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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第一章 岩場の聖域編
36/404

30話 駆け引きと死

お疲れ様です。


30話ですっ!

とりあえず、30話まできましたっ!

何話まで続くのかは、私にもわかりませんが

これからも頑張って行きたいと思います。

今後とも宜しくお願いします。


ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。


それでは、30話をお楽しみ下さい。

獣人が一人、大きな布を掛けられた死体の傍に居た。

布をめくると・・・


(あいつら馬鹿隊長を殺りやがったにゃ。

全くもう~。こっちにの身にもなってほしいのにゃ

 まぁ~私としては、手間が省けたけどにゃ)


前方を歩いて行った悠斗達の後ろ姿が、かろうじて見えていた。


「今まであんたが殺してきた人達と同じ森で死ぬにゃんて、

 因果報応って事にゃ。

 依頼されて、ロジー様を助けるはずが・・・

 ふぅ~・・・予定が狂いまくりにゃ」


獣人はそう言うと、荒っぽく布を再び被せた。

(そろそろ追跡をしにゃいとにゃ・・・。

 あの男は油断できにゃいっぽいにゃ~)


獣人は音もなく地面を蹴ると、木の枝に飛びつき

木から木へ移動して行った。


追跡して行くうちに、獣人はある違和感を感じていた。

(なんにゃ?さっきから・・・にゃにか体に纏わり付く感じにゃのは?)


獣人は本能的に、悠斗達からもう少し離れる事にした。

暫く進むと悠斗達が少し開けた場所にある、

大木の下で休憩を取り始めた・・・。


(ん?休憩かにゃ?ダークエルフは見えるけど・・・

 男の方は腕しか見えにゃいにゃ~?

 でも動いてるし大丈夫だにゃ♪)


暫く監視しているが悠斗達は動く気配がない。

(んー。私も今の間に休憩するにゃ)

獣人は腰の後ろにあるポーチから携帯食を取り出した。


取り出した携帯食を開け「もぐもぐ」とパンを貪る。

一度視線を向けるが、こちらに気付かず談笑していた。

(私もあの二人と話してみたいにゃ。

 特にあの男・・・只者じゃないにゃ)


丁度食べ終わり、水を飲んでいた時だった・・・。


「食事は済ませたみたいだね」

「ブフォォッ!!」

突然すぐ傍から声をかけられ水を吐いてしまう。

悠斗は素早く剣を抜き、獣人の首筋に刃を当てる。


「クッ!!」獣人は体を硬直させる。

「さてっと・・・ん?女か・・・君は何処の誰かな?

 殺しはしないから大丈夫だよ」

その笑顔とはうらはらに冷たい声で話してくる。


「貴様に話すことはない!」

「だろうね。それにお決まりのセリフも・・・つまらないな

 殺さないって言ってるのにな」

悠斗の言葉に顔を引きつらせる。

(この男は私を殺さないにゃ。殺す時の匂いがしないにゃ

 本当に面白いヤツにゃ)


「でもまぁ、ここじゃーね。まず降りようか?」

「ふんっ!ことわっ・・・きゃあぁぁぁ!!」

悠斗は獣人女の話の途中で、木の上から一緒に飛び降りた。

抱きかかえられた獣人の女は、真っ赤な顔をしていた。


悠斗は獣人の女を降ろすと・・・

「うっぅぅ。き、貴様っ!」

(こ、こいつ・・・とんでもにゃいヤツにゃ!

からかいがいはありそうだにゃ♪

だからちょいと・・・しかけてみるにゃ!)


獣人の女は短剣を抜くと悠斗に斬りかかった。

悠斗は短剣を持つ腕を受け流すと、手首を捻り上げた。


獣人の女は短剣を落とすと、力なく項垂れてしまった。

(あ、甘かったにゃ。思っていたよりも腕は立つにゃ

 次は・・・どうやって遊ぼうかにゃ~♪)


悠斗は獣人の女の腕を縛り上げると、イリアの元へ戻って行く。


イリアは悠斗を見つけると、元気よく手を振っていた。

「・・・はは。元気だな」

イリアの元気な姿を見ると、緊張感がほぐれる気がした。


「お待たせー。この獣人さんが監視してた人だよ」

獣人を降ろすと、イリアが獣人の顔を覗き込んだ。

「へぇ~・・・女だったんだ?」

(あー。また女? ユウトってば、どれだけ女率高いのよっ!)


悠斗を横目で睨みつつ心の中で文句を言っていた。


「さてっと・・・君は何処の誰れ?どうして俺達を監視していた?」

「・・・・・・」

獣人の女は口を開かなかった。

「んー・・・。話してもらえると助かるんだけど?」

(私はまだまだ話さないのにゃ~♪

 お前達、私をもっと楽しませるのにゃ)

悠斗の甘さに少し苛立ちを覚えたイリアは剣を抜いた。


イリアの様子を見ていた悠斗は、獣人の女との間に入る。

「イリアさーん?ちょっと気が早いですよ?」

「ユウト・・・ちょっと手ぬるくない?」

「んー。この人・・・敵って感じがしないんだけど?」

「監視してたのに?」

「俺は敵じゃないと思ってるよ?」

(そうにゃ♪私は敵じゃないにゃ。だから楽しもうにゃ♪)


イリアは悠斗がそう言うのなら・・・と、思うのだが・・・。


「じゃ~、敵かどうかは兎も角として・・・

 結局何も話さないのであれば、味方かどうかもわからないわ」

「確かにそうなんだけどね」


イリアは獣人の女に剣の切っ先を向けた。

「おいっ!今、殺ってしまうと何もわからないぞ?

