閑話・ノーブル・聖書・後編
お疲れ様です。
最近どん兵衛のCMで愕然としていた緋色で御座いますw
皆さんはどう思ったのかぜひとも知りたいところですが、
今回のお話は前回に引き続き『閑話・後編』となります。
今回の登場人物はナイアドとグラフィス親子ですね。
楽しんで読んで頂ければと思います。
個人的にナイアドの真面目さは好きですw
それでは、閑話・後編をお楽しみ下さい。
『・・・さぁ、修練を始めようか』
そう力強く言ったナイアドの目には、
新たな決意が漲っていた・・・。
ナイアドはその『訓練場の内壁沿い』を走り始めると、
息を二度吐き、一度息を吸い込んだ・・・。
(この聖書に書かれている戦闘においての基礎・・・。
それは長く走る事・・・。
体力がなければ戦う事すら出来ない・・・。
そして最も大切な事は呼吸法。
有酸素運動によって・・・)
ナイアドは悠斗から託された『聖書』の中身を日々読み込み、
ある程度の内容は把握していた・・・。
(私の分からない用語などはその都度別途で補足され、
その意味を容易に紐解く事が出来る・・・。
無知な己を呪いたくはなるが、とても有難い事だ・・・)
もうどれくらいの時間が経過したのだろう・・・。
ナイアドの衣服は汗で満たされ、
その足元より汗が滴り落ちるほどだった・・・。
それから30分後・・・。
漸くその足を止めたナイアドは『革袋』から、
円柱状の陶器で出来た水筒を取り出した・・・。
『ゴキュっ、ゴキュっ、ゴキュっ』
物凄い勢いで水筒の中の水を飲み干すと、
ベンチに腰を掛け服を着替え休息を取った。
(訓練において・・・。
いや、生命の最も必要なのは『水』である。
水分補給は生命体に取って一番重要であり、
それを怠ると死を迎える事になる・・・)
「フフフっ・・・。
訓練中に水分補給など、甘えだと思っていたが、
そうではなかったのだな?
今更ながら馬鹿げた行いをしていたものだ♪」
自らの行いが恥ずかしく思うナイアドの顔は、
苦々しくはあったが、でもどこか・・・
清々しい気持ちになっていた。
そして少しの休憩を取った後・・・。
ナイアドはベンチから立ち上がり、
この『訓練場』の中央付近までやって来た・・・。
そしてこの『訓練場の中央付近』で座り込むと、
『座禅』を組み目を閉じた・・・。
(『座禅』・・・。
『聖書』にはこう書かれていた・・・。
姿勢を正し『無念無想』境地で『精神統一』する事と・・・。
ふむ・・・謎だ・・・謎過ぎる・・・。
最初は一体何を言っているか意味がわからなかったが、
補足にこうあった・・・。
『まずは難しく考えず、呼吸を整え心を穏やかにっ!』っと、
そしてその文章の後に・・・何やら不思議な文字があったのだ。
『・・・(笑)』と。
この『(笑)』とは何だ?
それについての『補足』は何もなかったが、気になる・・・。
その次のページには『座禅』についてこう書かれていた。
『調身、調息、調心と言われ、
姿勢、呼吸、心を整えるのが座禅の基本だ』と・・・)
ナイアドは『聖書』に書かれていた通り、
呼吸を整え心を穏やかにすると、
早速『修練』に取り掛かった・・・。
呼吸を整え心を穏やかに整えた理由・・・。
それは『魔法』を行使する為だった・・・。
『剣聖』でもあるナイアドには充分な『魔力』がある。
悠斗から託された『聖書』には、こう書かれていた・・・。
『魔力があるんだからそれを上手く使わないと損だよね?w』
そう書かれていたのだが・・・。
その『文章』を思い出したナイアドは、
ふと気になっていた事を呟いた・・・。
「ふむ、文言の最後にある『w』とは何だ?
書き間違いなのか、はたまた何か深い意味や暗号が?
ふむ・・・この『w』は無数に『聖書』に出て来る。
やはりコレは・・・。
ユウト様が私に託した『暗号』に間違いないだろうな?
