248話・蜂の女王堕(お)つ
お疲れ様です。
風邪を引いてくたばっている緋色で御座います。
喉と鼻水が・・・ヤバイ・・・><
まぁ、コロナじゃないだけいいんですけどね><
と、まぁ・・・。
こんな感じなので今回はこのくらで・・・。
画像の方は復活したら何かしらアップします><
何をアップするかは全く決めていませんけどね^^;
ってか、まじ・・・。
今日ダメだぁぁ~・・・がくっ
それでは248話をお楽しみ下さい。
イリアとセルンの進化によって危機一髪な状況をクリアしたが、
その直後・・・。
セルンは吐血し意識を手放した・・・。
「セルンっ!?セルンっ!?」
{セルンさんっ!?}
そう叫びながらセルンの下へと駆け寄ったイリア達は、
吐血したセルンの安否を確認した時、
規則正しい呼吸をするセルンに安堵の息を漏らした・・・。
「よ、よかった・・・。
で、でもコレって・・・?」
そう呟くように言ったイリアに、
口を開いたのは黒紅だった・・・。
{・・・あそこから一瞬の間に・・・ですからね?
もしかするとこの部屋の前のホールで話していた・・・}
「あぁ~、それって確かセルンが言っていた、
手を伸ばした先に何かある・・・って話の事?」
{はい・・・。
恐らくセルンさんは何かを掴み取ったのかもしれませんね?}
「・・・そうね」
黒紅の話には納得したイリアだったが、
その様子に疑問を持った黒紅は尋ねた・・・。
{・・・イリアさん、どうかしたのですか?}
黒紅の声に静かに目を閉じたイリアは、
目を開け己の掌を見つめながら口を開いた。
「・・・大き過ぎる力は何かしらの代償を?」
{・・・代償?}
「えぇ、セルンの場合・・・。
力を使った代償として、肉体への負担が大きそうだし・・・」
そう言ったイリアに黒紅は『あぁ~』と、
何かに気付いたのか納得し話していった・・・。
{だからじゃないですか?}
「・・・何が?」
{力の使用で肉体的にダメージを受けるから、
筋肉が・・・}
そう言いながら黒紅は眠るセルンに目を移すと、
その肉体をじっと見つめた・・・。
「た、確かに・・・そうかもしれないわね?」
眉間に皺を寄せながらもそう答えると、
黒紅は『イリアさんは?』とそう尋ねた・・・。
「わ、私は・・・」
更に眉間に皺を寄せたイリアは、
厳しい表情を浮かべながら『もしかすると・・・』と口を開いた。
「私の場合は恐らく・・・。
力を行使出来る持続性かもしれないわ」
{・・・持続性って?
それってまさか、あのモードで戦える時間に制限が?}
「多分・・・だけどね?
実際私が防御に徹しようとして『盾』を出したんだけど、
セルンが突然姿を現した時にはもう『盾』は消えていたから・・・」
{えっ?}
驚く様子を見せた黒紅に、
イリアは一度その視線を瓦礫の下に埋まるジェミーを見ると、
『ふぅ~』っと溜息を吐きながら答えた。
「ブルー・スピリットが進化し、
バーニング・ブルーになったのはいいけど、
力を使用している時、半端じゃなく力を消費するのを実感したわ」
{・・・こ、こんな短時間でですかっ!?}
「えぇ、私がただ慣れていないだけかもしれないけど、
それでも力を行使できる時間が短すぎる気が・・・」
{・・・つ、つまりその力は短期決戦用と?}
焦った感じでそう尋ねて来る黒紅に、
イリアはゆっくりと頭を振って見せた・・・。
「あの『羅樹羅』って1本角の鬼が言っていたでしょ?
