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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
338/406

238話・豹変する者

お疲れ様です。


11月も思う終わりかぁ~・・・。

そんな事を考えながら送られて来ないデータを待っている緋色。


・・・連絡着かないからどーーーしようもない><



そんなこんなですが・・・。

今回も『本編』の続きです。


今回も色々と伏線を張っていますが、

しっかり開始悠する予定なのでご安心をw


楽しいと思えたら、登録や感想を宜しくお願いしますっ!

最近ツイッター・・・じゃなく『Ⅹ』の方は、

完全に告知のみとなっておりますが・・・。


それでも画像アップなどはしっかり告知して行きますっ!


それでは、238話をお楽しみ下さい。


卑弥呼によって封印された『モノ』に、

暫くの間、説教染みた事を言い放つと封印を解いた・・・。


{・・・何故、封印を?}


不思議がる『モノ』に、

卑弥呼は苦笑いを浮かべながらイリアとセルンを見ると、

肩を竦めながら口を開いた。


「別にあんたの為じゃない・・・。

 此処であんたに消えられでもしたら、

 この子達が困るだろうが?」


{・・・たったそれだけの為に我を?}


「まぁ~、そのさ・・・。

 『積年の怨み』ってのはわからんこともない・・・。

 この私だって遥か昔・・・自分の国を捨ててさ~

 惚れた男を追いかけてはみたものの、

 けっっっきょく・・・見つからないまま、

 とある場所で『死』を向えたんだからさ~?

 そりゃ~当時は、恨みもしたさ。

 だけどね・・・。

 そのおかげで人生を謳歌出来なかった自分に、

 私は情けなくなっちまったのさ」


{・・・そうか}


「だからと言っちゃ~何だけどさ?

 あんたの『怨み』は決して消える事はないだろうさ。

 何の因果かこの子達はあんたの『魂』を受け継いだんだ。

 なぁ~・・・『ヒルコ』よ?

 今後はこの子達の為に、その力・・・

 使っちゃ~くれねーか?」


{・・・・・}


諭すようにそう言った卑弥呼に、

一瞬『ソレ』は怒りとも取れる神力を放つも、

静かに口を開いた・・・。


{・・・うぬの物言いは気に喰わぬが、

 信用にたる者だと我は認識した。

 よってその頼みを聞いてやらん事もないが、

 ただ1つ・・・。

 どうしようも無き事が有る・・・}


そう告げた『ソレ』は2つの『魂』へと分裂すると、

それぞれの身体の中に戻って行ったのだった・・・。


だが・・・。

それぞれの身体に戻る瞬間・・・。

『ソレ』は最後にこう言い残した・・・。


{この怨みは決して・・・晴れる事などない}


そう言い残して消えた『ソレ』に、

卑弥呼は渋い表情を浮かべながらこう言った。


「あぁ、今はそれで構わぬよ・・・。

 これはイザ(あいつ)の業だからね~?

 いつの日か『倍返し』してやんなよ?

 その時は、アイツのダチであるこの卑弥呼様が手伝ってやんよ」


少し哀し気な表情でそう言った卑弥呼は、

真っ黒こげで横たわるイザナミを見つめたのだった・・・。



5時間後・・・。


未だ1階層の『ボス部屋』に留まっていた者達は、

『ピリピリ』とした雰囲気の中に居た・・・。


「・・・イザ子。

 あんた・・・自分のやった事、ちゃんと理解してんだろーね?」


「・・・うぅぅ」


白蛇に『治療』してもらったイザナミは今・・・。

卑弥呼に説教されており、『正座』させられていたのだった。


「ヒ、ヒミぞう・・・。

 も、もうそろそろ・・・解放してくれてもいいんじゃね?」


正座の苦しみに苦悶の表情を見せるイザナミがそう懇願するも、

卑弥呼の『あぁ~ん?』の一言に気圧されてしまっていた。


「てめーがやらかした事の意味が、まだわかんねーのか?」


「い、いや・・・ほ、ほら・・・。

 アタシらは・・・い、急いで此処を抜けないと・・・」


「・・・はぁ?」


「・・・っ!?」


イザナミが反論しようと口を開いた時、

卑弥呼は正座するイザナミに向かって親指を突き降ろした。


すると次の瞬間・・・。


『ドカっ!』と突然、正座するイザナミの膝の上に、

『100kg』と書かれた石板が出現した。


『うぎゃっ!』と声を挙げるも、冷たい眼差しを向ける卑弥呼に、

ただ、顔を引き攣らせる事しか出来なかった。


「ヒ、ヒミぞう・・・さん?

