251話 疑惑
お疲れ様です。
とりあえず復活ですっ!w
何とか今日アップすべく頑張りましたw
添削まで気が回らなかったので申し訳なく思っておりますが・・・。
暫く開いたが開いてしまいましたが・・・。
当然前回の続きです。
楽しんで頂ければ幸いです。
それでは、251話をお楽しみ下さい。
チャダ子が悠斗の様子を見た結果、
オロオロする者達を他所に爆睡している事が分かり、
悠斗の肝の強さに飽きれていた・・・。
そんな中・・・。
視線を感じたライトニングはチャダ子に向き直ると口を開いた。
「まぁ、彼が無事なようで何よりですが、
チャダ子さん・・・。
これからどのように彼を?」
「・・・そうですね~」
そうライトニング返答したチャダ子は少しの間考え込むと、
『あまり皆様にご迷惑をかけたくないのですが・・・』と口を開いた。
「・・・ご迷惑・・・とは?」
皆が小首を傾げライトニングがそう尋ねると、
チャダ子は苦笑いを浮かべながらこう答えた・・・。
「私があるモードになった場合・・・。
皆様の持つ御力を少し・・・」
「・・・少し?」
「はい・・・。
ほんの少し・・・強制的に頂く事になりますので・・・」
チャダ子がそう答えると皆は顏を見合わせ、
再び小首を傾げた。
「・・・おい、女。
いや・・・チャダ子とやら・・・。
それは神力の事を差しているのか?」
そう疑問を口にしたサンダラーに、
チャダ子『はい』とだけ答えると、
今度はライトニングが続けて尋ねたのだった。
「・・・チャダ子さん。
今の私は神力を閉じ『魔力モード』なのですが?」
「・・・魔力モード?
あぁ~・・・全然問題ありません。
表面上に出ている力であれば強制的に摂取しますので・・・」
「・・・せ、摂取?」
「・・・あっ、えっと・・・あははは」
チャダ子の『摂取』と言う言葉に疑問を感じたが、
ただ『あはは』と苦笑いを見せるだけで、
チャダ子にはその説明をする気がないように見えたのだった。
(・・・相変わらず謎めいた御方ですな~?
色々と聞きたい事があれど今は・・・)
少し眉間に皺を寄せていたライトニングだったが、
ソワソワする南雲が視界の端に入ると質問を諦め口を開いていった。
「・・・コホン。
ではチャダ子さん・・・早速お願いしたいのですが?」
『コクリ』
そうチャダ子が小さく頷いた時だった・・・。
『ちょっと待て・・・』とサンダラーがチャダ子に尋ねた。
「・・・何とか出来るのはわかった。
今はお前を信用しよう・・・。
だが・・・この擬体は『神々の擬体』ではなく、
兄貴が・・・。
ユウナギの兄貴が製作した擬体なのだぞ?
我々が想像もつかないような細工がされているはずだ・・・
それでも何とか出来るのか?」
そう尋ねたサンダラーの横でライトニングが『確かに・・・』と、
口を開く中、チャダ子『なるほど・・・』と呟き、
再び横たわる悠斗の擬体に視線を向けたのだった・・・。
チャダ子が視線を向け見ている時、
サンダラーはその背後から囁くように口を開いていった。
「・・・構造などは俺にはさっぱりわからんが、
ただ神々の擬体はその素体を護る為に『神水』で満たされている。
聞きかじった程度だが兄貴の擬体は、
とある素材で出来たチューブで擬体と素体が繋がっていると聞いた。
ライは兄貴の擬体を使っているが、素体の状況はわからないらしいから、
今、俺が知っている事それだけだが・・・
・・・どうだ?参考になるか?」
チャダ子小さな声で『はい』とそう答え、
スキルを発動しながら悠斗を見ていった・・・。
(・・・えっと、確かここら辺の空間に・・・)
チャダ子が今見ているのは『赤黒い闇に包まれた空間』
闇の中の奥を覗くように目を凝らすと、
その周囲には微かな光の瞬きが幾つも散らばっていた。
(・・・ちょっと索敵範囲を広げ過ぎましたね。
この微かな光の瞬きはこの亜空間に存在する命の輝き、
意外と沢山あるのですね・・・ってアレっ!?
あ、あの光は・・・あ、主様のっ!?)
