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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
339/406

閑話・ノーブル・聖書・前編

お疲れ様です。


アナフィラキシーでくたばっていた緋色で御座います。

ってか、まだ調子悪い・・・><

しかも未だ原因わからず・・・どゆこと?w


さて、今回のお話は・・・。

ノーブルでのお話となります。


メインの話としては『ナイアド』の話になります。

今回『前後編』の話となりますが、

楽しんで読んでもらえたらと思っております。


ん~・・・でもまぁ~正直なところ・・・。

前半はこれと言って盛り上がる話では・・・^^;


『後半』に期待してもらえればw

でも、ノーブルはノーブルで悠斗の居ない間、

話は進展して行きますので、読んで頂ければと思います。



それでは、閑話をお楽しみ下さい。

『アシュリナの港町』から30km離れ、

此処から30kmほど行けば『王都』へと辿り着く・・・。


そんな場所に公爵である『ベルフリードの領地』が在る。


そして此処はその『ベルフリード公爵』の屋敷・・・。



~ 屋敷内の談話室内 ~



時は昼過ぎ・・・。


「・・・・・」


『コンコン』


「・・・失礼致します」


扉を開け一礼したのは、

この屋敷でメイド長の補佐をしている『クリス』だった・・・。


一礼をし顔を挙げたクリスは、

『談話室』で読書をしていた男に声を掛けた。


「ナイアド様、急ではありますが明後日夕方頃、

 ロジー・アシュリナ様が面会したいとの事ですが、

 いかが致しましょうか?」


そう尋ねてきたクリスに、

ナイアドは部屋の壁に掛けられた時計を見た・・・。


「・・・ふむ、

 明後日であればその時刻であれば構わないと伝えてくれるか?」


「・・・かしこまりました」


そう返答されたクリスは一礼をし扉を閉めると、

『ふぅ~』っと軽く息を吐いたナイアドは読んでいた本を閉じた。


(ロジー嬢が面会?

 『通信用魔石』を使えばいいものを、

 一体どうしたのだ?)


ナイアドはそう思いながらソファーから立ち上がると、

本棚に読んでいた本を入れるとそのまま『談話室』を出た。


豪華な赤い絨毯を敷かれた長い廊下を歩きながら、

窓から見える見慣れた景色に時折視線を向けながら歩いて行った。


自室に戻ったナイアドは部屋着から、

動きやすい訓練用の衣服に着替えると、

円形上のサイドテーブルの上に置かれた一冊の本と、

壁に掛けられている訓練用の『両手剣』を手に取り部屋を出た。


向かう先は勿論・・・。

幼い頃から通い慣れた専用の訓練場・・・。


外へと出たナイアドは『練習場』に行く途中に在る、

一般騎士達が訓練している場所を横目に見ながら、

通り過ぎようとしていた・・・。


するとナイアドの姿を見つけた1人の騎士が駆け寄り、

素通りするナイアドに声を掛けてきたのだった・・・。


「ナイアド様?どちらへ行かれるのですか?」


「ん?お前か・・・。

 何処へって、私の訓練場だが?」


抑揚なくそう答えるナイアドに、

その騎士は少し申し訳なさそうな顔を見せながら、

頭を深く下げながら申し出てきた・・・。


「も、もし良ければ・・・。

 私共に稽古を付けて頂きたく・・・」


そう申し出てきた騎士にナイアドは困った表情を浮かべると、

この後、来客がある事や己の訓練の為に無理だとそう告げた・・・。


頭を下げ一礼し懇願する騎士は、

悔しそうな表情を浮かべるも、

『そう・・・ですか』と残念がっていると、

ふと、ナイアドの後方から声が掛けられた・・・。


「・・・構わぬではありませんか?お兄様」


その声に振り返ったナイアドは少し困った表情を見せた。


「・・・イオ、何用だ?」


そう・・・。

ナイアドにそう声を掛けたのは、

妹である『イオ』だった・・・。


イオは困り顔を見せた兄に少し『ムっ』として見せると、

早足でナイアドとの距離を詰め声を少し荒げた。


「お兄様は最近どうかされたのでしょうかっ!?」


「な、何の事だ?」


「例のアシュリナとの一戦に敗れてからは、

 皆の力を底上げするのだと言って、

 自ら指導されておりましたのにっ!」


「・・・あ、あぁ、そうだな」


「ですがここ最近・・・。

 あまり訓練の指導もされておられないと聞き及んでいます。

 それは何故なのでしょうか?」


口調こそ丁寧ではあるが、

イオの表情からかなりご立腹である事は容易に想像できたが、

ナイアドはそんな妹に口を開いた。


「私は今、成すべき事をしているだけだ。

 別に皆の事を軽んじている訳ではない」


その返答に対しイオは負ける事無く言い返してきた。


「ご自身の事をされるのは構いませんが、

 皆の事も少しは考えて頂いても宜しいのではありませんか?

