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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
355/406

閑話3・姉妹と兆候

お疲れ様です。


未だ利き目が見えない緋色で御座います。


とりあえず英二のお話は5話までありますので、

問題なくアップできます。


ですが・・・。

それ以降は投稿が遅れたらごめんなさい。

そうならないよう頑張りたいと思いますが、

現状何とも言えません><


ん~・・・。

やはり『桃鉄占い』は・・・当たるっ!w



それでは、閑話3をお楽しみ下さい。

この『狭間の空間』に突然聞き慣れたメロディーが流れると、

陸奥が『襖』を開け、現世からやって来たのは、

『商魂姉妹』と呼ばれた者達だった・・・。


{・・・ご無沙汰しております}


軽くお辞儀をして見せた陸奥に、

長い黒髪の威圧感が半端ない『姉』が、

軽快な口調で『御無沙汰~♪』と軽く片手を上げた。


そして『邪魔するよ~♪』と出迎えた陸奥の顏など見る事も無く、

その『姉妹』はズカズカと中へと入って来たのだった・・・。


『姉妹』は中へと入り足を止めると、

訓練中の英二に視線を向けじっと見つめていた。


そして後方に居る陸奥に顏を向ける事無く、

さも、そこに居て当たり前かのように口を開いていった。


{・・・アレが例の坊やだね?}


{・・・はい。

 彼の名は『英二』

 神野では『一番隊』の隊長を務めていた男です}


{・・・へぇ~}


『どうでもいい』とでも言いたげに小さくそう言うと、

『・・・で?』と陸奥に向き直った。


{・・・で?と、言われても}


陸奥の物言いが気に入らなかったのか、

『姉』の眉間に一瞬皺が寄ると、

それを『姉』の横に居た『妹』が声を荒げた。


{てめー・・・お姉にそんな態度取っていいのかよ?}


苛立ちを隠そうともせず一歩前に踏み出しながらそう言うと、

『姉』が『妹』の肩を掴み諭した。


{果歩・・・こいつの物言いなんて気にしなくていいから}


{で、でも・・・お姉・・・}


顔を引き攣らせている『妹』に、

『姉』は無言で首を振って見せた・・・。


{お、お姉がそう言うんじゃ・・・仕方がないけど・・・}


『妹』が『姉』に諭され渋々承知し陸奥へと向き直ると、

突然陸奥の胸倉を掴みながら静かに威圧した。


{てめー・・・陸奥の分際で・・・何様だ~?

 先輩には敬意を払えっていつも言ってるよな~?}


『グググっ』とその腕に力が入ると陸奥の身体は宙に浮き出した。


{・・・け、敬意は勿論。

 で、ですが・・・先輩・・・。

 もう少し・・・後輩にも優しくしたらどうですかね?}


やや息苦しくそう言い返した陸奥に、

『妹』のこめかみが『ヒク』ついた・・・。


{・・・まじでまたボコってやろうか?}


『妹』は陸奥の顔に当たるくらいに顏を近付けそう言うと、

『・・・そう言うところですよ』と言った陸奥にキレた・・・。


{てめーっ!先輩に対する礼儀ってのを、

 もう一度叩き込んでやるっ!}


そう怒声を発した『妹』に陸奥は『ニヤっ』と笑って見せると、

『妹』は吊るし上げるその腕に力が入り、

そのままぶん投げたのだった・・・。


{陸奥さんっ!?}


訓練途中にも関らず英二はその足を止め、

その雰囲気ただならぬ様子を見ていると、

陸奥が放り投げられた為、

言葉を発するのと同時に駆け出していた・・・。


{て、てめーらぁぁぁぁっ!

 陸奥さんに何やってんだゴラァァァァっ!?}


そう『念話』で吠えながら、

英二は『コォォォォォっ!』と呼吸音を更に一段階上げた。


投げ飛ばされた陸奥は空中で身体を捻りつつ見事に着地をすると、

猛然と突っ込んで来る英二に声を荒げた。


{だ、駄目だっ!英二君っ!?

