閑話5・第三の眼
お疲れ様です。
4月に入ってからちょいモチベが下がっている緋色で御座います。
何故かと言うと・・・。
仕事でトラブル続きで・・・orz
現状緋色自身が色々と問題を抱えてまして、
ストレスの発散方法がなく、凹んでおりますw
さて、今回で『英二編』は終了となります。
そして次回は悠斗の話へと変わります。
楽しく読んで頂けるよう頑張って行きたいと思いますので、
応援のほど宜しくお願いします。
それでは閑話5をお楽しみ下さい。
{え、英二君・・・。
そ、その額に在る眼は・・・?}
{・・・えっ?}
陸奥や姉妹達の反応に英二はただ戸惑うのだった・・・。
戸惑い焦りの色を浮かべる英二に、
志保が『やれやれ』と言いながら呟いた。
{お前・・・自分が一体どうなっているのか気付かないのか?}
{・・・へっ?
気付かないのかって言われても・・・}
そんな英二に志保と陸奥が顏を見合わせると、
『英二君・・・』と陸奥が口を開いた。
{・・・君の額にさ、
『縦割れの眼』が在る事に気付いていないのかい?}
{・・・俺の額に縦割れるの眼?}
英二はそう言いながら自分の額に手を当てると、
『痛いっ!?』と声を挙げながら蹲った・・・。
{・・・お前、バカなの?
ダイレクトに眼なんて触ったら痛いに決まってんだろ?}
蹲る英二にそう言う志保はどこか楽しそうにしていたが、
陸奥は英二に近寄りながら『はぁ~』っと溜息を吐いた。
{君さ~?って・・・まぁ、別にいいんだけどね?
でも・・・その様子じゃ、
何も知らないみたいだから教えてあげるよ}
その声に痛がりながらも『うっス』と返答すると、
陸奥はその場に座り込みながら説明していった。
{・・・英二君、今、君の額にある眼は、
俗に言うところの『第三の眼』だ}
{・・・だ、第三の眼って・・・よく漫画とかにある?}
{あぁ、そうだよ・・・。
その眼が開いたって事は君が『開眼者』って事になるんだけど、
君の場合・・・どうやら『半覚醒』って感じみたいだね?}
陸奥はそう言いながら後方に居る志保に視線を向けると、
小さく何度か頷いて見せていた・・・。
すると志保は小さく頷きながら近寄ると、
英二を見下ろしながら口を開いた。
{普通『開眼した者』は、
人の持つ『オーラ』が見えるようになり、
言葉を交わす事無く、相手の思考が読めてしまう・・・。
等々、色々と言われているが実はそうではない・・・}
{・・・えっ?それじゃ~一体?}
{開眼者になっても、その能力は千差万別でな?
その者の個性によって様々なのよ}
{・・・まじか~}
蹲っていた英二がその痛みから解放され、
頭を無造作に搔きながらあぐらをかいて座り直した。
{・・・ん~、って事は、
俺の能力ってのは何んだろうな?}
腕を組み目を閉じながら考える英二に、
陸奥がこう言った・・・。
{さっき君は無数の蜂を前にした時、
何か感じなかったのかい?}
{・・・そうっスね~}
陸奥の言葉に英二は再び考え始め、
暫く無言が続いた後、何かを思い出したようにこう言った。
{あっ・・・そう言えば・・・}
英二は最初にそう口走ると、
その時に感じた事を説明したのだった・・・。
そしてその説明はこうだった。
まず最初に感じたのは酷い頭痛があり、
そしてそれと同時に左右の眼が激しく痙攣し始めた・・・。
その痛みと痙攣は永遠に続くかと思われたが、
そう思った瞬間・・・。
妙に頭の中がクリアになり、何故か蜂達が発する、
『信号』みたいモノを感じると、
それが次第に『日本語に変換』されていったらしい・・・。
その話をとても興味深そうに『ほう』と言った志保は、
英二や陸奥と同じように、その場に座り込み、
『それで?』と聞いて来た・・・。
{えっと~・・・それでっスね?}
そう言い終えた時だった・・・。
突然英二か『あぁぁぁぁっ!?』と大きな声を挙げると、
少し慌てた口調で志保達に話していった・・・。
{・・・そうっ!それでっスねっ!
あの時、俺が見た光景って・・・
う、上手く説明出来ないんスけど、
正面で飛んでいる蜂達を見ていたはずなのに、
後ろから俺に向かって来る蜂達の動きが見えたんスよっ!}
早口でそう説明する英二は、
それから捲し立てるように話していった・・・。
{そ、その映像が見えたかと思ったら、
何とっ!蜂達の声がより声明になって聞こえたんスよっ!
『ビビる事はねーっ!背後から刺してしまえっ!』てっ!