そう確信したチャダ子は一度その視線をライトニングに向け、
ユウナギの事を伝えようとしたのだが、
何かを感じ取ったライトニングは首を横に振り、
今は目の前の事に力を尽くすよう力強い視線を向けたのだった。
再び『コクリ』と小さく頷いたチャダ子は、
悠斗のいる亜空間を確認すると、その状況を知る為、
その周囲を探索したのだった・・・。
(チューブ、チューブっと・・・)
目を凝らし集中して行くと、
スヤスヤ眠る悠斗の背後に無数のチューブを確認する事が出来た。
チャダ子はソレを確認しながら声を出し、
ライトニング達にその事を伝えるとサンダラーが声を挙げた。
「・・・ユウトと擬体を繋げるそのチューブを何とかしなければ、
その擬体から切り離すことは出来んぞ」
少し早口ではあったがそう話すサンダラーの声に、
チャダ子は『確認します』と答え、
その無数のチューブを確認し始めたのだった・・・。
(・・・この亜空間は独特で特殊な空間なのですね~?
通常の亜空間とは違い、かなりの重さと力の濃さを感じます。
それにコレは自然に在るモノではなく、
主様が創られた特殊な空間なのでしょうね・・・。
どのようにして創られたかはわかりませんが、
生半可な事ではありませんね・・・)
そう特殊な何かを感じ取ったチャダ子は、
一度『ふぅ~』と息を漏らすと振り返り皆に向き直った。
「・・・そのチューブの確認をしようと思ったのですが、
あまりの力の濃度とこの空間の重さに苦戦しています」
チャダ子のその言い回しに皆が顏を見合わせていると、
更に言葉をこう続けた。
「ですからそのチューブをよく観察する為にも、
スキルを使用してみたいのですが宜しいでしょうか?」
「・・・スキル?」
チャダ子の正面に居たサンダラーがそう尋ねると、
少し『デュフっ』と独特な笑みを浮かべながらこう言った。
「かなり地味なスキルで恥ずかしいのですが・・・」
その白い顔が少し赤く染まり、
恥ずかしさからなのか照れているよだったが、
そんなチャダ子の事を気に留める事もなく、
サンダラーが少し苛立ったように口を開いた。
「なっ、何でもいいっ!
その地味なスキルとやらで確認しろっ!」
「は、はいっ!」
チャダ子はサンダラーから急かされながら、
横たわる悠斗に向き直ると呟いた。
「ほんとに地味なスキルなので恥ずかしいのですが・・・。
私の意識を彼の居る亜空間の中に飛ばし実体化させ、
沢山あるチューブを触って確認しなければ・・・」
『っ!?』
そうボヤくように呟いたその言葉に、
この場に居た全員の毛穴が開き汗が滲み出た。
「ちょっ、ちょっと待てっ!女ぁぁぁっ!?
意識を飛ばし実体化させ物に触るってっ!?
そんな訳の分からんスキルなど一度も耳にした事ないぞっ!?
つーかっ!俺や姉貴・・・ライにもそんな事出来んぞっ!?」
そう声を荒げながらチャダ子の細い肩を掴んだ瞬間、
『お静かにっ!集中出来ませんっ!』と声を挙げ、
その迫力にサンダラーは『ビクっ』と身体を震わせながら、
咄嗟にチャダ子の肩から手を離した・・・。
(な、何なのだ・・・この女はっ!?)
言い知れぬ迫力にサンダラーは、
自分の腕に鳥肌が立っている事に気付き、
視線をチャダ子へと戻すとその身体から・・・
「なっ、何だ・・・こ、この力はっ!?」
そのサンダラーの言葉に同調するように、
ライトニングや南雲また鳥肌を立たせていたのだった・・・。
「・・・こ、この妙な気配と異様な力はっ!?」
そう・・・。
チャダ子はスキルを使用したのと同時に、
その身体から『漆黒の力』を溢れさせていたのだった・・・。
「サンダラー様っ!?こ、この子の力は一体っ!?」
驚愕し目を見開いていた南雲がそう声を掛けるも、
サンダラーはただ震える声で、
『わ、わからぬ・・・わからぬが・・・でも・・・』と呟いていた。
言い知れぬチャダ子の力に動揺を隠せないサンダラーに、
『まさか・・・コレは?』と言いながらライトニングが横に並んだ。
「ラ、ライっ!?お、お前・・・この力が何か知っているのかっ!?」
驚き顔を向けたサンダラーに視線を向ける事無く、
ライトニングはスキルを使用するチャダ子に視線を向けたまま、
『もしかすると・・・』と話を続けた。
「私がまだ若い頃に伝え聞いた話なのですが・・・。
遥か昔・・・。
この冥界の地に『異形』たる生命体達が突然現れ蹂躙し、
数億とも言える『命』を喰らった『異形の者達』が居たようです」
眉間に皺を寄せながらそう話すライトニングに、
サンダラーは『そ、その話ならっ!』と声を荒げた。
「・・・サンダラー様もご存知でしたか?
