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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
368/406

260話 アンダーワールド・モード

お疲れ様です。


・・・色々とくたばっています><


この酷暑・・・いつまでっ!?

そう思いながらも社畜は頑張っています。

風邪をこじらせたけどもっ!w


さて今回のお話は・・・。

まぁ~・・・同様に続きですw



それでは、260話をお楽しみ下さい。

『バキンっ!メキメキメキっ!』


『ボス部屋の鉄の扉』が大きく変形し、

そこから漏れ聞こえて来る大量の魔物達の声に、

皆が緊張し身構えていた・・・。


『ガコンっ!ドッシャアアアンっ!』


両開きの鉄の扉が大量の間も立ちによって破壊された直後、

小型の魔物達が我先にと群がって侵入して来たのだった・・・。


だが、イザナミは慌てる様子もなく笑みを浮かべると、

出番を今か今かと待ち詫びる黒紅に声を挙げた。


『黒紅たんっ!やったんさいっ!』


イザナミの精気溢れる声を発すると、

黒紅は『やってやりますともぉぉぉっ!』と吠えながら、

飛び込んで来た小型の魔物の群れに攻撃を仕掛けた。


『ドドドドドドドドドドドドドドっ!』


黒紅の眼前に規則正しく整列した『木製の弾丸』が、

赤銅色の鬼の気を立ち昇らせ、高速回転しながら発射された。


「ま、まだまだぁぁぁっ!」


『ドドドドドドドドドドドドドドっ!』


『うぉぉぉぉぉっ!』と唸り声を挙げながら、

小型の魔物達へと発射された『木製の弾丸』は、

入り口付近で死体の山を築き、

その積み重なったその山が、後続達の動きを鈍らせた。


するとイザナミは黒紅の攻撃を一時中断させ待機させると、

続けてイリアとセルンに向かって指示を出した。


「2人ともっ!準備はいいっ!?」


『は、はいっ!』と、やや緊張した面持ちで声を挙げたものの、

イリアとセルンは『エアバレット』を使用し、

死体の山を越えて来た魔物を狙撃し始めた。


『バシュっ!バシュっ!』と・・・。

イリアとセルンの『エアバレット』を使用する中、

一度下がった黒紅は『瓦』を浮かせ、

『スキル・解体』を使用し、弾丸を製作し始めた。


それを横目で見ながらイザナミは、

『・・・まだいける』と無意識に口に出していたが、

その心中は決して穏やかではなかった・・・。


(・・・今はまだいい。

 小型の魔物達が我後先にと向かって来る。

 だけど知能の高い中級や大型の魔物達はそうではない。

 アタシらが疲れきり憔悴したところを狙って来るはず。

 ・・・むしろ小型の魔物達を一層してからが本番)


そう考えるイザナミの額には『じわ~』っと嫌な汗が滲み始め、

崩されては築かれる死体の山を見つめていたのだった。



それから暫くして・・・。

小型の魔物達が成りを潜め始めひと段落着き、

イリアとセルンが『ふぅ~』と安堵息を漏らした時だった・・・。


突然『ドカっ!』と音を立てながら、

築かれた魔物達の死体の山が弾け飛び、

そこには想像もつかなかった魔物が、

こちらを見つめ、その殺気に満ちた目を向けていた・・・。


「・・・ミ、ミノタウロスっ!?」


そう引き攣ったような声を挙げたイリアに、

セルンは『ただのミノタウロスじゃない』と補足した。


その赤く光ったその眼光にイザナミは『チっ!』と舌打ちしながら、

『・・・ミノタウロス・ビーストとはな』と声を漏らした。


『ミノタウロス・ビーストっ!?』


皆が見事なまでにシンクロし、そう声を挙げると、

イザナミは続けて口を開いた。


「・・・特徴的なのは赤く鈍く光るその瞳と、

 赤黒く染まったその身体と頭部に在る2本の角・・・。

 ビーストの肉体と頑丈さは通常のおよそ2倍となり、

 その速度と筋力もまた・・・2倍以上」


『・・・・・』


イザナミの説明に皆が言葉も出ず沈黙する中、

突然『ブフォォォっ!』と・・・。

『ミノタウロス・ビースト』が雄叫びを挙げた。


その雄叫びに我に返ったイザナミは慌てて指示を飛ばした。


「な、何をしておるっ!?

