252話 向けたられた殺意
お疲れ様です。
夏日が続き既に瀕死状態の緋色で御座いますっ!
さてこんかいのお話は言わずと知れた前回の続きと成りますw
ってか・・・。
既に緋色の火やの温度は31度ほどあり、夏日ですw
緋色の部屋にはクーラーが付けられないので、
まじで夏場・・・死ぬ><
何かいい手はないもかと、毎年毎年考えております。
それでは、252話をお楽しみ下さい。
己のスキルを使用し、悠斗救出に向かったチャダ子だったが、
聞いていた話とは違い、チューブなどには繋がれていなかった。
報告受けたサンダラー達が結論から、
すぐさま救出するよう命令を受けたチャダ子は・・・。
「・・・・・」
救出するよう命令されたチャダ子だったが、
眠る悠斗の一点を凝視し、その場から動けなかった・・・。
眉間に皺を寄せ険しい表情を浮かべるチャダ子は、
今・・・。
自問自答の中に居たからだった・・・。
(な、何なのっ!?
聞いた話では『人間』だと言っていたのに・・・
こ、この・・・この角はっ!?)
そう・・・。
チャダ子を悩ませ行動に移せずに居る理由は只一つ・・・。
それは悠斗の額から突き出た、
1本の角があったからだった・・・。
(こ、これは・・・魔族の角じゃない・・・
そう・・・この角は・・・『鬼』
かなり昔に一度出会った事のある『鬼』から生えていた『角』
ど、どうして・・・どうしてこんな子の額から角がっ!?
この子・・・人間なんでしょっ!?)
悠斗の額から生える角を凝視し、
どうするか悩んでいた時だった・・・。
突然何かを思い出したチャダ子は『・・・あ、あれ?』っと、
その表情を一変させ困惑したのだった・・・。
(た、確かさっき見た時は・・・普通の・・・。
あ、あれ?どうして突然・・・角が?
さっきは本当に角なんて・・・)
腕を組み悠斗の額から突き出ている角について頭を悩ませていると、
サンダラーから『早くしろっ!』と苛立った念話が届いた。
(・・・こ、この子をこのまま連れ帰ってもいいの?
も、もし・・・鬼として覚醒したなら、
この冥界は・・・)
チャダ子はそう考え冥界の未来を想像した時、
全身の毛が逆立ち悪寒がしてならなかったのだった・・・。
(私の記憶に在る・・・あの鬼・・・。
そう・・・あの時私は5歳だった・・・。
この冥界の地を襲った後、更なる強き遺伝子を残す為、
異形の者と冥界の魔族との間に生まれた混血児。
その力故に同胞からも嫌われ、そして冥界の者達からも・・・。
そんな時だった・・・。
突然この地に現れた・・・
あの1本角のアルビノの・・・鬼。
圧倒的な力で同族達を殲滅し、この冥界の地で伝説となった。
当時の私でもわかった・・・。
その『1本角の鬼』の力が・・・)
額に脂汗を滲み出しながら、
チャダ子の頭では当時の映像が鮮明に映し出されていた・・・。
『あの男・・・。
いえ、あの鬼とこの子は本当によく似ている・・・。
姿形ではなく、その纏う雰囲気が・・・』
そう呟くように口から出た瞬間、
チャダ子の瞳はドス黒く染まり力が噴き出したと当時に、
鋭利な黒い爪が『シュッ!』と伸び、
眠る悠斗の喉に向かって突き降ろそうとした・・・。
(こ、この子が生きていては、この冥界に混沌をもたらす。
今・・・ここで私がやるしかないっ!)
そう決意したチャダ子が爪を突き降ろした瞬間だった・・・。
『っ!?』
突き降ろされた爪は悠斗の喉に触れるか触れないかの刹那の瞬間、
まるで金縛りにあったかのように、チャダ子はその動きを止めた。
「・・・いつから・・・お、起きて?」
声には出ていなかった・・・。
だがその口の動きを見た悠斗は静かに口を開いた。
「あんたが最初に此処に入って来たところからだけど?」
表情を変える事無くそう言った悠斗に、
チャダ子の顔から『ポトリ』と汗が落ちた・・・。
「き、君は・・・一体何者なの?
