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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
354/406

閑話2・狭間の空間と・・・。

お疲れ様です。


サイトの仕様が変わり初めての投稿となります。


上手くアップ出来ているといいのですが・・・。

めっっっちゃ不安です><


さて、今回のお話は前回に続き英二のお話となっております。

一応今現在・・・。

『5話』まで出来ていますが、

現在利き目である左目を負傷しておりまして、

何とも言えない状況となっております。


もはや気力では治させないもので・・・^^;




それでは、閑話2をお楽しみ下さい。

英二は陸奥に連れられ、廃寺の離れに在る部屋へと入った。


真っ白い何もない空間・・・。

声を発する事も出来ず居た英二だったが、

ふと駆け出した時、すぐに息が切れその場で蹲ってしまった。


{人の話をしっかり聞かないと・・・。

 英二君・・・

 君・・・すぐに死んじゃうよ?}


そんな陸奥の忠告を聞いた英二は、

土下座をすると改めて宜しくお願いしますと告げたのだった。



{・・・まぁ、最初は分からない事ばかりだろうからね?

 だから最初に基本的な事を言っておくと、

 この空間はあの世とこの世の『狭間に在る空間』なんだ。

 そしてこの空間では声を発する事は出来ない。

 念話でのみ・・・会話が可能となっている}


{念話でのみ・・・ですか?}


{あぁ、何故そのような仕様になっていのかは、

 私には分からないけどね。

 私も英二君と同じようにまず此処で修行したから良く知っている}


{む、陸奥さんも此処で?}


{あぁ・・・あ、あの頃の事を思い出すと・・・

 うぅぅ・・・め、眩暈と吐き気が・・・}


陸奥はそう言いながら額に手を当てると、

フラフラと床に伏してしまった・・・。


(む、陸奥さんほどの人がこれほど・・・。

 い、一体此処で何があったんだ?)


そんな疑問を抱きつつも話を続ける陸奥に、

英二は頷きながら聞いていた。


すると陸奥はとても言いにくそうに口を開いた。


{さ、最初に言っておきたいんだけどね?

 じ、実はここ・・・トイレがないんだ・・・}


陸奥の衝撃的な言葉に英二は我を忘れ、

思わず声に出して叫び声を挙げてしまった・・・。


「なっ、何ですとぉぉぉぉっ!」


そう声を挙げた束の間、『ゴホっ、ゴホっ』と突然咳き込み、

唸り声を挙げながら床に伏し、息苦しそうに呻いた。


(い、息がっ!?ど、どうしてっ!?

 ダ、ダメ・・・だ・・・

 お、俺・・・まだ何もしてねーのに・・・

 お、俺・・・ヲワタ・・・)


次第に意識が朦朧とし始めた時、

陸奥が『英二君っ!』と叫ぶ声が聞こえた・・・。


すると一瞬英二の身体が温かくなるのを感じると、

『スゥゥ』っと、先程までの苦しさが嘘のように呼吸が楽になった。


「あ、あれ・・・?呼吸が?」


そう言いながら顏を上げると、

そこには英二に手をかざしながら念仏のようなモノを唱える、

陸奥の姿があった・・・。


「・・・む、陸奥・・・さん?」


すると陸奥は安堵の色を浮かべ胸を撫で下ろした。


{英二君・・・。

 まぁ~これは私も含めてそうなんだけど、

 今の君の苦しみはみんなが味わっているから、

 気持ちはよーくわかる。

 だから覚えておいて欲しい・・・。

 急激に感情を高ぶらせたりすると、そうなっちゃうからね?

 だから今後は気をつけてほしいんだ・・・}


そう念話で語って来る陸奥に、

英二は無言ながら必死で『コクコクコク』と何度も頷いていた。



少しして、完全に英二が細心の注意を払おうと決心した時、

陸奥は先程の『トイレ』について口を開いた・・・。


{実際見ての通り・・・。

 此処にトイレはないけど、私と君の簡易トイレを持って来ている}


陸奥の話に『ほっ』と息を吐いた英二だったが、

ふと・・・ある事に気付いた・・・。


{か、簡易トイレは非常に有難いんスけど・・・

 で、でも此処って・・・壁が・・・}


{ま、まぁ~・・・見ての通り・・・壁などない。

 だから出来るだけ・・・ね?}


苦笑しながらそう言った陸奥に、

英二もまた『そ、そうっスね・・・』と苦笑いを浮かべ、

続けて言葉を付け足した・・・。


{だからまぁ~、薄々気付いて居るとは思うんだけどさ?