 い、痛いんですけどっ!?

 めっっっちゃ重いんですけどっ!?

 ちょ、ちょっとさ・・・ヒドく・・・ね?」


「・・・・・」


「あ、あの~・・・聞いてます?

 ア、アタシら・・・ダ、ダチじゃん?

 マブダチ・・・じゃん?

 次回から気をつけっから・・・こ、今回は・・・さ?」


必死に懇願してくるイザナミを見下ろしながら、

『フっ』と一瞬笑みを浮かべながらしゃがみ込み、

イザナミの鼻と擦れる距離に顏を近付けながら口を開いた。


「・・・それはそれっ!これはこれっ!」


「なっ!?」


「お前はもう少し反省してろっ!」


「・・・がくっ」


卑弥呼の言葉に項垂れたイザナミに、

もはや言い返す気力はなかった・・・。


そんな光景を見せつけられていた者達・・・。


白蛇は『フゥ』と溜息を小さく漏らしていたが、

イリアとセルンはそうではなかった・・・。


{ねぇ、ねぇ、ねぇっ!セルンっ!

 ヒミコ様って・・・か、格好よくないっ!?}


{・・・あ、あの神力もそうだけど、

 威厳が身体から滲み出て神々しいわね?

 とある星だなんて白蛇様はそう言ってはいたけど、

 かなり高位な神なんじゃないかしら?}


そう念話で会話をしながら、

その羨望の眼差しを卑弥呼に向けていると、

一歩前へと足を進めた白蛇が抑揚なく声を挙げた・・・。


「卑弥呼様・・・。

 随分と楽しそうにしておりますが、

 この方達は先を急ぐ身・・・。

 いつまでも足止めする訳には行きませんが?」


両目を閉じてはいるものの、

その言葉に力を感じたイリアとセルンは思わず一歩後ろへと下がった。


「うむ・・・そうだったな?

 すまんな、白蛇・・・」


「・・・いえ」


「そして君達も・・・」


そう言いながら笑顔を向けられたイリアとセルンは、

やや顔を赤らめ俯くも、内心は歓喜の声を挙げていた。


(・・・す、素敵過ぎて、ま、まともに目が・・・うぅぅ)


(・・・こ、これぞ神。なんて偉大な御方なのっ!?)



2人が赤らめて居た時、ふと卑弥呼はあるモノに興味を抱いていた・・・。


じっと興味津々な視線を向けられていたのは、

そう、何も言わずただそこに居た・・・黒紅だった。


その視線にたじろいでしまった黒紅は、

『ズズっ』と一歩後ろへと下がると、

卑弥呼はゆっくりとその足を黒紅に向けて歩き始めた。


そして黒紅の前まで辿り着くと足を止め、

黒紅の全身を見渡しながら口を開いた。


「うむ・・・貴殿はもしや『破滅の門』ではないのか?」


{っ!?}


その言葉に皆が一瞬動揺して見せると、

卑弥呼は正座するイザナミへと一度振り返って見せた・・・。


そして『ニヤり』と奇妙な笑みを見せた卑弥呼は、

動揺する黒紅に向き直り言葉を続けた・・・。


「ふむ・・・なるほどな?

 貴殿はかなり希少な『特殊個体』であるようだな?」


{・・・あ、あの・・・ですね?}


「ふっふっふっ・・・実に・・・実に興味深いな?

 して・・・貴殿の主はどなたかな?」


そう言いながら茫然としているイリアとセルンに視線を向けると、

その2人は『フルフル』と首を横に振っていた。


その様子に『?』と不思議がっていると、

戸惑っていた黒紅がその重い口を開いた・・・。


{わ、私の・・・あ、主様は・・・此処には居りません}


「・・・ほう。此処には居らぬのか?

