閑話3・姉妹と兆候
お疲れ様です。
未だ利き目が見えない緋色で御座います。
とりあえず英二のお話は5話までありますので、
問題なくアップできます。
ですが・・・。
それ以降は投稿が遅れたらごめんなさい。
そうならないよう頑張りたいと思いますが、
現状何とも言えません><
ん~・・・。
やはり『桃鉄占い』は・・・当たるっ!w
それでは、閑話3をお楽しみ下さい。
この『狭間の空間』に突然聞き慣れたメロディーが流れると、
陸奥が『襖』を開け、現世からやって来たのは、
『商魂姉妹』と呼ばれた者達だった・・・。
{・・・ご無沙汰しております}
軽くお辞儀をして見せた陸奥に、
長い黒髪の威圧感が半端ない『姉』が、
軽快な口調で『御無沙汰~♪』と軽く片手を上げた。
そして『邪魔するよ~♪』と出迎えた陸奥の顏など見る事も無く、
その『姉妹』はズカズカと中へと入って来たのだった・・・。
『姉妹』は中へと入り足を止めると、
訓練中の英二に視線を向けじっと見つめていた。
そして後方に居る陸奥に顏を向ける事無く、
さも、そこに居て当たり前かのように口を開いていった。
{・・・アレが例の坊やだね?}
{・・・はい。
彼の名は『英二』
神野では『一番隊』の隊長を務めていた男です}
{・・・へぇ~}
『どうでもいい』とでも言いたげに小さくそう言うと、
『・・・で?』と陸奥に向き直った。
{・・・で?と、言われても}
陸奥の物言いが気に入らなかったのか、
『姉』の眉間に一瞬皺が寄ると、
それを『姉』の横に居た『妹』が声を荒げた。
{てめー・・・お姉にそんな態度取っていいのかよ?}
苛立ちを隠そうともせず一歩前に踏み出しながらそう言うと、
『姉』が『妹』の肩を掴み諭した。
{果歩・・・こいつの物言いなんて気にしなくていいから}
{で、でも・・・お姉・・・}
顔を引き攣らせている『妹』に、
『姉』は無言で首を振って見せた・・・。
{お、お姉がそう言うんじゃ・・・仕方がないけど・・・}
『妹』が『姉』に諭され渋々承知し陸奥へと向き直ると、
突然陸奥の胸倉を掴みながら静かに威圧した。
{てめー・・・陸奥の分際で・・・何様だ~?
先輩には敬意を払えっていつも言ってるよな~?}
『グググっ』とその腕に力が入ると陸奥の身体は宙に浮き出した。
{・・・け、敬意は勿論。
で、ですが・・・先輩・・・。
もう少し・・・後輩にも優しくしたらどうですかね?}
やや息苦しくそう言い返した陸奥に、
『妹』のこめかみが『ヒク』ついた・・・。
{・・・まじでまたボコってやろうか?}
『妹』は陸奥の顔に当たるくらいに顏を近付けそう言うと、
『・・・そう言うところですよ』と言った陸奥にキレた・・・。
{てめーっ!先輩に対する礼儀ってのを、
もう一度叩き込んでやるっ!}
そう怒声を発した『妹』に陸奥は『ニヤっ』と笑って見せると、
『妹』は吊るし上げるその腕に力が入り、
そのままぶん投げたのだった・・・。
{陸奥さんっ!?}
訓練途中にも関らず英二はその足を止め、
その雰囲気ただならぬ様子を見ていると、
陸奥が放り投げられた為、
言葉を発するのと同時に駆け出していた・・・。
{て、てめーらぁぁぁぁっ!
陸奥さんに何やってんだゴラァァァァっ!?}
そう『念話』で吠えながら、
英二は『コォォォォォっ!』と呼吸音を更に一段階上げた。
投げ飛ばされた陸奥は空中で身体を捻りつつ見事に着地をすると、
猛然と突っ込んで来る英二に声を荒げた。
{だ、駄目だっ!英二君っ!?