一度改めて精査した方が良かろう・・・」
一度目を開きそう考え始めたナイアドは我に返ると、
『わ、私とした事が・・・』と顔を顰め、
再び『座禅』に入り集中した・・・。
再び集中し始めたナイアドは、
『聖書』に書かれていた『魔法の章』にある、
その『威力』を上げる方法なる文言を思い出していた・・・。
(魔法で最も重要なのは、その『魔力制御とイメージ』だと・・・。
本来なら行使する魔法の『原理』などがわかるといいらしいが、
文化の違いからか、それは難しいだろうと書かれていた。
そしてユウト様が出した結論は・・・。
『手っ取り早く威力を上げるには、魔力制御だ』と・・・。
『※イメージに関しては個人差があります』と書かれていた。
た、確かに・・・それはそう思うのだが・・・)
そしてここでまた・・・。
ナイアドは気になる事があった・・・。
それは・・・。
(しかし気になる事がある・・・。
最後の一文の文字がとても小さく・・・
最初はそのあまりの小ささに気付かないほどだったからな?
これもまた・・・何かあるのか?
どうしてここまで文字を小さくする必要があるのだ?
『注意喚起』とも受け取れなくもないが、
ならばどうして・・・ここまで文字を小さくする必要があるのだ?
わ、私があまりにも未熟故の・・・計らいか?
ふむ、そう考えると納得が出来るな・・・。
流石は『我が師』・・・だ)
目を閉じ眉間に皺を寄せながら、
そんな事を考えていると、今日何度目になるのか・・・。
頭を軽く振ったナイアドは集中した。
暫くして納得のいく集中が出来たナイアドは、
その双眼を開く『座禅』を組んだまま、
身体の『胸の正中線上』で『パンっ!』と勢いよく手を合わせると、
ゆっくり開きながらその両手の掌の中央付近に、
集中した魔力を集め始めた・・・。
ナイアドは両手の掌の間に集まる魔力を感じながら、
より完璧な『球』を目指しイメージを膨らませていった・・・。
(より完璧に・・・そして真球に近付くように・・・。
そしてその色彩は・・・そうだな?
ここは分かりやすく・・・。
俺がユウト様に抱く『赤』のイメージを反映させて・・・)
ナイアドは以前悠斗と対峙した時のイメージを思い出しながら、
それを『球状』に集めている魔力に、
『赤』のイメージを追加していった。
それから数分後の事だった・・・。
「・・・よ、よしっ!で、出来た・・・ぞ・・・。
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」
ナイアドが今の段階で納得出来る形となった頃、
既に陽は傾き闇の帳が訪れようとしていた・・・。
「・・・いつの間に陽が?」
己の生真面目さに、ナイアドは苦笑していると、
『ゴンっ!ゴンっ!』と強めに『訓練場の扉』がノックされた・・・。
集めた魔力を霧散させたナイアドは、
呼吸を整えながら『入れ・・・』と声を挙げた・・・。
『ギィィィ』
重厚な扉が軋む音を立てながら開くと、
中へと入って来たのはこの『屋敷の主』である、
『グラフィス・ベルフリード』だった・・・。
「ち、父上っ!?」
慌てたナイアドは勢いよく立ち上がりながら駆け出すと、
『父』であるグラフィスの下に片膝を着き頭を垂れた・・・。
「父上、このような場所に・・・。
いかがされましたか?」
そう丁寧に話すナイアドにグラフィスは大きく溜息を吐いた・・・。
「ナイアドよ・・・?
『訓練』するのは大いに結構であり、
その絶え間ない努力は称賛するに値するが・・・」
「はっ!有難う御座います」
「・・・まだ話は終わっとらん」
「・・・は、はい」
「こんな時間まで帰らぬものだから、皆が心配しておる。
それに・・・折角の食事も冷めてしまうではないか?」
「は、はぁっ、ま、誠に申し訳なく・・・」
一度慌てた顔を見せたナイアドは、
すぐさま頭を垂れるとグラフィスは苦々しい表情を浮かべた。
そしてゆっくりと腰を下ろしながら、
片膝を着くナイアドに目線が合うようにしゃがむと、
『・・・ナイアドよ?』と話しかけていった・・・。
「・・・お前も生真面目な男よな~?