 トレイが無いって事は・・・}


陸奥がそう言葉を付け足すと英二は盛大に顔を引き攣らせ、

確認でもするかのように『キョロキョロ』と辺りを見渡すと・・・。


・・・膝から崩れ落ちた。


{・・・ふ、風呂すらねーのかよぉぉぉぉぉっ!}


英二の心の叫びに陸奥はその『念話の声』の大きさに、

頭を抱え蹲ってしまったのだった・・・。



それから暫くして・・・。


陸奥と共に修行に入って行った・・・。


{で・・・、陸奥さん。

 俺は此処で一体何をすればいいんスか?}


{あぁ、それなんだけどさ、

 まずは軽くランニングしてみてよ?}


{・・・ランニング・・・っスか?}


首を傾げながらそう言った英二に、

陸奥は頷きながらも言葉を付け加えた。


{・・・うんうん。

 でも普通に走っちゃうとまた呼吸困難になっちゃうから、

 君達が得意な『気道』を使って走るんだよ?}


{・・・気道っスか?

 わかったっスけど・・・}


何か言いたい事があるのだろう・・・。


英二は訝しい表情を見せるものの、

陸奥は『ほらっ』と言って、英二を急かせたのだった。


『コォォォっ!繰術っ!』


呼吸音を変え繰術を使用した英二は走り始めたが、

その脳裏には数々の疑問が巡っていた・・・。


(・・・つーか、何で繰術を使わねーといけねーんだ?

 俺は別に素人じゃねーんだ・・・。

 軽く走る程度なら別に呼吸も乱れる事なんてねーのにな?)


そう心の中で愚痴を言いながらも英二は走って行く。


そしてそれを見ていた陸奥は今、

英二が考えていそうな事を想像して苦笑していたのだった。


(まぁ~、別に説明するのはやぶさかではないけど、

 最初に色々と説明した所で理解なんて出来ないしね。

 だからまずは身を以って・・・経験してもらうのが一番なのさ。

 私も此処に来た時は・・・あはは・・・

 地獄を見たしね~・・・)


陸奥は当時の事を思い出すと『ブルブルっ』と身体を震わせ、

トラウマと言ってもいいこの場所を改めて見渡していた。


(まぁ~でも、英二君はまだいい方なんだよね。

 だって、彼は『気道』が使えるんだからさ~・・・。

 何も知らないただのサラリーマンだった私には、

 そりゃ~もう・・・地獄でしかなかったからね~)


陸奥は再び当時の事を思い出していた・・・。


それは過去・・・。

窮地に陥った陸奥が『監視者』に助けられ、

目的を遂げる為にこの地に来た・・・。


当時の陸奥がこの地に来た時、

彼はスーツ姿でこの部屋に入ったのだった・・・。


(・・・無知ってほんと・・・怖い・・・)


胸の中でそうブツブツと独り言を言いながらもその視線は、

軽く走る英二の姿を捕らえて離さなかった。



そんな時だった・・・。


突然陸奥の頭の中に『念話』が流れて来た・・・。


だが陸奥はその声を聞くと同時に嫌悪感を露にし、

その『念話』に面倒臭そうに答えたのだった・・・。


{えっと~・・・何か用・・・ですか?先輩}


実に面倒臭そうに・・・。

そしてとても嫌そうに陸奥がそう返答すると、

『念話』を送って来た主は少し苛立った返答をしてきた。


{・・・はぁ~?あんた・・・一体誰にモノ言ってんのさ?}


{・・・はぁ}


{あんたは誰の・・・お・か・げ・でっ!