 これは彼女達の挑発なんだっ!}


そう英二に叫んでみたものの、

怒り心頭な英二の耳に陸奥の声は届かなかった・・・。



『うおぉぉぉぉぉっ!』と猛然と突っ込んで来た英二は、

迷う事無く陸奥を投げ飛ばした『妹』へと接近すると、

跳躍しながら蹴りを放った・・・。


{ぶっ飛べぇぇぇぇっ!}


{上等ーっ!}


『ガシっ!』


『妹』は英二の蹴りを腕をクロスさせ防ぐと、

『それだけかぁぁぁっ!』と咆哮しつつ英二を跳ね除けた。


(ぐおっ!?蹴りの威力が跳ね返ってっ!?)


力技で弾き返された英二は一回転しながら着地すると、

眉間に皺を寄せ『まじかよ・・・?』と呟き、

右脚に触れながらダメージを確認した・・・。


『バキっ!ボキっ!』と不敵な笑みを浮かべつつ、

険しい表情を浮かべる英二を見ながら、

『・・・フっ、雑魚が』と呟いた。


{え、英二君っ!止めるんだっ!}


英二を心配する陸奥は2人の戦いを止める為、

そう言いながら駆け出そうとした時、

陸奥の行動を『姉』が手を伸ばし止めた・・・。


{・・・なっ、何故止めるんですかっ!?}


{・・・・・}


無言で2人の様子を見つめる『姉』に、

陸奥は声を荒げた。


{一体貴女達は何がしたいんだっ!?}


陸奥の言葉に『キっ』と・・・

睨みつけるように陸奥に視線を向けると、

『姉』は言葉をこう続けた・・・。


{・・・別にどうする訳でもないわよ?}


{・・・な、何っ!?}


{・・・うちらは見たいのさ。

 噂の『神野んとこの兵』がどれほどのモノかを・・・ね}


{・・・彼を鍛えるのは俺の仕事だっ!

 そこを・・・そこをどけっ!}


陸奥が怒りを露にし口調が変わった瞬間・・・。

『姉』の背筋に『ゾワっ』と寒気が走った。


(・・・ハハハ、中々いい殺気を発するようになったじゃないか?)


陸奥の成長を感じた『姉』は含んだ笑みを見せるが、

それに気付いた陸奥が拳を握り締めながら口を開こうとした・・・。


すると『姉』は『・・・まぁ、見てな?』と、

威圧を込めながら言いいつつ、

顎で『クイっ』と対峙する2人へ視線を向けるよう促した。


(ど、どう言う事だ?

 コレには何かあるのか?)


『姉』の仕草に目を細めた陸奥は、

渋々その視線を対峙する英二と『妹』へと向けた・・・。



{・・・ん?そこのガキ~?

 もう掛かって来ないのか~?}


着地した姿勢のまま『妹』にそう告げられた英二は、

『冗談じゃねーよ・・・』と怒りを滲ませながら立ち上がった。


そして『キっ』と怒りの視線を『妹』へと向けながら、

英二は言葉を吐いた・・・。


{・・・突然来やがってよ。

 何の挨拶もなく、陸奥さんをディスりやがって・・・

 いくら陸奥さんの先輩だからってよ、

 ちょいと勝手が過ぎるんじゃねーか?}



握り締める拳をより一層強く握り締めながら、

そう言った英二から『力』が溢れ出すと、

『バシュっ』と赤紫色の『鬼の気』が吹き出した・・・。


(つーか・・・この女・・・でかいな?

 悠斗と同じくらいあんじゃねーか?

 それに一見華奢な身体に見えるがそうじゃねー・・・。

 さっきの蹴りでわかったが、かなりの筋力をしてやがる。

 茶髪でチャラっぽく見えるのはあくまで見せかけってか?

 けっ!ふざけんじゃねーっ!)


英二は赤紫の鬼の気を溢れさせながら『妹』を睨みつけ、

そしてそのヒシヒシと伝わって来る相手の実力に、

冷汗を流しながらも武者震いした。


{許せねー・・・。

 てめーらみたいなヤツらは・・・

 この俺がぶっ飛ばしてやるぜ}


{ほぅ~・・・。

 その気迫・・・悪くないね~♪

 でもいいのか~い?