人間・・・?それとも・・・?」
声を絞り出すようにそう言ったチャダ子に、
悠斗は『あはは』と困った表情を浮かべながらこう言った・・・。
「・・・人間・・・ねぇ~?
って言うか・・・それはこっちが聞きたいんだけど?」
「・・・そ、そう」
「あぁ、でもまぁ~・・・」
そう言いながら悠斗はゆっくりとその身体を起こすと、
違和感を感じたのか、自分の額を触り『おぉ~♪』と感動していた。
「・・・まじで角が生えてて草」
「・・・・・」
悠斗の無邪気とも言えるその反応に言葉を失くし、
ただ、角を触り感触を確かめている少年に、
チャダ子の思考は停止したのだった・・・。
「ん?ところでさ・・・。
ちょい聞きたい事があるんだけど?」
茫然とするチャダ子に悠斗がそう問いかけると、
チャダ子は渋い表情を浮かべたまま『・・・どうぞ』と答えた。
「・・・今さ?俺の事・・・殺す気だったみたいだけど?」
「・・・・・」
「俺はあんたとは初対面なはずだけど、
俺ってばあんたに何かしたのか?
理由なく殺される覚えはないんだけど?」
そう尋ねる悠斗にチャダ子は視線を逸らしながら説明した。
昔出会った『たった1人の鬼』に、
同族達を殲滅された事・・・。
そしてその額から出ている角と、
悠斗がその鬼に似ていると言う事・・・。
そう説明された悠斗は誰かを思い浮かべつつ、
『へぇ~』と軽くそう受け流すと、チャダ子は訝しい表情を浮かべた。
それを見た悠斗は少し『ムっ』としながら口を開いた。
「・・・あんたさ~?
俺がその鬼と似ているからって理由だけで、
・・・殺そうとしたのかよ?」
「・・・え、えぇ」
「まじか・・・まじでかっ!?
くだらない・・・まじでそんなくだらない理由で?」
「・・・い、いや、う、うん・・・で、でも」
悠斗の声にチャダ子は脂汗を滲ませながらそう言う言い淀みながら、
悠斗が異常である事を口にした。
「通常『人間』の額からそんな角は生えない・・・
それに・・・その身体から漏れ出ているその力・・・
それって所謂・・・鬼の気・・・でしょ?」
チャダ子の言葉に悠斗は自分の両手を見ると、
ほんの微かだが・・・
赤銅色の・・・所謂『鬼の気』が漏れていたのだった。
「って言うか・・・。
よくこんな微かな力を感じ取ったね?」
悠斗は『ニヤっ』と何処か悪戯っ子のような笑みを浮かべ、
視線を咄嗟に逸らすチャダ子の目を追ったのだった。
「き、君は・・・本当に何者なの?」
悠斗の視線から逃げるようにそう尋ねて来たチャダ子に、
『さぁ~』と肩を竦ませて見せた。
「君は・・・そんな自分が怖くないの?」
その質問に悠斗は『ん?』と少し訝しんだ表情を見せ、
チャダ子に尋ね返した。
「あぁ~・・・だからあんたは・・・」
そう言いかけた悠斗にチャダ子は咄嗟に睨みを利かせたが、
どう言う訳が悠斗は『やれやれ』と落胆したような顔を見せた。
「・・・あんたと俺を一緒にすんなよ?」
「・・・っ!?」
「・・・あんたさっきこう言ったよな?
同族達を殲滅させられたって・・・」
そう言った悠斗に無言を持って答えると、
続けて口を開いていった・・・。
「その話なら少し・・・知ってる。
まぁ、聞きかじった程度なんでなんだけどさ・・・。
確かこの冥界の地に『異形】だっけ?
突然そんな連中がやって来て、
数年にわたって幾つもの命を喰らったとか?