 では、何処に居られるのか?」


卑弥呼が黒紅にそう告げた時だった・・・。


『バキンっ!』と卑弥呼の後方で激しい『粉砕音』が聞こえ、

顔を顰めつつ振り返った卑弥呼は、より一層厳しい目を向けた。


今まで正座して石板を乗せられていたイザナミが立ち上がり、

卑弥呼に対し鋭い視線を向けていたからだった・・・。


「イザ子・・・」


「ヒミぞう・・・そやつの主の所在を聞いてどうする?」


先程とは打って変わって、

今度はイザナミが威圧を放ち卑弥呼をたじろかせていた。


「い、いや・・・ただ、主の事が気になってな?」


そう言うと黒紅へと向き直った卑弥呼は、

更に話を続けた・・・。


「この『破滅の門』の力の流れ・・・

 いや・・・。この魔力とも神力とも言えないこの力・・・

 禍々しいと言っても過言ではないこの力が知りたくてな?」


{わ、私の力が・・・ま、禍々しい?}


「あぁ・・・。

 この力は早々在る力ではない。

 そう・・・例えるなら・・・まさに『鬼の力』

 これだけ禍々しい力を纏うのは『鬼』以外に在り得んのだ。

 よって、もし・・・」


{・・・も、もし?}


「もし貴殿の主が『邪悪なる者』であるのなら、

 私はソレを・・・看過出来ぬのでな?」


そう卑弥呼が告げた途端・・・。


卑弥呼の身体から『赤銅色の力』が溢れ出した。


「そ、その力はっ!?」


そうイリアが声を発すると、

卑弥呼はイリアを睨みこう告げた・・・。


「・・・どんな事情があるのかは知らぬが、

 この私の・・・。

 『鬼道を操りし者』として『悪しき鬼は滅殺』せねばならんからな?」


そう告げた途端、その身体から更に力を放出する卑弥呼に、

イリアやセルン・・・。

そして黒紅までもが震え上がっていた。


「さぁ、邪悪を纏いし破滅の門の主の居場所を吐いてもらおうか?」


強く握り締められた拳を卑弥呼が『バキンっ!』とならした瞬間、

突然その眼前に姿を現したイザナミが怒りの形相見せながら吠えた。


「このうつけがぁぁぁぁぁぁっ!」


『バキっ!』


『ぐあっ!』


そう吠えながらイザナミは力一杯卑弥呼の顔面を殴りつけると、

卑弥呼は『ボス部屋』の床をバウンドしながら壁に叩きつけられた。


『ドシャっ!』と激しい衝突を放ちながら、

崩れ落ちる壁の破片の中に埋もれた卑弥呼に、

イザナミの身体から神力を放出し始めた・・・。


呆気に取られるイリアとセルン・・・。

そして黒紅を尻目に、イザナミは再び吠えた。


『悠斗の門に手を出すのなら卑弥呼ーっ!

 私が貴様をぶっ飛ばすっ!』


怒りの形相でそう言い放ったイザナミの声に、

壁の破片に埋もれた卑弥呼は沈黙していたのだが・・・。


『ガラっ』とその壁の破片の一部が床に落ちると、

瓦礫の隙間から『赤銅色の光』が放たれ、

一瞬にして瓦礫は塵と化した・・・。


ゆらゆらと『赤銅色の光』を纏わせ立ち上がった卑弥呼は、

その双眼までもが赤く染まっていたのだった・・・。


そして呟くように『今、なんつった?』と、

鬼の形相を向けながら『神速』と再び呟いた・・・。


『ヒュオンっ!』


一瞬にしてイザナミの前へと姿を現した卑弥呼に、

イザナミは『ちっ!』と舌打ちをしつつそれに対応し構えると、

2人は両手を組み合いながら力比べへと移行した・・・。


『グググっ』と両者の筋肉が軋み音を立てながら、

卑弥呼はイザナミに話しかけた・・・。


「・・・イザ子、今・・・なんつった?」


「ん?」


一瞬何を言われたか理解出来なかったイザナミは、

卑弥呼に尋ねると『誰の・・・門っつった?』と口を開いた。


「・・・悠斗。

 あの門の主は『神野悠斗』と言って、

 お主に宛てた『書状』にあったであろうっ!?」


イザナミの声に『ん?』と首を傾げた卑弥呼は、

組み付いた両手を振りほどくと、

硬直する黒紅の前へと移動して来た・・・。


{・・・あ、あわわ}


恐れおののく黒紅の前に現れた卑弥呼に、

皆に緊張走った瞬間・・・。


卑弥呼は固まる黒紅『ガシっ!』としがみつき、

上目遣いをすると猫撫で声で話しかけていった・・・。


「お、お主は・・・あ、あれか?

