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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
350/406

248話・蜂の女王堕(お)つ

お疲れ様です。


風邪を引いてくたばっている緋色で御座います。


喉と鼻水が・・・ヤバイ・・・><


まぁ、コロナじゃないだけいいんですけどね><


と、まぁ・・・。

こんな感じなので今回はこのくらで・・・。


画像の方は復活したら何かしらアップします><

何をアップするかは全く決めていませんけどね^^;


ってか、まじ・・・。

今日ダメだぁぁ~・・・がくっ



それでは248話をお楽しみ下さい。

イリアとセルンの進化によって危機一髪な状況をクリアしたが、

その直後・・・。

セルンは吐血し意識を手放した・・・。


「セルンっ!?セルンっ!?」


{セルンさんっ!?}


そう叫びながらセルンの下へと駆け寄ったイリア達は、

吐血したセルンの安否を確認した時、

規則正しい呼吸をするセルンに安堵の息を漏らした・・・。


「よ、よかった・・・。

 で、でもコレって・・・?」


そう呟くように言ったイリアに、

口を開いたのは黒紅だった・・・。


{・・・あそこから一瞬の間に・・・ですからね?

 もしかするとこの部屋の前のホールで話していた・・・}


「あぁ~、それって確かセルンが言っていた、

 手を伸ばした先に何かある・・・って話の事?」


{はい・・・。

 恐らくセルンさんは何かを掴み取ったのかもしれませんね?}


「・・・そうね」


黒紅の話には納得したイリアだったが、

その様子に疑問を持った黒紅は尋ねた・・・。


{・・・イリアさん、どうかしたのですか?}


黒紅の声に静かに目を閉じたイリアは、

目を開け己の掌を見つめながら口を開いた。


「・・・大き過ぎる力は何かしらの代償を?」


{・・・代償?}


「えぇ、セルンの場合・・・。

 力を使った代償として、肉体への負担が大きそうだし・・・」


そう言ったイリアに黒紅は『あぁ~』と、

何かに気付いたのか納得し話していった・・・。


{だからじゃないですか?}


「・・・何が?」


{力の使用で肉体的にダメージを受けるから、

 筋肉が・・・}


そう言いながら黒紅は眠るセルンに目を移すと、

その肉体をじっと見つめた・・・。


「た、確かに・・・そうかもしれないわね?」


眉間に皺を寄せながらもそう答えると、

黒紅は『イリアさんは?』とそう尋ねた・・・。


「わ、私は・・・」


更に眉間に皺を寄せたイリアは、

厳しい表情を浮かべながら『もしかすると・・・』と口を開いた。


「私の場合は恐らく・・・。

 力を行使出来る持続性かもしれないわ」


{・・・持続性って?

 それってまさか、あのモードで戦える時間に制限が?}


「多分・・・だけどね?

 実際私が防御に徹しようとして『盾』を出したんだけど、

 セルンが突然姿を現した時にはもう『盾』は消えていたから・・・」


{えっ?}


驚く様子を見せた黒紅に、

イリアは一度その視線を瓦礫の下に埋まるジェミーを見ると、

『ふぅ~』っと溜息を吐きながら答えた。


「ブルー・スピリットが進化し、

 バーニング・ブルーになったのはいいけど、

 力を使用している時、半端じゃなく力を消費するのを実感したわ」


{・・・こ、こんな短時間でですかっ!?}


「えぇ、私がただ慣れていないだけかもしれないけど、

 それでも力を行使できる時間が短すぎる気が・・・」


{・・・つ、つまりその力は短期決戦用と?}


焦った感じでそう尋ねて来る黒紅に、

イリアはゆっくりと頭を振って見せた・・・。


「あの『羅樹羅』って1本角の鬼が言っていたでしょ?

 元々私の力は『防御と回復系に特化』しているって・・・」


{・・・はい}


「戦闘に転じる事はもちろん可能だとは思うけど、

 その時間は決して長くないのかもしれないわね」


{・・・・・}


イリアの声に黒紅が何も言えなくなると、

続けざまにこう言った・・・。


「因みに今・・・。

 その力を使う事は出来ないわ・・・」


{えっ!?つ、使えないのですかっ!?}


「うん・・・。

 ブルースピリットの『青い火』も、今はとても小さいし・・・。

 だからセルンの攻撃でジェミーを倒せていなかった場合、

 私にはもう・・・」


自分の掌を見つめ拳を『ギュっ』と握っては見たものの、

先程見せたような力強さはなかったのだった・・・。


(や、やっぱり・・・ね)