我が息子ながら感心・・・いや、呆れ返るぞ?」
グラフィスの言葉に『はっ?』と顔を上げたナイアドに、
再び溜息を吐くと『まぁ、良い事なのだがな?』と、
苦笑いを見せながら立ち上がると『帰るぞ?』と言って歩き始めた。
「は、はっ!」
慌てたナイアドは立ち去るグラフィスの後を追うように、
ベンチに置いてあった『革袋』を回収して急ぎ追いかけて行った。
そして屋敷の正面玄関に向かう中、
グラフィスの隣を歩くナイアドを横目で見ながら口を開いた。
「・・・成果の方はどうなのだ?」
そう尋ねたグラフィスにナイアドは一瞬驚いたような顔を見せたが、
すぐさま『問題ありません』と笑顔を向けて来た。
「父上、それに今日はユウト様をイメージとした色・・・。
『聖書』の中にある『魔力球』の色を・・・。
ユウト様をイメージした『赤い色』にする事が出来ました」
「ほう、それはまた・・・」
そう言いながらグラフィスはナイアドに顏を向けた時、
その無邪気な笑顔に驚いていた・・・。
(・・・幼き頃、儂に見せたあの無垢な笑顔の面影があるな?
フフフっ・・・懐かしいものだな?
一時は傲慢で冷酷な・・・そんなドス黒いモノを感じ、
正直、親としては心配したものだが・・・
だが、ユウト様に出会ってからと言うもの、
暫く家族にも見せていなかった『笑顔』がまた見れるとはな?
ユウト様にはどれだけ感謝をしてもしきれんな・・・)
無邪気な幼子のように話すナイアドに、
グラフィスも優しく微笑んでいた・・・。
そして『正面玄関』に到着し、
ナイアドが先に進み扉を開き『父』を先に進ませた時、
ふとグラフィスの足は止まりナイアドに声をかけた・・・。
「明日、訓練の成果をこの儂に見せてはくれぬか?」
グラフィスの声に一瞬驚きを見せたが、
すぐに微笑むと思いがけない言葉で返答された・・・。
『・・・わかったよ、父さん♪』
その言葉にグラフィスは何度か瞬きをした後、
硬い表情をしていたグラフィスの顔は、
嘗てナイアドが幼き頃に見せた微笑みを向けながら答えた。
『あぁ、楽しみにしているぞ・・・息子よ♪』
屋敷の中へと入って行った『親子』は、その晩賑やかな食事をし、
眠りに着いたのだった・・・。
~ 翌朝 ~
ベルフリード家の嫡男であるナイアドの朝は早い・・・。
目を覚ましたナイアドは毎朝のルーティーンをこなすべく、
着替え終わると『ベルフリード邸』の敷地内を走り始めた・・・。
強風が吹こうとも雨が降ろうとも、
悠斗から託された『聖書』をもらってから、
1日も欠かさず走り込んでいた・・・。
そしてそのナイアドの背中を見ていた『騎士達』も、
それに習って走り出すようになり、
その人数も1人・・・また1人と増えて行き、
今ではナイアドの部下達が全員が自らの意思で走り込んでいた。
だが今朝は少し様子が違っていた・・・。
同じように走り込む騎士の1人が仲間に声を掛けた・・・。
「お、おい・・・ナイアド様を見て見ろよ?」
「・・・ん?ナイアド様がどうしたって?」
呼吸を荒くしながら言われるがままに走るナイアドを見ると、
『お、おい・・・あれって?』と驚いた様子を見せていた。
「・・・やっぱりアレって・・・て、鉄板だよな?」
「あ、あぁ・・・」
騎士達が驚くのも無理はなかった・・・。
ナイアドは1枚の鉄板を両手で持ち走っていたからだった・・・。
『走りにくいだろ?』と、
騎士の1人がそう声を挙げるも、ナイアドは黙々と走っていた。
『はぁ、はぁ、はぁ・・・』
1枚の重い鉄板を両手で持って走るナイアドの息は荒かった・・・。
汗だくになりながらも『聖書』に書かれていた通り、
黙々と走っていた・・・。
(『聖書』に書かれていた・・・。
全てにおいて『軸』は重要だと・・・。
『如何なる態勢になっても身体の『軸』がブレないよう、
その基礎を作る為、鉄板などを両手で持って走る・・・。
そしてその場合、肩を振って走らないように。
フォームを乱さず走る事によって、筋肉に粘りが出る・・・。
それは戦闘において身体の『中心軸』をズラさないようにする為、
このような方法はあるが、毎日ではなくていい・・・』)
『聖書』に書かれていた文章を思い出しながら、
ナイアドは懸命に走っていた・・・。
(俺のユウト様への忠誠は決して揺るがないっ!
我が師が『しろっ!』と命ずるのならば、
それを信じ行うのが弟子なのだっ!)
