閑話2・狭間の空間と・・・。
お疲れ様です。
サイトの仕様が変わり初めての投稿となります。
上手くアップ出来ているといいのですが・・・。
めっっっちゃ不安です><
さて、今回のお話は前回に続き英二のお話となっております。
一応今現在・・・。
『5話』まで出来ていますが、
現在利き目である左目を負傷しておりまして、
何とも言えない状況となっております。
もはや気力では治させないもので・・・^^;
それでは、閑話2をお楽しみ下さい。
英二は陸奥に連れられ、廃寺の離れに在る部屋へと入った。
真っ白い何もない空間・・・。
声を発する事も出来ず居た英二だったが、
ふと駆け出した時、すぐに息が切れその場で蹲ってしまった。
{人の話をしっかり聞かないと・・・。
英二君・・・
君・・・すぐに死んじゃうよ?}
そんな陸奥の忠告を聞いた英二は、
土下座をすると改めて宜しくお願いしますと告げたのだった。
{・・・まぁ、最初は分からない事ばかりだろうからね?
だから最初に基本的な事を言っておくと、
この空間はあの世とこの世の『狭間に在る空間』なんだ。
そしてこの空間では声を発する事は出来ない。
念話でのみ・・・会話が可能となっている}
{念話でのみ・・・ですか?}
{あぁ、何故そのような仕様になっていのかは、
私には分からないけどね。
私も英二君と同じようにまず此処で修行したから良く知っている}
{む、陸奥さんも此処で?}
{あぁ・・・あ、あの頃の事を思い出すと・・・
うぅぅ・・・め、眩暈と吐き気が・・・}
陸奥はそう言いながら額に手を当てると、
フラフラと床に伏してしまった・・・。
(む、陸奥さんほどの人がこれほど・・・。
い、一体此処で何があったんだ?)
そんな疑問を抱きつつも話を続ける陸奥に、
英二は頷きながら聞いていた。
すると陸奥はとても言いにくそうに口を開いた。
{さ、最初に言っておきたいんだけどね?
じ、実はここ・・・トイレがないんだ・・・}
陸奥の衝撃的な言葉に英二は我を忘れ、
思わず声に出して叫び声を挙げてしまった・・・。
「なっ、何ですとぉぉぉぉっ!」
そう声を挙げた束の間、『ゴホっ、ゴホっ』と突然咳き込み、
唸り声を挙げながら床に伏し、息苦しそうに呻いた。
(い、息がっ!?ど、どうしてっ!?
ダ、ダメ・・・だ・・・
お、俺・・・まだ何もしてねーのに・・・
お、俺・・・ヲワタ・・・)
次第に意識が朦朧とし始めた時、
陸奥が『英二君っ!』と叫ぶ声が聞こえた・・・。
すると一瞬英二の身体が温かくなるのを感じると、
『スゥゥ』っと、先程までの苦しさが嘘のように呼吸が楽になった。
「あ、あれ・・・?呼吸が?」
そう言いながら顏を上げると、
そこには英二に手をかざしながら念仏のようなモノを唱える、
陸奥の姿があった・・・。
「・・・む、陸奥・・・さん?」
すると陸奥は安堵の色を浮かべ胸を撫で下ろした。
{英二君・・・。
まぁ~これは私も含めてそうなんだけど、
今の君の苦しみはみんなが味わっているから、
気持ちはよーくわかる。
だから覚えておいて欲しい・・・。
急激に感情を高ぶらせたりすると、そうなっちゃうからね?
だから今後は気をつけてほしいんだ・・・}
そう念話で語って来る陸奥に、
英二は無言ながら必死で『コクコクコク』と何度も頷いていた。
少しして、完全に英二が細心の注意を払おうと決心した時、
陸奥は先程の『トイレ』について口を開いた・・・。
{実際見ての通り・・・。
此処にトイレはないけど、私と君の簡易トイレを持って来ている}
陸奥の話に『ほっ』と息を吐いた英二だったが、
ふと・・・ある事に気付いた・・・。
{か、簡易トイレは非常に有難いんスけど・・・
で、でも此処って・・・壁が・・・}
{ま、まぁ~・・・見ての通り・・・壁などない。
だから出来るだけ・・・ね?}
苦笑しながらそう言った陸奥に、
英二もまた『そ、そうっスね・・・』と苦笑いを浮かべ、
続けて言葉を付け足した・・・。
{だからまぁ~、薄々気付いて居るとは思うんだけどさ?
