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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
351/406

249話・耐えられない剣

お疲れ様です。


最近また寒い日が続いてますが、

皆さんはいかがでしょうか?


まぁ~暑い日よりも全然いいのですが・・・w


さて、今回のお話はジェミーを倒した直後の話です。

って言うか・・・。

ちょっと迷ったんですよね~。

どうしてこうなったかの経緯とか・・・。


まぁ、読んでいただければわかりますが、

今でも悩んでいるくらいです。


やはりこうなった経緯を『閑話』として・・・。


要望などがあれば書くかとは思いますが、

多分・・・ないだろうな・・・と><



それでは、249話をお楽しみ下さい。

ジェミーとの一戦を終え、少しの時が流れた・・・。


イザナミは瀕死気味となった仲間達を回復し、

今現在・・・。

床に座り『爆乳神』が作った手料理を食べていた・・・。


『カラン』と・・・。

食べ終えたイザナミがスプーンを荒々しく置いた時、

先に食べ終えたセルンが声を掛けていった。


「イザナミ様・・・。

 まずはイザナミ様が気絶している間に何があったのか、

 話したいと思うのですが・・・」


そう口を開いたセルンに『よろ~』とそう返答した。


そしてセルンは説明した・・・。


ジェミーと戦うイザナミを突然襲ったのは、

本名であるかどうかはわからないが、

『羅樹羅』と言う1本角の鬼だったと言う事・・・。


その次に『羅樹羅』と言う鬼の目的は、

イザナミ様を暗殺する為に、何者かに雇われたと言う事・・・。


そして最後に・・・。

『羅樹羅』を差し向けたのが、『ミノタウロス』と言う女で、

どうやらその女と『アスラ』が繋がっていると言う事・・・。


そう話し終えたセルンが一息つき、

目の前にある紅茶に手を伸ばし口を付けた・・・。


するとセルンの話を黙って聞いていたイザナミは、

難しい表情を浮かべながら口を開いた。


「・・・羅樹羅・・・ねぇ~?

 ん~・・・アタシは聞いた事ねーけど・・・

 ってか・・・ミノタウロス・・・またあやつか?

 暇なのか?暇なのか・・・あやつは?」


半ば呆れながらも難しい表情を見せるイザナミを見たセルンは、

カップを置きながら『心当たりはないのですか?』と尋ねてきた。


「・・・ん~・・・ミノタウロスの事はさておいて、

 やっぱり心当たりはないっつーか?

 まじで1本角の鬼・・・なんよね?」


「・・・はい」


そう返答しながらセルンはイリア達へと顔を向けると、

互いに頷き合い確認を取って見せた。


「ん~・・・1本角の鬼なんでしょ?

 あいつの他に1本角って~・・・」


首を大きく傾げ皆がその角度に驚きながらも黙っていると、

突然イザナミは人差し指をこめかみに当てながら『念話』を始めた。



その間・・・。


食事を食べ終えたイリアとセルンが『水魔法』を使用し、

食器類を洗い終えると、

突然空間が歪み『黒い穴』から見知った顔の女性が現れた・・・。


『ひ、卑弥呼・・・様っ!?』


驚くイリアとセルン・・・。

それから黒紅を見た卑弥呼は満面の笑みを浮かべ手を挙げた。


「うぃーすっ!いつぞやぶり~♪」


そうにこやかに声を挙げた瞬間、

2か所の空間が突然渦を巻き『黒い穴』から何者かが出て来た。


2名の女性・・・。


1人は黒と紫色の民族衣装を着た背の小さな少女・・・。


その見慣れない衣装に目を奪われたが、

もう1つ・・・印象的な髪飾りが目に入った・・・。


「・・・黒と紫の蝶?」


ポツリとそう呟いたイリアに、

その小さな少女は『ペコっ』とお辞儀をした。


お辞儀を見せられた者達は慌てて返すと、

『にこっ』と笑みを見せた少女の可愛さに魅了されたのだった。


{・・・あ、あの子・・・可愛くないっ!?}


{え、えぇ・・・あの破壊力・・・中々なモノね?}


{・・・一体何者なのでしょうか?}


イリアとセルン・・・。

そして黒紅が『念話』でそんな会話をしていると、

突然大きな声が響き、驚いた者達は視線を向けた・・・。


「おいおい黒蝶~・・・な~に、しおらしくしてんだよ~?