そうです・・・。
遥か太古の昔にあったあの『不和の地』での出来事です」
「・・・・・」
そうライトニングから聞かされたサンダラーは激しく眉間に皺を寄せ、
その拳に力が込められて行った。
「・・・そう。
ランド オブ ディスコード・・・。
以前はこの冥界のあらゆる種族の長達が集い、
話し合いがなされるも、紛争が絶えない地・・・。
ですが今は・・・虚無とも言える数十キロにも及ぶ大穴が空き、
何者も近寄らぬ呪われた地・・・」
その内容を知らない南雲は2人に対し質問したい事があったのだが、
2人の何とも言えない緊張感に押し黙るしかなかったのだった。
「・・・ま、まさか・・・ライよ。
その『異形なる者達』の力を・・・
こ、この女が・・・?」
「・・・・・」
「バ、バカなっ!?
そんな事などあってたまるかっ!?
そ、それにこの女は・・・人型ではないかっ!?
その話に出て来る者達は『異形の者』であり、
人の身体を持ち得ぬ者達なはずだっ!」
「・・・・・」
サンダラーがそう怒りを抑えた震える声で尋ねるも、
ライトニングはただ双眼を閉じ沈黙するだけだった・・・。
そしてその頃・・・。
チャダ子は悠斗が居る空間に来ていた・・・。
(・・・こ、これだけの重力を感じるのに、
磁場が・・・ゼロ?
こ、この空間の構造は一体どうなって・・・?)
そう考えながらも状態を確かめる為に来たチャダ子は、
スキルを使用し眠る悠斗の前にその姿を現した・・・。
そしてスヤスヤと眠る悠斗の顔を覗き込み、
その寝顔を見ると『・・・綺麗なお顔♪』と頬を染めていた。
そして『クスっ』と笑みを見せたチャダ子が悠斗から顏を離すと、
目を静かに閉じこう言った・・・。
「・・・皆様。
これからスキルを使用しますので・・・」
悠斗の傍に立つチャダ子がそう口を開くと、
それと同時に冥界の地に居たチャダ子の口からも同じ言葉が発せられた。
皆が『わかった』と了承すると、
チャダ子から『注意喚起』が発せられた・・・。
「・・・この場所から離れて下さい」
「・・・離れる?」
そう聞き返して来たサンダラーにチャダ子は小さく頷くと言葉を続けた。
「少なくとも・・・私から10ⅿ以上は離れて下さい。
でなければ、その力を全て吸い尽くしてしまいますから♪
それでも良ければ・・・もっとお近くに♪」
『ゴクリ』
双眼を閉じているチャダ子の笑みが、
この場に居た者達の悪寒を誘った・・・。
「わ、わかった・・・ちょ、ちょっと待てっ!」
そう言うと皆は急ぎその場から離れ、
安全を・・・と、15mほど離れ合図を送った。
『コクリ』と頷いたチャダ子からは笑みが消え失せ、
『・・・逝きます』と声が返って来たその瞬間・・・。
チャダ子の身体からは『漆黒』とも言うべき『黒い力』が吹き出し、
その『黒い力の波』がチャダ子を中心に波紋を起こし丸く広がって行った。
「こ、このち、力はっ!?」
「な、何とも異様なっ!?」
「う、うぐっ・・・か、身体が押さえつけられるような・・・」
『黒い力の波』がチャダ子からおよそ10m広がると、
その勢いは突然『ピタリ』と止まった・・・。
『・・・と、止まった』と皆がそう思っていると、
その『黒い波』の外縁から、『シュルシュル』と何かが伸び、
それはやがて15m先に居たサンダラー達の手首に巻き付いた・・・。
そしてその瞬間・・・。
「こ、これは・・・あ、あの女の髪の毛なのかっ!?」
「た、確かにコレはチャダ子さんの髪の毛っ!?」
「で、では・・・。
こ、この『黒く広がる波』は全てチャダ子殿の髪の毛だとっ!?」
『っ!?』
皆が驚く中・・・。
チャダ子の声が突然響き、
その言葉とは裏腹に息が凍りつくような・・・
そんな錯覚を感じたのだった・・・。
『・・・いただきます♪』
そして次の瞬間・・・。
『うぐっ!』と突然皆が膝を着き、
皆の力が手首に巻き付いた髪の毛から吸い取られて行った・・・。
数秒・・・。
僅か数秒に満たないにも関わらず、
皆が苦しそうに呼吸をも荒くしていた。
「こ、こんなにも吸い取られるのかっ!?」
「わ、私が思っていたよりも・・・こ、これは・・・」
「わ、僅か数秒でっ!?」
片膝を着き『ハァ、ハァ』と呼吸を荒げていると、
再びチャダ子の声が頭に響いて来た・・・。
『あっ、言い忘れていましたが・・・』
そう前置きすると同時にチャダ子の身体が突然異様な音を発した。
『メキっ!バキっ!ゴキっ!』
『なっ!?』
皆がその異様な音に目を丸くし、
ゆっくりと形を変えていくチャダ子から目が離せなくなっていた。
『・・・皆さん、そのままゆっくりと目を閉じて居てください。
今から私・・・本来の姿になりますので・・・♪
ふふふっ♪
じゃないと・・・死んじゃいますよ♪』
『っ!?』
ハッタリなどではない・・・。
皆がそう感じた瞬間、本能に従い皆がその目を閉じた・・・。
(なっ、何なのだっ!?