トレイが無いって事は・・・}
陸奥がそう言葉を付け足すと英二は盛大に顔を引き攣らせ、
確認でもするかのように『キョロキョロ』と辺りを見渡すと・・・。
・・・膝から崩れ落ちた。
{・・・ふ、風呂すらねーのかよぉぉぉぉぉっ!}
英二の心の叫びに陸奥はその『念話の声』の大きさに、
頭を抱え蹲ってしまったのだった・・・。
それから暫くして・・・。
陸奥と共に修行に入って行った・・・。
{で・・・、陸奥さん。
俺は此処で一体何をすればいいんスか?}
{あぁ、それなんだけどさ、
まずは軽くランニングしてみてよ?}
{・・・ランニング・・・っスか?}
首を傾げながらそう言った英二に、
陸奥は頷きながらも言葉を付け加えた。
{・・・うんうん。
でも普通に走っちゃうとまた呼吸困難になっちゃうから、
君達が得意な『気道』を使って走るんだよ?}
{・・・気道っスか?
わかったっスけど・・・}
何か言いたい事があるのだろう・・・。
英二は訝しい表情を見せるものの、
陸奥は『ほらっ』と言って、英二を急かせたのだった。
『コォォォっ!繰術っ!』
呼吸音を変え繰術を使用した英二は走り始めたが、
その脳裏には数々の疑問が巡っていた・・・。
(・・・つーか、何で繰術を使わねーといけねーんだ?
俺は別に素人じゃねーんだ・・・。
軽く走る程度なら別に呼吸も乱れる事なんてねーのにな?)
そう心の中で愚痴を言いながらも英二は走って行く。
そしてそれを見ていた陸奥は今、
英二が考えていそうな事を想像して苦笑していたのだった。
(まぁ~、別に説明するのはやぶさかではないけど、
最初に色々と説明した所で理解なんて出来ないしね。
だからまずは身を以って・・・経験してもらうのが一番なのさ。
私も此処に来た時は・・・あはは・・・
地獄を見たしね~・・・)
陸奥は当時の事を思い出すと『ブルブルっ』と身体を震わせ、
トラウマと言ってもいいこの場所を改めて見渡していた。
(まぁ~でも、英二君はまだいい方なんだよね。
だって、彼は『気道』が使えるんだからさ~・・・。
何も知らないただのサラリーマンだった私には、
そりゃ~もう・・・地獄でしかなかったからね~)
陸奥は再び当時の事を思い出していた・・・。
それは過去・・・。
窮地に陥った陸奥が『監視者』に助けられ、
目的を遂げる為にこの地に来た・・・。
当時の陸奥がこの地に来た時、
彼はスーツ姿でこの部屋に入ったのだった・・・。
(・・・無知ってほんと・・・怖い・・・)
胸の中でそうブツブツと独り言を言いながらもその視線は、
軽く走る英二の姿を捕らえて離さなかった。
そんな時だった・・・。
突然陸奥の頭の中に『念話』が流れて来た・・・。
だが陸奥はその声を聞くと同時に嫌悪感を露にし、
その『念話』に面倒臭そうに答えたのだった・・・。
{えっと~・・・何か用・・・ですか?先輩}
実に面倒臭そうに・・・。
そしてとても嫌そうに陸奥がそう返答すると、
『念話』を送って来た主は少し苛立った返答をしてきた。
{・・・はぁ~?あんた・・・一体誰にモノ言ってんのさ?}
{・・・はぁ}
{あんたは誰の・・・お・か・げ・でっ!