 いくら異世界人だからって、猫被る必要はないんだぜ~?」


『・・・猫?』


皆がそう思い、それぞれが違う種の『猫』を思い浮かべていると、

その声の大きな女性は『ギロリ』と視線を向けて来た・・・。


「おぅおぅおぉー・・・。

 これはこれは~・・・巨乳のダークエルフと、

 すげー美人なエルフさんだね~・・・。

 それと~・・・も、門っ!?まじでっ!?」


視線鋭く、まるで威圧するかのように睨んで来ると、

突然その声の大きな女性の頭を『スッパーンっ!』と、

卑弥呼が勢いよく張り倒した。


「いっ、痛てーなぁぁぁっ!卑弥呼姉さんよぉぉぉっ!?」


「痛てーじゃねーよっ!このバカタレがぁぁっ!」


「バっ、バカ・・・タレ・・・だぁぁぁーっ!?

 あぁぁぁんっ!?てめー・・・誰に言ってんだぁ~?」


そう怒鳴りながら互いの顔がぶつかりそうな距離まで接近すると、

卑弥呼はソレに応えるように口を開いた・・・。


「てめー・・・だよ、てめー・・・

 この『三下の3本角』の『脳筋鬼』風情が~・・・

 あぁぁん?殺んのか・・・?

 殺るんだったら・・・いつでもいいからかかって来いよ?」


そう応えた卑弥呼の身体から、凄まじい力が放たれると、

続けてこう言った・・・。


「・・・椿鬼~?

 またこの私にかる~く・・・ボコられたいのか~?」


威圧を含んだその声に『椿鬼』と呼ばれたその女性・・・

いや、『鬼』は盛大に顔を引き攣らせていた・・・。


『お、鬼っ!?』


卑弥呼の言葉に鋭い反応示したイリア達は、

無意識に身構えたのだった・・・。


青白い肌を持つその『鬼』の身体には、

無数の・・・。

無数にある多種に渡ったタトゥーが刻まれており、

イリア達はそのタトゥーの多さと種類に驚いていた・・・。


すると隣で沈黙していた可愛らしい少女・・・。

黒と紫の蝶の髪飾りをしたその少女が静かに口を開いた。


「イザナミ様・・・大変申し訳御座いません。

 この者達は放って置いていいので、話を進めて下さい・・・」


『黒蝶』と呼ばれたその可愛らしい少女が静かに言うと、

イザナミは『あざまる~♪』とにこやかに口を開いた。


「ヒミぞうを呼び出しのは他でもない・・・。

 さっき念話でちょいと話したんだけど、

 ・・・ヒミぞう?

 あんた、『羅樹羅』と言う1本角の鬼に心当たり・・・ね?」


改めて卑弥呼にそう口を開いたイザナミに、

首を軽く振っては見せたが、ふと・・・その視線を椿鬼に向けた。


「・・・まぁ、正直私にはわかんねーが、、

 同じ『鬼』である椿鬼・・・あんたになら心当たりが?」


そう話す卑弥呼に椿鬼は眉間に皺寄せ考え始めた・・・。


(ん~・・・。1本角の鬼で名を『羅樹羅』?

 そんな鬼の名は聞いた事ないな~?)


暫く考えていた椿鬼だったが、

やはり思い当たる事がないらしく首を振って見せた。


「・・・心当たり無しとはな?」


そう呟きながらイザナミへと視線を向けた卑弥呼は一瞬・・・。


銀色の美しい髪をした古き(ダチ)の顔を思い浮かべた・・・。


(もしかするとミラ子ならわかるかもしれないけど、

 あいつは今きっと・・・イチャラブ中だろうから、

 水を差すのは野暮ってもんだろ?)