俺は『まじかぁぁぁっ!?』て思った瞬間、
あれ・・・?ってな感じで違和感に気付いたんスよっ!}
{・・・違和感?}
{ういっスっ!違和感っスっ!
皆さん的にその時はどんな風に見えていたかわかんないんスけど、
俺にはとても蜂達の動きがスローに見えて、
内心・・・おっそ・・・って感じてて・・・
じゃ~こいつら俺の周りに固まっ飛んでるって思ったんで、
焼いてみるか?って、何故かその時思ったんスよ・・・。
そしたら・・・}
興奮しながらそう話す英二に、
志保と陸奥は顏を見合わせると小さく頷き合っていた・・・。
そして最初に口を開いたのは陸奥だった・・・。
{・・・英二君、
恐らくそれは君の能力の一つだろうね?
『超感覚』とでも言うのかな?
少なくともその時・・・。
私や志保さんはただ君が襲われるのを止めようと、
君に駆け寄るところだったからね?}
{・・・まじっスか?}
そう話したところで今度は志保が興味深そうに尋ねて来た。
{英二・・・。
お前はその時、私達の事が見えていたか?}
{・・・はい?}
{よーく・・・思い出し見ろ}
英二の目を見つめながらそう言った志保に、
思わず英二は陸奥の顔を見た・・・。
{・・・さぁ、英二君。
君はその時、私達がどう見えていたんだい?}
陸奥は前のめりになりながら尋ねると、
英二はその迫力に思わず身体を仰け反らせながら答えた。
{・・・あ、あれ?}
その視線を上へと向けながら思い出そうとしていた英二だったが、
次第に顔を顰め始め、首を傾げたのだった。
(えっと・・・。
あれ?まじで覚えてねー・・・。
ってか、俺から少し離れた所で、
陸奥さん達が居たはずだけど・・・
あれ・・・?全然覚えてねーな?
あっ、でも・・・あの時、
俺の正面に居たよな~?
・・・何でだ?)
英二は何度も何度もその時の事を思い出そうとするが、
その時の陸奥と志保の姿を思い出す事が出来なかった・・・。
{・・・その様子だと見えてなかったって事ね?}
そう声を挙げた志保の声に、
英二は我に返り志保の目を見ながら『コクリ』と頷いた。
英二の様子に再び志保と陸奥が顏を見合わせ頷き合うと、
『お前はちょっと此処で待ってろ』と志保に言われ、
2人は少し離れた場所で何かを話し合って居た。
それから暫くの間、
2人が何かを話し合いそれを終えると、
陸奥が『英二君』と言いながら手招きをした・・・。
{・・・ういっス}
その声に返事をしながら立ち上がった瞬間だった・・・。
{あ、あれ・・・?}
『っ!?』
{英二君っ!?}
{英二っ!?}
立ち上がった英二が一歩二歩と歩き始めた瞬間、
『グラっ』と身体が揺れた英二はそのの地面に手を着き、
大量の汗を流し始めた・・・。
駆け寄る2人はが必死に英二に声を掛けるが、
英二から聞こえて来る音は、
『はぁ、はぁ』と呼吸を荒げる音だけだった。
そして次の瞬間・・・。
『パタっ』と倒れた英二は、
そのまま意識を失い『第三の眼』も閉じられ、
英二の額から跡形もなく消え去った・・・。
『英二っ!?』
意識を失った英二に、
咄嗟に志保はその首元に指先を当てると、
やや安堵の表情を浮かべ『問題ないわ』と陸奥に告げた。
陸奥は心配そうに倒れる英二の背中に手を当てながら、
『英二君』と呟くと、志保が立ち上がりながら声を掛けた。
{・・・陸奥、何も心配ないよ}
{・・・そうだな}
声を掛ける志保を見る事は無かったが、
その手は英二の背中に当てられたままだった・・・。
(・・・こいつ)
陸奥のそんな姿に志保はやや口角を上げると、
英二に寄り添う陸奥に再び声を掛けた。
{・・・大丈夫よ、心配ないわ。
それよりも陸奥・・・お前は英二を見てどう思う?}
志保のその声に陸奥は英二の背中から手を離すと、
立ち上がりながらこう答えた。
{・・・これは間違いなく『開眼』した事による反動だな}
{・・・そうね}
そう返答した志保に、陸奥は険しい表情を浮かべながら、
『ん?』と首を少し傾げた。
{・・・お前は英二の能力をどう見る?}
志保の言葉の意図がわかると、
陸奥は『あぁ~』と言いながら英二を見た。
{・・・英二には俺達が見えて居なかったみたいだな?}
{あぁ・・・}
{って事は・・・だ。
俺が言った『超感覚』の能力は間違いないだろうな}
{・・・それだけか?}
{ん?}
志保の声に陸奥は険しい表情へと変わると、
『今度は何がいいたい?』と睨みつけながらそう言った。
{・・・お前が気付いたのはそれだけか?