 あんた・・・ただじゃ済まなくなるけどさ~?}


英二の目の前で『妹』は不敵な笑みを浮かべた・・・。


{けっ!ただじゃ済まなくなるのはわかってんだよ・・・

 つーか・・・実力が段違(だんち)な事くらい、

 俺でもわかるっつーのっ!

 でもよ~・・・俺がどんなにボロボロにされようが、

 そんな事知ったこっちゃねー・・・。

 俺の尊敬する人が目の前でディスられてちゃ~な~、

 黙っておける訳・・・ねーだろうがっ!}


(え、英二君・・・君ってヤツは・・・)


英二は燃えていた・・・。


実力差があっても引かぬと言う意思が陸奥にも見て取れた・・・。


(勝てる訳が・・・い、いや・・・。

 コレは勝ち負けの問題じゃないんだよね?

 私にも・・・いや、俺にもわかる。

 引けない時ってのは誰にでもあるからな・・・)


陸奥はそう思いながらふと・・・。

隣に居る『姉』からの視線を顔を向けると、

笑みを浮かべながら肩を竦ませていた・・・。


(しかしこの2人は英二君の一体何を・・・?)


そう考えた時、『姉』の『始まるよ・・・』とその声に、

陸奥は視線を戻し戦いを見守るのだった・・・。



{・・・お前・・・名前は?}


突然そう尋ねられた英二は訝し気な表情を浮かべるも、

自らに親指を向けながら答えた。


{俺の名は英二・・・。

 誰よりも強くなる為に・・・此処に来たっ!}


{・・・お、おう}


潔いそのセリフに『妹』は驚きつつも返答すると、

一瞬・・・『チラっ』と『姉』へと視線を向けた・・・。


(お姉・・・こ、こいつ・・・悪くねーよ?

 バカだけど・・・見どころはあるんじゃねーか?

 ・・・バカだけど)


その言葉を『念話』にしなかったが、

『妹』の意図を察した『姉』は苦笑しながら小さく頷いた。


(・・・我が妹ながらわかりやすっ!

 まぁ、だけど・・・いい気概を持った子だね~♪)


そう思いながら再び苦笑した『姉』に、

『妹』は改めて英二を見据えると声を挙げた・・・。


{・・・私の名は『果歩』・・・。

 足掻く男は例えガキであっても嫌いじゃないよ♪}


先程とは打って変わって満面の笑みを見せた『果歩』に、

英二は一瞬『ドキっ』とし顏を赤らめた・・・。


{おうおうおう・・・照れちゃって・・・

 中々可愛いところもあるんじゃねーか?}


{う、うっせーよっ!

 こっちから行くぜっ!オラァァァァっ!}


{いいぜ・・・純情野郎っ!かかって来なっ♪}


駆け出した英二は真っ直ぐ『果歩』を目指しながら、

『コォォォォッ!』と更に呼吸音を高音へと変化させた・・・。


(ん?呼吸音が変わった?

 確か『神野』の『身体強化系』にそんなのがあったな?)


その事を思い出した『果歩』は自然と笑みを浮かべ、

英二との戦いに胸躍らせた・・・。


{うぉりゃぁぁぁっ!}


斜め前へと跳躍した英二は蹴りの態勢へと入った。

それを見た『果歩』は眉間に強く皺を寄せると、

苛立った声色へと変えた・・・。


{私をがっかりさせんじゃねーよっ!

 その蹴りはさっき見たっつーのっ!}


{うっせーっ!うらぁぁぁっ!}


声を張り上げながら蹴りを放つ英二に、

『果歩』は『自分の力でぶっ飛べっ!』と苛立ちを爆発させ、

英二の蹴りに対し再び両腕をクロスさせると、

『果歩』の周囲が『オレンジ色』に染まったのが見て取れた。


(な、何だっ!?)