卑弥呼の表情が少しニヤついていた事で、

イザナミにジト目を向けられはしたが、

『ふぅ~』と溜息を吐きながら口を開いた。


「まぁ~、兎に角・・・。

 その鬼が一体何者かはわかんねーし、

 ってか。これ以上考えても無駄って事で~、

 さっさと次・・・行こっか~♪」


そうイリア達に向き直り告げると、

すぐに背を向けた・・・。


卑弥呼に向き直った形となった時、

卑弥呼達はイザナミの迫力に圧倒されたのだった。


(おぉ~・・・イザ子・・・マジギレじゃ~ん♪

 久々にその(ツラ)見たけど・・・こえぇぇ~♪)


卑弥呼がそう感想を持つように、

黒蝶や椿鬼までも似たような感想を持ち、

喧嘩を売る相手ではない事を本能で理解した・・・。



それから少し時間が経過して・・・。


イザナミ達は深刻そうな表情を浮かべ卑弥呼達と話しており、

時折黒蝶がイリア達に視線を向けてきていた・・・。


そんな黒蝶の視線を気にする事も無く、

食器類などを片付け終えたイリア達は装備の点検に入っていた。


イリアはマジックボックスの中に在るアイテム類を確認し、

セルンは自分のレイピアを鑑定を使って確認していた・・・。


(・・・ん?レイピアに亀裂っ!?)


スキルを使用しレイピアの刀身を核にすると、

僅かだが確かにレイピアに細かい傷が入っていたのだった・・・。


そしてその傷には心当たりがあり顔を顰めた。


(・・・力任せに何度もあの『黄色い結界』をぶっ叩いたから、

 当然その結果はこうなるって事よね・・・)


顔を一瞬顰めたセルンはイリアに視線を向けると声をかけた。


「イリア・・・。貴女の剣・・・見せてもらえる?」


「・・・剣?ん?何?

 点検でもしてくれるの?」


「えぇ・・・」


『有難う』と言いながらイリアは己のレイピアをセルンに渡すと、

再びスキルを使用し、イリアの剣を点検し始めた・・・。


(・・・亀裂どころか・・・傷すらない?

 どうして・・・?

 どうして私との差がこんなにも?)


険しい表情を浮かべて凝視しているセルンの肩に、

優しくイリアの手が触れた・・・。


「どうしたの・・・セルン?

 物凄く怖い顔していたんだけど?

 私のレイピアに何か問題でもあったの?」


少し不安げに口を開いたイリアに、

セルンは笑みを浮かべながら『何の問題もないわ』と答えた。


確認を終えたセルンはイリアにレイピアを渡すと、

再び自分のレイピアの刀身に視線を落とした・・・。


(や、やっぱり何度見ても・・・)


そう思い、再び顔を顰めた時だった・・・。


「・・・どうしたのさ~?そんな深刻ぶってよ」


「・・・えっ?」


その声に驚き顔を上げたセルンの眼前には、

ニヤりと笑みを浮かべている卑弥呼の姿があった。


『きゃっ』と驚きつつ尻もちを着いたセルンに、

卑弥呼は手を差し伸べながら声をかけた・・・。


「・・・大丈夫かい?

 確か・・・セルンって言ったっけ?