 さっさと攻撃せぬかっ!」


イリアとセルンがイザナミの指示に慌てて魔法を展開し始めたが、

それよりも早く『ミノタウロス・ビースト』は、

2人に向かって強烈な咆哮を浴びせた。


『ブフォォォォォォォォっ!』


『うぐっ!こ、これはっ!?』


魔物の強烈な咆哮を浴びたイリアとセルンは、

金縛り状態となり身体の自由を失った・・・。


『・・・バ、バインド・ヴォイスかっ!?』


イザナミが顏を顰めながら『くっ』と声を漏らした時、

そのすぐ後ろから『うおぉぉぉぉぉっ!』と黒紅が吠え、

『木製の弾丸』を迷う事無く連射し始めた。


『鬼弾のがとりんぐぅぅぅぅっ!』


『ドドドドドドドドドドドドドドドドっ!』


赤銅色の鬼の気を纏った『木製の弾丸』が放たれるも、

『ミノタウロス・ビースト』のその強靭な肉体の前に、

決して貫通する事なく、傷1つ付ける事が出来なかっのだ。


『そ、そんなっ!?』と驚きの声を挙げた黒紅だったが、

再び『ならばっ!』と声を挙げながら、

今まで製作していた『瓦製の弾丸』に切り替えた。


『こ、これならぁぁぁぁっ❕』


黒紅は夢中で『瓦製の弾丸』をぶっ放し、

防御態勢を取った『ミノタウロス・ビースト』に構わず、

吠えながらも攻撃を止めず連射し続けた・・・。


「うおぉぉぉぉぉぉっ!落ちろぉぉぉぉっ❕」


「お、落ち着けっ!黒紅たんっ!」


イザナミがそう吠えながら黒紅の身体を小突くと、

黒紅は我に返り連射を止め、

イザナミは渋い表情を見せながら苦言を呈した。


「相手はこいつだけではないのだぞっ!?

 無駄弾を使うでないっ!」


「も、申し訳・・・」


イザナミの声に黒紅がそう声を挙げた時・・・。


防御態勢のまま微動駄にしなかった『ミノタウロス・ビースト』は、

ゆっくりとその態勢を解き、イザナミ達へと視線を向けると、

ニヤリと不気味な笑みを浮かべた・・・。


「・・・ダメージ無しかっ!?」


「そ、そんな・・・」


悔しさに顏を歪ませたイザナミと、

自分の攻撃が全く通用しなかった事実に黒紅は沈黙した。


その現状に『ブフォンっ!』と声を挙げた魔物は、

大きく右手を挙げ『ブッフォォォっ!』と吠えながら、

上げた右腕を前へと振りかざした。


すると後方に居た中型の魔物達がそれを合図に雪崩れ込み、

無数の魔物達は茫然とするイザナミ達に向かって、

迷う事無く突っ込んで来たのだった・・・。


『チっ!』と雪崩れ込んで来る魔物達を前に、

イザナミは未だ金縛り状態であるイリアとセルンに向かって、

『解っ!』と印を結び声を挙げると、

金縛りを脱したイリアとセルンは後方に飛び退き、

黒紅とイザナミが居る地点まで後退した。


『ジャっ!』と着地した2人はすぐさま身構えながら、

イリアは5発の『エアバレット』を同時展開し発射した。


「いけーっ!エアバッッットォォォっ!」


そしてセルンはイリアに遅れる事数秒・・・。


『はぁぁぁっ!』と気合いを込め、

魔力を放出しながら両腕を前へと突き出した。


『闇魔法・レッドビーズっ!』


突き出された両手の掌に2っの大きな魔法陣を展開されると、

その中から無数の『赤い蜂』が飛び出し召喚者の指示を待った。


『ブブブブブブブブブブゥ・・・』


召喚され待機する無数の蜂に対し、

セルンは右手を群がる中型の魔物に向かって振ると、

無数の『赤い蜂』に攻撃支持をを出したのだった・・・。


「お前達っ!各々魔物を撃退しなさいっ!

 こちらに絶対に近付けないでっ!」


『ブブゥーンっ!』


セルンの声に『赤い蜂達』は一斉に飛び立ち、

迫り来る魔物に対し攻撃を開始した。


その『赤い蜂達』を見たイザナミは、

険しい表情を浮かべたセルンに声を掛けた。


「セルぴょん・・・?

 あの『赤い蜂』って前にも見たけどさ~、

 なんか・・・大きくなってね?」


「・・・あ、はい。

 私もあれからいくつもレベルが上がりましたからね?