これは彼女達の挑発なんだっ!}
そう英二に叫んでみたものの、
怒り心頭な英二の耳に陸奥の声は届かなかった・・・。
『うおぉぉぉぉぉっ!』と猛然と突っ込んで来た英二は、
迷う事無く陸奥を投げ飛ばした『妹』へと接近すると、
跳躍しながら蹴りを放った・・・。
{ぶっ飛べぇぇぇぇっ!}
{上等ーっ!}
『ガシっ!』
『妹』は英二の蹴りを腕をクロスさせ防ぐと、
『それだけかぁぁぁっ!』と咆哮しつつ英二を跳ね除けた。
(ぐおっ!?蹴りの威力が跳ね返ってっ!?)
力技で弾き返された英二は一回転しながら着地すると、
眉間に皺を寄せ『まじかよ・・・?』と呟き、
右脚に触れながらダメージを確認した・・・。
『バキっ!ボキっ!』と不敵な笑みを浮かべつつ、
険しい表情を浮かべる英二を見ながら、
『・・・フっ、雑魚が』と呟いた。
{え、英二君っ!止めるんだっ!}
英二を心配する陸奥は2人の戦いを止める為、
そう言いながら駆け出そうとした時、
陸奥の行動を『姉』が手を伸ばし止めた・・・。
{・・・なっ、何故止めるんですかっ!?}
{・・・・・}
無言で2人の様子を見つめる『姉』に、
陸奥は声を荒げた。
{一体貴女達は何がしたいんだっ!?}
陸奥の言葉に『キっ』と・・・
睨みつけるように陸奥に視線を向けると、
『姉』は言葉をこう続けた・・・。
{・・・別にどうする訳でもないわよ?}
{・・・な、何っ!?}
{・・・うちらは見たいのさ。
噂の『神野んとこの兵』がどれほどのモノかを・・・ね}
{・・・彼を鍛えるのは俺の仕事だっ!
そこを・・・そこをどけっ!}
陸奥が怒りを露にし口調が変わった瞬間・・・。
『姉』の背筋に『ゾワっ』と寒気が走った。
(・・・ハハハ、中々いい殺気を発するようになったじゃないか?)
陸奥の成長を感じた『姉』は含んだ笑みを見せるが、
それに気付いた陸奥が拳を握り締めながら口を開こうとした・・・。
すると『姉』は『・・・まぁ、見てな?』と、
威圧を込めながら言いいつつ、
顎で『クイっ』と対峙する2人へ視線を向けるよう促した。
(ど、どう言う事だ?
コレには何かあるのか?)
『姉』の仕草に目を細めた陸奥は、
渋々その視線を対峙する英二と『妹』へと向けた・・・。
{・・・ん?そこのガキ~?
もう掛かって来ないのか~?}
着地した姿勢のまま『妹』にそう告げられた英二は、
『冗談じゃねーよ・・・』と怒りを滲ませながら立ち上がった。
そして『キっ』と怒りの視線を『妹』へと向けながら、
英二は言葉を吐いた・・・。
{・・・突然来やがってよ。
何の挨拶もなく、陸奥さんをディスりやがって・・・
いくら陸奥さんの先輩だからってよ、
ちょいと勝手が過ぎるんじゃねーか?}
握り締める拳をより一層強く握り締めながら、
そう言った英二から『力』が溢れ出すと、
『バシュっ』と赤紫色の『鬼の気』が吹き出した・・・。
(つーか・・・この女・・・でかいな?
悠斗と同じくらいあんじゃねーか?
それに一見華奢な身体に見えるがそうじゃねー・・・。
さっきの蹴りでわかったが、かなりの筋力をしてやがる。
茶髪でチャラっぽく見えるのはあくまで見せかけってか?
けっ!ふざけんじゃねーっ!)
英二は赤紫の鬼の気を溢れさせながら『妹』を睨みつけ、
そしてそのヒシヒシと伝わって来る相手の実力に、
冷汗を流しながらも武者震いした。
{許せねー・・・。
てめーらみたいなヤツらは・・・
この俺がぶっ飛ばしてやるぜ}
{ほぅ~・・・。
その気迫・・・悪くないね~♪
でもいいのか~い?