『クっ』と悔しさを滲ませたイリアが立ち上がりながら、

イザナミへと視線を向けた時だった・・・。


『カチン』と何かが落ちる音が聞こえると、

瓦礫へと視線を向けたイリアは『そ、そんな、まさかっ!?』と、

焦りの声を挙げた・・・。


『ガラガラ・・・カツンっ』


瓦礫へと視線を向けたイリアは小刻みに震えていた・・・。


「あ、あれ・・・で・・・。

 あの攻撃を受けて・・・まだ・・・?」


{・・・し、信じられません}


イリアに続いて黒紅までも驚愕した声を挙げると、

瓦礫からジェミーの腕が這い出て来た。


そして一瞬・・・。

そう・・・一瞬だった・・・。


『ガラガラガラっ!』と大きな音を立てて、

瓦礫に埋もれていたはずのジェミーが、

その身体から『黄色い障壁』を放ちながら立ち上がったのだった。


「クっ!?わ、私にはもう・・・」


そんな声を漏らすと同時にジェミーが吠えた。


『グガガガガガガガーっ!』


『っ!?』


ジェミーが吠えた束の間・・・。

その姿は一瞬にして消え気が付けば・・・

イリアから10歩先に立って居た。


「・・・えっ?」


『グガァァァっ!』


ジェミーはそう吠えながらイリアを見下ろすと、

その拳を硬く握り締め一歩踏み込みながら大きく振りかぶった・・・。


{イ、イリアっ!?}


「・・・あっ」


『グガァァァァァっ!』


大きく振りかぶったジェミーは迷う事無くその拳を振り抜いた・・・。


{イリアァァァっ!}


「きゃっ!」


『ベキっ!ミシっ!』


「・・・えっ?」


咄嗟に防御態勢を取り、床にへたり込んだイリアだったが、

ジェミーの振り下ろされたその拳は届いてはいなかった。


{・・・うぐっ}


「・・・えっ?」


恐る恐る腕の隙間から前を見ると、

そこには黒紅の身体があり、

それを茫然と見つめていたイリアから悲鳴に近い声が挙がった。


「く、黒紅・・・?

 い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!

 黒紅ーっ!」


咄嗟に黒紅がイリアの前へと踊り出て、

ジェミーの一撃をその身体で受けていたのだった。


『メキっ!ピシっ!』


その一撃は途轍もない破壊力を生み、

頑丈であるはずの黒紅の扉に大きな亀裂が刻まれていた。


「く、黒紅っ!?黒紅っ!?

 あ、あなた・・・どうしてっ!?」


イリアは背後から黒紅抱き着きながらそう声を挙げるが、

黒紅から聞こえて来るのは『メキっ!ピシっ!』と言う音だけだった。


「く、黒紅っ!?こ、答えてよっ!」


しがみつきながらそう声を張り上げるイリアの悲痛な声に、

途切れ途切れながらも黒紅の声が聞こえて来た・・・。


{・・・わ、わた・・・し・・・

 ここ・・まで・・・み、みた・・・い・・・ですね・・・}


「な、何バカな事言ってんのよっ!?」


『・・・ピシっ』


「く、黒紅っ!?」


{に、にげ・・・て・・・くださ・・・い・・・

 ここは、わ、わた・・・し・・・がっ!}


そう黒紅が言った直後・・・。


亀裂の入った黒紅身体から突然『赤銅色の鬼の気』が漏れ始めた。


{・・・こ、これから自爆・・・します。

 だ、だがら・・・}


『ミシっ!バキンっ!』


「黒紅ーっ!?」


黒紅の身体の亀裂から漏れ始めた『鬼の気』が、

その圧力で亀裂を更に大きくし始めた。


{い、今は・・・お、鬼の気で・・・

 じょ、女王・・・蜂を抑え・・・て・・・

 だ、だから・・・は、はや・・・く・・・

 イ、イザナミ・・・様・・・と、一緒・・・に・・・}


『グガァァァァっ!』


黒紅の鬼の気がジェミーの身体を縛り自由を奪っていた。


{・・・い、いまの・・・うちにっ!}


涙を流すイリアはその目に力を入れると、

イザナミの下へと駆け寄り状態を確認した。


そして『キっ!』と鬼の気で拘束されているジェミーを睨むと、

立ち上がり声を張り上げた。


「こいつは私がっ!

 ブルースピリットっ!お願いっ!

 仲間を救う為に私に力を貸してぇぇぇぇっ!」


『ボっ!』


イリアの熱き声に反応した『ブルー・スピリット』は、

激しく青い炎を滾らせその身体から吹き出した。


「・・・私に戦う力をっ!