 ゆ、ゆゆゆゆゆ・・・『悠斗きゅんの門』なのか?」


『・・・・・』


猫撫で声でそう黒紅に尋ねた卑弥呼に、

一同が唖然とし、余りの驚きに『ぽかーん』とだらしなく、

口を開けていたのだった・・・。


「き、聞いておるのか?黒紅・・・殿?」


{殿っ!?}


「ふふふふふ・・・そうかそうか・・・♪

 其方は『悠斗きゅんの門』だったのか・・・♪

 うむうむ、良きかな良きかな♪」


見事なまでに豹変して見せた卑弥呼に、

開いた口が塞がらないでいると、イザナミは何かを思い出し声をかけた。


「ヒ、ヒミぞう・・・?

 ま、まさかとは思うんだけどさ?

 あ、あんた・・・」


顔を盛大に引き攣らせそう尋ねたイザナミに、

卑弥呼は未だ黒紅しがみ付いたまま、

まるで『フクロウ』のように顏だけ後方へと向けた。


「・・・キ、キモいし」


イザナミの辛辣な言葉が聞こえていないのか、

未だ見せた事のない満面の笑みを向け、

舌舐めずりをしながら答えた・・・。


「・・・ドストライクっすっ!♡」


「うげっ!?」


『ガーン』と・・・。

そんな効果音が聞こえてきそうな表情を見せる一同に、

卑弥呼は更に追い打ちをかけてきた。


「・・・悠斗きゅんは何処(いずこ)に?♪」


『・・・・・』


再び一同が沈黙になる中、

それを打ち破るかのように白蛇が口を開いた。


「・・・また卑弥呼様の悪い病気が鎌首をもたげてしまいましたわね?

 先程、とても良い感じで『ヒルコ様』にお認めになられましたのに、

 ・・・今ので台無しで御座いますね?」


『にこり』と微笑みながらそう言い放った白蛇に、

卑弥呼は笑顔を向け返しながら答えた。


「それはそれっ♪これはこれっ♪

 『弱肉強食』は世の常と言うではないか?

 そこに素晴らしいモノ(好みのタイプの男)が居るのなら、

 欲するのもまた世の常でしょ?♡」


そう笑顔で語る卑弥呼の双眼はもはや尋常ではなく、

流石の白蛇も押し黙ってしまった・・・。


そんな持論を展開する卑弥呼に飽きれたイザナミは、

イリア達の下へと行くと、何事もなかったかのように口を開いた。


「さて、時間を無駄にしちゃったから~

 とっとと行くぞ・・・」


唖然としつつもイザナミの言葉に我に返ったイリアとセルンは、

『はいっ!』と力強く返答すると、

黒紅にしがみ付く卑弥呼をスルーし、その前を通り過ぎようとした時、

イリアとセルンは黒紅に抱き着く卑弥呼に冷たい眼差しを向けた。


「・・・私の感動を返して下さいよ」


「・・・フっ、これが上位神とは・・・ね」


そう冷たい眼差しを向ける2人に構う事無く、

卑弥呼は黒紅に頬擦りし、イリアとセルンは通り過ぎて行った。


{・・・み、皆さんっ!?

 わ、私は一体どうすればっ!?}


そんな悲壮な声が黒紅から上がると、

イザナミは振り返る事もせず『白蛇っ!』と、

指を『パチン』と鳴らすと『・・・承知致しました』と返答があった。


白蛇は遠ざかるイザナミ達に無言で改めてお辞儀をすると、

顔を上げた白蛇の真っ赤な双眼が『ギンっ!』と開かれた・・・。


「卑弥呼様・・・。

 少々お痛が過ぎたようで御座います♪」


卑弥呼は悪寒を感じ白蛇に顏を向けると、

その開かれた真っ赤な双眼を見て顔が引き攣った・・・。


「ま、待て・・・待ってくれ・・・白蛇・・・

 わ、わかった・・・わかったから・・・や、やめて・・・

 まじで・・・止めて・・・。

 私が悪かった・・・この通り・・・この通りだから・・・

 こ、怖い怖い怖い怖いっ!