あんた・・・ただじゃ済まなくなるけどさ~?}
英二の目の前で『妹』は不敵な笑みを浮かべた・・・。
{けっ!ただじゃ済まなくなるのはわかってんだよ・・・
つーか・・・実力が段違な事くらい、
俺でもわかるっつーのっ!
でもよ~・・・俺がどんなにボロボロにされようが、
そんな事知ったこっちゃねー・・・。
俺の尊敬する人が目の前でディスられてちゃ~な~、
黙っておける訳・・・ねーだろうがっ!}
(え、英二君・・・君ってヤツは・・・)
英二は燃えていた・・・。
実力差があっても引かぬと言う意思が陸奥にも見て取れた・・・。
(勝てる訳が・・・い、いや・・・。
コレは勝ち負けの問題じゃないんだよね?
私にも・・・いや、俺にもわかる。
引けない時ってのは誰にでもあるからな・・・)
陸奥はそう思いながらふと・・・。
隣に居る『姉』からの視線を顔を向けると、
笑みを浮かべながら肩を竦ませていた・・・。
(しかしこの2人は英二君の一体何を・・・?)
そう考えた時、『姉』の『始まるよ・・・』とその声に、
陸奥は視線を戻し戦いを見守るのだった・・・。
{・・・お前・・・名前は?}
突然そう尋ねられた英二は訝し気な表情を浮かべるも、
自らに親指を向けながら答えた。
{俺の名は英二・・・。
誰よりも強くなる為に・・・此処に来たっ!}
{・・・お、おう}
潔いそのセリフに『妹』は驚きつつも返答すると、
一瞬・・・『チラっ』と『姉』へと視線を向けた・・・。
(お姉・・・こ、こいつ・・・悪くねーよ?
バカだけど・・・見どころはあるんじゃねーか?
・・・バカだけど)
その言葉を『念話』にしなかったが、
『妹』の意図を察した『姉』は苦笑しながら小さく頷いた。
(・・・我が妹ながらわかりやすっ!
まぁ、だけど・・・いい気概を持った子だね~♪)
そう思いながら再び苦笑した『姉』に、
『妹』は改めて英二を見据えると声を挙げた・・・。
{・・・私の名は『果歩』・・・。
足掻く男は例えガキであっても嫌いじゃないよ♪}
先程とは打って変わって満面の笑みを見せた『果歩』に、
英二は一瞬『ドキっ』とし顏を赤らめた・・・。
{おうおうおう・・・照れちゃって・・・
中々可愛いところもあるんじゃねーか?}
{う、うっせーよっ!
こっちから行くぜっ!オラァァァァっ!}
{いいぜ・・・純情野郎っ!かかって来なっ♪}
駆け出した英二は真っ直ぐ『果歩』を目指しながら、
『コォォォォッ!』と更に呼吸音を高音へと変化させた・・・。
(ん?呼吸音が変わった?
確か『神野』の『身体強化系』にそんなのがあったな?)
その事を思い出した『果歩』は自然と笑みを浮かべ、
英二との戦いに胸躍らせた・・・。
{うぉりゃぁぁぁっ!}
斜め前へと跳躍した英二は蹴りの態勢へと入った。
それを見た『果歩』は眉間に強く皺を寄せると、
苛立った声色へと変えた・・・。
{私をがっかりさせんじゃねーよっ!
その蹴りはさっき見たっつーのっ!}
{うっせーっ!うらぁぁぁっ!}
声を張り上げながら蹴りを放つ英二に、
『果歩』は『自分の力でぶっ飛べっ!』と苛立ちを爆発させ、
英二の蹴りに対し再び両腕をクロスさせると、
『果歩』の周囲が『オレンジ色』に染まったのが見て取れた。
(な、何だっ!?)