 生きていられてると思ってんのさ?}


{・・・はいはい、そうでしたね。

 以前は本当にお世話になりましたね・・・。

 ちゃんと覚えていますから・・・}


本当に面倒臭そうに返答する陸奥に、

文句が当然返って来ると覚悟はしていたが、

ソレを遮る声が聞こえて来た・・・。


{・・・あ、あんた、そ、その態度・・・}


{突然すまないね~?むっちゃん}


{・・・あ、はい。ご無沙汰しております。

 志保姉さん・・・}


{いやいや、ご無沙汰ご無沙汰~♪

 ってか、妹が失礼な態度で・・・大変申し訳なく・・・}


{いえ、別に・・・構いませんけど、

 で、どう言ったご用件でしょうか?}


陸奥はその声に少し緊張を走らなせながら返答すると、

『志保』と呼ばれたその女性は返答してきた・・・。


{ちょいと小耳に挟んじまってね~?}


{・・・何をです?}


{あんたが『神野』んとこの子を連れて来たってさ?}


{あぁ~・・・}


陸奥は走り続ける英二を見ながら返答すると、

『志保』は続けて口を開いて行った・・・。


{まさか仏界に『神野』のヤツを連れて来るなんてさ~・・・

 私らからしたら思わないじゃない?}


{・・・まぁ、そうでしょうね?}


そう返答した陸奥に何か思うところがあるのか、

『志保』は少しドスの利いた声を挙げた。


{・・・何でそんな連中を?

 うちらは『監視者』なんだよ?

 一体どういうつもりで連れて来たのさ?}


『・・・かなり苛立ってるな~?』と感じた陸奥は、

事の経緯を説明し、あの方々にも説明し許可は得ていると話した。


{・・・へぇ~、その子が『不動の鎧』をね~?}


陸奥は『不動の鎧』の経緯を話す前に、

英二が天照から与えられた『疑似鬼(ぎじおに)』の話や、

とある村での『闇』との戦闘の話もしたのだが、

『志保』はそれらを気にする事も無く、

ただ・・・。

『不動の鎧』を使用したと言う事だけを口にしたのだった・・・。


{はい、ですから『上の方々』は大変気にしておられるばかりか、

 『黒獅子』まで伝授されて・・・}


そう説明する陸奥に一瞬・・・驚いたのだろう。

言葉を詰まらせ、少しの間・・・沈黙が続いた・・・。


すると今度は最初に『念話』を送って来た声の主が口を開き、

その声に再び陸奥は顏を引き攣らせたのだった。


{・・・まじかよーっ!?

 おい・・・陸奥!}


{・・・はい、今度は何でしょうか・・・『果歩』さん}


陸奥がその女性の名を口にした時、

『果歩』と言うその女性は『念話』であるのにも関らず、

小声で話しかけて来た・・・。


{お前は今、そいつに関わっている場合なの?

 あんたには目的があんでしょうが?}


{まぁ~、そうなんですけどね。

 上手く言えないんですけど、彼と関わり合いを持っていれば、

 自然と・・・そいつと出会えるじゃないですか?}


少し伏目がちになりながらそう答える陸奥に、

『果歩』は『・・・ふーん』と意味有り気に言った・・・。


すると再び『志保』が割って入り、

陸奥が思いも寄らぬ事を言った・・・。


{・・・うちらもそっちに行ってももいいかい?}


{・・・えっ?}


{まぁ、積る話はそっちでするとして、

 そこに居る坊やの面倒も見るからさ?}


突然そう申し出て来た陸奥はとても嫌な予感がしたのだが、

『上に許可をもらうからさ』と言われてしまえば、

断れないのだった・・・。


陸奥は走る英二をみながら渋々了承すると、

『念話』を終えた後、『はぁぁぁ~』っと深い溜息を吐いた。


(こ、困った・・・実に困った・・・。

 モノノ怪よりもある意味厄介な『姉妹』が来てしまう・・・

 私は・・・いや、英二君は無事に此処から出られるのだろうか?)