 えらく深刻そうだけど・・・もしかして剣でも破損したか?」


そう言われたセルンは一瞬顔に力が入り、

それを見た卑弥呼は苦笑しながら言葉を続けた・・・。


「はははっ・・・そうかい、そうかい・・・。

 ちょいとあんたのレイピア・・・貸してみ?」


「・・・は、はい」


言われるがままに自分のレイピアを鞘事引き抜き卑弥呼に手渡した。


「・・・ふむふむ」


そう頷きながらセルンのレイピアを凝視すると、

『なるほどな』と言いながら納刀し、

セルンのレイピアを返したのだった。


「・・・ど、どうでしたか?」


「・・・ふむ、そうだな~」


そう言いながら卑弥呼はセルンのレイピアを指差しながら、

剣が寿命を迎えている事を話したのだった・・・。


「・・・やっぱり」


そう悔し気な表情を見せたセルンに、

卑弥呼は少し困り顔をしながら声をかけた・・・。


「もし・・・良かったら・・・だけど?」


卑弥呼の声に少し虚ろな目をしていたセルンに、

『やれやれ』と呆れながら口を開いた。


「もし良かったら、私が治してやらん事も無いが?」


「えっ!?いいんですかっ!?

 って言うか・・・卑弥呼様は武器の修復も出来るのですかっ!?」


「あ、あぁ・・・出来るけど?

 ってかだな?

 私はアイテム製作を生業としていてな?

 どんなモノだって作ってやるし、修復してやんぜ?」


卑弥呼の言葉にセルンはまるで祈るようなポーズをして見せると、

卑弥呼は顏を真っ赤にしながら声を挙げた。


「お、拝むな、拝むなっ!

 こっちが恥ずかしくなるだろうがっ!」


そう騒ぎ始めた卑弥呼に気付いたイザナミが、

少し離れた所からセルンに向けて口を開いた・・・。


「セルン~・・・あんまヒミぞうの言葉を鵜呑みにすんなし~?

 こいつ・・・たま〰に・・・やらかすから♪」


「・・・や、やらかす?」


イザナミの声に首を傾げそう呟いたセルンは、

何気にその視線を卑弥呼へと向けると、

表情筋を盛大にヒクヒクさせた卑弥呼が怒りの形相を浮かべて居た。


「て、てめー・・・この野郎・・・。

 だいたいだな~?

 このエルフの剣がダメになったのは、

 お前が何のアドバイスもしねーからだろうがっ!?」


振り返りながらそう怒鳴った卑弥呼に、

イザナミは『フフ~ン』と言って肩を竦めて見せた。


「て、てめー・・・いい加減に・・・」


卑弥呼の拳がワナワナと震え、

我慢の限界を迎えようとした時、

セルンがソレを遮るように口を開いた・・・。


「卑弥呼様・・・」


「・・・って・・・ん?」


「じ、実は私の剣なんですが・・・。

 先程寿命だとおっしゃられましたが・・・」


「あ、あぁ・・・私が見た限り・・・。

 寿命である事に間違いはねーよ?」


すこし首を傾げながら答えた卑弥呼に、

セルンの表情はより一層曇ったのだった・・・。


「・・・おいおい、どうしたってんだよ?」


「・・・じ、実はこのレイピアは、

 1階層のボス戦の後に・・・おろしたモノで・・・」


セルンの話に卑弥呼は思わず『はぁ?』と答え、

『・・・嘘だろ?』と、とても驚いた表情をしたが、

すぐに話を続けた・・・。


「ちょい待ちなよ?セルン・・・。

 アレから数カ月しか経っていないってのに、

 もうダメになったってのか?」


「は、はい・・・」


「一体何があったってのさ?」


不思議そうに尋ねる卑弥呼にセルンは険しい表情を見せていると、

再び背後からイザナミが口を開いたのだった。


「ヒミぞう・・・。

 あんたと会わない間にセルぴょんは、

 力を覚醒させちゃってさ~♪

 それが・・・ぬわんとっ!『黒紫の力』なんよね~♪」


「こ、黒紫だとっ!?」


イザナミの説明に驚愕した卑弥呼は、

険しい表情を浮かべたままのセルンをじっと見下ろした。


(こ、黒紫って・・・。黒紫って言ったら、

 イザ子の得意な『冥府魔道の力』じゃんっ!?