 ウェイク・アップっ!バーニング・ブルーっ!」


『ゴォォォォォォォっ!』


ブルースピリットがイリアの叫びに反応すると、

『青白い業火』へとその姿を変え、

そして駆け出すと同時に声を挙げた。


「・・・ダブルアーム・・・ガントレットぉぉぉっ!」


そう叫ばれた声にバーニング・ブルーは反応すると、

イリアの両腕に『青白いガントレット』が装着された。


「うぉぉぉぉぉぉぉっ!

 黒紅ーっ!拘束を解いてっ!」


{イ、イリアっ!?}


イリアの声に黒紅は鬼の気の拘束を解くと、

その身体に大きく走った亀裂がゆっくりと修復し始めた・・・。


『グガァァァっ!』


黒紅の鬼の気から解放されたジェミーは雄叫びを挙げると、

イリアへと向き直り自らも駆け出した。


『はぁぁぁぁぁっ!』


『グガァァァっ!』


突進して来るジェミーにイリアは前方に跳躍すると、

その顔面に蹴りを放った。


『バキっ!』


「まだまだぁぁぁぁっ!」


『ヒューン』と蹴り飛ばされたジェミーを追撃し、

腹を蹴り上げ、顎へ膝蹴りを出し、

鳩尾へと後ろ回し蹴りを見舞った・・・。


高速戦闘を何度か繰り返し、

ジェミーはその速度に翻弄されそれるがままになり、

イリアの凄まじい攻撃に、身体が宙を舞っていた。


そしてイリアは再び声を挙げた。


「とどめの一撃ーっ!」


そう声を響かせ、

渾身の一撃を再びジェミーの鳩尾へと撃った瞬間・・・。


その強烈な一撃が腹へと届く刹那・・・。


それまで勢いよく燃え上っていた『青白い業火』は、

突然弾けると消失し、最後に聞こえて来た音は、

威力も何も感じない『ペシっ』と言う音だった・・・。


「・・・う、嘘?」


イリアの身体から『青白い業火』が弾け消失すると、

軽い眩暈と共に脱力感が襲い、そのまま膝から崩れ落ちた・・・。


「・・・ど、どうして・・・どうして・・・」


イリアは自分の両手を見ながらワナワナと震え、

顔を上げ視線をとどめを刺し損ねたジェミーへと向けた・・・。


『グガっ・・・グガガ・・・』


イリアの攻撃によってジェミーの美貌は見るも無残に腫れ上がり、

その強靭な肉体も痣だらけとなっていた・・・。


ガクガクと身体を震わせながらも必死に立ち上がる姿を見て、

イリアは唇を噛み締め血を流し、

その悔しさが見て取れるほどだったのだ。


「お、お願い・・・お願いだから・・・

 立ってよっ!私の身体っ!

 こ、こんな所で・・・終われない・・・

 何の為に・・・一体何の為にっ!