元々私の力は『防御と回復系に特化』しているって・・・」
{・・・はい}
「戦闘に転じる事はもちろん可能だとは思うけど、
その時間は決して長くないのかもしれないわね」
{・・・・・}
イリアの声に黒紅が何も言えなくなると、
続けざまにこう言った・・・。
「因みに今・・・。
その力を使う事は出来ないわ・・・」
{えっ!?つ、使えないのですかっ!?}
「うん・・・。
ブルースピリットの『青い火』も、今はとても小さいし・・・。
だからセルンの攻撃でジェミーを倒せていなかった場合、
私にはもう・・・」
自分の掌を見つめ拳を『ギュっ』と握っては見たものの、
先程見せたような力強さはなかったのだった・・・。
(や、やっぱり・・・ね)
『クっ』と悔しさを滲ませたイリアが立ち上がりながら、
イザナミへと視線を向けた時だった・・・。
『カチン』と何かが落ちる音が聞こえると、
瓦礫へと視線を向けたイリアは『そ、そんな、まさかっ!?』と、
焦りの声を挙げた・・・。
『ガラガラ・・・カツンっ』
瓦礫へと視線を向けたイリアは小刻みに震えていた・・・。
「あ、あれ・・・で・・・。
あの攻撃を受けて・・・まだ・・・?」
{・・・し、信じられません}
イリアに続いて黒紅までも驚愕した声を挙げると、
瓦礫からジェミーの腕が這い出て来た。
そして一瞬・・・。
そう・・・一瞬だった・・・。
『ガラガラガラっ!』と大きな音を立てて、
瓦礫に埋もれていたはずのジェミーが、
その身体から『黄色い障壁』を放ちながら立ち上がったのだった。
「クっ!?わ、私にはもう・・・」
そんな声を漏らすと同時にジェミーが吠えた。
『グガガガガガガガーっ!』
『っ!?』
ジェミーが吠えた束の間・・・。
その姿は一瞬にして消え気が付けば・・・
イリアから10歩先に立って居た。
「・・・えっ?」
『グガァァァっ!』
ジェミーはそう吠えながらイリアを見下ろすと、
その拳を硬く握り締め一歩踏み込みながら大きく振りかぶった・・・。
{イ、イリアっ!?}
「・・・あっ」
『グガァァァァァっ!』
大きく振りかぶったジェミーは迷う事無くその拳を振り抜いた・・・。
{イリアァァァっ!}
「きゃっ!」
『ベキっ!ミシっ!』
「・・・えっ?」
咄嗟に防御態勢を取り、床にへたり込んだイリアだったが、
ジェミーの振り下ろされたその拳は届いてはいなかった。
{・・・うぐっ}
「・・・えっ?」
恐る恐る腕の隙間から前を見ると、
そこには黒紅の身体があり、
それを茫然と見つめていたイリアから悲鳴に近い声が挙がった。
「く、黒紅・・・?
い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!
黒紅ーっ!」
咄嗟に黒紅がイリアの前へと踊り出て、
ジェミーの一撃をその身体で受けていたのだった。
『メキっ!ピシっ!』
その一撃は途轍もない破壊力を生み、
頑丈であるはずの黒紅の扉に大きな亀裂が刻まれていた。
「く、黒紅っ!?黒紅っ!?
あ、あなた・・・どうしてっ!?」
イリアは背後から黒紅抱き着きながらそう声を挙げるが、
黒紅から聞こえて来るのは『メキっ!ピシっ!』と言う音だけだった。
「く、黒紅っ!?こ、答えてよっ!」
しがみつきながらそう声を張り上げるイリアの悲痛な声に、
途切れ途切れながらも黒紅の声が聞こえて来た・・・。
{・・・わ、わた・・・し・・・
ここ・・まで・・・み、みた・・・い・・・ですね・・・}
「な、何バカな事言ってんのよっ!?」
『・・・ピシっ』
「く、黒紅っ!?」
{に、にげ・・・て・・・くださ・・・い・・・
ここは、わ、わた・・・し・・・がっ!}
そう黒紅が言った直後・・・。
亀裂の入った黒紅身体から突然『赤銅色の鬼の気』が漏れ始めた。
{・・・こ、これから自爆・・・します。
だ、だがら・・・}
『ミシっ!バキンっ!』
「黒紅ーっ!?」
黒紅の身体の亀裂から漏れ始めた『鬼の気』が、
その圧力で亀裂を更に大きくし始めた。
{い、今は・・・お、鬼の気で・・・
じょ、女王・・・蜂を抑え・・・て・・・
だ、だから・・・は、はや・・・く・・・
イ、イザナミ・・・様・・・と、一緒・・・に・・・}
『グガァァァァっ!』
黒紅の鬼の気がジェミーの身体を縛り自由を奪っていた。
{・・・い、いまの・・・うちにっ!}
涙を流すイリアはその目に力を入れると、
イザナミの下へと駆け寄り状態を確認した。
そして『キっ!』と鬼の気で拘束されているジェミーを睨むと、
立ち上がり声を張り上げた。
「こいつは私がっ!
ブルースピリットっ!お願いっ!
仲間を救う為に私に力を貸してぇぇぇぇっ!」
『ボっ!』
イリアの熱き声に反応した『ブルー・スピリット』は、
激しく青い炎を滾らせその身体から吹き出した。
「・・・私に戦う力をっ!