そう思いながらも一度放たれた攻撃は止められない・・・。
言い知れぬモノを感じながらも英二は突っ込むと、
その蹴りは当然・・・『果歩』の両腕に止められた・・・。
クロスする腕の隙間から『果歩』が『ニヤり』と笑みを浮かべ、
『ほら・・・ぶっ飛べよっ!』と声を挙げた瞬間・・・。
『させっかよっ!』と英二の声が『果歩』の耳に届いた。
こうなる事を予想していたのか・・・。
英二は『へへっ』と笑うと『行くぜぇぇぇっ!』と声を張り上げた。
『果歩』のクロス腕に重心を預けた英二は、
その反発を利用し反転すると、
着地と同時に『果歩』の大きく広げられた足の間を滑り抜け、
その勢いのまま飛び上り、
『果歩』の背中に回し蹴りを放った・・・。
『ドスっ!』
『クっ』
一瞬だがそう呻き声を挙げた『果歩』に、
態勢を整えた英二は『へへっ』と笑っては見せたが、
その内心は動揺していたのだった・・・。
(・・・嘘だろっ!?
今のはいい感じで入ったはずだぜっ!?)
英二が驚くのも無理はなかった・・・。
『会心の一撃』とまではいかなくとも、
かなりの威力でヒットしたのにも関わらず、
『果歩』は一瞬呻くだで、
その場から一歩・・・動いただけだったのだ。
{へっへっへっ・・・ど、どうよ・・・}
少し顔を引き攣らせつつもそう声を挙げた英二に、
『果歩』は『へぇ~』と言いながら、
『パチパチ』とゆっくりと拍手して見せたのだった・・・。
{・・・ひょっとして~・・・お前さ~?
狙ってた?}
ゆっくりと拍手はするものの、
『果歩』は『ピクリ』とも笑ってはいなかったのだ。
{あ、あぁ・・・まぁ~な}
{へぇ~・・・}
関心する素振りを見せた『果歩』に、
英二は構えながら口を開いた・・・。
{最初に俺が蹴りを放った時、
その蹴りの衝撃がモロ・・・俺に跳ね返って来た。
だけどその跳ね返りの前に、溜めみたいなモノを感じたんだ}
{・・・それで?}
{で・・・よ。
あの技っつーか、あの防御ってよ?
衝撃を跳ね返す為には数秒・・・。
いや、3~4秒ほどのタイムラグがあるんじゃねーかとな?
だから俺の攻撃が・・・いや、
俺の体重がそのあんたの両腕に乗った瞬間、
身を翻し、次の攻撃に転じたんだ・・・}
身構えながらもそう説明した英二に、
『果歩』は『ほぅ~』と先程とは違い楽し気な声を出すと、
『パチパチパチ』とリズム良く拍手したのだった。
{・・・なっ、何拍手なんかしてんだよっ!?}
{あっはっはっ♪
いや、な~に・・・中々悪くないと思ってさ~?
お前・・・合格だよ♪}
{・・・ごっ、合格だぁ~?
一体何のこったよっ!?}
英二はそう言いながらその視線を『果歩』から『姉』へと向け、
肩を竦める『姉』に首を傾げた。
そしてその『姉』が英二に何かを言おうと口を開きかけた時、
『果歩』が楽し気に口を開いた。
{・・・とりあえずうちらの試験には合格したんだ~
此処からは個人的に楽しませてもらうけど、
何処までやれっかな?♪}
そう『果歩』が言った瞬間・・・。
『ガラリ』と一瞬にして『果歩』の雰囲気が変わった・・・。
(・・・なっ、何だっ!?)
英二は妙な雰囲気を醸し出す『果歩』に警戒すると、
呼吸を整え今度はその身体から魔力を放出し始めた・・・。
(ま、魔力っ!?)
そう驚き目を細めたのは誰でもない・・・陸奥だった。
(か、彼が魔力放出だなんて・・・
私が見ていた限りでは一度もなかったはず・・・。
い、いや、あるにはあったが、その時と比べると、
その濃度も質も段違いだ・・・)
唖然としそう考えていた陸奥を横目で見ていた『姉』は、
『ほほぅ~』と楽し気にその口角を上げていた。
(もしかすると・・・あの男、英二と言ったか?
