進行具合にもよりますが、

とりあえず月1を目標にアップしたいと思っております。


引き続き読者様方には応援して頂けると嬉しく思います^^



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
お久しぶりです(^-^) お疲れ様です。 長いボス部屋の戦いからようやく前進ですね。 今までのパターンからすると、 おそらく彼女たちにとって必要なプロセスなので丁寧に描かれたのかと予想していますが。…
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