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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第一章 岩場の聖域編
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29話 決意と監視者

お疲れ様です。


ここ最近、労働意欲を奪うような

そんな暑さが続きますが、皆さんも気をつけて下さいね。


暑さに負けず頑張ろうと思う今日この頃でした。


ブックマーク及び感想など、宜しくお願い致します。


それでは、29話をお楽しみ下さい。

悠斗は隊長を始末した後、イリアの元へ戻った。

目を硬く閉じ、耳を塞いでしゃがみ込んだイリアの肩を叩く。

耳を塞いだまま悠斗に顔を向けると・・・


「終わったの?」

殺気をかすかに感じ取ったイリアの表情は硬かった。

「・・・ああ」

悠斗は笑顔を向けたつもりだったが、

その表情はうらはらに、悲しみに満ちていた。


立ち上がったイリアは悠斗の後方を無意識に見ようとするが、

悠斗がイリアの視線を塞ぐように横にずれた。

「お前は見なくていいから・・・」


その言葉がイリアに重くのしかかる。

目を閉じ思い詰めた表情を見せるが、再び目を開けて悠斗を真っ直ぐ見る。


「ねぇ、ユウト。どうして貴方だけが背負うの?」

「イリアは人族を殺した事がないよな?」

「・・・ええ、ないわ」

「だからさ、イリアは穢れなくていい」


悠斗の気持ちがイリアの心を守ってくれたのだった。


(気持ちはとても嬉しいけど・・・でも、ずっと守られてるのは嫌

それに、あんなユウトの悲しい顔は見ていられないわ)


イリアはそう決心すると、イリアはユウトの肩を掴み、

強引にユウトを押しのけ歩く。


「お、おいっ!イリア!」

悠斗の呼び止めに背中を向けたまま立ち止まる。

そして、拳を握り締め・・・声を押し殺し答えた。



「気持ちは本当に嬉しいわ。

 だけど、貴方に甘えてばかりじゃいられないのよ・・・。

 それに私は仲間達の敵も取らないといけないの。

 だから私も・・・」


イリアの決心を無駄にしたくなかった悠斗は

何も言わず見守る事にした。


「ありがと。それにさ、ユウトのそんな悲しい顔も見たくないし、

 私はこれから先も、貴方の傍に立っていたいから・・・」


イリアは言い終わると、隊長の死体の元へ歩いて行く。

悠斗は薄く笑うと、聞こえないほど小さな声で・・・

「わかったよ」と、つぶやいた。


イリアは隊長の死体の元へ着くと、目を閉じて呼吸を整えた。

(そう。もう甘い事は言っていられない。だから・・・)

再び目を開け、死体を見下ろす・・・。


「・・・うっ」っと、吐き気を堪えるイリア。


イリアは人族を殺した事はない。

その生々しい姿に吐き気をもよおしたのだったが、

なんとか堪える事ができた。


少し冷静になったイリアは剣をどのように突き立てたか、

予想がついてしまった。


(この刺し傷から見ると・・・そうなのね。

 ゆっくりと剣を沈めていったのね・・・)


後方に居るであろう悠斗を感じると、再び死体を見た。


(あんなに悲しい顔をしていたのに・・・こんな事ができるなんて、

 ユウト・・・あんたは今まで一体どれだけの修羅場を・・・。

 それに、決して楽しんで殺していない。

 だけど・・・見回り隊全員を始末する技術を一体何処で・・・?)


目を閉じ悠斗の笑顔を思い出すイリアは、

あの悲しい表情を思い出すと、眉間に皺を寄せた。


ふと、背後から足音が聞こえてきたイリアは目を開けた。

振り返ろうとした時、肩を優しく捕まれると、

イリアはその手に頭を預けた。

その手は・・・とても優しく、そして・・・温かかった。


「さてっと・・・一応、調べておかないとな」

悠斗はしゃがみ込むと、隊長の懐を探り始めた。


「ちょっ、ちょっと!何してるのよ?」

「ん?ああ~・・・いや、だから・・・一応念の為にな」

「念の為って何よ?」


悠斗は隊長の懐を「ゴソゴソ」探し、何かを取り出した。


「ん?これは・・・?」

隊長の懐から取り出したのは、小さな筒だった。

「これ・・・かな?」

悠斗は筒の蓋を開けると、中から丸められた紙が出てきた。

「やっぱり、これがそうだな」

「なんて書いてあるの?」


イリアが悠斗の背中越しに覗き込もうとすると、

背中を向けたまま、その紙をイリアに渡した。


「・・・これって、領主の息子の、命令書ね」

「ああ、これで証拠も出たって事だな」


小さな筒に入っていた紙は、見回り隊・隊長へと宛てた命令書だった。

内容は、アシュリナ子爵の娘・ロジーの暗殺依頼だった。

命令書の最後には、クレスト・ロックバルの印とサインが入っていた。

確認が終わると、悠斗はアイテムバッグから、

大きな布を取り出し、隊長の死体に掛け手を合わせていた。


「ユウト?それって・・・何してるの?」

「ん?ああ、これか・・・これは、亡くなった人に手を合わせて

 成仏できるように・・・とか?」

「へぇ~、ユウトの国の宗教的なポーズなのね」

「まぁ、そんなところだな」


イリアも悠斗のマネをして、手を合わせて祈っていた。

「ぼちぼち行きますか?」

「ええ、そうね。結構時間も経過したしね」


(今のユウトからは、あの殺気は消えているみたいね。

 だけどこれからは、ロックバルから狙われる事になるわ。

 私がユウトを守らないと・・・)