生きていられてると思ってんのさ?}
{・・・はいはい、そうでしたね。
以前は本当にお世話になりましたね・・・。
ちゃんと覚えていますから・・・}
本当に面倒臭そうに返答する陸奥に、
文句が当然返って来ると覚悟はしていたが、
ソレを遮る声が聞こえて来た・・・。
{・・・あ、あんた、そ、その態度・・・}
{突然すまないね~?むっちゃん}
{・・・あ、はい。ご無沙汰しております。
志保姉さん・・・}
{いやいや、ご無沙汰ご無沙汰~♪
ってか、妹が失礼な態度で・・・大変申し訳なく・・・}
{いえ、別に・・・構いませんけど、
で、どう言ったご用件でしょうか?}
陸奥はその声に少し緊張を走らなせながら返答すると、
『志保』と呼ばれたその女性は返答してきた・・・。
{ちょいと小耳に挟んじまってね~?}
{・・・何をです?}
{あんたが『神野』んとこの子を連れて来たってさ?}
{あぁ~・・・}
陸奥は走り続ける英二を見ながら返答すると、
『志保』は続けて口を開いて行った・・・。
{まさか仏界に『神野』のヤツを連れて来るなんてさ~・・・
私らからしたら思わないじゃない?}
{・・・まぁ、そうでしょうね?}
そう返答した陸奥に何か思うところがあるのか、
『志保』は少しドスの利いた声を挙げた。
{・・・何でそんな連中を?
うちらは『監視者』なんだよ?
一体どういうつもりで連れて来たのさ?}
『・・・かなり苛立ってるな~?』と感じた陸奥は、
事の経緯を説明し、あの方々にも説明し許可は得ていると話した。
{・・・へぇ~、その子が『不動の鎧』をね~?}
陸奥は『不動の鎧』の経緯を話す前に、
英二が天照から与えられた『疑似鬼』の話や、
とある村での『闇』との戦闘の話もしたのだが、
『志保』はそれらを気にする事も無く、
ただ・・・。
『不動の鎧』を使用したと言う事だけを口にしたのだった・・・。
{はい、ですから『上の方々』は大変気にしておられるばかりか、
『黒獅子』まで伝授されて・・・}
そう説明する陸奥に一瞬・・・驚いたのだろう。
言葉を詰まらせ、少しの間・・・沈黙が続いた・・・。
すると今度は最初に『念話』を送って来た声の主が口を開き、
その声に再び陸奥は顏を引き攣らせたのだった。
{・・・まじかよーっ!?
おい・・・陸奥!}
{・・・はい、今度は何でしょうか・・・『果歩』さん}
陸奥がその女性の名を口にした時、
『果歩』と言うその女性は『念話』であるのにも関らず、
小声で話しかけて来た・・・。
{お前は今、そいつに関わっている場合なの?
あんたには目的があんでしょうが?}
{まぁ~、そうなんですけどね。
上手く言えないんですけど、彼と関わり合いを持っていれば、
自然と・・・そいつと出会えるじゃないですか?}
少し伏目がちになりながらそう答える陸奥に、
『果歩』は『・・・ふーん』と意味有り気に言った・・・。
すると再び『志保』が割って入り、
陸奥が思いも寄らぬ事を言った・・・。
{・・・うちらもそっちに行ってももいいかい?}
{・・・えっ?}
{まぁ、積る話はそっちでするとして、
そこに居る坊やの面倒も見るからさ?}
突然そう申し出て来た陸奥はとても嫌な予感がしたのだが、
『上に許可をもらうからさ』と言われてしまえば、
断れないのだった・・・。
陸奥は走る英二をみながら渋々了承すると、
『念話』を終えた後、『はぁぁぁ~』っと深い溜息を吐いた。
(こ、困った・・・実に困った・・・。
モノノ怪よりもある意味厄介な『姉妹』が来てしまう・・・
私は・・・いや、英二君は無事に此処から出られるのだろうか?)