頭を抱え苦悩する陸奥を他所に陸奥の頭の中には、

英二の無邪気共言える気合いの入った声が聞こえて来るのだった・・・。


{やってやんぜぇぇぇぇっ!}



数日後・・・。


いつも通り朝早くから修行を行い、

予定通りの行動を終えると、陸奥は朝食を取る英二に口を開いた。


{え、英二君・・・}


{・・・ん?なんスか?}


陸奥の表情が曇っている事に首を傾げた英二に、

とても申し訳なさそうに話をしていった。


{・・・恐らく今日の昼過ぎくらいに、

 此処に・・・私の仲間・・・いや、先輩方が来る}


{陸奥さんの先輩・・・っスか?}


{あ、あぁ・・・。

 だから今のうちに話しておきたいんだけど・・・}


そう話始めた陸奥に英二は何かを感じとると、

食事の手を止め陸奥の話に耳を傾けた・・・。


{・・・此処に来る私の先輩は2名。

 しかも『双子の姉妹』なんだけど、ちょっと問題があってね?}


{・・・問題?}


{あぁ、その『姉妹の名』は、

 身長が低い長い黒髪の威圧感が半端ない姉の『志保』と、

 高身長の茶髪のポニーテールの粗暴な妹の『果歩』・・・}


{い、威圧感半端ない姉の『志保さん』と、

 粗暴な・・・妹の『果歩さん』・・・ですか?}


{あ、あぁ・・・}


そう言いながら額を押さえ項垂れる陸奥に、

英二は笑顔を向けるとこう言った・・・。


{うちにも冷徹で天上天下・唯我独尊の涼香ってのと、

 リアルサ○ヤ人の沙耶ってのが居ますからね~?

 ってか、陸奥さんがそんな暗い顏なんて見せるから、

 まじで一体何事かと思ったんスけど・・・ね。

 ってか、少々インパクト強めの『姉妹』と会った所で、

 俺にとっちゃ、全然問題ないっスよ~♪}


笑顔を向けそう話す英二に、陸奥は渋い表情を浮かべ、

『あぁ~・・・あの姉妹も強烈だけどね~?』と言うと、

とても不安げな表情を浮かべながらこう言った。


{・・・確かに悠斗君の姉君達に比べたら、

 迫力的には少々劣るのは確かなんだけど・・・}


そう話したところで陸奥は大きく深呼吸し、

それを見ていた英二は、言い知れぬ緊張感に包まれていた。


そして一呼吸置いたところで、

気だるそうに陸奥は重い口を開き説明した。


{・・・その『姉妹』の一番ヤバいところはさ、

 『がめつさ』に・・・ある}


{が、がめつさ・・・?

 がめつさって言ったら・・・}


{あぁ、その『姉妹』は・・・お金に汚いんだ・・・}


{か、金っ!?お金に汚いって、一体なんスかっ!?}


流石に予想もしない陸奥の説明に、

英二は思わず『念話』で声を張り上げた途端、

『ごほっ、ごほっ!』と息苦しそうに苦悶の表情を見せた。


{お、落ち着いて・・・英二君}


{ごほっごほっ・・・す、すんませんっス・・・}


苦悶にその顔を歪ませながらもそう言った英二に苦笑した陸奥は、

テーブルの上にあるコーヒーカップを手に取り、

それを一気に飲み干した・・・。


{・・・例えば・・・さ。

 英二君がもし『とある情報』を欲しているとするだろ?}


{・・・ういっス}


{・・・そして当然そこには『依頼料』などが発生する}


{・・・そうっスね}


そう言ったとろこで『ピン』と来た英二はこう言った。


{あぁ~なるほどっスね?

 その依頼料がバカ高いって話っスか?

 それならだいたいの予想はついていたっスよ?}


そう笑顔を向けてそう言った英二に、

陸奥は静かに目を閉じながらゆっくりと首を振った。


{違うん・・・スか?}


{あぁ・・・まぁ、確かに高い事は高いいんだが・・・}


{・・・?}


{・・・その~、内訳が・・・ね?}


{内訳?依頼料の?}


{あぁ、ほんとに・・・事細かく請求してくるんだ・・・。

 確かに持って帰って来るその情報の内容は申し分ないんだが、

 自販機で買ったコーヒーやら、おやつ代・・・。

 それに風呂代やらメイク代までも・・・}


陸奥の話に言葉を失った英二に、

陸奥は『まぁ、君が驚くのも当然だよね?』と苦笑した。


{いやいやいやいやいやいやっ!?

 ふ、風呂代・・・は、ま、まぁ~・・・いいとしても・・・

 メイク代ってなんスかっ!?