 それにもし、敵だったとしたら・・・

 あんな木の上で、のんびりと食べてないってっ!」


「はぁ?そんな所で食事してたの? 嘘でしょ?」

「だろ?だから敵じゃないかも・・・って思ったんだ」


二人は捕らえられた獣人の女を見ると、

なぜだか恥ずかしそうな顔をしていた。

(あ、あれは本気で油断してたにゃ。

 そろそろ引き際にゃんだけど・・・もう少し楽しみたいにゃ♪)


悠斗は獣人の女に向き直ると・・・

「そろそろ話してくれないかな?」

「ふんっ!甘ちゃん相手に話すはずないにゃ!」


イリアはその言葉に眉を「ピクッ」っと動かすと、

獣人の女の首に剣の切っ先を当てた。


「あんた、調子に乗っているんじゃないわよっ!

 私はユウトと違って、あんたを殺る事なんて、何とも思ってないわ」


その様子を見ていた悠斗はため息を吐く・・・。

「えっとさー。話す気がないのなら俺達は先に行くから・・・。

 君は殺さないけど・・・そうだな・・・。

 首から下を埋めておこう」

「「はぁ?」」

イリアも獣人の女も耳を疑っていた。


「ユウト、どういう事?」

「頭部だけ出すって事は、獣に弄ばれて・・・

 それはもう、大変な事になる・・・ただそれだけだけど?」


獣人の女には、悠斗の笑顔がとても恐ろしいモノに感じていた。


「ふんっ!そ、そうだとしてもっ!叫べば誰かくるにゃ!! 」

「あはははは!来るかな~?あー。でも違うモノなら来るかもな」


悠斗はアイテムバッグから、岩場で倒した狼の死骸を取り出した。

そして、その死骸を獣人の女の目の前に置くと、

ナイフを取り出し狼の体を何ヶ所か切り裂いた。


「き、貴様!何をする気にゃ!」

「えっ?何って・・・この死骸は新鮮だからさ。

 血も硬化してないんだ・・・もうわかるよな?」


悠斗は狼の体を切り裂き、その血を獣人の女の周りに撒き始めた。

獣人の女は、これから自分の身に降りかかる事が予想できた。


「ちょっ、ちょっと待って!!」

獣人の女の声が聞こえなかったかのように、血を撒いていく。

「私も手伝うわ」

イリアもナイフで切り裂き、血を周辺に撒いていく。


悠斗はある程度の血を撒き終わると、土魔法で穴を掘る。

(こ、こいつら・・・ほ、本気なのかにゃ?)

獣人の女が何を思っていたかを察した悠斗は冷笑を浮かべる。


「うん。俺は本気だよ?もう一度言うけどさ・・・

 俺達は君を殺さない。・・・そう、俺達は・・・ね?」

悠斗は言い終わると、女を担ぎ上げ・・・穴に入れた。


「待ってにゃ!は、話すにゃ!!」

「えっー?もう話すのー?もう少し頑張ってくれよ」

悠斗は冷笑を浮かべながら「頑張ってくれ」と、言う。


獣人の女はイリアに助けを求めるかのように、視線を合わせてくる。

「私を見てもダメよ?助ける気・・・ないもん」

イリアは悠斗を手伝うため近づいてくると、

獣人の女の穴の中に土を入れ始めた。


ある程度土を入れ終わると・・・

「ねぇ?話すなら・・・今のうちだと思わないの?」

獣人は何度も頷くと、話を始めた・・・。


「ちょっと待てよ!イリア、何か勘違いしてないか?」

「えっ?勘違いってなんの事?」

「えっとー。イリアは、この獣人の女が話したら解放するって思ってる?」

「え、ええ。そうだけど違うの?」


本当にそう思っていたイリアは意味がわからなかった。


「いやいやいや、違うよ?俺は本気でそうするつもりなんだけど?」

「えっ?だって、この流れって助けてあげる展開でしょ?」

「そんな展開はなーーーいっ!!」

「はい??」

「いいか?まず、この女は何もしゃべらない。

 俺達は早くこの森を抜け出し、

 ロジーを安全地帯に連れて行かなければならない。

 だから!こんな所で時間を食っている場合じゃないんだよ」


悠斗に説明されると納得してしまったイリア。

だがしかし、少し違和感があったので聞いてみる。


「ねぇ、ユウト。一応わかったんだけどね?