そう思いながらも一度放たれた攻撃は止められない・・・。

言い知れぬモノを感じながらも英二は突っ込むと、

その蹴りは当然・・・『果歩』の両腕に止められた・・・。


クロスする腕の隙間から『果歩』が『ニヤり』と笑みを浮かべ、

『ほら・・・ぶっ飛べよっ!』と声を挙げた瞬間・・・。


『させっかよっ!』と英二の声が『果歩』の耳に届いた。


こうなる事を予想していたのか・・・。

英二は『へへっ』と笑うと『行くぜぇぇぇっ!』と声を張り上げた。


『果歩』のクロス腕に重心を預けた英二は、

その反発を利用し反転すると、

着地と同時に『果歩』の大きく広げられた足の間を滑り抜け、

その勢いのまま飛び上り、

『果歩』の背中に回し蹴りを放った・・・。


『ドスっ!』


『クっ』


一瞬だがそう呻き声を挙げた『果歩』に、

態勢を整えた英二は『へへっ』と笑っては見せたが、

その内心は動揺していたのだった・・・。


(・・・嘘だろっ!?

 今のはいい感じで入ったはずだぜっ!?)


英二が驚くのも無理はなかった・・・。


『会心の一撃』とまではいかなくとも、

かなりの威力でヒットしたのにも関わらず、

『果歩』は一瞬呻くだで、

その場から一歩・・・動いただけだったのだ。


{へっへっへっ・・・ど、どうよ・・・}


少し顔を引き攣らせつつもそう声を挙げた英二に、

『果歩』は『へぇ~』と言いながら、

『パチパチ』とゆっくりと拍手して見せたのだった・・・。


{・・・ひょっとして~・・・お前さ~?

 狙ってた?}


ゆっくりと拍手はするものの、

『果歩』は『ピクリ』とも笑ってはいなかったのだ。


{あ、あぁ・・・まぁ~な}


{へぇ~・・・}


関心する素振りを見せた『果歩』に、

英二は構えながら口を開いた・・・。


{最初に俺が蹴りを放った時、

 その蹴りの衝撃がモロ・・・俺に跳ね返って来た。

 だけどその跳ね返りの前に、溜めみたいなモノを感じたんだ}


{・・・それで?}


{で・・・よ。

 あの技っつーか、あの防御ってよ?

 衝撃を跳ね返す為には数秒・・・。

 いや、3~4秒ほどのタイムラグがあるんじゃねーかとな?

 だから俺の攻撃が・・・いや、

 俺の体重がそのあんたの両腕に乗った瞬間、

 身を翻し、次の攻撃に転じたんだ・・・}


身構えながらもそう説明した英二に、

『果歩』は『ほぅ~』と先程とは違い楽し気な声を出すと、

『パチパチパチ』とリズム良く拍手したのだった。


{・・・なっ、何拍手なんかしてんだよっ!?}


{あっはっはっ♪

 いや、な~に・・・中々悪くないと思ってさ~?

 お前・・・合格だよ♪}


{・・・ごっ、合格だぁ~?

 一体何のこったよっ!?}


英二はそう言いながらその視線を『果歩』から『姉』へと向け、

肩を竦める『姉』に首を傾げた。


そしてその『姉』が英二に何かを言おうと口を開きかけた時、

『果歩』が楽し気に口を開いた。


{・・・とりあえずうちらの試験には合格したんだ~

 此処からは個人的に楽しませてもらうけど、

 何処までやれっかな?♪}


そう『果歩』が言った瞬間・・・。


『ガラリ』と一瞬にして『果歩』の雰囲気が変わった・・・。


(・・・なっ、何だっ!?)


英二は妙な雰囲気を醸し出す『果歩』に警戒すると、

呼吸を整え今度はその身体から魔力を放出し始めた・・・。


(ま、魔力っ!?)


そう驚き目を細めたのは誰でもない・・・陸奥だった。


(か、彼が魔力放出だなんて・・・

 私が見ていた限りでは一度もなかったはず・・・。

 い、いや、あるにはあったが、その時と比べると、

 その濃度も質も段違いだ・・・)


唖然としそう考えていた陸奥を横目で見ていた『姉』は、

『ほほぅ~』と楽し気にその口角を上げていた。


(もしかすると・・・あの男、英二と言ったか?