ウェイク・アップっ!バーニング・ブルーっ!」
『ゴォォォォォォォっ!』
ブルースピリットがイリアの叫びに反応すると、
『青白い業火』へとその姿を変え、
そして駆け出すと同時に声を挙げた。
「・・・ダブルアーム・・・ガントレットぉぉぉっ!」
そう叫ばれた声にバーニング・ブルーは反応すると、
イリアの両腕に『青白いガントレット』が装着された。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!
黒紅ーっ!拘束を解いてっ!」
{イ、イリアっ!?}
イリアの声に黒紅は鬼の気の拘束を解くと、
その身体に大きく走った亀裂がゆっくりと修復し始めた・・・。
『グガァァァっ!』
黒紅の鬼の気から解放されたジェミーは雄叫びを挙げると、
イリアへと向き直り自らも駆け出した。
『はぁぁぁぁぁっ!』
『グガァァァっ!』
突進して来るジェミーにイリアは前方に跳躍すると、
その顔面に蹴りを放った。
『バキっ!』
「まだまだぁぁぁぁっ!」
『ヒューン』と蹴り飛ばされたジェミーを追撃し、
腹を蹴り上げ、顎へ膝蹴りを出し、
鳩尾へと後ろ回し蹴りを見舞った・・・。
高速戦闘を何度か繰り返し、
ジェミーはその速度に翻弄されそれるがままになり、
イリアの凄まじい攻撃に、身体が宙を舞っていた。
そしてイリアは再び声を挙げた。
「とどめの一撃ーっ!」
そう声を響かせ、
渾身の一撃を再びジェミーの鳩尾へと撃った瞬間・・・。
その強烈な一撃が腹へと届く刹那・・・。
それまで勢いよく燃え上っていた『青白い業火』は、
突然弾けると消失し、最後に聞こえて来た音は、
威力も何も感じない『ペシっ』と言う音だった・・・。
「・・・う、嘘?」
イリアの身体から『青白い業火』が弾け消失すると、
軽い眩暈と共に脱力感が襲い、そのまま膝から崩れ落ちた・・・。
「・・・ど、どうして・・・どうして・・・」
イリアは自分の両手を見ながらワナワナと震え、
顔を上げ視線をとどめを刺し損ねたジェミーへと向けた・・・。
『グガっ・・・グガガ・・・』
イリアの攻撃によってジェミーの美貌は見るも無残に腫れ上がり、
その強靭な肉体も痣だらけとなっていた・・・。
ガクガクと身体を震わせながらも必死に立ち上がる姿を見て、
イリアは唇を噛み締め血を流し、
その悔しさが見て取れるほどだったのだ。
「お、お願い・・・お願いだから・・・
立ってよっ!私の身体っ!
こ、こんな所で・・・終われない・・・
何の為に・・・一体何の為にっ!
う、動いて・・・動いてよ・・・動いてぇぇぇぇっ!」
イリアの魂の叫びが『ボス部屋』に響き渡った・・・。
号泣し叫んだイリアだったが、
その瞳は必死に立ち上がろうとするジェミーから逸らさなかった。
「あと・・・一撃・・・なのに・・・」
涙を流しながらそう呟いた時、
『・・・な、何泣いてんのよ?』と後方から声が聞こえ振り返った。
「セ、セルンっ!?」
{そ、そうですよ・・・イリア・・・。
な、泣き叫ぶだ・・・なんて・・・
恰好・・・悪い・・・ですよ}
「く、黒紅っ!?」
声がする方へと反射的に振り返ったイリアは驚愕しつつも、
辛うじて立ち上がるセルンと、
身体をガタガタと揺らしながら一歩前へ出た黒紅の姿に、
険しい表情を浮かべた・・・。
「そ、そんな顔・・・するんじゃないわ・・・
わ、私は・・・私はまだ戦える・・・わ」
{わ、私だって・・・。
こ、こんなの全然・・・へ、平気ですから・・・}
誰がどう見ても2人の姿はボロボロで、
戦いなど出来る状態でない事はわかったが、
仲間が立ち上がった事に対し心強かった・・・。
「わ、私だって・・・」
『ギチギチ』と歯を食い縛りながら、
剣を支えに立ち上がってみたものの、
イリア自身ももう余力はなくただ・・・。
ゆっくりとだが眼前に迫るジェミーに歯ぎしりをするしかなかった。
「イ、イリア・・・」
「・・・セルン?」
引き攣った笑みを見せ強がるセルンは口を開いた。
「正直な話・・・。
わ、私はあと・・・5分は戦える・・・」
「セルン・・・」
セルンの申し出に負けずと黒紅も踏み出しながら口を開いた。
{わ、私だって・・・あと、一撃くらいなら・・・」
「・・・黒紅、あんたまで?」
『フフフ』とセルンと黒紅は笑って見せると、
セルンはイリアを見つめながら口を開いた。
「あんたは・・・もう戦えないでしょ?」
「クっ」
「だから・・・ここは私達に任せなさい」
そう引き攣った笑みを見せながらセルンが言った時だった・・・。
『グガァァ・・・』と呻くように口を開いたジェミーが、
息を荒くしながらイリアを凝視し、
身体を『黄色い障壁』が包んでいた・・・。
そしてイリアは見た・・・。
「・・・なっ!?ジェミーの・・・傷がっ!?」
『黄色い障壁』に包まれたジェミーの身体が、
ゆっくりとだが回復し始めたのだった・・・。
「そ、そんな・・・ここまで来て・・・」
絶望の色を滲ませたイリアがそう言った時、
セルンが剣を抜きながら声を挙げた。
「そう・・・は・・・させないわっ!