と、聞いているんだが?}
志保は威圧を放ちながらそう言うと、
陸奥は『クっ』と唸り顔を顰めた・・・。
{・・・こ、こいつには他に何かあるのか?}
{あぁ・・・どうやらお前は気付かなかったようだがな?}
志保がそう言いながら倒れている英二に視線を向けると、
陸奥はその視線を追うように英二を見つめた・・・。
{・・・この俺が何を見落としたと?}
陸奥自身は気付いていなかったが、
そんな声が漏れると志保は軽く溜息を吐きながらこう言った。
{・・・英二にはあの時、私とお前の姿が見えなかったと}
{・・・あ、あぁ・・・でもそれが?}
陸奥の返答に志保はあからさまに『はぁ~』っと溜息を吐くと、
首を小さく振りながら口を開いた。
{・・・あの時の状況を思い出してみなっ!
数が多少減ったとは言え、
あれだけ敵意剥き出しの蜂達が襲い掛かったんだ。
いくらパニックになったからって、
私達が一瞬でも見えていない訳がないでしょ?}
{・・・・・}
{まだわからないのかい?}
睨みつけながらそう言った志保に、
陸奥は必死に考え込むも答えを導き出せなかった・・・。
{・・・教えてくれ}
顔を歪め不本意ながらと言わんばかりにそう言った陸奥に、
志保は口角を上げながら答えを言った。
{英二が私達の姿が見えなかったのは恐らく・・・。
私とお前が英二に対し『敵意』が無かったからよ}
{敵意がなかったっ!?
って事は・・・何か?
英二は自分に『敵意』がある者だけに対し反応し、
俺達を対象外にしたって事かっ!?}
{あぁ・・・だからこいつは私達が見えていなかった・・・}
{・・・なるほど。
だがしかし・・・}
志保から英二の能力を聞き終えた陸奥は、
険しい表情を浮かべた・・・。
そんな陸奥に志保は話をこう付け足した・・・。
{お前の言いたい事はわかる。
だがまだ英二は『開眼』したばかりだからな?
時間も経ち修練を積めば、
おのずとその能力もはっきりとするだろう}
{・・・そう・・・だな}
陸奥と志保はそう結論付けると、
気絶する英二を静かに見つめたのだった・・・。
・・・それから数時間後。
夕食時に目覚めた英二は夕食を取り終えると、
焚火を皆で囲み酒を飲みながら暫く談笑していた・・・。
一通り談笑し終えると、
話を切り出してきたのは志保からだった・・・。
{英二・・・少し真面目な話をしよう}
志保がそう言いながらコップを置くと、
『うっス』と返答した英二に向き直った。
{話と言うのは他でもない・・・。
英二・・・。
お前は『開眼』に至るまでの兆候について知っているか?}
志保からそう問われた英二は、
『聞きかじった話くらいなら・・・』と返答すると、
『それでいい話せ』とそう志保は言った。
{かなり昔の話っスけど、
何かの文献・・・って言うんですかね?
うちの資料庫にあった書物を見つけて、
たまたま読んで見たんスけど・・・}
そう話を切り出した英二に、
果歩は興味を示し酒が入ったコップを置いた。
{確かその書物には確かこう書いてありました。
『開眼』に至るにはその『開眼者』に兆候があり、
瞼の痙攣や光に対し過敏に反応したり、
あとなんだっけ・・・?}
そう言いながら必死に思い出そうとする英二に、
果歩が少しニヤけながら口を開いた・・・。
{・・・直観力が鋭くなったり、
絶えず脳が何かに圧迫されるような感覚・・・だろ?}
そんな果歩の言葉に英二は『それっスっ!』と言うと、
志保は笑みを浮かべながらこう言った。
{だが英二・・・。
お前にはそんな兆候はなかった・・・}
{うっス、全然全くなかったスね。
ってか、俺が『開眼』出来るなんて思ってなかったし・・・
それに瞼の痙攣に関しても、
『開眼』した時に初めてなった事ですから・・・}
頭を掻きながらそう言った英二に、
陸奥が『何故そう思ったんだい?』と尋ねて来た。
{い、いやだってほら・・・。
『開眼』する人の条件って言うんですかね?
俺が知っている事で言うなら『煙草』を吸わない人・・・。
ってか・・・俺、吸いますからね~?