 このままでは士気が下がりかねませんっ!」


兄を前にしてもイオがそう食い下がると、

それを見ていた騎士が焦りながらもイオに声を掛けた。


「イ、イオ様?そ、そんなにおっしゃらなくてもっ!?

 わ、私共は大丈夫ですから・・・。

 もう、そのくらいで・・・」


慌てて仲裁に入る騎士に、イオは『キっ!』と睨みを利かせると、

一言・・・『お黙りなさいっ!』と強く声を荒げ一喝した。


その様子にナイアドの眉が『ピクリ』と反応すると、

一喝された騎士の前に立ち塞がるように体を滑り込ませて来た。


「いい加減にしろっ!」


「っ!?」


「・・・イオっ!

 貴様は皆の為と申しておきながら、

 私怨が混ざっておるではないかっ!」


ナイアドの一喝にイオは『クっ』と唸るも、

そんなナイアドを睨みつけていた。


「お、お兄様は一体どうされたのですかっ!?

 以前の兄上様は少々強引で無鉄砲ではありましたが、

 皆からも『畏怖と羨望の眼差し』を受けるほどの御方でしたのに、

 あの『敗戦』以来・・・。

 まるで別人かと見間違うほどの堕落ぶり・・・。

 イオはそんなお兄様を見たくありませんっ!」


イオの本音なのだろう・・・。

その本音と思える言葉に、ナイアドばかりではなく、

騎士までもが驚いていたのだった・・・。


そんな妹であるイオの声に、

ナイアドは頭を押さえながら『はぁ~』っと溜息を吐くと、

慌てるようにその騎士はイオに申し出たのだった。


「イオ様っ!それはあまりにも言い過ぎですっ!」


「・・・何が言い過ぎなのですっ!?

 実際に貴方はこうして・・・

 お兄様に願い出ていたではありませんかっ!?」


「い、いや、ですからそれはっ!」


「お黙りなさいっ!

 貴方は一体誰に言っているのか分かっているのですかっ!?

 不敬罪で捕えてもいいのですよっ!?」


「うっ・・・。そ、それは・・・」


イオは怒りに任せたたま『不敬罪』と言葉を口にすると、

呆れて様子を見ていたナイアドが声を荒げた。


「イオっ!」


「・・・お、お兄様?」


「ナイアド様っ!?」


「貴様・・・我がベルフリード家の家族でもある、

 騎士に向かって何たる暴言っ!