イグニッションっ!ブレイジング・アーマーっ!」
ゆっくりと駆け出しながらそう声を挙げたセルンに、
『黒き火』は鎧へと変化した・・・。
『はぁぁぁぁぁっ!』と駆け出したセルンは、
剣を振りかぶりその黄色い障壁に振り下ろした・・・。
『ガキンっ!』
「チっ!だけどぉぉぉっ!」
一度弾かれた事を気にする様子もなく、
セルンは『黄色い障壁』に何度も剣を振り下ろした。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。
か、硬い・・・」
セルンがジェミーの障壁を気にする事も無く、
何度も振り下ろすうちに、手の皮膚が破れ血液が滴り落ちていた。
セルンが攻撃をする中、
イリアは後方へと下がって行き、事の成り行きを見守っていた。
顔を顰めながら・・・。
冷たい汗を流しながら・・・。
肝心な時に戦えない辛さを・・・。
屈辱と無力さを感じながら・・・。
そして『ガラン』とセルンの剣がその手から落ちた・・・。
「・・・セルン」
『黄色い障壁』に傷すら付ける事もなく、
セルンのレイピアはその手から落ちたのだった・・・。
両手を赤く染めたセルンはイリア達に振り返ると、
力無く『・・・ごめん』と呟き、悔しさを滲ませながら笑っていた。
「・・・セ、セルンっ!?」
{セルンさんっ!?}
「に、逃げてぇぇぇぇぇぇっ!」
イリアの悲痛な叫びにセルンは振り返ると、
そこには傷を完治させたジェミーが不気味な笑みを見せ立って居た。
「・・・そ、その顔に一発・・・入れたかったわ」
最後にセルンが皮肉を込めて言った時、
『グフフフ』と不気味に笑うジェミーがその拳を振り上げた。
(わ、私は目を背けない・・・)
目に涙を溜めながらジェミーを睨みつけると、
最後にセルンは『ユウト・・・ごめん』と呟いた。
振り上げた拳が『グガァァァっ!』と、
吠えながら振り下ろされた時、
『ピタリ』とその拳が途中で止まった・・・。
全員が『えっ?』と戸惑っていると、
イリアと黒紅の背後から強烈な寒さを感じ振りかえった。
『イ、イザナミ様っ!?』
その声にセルンが『えっ?』と呟きながら振り返ると、
そこには身体から神力を放出し、
ギラついた目を向けるイザナミの姿があった・・・。
「イザナミ様っ!?」
セルンの声にイザナミはジェミーを視線で捉えたまま口を開いた。
「・・・あんた達、よーく踏ん張ってくれたし・・・。
アタシが下手こいたせいで、迷惑かけちゃったわね?
だけどもう心配いらねーし・・・。
アタシが今からボコボコにしてやんよ。
だから安心・・・しろし・・・」
そう言ったイザナミに誰も口を開く事が出来ずに居ると、
イザナミはジェミーに声を挙げた。
「ジェミーっ!今からギッッッタギタにしてやんよっ!
