240話・連携
お疲れ様です。
今日はクリスマス・・・。
まぁ~緋色には全く関係ない話ですか・・・w
さて、今回のお話はイザナミ達御一行のお話です。
あれから時間は経過し、50階層に到達致しました。
あと『活動報告』に、ノーマル・セルンをアップする予定です。
・・・なるべく早くアップします^^;
今年・・・。
2023年のラストです。
本年はとても読者様方にお世話になりました。
登録して下さっている方々・・・。
本当に感謝しております。
本当に有難う御座いました。
来年も宜しくお願い致します。
それでは、240話をお楽しみ下さい。
イザナミ達がこの『冥界のダンジョン』に入ってから、
およそ2ヶ月ほど経過していた・・・。
順調に攻略していき気付けば中級階層・・・。
いよいよ中盤地点である『50階層』に踏み入れたのだった。
「・・・い、いよいよ50階層ですね?
き、緊張してきた・・・」
そう言ってイリアは不安そうにそう言うと、
イザナミ肩を竦めながら『ふんっ!』と笑って見せた・・・。
「な~にふざけた事言ってんのさ~?」
『50階層』のエントランスで腰を下ろしたイザナミに続き、
イリア達もその場で腰を下ろした・・・。
「まぁ~最初はアタシも不安だったんだけどさ~?
何やかんやであんた達も成長し、
『魂の灯』もそれなりに使えるようになってきたじゃない?
もう少し苦労するかと思ったけど・・・ね」
苦笑しつつも少し遠い目をしたイザナミに、
セルンは声をかけた・・・。
「私も何とかこの力に慣れてきました・・・。
ですがここ一番・・・。
自分でリミットを外せないと言うか・・・」
少し俯きながらそう言ったセルンに、
イザナミは『ふむ・・・』と少し唸って見せた・・・。
少し何かを考え込んでいたイザナミが顏を上げ、
不安げにこちらを見ているセルンに口を開いた・・・。
「セルぴょんは・・・」
そうイザナミが口を開いた時、
セルンはその『愛称』に唖然とした・・・。
「セ、セル・・・ぴょん?」
そんなセルンに構う様子を見せる素振りさえ見せず、
淡々と話をし始めた・・・。
「セルぴょんが力を出し切れないのは、
イリアっちと比べているからっしょ?
だからここぞって時に力が発揮出来ない・・・違う?」
「・・・・・」
イザナミの言葉に俯いてしまったセルンを見て、
イリアが首を傾げながら『・・・そうなの?』っと声を挙げた。
「どうして私と比べる必要が?」
「・・・・・」
「って言うか・・・。
私よりセルンの方が上手く立ち回れているじゃない?
私なんて戦うだけで精一杯で・・・。
そんな私と比べる必要なんてないじゃない?」
そう話すイリアにセルンは俯いていた顔を上げた。
そしてその顔を見た時、セルンは『はぁ?』と呆れた声を挙げた。
「・・・わからないの?」
「・・・へっ?な、何がっ!?」
本当に驚いているようで、
イリアの顔は何とも言えない表情になっていた。
そんな2人にイザナミは『はぁ~』っと溜息を吐くと、
『あんた達ね~?』と呆れながら口を開いた。
「まずっ!イリアっちは基本的に『猪突猛進タイプっ!』
後先の事を考えずただ突っ込むだけの『牛女』っ!」
「う、牛女っ!?イ、イザナミ様ひどーいっ!」
イザナミの言葉に抗議するイリアだったが、
『しゃら~ぷっ!』と言う声に一蹴され声を飲み込んだ。
「だいたいあんたね~?
何も考えず突っ込み過ぎなのよっ!
セルぴょんや黒紅たんが上手くフォローしてくれるから、
あんたは気兼ねなく『ぶるーすぴりっと』が使えんでしょうがっ!」
「・・・そ、そんな~」
「そんな~も何もねーしっ!
とりま2人が上手く立ち回っているから何とかなっていたのっ!
バカの1つ覚えみたいに『猪突猛進』しちゃってさ~?
あんたは『闘牛』かっ!?」
「・・・と、とう・・・ぎゅう・・・」
「ほんっとにこの子は~・・・
もう少し周りの状況を見て動きなさないよね~?
見てて面白いっちゃ~面白いけどっ!
正直・・・ずーっとこっちは内心ヒヤヒヤしてたし・・・」
「うぅ・・・」
ここぞとばかりイザナミがその胸中を口にすると、
イリアはその牛のような大きな胸を抱え込むように蹲った。
そしてそんなイリアに苦笑いを浮かべて居るセルンに、
今度はイザナミが『ギロリ』と睨みつけながら口を開いた。
「ってか・・・。
だいたいあんたもあんたよっ!」
「わっ、私・・・ですかっ!?」
「他に誰が居るってのよ?」
「す、すみません・・・」
セルンを睨みつけるイザナミの迫力に、
ただ謝ってしまい小さくなってしまった・・・。
そんなセルンにイザナミは落ち込むイリアを見ながら話を続けた。
「あんたもあんたで・・・。
この突っ込むだけしか能がない『闘牛女』とは対照的に、
胸だけはでかい『牛女』のフォローばかりで・・・。
一体何やってんのっ!?