 これくらいは出来て当然ですよ♪」


「・・・な、なるほど」


万事休すかと思われた状況だったが、

セルンの『闇魔法』によって何とか魔物達の群れを足止め出来た。


だが、だからと言って状況が有利に向いている訳ではなく、

一時凌ぎな事に変わりはない・・・。


イザナミは『赤い蜂達』を見つめながら思考の中に居た・・・。


(ジ、ジリ貧・・・。

 アタシら4人・・・いや、3人に対し、

 ヤツらは・・・。

 こ、このままでは・・・くそっ!

 こ、こんな時にアタシは何も出来ぬのかっ!?)


イザナミが苦悩する中、

イリアとセルンは次々と魔法を繰り出し、

辛うじて足止めする事に成功していた・・・。


そして黒紅もまた、次の出番に備えて、

残り少ない『瓦』を『陶器の弾丸』へと変えていった。



それから数分後の事だった・・・。


セルンは連続で『レッドビーズ』を召喚し、

数で対抗を試みるも、それでも多勢に無勢だった・・・。


「こ、このままでは・・・もう・・・」


セルンの後方でイザナミがそう声を漏らした時、

『イザナミ様っ!』と意思を固めたセルンが進言した・・・。


「・・・接近戦・・・いいですかっ!」


「・・・えっ?せ、接近・・・戦?

 はぁ?ってか・・・な、何っ!?

 こ、こんな状況で一体何言ってのよっ!?」


セルンは背後でイザナミの声を聞きながらも魔法を繰り出し、

険しい表情を浮かべながら振り返る事無く言葉を続けた。


「・・・接近戦で『灯』を使えば、

 まだ生き残る可能性がっ!」


そう声を発したセルンにイザナミは拳を強く握り締め、

何も出来ない己に対し憤りを感じながらも口を開いた。


「バ、バカ者っ!この数で接近戦なんてしてみろっ!

 あっと言う間にお前達はズタズタに斬り裂かれ、

 魔物達のエサになってしまうだろうがっ!」


「そ、それでもっ!

 イザナミ様と黒紅は生き残る確率が上がりますっ!」


「バカを申せっ!

 そんな無謀な事を許可する訳ないでしょっ!」


そう怒声を発し少しの間セルンとの言い争いが続いたが、

セルンはイザナミの説得を聞き入れなかった・・・。


「お、お前達の目的を忘れるなっ!

 お前達は悠斗に会いに行くのだろうがっ!」


「で、でも・・・このままではっ!

 それにまだ、レッドビーズ達は多く残っていますっ!

 ですからっ!」


「ダ、ダメだっ!却下よ、却下っ!

 そんな事、ぜっっっったいに許さねーしっ!」


「・・・わ、私達には『灯』があり、

 それに私達には『冥界の力』もありますっ!

 スタンピートくらい・・・何とかして見せますっ!」


セルンがそう声を張り上げ、

その声に同調するかのようにイリアも大きく頷まながら声を挙げた。


「このままでは魔力も尽きてしまいますっ!

 ですから今はセルンの案にっ!」


「な、ならん・・・ならんぞっ!

 そんな事、許可など出来んっ!

 『灯の力』はお前達の身体に多大なダメージが残るっ!

 それに冥界の力もいつまで持つかわからんのだぞっ!?」


イザナミがそう声を挙げた瞬間、

イリアとセルンは念話で意思疎通を交わし頷き合うと、

群がるの魔物達に向かって声を挙げながら駆け出したのだった。


「行きますっ!はぁぁぁぁぁっ!」


「イザナミ様は今のうちに何かいい策をっ!」


「お、お前達っ!?」


「イリアっ!?セルンさんっ!?」


「も、戻れっ!バカ者共っ!?

 い、いい策なんて急に出るものじゃっ!」


駆け出した2人の背後から、

悲痛な声を挙げるイザナミと黒紅の声が聞こえたが、

2人は迷う事無く群がる敵へと向かって行ったのだった・・・。


『ブルースピリッツ!

 ブルーフレイム・アーマーっ!

 ブルーフレイムソードっ!』


『イグニッションっ!