てめーに攻撃する暇は与えねーからっ!」
その声に顕著に反応したジェミーは『グガァァァっ!』と吠え、
目の前に居るセルンに目も暮れず駆け出した。
『冥府魔道の格闘術ってヤツを・・・。
その身で受けて・・・死ねっ!』
そう言った瞬間・・・。
『バシュっ!』と・・・。
イザナミの身体から『黒紫の神力』が放出された。
『うらぁぁぁぁっ!ジェミーっ!』
『グガァァァっ!』
『ドカーン』と2人が激突し、激しい戦いが始まった・・・。
『うっらぁぁぁぁっ!』
『バキっ!ドカっ!ガキンっ!』と激しく衝突するが、
それは一方的な戦いでもあり、
ジェミーはイザナミの攻撃に手も足も出ず、
ただ・・・『黄色い障壁』に護られるだけだった・・・。
凄まじいスピードで攻撃が繰り出される中、
イザナミはニヤりと笑みを浮かべた・・・。
『もうこの壁は見慣れたっつーんだよっ!』
そう言いながら『ヒューっ』と大きく息を吸い込むと右拳を溜め、
息を吐きながら一気に放った。
『バキンっ!』
『っ!?』
その一撃はこれまで皆が手こずった『黄色い障壁』を破壊し、
その中に居るジェミーの腹に突き刺さった・・・。
『ゴフッッッ!』
苦痛による悲鳴や絶叫などはない・・・。
イザナミの右拳はジェミーの腹を貫通し、
その拳は背中から飛び出していた・・・。
『グガっ』と一瞬呻きながら、
ジェミーは己の腹を突き破るイザナミの腕を両手で押さえ、
『ゴフっ』と再び吐血した・・・。
するとイザナミは低くくぐもった声を挙げた。
『・・・伊弉冉流・格闘術。
『天冥道』・・・。
ジェミー・・・冥界の大扉からやり直して来な・・・』
イザナミのその声に・・・。
一瞬ジェミーがニヤっと笑みを浮かべた・・・。
「・・・お前と言うヤツは」
そう言いながら『ズボっ!』と一気に拳を抜きつつ、
一回転しながら声を挙げた。
『これで終わりだ・・・。
せめてのも弔いだと思え・・・。
『天沼矛っ!』』
一回転している間に掌に古めかしい『槍』を出現させると、
迷う事無くジェミーの首を斬った・・・。
『ボトっ』と床に落ちたジェミーの首は、
『フっ』と笑みを浮かべるとそのまま息絶えたのだった・・・。
「・・・ジェミー」
床に転がるジェミーの顔を見ながらそう呟くと、
その髪を掴み、頭を消失した身体へと向き直った。
『パチン』
ジェミーの身体に向きながらそう指を弾くと、
イザナミの拳が貫通したその穴が紫色に淡く光った。
『ブブブ・・・』と・・・。
静かに振動音が響く中、突然その穴は吸引し始め、
それは次第にジェミーの身体を急激に吸い込み始めた・・・。
『ズ・・・ズズズ・・・』
その激しく強い吸引力に、ジェミーの身体は内側に・・・
淡く光る紫の穴の中へと飲み込まれ始めた。
それを見ながらイザナミは視線をジェミーの顏へと向けると、
『・・・このうつけが』と哀し気に声を挙げ、
両手で頭を優しく持つと、その穴の中へと放り投げたのだった。
『シュルシュルシュル』
ジェミーの頭を飲み込んだその紫の穴は、
再び『ズズズ』と静かに振動するとそのまま消失した。
イザナミは元通りになった『ボス部屋』の空間を見つめながら、
『ふっ』と哀愁を漂わせながら微笑むと振り返り、
満面の笑みを浮かべながら声を挙げた・・・。
『・・・お疲れちゃ~ん♪』
『・・・・・』
その無邪気さに顏を引き攣らせた者達は、
蜂を含め言葉を発する事ができなかったのだった・・・。
「え、えっ!?なになになにっ!?
お疲れちゃ~んって、どうして応えてくんないのさっ!?
えぇ~?まじで~?
格好よくキメたアタシに・・・リスペクトなしってかっ!?
ってか・・・アレじゃん?
蜂の女王・・・おっつ~♪(堕つ)・・・なんつって~♪」
そう言ってイザナミは周りの空気を読む事なくそう言うと、
皆から軽蔑の眼差しを浴びる事になるのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
一応1か月分のストックはあるので、
風邪でぶっ倒れても問題なしです。
くたばっている間は執筆しないので、
物語のクオリテイーに問題はありませんです。
早く治したい・・・orz
皆さんも気を付けてくださいね~・・・。
ってなことで、緋色火花でした。