ばぁぁぁかじゃないのっ!?
こいつのフォローをする暇があったら、
さっさと攻撃しろしっ!
見ててかったりぃ~しっ!」
「うぅ・・・」
『がくっ』と項垂れるセルンにイザナミは止めとばかり口を開いた。
「ふんっ!あんたの細かすぎる性格はっ!
その『貧そな胸』と同じでちっっっっっちゃいのよっ!」
「・・・ひ、ひん・・・そ?」
イザナミにそう言われセルンの双眼が『カっ!』と見開かれた。
自分でも気にしていたのだろう・・・。
セルンは隣で蹲るイリアの『大きな胸』を見た後、
自らの視線を己の身体へと向けた・・・。
「貧・・・そ・・・」
呻くようにイリアと同じように蹲ったセルンに、
イザナミは『ふんっ!』と鼻息を荒くしていたのだった。
すると今まで沈黙を守っていた黒紅が、
イザナミに『念話』を送って来た・・・。
{・・・イ、イザナミ様?
もうそのくらいにしておいた方が・・・}
そんな目『念話』を送って来た黒紅、
イザナミは『ギロリ』と再び鋭い視線を向けて来た・・・。
{・・・うぅ}
{つーかさ~・・・黒紅たん聞いてよ~?}
{なっ、何でしょうか?
わ、私で良かったらお聞きしますが・・・?}
イザナミの迫力に黒紅は少し後ず去ったが、
そんな事も気にする事無く話し始めたのだった・・・。
{このばぁぁぁかっ!な2人はさ~?
このダンジョンを進む中、
自分の中にある『灯』と向き合って来た結果・・・。
少しずつではあるけど『進化』して来た訳でしょ?}
{そ、そう・・・ですね}
{でしょでしょ~?
その甲斐あって見た目もって・・・}
そう話していた時、イザナミの会話は突然止まり、
その視線をイリアへと向けたのだった・・・。
そして少し肩を竦めながら黒紅との『念話』を続けた。
{と・く・に・・・イリアっちはさ~?
『ぶる~すぴりっと』に慣れて来た分その恩恵なのか、
少しぽっちゃり気味から痩せて『シュっ』とした説あるっしょ?}
{・・・え、えっと~}
イザナミの声に黒紅は何とも答える事が出来ず、
言い淀むしかなかったのだが、そんな事を構わず言葉を続けた。
{ってか・・・さ?
ちょっとイリアっちっておかしくない?}
{な、何が・・・ですか?}
{どうして痩せて『シュっ』としたってのにさ~?
何で『胸だ・けっ!』は痩せないのさ?
ってか、むしろ・・・前よりでかくなってる説あるっしょ?}
そう話した所で一瞬イザナミの視線は落ち込むイリアへと向いたが、
すぐさま視線を戻し押し黙る黒紅をじっと見ていた・・・。
{でかくなるとかありえんしっ!
そんな『闘牛女』とは対照的にさ~?
セルぴょんの身体はドンドン『マッチョ』になって、
『灯の力』を使った時、腹筋とかバッッキバキじゃんっ!?
そんなに筋肉っているっ!?}
青筋を浮かべ愚痴が止まらないイザナミに、
黒紅は『あはは』と苦笑いを浮かべるしかなかった。
『はぁ~』っと深く溜息を吐いたイザナミは、
『そろそろ行くわよ』と落ち込む2人に声をかけ行動を開始した。
『50階層』のエントランスを抜けると、
目の前に在る通路は今までもよりも広くなっていた。
「・・・今までの通路よりかなり広いですね?」
イリアがそう感想を口にした時だった・・・。
突然『グギャァァァっ!』と暗い通路の先で声が響くと、
いくつもの足音がこちらに向かって来ているようだった。
その気配に目を細めたイザナミは、
皆に対し『来るわよっ!』と声を張り上げた。
それと同時にイリアは『ブルースピリット』と声を挙げ、
セルンもまた『イグニッションっ!』と2人は『魂の灯』を展開した。
目を細め警戒しているイザナミが呻くように声を漏らした・・・。
「・・・数が・・・多い・・・」
『っ!?』
皆が振り返り訝し気な表情を見せると、
イザナミは手を叩きながら戦闘に集中するよう促した。
「・・・ゴブリン・ナイトっ!?」
朧げにそう視認したイザナミは『ちっ!』と舌打ちし、
『面倒ね』と呻いて見せた。
すると正面を向いたままにセルンが声を挙げた。
「イザナミ様っ!どう致しますかっ!?」
その声に眉間に皺を寄せたイザナミは、
『どのみちやるしかないしね・・・』と呻いた。
イザナミは前方に向かって手をかざしながら、
イリアとセルンに指示を飛ばした。
「あんた達っ!ここは気合い入れないとヤバいし、
相手は防御力マシマシだかんねっ!