走り終えたナイアドは地面に座る事無く移動すると、
汗を流しストレッチを終え朝食をとり食べ終えた・・・。
それから少し休息を取った後、
再び行動を開始した。
『ベルフリード家の跡取り』として勉学に励み、
仕事をこなすと『談話室』で暫くの間読書を楽しんだ後、
着替え自分専用の『訓練場』へと向かった・・・。
『ギィィィ』
『訓練場の重厚な扉』を開き中へと入ると、
その中を軽く走りストレッチを行った・・・。
そしていつもの如く『訓練場の中央付近】へと行くと、
座り『座禅』をし集中力を高めて行った・・・。
すると『ゴンゴンっ!』と扉がノックされ、
ナイアドがそれに応えると、グラフィスが姿を現した・・・。
「・・・お待ちしておりました。父上」
「うむ・・・準備は出来ておるか?」
そう尋ねて来たグラフィスに、ナイアドは『はい』と答えると、
『座禅』の姿勢を崩す事無く、胸の前で魔力を集め始めた。
(ほう・・・以前とはケタ違いに魔力の濃度が増しておるな?
日々の訓練の賜物と言う事か・・・)
グラフィスは息子の成長を喜びつつも、
決してソレを表情に出す事はなかった・・・。
それから暫くの間・・・。
何も発する事無く、グラフィスが見守っていると、
その静寂はナイアドの気合いの声と共に崩れた・・・。
『はぁぁぁぁっ!魔力球っ!』
「っ!?」
グラフィスが驚くのも無理はなかった・・・。
息子であるナイアドが悠斗の『技』の1つである、
『魔力球』と声を挙げたからだった・・・。
(昨日、話には聞いてはいたが、
まさか此処まで再現出来ているとは・・・)
グラフィスが驚き声を失くしている最中、
ナイアドは更に一際気合いの声を挙げた・・・。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
その雄叫びとも取れるその気合いの声と共に、
ナイアドは『座禅』をしながらその両腕を広げた・・・。
『ブゥン』
「おぉ~っ!?そ、それは紛れもなく・・・
ユウト様の『魔力球』ではないかっ!?」
両腕を広げたナイアドの左右と頭上に、
『白い魔力球』が出現した・・・。
「・・・せ、成功だ」
そう言い終えたナイアドは深く『ふぅ~』と息を吐くと、
『白い魔力球』をキープしたままゆっくりと立ち上がった。
「おぉぉぉっ!み、見事だっ!ナイアドよっ!」
グラフィスは歓喜に満ちた声を挙げると同時に、
見事に成した我が息子に賛辞を送っていた・・・。
そしてそんな自慢の息子に近付こうとした時だった・・・。
突然ナイアドが近寄るグラフィスを片手で制した・・・。
「そこでお待ち下さい・・・父上」
「あ、あぁ・・・」
ナイアドのその迫力に気圧されたグラフィスは、
そう返答するのがやっとだった・・・。
そしてナイアドは更に言葉を続けた・・・。
「まだ『魔力球』が出来ただけです・・・。
コレはここからが難しいのです」
グラフィスを見る事もなくそう言ったナイアドに、
ただ無言で頷くだけだった・・・。
(・・・『魔力球』が出来たのだから、
それはもう完成と言ってもよいのではないのか?)
グラフィスの目の前では汗を流し、
険しい表情を見せるナイアドにそう心の中で呟いていた・・・。
するとナイアドはそんな父の胸中を悟ったのか、
こう言葉を続けた・・・。
「・・・コレは完成ではありません。
この『魔力球』を操ってこそ、コレは一応の完成となるのです」
「一応の完成・・・となっ!?」
「はい、ユウト様は一度に7つの『魔力球』を作り出します。
しかも・・・全ての属性が違うのです。
私の『魔力球』は一種類のみ・・・。
ユウト様の『聖書』にも書き記されておりますが、
個々によって属性の種類は異なり、
重要とすべきはその種類よりも『威力と操作性』との事・・・」
「う、うむ・・・。
な、何とも奥深いモノ・・・なのだな?
ユウト様が飄々と涼し気なお顔でされておったからな?
そんなに困難であるとは・・・」
グラフィスは顎鬚を撫でながらそう口を開くと、
ナイアドはふと笑みを見せた・・・。
「フフっ・・・本当に凄い御方なのだと・・・
ユウト様に出会ってからと言うモノ・・・日々が新鮮です。
父上・・・私は良き御方に出会えたと、
己の『豪運』に感謝するばかりです・・・」
「確かにそうだな?