私の予想以上に面白い子のようだね~♪)
顎を摩りながらそう考えていた『姉』の頭の中に、
果歩の『行くよっ!』と言う声が流れて来た・・・。
それを眺めながら『姉』は・・・。
『お手並み拝見♪』と内心期待に胸を膨らませていた・・・。
それから30分後・・・。
『バタン』と英二は前のめりに倒れ気絶した・・・。
{ふぅ~・・・思っていたよりこの子・・・粘ったわね~?}
やや気だるそうにそう言いながらも果歩は笑みを浮かべ、
とても満足そうに笑みを浮かべて居た・・・。
そして前のめりに倒れている英二に近付きしゃがみ込むと、
気絶した英二の頬を人差し指で『ツンツン』し始めた・・・。
{おっほ♪何気に可愛いじゃ~ん♪}
満面の笑みを浮かべ気絶する英二の顔を眺めていた時、
ふとこちらに近付く気配に果歩は声を挙げた。
{お姉~・・・こいつ、いいんじゃね?}
英二の頬を再び『ツンツン』しながらそう言った果歩に、
歩いて来る『姉』は『フフフフっ』と楽し気に笑っていた。
そしてそれを・・・。
『姉』に随行する陸奥が訝し気に見つめていた。
(・・・この2人は一体どういうつもりなんだ?
何がしたい・・・?
そしてどうして此処に来たんだ?
この姉妹の目的は・・・一体?)
陸奥は何があっても行動出来るよう、
神経を研ぎ澄まし、即座に対応出来るよう気構えた。
すると『姉』はソレを感じ取ったのか、
陸奥に対し『フっ』と苦笑すると口を開いた。
{・・・むっちゃんがそんなに気構えなくても、
別に私達はな~んにもしたりしないよ?}
{・・・どう言う事です?
いや、それよりも・・・
貴女達姉妹が此処に来た目的は一体なんですか?}
果歩と英二の傍まで来た2人に陸奥がそう尋ねると、
『姉』がこう言った・・・。
{・・・この子にちょいと興味が湧いた}
{・・・興味?}
{あぁ・・・。『夜叉様』が興味を抱き、
この子に『黒獅子』を教えたのよね?}
{・・・はい}
{だから・・・興味が湧いたのよ。
あの『夜叉様』が人間に興味を持つなんてね?
人間嫌いの『明王様』がどう言う風の吹き廻しだってね?}
『姉』の言葉に陸奥は『なるほど』と納得して見せると、
続いて果歩が立ち上がりながら口を開いた。
{・・・私は~ちと違うけどね?}
{・・・違う?}
そう訝し気な顔を見せた陸奥に、
果歩は気絶し横たわる英二を見つめながら口を開いた。
{・・・正直私は『夜叉様』の事なんてどうでもいい。
基本的に私は『お姉』のやりたい事に協力するってのが、
私のスタイルなんだけどさ・・・。
でも今回、この英二と戦ってみて思ったのよ・・・。
こいつ・・・面白しれ~ってね♪}
そう楽し気に話す果歩に『姉』は『ハハハ』と笑うと、
『あんたがそんな事言うなんてね?』と、
優しい表情で安堵の声を漏らしていた・・・。
するとそれを聞いていた陸奥が2人に向き直ると、
その真剣な眼差しに姉妹もまたその表情を変えた。
{・・・お2人共。
一体何をしに・・・出向かれたのですか?}
陸奥のその真剣な問いに、
『姉』も真剣な眼差しを返しながらこう答えた・・・。
{暴走しそうなお前を止めに来た・・・}
{っ!?}
{・・・お前、一体何を企んでいる?}
{・・・・・}
{いや、違う・・・か?
陸奥・・・お前はこの英二を使って何をしようとしている?}
{・・・わ、私は別に何も。
た、ただ・・・彼の・・・英二君の力に・・・}
そう言った陸奥の瞳が一瞬泳いだのを見た『姉』は、
鋭い眼差しを向けながらこう言った・・・。
{・・・英二を利用してお前の『妹の仇』でも取るつもりか?