 ・・・もう良い。

 イオ・・・貴様の顔は見たくない・・・下がれ」


「しかしお兄様っ!?」


「・・・黙れっ!」


「・・・・・」


ナイアドの声に気圧されたイオは、

それ以上何見言えずただ黙るしかなかった・・・。


『ジロリ』とその迫力ある目力で制したナイアドは、

騎士に向き直ると笑みを浮かべながら指示を出した。


「すまんが今は皆の事を見てやる事は出来んのだ。

 だが、訓練とは地道にしていかなければ意味を成さない。

 単純かつ地味で辛くもあるだろうが、

 皆がやっているその訓練は『我が師』である・・・。

 ユウト様が推奨された訓練法・・・。

 いや、『修練法』なのだ。

 そしてそれはユウト様自身が幼き頃より行っていたモノだ。

 辛いかもしれんが必ず成果はある」


微笑みながら諭すようにそう告げたナイアドに、

騎士は右拳を胸に当てながら力強く『はっ!』と声を挙げた。


『失礼致しました』とそう言いながら一礼した騎士は、

様子を伺って居た仲間達の元へと戻る為駆け出した・・・。


ナイアドはこちらを見ていた騎士達に軽く手を挙げて見せると、

再び黙り込むイオに向き直った。


「・・・イオよ、今はまだ何も言えないが、

 俺は自分の歩んでいる道を間違っているとは思わない。

 いずれそれはお前にもわかってもらえると信じている。

 だからイオ・・・。

 この俺を・・・信じてくれ」


「・・・お兄様」


イオが強く拳を握り締めながらそう呟くと、

ナイアドはその場から立ち去り『訓練場』へと向かった・・・。



~ ベルフリード邸内・訓練場 ~


ナイアドの訓練場は、あの敗戦の後に改装され、

円形状に高い壁で囲まれていた・・・。


『ギィィィ』


重厚に作られた扉を開いたナイアドは中へと進むと、

傍に設置されたベンチに腰を下ろし天を仰いだ・・・。


(・・・最初にユウト様が亡くなられたと聞いた時には、

 目の前が真っ暗になったものだが、

 その後、事情を聞いた時には安心したものだ・・・。

 だが・・・不思議なものだな?

 あの『嘆きの森』にあるユウト様の身体に『魂』がないとはな?

 そしてその『魂』は冥界に在ると言う・・・。

 私如きには到底理解出来ん話だ・・・。

 だが、私はユウト様と出会い、そして『神』にも出会った・・・。

 『神』の存在など私自身信じてはいなかったが、

 やはり『神』は居たのだな?

 今ではその『神』である『チタニア様』にお会いしている・・・。

 この世は摩訶不思議に満ち溢れている)


天を仰ぎながら思い返していたナイドアはふと・・・。

青く澄んだ空にユウトの笑顔を思い出していた・・・。


(私に正しい道を示してくれたユウト様・・・。

 私はあれ以来、貴方の事を『我が師』だと思っており、

 頂いたこの『聖書』通りに日々修練をしております)


青い空にナイアドの脳裏に描かれている悠斗の笑顔に、

そう感謝を述べると、感慨深い表情に変わったナイアドはこう続けた。


(フっ・・・ユウト様が亡くなられてもう2ヶ月か・・・。

 早いものだな?)



ナイアドは澄み渡る青い空を見ながら、

物思いにふけっていると、『ゴンゴン』と重厚な扉を叩く音がした。


扉を横目で見ながら『入れ』と声をかけると、

姿を現したのはまだ少年とも言える騎士・・・『バックス』だった。


「・・・何か用か?」


振り向かずそう尋ねたナイアドに、

バックスは小走りで近寄ると、片膝を着き『お耳を・・・』と言った。


その声に目を細めたナイアドに、

バックスは周囲を警戒しながら近付き耳打ちをした・・・。


「・・・ロックバルの動向が掴めましたので、

 そのご報告を・・・」


「・・・何だとっ!?」


「はい、国のあちこちから兵を集めているようでして・・・。

 その中には傭兵や犯罪者まだ居るとか・・・」


「・・・ならず者までとはな?

 ヤツらには貴族としての誇りはないのかっ!?」


そう顔を引き攣らせるナイアドに、

バックスもまた苦々しい顔を見せていた・・・。


するとナイアドが何かを考えた後、

言葉を待つバックスに尋ねた・・・。


「・・・どれくらいの時がかかるのだ?」


「それは旗を・・・。

 挙兵するまでの猶予と言う事でしょうか?」


「・・・あぁ」


「まだハッキリした事は言えませんが、

 密偵達の話を総合致しますと・・・恐らくこの2ヶ月以内には・・・」


「・・・2ヶ月か?

 そう時間がある訳ではないな・・・」


「・・・はい」


再び天を仰いだナイアドは、バックスに『下がってよいぞ』と言うと、

『また随時ご報告を・・・』と告げ、その場を後にしたのだった。


この場からバックスが立ち去り扉が閉まるのを確認したナイアドは、

腰に装着していた『革袋』を取り出した・・・。


そしてその中から『通信用の魔石』を取り出すと、

その魔石に魔力を流しながら、脳内で思い浮かべた男へと連絡した。


{・・・聞こえるか?ライト殿}


{・・・・・}


(ふむ、まぁ~彼は冒険者でもあるかな?)