 わ、私と会わない間に、2段階も力を上げたってのかっ!?)


卑弥呼はそう考えながらセルンの手の中に在る剣を見ると、

頭をボリボリと掻きながら溜息を吐いた。


「まぁ~、そりゃ~・・・

 あんたの剣がボロボロになるのも当然だわな~?」


「・・・えっ?」


「黒紫ってのはよ~・・・。

 イザ子の得意分野でもある力の1つで、

 その力を普通の剣に纏わせたら、そりゃ~そうなるわ」


卑弥呼の話にセルンはその視線をレイピアに向け、

力強く握り締めながら悔しさを滲ませていた・・・。


「まぁ~、普通の剣って言っても、

 それって『鋼鉄製』だよな?」


「は、はい」


「鋼鉄程度じゃ~・・・『黒紫の力』に耐えらんねーよ?」


「・・・・・」


そう説明されたセルンが言葉を失っていると、

卑弥呼は『しゃ~ねぇーな~』と言って、とある提案をして来た。


「お前達が急いでいるのは重々承知している・・・。

 だが此処は少し・・・私に時間をくれねーかな?」


そう言った卑弥呼にセルンは首を傾げたが、

その満面の笑みを見て少し安堵の色を浮かべた・・・。


「・・・構わねーかな?」


卑弥呼が確認の為、セルンにそう語り掛けると、

セルンは背後に居るイザナミとイリア達に視線を向けた。


「・・・まぁ~・・・いいんじゃ・・・ね?

 急ぐ旅路である事に間違えはないんだけどさ~、

 今後不安要素ありまくりの武器じゃ、

 心許ないしね~?」


肩を竦ませながらそう言ったイザナミに続き、

イリアも黒紅も笑顔を向け頷いて見せたのだった。


そしてそれを確認したセルンは立ち上がりながら卑弥呼を見ると、

頭を下げ『お願い致しますっ!』と言ったのだった。


「・・・うっしっ!私に任せなっ!」


「あ、有難う御座いますっ!」


そう礼を述べたセルンに卑弥呼は笑みを浮かべると、

踵を返しつつ黒蝶と椿鬼に声を掛けた。


「つー事で・・・黒蝶と椿鬼っ!」


「・・・はい」


「・・・へっ?」


「あんた達は私の作業を手伝いなっ!

 これは命令だから拒否はさせねーからな?」


威勢よくそう命令した卑弥呼に対し、

黒蝶は『はい』と素直に応えたが・・・椿鬼は違った・・・。


「て、手伝え・・・だぁぁぁーっ!?

 て、てめー・・・何勝手な事言ってんだよっ!?」


「・・・ん?椿鬼?

 聞こえなかったのか?

 私は『命令』っつったんだが?」


「め、命令って・・・おいおい卑弥呼姉さん・・・

 どうしてこの私があんたの命令なんて聞かなきゃいけーんだよ?」


顔を盛大に引き攣らせそう答えた椿鬼に、

卑弥呼は首を『ゴキっ』と大きく鳴らしながら歩み始めた。


『・・・ゴクリ』


歩み出した卑弥呼の身体から凄まじい力が漏れ始め、

その一歩一歩踏み出す度に、その濃度は増して行った・・・。


そして椿鬼の下へと辿り着くと、

『バキっ!ボキっ!』と指を鳴らし始め威嚇し始めた・・・。


「・・・だ、だいたい・・・な、何で私がっ!?」


大粒の汗を額に浮かべながら後退る椿鬼に、

卑弥呼は顏を引き攣らせながら口を開いた・・・。


「・・・負けた・・・よな?」


「・・・なっ!?」


「このクソ鬼が~・・・。

 てめーは私に一方的に負けて土下座・・・したよな~?」


「うぐっ」


卑弥呼の迫力に椿鬼は思わず黒蝶に視線を向けたが、

その黒蝶は胸の辺りで十字を切って祈って見せていた・・・。


(こ、黒蝶っ!?)