それから更に数年経過した頃、
突然現れた鬼がたった1人で退治したって・・・。
俺がこの地で入院してた時、そんな話を色々と聞かされた。
そしてその『鬼』ってのが・・・
多分・・・俺の知ってるヤツだ・・・」
「っ!?」
チャダ子は悠斗の言葉に鋭く反応すると、
その身体からドス黒い力が溢れ出した・・・。
「まぁ~・・・あははは。
普通はそういう反応になるよね~?」
苦虫を潰したような表情をみせる悠斗に、
チャダ子は低く掠れた声を発し尋ねて来た・・・。
『・・・そいつの・・・名は?』と・・・。
その言葉に対し悠斗は尋ね返した。
「・・・教えてもいいけど、あんたさ、
間違いなく・・・瞬殺されるよ?」
「・・・・・」
「一度俺もやり合ったんだけどさ~・・・」
そう真っ暗な空間を見上げながら口を開くと、
『・・・負けたのね?』と悠斗の気持ちを察する事無く言われた。
「うぐっ・・・。
も、もう少しこう・・・マイルドにさ?」
「負けは負け・・・でしょ?」
「・・・ま、まぁ~・・・そうなんだけどさ?
もうちょい言い方ってもんが・・・さ?
って言うか、俺にとってはかなりのトラウマレベルなんで、
もうちょいオブラートに包んでもらえるとさ~」
そう項垂れる悠斗と同時にチャダ子は『はぁ~』と溜息を吐くと、
2人が顏を見合わせ『プププっ』と笑い合っていたのだった・・・。
「その1本角の鬼って・・・
そんなに強かったの?」
悠斗はそう尋ねて来るチャダ子に顏を顰めながら無言で数回頷いて見せ、
『・・・子供扱いもいいところ』と苦笑いを浮かべ言葉を付け足した。
するとチャダ子は悠斗の眼をじっと見つめ、
無言が続く中、話を切り出して来た・・・。
「ねぇ、君?
ちょっと君の力を調べさせてもらえない?」
「・・・はい?」
「私のスキルの1つに肉体に宿る力を調べるモノがあって、
君の力の源を確かめたいの・・・」
「・・・まぁ、別に何かが減るって訳でもないだろうから、
いいっちゃ~いいんだけどさ?」
そう言った悠斗の言葉にテンションが上がったチャダ子は、
ウキウキとしながら『じゃ~早速♪』と、身を乗り出した来た。
意識だけとはいえ、一応外見は人の形をしており、
当人の意識からなる形成なので、
その形成された身体は当人のモノなのだった・・・。
そんなウキウキとしながら近付くチャダ子に、
悠斗は視線を逸らす事無くこう言った・・・。
「・・・見事な爆乳ですね?」
「・・・へっ?」
「おお~♪揺れる揺れる♪」
「・・・・・」
『うんうん』とある一ヶ所を凝視しながら真剣に言った悠斗の視線に、
チャダ子はその視線を追って・・・固まった・・・。
「いっ、いっやぁぁぁぁぁっ!
み、見ないでよっ!エッチィィィィっ!」
そう絶叫するチャダ子に悠斗は真剣な眼差しを向けた。
『なっ、何っ!?』と・・・。
爆乳を両腕で隠しながら危機感を募らせると、
悠斗はその真剣な表情を崩さずこう言った・・・。
「・・・大変ご苦労されたのでしょうね?」
「・・・ご苦労?」
『コクコク』と無言で頷く悠斗にチャダ子は察した。
(も、もしかして・・・?
ス、スタイル維持や管理なんかの・・・事っ!?
って、言うか・・・。
ど、どうしてそんな真っ直ぐな目でっ!?)
そう考えたチャダ子はふと・・・主の事を思い出していた。
(・・・主は基本・・・チラ見なのよね~?
エッチな事に対しては奥手って言うか・・・?
意気地がないって言うか?
だからってね~・・・?
こうして正々堂々と正面切って真剣に言われても・・・ね~?