 私の予想以上に面白い子のようだね~♪)


顎を摩りながらそう考えていた『姉』の頭の中に、

果歩の『行くよっ!』と言う声が流れて来た・・・。


それを眺めながら『姉』は・・・。

『お手並み拝見♪』と内心期待に胸を膨らませていた・・・。



それから30分後・・・。


『バタン』と英二は前のめりに倒れ気絶した・・・。


{ふぅ~・・・思っていたよりこの子・・・粘ったわね~?}


やや気だるそうにそう言いながらも果歩は笑みを浮かべ、

とても満足そうに笑みを浮かべて居た・・・。


そして前のめりに倒れている英二に近付きしゃがみ込むと、

気絶した英二の頬を人差し指で『ツンツン』し始めた・・・。


{おっほ♪何気に可愛いじゃ~ん♪}


満面の笑みを浮かべ気絶する英二の顔を眺めていた時、

ふとこちらに近付く気配に果歩は声を挙げた。


{お姉~・・・こいつ、いいんじゃね?}


英二の頬を再び『ツンツン』しながらそう言った果歩に、

歩いて来る『姉』は『フフフフっ』と楽し気に笑っていた。


そしてそれを・・・。

『姉』に随行する陸奥が訝し気に見つめていた。


(・・・この2人は一体どういうつもりなんだ?

 何がしたい・・・?

 そしてどうして此処に来たんだ?

 この姉妹の目的は・・・一体?)


陸奥は何があっても行動出来るよう、

神経を研ぎ澄まし、即座に対応出来るよう気構えた。


すると『姉』はソレを感じ取ったのか、

陸奥に対し『フっ』と苦笑すると口を開いた。


{・・・むっちゃんがそんなに気構えなくても、

 別に私達はな~んにもしたりしないよ?}


{・・・どう言う事です?

 いや、それよりも・・・

 貴女達姉妹が此処に来た目的は一体なんですか?}


果歩と英二の傍まで来た2人に陸奥がそう尋ねると、

『姉』がこう言った・・・。


{・・・この子にちょいと興味が湧いた}


{・・・興味?}


{あぁ・・・。『夜叉様』が興味を抱き、

 この子に『黒獅子』を教えたのよね?}


{・・・はい}


{だから・・・興味が湧いたのよ。

 あの『夜叉様』が人間に興味を持つなんてね?

 人間嫌いの『明王様』がどう言う風の吹き廻しだってね?}


『姉』の言葉に陸奥は『なるほど』と納得して見せると、

続いて果歩が立ち上がりながら口を開いた。


{・・・私は~ちと違うけどね?}


{・・・違う?}


そう訝し気な顔を見せた陸奥に、

果歩は気絶し横たわる英二を見つめながら口を開いた。


{・・・正直私は『夜叉様』の事なんてどうでもいい。

 基本的に私は『お姉』のやりたい事に協力するってのが、

 私のスタイルなんだけどさ・・・。

 でも今回、この英二と戦ってみて思ったのよ・・・。

 こいつ・・・面白しれ~ってね♪}


そう楽し気に話す果歩に『姉』は『ハハハ』と笑うと、

『あんたがそんな事言うなんてね?』と、

優しい表情で安堵の声を漏らしていた・・・。


するとそれを聞いていた陸奥が2人に向き直ると、

その真剣な眼差しに姉妹もまたその表情を変えた。


{・・・お2人共。

 一体何をしに・・・出向かれたのですか?}


陸奥のその真剣な問いに、

『姉』も真剣な眼差しを返しながらこう答えた・・・。


{暴走しそうなお前を止めに来た・・・}


{っ!?}


{・・・お前、一体何を企んでいる?}


{・・・・・}


{いや、違う・・・か?

 陸奥・・・お前はこの英二を使って何をしようとしている?}


{・・・わ、私は別に何も。

 た、ただ・・・彼の・・・英二君の力に・・・}


そう言った陸奥の瞳が一瞬泳いだのを見た『姉』は、

鋭い眼差しを向けながらこう言った・・・。


{・・・英二を利用してお前の『妹の仇』でも取るつもりか?