 ブレイジングアーマーっ!』


イリアとセルンは『灯の力』を使用し、

群がる魔物達へと斬り込んで行った・・・。


「バ、バカ者共がっ!」


2人が斬り込んで行った前線を見つめ、

そう口走ると、イザナミは己の無力さに『ギリっ』と唇を噛んだ。


(アタシにもっと神力があればこんな事には・・・)


そう苦虫を噛み潰すように顏で顰めていると、

黒紅が『イザナミ様っ!』と声を挙げた。


「わ、私は一体どうすればっ!?」


「・・・と、とりあずあのバカ共の邪魔にならないように、

 狙って撃つしかないわね・・・」


「わ、わかりましたっ!」


イザナミの指示に黒紅は乱射から狙撃へと変えると、

前線で戦う2人のサポートへと回った。


『ターン、タターンっ!』と、黒紅が狙撃する中、

イリアとセルンは全身に魔物の血を浴びながら奮戦していた。


「ブルーフレイムっ!乱撃っ!」


イリアはバックステップで着地すると、

レイピアを中断に構え引き絞り、

多方面への連続した突攻撃を繰り出した。


そしてセルンはごった返す混乱の真っただ中で、

魔物達の無数の攻撃を神技の如く躱し弾いていた・・・。


「セ、セルぴょん・・・すごっ!」


セルンのその体捌きに驚いたイザナミは目を丸くし、

弾き交わされた魔物達がバランスを崩したのを見計らって、

黒紅が狙撃し銃声を響かせ、

イリアが多方面への攻撃を様子を見ながらそんな言葉を漏らしていた。



それから30分ほど経過すると、

程なく2人の動きはあからさまに鈍くなっていた・・・。


『はぁ、はぁ、はぁ・・・』


セルンの体捌きは鈍くなり、

魔物達の攻撃をギリギリで弾くのが精一杯で、

イリアもまた攻撃力が格段に落ち、

『ブルーフレイム』の青き炎も見る見る内に小さくなっていた。


(ブルーフレイムが小さくなって・・・。

 くっ!このままじゃ・・・)


『ドカっ!』


『ぐあっ!』


魔物の一撃がセルンの背中を捉えると、

大きく吹き飛び床を滑って行った・・・。


「セ、セルンっ!」


「・・・クっ。

 ま、まだ私は・・・や、やれる・・・」


「セルンさんっ!?」


床を滑り蹲るセルンに対し、

魔物達は下卑た笑みを浮かべながらにじり寄った。


『グゲゲゲゲっ!』


そんな疲れが見えて来た2人に、

イザナミは声を張り上げながら『戻れっ!』と叫ぶが、

イリアもセルンもその指示に従う事なかった・・・。


「あ、あのバカ者共がぁぁぁっ!

 右拳を『ギュっ』と握り締めながら吐き捨てるようにそう言うと、

 続けざまに愚痴をこぼすかのようにこう言った。


「もうボロボロじゃんねっ!?

 傷だらけでロクに動けないでしょうがっ!

 ってか、アタシの指示に従いなさいよっ!」


誰に言うでもない・・・。

イザナミは現状を打破出来ない自分の力に苛立ちを露にしていた。



魔物達が下卑た笑みを浮かべ、

床を滑り伏せたセルンに数体の魔物達がにじりより、

短剣を取り出し鋭い視線を向けると、

数体の魔物達は一斉にセルンに飛びかかった。


『キッッッシャァァァっ!』


『セルンっ!?』


セルンのピンチに皆がそう声を挙げた時だった・・・。


「ま、まだ、終われないっ!」


奥歯を『ギチっ!』と噛み締めたセルンは、

『うぉぉぉぉぉっ❕』と大声を張り上げながら立ち上がり、

『冥神珠っ!』と再び声を張り上げ意思を固めると、

『アンダーワールド・モード』を使用した。


すると右腕のガントレットの下に在る『紋様』が激しく光り、

セルンを中心に紫色の衝撃波が5ⅿほど広がった。


『グギャッ!?』と・・・。

セルンに向かって飛び上った魔物達はその衝撃波に弾き飛ばされ、

『ドサっ』と床に落ちた瞬間、

その数体の魔物達の胴体は見事に切断され血飛沫を飛ばしていた。


「・・・わ、私はっ!

 私達には目的があるっ!

 だ、だから・・・こんな所で終われないのよっ!」


セルンは両手に持った『ただ重いだけの双剣』を手から離すと、

マジックボックスを開き、卑弥呼から与えられた武器・・・。

『白銀の双月』を取り出した・・・。


(・・・卑弥呼様に頂いた武器を使うのは・・・今っ!)