イリアが真剣な表情で、横を歩く悠斗を見ていると・・・

「あのーイリアさん?そんな真剣な眼差しで見られると

 恥ずかしいんだけど?」

「えっ?あ、ああ・・・そうね。ごめんなさい」


イリアは慌てて取り繕うが・・・

「まぁーだいたい考えてる事はわかるんだけどね」

「えっっ??わかるの?」

「まぁーね。んー。例えば・・・俺がこれからロックバルから

 狙われるかも・・・とか・・・そんなところかな?」

「どうしてわかるのよ!ま、まぁ・・・そうなんだけど・・・」


イリアは悠斗を見て心配そうにしていた。


「んー。そんな顔されても困るんだけどさ。

 まぁーでも・・・心配してもらえるのは嬉しいけどさ、

 俺はロックバルから狙われる事はないと思うよ?」

「えっ?どうして?なんでよ!」


悠斗は苦笑しながら、見回り隊の切断した腕を取り出すと

「ポトリ」と、地面に落とした。

「・・・待ってみよう!」

悠斗はおどけながら「ニヤリ」と笑う。

暫くすると・・・「パキンッ!」と、音を立てると消えてしまった。


「えっ?えっ?ええぇぇぇぇ!!!」

イリアはあまりの出来事に大声を上げた。

「うっ、うるさいって!」

「なんで、ど、どうしてよー!!どうして消えたのよぉぉ!!」

「あはは・・・。どうしてってさ~・・・魔法で腕を作ったからだよ?

 鎧を再現するのが大変でしたっ!」


悠斗は苦笑しつつ頭を「ポリポリ」と掻いて、

それでいて、どこか自慢げだった。


「う、腕を作るって、どうやって?

 えっ?えっ?で、でも、あの腕って温かかったし、血だって・・・」

「んとー。ほら~・・・魔法ってイメージじゃん?

 それと、体温と血のりはサービスですっ!」


「サ、サービスって・・・ま、まぁ、確かに魔法はイメージだけど・・・

 ん?・・・じゃ~あの隊長の部下達は?」

「ん?殺してないけど?

 ただちょっと気絶させて、森の中にまとめて置いてきたんだけど?」


「気絶させて森の中に置いてきたぁー?・・・あの短時間で?」

「まぁ、正確には・・・放り投げてきた・・・?

 もしくは、捨ててきた?ってのが正解かな」


イリアはあの切断された腕が魔法だったと言う事と、

見回り隊の部下達を短時間で気絶させて、

森の中へ放り投げてきたと言う事実に、どう反応していいかわからなかった。


「んー。だから、殺したのは隊長だけだから

 当然誰も見てないから、ロックバルにも狙われないって事だよ」

「えっ?でも、部下達には見られているでしょ?」

「いや。隠蔽使ってるからわかる訳ないじゃん」

「・・・あんた、何者よ」


イリアはすっかり驚きを通り越し、ただただ、呆れているのだった。

悠斗は最後に「ポツリ」とつぶやいた。


「殺すのは・・・一人で充分だしね」

かすかに悠斗の声が聞こえたイリアは、

悲し気な悠斗の横顔を見た。


そして、二人は令嬢を抱えると、森の中へ入って行った。


令嬢を抱えたまま森を歩く二人。

イリアは先を歩く悠斗に付いて歩いていた・・・。


「ねぇ、ユウト。どうやって森を抜けるの?

 確か、森の外って見回り隊の応援に来た連中がいるのよね?」

「まぁー・・・そうだな」

何かを言い含んだ悠斗の言葉に違和感があった。


「何かあるのなら言ってよねー?教えてくれないとわからないわよ?」

「今はまぁ~気にせずに付いてきてよ」

「ユウトだって、この森は初めてなんでしょ?」

「初めてだけど・・・だいたい・・・わかるかな?」

「だいたいって、そんな適当な」


イリアは悠斗の適当さに少し不安になったが

悠斗の事を信じると決めていたので、付いて行く事にした。

それから暫くすると、少し開けた場所に大木があった。


「あの大木の下で少し休憩しようか?」

「そ、そうね・・・少し疲れたわ」

悠斗は令嬢を降ろすと、二人は大木に背中を預け休憩に入った。

アイテムバッグから水を2本取り出すと、

1つをイリアに手渡し、喉を潤していった。


悠斗は体を起こすと、気配察知を使い確認する。


隊長を殺した場所から少し歩いた所で、

こちらを付けてくる気配に気がついていた。


そして今も少し離れた場所から、悠斗達を監視している。


(・・・やれやれ。面倒臭いなぁー)

そう思いながら大木を見上げて目を閉じると、ため息を吐いた。




ラウル ・・・ ふむ、日本とはそんなに暑い国なのか~

ミスティ ・・・ ラウル様。いかがなされました?

ラウル ・・・ いや~ね。原作者が暑い暑いって言うからさ~

ミスティ ・・・ そのようですわね。今の日本は夏らしいですから。

ラウル ・・・ そう言えば、日本で食べた「かき氷」は美味しかったな~

ミスティ ・・・ かき氷・・・ですか?いつ、そのようなモノを?

ラウル ・・・ ははは♪いつって、日本に行った時、人間界でね♪

ミスティ ・・・ へぇ~・・・そんな暇・・・あったのですね。

ラウル ・・・ はっ!!しまった!!つい、口が・・・

ミスティ ・・・ 一度・・・死にますか?

ラウル ・・・ 今度買ってきます。ごめんなさい。

ミスティ ・・・ そうですか♪では、許します♪

ラウル ・・・ (この神・・・怖いorz)


ってなことで、緋色火花でした。

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[一言] かき氷、お土産にできます? アイテムバッグだと大丈夫なんでしょうか? て、これが感想?(笑)
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