特にヤツらの盾は厄介だから気をつけなっ!」
『はいっ!』
「2人は力を解放して待機っ!
黒紅は例の『瓦』飛ばすヤツで先制攻撃っ!」
{了解ですっ!}
戦闘に突入したと同時に、黒紅が4枚の『瓦』を浮かせると、
その『瓦』は赤い光を放ちながらクルクルと回転し始めた。
『ギュル、ギュル、ギュル・・・』
赤い光を纏いながらその『瓦』は次第に高速回転し始めた。
それを目にしたイザナミの口角が微かに上がると、
手を前方に振りかざしながら声を挙げた。
「放てぇぇぇっ!」
{いけぇぇぇっ!飛ぶ瓦ぁぁぁっ!}
その声にイザナミは『黒紅たんのネーミングセンスって?』と、
そんな事を考えながらもその『瓦』は、
まだ見えない敵へと向かって行った・・・。
『ギュルギュルギュルーっ!』
前方に居るイリアとセルンの上を飛び去ったのと同時に、
2人は気合いの入った声を挙げながら駆け出した。
『はぁぁぁぁぁぁっ!』
お互いに『灯の力』を発動し駆け出した2人は、
駆け出しながら更に『灯』の力を上げた・・・。
イザナミの前方で2人の『青と黒』の光が確認出来た頃、
更にその前方で『グギャャャっ!』と、
魔物達の断末魔が響き渡って来た・・・。
イリアは駆けながら手に持つレイピアに『青い炎』を纏わせると、
その突進力を生かし『ゴブリン・ナイト』に斬りかかった・・・。
『ガキンっ!』
「か、硬いっ!?」
驚くイリアにやや遅れていたセルンは声を張り上げた。
「相手は武装しているから硬くて当たり前よっ!
その盾は伊達じゃないわっ!」
やや後方から聞こえるセルンの声に、
イリアは『それならっ!』と声を挙げると、
レイピアに『青い炎』を纏わせ、再び斬りかかった・・・。
「はぁぁぁっ!ブルーフレイムっ!」
『ガキンっ!』と再び『ゴブリン・ナイトの盾』に阻まれたが、
『青い炎』の威力によって相手の盾は溶けながら斬り裂かれていった。
だが、その時だった・・・。
『グギャっ!』と声を張り上げながら、
敵の後ろから違う『ゴブリン・ナイト』がイリアに斬りかかって来た。
『クっ!』と顔を顰めたイリアの背後から、
『させないっ!』と、セルンの声が挙がった。
『カシュっ!』と黒い『フェイスマスク』を閉じながら、
イリアの肩に手を置くと飛び越え、気合の籠った声を挙げた。
『はぁぁぁぁっ!』
『ザクっ!バキっ!』
イリアの背後から飛び出したセルンは、
そのレイピアの切っ先で『ゴブリン・ナイト』の額を貫きながら、
蹴り飛ばし、前方に一回転しながら着地すると、
此方に向かって来る別の『ゴブリン・ナイト』に向けて手をかざした。
『闇魔法っ!ダークネス・アローっ!』
瞬時に敵の数を把握したセルンは魔法を放つと、
その背後で『ザシュっ!』と斬撃音が響いて来た・・・。
「イリアっ!」
「おーけーっ!」
『ボっ』と黒く燃えた『ゴブリン・ナイト』3体に対し、
足を止める事無く向かって行くと、
一気に『青い炎』を纏ったレイピアで黒く燃える敵を斬り伏せた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
そんな息遣いを風切り音と共に感じながら、
再びセルンがイリアの背後を飛び越えると、
2体目の黒く燃える『ゴブリン・ナイト』に斬りかかった。
そして『ドサっ』と倒れる間際、
『ギュルギュルギュル』っと赤く光る『瓦』がセルンの横をすり抜け、
最後の3体目の首を跳ね飛ばしたのだった・・・。
『はぁ、はぁ、はぁ・・・』と、
イリアとセルンの荒くなった呼吸音が響く中・・・。
後方から『ドスっ!ドスっ!ドスっ!』と激しい音と、
『タっ、タっ、タっ』と軽快に駆けて来る足音が聞こえた・・・。
それがイザナミと黒紅である事を認識し、
『とりあず何とか・・・』と、イリアが安堵の息を吐くと、
後方から駆けて来るイザナミの大きな声が響き渡った・・・。
「悪くない連携だったけど、まだ終わってねーしっ!