 まじで怖いからやめてぇぇぇぇっ!

 そ、その『赤い目』が夢に出ちゃうからっ!

 お、お願い・・・許して・・・白へ・・・ヒィっ!?」


卑弥呼が言いかけた言葉を飲み込み、

冷や汗を流しながら必死に白蛇に懇願するも、

白蛇は微笑みながら首を掻っ切るポーズをして見せた・・・。


『ひぃっ!?』


黒紅から咄嗟に離れた卑弥呼が再び息を飲んだその瞬間・・・。

白蛇は懐から『黒い扇子』を取り出し、

『・・・ぎるてぃ・・・で御座います♪』

抑揚のない声を発しながら、『黒い扇子』を真横に1度振った。


「っ!?」


「『赤縛砂塵移送(せきばくさじんいそう)

 卑弥呼様、強制送還で御座います♪」


「い、いやぁぁぁぁぁぁっ!

 あ、赤い・・・す、砂・・・砂がぁぁぁっ!?

 ゆ、悠斗きゅーんっ!助けてぇぇぇぇっ!」


『ギンっ!』と白蛇の『赤眼』が妖しく光り、

卑弥呼を捉えると、頭の先から徐々に砂と化し、

そのまま姿を消し去ったのだった・・・。



そしてこの時・・・。


『闘技場』にて『修練』していた悠斗は悪寒を感じ、

『・・・い、今の、何っ!?』と、

得体の知れないモノにその身体を震わせていたのだった・・・。



眼前で起こった一連の出来事に驚き言葉を失う黒紅に、

白蛇は双眼を閉じながら微笑んで見せた。


「さて、黒紅さん・・・。

 少々皆様方から遅れてしまいました。

 私がお送り致しますのでお急ぎ下さい♪」


{・・・は、はい}


双眼が閉じられ笑顔を向ける白蛇に恐怖を感じつつも、

決してこの人には逆らわないでおこうと思う黒紅だった・・・。


「・・・では、こちらへ」


白蛇はそう言いながら何もない空間に手をかざすと、

螺旋状に開いた黒い穴へ入るよう促された。


「これは『時空洞』と申しまして、

 『神の門』を持たない私達のような者が使う、

 『ゲート』で御座います故、ご安心を♪」


{・・・・わ、わかりました。

 し、白蛇様・・・あ、有難う御座います。

 い、いいい・・・行って・・・きます・・・}


「行ってらっしゃいませ♪御武運をお祈りしております♪」


礼儀正しくお辞儀をされながら、

黒紅はイザナミ達に追い付くべく『時空洞』へと消えて行ったのだった。



『時空洞』が閉じ顔を上げた白蛇は双眼を見開くと、

そのまま念話を使用した・・・。


{・・・聞こえますか?私です・・・白蛇です}


{・・・は、はい。聞こえます。

 わ、私に何か御用でしょうか?}


やや緊張した声を発したその『念話の相手』に、

白蛇の口角が微かに上がっていた・・・。


{・・・フフフ、そんなに緊張しなくても宜しいのに♪}


{・・・も、申し訳御座いません。

 別に・・・そう言う訳ではないのですが・・・つい}


{・・・ゆっくりでいいので慣れて下さいね?}


{・・・は、はい。ところで白蛇様?

 どう言ったご用向きでしょうか?}


{貴女は今・・・何処に居られますか?}


{はい、冥界に居りますが・・・?}


{それは丁度良かった♪

 今から『地下牢獄』に出向いて『卑弥呼様』が戻られたかどうか、

 確認をお願いしたいのですか?}


{卑弥呼・・・様?

 あぁ~、あの『地下牢獄』の?