頭を抱え苦悩する陸奥を他所に陸奥の頭の中には、
英二の無邪気共言える気合いの入った声が聞こえて来るのだった・・・。
{やってやんぜぇぇぇぇっ!}
数日後・・・。
いつも通り朝早くから修行を行い、
予定通りの行動を終えると、陸奥は朝食を取る英二に口を開いた。
{え、英二君・・・}
{・・・ん?なんスか?}
陸奥の表情が曇っている事に首を傾げた英二に、
とても申し訳なさそうに話をしていった。
{・・・恐らく今日の昼過ぎくらいに、
此処に・・・私の仲間・・・いや、先輩方が来る}
{陸奥さんの先輩・・・っスか?}
{あ、あぁ・・・。
だから今のうちに話しておきたいんだけど・・・}
そう話始めた陸奥に英二は何かを感じとると、
食事の手を止め陸奥の話に耳を傾けた・・・。
{・・・此処に来る私の先輩は2名。
しかも『双子の姉妹』なんだけど、ちょっと問題があってね?}
{・・・問題?}
{あぁ、その『姉妹の名』は、
身長が低い長い黒髪の威圧感が半端ない姉の『志保』と、
高身長の茶髪のポニーテールの粗暴な妹の『果歩』・・・}
{い、威圧感半端ない姉の『志保さん』と、
粗暴な・・・妹の『果歩さん』・・・ですか?}
{あ、あぁ・・・}
そう言いながら額を押さえ項垂れる陸奥に、
英二は笑顔を向けるとこう言った・・・。
{うちにも冷徹で天上天下・唯我独尊の涼香ってのと、
リアルサ○ヤ人の沙耶ってのが居ますからね~?
ってか、陸奥さんがそんな暗い顏なんて見せるから、
まじで一体何事かと思ったんスけど・・・ね。
ってか、少々インパクト強めの『姉妹』と会った所で、
俺にとっちゃ、全然問題ないっスよ~♪}
笑顔を向けそう話す英二に、陸奥は渋い表情を浮かべ、
『あぁ~・・・あの姉妹も強烈だけどね~?』と言うと、
とても不安げな表情を浮かべながらこう言った。
{・・・確かに悠斗君の姉君達に比べたら、
迫力的には少々劣るのは確かなんだけど・・・}
そう話したところで陸奥は大きく深呼吸し、
それを見ていた英二は、言い知れぬ緊張感に包まれていた。
そして一呼吸置いたところで、
気だるそうに陸奥は重い口を開き説明した。
{・・・その『姉妹』の一番ヤバいところはさ、
『がめつさ』に・・・ある}
{が、がめつさ・・・?
がめつさって言ったら・・・}
{あぁ、その『姉妹』は・・・お金に汚いんだ・・・}
{か、金っ!?お金に汚いって、一体なんスかっ!?}
流石に予想もしない陸奥の説明に、
英二は思わず『念話』で声を張り上げた途端、
『ごほっ、ごほっ!』と息苦しそうに苦悶の表情を見せた。
{お、落ち着いて・・・英二君}
{ごほっごほっ・・・す、すんませんっス・・・}
苦悶にその顔を歪ませながらもそう言った英二に苦笑した陸奥は、
テーブルの上にあるコーヒーカップを手に取り、
それを一気に飲み干した・・・。
{・・・例えば・・・さ。
英二君がもし『とある情報』を欲しているとするだろ?}
{・・・ういっス}
{・・・そして当然そこには『依頼料』などが発生する}
{・・・そうっスね}
そう言ったとろこで『ピン』と来た英二はこう言った。
{あぁ~なるほどっスね?
その依頼料がバカ高いって話っスか?
それならだいたいの予想はついていたっスよ?}
そう笑顔を向けてそう言った英二に、
陸奥は静かに目を閉じながらゆっくりと首を振った。
{違うん・・・スか?}
{あぁ・・・まぁ、確かに高い事は高いいんだが・・・}
{・・・?}
{・・・その~、内訳が・・・ね?}
{内訳?依頼料の?}
{あぁ、ほんとに・・・事細かく請求してくるんだ・・・。
確かに持って帰って来るその情報の内容は申し分ないんだが、
自販機で買ったコーヒーやら、おやつ代・・・。
それに風呂代やらメイク代までも・・・}
陸奥の話に言葉を失った英二に、
陸奥は『まぁ、君が驚くのも当然だよね?』と苦笑した。
{いやいやいやいやいやいやっ!?