 う、動いて・・・動いてよ・・・動いてぇぇぇぇっ!」


イリアの魂の叫びが『ボス部屋』に響き渡った・・・。


号泣し叫んだイリアだったが、

その瞳は必死に立ち上がろうとするジェミーから逸らさなかった。


「あと・・・一撃・・・なのに・・・」


涙を流しながらそう呟いた時、

『・・・な、何泣いてんのよ?』と後方から声が聞こえ振り返った。


「セ、セルンっ!?」


{そ、そうですよ・・・イリア・・・。

 な、泣き叫ぶだ・・・なんて・・・

 恰好・・・悪い・・・ですよ}


「く、黒紅っ!?」


声がする方へと反射的に振り返ったイリアは驚愕しつつも、

辛うじて立ち上がるセルンと、

身体をガタガタと揺らしながら一歩前へ出た黒紅の姿に、

険しい表情を浮かべた・・・。


「そ、そんな顔・・・するんじゃないわ・・・

 わ、私は・・・私はまだ戦える・・・わ」


{わ、私だって・・・。

 こ、こんなの全然・・・へ、平気ですから・・・}


誰がどう見ても2人の姿はボロボロで、

戦いなど出来る状態でない事はわかったが、

仲間が立ち上がった事に対し心強かった・・・。


「わ、私だって・・・」


『ギチギチ』と歯を食い縛りながら、

剣を支えに立ち上がってみたものの、

イリア自身ももう余力はなくただ・・・。


ゆっくりとだが眼前に迫るジェミーに歯ぎしりをするしかなかった。


「イ、イリア・・・」


「・・・セルン?」


引き攣った笑みを見せ強がるセルンは口を開いた。


「正直な話・・・。

 わ、私はあと・・・5分は戦える・・・」


「セルン・・・」


セルンの申し出に負けずと黒紅も踏み出しながら口を開いた。


{わ、私だって・・・あと、一撃くらいなら・・・」


「・・・黒紅、あんたまで?」


『フフフ』とセルンと黒紅は笑って見せると、

セルンはイリアを見つめながら口を開いた。


「あんたは・・・もう戦えないでしょ?」


「クっ」


「だから・・・ここは私達に任せなさい」


そう引き攣った笑みを見せながらセルンが言った時だった・・・。


『グガァァ・・・』と呻くように口を開いたジェミーが、

息を荒くしながらイリアを凝視し、

身体を『黄色い障壁』が包んでいた・・・。


そしてイリアは見た・・・。


「・・・なっ!?ジェミーの・・・傷がっ!?」


『黄色い障壁』に包まれたジェミーの身体が、

ゆっくりとだが回復し始めたのだった・・・。


「そ、そんな・・・ここまで来て・・・」


絶望の色を滲ませたイリアがそう言った時、

セルンが剣を抜きながら声を挙げた。


「そう・・・は・・・させないわっ!

 イグニッションっ!ブレイジング・アーマーっ!」


ゆっくりと駆け出しながらそう声を挙げたセルンに、

『黒き火』は鎧へと変化した・・・。


『はぁぁぁぁぁっ!』と駆け出したセルンは、

剣を振りかぶりその黄色い障壁に振り下ろした・・・。


『ガキンっ!』


「チっ!だけどぉぉぉっ!」


一度弾かれた事を気にする様子もなく、

セルンは『黄色い障壁』に何度も剣を振り下ろした。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。

 か、硬い・・・」


セルンがジェミーの障壁を気にする事も無く、

何度も振り下ろすうちに、手の皮膚が破れ血液が滴り落ちていた。


セルンが攻撃をする中、

イリアは後方へと下がって行き、事の成り行きを見守っていた。


顔を顰めながら・・・。

冷たい汗を流しながら・・・。


肝心な時に戦えない辛さを・・・。

屈辱と無力さを感じながら・・・。


そして『ガラン』とセルンの剣がその手から落ちた・・・。


「・・・セルン」


『黄色い障壁』に傷すら付ける事もなく、

セルンのレイピアはその手から落ちたのだった・・・。


両手を赤く染めたセルンはイリア達に振り返ると、

力無く『・・・ごめん』と呟き、悔しさを滲ませながら笑っていた。


「・・・セ、セルンっ!?」


{セルンさんっ!?}


「に、逃げてぇぇぇぇぇぇっ!」


イリアの悲痛な叫びにセルンは振り返ると、

そこには傷を完治させたジェミーが不気味な笑みを見せ立って居た。


「・・・そ、その顔に一発・・・入れたかったわ」


最後にセルンが皮肉を込めて言った時、

『グフフフ』と不気味に笑うジェミーがその拳を振り上げた。


(わ、私は目を背けない・・・)


目に涙を溜めながらジェミーを睨みつけると、

最後にセルンは『ユウト・・・ごめん』と呟いた。


振り上げた拳が『グガァァァっ!』と、

吠えながら振り下ろされた時、

『ピタリ』とその拳が途中で止まった・・・。


全員が『えっ?』と戸惑っていると、

イリアと黒紅の背後から強烈な寒さを感じ振りかえった。


『イ、イザナミ様っ!?』


その声にセルンが『えっ?』と呟きながら振り返ると、

そこには身体から神力を放出し、

ギラついた目を向けるイザナミの姿があった・・・。


「イザナミ様っ!?」


セルンの声にイザナミはジェミーを視線で捉えたまま口を開いた。


「・・・あんた達、よーく踏ん張ってくれたし・・・。

 アタシが下手こいたせいで、迷惑かけちゃったわね?

 だけどもう心配いらねーし・・・。

 アタシが今からボコボコにしてやんよ。

 だから安心・・・しろし・・・」


そう言ったイザナミに誰も口を開く事が出来ずに居ると、

イザナミはジェミーに声を挙げた。


「ジェミーっ!今からギッッッタギタにしてやんよっ!