 さっきの言葉に引っかかるんだけど・・・本音は?」

「ふぅ~・・・本音?本音は・・・面倒臭いからですっ!!」

「ははは・・・結局はソレなのね」


悠斗の言い分に呆れてしまうのだが、

確かに今は、早くこの森を出て、ロジーを安全地帯に・・・。

イリアが手を止め考えていると・・・


「だから、私は話すって言ってるにゃ!!」

「・・・・」

「どうして黙ってるにゃゃゃ!!」


獣人の女の言っていた言葉が耳に入ってこなかったイリア。

「はっ!ユ、ユウト!この女がしゃべるって!」

悠斗に訴えかけるイリアだったが、悠斗は手を止めない。


「ちょっと!ユウトってばっ!」

「おいっ!貴様っ!こっちを向くにゃ!」


暫く二人は悠斗に訴えかけるが、無言を貫き作業をしていく。

「本当に待って!ユウト!」

「いや・・・もう・・・どうでもいい・・・面倒臭い」


イリアが思っていたよりも、悠斗の声はとても冷たかった。

そして、悠斗の腕を掴み作業を止めさせる。


「どけよ・・・イリア、邪魔だ」

「どうしたのよ?ユウト。あの人話すって・・・」

「お前さ・・・仲間達の敵を打つんだろ?そんな事で敵が打てるのか?

 話したから・・・助けるとか・・・。そうじゃなくてさ・・・

 交渉事ってのは駆け引きだ。

 そのタイミングを逃したら、当然、こういう結果になる。

 イリアの発言は「フワフワ」してる事が多い。

 そういうの・・・気持ち悪いからやめろ」


悠斗の言葉にイリアは掴んでいた手を離した。

「どうして、今・・・そんな事を・・・?」

「ふぅ。俺を誘惑してふざけたり・・・いい加減逃げるなよっ!

 いつまで自分を誤魔化すんだよ!そういうの・・・もう、やめろよ」


イリアは「ペタン」と、力なく座り込んでしまう。

悠斗の眼光が獣人の女を追い詰めていく。


「ごめんなさい。ごめんなさい・・・話します。全部話します」

獣人の女は、念仏を唱えるように・・・同じ言葉を繰り返す。


悠斗はそれでも土を入れ続けた。

イリアも座り込んだまま、動けないでいた、


獣人の女はもう諦めていた。

(私はここで・・・。どうして?私が・・・調子に乗ったから?

あの男の・・・言うように・・・賭け引きを間違えたから?

そうね。楽しくなって・・・遊んだ罰ね。

 ・・・私・・・ここで死ぬんだ)


本気の涙がボロボロ流れ始めた。

「君は駆け引きに失敗した。俺は何度も殺さないって言ったのにな。

 俺達に少し話して、「生」を取るべきだったんだ」


悠斗にミスを指摘され小さく頷く。

「敵ではない・・・それはすぐにわかったよ。

 君は好奇心から俺達のやり取りで遊んでいた・・・。

 それが君のミスだ」


(私は本当に楽しんで遊んでいた。この男の行動をもっと見たくて・・・

 でも、相手を選ぶべきだった。そして・・・引き際も・・・)


悠斗は最後の土を入れ、獣人の女は頭部だけが地面から露出していた。

獣人の女はもう何も話さず、ただ黙って終わりを待っていた。


「ねぇ・・・君?自分がしてしまった事をちゃんと理解した?」

 獣人の女は涙を流しながら悠斗の顔を見上げ頷いた。


「OK~!じゃ~次からは気をつけるんだぞ~」

獣人の女は何を言われているか理解できなかった。

(えっ?な、何?・・・次って?)

獣人の女が困惑する中、

悠斗を見上げると「にかっ!」っと笑っていた。


悠斗は地面に手を着くと、獣人の女が埋もれていた土は

魔法で綺麗に取り除かれていた。


獣人の女は理解できない・・・自分の状況・・・

そして・・・悠斗の行動・・・。


悠斗は獣人の女を引っ張り上げると、拘束を解いた。

そして、イリアの元へ歩いて行くと・・・

イリアの頭頂部に手刀を軽く当てる。


「とうっ!! 」

「ぽんっ!」と言う音と軽い衝撃で、我に返るイリア。

顔を上げ、悠斗を見る・・・

そこには、いつもの優しい悠斗の笑顔があった。


拘束を解かれた獣人の女とイリア・・・

二人共、ただ呆然としているのだった。


ラウル ・・・ 30話おめでとう♪頑張ってるね~

ミスティ ・・・ 本当におめでとうございます。

ラウル ・・・ まぁ、話の展開は遅いけどね~W

ミスティ ・・・ 楽しんで書いているのですから、良いのでは?

ラウル ・・・ そうだね~でも、僕達の出番も作ってくれよ?

ミスティ ・・・ そうですわね?私達も悠斗さんと絡みたいですわ♪

ラウル ・・・ 今後とも頑張っておくれよ~

ミスティ ・・・ それと、軽いやけどを大事になさってくださいね。


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 30話おめでとうございます♪ 「面倒くさい」と言いつつ、思いやりがある悠斗君の一面がわかる素敵なお話でした♥︎
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