ふ、風呂代・・・は、ま、まぁ~・・・いいとしても・・・
メイク代ってなんスかっ!?
ぜんっっっっぜん意味わかんないんスけどっ!?
それにその調子だと靴が擦り減ったから靴代だの、
深夜に仕事をしたから夜間延長代だのあるって事っスよねっ!?}
英二は先程苦しんだ事も忘れ捲し立てるように声を荒げると、
再び悶絶し一瞬・・・。
小さい頃に家の近所に居た、英二に懐かなかった犬が、
川の向こう岸でマーキングしているのを見たのだった。
{え、英二君っ!?英二君っ!?}
白目を剥きあわや・・・と言う、
そんな英二に必死に呼びかける陸奥の声に気付き、
何とか無事に英二は生還する事が出来たのだった・・・。
『ふぅ~』と安堵の息を吐いた陸奥が自分の席へと戻ると、
『だからさ・・・』と話を再開した。
{その『姉妹』が此処に来ても、
英二君は余り関わり合いを持たないようにして欲しいんだ}
{・・・そ、そう・・・っスね}
{あぁ、私もそうならないよう気を付けるからさ。
だから君はあの『商魂姉妹』に関わっちゃだめだよ?}
そう説明した陸奥に、英二は眉間に皺寄せると、
『な、なんスか?・・・』と顔を引き攣らせ尋ねた。
{・・・その商魂姉妹って?}
{あ、あぁ・・・『商魂姉妹』ってのは、
彼女達『姉妹のニックネーム』みたいなモノで、
相手が先輩だろうが後輩だろうが・・・
容赦なくお金に代えるところから来ているんだよ}
{・・・うぐっ}
{あの『姉妹』のがめつさには、
『仏界も舌を巻くほど』と言われているからね?
本当に気をつけてね?}
{い、一応俺も気をつけるっスけど・・・
そういうタイプの人って・・・『回避不可』ってのが・・・}
英二の言葉に苦々しい笑みを浮かべる陸奥に、
釣られるかのように同じ表情をしたのだった・・・。
朝食後・・・。
朝食を食べ終えた英二は陸奥に言われた通り、
『気道』を使用してのランニングを行い、
それが済むと休憩を挟む事なく次の訓練に入っていた。
{いいかい、英二君・・・。
この訓練は普段から身体に力を纏わせながら、
生活をする為の訓練だ・・・}
{・・・それって~}
{あぁ・・・。
英二君はたった今から常に・・・
『気道』を使用したまま生活し、尚且つ訓練もする}
{げっ!?}
英二が驚くのも無理はなかった・・・。
何故ならそれはとても困難な事であり、
ソレが出来るのは僅か数名しか居なかったからだった・・・。
{いやいやいやいやっ!?
さ、流石に・・・って言うか・・・
それが出来るヤツなんてほんの一握りの連中だけっスよ?}
驚きの余りそう口を開いた英二に、
陸奥は『まぁ、そうだろうね?』と笑って見せた。
{・・・む、陸奥さん?
つーか・・・もしかして俺に才能があって・・・
それで陸奥さんは・・・?
も、もしそうならっ!その根拠を俺に教えてくださいっ!}
笑顔でそう言った陸奥に、英二は期待を込めてそう聞くと、
その緊張からか『ゴクリ』と息を飲んだ時こう告げられた・・・。
{・・・君なら出来るさっ♪}
{こ、根拠すらなかったぁぁぁぁっ!?}
思わずそう突っ込んだ英二は慌てながらも口を開いた。
{だ、だいたい起きている間『気道』をぶっ続けるなんて、
呼吸器がぶっ壊れてしまいますってっ!}
{ふむふむ・・・}
{それをやろうとしたヤツも仲間には居たんスけど、
そいつは呼吸器にダメージ受けて、
復帰まで数カ月もかかったくらいなんスからっ!}
捲し立てるようにそう言った英二に、
陸奥は『ん~・・・』と少し呻るとこう言った。
{・・・1つ訂正がある}
{て、訂正?}
{うんうん、『起きている間』じゃなくて、
眠っている時も・・・だよ♪}
{俺の話を聞けぇぇぇぇっ!?}
{ん?}
{い、いや、だから・・・
それをやろうとしたヤツが呼吸器をっ!}
{・・・だから、何?}
{・・・へっ?}
そう抑揚も無く告げた陸奥の表情に笑顔はなかった・・・。
{・・・む、陸奥・・・さん?}
{・・・英二君、それは理由にはならないよ?}
陸奥の冷静な口調に戸惑うも、
英二は『別に言い訳じゃなくて・・・』と返答した。
{・・・君は此処に何をしに来たんだい?