油断すんなしっ!」
「っ!?」
驚くイリアは慌てて戦闘態勢に移行するも、
それよれも早くセルンが暗い前方に向かって手をかざした。
「ファイヤー・ボールっ!」
『ボボボンっ!』と、3発の火球を放ちそれが通路に落ちると、
その炎の光の向こうで揺れ動く3体の敵の姿が浮かんだ。
「ふぅ、面倒くさいわね」
そう声を漏らすセルンの声に反応したのか、
『グゲゲゲゲ・・・』と不気味に笑う魔物の声が2人の耳を触った。
「・・・そんなっ!?連続でっ!?」
そんな不安げな顔を見せるイリアに、
セルンは『カシュっ!』とマスクを開きながら立ち上がった。
「・・・まぁ、中級階層だから当然でしょ?」
そう冷静に言いながらイリアに向けたその顔は、
どこか楽しげでもあった・・・。
そんな顔を見せるセルンにイリアは『・・・そうね』と返し、
呼吸を整えながら立ち上がったのだった。
セルンの隣に並んだイリアに、
『・・・まだいけるでしょ?』と尋ねると、
顔を挟み込むように『パンっ!』と叩いたイリアは、
『・・・問題なしっ!』と、まるで悠斗のようにそう言って笑った。
「上出来ね♪」
『カシュっ!』と再びマスクを閉じたセルンは、
振り返りながら追い着いて来たイザナミに声をかけた。
「イザナミ様・・・」
「・・・ん?」
「先程指摘された事を、この場で克服したいと思います」
マスクの中の表情は分からないが、
そう言ってのけたセルンにイザナミは肩を竦めながら、
『・・・大丈夫そ?』と尋ねると『はいっ!』と力強く応えた。
するとセルンは笑みを見せていたイリアに向き直ると、
『頼みたい事があるの』とそう言った。
「・・・頼み?」
「えぇ、あの3体を私に任せてくれないかしら?」
「・・・えっ?」
セルンの申し出にイリアは驚くが、
その眼差しに無言で頷いて見せた。
「有難う・・・恩に着るわ♪」
そう楽し気に見えるセルンの顔を無言で見つめていると、
イリアの意図を察したセルンは軽くその肩を叩いた。
「私も越えないと行けない壁があるからね♪
だから・・・私は・・・」
そう言ったセルンの言葉に力が漲ると、
眼前で不敵な笑みを浮かべる『ゴブリン・ナイト』を睨みつけ、
声を張り上げながら駆け出した。
「はぁぁぁぁっ!
ブレイジング・ライトアーマーっ!」
その張り上げた声にイリア達は驚いていたが、
イザナミだけは薄く笑みを浮かべていた・・・。
(なる~♪いい考えじゃん♪
セルぴょんの特性としてまず思いつくのはその速さ。
ライトアーマーにする事によって、
ソレが失われないようにしたって感じだけど・・・)
薄く笑みを浮かべながらそう考えていると、
イザナミの表情が変わり『だけどそれだけじゃ?』と呟いた。
そしてやや前方で握り締められた拳に力が入るイリアを見ながら、
イザナミは2人に声をかけた・・・。
「いーい?2人は何があっても絶対に動かないでよ?」
『えっ!?』
驚きながら振り返ろうとするイリアを無視しながら、
イザナミは口角を少し上げながら話を続けた。
「セルぴょんの意思を尊重しないとさ~?
後でめっちゃキレられそうじゃんね?
それにアタシら・・・『仲間』だし♪
見守る事も『仲間』の務めってね~♪」
そう笑みを浮かべながら言ったイザナミの声に、
イリアと黒紅は『わかりました』と応えたのだった。
『あざまる~♪』
(セルぴょん・・・あんたの抗い・・・
アタシ達がしっかり見届けてやるし・・・。
だから負けたら許さんし・・・)
敵に向かって駆け出すセルンの背中を見つめながら、
イザナミは握り締められた己の拳に、
力が入っていることに気付いたのだった。
ってな事で・・・。
今回のお話はこんな感じになりましたw
今回も『女子~ず』のお話なので、
コメディー色強めとなっております^^;
楽しんで読んで頂けるととても嬉しく思います。
登録や感想などもお待ちしておりますので、
是日、宜しいお願いします。
今後・・・。
つまり2024.1.2は通常通りにアップしますので、
読んで頂ければと思います。
一応、今回で2023年のアップは終了となりますので、
読者の皆様方に御挨拶を・・・。
『読者の皆様方、良いお年を・・・。
そして2024年も宜しくお願い致しますっ!』
ってなことで、緋色火花でした。