「白銀の双月・双剣モードっ!」


『パキンっ!』と・・・。

まるで氷が割れた時のような・・・。

そんな澄んだ甲高い音を響かせながら、

真っ二つに割れた弓が湾曲した『双剣』へとその姿を変えた。


『・・・ギュっ』とその『双剣』の感触を味わうかのように、

柄を握り締めたセルンは静かな口調で呟いた。


『魔力は尽きかけているけど、

 でも冥界の神力を利用すれば・・・

 恐らく・・・『灯』の限界値を伸ばす事が出来るはず。

 ・・・だから、私は・・・』


そうブツブツと独り言のように呟き、

俯いた顔を上げ眼前に居る無数の魔物達を睨んだ。


『・・・だから私は・・・まだ戦えるっ!』


駆け出しながらそう声を張り上げたセルンは、

『白銀の双月』に冥界の神力を流し込むと、

その美しい白銀の刃が紫色の光を纏ったのだった。


(・・・いけるっ!)


『はぁぁぁっ!』と気合いを込めながら双剣を横に薙ぐと、

何の手応えも感じる事もなく『スパっ!』と魔物が両断された。


その感触に驚いたセルンだったが、

自分の想像が正しかった事に笑みを浮かべると、

イリアに対し念話を飛ばした。


{・・・イリアっ!}


{セ、セルンっ!?}


{冥神珠の力を使えば『灯』の力を延長出来るはずっ!}


{ほ、ほんとにっ!?}


{・・・今は私を信じて冥神珠の力をっ!}


イリアはレイピアを振るいながら『わかったわ』と頷き、

冥神珠の力を使用した。


「・・・冥神珠解放っ!」


『バシュっ!』と・・・・。

セルンと同じように冥界の神力がイリアを中心に広がると、

傍に居た魔物達は吹き飛ばされ、

床に落ちたと同時に胴体が真っ二つに割れ血飛沫を撒き散らした。


『ふぅ~』と一息吐いたイリアは、

静かに周りを見渡すとニヤりと口角を上げた・・・。


『・・・ブルースピリット』


そう優しく問いかけると、

イリアの中に眠るブルースピリットがその青き炎を燃やし応えた。


『ボっ!』


「・・・有難う、応えてくれて」


そう微笑んだイリアはレイピアを構えると、

その身体から『青き炎』ではなく『青紫の炎』が噴き出した。


(冥界の神力と同時使用だから当然・・・そうなるわよね?

 って事はつまり・・・)


イリアは身体から吹き出すその『青紫の炎』を見て笑みを浮かべ、

『冥界と灯・・・2つの力だから・・・』そう呟くと納得したのか、

無数の魔物達を見ながら声を挙げた。


『・・・ブルースピリット・アンダーワールド・モードっ!』


そう吠えた瞬間、その声がキーとなり、

イリアの瞳は紫色へと変化したのだった。


セルンはイリアの新たなる力を横目で見ながら口角を上げると、

目の前に立ち塞がる魔物を蹴り飛ばした。


(・・・イリア・・・フフフ、中々やるじゃない♪

 あの子を見て私が頑張らない訳にはいかないわよね♪

 それに此処までは身体の負担を考慮してセーブしていたけど、

 今の私なら・・・きっと出来るはずっ!)


『・・・ウェイク・アップっ!

 目覚めなさいっ!

 私の中に眠る『黒きブラックエッジよっ!』』


セルンの声に同調するかのように、

その身体から『黒き炎』が噴き出した。


(以前は1つの技として『黒き刃』を使ったけど、

 あの時はこの力を使う事だけで精一杯だった・・・。

 だけど・・・今の私なら・・・。

 レベルの上がった今なら耐えられるっ!

 そして私も・・・一歩前へっ!』


そう確信し一歩前へと踏み出したセルンは、

噴き出す『黒き炎』の中、更に力を込め吠えた。


『ブラックエッジ・アンダーワールドモードっ!』


そう吠えたと同時に『黒き炎』は黒紫へと変化し、

イリアと同様にセルンの瞳もまた紫色へと変化したのだった。


『いくわよっ!イリアっ!』


『おーけーっ!セルンっ!』


新たな力へと進化させたイリアとセルンだったが、

この時はまだ気付かなかった・・・。


75階層のボス部屋へと向かう、

新たな一団達が『ボス部屋』に向かっている事を・・・。



ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


楽しんで頂けたのなら嬉しく思います。


そしてタイトル通り・・・。

『アンダーワールド・モード』


セルンの思い付きでぶっつけで行った結果・・・。

『・・・よくね?』って事でw

今後の展開も楽しみにして頂ければと思います^^



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、向こう側の悠斗が結構元気(?)そうなだけに、 ジリ貧で頑張ってるセルンやイリアをつい不憫に思ってしまうのですが、本人達は悠斗を生き返らせる為に必死ですもんね・・・ 黒紅含め誰も死な…
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