今よりも強くなる為に此処に来たんだよ・・・な?}
(なっ!?と、突然陸奥さんの口調が・・・)
突然陸奥の口調が変わった事に驚いた英二は、
嫌な汗が頬を伝うのを感じ、その迫力に言葉を失った。
{・・・お前、力が欲しいんだよな?
悠斗に追い付きたいんだよな?
いつまでも・・・グダグダ言ってんじゃねーっ!}
{はっ、はいぃぃぃぃぃっ!}
陸奥の怒声に背筋を『ピン』と伸ばし敬礼する英二に、
更に言葉を浴びせた・・・。
『生温い訓練で力なんて手に入らねーぞっ!
わかってんのかっ!英二っ!』
{りょ、了解っスっ!}
陸奥の頭の上を掠めるように視線向けたまま英二に、
陸奥は『・・・では、頑張ろうか♪』と笑顔を向けた。
(なっ、何だったんだ・・・?
この威圧感は・・・?
まるで『二重人格』みたいじゃねーか?
つーか・・・ア、アレ??
い、今・・・陸奥さん・・・ってば・・・
に、肉声・・・だったんじゃ・・・?
それに此処って声が届かない場所って・・・?
あ、・・・あれ?)
背筋を真っ直ぐ伸ばしたままの英二は首を傾げていると、
陸奥は気にする事も無く口を開いた。
{それでは英二君・・・。
『気道』を使って君の身体を強化してもらおうか♪}
{う、ういっスっ!}
英二はすぐに両足を肩幅の広さまで広げると、
『コォォォっ』と呼吸音を変え『繰術』を使用した。
(・・・そ、そう言えばさっきの陸奥さん、
身体から漏れ出ていたあの・・・黒い・・・?
い、いや・・・藍色っつーか・・・群青色っつーか?
あれは一体・・・?)
陸奥の視線を感じながらも英二がそう考えていた時だった・・・。
突然この『狭間の空間』に聞き慣れた音楽が聞こえて来た・・・。
『~♪』
その音楽が聞こえた瞬間・・・。
訓練中にも関らず叫ばずにはいられなかった・・・。
{ファ○マの入店時の音楽じゃねぇーかぁぁぁぁっ!?}
そんな英二の叫びが聞こえないのか、
陸奥は一言『やれやれ』と鬱陶しそうに呟きながら、
入り口の方へと歩き始めたのだった・・・。
{ス、スルーかよっ!?}
英二の声が陸奥の頭の中に流れるも、
全く構う事すらしない陸奥はこの『狭間の空間』の中に在る、
たった1つの違和感である『襖』に手を掛けると、
『スゥ』と淀みなく開かれた・・・。
{・・・ご無沙汰しています}
そう丁寧にお辞儀をした陸奥は横にずれると、
外の世界から2人の女性がその姿を現した・・・。
(・・・アレが例の?)
眉間に皺を寄せた英二は無意識に身体を強張らせたのだった・・・。
ってな事で・・・。
上手くアップ出来たかどうかは謎ですが・・・w
今回新たなキャラが登場になりますが、
気に入って頂けるととても嬉しく思います。
それと・・・。
今回『商魂姉妹』と言うフレーズを、
時事系の『赤木レイア様』から頂きました。
一応、許可を取っていますが・・・w
本当に有難う御座いました^^
最後に・・・。
今後も頑張って行きますので、
応援と共に、登録や感想なども宜しくお願いします。
ってなことで、緋色火花でした。
P・S 登場キャラはアップする予定ですが、
まだやり方わかんなくて・・・^^;
分かり次第アップしますw