こ、この女は一体・・・何なのだっ!?
お、俺は冥王なのだぞっ!?
その冥王の力を・・・この女は上回ると言うのかっ!?)
(おやおや・・・チャダ子さんがこれほどまでとは・・・。
世の中はとても広ろう御座いますな~♪
私もまだまだ・・・と、言う事でしょうな♪)
(・・・わ、儂が死神でなければ即死しておったじゃろうな。
な、何と凄まじき事か・・・)
皆がそう思いながらもチャダ子はその自らの姿を変貌させていた・・・。
『バキンっ!ゴキンっ!シュゥゥゥゥ』
突然チャダ子の身体から凄まじい蒸気を発し終えると、
『・・・お待たせ致しました♪ふふふっ♪』と、
笑っているにも関わらず抑揚なく、
その声を聞く者に悪寒が走るほどの悍ましい力を放っていた・・・。
『・・・目は開けないで下さいね?』
(・・・み、見なくてもわかる。
チっ!こ、この女・・・化け物だっ!)
(こ、これがチャダ子さんの本来の力なのですな・・・。
ほっほっほっ・・・長生きはしてみるものですな~)
(こ、この儂を・・・。
死神であるこの儂が震えるほどとはの・・・
いやはや・・・敵でなくて良かったわい)
双眼を閉じて居てもわかるほどの圧倒的なその力に、
皆が冷や汗を流していると・・・。
「さて・・・準備は整いました。
チューブの確認が終わり次第・・・救出してみます」
その声に皆が黙って何度か頷くと、
圧倒的な力を放っていたチャダ子の気配が突然消えた・・・。
(・・・なっ!?一体どういう事だっ!?
あ、あの女の気配が突然・・・消えた・・・)
(おやおや・・・この私にもわからないとは・・・)
(い、一体何がどうなっておるのじゃ?)
チャダ子の気配が消え焦り始めている頃・・・。
チャダ子は意識を集中して、悠斗の背後にある、
無数のチューブを手に取り確認を急いでいた・・・。
(・・・まさかこの私が『人間』を助ける事になるとは・・・。
ふふふっ・・・これもまた『縁』というモノなのでしょうかね~?)
チューブを1つ1つ手に取り確認しながら、
チャダ子はそんな事を考えていた。
そして暫くの間・・・。
その確認作業をしていくと、その手をピタリと止め、
深い眠りの中に居る悠斗の顔を見つめ首を傾げていた・・・。
(・・・どう言う事?
この男の子の身体にチューブなんて・・・
1本も繋がっていないんだけど?
・・・えっ!?ほ、ほんとにどうなってっ!?
この子は一体どうやって・・・この擬体を操っていたというのっ!?)
そしてこの事は当然、皆にも伝えられ、
流石のライトニングでさえ、驚愕し言葉が出て来なかったのだった・・・。
暫くの間・・・。
念話で会話し出た結論はと言うと・・・。
『・・・手間がかからずに済んだ』
そう皆の意見が一致し、
存在無くその場に佇むチャダ子に救出するよう指示を出しのだった。
(・・・ユウトが冥界に来てから、
訳の分からない事ばかり起こり、流石の俺もついて行けん・・・。
何なんだ・・・ユウトといい、この女といい・・・
これから一体何が起ころうとしているんだ?
もしこれが何者かの計らいだとするならば・・・
俺達神々の更に上の・・・幹部達の企みなのか?
・・・嫌な予感しかしねーな)
双眼を固く閉じて居るサンダラーはその拳を強く握り締め、
今後の対策を立てねばと意思を固めたのだった・・・。
さて、今回のお話は如何だったでしょうか?
今回ほんの少しだけ、チャダ子の事に触れましたが、
元々もう1つの作品のキャラなので、ほんの触りだけと言う事でw
もう少しだけ悠斗の話は続きます。
その後は再び『女子~ず』の話に戻ります。
今後とも応援の程、宜しくお願いします^^
ってなことで、緋色火花でした。