 てめーに攻撃する暇は与えねーからっ!」


その声に顕著に反応したジェミーは『グガァァァっ!』と吠え、

目の前に居るセルンに目も暮れず駆け出した。


『冥府魔道の格闘術ってヤツを・・・。

 その身で受けて・・・死ねっ!』


そう言った瞬間・・・。


『バシュっ!』と・・・。

イザナミの身体から『黒紫の神力』が放出された。


『うらぁぁぁぁっ!ジェミーっ!』


『グガァァァっ!』


『ドカーン』と2人が激突し、激しい戦いが始まった・・・。


『うっらぁぁぁぁっ!』


『バキっ!ドカっ!ガキンっ!』と激しく衝突するが、

それは一方的な戦いでもあり、

ジェミーはイザナミの攻撃に手も足も出ず、

ただ・・・『黄色い障壁』に護られるだけだった・・・。


凄まじいスピードで攻撃が繰り出される中、

イザナミはニヤりと笑みを浮かべた・・・。


『もうこの壁は見慣れたっつーんだよっ!』


そう言いながら『ヒューっ』と大きく息を吸い込むと右拳を溜め、

息を吐きながら一気に放った。


『バキンっ!』


『っ!?』


その一撃はこれまで皆が手こずった『黄色い障壁』を破壊し、

その中に居るジェミーの腹に突き刺さった・・・。


『ゴフッッッ!』


苦痛による悲鳴や絶叫などはない・・・。


イザナミの右拳はジェミーの腹を貫通し、

その拳は背中から飛び出していた・・・。


『グガっ』と一瞬呻きながら、

ジェミーは己の腹を突き破るイザナミの腕を両手で押さえ、

『ゴフっ』と再び吐血した・・・。


するとイザナミは低くくぐもった声を挙げた。


『・・・伊弉冉流・格闘術。

 『天冥道(あまのめいどう)』・・・。

 ジェミー・・・冥界の大扉からやり直して来な・・・』


イザナミのその声に・・・。

一瞬ジェミーがニヤっと笑みを浮かべた・・・。


「・・・お前と言うヤツは」


そう言いながら『ズボっ!』と一気に拳を抜きつつ、

一回転しながら声を挙げた。


『これで終わりだ・・・。

 せめてのも弔いだと思え・・・。

 『天沼矛(あまのぬぼこ)っ!』』


一回転している間に掌に古めかしい『槍』を出現させると、

迷う事無くジェミーの首を斬った・・・。


『ボトっ』と床に落ちたジェミーの首は、

『フっ』と笑みを浮かべるとそのまま息絶えたのだった・・・。


「・・・ジェミー」


床に転がるジェミーの顔を見ながらそう呟くと、

その髪を掴み、頭を消失した身体へと向き直った。


『パチン』


ジェミーの身体に向きながらそう指を弾くと、

イザナミの拳が貫通したその穴が紫色に淡く光った。


『ブブブ・・・』と・・・。

静かに振動音が響く中、突然その穴は吸引し始め、

それは次第にジェミーの身体を急激に吸い込み始めた・・・。


『ズ・・・ズズズ・・・』


その激しく強い吸引力に、ジェミーの身体は内側に・・・

淡く光る紫の穴の中へと飲み込まれ始めた。


それを見ながらイザナミは視線をジェミーの顏へと向けると、

『・・・このうつけが』と哀し気に声を挙げ、

両手で頭を優しく持つと、その穴の中へと放り投げたのだった。


『シュルシュルシュル』


ジェミーの頭を飲み込んだその紫の穴は、

再び『ズズズ』と静かに振動するとそのまま消失した。


イザナミは元通りになった『ボス部屋』の空間を見つめながら、

『ふっ』と哀愁を漂わせながら微笑むと振り返り、

満面の笑みを浮かべながら声を挙げた・・・。


『・・・お疲れちゃ~ん♪』


『・・・・・』


その無邪気さに顏を引き攣らせた者達は、

蜂を含め言葉を発する事ができなかったのだった・・・。


「え、えっ!?なになになにっ!?

 お疲れちゃ~んって、どうして応えてくんないのさっ!?

 えぇ~?まじで~?

 格好よくキメたアタシに・・・リスペクトなしってかっ!?

 ってか・・・アレじゃん?

 蜂の女王・・・おっつ~♪(堕つ)・・・なんつって~♪」


そう言ってイザナミは周りの空気を読む事なくそう言うと、

皆から軽蔑の眼差しを浴びる事になるのだった・・・。



ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


一応1か月分のストックはあるので、

風邪でぶっ倒れても問題なしです。


くたばっている間は執筆しないので、

物語のクオリテイーに問題はありませんです。


早く治したい・・・orz


皆さんも気を付けてくださいね~・・・。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後の「おっつ〜」は最高でしたw とてもイザナミらしいし。 でも他者に理解されにくい、みたいな感じも出てて。 体、お大事になさってください。 早く良くなりますように。。。
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