 ぜんっっっっぜん意味わかんないんスけどっ!?

 それにその調子だと靴が擦り減ったから靴代だの、

 深夜に仕事をしたから夜間延長代だのあるって事っスよねっ!?}


英二は先程苦しんだ事も忘れ捲し立てるように声を荒げると、

再び悶絶し一瞬・・・。

小さい頃に家の近所に居た、英二に懐かなかった犬が、

川の向こう岸でマーキングしているのを見たのだった。


{え、英二君っ!?英二君っ!?}


白目を剥きあわや・・・と言う、

そんな英二に必死に呼びかける陸奥の声に気付き、

何とか無事に英二は生還する事が出来たのだった・・・。


『ふぅ~』と安堵の息を吐いた陸奥が自分の席へと戻ると、

『だからさ・・・』と話を再開した。


{その『姉妹』が此処に来ても、

 英二君は余り関わり合いを持たないようにして欲しいんだ}


{・・・そ、そう・・・っスね}


{あぁ、私もそうならないよう気を付けるからさ。

 だから君はあの『商魂姉妹』に関わっちゃだめだよ?}


そう説明した陸奥に、英二は眉間に皺寄せると、

『な、なんスか?・・・』と顔を引き攣らせ尋ねた。


{・・・その商魂姉妹って?}


{あ、あぁ・・・『商魂姉妹』ってのは、

 彼女達『姉妹のニックネーム』みたいなモノで、

 相手が先輩だろうが後輩だろうが・・・

 容赦なくお金に代えるところから来ているんだよ}


{・・・うぐっ}


{あの『姉妹』のがめつさには、

 『仏界も舌を巻くほど』と言われているからね?

 本当に気をつけてね?}


{い、一応俺も気をつけるっスけど・・・

 そういうタイプの人って・・・『回避不可』ってのが・・・}


英二の言葉に苦々しい笑みを浮かべる陸奥に、

釣られるかのように同じ表情をしたのだった・・・。



朝食後・・・。


朝食を食べ終えた英二は陸奥に言われた通り、

『気道』を使用してのランニングを行い、

それが済むと休憩を挟む事なく次の訓練に入っていた。


{いいかい、英二君・・・。

 この訓練は普段から身体に力を纏わせながら、

 生活をする為の訓練だ・・・}


{・・・それって~}


{あぁ・・・。

 英二君はたった今から常に・・・

 『気道』を使用したまま生活し、尚且つ訓練もする}


{げっ!?}


英二が驚くのも無理はなかった・・・。

何故ならそれはとても困難な事であり、

ソレが出来るのは僅か数名しか居なかったからだった・・・。


{いやいやいやいやっ!?

 さ、流石に・・・って言うか・・・

 それが出来るヤツなんてほんの一握りの連中だけっスよ?}


驚きの余りそう口を開いた英二に、

陸奥は『まぁ、そうだろうね?』と笑って見せた。


{・・・む、陸奥さん?

 つーか・・・もしかして俺に才能があって・・・

 それで陸奥さんは・・・?

 も、もしそうならっ!その根拠を俺に教えてくださいっ!}


笑顔でそう言った陸奥に、英二は期待を込めてそう聞くと、

その緊張からか『ゴクリ』と息を飲んだ時こう告げられた・・・。


{・・・君なら出来るさっ♪}


{こ、根拠すらなかったぁぁぁぁっ!?}


思わずそう突っ込んだ英二は慌てながらも口を開いた。


{だ、だいたい起きている間『気道』をぶっ続けるなんて、

 呼吸器がぶっ壊れてしまいますってっ!}


{ふむふむ・・・}


{それをやろうとしたヤツも仲間には居たんスけど、

 そいつは呼吸器にダメージ受けて、

 復帰まで数カ月もかかったくらいなんスからっ!}


捲し立てるようにそう言った英二に、

陸奥は『ん~・・・』と少し呻るとこう言った。


{・・・1つ訂正がある}


{て、訂正?}


{うんうん、『起きている間』じゃなくて、

 眠っている時も・・・だよ♪}


{俺の話を聞けぇぇぇぇっ!?}


{ん?}


{い、いや、だから・・・

 それをやろうとしたヤツが呼吸器をっ!}


{・・・だから、何?}


{・・・へっ?}


そう抑揚も無く告げた陸奥の表情に笑顔はなかった・・・。


{・・・む、陸奥・・・さん?}


{・・・英二君、それは理由にはならないよ?}


陸奥の冷静な口調に戸惑うも、

英二は『別に言い訳じゃなくて・・・』と返答した。


{・・・君は此処に何をしに来たんだい?