 って言うかさ~・・・あんたにはその兆候が見て取れるんだけど?}


{っ!?}


{おい・・・陸奥どうなんだ?}


{わ、私は別に・・・そんな事を考えていた訳じゃ}


{おい・・・陸奥・・・。

 お前・・・目が泳いでるわよ?}


{・・・・・}


『姉』の言葉に陸奥は顏をヒクつかせるが、

『純粋に彼を鍛えたいだけだ』とそう主張した。


そんな陸奥の主張に『姉』の眉がピクリとするも、

『・・・信じよう』と言葉短くそう言ったのだった・・・。


そんな2人のやり取りを聞きながら、

果歩は再び気絶する英二の元にしゃがみ込み『ツンツン』し始めた。


(・・・ピリビリしてんね~?

 でもお姉・・・これから一体どーすんのさ?

 私は別にどっちでもいいよ?

 お姉がやりたい事に私は付き合うだけだからさ・・・。

 それに・・・。

 この英二を育てて見たいって思いもあるからね~♪

 こいつがどこまでやれるのか・・・試したい)



それから暫く時が経って・・・。


「うっ・・・うぅぅ・・・」


そう呻き声を挙げるも、この空間では声が届かない。

だが、あれからずっと英二の顔を眺めていた果歩が、

その反応を見て2人に声を挙げた。


{お姉、陸奥・・・英二が起きたよ}


果歩の声に2人は会話を中断すると近付き、

起きようとする英二の顔を覗き込んでいた・・・。


「ううっ・・・あ、あれ・・・此処は?」


そう声を発した途端・・・。

『ペシっ』と英二の鼻に軽い痛みが走り、

『痛っ!?』と声を挙げた。


{・・・英二君、おはよう}


聞き慣れた声が英二の頭の中に流れて来ると、

『あっ!?』と驚きの声を挙げた後・・・現状を理解した。


{あぁ~っと・・・俺・・・気絶してたんスね?}


{あぁ・・・そうだよ}


{つーか・・・あんた達もまだ居たのか?}


険しい表情でそう言った英二に、

果歩は苦笑しながら『生意気なガキんちょめっ♪』と、

再び英二の鼻を弾いた。


英二は『やめろよっ!』と声を挙げながら立ち上がると、

陸奥に向き直りこう言った・・・。


{陸奥さん・・・事情、説明してもらっていいっスか?}


{・・・そうだね。

 じゃ~・・・どこから話そうか?}


陸奥はそう言いながら姉妹に視線を向け確認し合うと、

真剣な面持ちで説明を始めたのだがその途端・・・。


『グゥ~』


『・・・・・』


すると突然英二の腹の音がこの狭間の空間に鳴り響くと、

『ハハハっ』と苦笑いを浮かべながら英二がこう言った。


{と、とりあえず・・・腹減ったっス♪}


そんな英二の声に陸奥は薄目で微笑みながらね

小刻みに頷き、姉妹達は呆れたように口を開いた・・・。


{・・・お姉、こいつ・・・化けるかもよ?}


{・・・そ、そうね}


何とも言えない空気の中、

陸奥はマジックボックスから『飯』を人数分取り出し、

みんなで食べ始めたのだった・・・。


そして『飯』に勢いよく喰らいつく、

英二の声が鳴り響いた・・・。


{うんめぇぇぇぇぇっ!♪}


そう声を挙げた英二をみんなが見つめ微笑むと、

果歩が渋い表情を浮かべながらこう呟いた・・・。


{・・・平和ね~}


その後は団らんとも言うべき時間が流れ、

夜が更けて行ったのだった・・・。






ってな事で・・・。

今回のお話は如何だったでしょうか?


ってか、前書きと後書き書くのにめっちゃ苦労してる^^;


さて、今回『活動報告』の方には、

今回登場した『商魂姉妹』をアップしております。


これからも何とか・・・?頑張って、

投稿して行きたいと思いますっ!


メンタル面はめっちゃ元気なんだけどね~?

まじで何とかならんかね?w


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大変な状態で執筆なさっているのですね。 お大事になさってください。 そんな中で産み出されている英二君の話に癒されています(^_^) 「馬鹿だけど」(笑)にくめない、ホッコリする英二君♥︎…
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