この子・・・まだ少年って言っていい年ごろみたいなんだけど、
しょ、将来がとても不安だわ・・・)
『はぁぁ~』と深い溜息を吐いたチャダ子に、
悠斗は不思議そうに首を傾げていた。
「い、いや、まぁ~・・・別にいいんですけど・・・。
って言うか、露骨に見られてもいいって訳じゃないですけどね」
そうボヤいた後・・・。
『コホン】と咳払いをして見せたチャダ子は、
これからの事を説明していった・・・。
スキルを使用し今から調べ、
悠斗の力の源を調べるとの事だった。
それを黙って聞いていた悠斗は手を『スっ』と挙げると、
表情を崩さないまま口を開いた。
「・・・先生。
・・・今の俺って『魂』だけなんですけど、
肉体がなくても大丈夫なんですか?」
「・・・え、えっと」
悠斗の言葉がチャダ子の頭の中で何度も繰り返し流れて来る。
そして漸く・・・。
その言葉の意味を理解したチャダ子は、
顔を盛大に引き攣らせながら床に両手を着き大きく項垂れた。
「・・・に、肉体がないと・・・む、無理・・・です」
項垂れるチャダ子を眼前にした悠斗は、
腕を組み何故か『うんうん、だと思った♪』と笑顔を向けた。
そんな時間が流れていっている頃・・・。
突然チャダ子の頭魔の中に怒鳴り声が響き、
その声量に頭を抱え蹲った・・・。
『キーン』と響くのを耐えたチャダ子は、
その事を悠斗に告げると『行きましょうか?』と、
慰めるようにチャダ子の肩に手を置いた。
悠斗のその目に何か言いだけだったが、
チャダ子はグっと堪え立ち上がったのだった。
すると悠斗から質問された・・・。
『どうやって此処から出るんだ?』・・・と。
その質問チャダ子は口角を上げ、
少し自慢げに説明した。
「私のスキルでこの空間と私の身体がある場所を繫げるの」
笑顔でそう話すチャダ子はドヤ顔をして胸を張っていると、
悠斗は『あぁ~、時空洞ってやつか?』と涼し気にそう言った。
「じ、時空洞知ってるのっ!?」
「冥界に来てから何度か見てたから・・・」
「そ、そう・・・」
自慢げに説明したチャダ子は少し顔を引き攣らせたが、
気持ちを切り替えたのか『でもね~』と話し始めた。
「君が知る『時空洞』とはちょっと違うのよね~?」
「・・・違う?
話を聞く限りだと一緒だと思うんだけど?」
『くっくっくっ・・・』あからさまに下卑た笑みを浮かべたチャダ子に、
悠斗は少し後退っていたが、
チャダ子はそんな悠斗を他所に優越感に浸りながら説明した。
「この空間は『亜空間』の一種である事に変わりはないんだけど、
私の主様が創ったこの空間は正直・・・規格外なのよね」
「規格外?」
「えぇ・・・。
人族が作ったモノとは思えない程の高性能・・・。
神々が創りしモノを越える擬体の空間・・・。
生半可な空間じゃないのよね」
チャダ子の真剣な説明に悠斗は『へぇ~』と感心して見せたが、
技術的な事などわかるはずもなかった・・・。
(まぁ、兎に角すごいって事はわかったんだけど、
だから・・・何?ってのが、正直な感想なんだよね~?)
『ふぅ~』と少し面倒気に溜息を吐く中、
チャダ子は未だこの擬体の凄さについて語っていた・・・。
それからどれくらいの時間が経過したかはわからない・・・。
悠斗が少しそわそわし始め、そろそろ話を止めようとした時、
再びサンダラーから念話が入ったのか、
両手で耳を塞ぎ蹲るチャダ子を目撃した・・・。
『やれやれ』と小さく首を左右に振りながら、
悠斗はしゃがみ込むチャダ子に手を差し述べるとこう言った。
「と、とりあえず、此処から移動しましょうか?
話はそれからでもいいんじゃね?」
「そ、そうですね」
差し出された悠斗の手を取り立ち上がると、
正面を向きながら口を開いた・・・。
「自己紹介が遅れました・・・。
私の名は『チャダ子』・・・宜しくね?」
突然自己紹介をされた悠斗は目をパチパチさせながらも、
とある井戸から出て来るモノを思い出しながらも自己紹介をした。
「俺の名は神野悠斗・・・今後とも宜しく」
そう言っ手右手を出した悠斗にチャダ子は、
手を差し出し軽く握ながら『宜しくね♪』と笑顔を向けた。
『ははは』とお互いに少し照れ笑いを見せたが、
悠斗に背を向けたチャダ子は口を開いた。
「今から開けますから私の肩を掴んで離されないで下さいね?」
「・・・わかりました」
チャダ子の背後から悠斗の返答が聞こえると、
小さく頷き右手をかざし『時空洞』を開いた・・・。
そして一歩・・・。
チャダ子が足を止めると後ろに居る悠斗にこう言った・・・。
「この空間に入るには膨大な力を要します。
決して『時空洞』で入れる空間などではない事を、
しっかり覚えていて下さいね?」
「・・・了解、って言うか、普通のって言われた事、
案外気にしていたんだね?」
「・・・うぅっ」
悠斗の返答を聞いたチャダ子は『では・・・』と呟くと、
その『黒い穴』の中へと悠斗を引き連れ消えて行ったのだった・・・。
~ とある冥界の山岳地の集落 ~
集落の正門付近には約50人の人達が集まっていた・・・。
「おーしっ!おめーらぁぁぁっ!