そして椿鬼は自分に味方が居ないと悟りつつも、

最後の抵抗を試みた・・・。


「じゃ、じゃ~よ・・・。

 さ、最後に一勝負しようじゃねーか?」


「・・・勝負だぁ~?

 てめーこの野郎・・・まだボコられ足りねーってか?」


更に顔を引き攣らせた卑弥呼に、

椿鬼は滝のような汗を流し始め震えながら声を発した。


「ま、待てっ!・・・は、早まるなっ!?

 ちょ・・・ま、待っててばっ!?

 は、話せばわかる・・・わかるからぁぁぁぁっ!」


半ば半泣きでそう叫んだ椿鬼に、

卑弥呼は『はよ言えや・・・こら』と、何故か関西弁で答えた。


「じゃ、じゃんけんだっ!」


「・・・はぁ?」


「じゃんけんで正々堂々と勝負だっ!」


「・・・クソ鬼が」


渋々と言う形で卑弥呼は椿鬼の申し出を受けたが、

事は一瞬にして決着した・・・。


『ドサっ』と床に伏した椿鬼は『ま、負けた・・・』と呟くと、

卑弥呼は見下すように口を開いた。


『・・・私に勝とうなんざ、2億年早ぇーよ。

 この『鬼のらくがき帳』が・・・』


『・・・・・?』


事の次第を静かに見守っていた者達は一斉に首を傾げ、

こう思っていた・・・。


『鬼のらくがき帳』って何だろ?・・・と。


すると『コホン』と咳払いを1つした黒蝶が、

再び土下座している椿鬼を見下ろしながらこう言った・・・。


「恐らくですが・・・。

 らくがきとは、椿鬼の身体に無数に在るタトゥーの事かと。

 帳とは身体の事を差しているのではないかと思われます」


(こ、黒蝶ーっ!?あ、あんた・・・そ、そんな冷静にっ!?)


裏切者と言わんばかりに涙目になった椿鬼が黒蝶を横目で見ると、

まるで汚物でも見るかのように、黒蝶が心を折りにかかった・・・。


「・・・無様ね?

 3本角の鬼ってこの程度なのね?

 それが私の相棒だなんて・・・笑ってしまいますね。

 ふっ・・・貴女はもうただの『鬼のらくがき帳』で充分ね?」


「ぐはっ」


土下座したまま項垂れてしまった椿鬼を見ていたイザナミは、

『諸行無常よの~?』と言って『クスっ』と笑ったのだった。



それから少しして・・・。


卑弥呼は再びセルンに向かい合うと口を開いた。


「私が『黒紫』に耐えられる剣を作ってやるから、

 お前は此処で傷つき疲れた身体を癒して待ってな」


「は、はい・・・わかりました。

 宜しくお願い致します・・・卑弥呼様」


礼儀正しく頭を下げ礼を述べたセルンは、

卑弥呼達を見送り、数日の休憩を取る事になったのだった・・・。





ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


一応、今回のお話で本編はちょいとお休みです。


来週からは『閑話』が続き、

次回の『いちかと修一』の後は、英二のお話が続きます。

恐らく・・・。

続けて5話くらいになる予定で、

その後はまた『本編』に戻ります。


前書きでも言いましたが、

ご要望があれば、卑弥呼が黒蝶と椿鬼を連れ立って来たか・・・。

その辺の事を書きたいと思います。


感想で描いてくれると嬉しいのですが、

恐らく・・・ないんだろうな・・・とw



ってなことで、緋色火花でした。


P・S ちょいテンションと言いますか、

    モチベが今、完全に下がってます><

    ストックがあって良かったw





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― 新着の感想 ―
[一言] 閑話のデータが消えたとの事、お気の毒です・・・ なんとか奮起して再度書き上げていただきたいです。 卑弥呼と黒蝶と椿鬼のエピソードも私はぜひ拝見したいです。 要望が1人ではダメかもしれません…
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