ナイアドは『冒険者は忙しいと聞くからな?』と肩を竦めていると、

それを察したかのように『ブブっ』と『通信用の魔石』が震えた。


{・・・私だ。ナイアドだ}


{・・・やはりナイアド様でしたか?}


『通信用の魔石』から流れて来た声はやはりライトからだったが、

その声が妙に明るい事に首を傾げた。


{・・・やけに陽気なようだがどうかしたのか?}


{いやなに・・・。

 このタイミングでの通信でしたので、

 ナイアド様ではないかと・・・そう思いまして♪}


{あぁ~・・・なるほどな?納得した}


ナイアドも少し頬を緩ませ笑っていると、

ライトは真剣な声に変わり話を切り出して来た・・・。


{・・・ロックバルの事で宜しかったでしょうか?}


{あぁ、その通りだ・・・。

 先程聞いたのだが、他に情報はないのか?}


そう尋ねたナイアドだったが、

ライトからの返答は何とも言えないモノだった・・・。


するとライトはナイアドに尋ねてきた・・・。


{ナイアド様?もし戦になった場合・・・。

 対処は『ベルフリード家』だけで望むのでしょうか?}


その問いにナイアドは少し険しい表情を浮かべると、

ライトに実情を話したのだった・・・。


{・・・そうだな?

 こんな小競り合い如きに『国王様』の御心を煩わせるわけにもな?

 それに正直なところ・・・アシュリナに頼ろうも戦力がな?}


{・・・兵の数・・・ですか?}


{あぁ、サウザー殿の兵はそう多くはない。

 例えその兵達が優秀であったとしてもだ。

 戦は・・・数だ・・・。

 恐らく兵力を集めたとしても・・・二個中隊が精々だろう。

 その数では『港町』を防衛するだけで手が一杯だろうしな?}


{・・・他の貴族には頼らないのですか?}


『他の貴族』と聞いたナイアドは、

その言葉に顏を険しくさせ溜息を吐いたのだった・・・。


{はぁ~・・・他の貴族・・・。

 前にサウザー殿との一戦で敗退した我々に手助けがあると思うか?}


{・・・ですね}


{・・・つまりはそう言う事だ}


{・・・何か手はないのですか?

 やはりここは私が『国王様』に・・・}


そう話し始めた時、ナイアドはライトの言葉を遮るように、

『無理だな』とそう言い切った。


{・・・無理・・・とは?}


{考えてもみろ?ロックバルの後ろには『ヘイルズ』が居る。

 そしてその『ヘイルズ』には『元・勇者殿』が居られるからな?

 いくら『国王』と言えど、そう簡単に兵は出せないはずだ}


{・・・な、なるほど。

 そうでしたね・・・。

 向こうには厄介な『元・勇者殿』が居られますから・・・。

 ですが・・・手が無ければ太刀打ちしようにも・・・}


ライトの声から悔しさが滲み出ていたが、

ナイアドはそれを払拭するかのようにこう尋ねた・・・。


{ライト殿・・・。

 少しでも『ロックバル』の挙兵を遅らせる事は出来るか?}


{・・・はぁ?}


{時が・・・時が欲しいのだ・・・}


{・・・時ですか?}


そう返答した時、ナイアドはその事情を口にし、

その声にライトは『おぉ~』と驚いていた・・・。


{・・・わかりましたナイアド様。

 このライト・・・やって見せましょうっ!}


{・・・頼む。

 1日でもいいのだ・・・。

 我々は今、力を付ける為に藻掻いている。

 この私を含め・・・皆がだ・・・」


{・・・分かりました。

 私は全身全霊を以って挑みたく思いますので、

 ナイアド様もご存分にっ!}


{・・・わかったっ!では、頼むっ!}


{はっ!}


『通信』を終えたナイアドは『革袋』に魔石をしまうと、

ベンチに置かれた一冊のノートを手に取り見つめた・・・。


(ユウト様に頂いたこの『聖書』・・・。

 決してこのナイアド・・・無駄には致しませんっ!)


『ギュっ!』と強くノートを握ったナイアドは、

一心不乱に『修練』を始めるのだった・・・。



『・・・さぁ、修練を始めようか』



ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


今回は主にナイアドとイオの絡みくらいでしたが、

『後半』はナイアドが悠斗の『聖書』に振り回される・・・的な?w


そんな話になっておりますので、

『後半』を楽しみにしていただければと・・・w


今回のお話では、登録や感想のお願いをするのは、

大変心苦しいので何も申しませんw


それと・・・。

今回『活動報告』にアップする登場人物は、

ナイアドさんをアップする予定です。

明日・・・いや、明後日までにはアップする予定なので、

興味がある方は一度覗いてやって下さい。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ナイアドの画像拝見しましたが意外にカッコよくてビックリですw 悠斗の『聖書』はイヤな予感しかしませんが(笑) 次回のお話期待しています♪
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