準備は出来たかぁぁぁぁっ!」
『おぉぉぉぉぉっ!』
正門傍にある台座の上から、
荒々しい黒い髭を蓄えたリーダーらしき男がそう叫ぶと、
その声に集まった人々がそれに応えるように声を張り上げた。
そして『カツ、カツ、カツ』っと、
1人の女性が台座に昇り姿を現すと、皆は静まり沈黙した。
金色の長い髪をなびかせ周囲を見渡すと、
『ニヤっ』とその赤く塗られた唇を緩やかに上げた。
「いいかいお前達っ!
今回の獲物は『人族』だっ!」
『ひ、人族っ!?
どうして冥界に人族なんかがっ!?
そんなバカげた事がっ!?』
それぞれのざわつきが聞こえ始め、
言い知れぬ動揺が伝染していった・・・。
その様子をただ眺めていた女性は目を細め、
皆の醜態に苛立ちの声を挙げた。
「・・・ガタガタぬかしてんじゃねぇぇぇぇっ!」
『・・・・・』
肌に突き刺さるようなその怒声に、
皆は身体を硬直させ静けさを取り戻した・・・。
すると女性の傍に控えていた黒髭の男性が一歩前へ踏み出すと、
硬直した皆に声を挙げた。
「おめーらが動揺するのもわかるっ!
どうして人族がこの冥界の地に?
不吉だっ!またこの冥界の地に災いが起こるのではないかっ!?
そう不安になっているかもしれんっ!
だがな・・・今回の依頼はその人族をぶっ殺す事だぁぁぁっ!」
そう声を張り上げた黒髭の男の言葉を引き継ぐように、
その女性は高々と声を挙げた。
「・・・この私の仲間に軟弱者はいらねーんだよっ!
だからそんなクズは今すぐこの地を去りなっ!
この冥界の『堅狼族』の面汚しはいらんっ!
我々は誇り高き『堅狼族』だっ!
どんな時も勇敢に戦う狼だっ!
立ち上がれっ!仲間達よっ!
災いを呼ぶ者は我ら『堅狼族』の牙を以って葬るのみっ!
勇敢なる仲間達よっ!
その力を示し割れに続けぇぇぇっ!」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』
女性がそう演説めいた言葉を発すると、
皆は先程までの動揺が嘘かのように、高揚しその声に応えたのだった。
拳を突き上げながらその女性が皆を見渡していると、
黒髭のた男性が傍に寄り声をかけて来た。
「ルチアーノ・・・。
いや、族長、まずは偵察隊を出すか?」
「・・・あぁ、ボレアス、その方がいいだろうね?
あのうさん臭い執事の言う事はどうも・・・匂うからね~」
「・・・では長は最初から?」
「フン・・・当然だろ?
うちらに依頼しておきながらてめーらの情報は何も開示しね~、
そんなヤツら・・・この私が信用するとしでも?」
ルチアーノと呼ばれた女性が『フンっ!』と鼻息荒くして見せると、
ボレアスと呼ばれた黒髭の男性もまた『ニヤリ』と口角を上げた。
ボレアスは形式上の一礼をルチアーノにして見せると、
すぐさま台座を降り、偵察隊を集めに行ったのだった。
走り去るボレアスの背中を見つめながら、
ルチアーノはポツリと呟いた・・・。
「面白くなりそうだね~♪」
その笑みには不敵さが含まれ、
これからの戦闘にルチアーノは胸を躍らせるのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回はこんな感じとなりました・・・。
楽しく読んでもらえたのなら・・・と、思っております。
悠斗の話は残り2話くらい・・・かな?
その2話目の後半から『女し~図』の話へと戻りますので、
そちらも楽しんで頂けたらとと思います。
楽しく読んで頂けたのなら、
登録や感想などお願いしたいのですが、
こればっかりは頼むしかできませんねw
ってなことで、緋色火花でした。