 わかりました、直ちに確認して参ります・・・が・・・}


念話の相手がそう言い淀むと白蛇は小首を傾げながら尋ねた。


{・・・どうかされましたか?}


{い、いえ・・・今、私は『椿鬼』と居るのですが、

 同行しても宜しいのでしょうか?}


{あぁ~、そう言う事ですね?

 大丈夫ですよ♪

 卑弥呼様は例え相手が『鬼』であったとしても、

 『絶対悪』とは思っておりませぬ故、ご心配無用かと♪}


そう返答した白蛇に念話の相手は再び、

『直ちに確認して参ります』と返答があり、

念話を終了したのだった・・・。


そして一瞬・・・。


『ギンっ!』と白蛇の双眼が妖しく光ると、

『シュルっ』と舌舐めずりをし、微笑みながら呟いた・・・。


『頼みましたよ・・・黒蝶さん♪

 一枚岩で事を成すのは容易ではありませんから♪』


そう呟いた白蛇の表情にはもう・・・。

優しい微笑みは見て取れなかったのだった・・・。



そしてその頃・・・。

此処『ノーブルの嘆きの森』では・・・。


「なっ、何だってんだよっ!?」


「わ、私に聞かれても知らないわよっ!?」


そんなカロンとミランダの悲鳴にも似た声が、

『嘆きの森』には響き渡っていた。


「は、早く消化をっ!

 一体何が起こっているのだっ!?

 突然『得体の知れない炎』が降って来たかと思えば・・・」


燃え盛る炎を前に・・・。

アリエルは『その炎』が降って来た空間を見つめていた。


そう・・・。

黒紅が自らの扉を開きその『魂の灯の炎』を飛ばした先は、

此処、『ノーブルの嘆きの森』だったのだった・・・。


「なっ、何だよっ!この炎はよぉぉぉっ!?

 全然消えねーじゃねーかぁぁぁっ!?」


「カロンっ!あんたうっさいわねっ!?

 しゃべってる暇があるんだったら、さっさと消しなさいよっ!」


「て、てめーっ!?だったらてめーも手伝いやがれっ!」


「・・・うっさいっ!脳筋肉ダルマZーっ!

 私のこの可憐な手を借りようだなんてっ!

 1億と2000年早いってーのっ!」


「・・・こ、こいつ、働かない気だな?」



そして白蛇の計らいでイザナミ達に追い付いた黒紅に、

セルンは『ねぇ』と声をかけた・・・。


{はい、何でしょうか?}


「・・・あの『炎』って、何処に飛ばしたの?」


{・・・えっと~}


そう言って悩み始めた黒紅、皆が足を止めその答えを待っていると、

『あぁ~♪』と楽し気な声を挙げながら答えた。


{・・・あはは♪咄嗟の事だったので~}


『ふむ』


{・・・全然覚えてませーん♪}


『っ!?』


そう楽し気にそう言った黒紅に、

イリアとセルンは呆れていたが、1人・・・。

イザナミだけはとても渋い顔をしていたのだった・・・。


(く、黒紅たんが『天然』過ぎる件っ!?

 ってか、そもそもアタシが原因だし・・・。

 『炎』の行方なんて話したら・・・詰め寄られる事は明白っしょ?

 って言う事は~・・・ここは黙っておくのが吉っ!

 ってな事で、アタシは知らんぷり~♪

 あはははは・・・自分でウケてて笹~♪)


こうしてイザナミ達一行は、

次の階層へと向かって行くのだった・・・。





ってな事で・・・。

今回のお話はこんな感じになっておりますっ!


白蛇の行動は怪しいですね~?

その他にも色々と・・・w


楽しんで読んでもらえたらとても嬉しく思います。

登録や感想などいただけたら・・・と、

いつもそう思っておりますので、どうか宜しくお願いしますっ!


それと・・・。

『活動報告』には『登場人物』の紹介も載せておりますので、

是非っ!見て頂けると嬉しく思います。


AIの技術も上がって来ましたので、

アップグレードしたらすぐにアップしたい思いますっ!


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] たしかに黒紅が炎と対峙した時、 はね返したとかではなく門を開いてたから、 「どこへやったのかな?」と思ってました(笑) 緊張感ある場面でもコメディ要素を入れるのはすごい!(笑)
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