儂もユウト様に出会ってからというもの、
日々刺激的で新鮮だったからな?
・・・しかし憚れず思う事があるとすれば、
成人しているとは言え、まだ15歳の男子だと言う事だな?
まぁ~かなり変わり者である事に間違いないがな?
わ~はっはっはっ!」
「はっはっはっ!ち、父上・・・。
あ、余り私を笑わさないで頂きたい・・・
しゅ、集中力が・・・」
「すまんすまんっ!しかしな~?
わ~はっはっはっ!」
緊張感も台無しにするほど大声で笑い始めるグラフィスに、
ナイアドは苦笑いを見せ、
少しの間、その場の空気は穏やかに流れていたのだった・・・。
それから後・・・。
訓練に戻ったナイアドはグラフィスに、更に成果を見せるべく、
『木の杭に的』が付いたターゲットへと向き直った。
「父上、これからあの『的』に、
この『魔力球』を命中させたく思います」
「ほほぅ・・・出来るのか?」
ナイアドに対しやや疑問を以ってそう口にすると、
その目は険しいモノへと変わっていた。
(ここまでの話を聞く限り・・・
そう簡単な事ではあるまい?
そう急ぐ必要はないのではないか?)
グラフィスは胸中でそう疑問を口にするも、
決してそれを口にする事はせず、ただ・・・。
息子であるナイアドを見守る事にした。
『スゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・』
『座禅』を組んだ時のように、
ナイアドは深く息を吸いゆっくりと息を吐くと、
『魔力球』のイメージを更に強く固めた・・・。
そしてゆっくりと目を閉じると、
ナイアドは『聖書』に書かれていた文言を思い出していた・・・。
『魔力球がしっかりとしたイメージで形成出来たら、
今度はその操作だ・・・。
頭の中で『球』がどう動き回るかをイメージし、
それを『球』1つ1つに伝える・・・。
これはすっげー難しいぞ~?
いや、マジでっ!
魔力よりもメンタルが疲れるって感じだからな?
ってな事でーっ!
早速行ってみようーっ!
ナイアドよっ!『魔力球』を放つ時はこう叫べっ!
〇〇っ!〇〇〇〇〇っ!とっ!』
悠斗の言葉を思い出したナイアドは、
最後に書かれていた一文がとても気になった・・・。
(そう言えば最後にこんな事が書かれていたな?
確か・・・アイ・ビリーブと・・・。
ふむ・・・アイ・ビリーブとは一体何なのだ?
また・・・暗号かっ!?
そ、それにその文言の後に再びこの暗号があったな?
『(笑)』・・・と。
ふむ・・・実に、奥深く芸術的だ・・・。)
そう胸中で思っていたナイアドは、
悠斗から賜った『聖書』を『家宝にしなければ』と考えつつ、
気合いを入れ直した。
(我が師から賜った『聖書』に導かれ・・・
私は・・・此処まで来たっ!)
『カっ!』と双眼を見開いたナイアドは、
『聖書』に記されていた言葉を発しながら『魔力球』を放った。
「父上ーっ!御覧あれぇぇっ!
これがユウト様・・・直伝っ!」
『ゴクリ』
『いけっ!ファン〇ルっ!敵を貫けっ!』
その後・・・。
見事『的』には当たったものの、
3発中2発がハズレ、残り1発は命中したが、
破壊するまでには至らなかった・・・。
「ぐぬぬぬ・・・お、己の未熟さが呪わしい・・・」
だがこれはナイアドや、それを見ていたグラフィスには、
偉大で大きな一歩だった・・・。
そして時は既に夕暮れ・・・。
『訓練場』に吹き抜ける冷たい風は、
『冬本番』へと向かって行くのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話は如何だったでしょうか?
悠斗の『聖書』に頭を悩ませるナイアド・・・。
その生真面目さが好きですw
前編にもありましたが、
何やら不穏な動きもあるようです。
今後も楽しみにして頂ければ・・・と♪
そしてもし宜しければ、登録・・・よりもっ!
感想を頂けたらと思いますw
因みにですが・・・。
2024年の1月2日は休まず営業致しますw
つまり通常通りアップしますので、楽しんで頂ければと思います。
ってか、もう・・・年末ですねorz
まじで1年が早い・・・もう草越えて笹なんですけど><
読者様方も健康には気をつけて下さいね?
インフルエンザがかなり流行っているようなので・・・。
ってなことで、緋色火花でした。