だから俺が『開眼』出来るなんてまず思わないっしょ?}
英二のその声に何度か頷いて見せた志保は、
『お前・・・それは間違ってるぞ?』と笑って見せた。
{・・・えっ?間違ってんスか?}
{あぁ、大間違いだ・・・}
そう話す志保は言葉を続け、
その理由を説明した・・・。
そしてその理由はこうだった・・・。
本来、人と煙りは大きな関わり合いが在る。
それは人が『火』を使い始めてからのモノだと・・・。
人は『火』を手に入れたと同時に、
『煙り』も手に入れていた・・・。
そしてそれは今現在も当然受け継がれている。
古来より『魔除け』と称し、
匂いのキツイ魚をを焼く事によって煙りを発し、
魔を退けたり、蠟燭の炎から出る煙り・・・。
お香や線香もまた・・・煙りを発する事によって魔を退ける。
仏教の『護摩』や花火の煙りもまた、
元を正せば同じモノ・・・。
そう説明する志保に英二は静かに頷いていた。
{・・・英二知ってるか?
シャーマンと呼ばれる者達の多くは、
煙草を吸いその煙りを体内に取り込む事によって、
神の声を聞いたりする事を・・・}
{・・・いえ、知らないっス}
{ふむ・・・そうか。
それならばこれは流石に知っていると思うが、
『とげ抜き地蔵』などもそうだが、
頭が良くなりますように・・・だったり、
身体の悪い事が治りますようにと煙りをかけたりする事を}
笑みを浮かべながらそう話す志保に、
英二は『あぁ~、それなら』と答えた。
{つまりはそう言う事よ。
人と煙りの関わり合いは太古の昔からあると言う事。
だから英二・・・。
お前が煙草吸うからと言って、
『開眼』出来ない事はないのよ・・・}
{人と煙りの関わり合い・・・}
そう呟きながら果歩と陸奥を見た英二は、
頷く2人を見て『なるほど』と納得したのだった。
すると志保は続けて英二にこう言った。
{だがしかし・・・。
お前の場合はもっと特殊な気がするわね}
{・・・俺が特殊?}
眉間に皺を寄せながらそう言った英二に、
今度は陸奥が口を開いた。
{・・・英二君、
君はイザナミ様の手によって、
『鬼の因子』を受けているだろ?}
陸奥の言葉に英二は『あっ!』と声を挙げた時、
果歩が厳しい視線を向けながらこう言った・・・。
{・・・お前の場合は特殊過ぎて、
今後何が起こるかわかんねーんだよ。
だから『仏』の御方達がお前に抗う術を・・・な?}
果歩の言葉に一瞬険しい表情を見せた英二だったが、
『なるほどね』と力なく呟いた・・・。
{俺には不安要素が有り過ぎるって事っスね?
まぁ~実際、俺自身もどこか不安ってもんがあるし・・・。
この力を正しく使うには、
俺は皆さん達に協力してもらって・・・}
{あぁ、そうだよ・・・英二君。
出来るだけ君に何も起こらないようにする為、
私や先輩達が力を貸すからさ・・・。
だから頑張って力をつけて行こうよ}
落ち込んだ様子を見せる英二に、
陸奥は笑顔を向けながらそう言ったのだった・・・。
{・・・そうっスね}
そう返事をした英二に陸奥は近寄ると立ち上がらせ、
志保と果歩に対し頭を下げながらこう言った・・・。
{先輩方・・・。
どうか英二君に力を貸してやって下さい。
私だけでは不十分だと感じましたので、
宜しくお願いします}
{・・・志保さん、果歩さん。
不甲斐ない俺っスけど・・・。
俺に2人の力を貸して下さいっ!
お願いしますっ!}
英二と陸奥の頼みを聞いた果歩は、
『仕方がねーな~』と笑みを浮かべ、
志保は『あぁ、その頼み・・・引き受けたわ』と言った。
『有難う御座いますっ!』
英二と陸奥の声に『任せろっ!』と言った志保と果歩・・・。
すると志保は立ち上がりながら英二にこう言った。
{明日からは本格的にしごくからな?}
志保の声に英紙是は何か嫌なモノを感じると、
『お、お手柔らかに』と顔を引き攣らせながらそう言ったのだった。
そして翌朝・・・。
陸奥に加え志保と果歩が本格的に加わり、
英二の『地獄の特訓』が行われていくのだった・・・。
そしてその『地獄の特訓』は半年にも及ぶのだった・・・。
英二の修練編・・・『完』
ってな事で・・・。
今回で『英二編』は終了です。
これから本格的に修練と入り、
再びその姿を現した英二の成長ぶりを・・・(謎)
緋色の心の声では・・・。
(活躍するとは言ってない・・・。
なんせ・・・英二なんで・・・w)
もしかすると仕事の都合上・・・。
次回『250話』をアップしたら、
1週お休みを頂く事になるかもしれません。
その時はご容赦していただければ・・・と。
ってなことで、緋色火花でした。