 今よりも強くなる為に此処に来たんだよ・・・な?}


(なっ!?と、突然陸奥さんの口調が・・・)


突然陸奥の口調が変わった事に驚いた英二は、

嫌な汗が頬を伝うのを感じ、その迫力に言葉を失った。


{・・・お前、力が欲しいんだよな?

 悠斗に追い付きたいんだよな?

 いつまでも・・・グダグダ言ってんじゃねーっ!}


{はっ、はいぃぃぃぃぃっ!}


陸奥の怒声に背筋を『ピン』と伸ばし敬礼する英二に、

更に言葉を浴びせた・・・。


『生温い訓練で力なんて手に入らねーぞっ!

 わかってんのかっ!英二っ!』


{りょ、了解っスっ!}


陸奥の頭の上を掠めるように視線向けたまま英二に、

陸奥は『・・・では、頑張ろうか♪』と笑顔を向けた。


(なっ、何だったんだ・・・?

 この威圧感は・・・?

 まるで『二重人格』みたいじゃねーか?

 つーか・・・ア、アレ??

 い、今・・・陸奥さん・・・ってば・・・

 に、肉声・・・だったんじゃ・・・?

 それに此処って声が届かない場所って・・・?

 あ、・・・あれ?)


背筋を真っ直ぐ伸ばしたままの英二は首を傾げていると、

陸奥は気にする事も無く口を開いた。


{それでは英二君・・・。

 『気道』を使って君の身体を強化してもらおうか♪}


{う、ういっスっ!}


英二はすぐに両足を肩幅の広さまで広げると、

『コォォォっ』と呼吸音を変え『繰術』を使用した。


(・・・そ、そう言えばさっきの陸奥さん、

 身体から漏れ出ていたあの・・・黒い・・・?

 い、いや・・・藍色っつーか・・・群青色っつーか?

 あれは一体・・・?)


陸奥の視線を感じながらも英二がそう考えていた時だった・・・。


突然この『狭間の空間』に聞き慣れた音楽が聞こえて来た・・・。


『~♪』


その音楽が聞こえた瞬間・・・。

訓練中にも関らず叫ばずにはいられなかった・・・。


{ファ○マの入店時の音楽じゃねぇーかぁぁぁぁっ!?}


そんな英二の叫びが聞こえないのか、

陸奥は一言『やれやれ』と鬱陶しそうに呟きながら、

入り口の方へと歩き始めたのだった・・・。


{ス、スルーかよっ!?}


英二の声が陸奥の頭の中に流れるも、

全く構う事すらしない陸奥はこの『狭間の空間』の中に在る、

たった1つの違和感である『襖』に手を掛けると、

『スゥ』と淀みなく開かれた・・・。


{・・・ご無沙汰しています}


そう丁寧にお辞儀をした陸奥は横にずれると、

外の世界から2人の女性がその姿を現した・・・。


(・・・アレが例の?)


眉間に皺を寄せた英二は無意識に身体を強張らせたのだった・・・。




ってな事で・・・。


上手くアップ出来たかどうかは謎ですが・・・w


今回新たなキャラが登場になりますが、

気に入って頂けるととても嬉しく思います。


それと・・・。

今回『商魂姉妹』と言うフレーズを、

時事系の『赤木レイア様』から頂きました。

一応、許可を取っていますが・・・w

本当に有難う御座いました^^


最後に・・・。

今後も頑張って行きますので、

応援と共に、登録や感想なども宜しくお願いします。


ってなことで、緋色火花でした。


P・S 登場キャラはアップする予定ですが、

   まだやり方わかんなくて・・・^^;

   分かり次第アップしますw



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[一言] 英二君の緊張感のない頭にはホッとします(^_^) 商魂姉妹、クセが強そうですね(笑) 楽しいキャラだと期待しています♪
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