って言うかさ~・・・あんたにはその兆候が見て取れるんだけど?}
{っ!?}
{おい・・・陸奥どうなんだ?}
{わ、私は別に・・・そんな事を考えていた訳じゃ}
{おい・・・陸奥・・・。
お前・・・目が泳いでるわよ?}
{・・・・・}
『姉』の言葉に陸奥は顏をヒクつかせるが、
『純粋に彼を鍛えたいだけだ』とそう主張した。
そんな陸奥の主張に『姉』の眉がピクリとするも、
『・・・信じよう』と言葉短くそう言ったのだった・・・。
そんな2人のやり取りを聞きながら、
果歩は再び気絶する英二の元にしゃがみ込み『ツンツン』し始めた。
(・・・ピリビリしてんね~?
でもお姉・・・これから一体どーすんのさ?
私は別にどっちでもいいよ?
お姉がやりたい事に私は付き合うだけだからさ・・・。
それに・・・。
この英二を育てて見たいって思いもあるからね~♪
こいつがどこまでやれるのか・・・試したい)
それから暫く時が経って・・・。
「うっ・・・うぅぅ・・・」
そう呻き声を挙げるも、この空間では声が届かない。
だが、あれからずっと英二の顔を眺めていた果歩が、
その反応を見て2人に声を挙げた。
{お姉、陸奥・・・英二が起きたよ}
果歩の声に2人は会話を中断すると近付き、
起きようとする英二の顔を覗き込んでいた・・・。
「ううっ・・・あ、あれ・・・此処は?」
そう声を発した途端・・・。
『ペシっ』と英二の鼻に軽い痛みが走り、
『痛っ!?』と声を挙げた。
{・・・英二君、おはよう}
聞き慣れた声が英二の頭の中に流れて来ると、
『あっ!?』と驚きの声を挙げた後・・・現状を理解した。
{あぁ~っと・・・俺・・・気絶してたんスね?}
{あぁ・・・そうだよ}
{つーか・・・あんた達もまだ居たのか?}
険しい表情でそう言った英二に、
果歩は苦笑しながら『生意気なガキんちょめっ♪』と、
再び英二の鼻を弾いた。
英二は『やめろよっ!』と声を挙げながら立ち上がると、
陸奥に向き直りこう言った・・・。
{陸奥さん・・・事情、説明してもらっていいっスか?}
{・・・そうだね。
じゃ~・・・どこから話そうか?}
陸奥はそう言いながら姉妹に視線を向け確認し合うと、
真剣な面持ちで説明を始めたのだがその途端・・・。
『グゥ~』
『・・・・・』
すると突然英二の腹の音がこの狭間の空間に鳴り響くと、
『ハハハっ』と苦笑いを浮かべながら英二がこう言った。
{と、とりあえず・・・腹減ったっス♪}
そんな英二の声に陸奥は薄目で微笑みながらね
小刻みに頷き、姉妹達は呆れたように口を開いた・・・。
{・・・お姉、こいつ・・・化けるかもよ?}
{・・・そ、そうね}
何とも言えない空気の中、
陸奥はマジックボックスから『飯』を人数分取り出し、
みんなで食べ始めたのだった・・・。
そして『飯』に勢いよく喰らいつく、
英二の声が鳴り響いた・・・。
{うんめぇぇぇぇぇっ!♪}
そう声を挙げた英二をみんなが見つめ微笑むと、
果歩が渋い表情を浮かべながらこう呟いた・・・。
{・・・平和ね~}
その後は団らんとも言うべき時間が流れ、
夜が更けて行ったのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話は如何だったでしょうか?
ってか、前書きと後書き書くのにめっちゃ苦労してる^^;
さて、今回『活動報告』の方には、
今回登場した『商魂姉妹』をアップしております。
これからも何とか・・・?頑張って、
投稿して行きたいと思いますっ!
メンタル面はめっちゃ元気なんだけどね~?
まじで何とかならんかね?w
ってなことで、緋色火花でした。




