229話・冥界のダンジョンと双子の兄妹
お疲れ様です。
ん~・・・何だろ?
イザナミが登場してからというもの・・・。
内容が『コメディ化』しているのは気のせいでしょうか?
そして今回いよいよ『冥界』に侵入したのですが、
・・・どうなる事やらw
あと、ツイッターに『イザナミ】の画像アップしました。
そして『活動報告』にはそのプロフィールも掲載しております。
面白ければ登録や感想など宜しくお願いします^^
それでは229話をお楽しみ下さい。
破滅の門である『黒紅』の力を借り、
イリアとセルンは冥界へとやって来たのだった・・・。
そしてもう1人・・・。
冥界の住人である『イザナミ』が、
『門』である『黒紅』の中から這い出すと、
手に着いた汚れを落としながら立ち上がった。
「おぉ~♪マジで冥界じゃ~ん♪
いいね~♪いいね~♪
まじ黒紅たん『G・J』
この『ジメジメ』っとした感じにこの殺風景な洞窟♪
いや~・・・ほんっと懐かしいわね~♪
ってか、まだ半日も経ってないんだけどねん♪
わぁ~はっはっはぁぁ~・・・。
自分で言ってて草~♪」
胸を張りながらそう言って笑い始めた『イザナミ』に、
イリアとセルンは苦笑いを浮かべるしかなかった・・・。
すると『イザナミ』は突然『ん?』と首を傾げながら何かを感じると、
辺りを『キョロキョロ』と見渡し始めた・・・。
「イザナミ様?どうかされたのですか?」
イリアの声に反応する事もせずただ、
辺りを何度も見渡したイザナミは突然叫び声にも似た声を挙げた。
「うぎゃぁぁぁぁっ!?
こ、此処・・・『大回廊前』じゃないじゃぁぁぁんっ!?
な、何でっ!?ど、どどどどど・・・どうしてっ!?
まじイミフなんですけどぉぉぉぉっ!?
オーゥマイガァァァァァっ!」
そう叫びながら取り乱すイザナミを落ち着かせるべく、
イリアとセルンはイザナミを取り押さえながら声を挙げていった。
「イ、イザナミ様っ!?お、落ち着いて下さいっ!
ど、どうして暴れるんですかっ!?」
「イ、イザナミ様ーっ!?
お、落ち着いてっ!落ち着いて下さいっ!」
『ギャーギャー』と騒ぎたてるイザナミを、
苦労してなんとか落ち着かせたイリアとセルンは、
イザナミを一度座らせ、その理由を聞いたのだった・・・。
『・・・う、嘘?』
イリアとセルンがシンクロしそう驚きの声を挙げると、
イザナミは項垂れながら再び説明したのだった・・・。
「あぁ~・・・っと・・・。
だからさぁ~?さっき説明した通り・・・。
今、アタシ達が居るのは冥界の『大回廊前】じゃなくて~
いっっっっちばん初めの『冥界の門』
つまり『冥界のダンジョン前』からスタートなんだってば・・・」
『・・・・・』
「なんちゃら坊やの所まで行くには~
この『冥界のダンジョン』を抜けないと、
あんた達が会いたがっている坊やの所には行けないって事・・・
てか・・・ね、ねぇ・・・ちょっとあんた達、聞いてるの?」
『・・・・・』
そう言いながら項垂れていた頭を挙げたイザナミは、
現状を認識したイリアとセルンが固まっているのを見て再び項垂れた。
「だ、ダメだこりゃ~・・・。
ま、まぁ~そういう反応になるわよね~?
あぁ~・・・でもまさか~・・・」
そう力なく呟きながらイザナミは、
傍に建つ『黒紅』に視線を向けながら頭を掻き始めた。
「まさかよりにもよって・・・スタートからだなんてね~?
ツイてんだかツイてないんだか・・・」
『はぁぁぁ~』っと大きな溜息を吐いたイザナミに、
申し訳なさてんこ盛りの『黒紅』が口を開いた。
{・・・た、大変申し訳ありません。
み、未熟者の私のせいで皆さんにご迷惑を・・・}
そう謝罪し始めた『黒紅』を見ながらイザナミは、
ふと・・・こんな事を考えていた・・・。
(・・・でもよく考えてみたらさぁ~?
私の門に繋いだ場所って・・・確か大回廊内だったはず・・・
って事は~・・・?
もう一度繋げれば・・・行けんじゃん?)
『ニマァ~』っと笑みを浮かべながら立ち上がろうとした時、
視線の端に未だ放心状態のイリアとセルンが入った・・・。
そして『うーん』と唸りながら何かを考えているようだった・・・。
落ち込んだ様子を見せる2人を見ていると、
何か妙案でも思い付いたのか『おっ?』と小さく声を挙げた。
(・・・これはイケんじゃね?)
再び『ニヤり』と悪い笑みを浮かべたイザナミは、
放心するイリアとセルンに声を張り上げた。
「はいは~いっ!注~目~♪
あんた達いつまで『ボ~』っとしてんのよ~?
どう足掻いたって現状がコレなんだから仕方がないじゃんね?
それともな~に?諦めて帰っちゃう?
アタシは別にどっちでもいいんですけど~?」
わざと顏を引き攣らせながらそう言ったイザナミに、
我に返ったイリアとセルンは『ブンブンっ!』と勢いよく首を横に振った。
「ん~・・・じゃ~さ?
悠斗の所に行くって事でおっけー?」
『お、おっけー・・・です』
イザナミの迫力に押された感じが否めないが、
本気で悠斗に会いたい2人の意思は固かった・・・。
その眼差しにイザナミは口角を微かに上げると、
イリアとセルンに指示を出したのだった・・・。
「い~いぃ~?2人共・・・。
まずはしっかりと装備を整えちゃって~♪
今から入るこの『冥界のダンジョン】は~
超・ウルトラでぃんじゃらーすなダンジョンとなっておりゃ~す♪
ここを突破しないと~・・・彼の元へと行けませーん♪
ってな事で~・・・理解はおっけ~?」
『お、おっけー・・・』
「じゃ~とっとと装備を整えたんさいな♪」
イザナミの声に力強く『はいっ!』と答えた2人は、
マジックボックスから装備を取り出し始めた・・・。
そしてイザナミは一歩後方へと下がると、
視線を向ける事もせず『黒紅』に念話を飛ばした・・・。
{・・・ねぇ、黒紅たん・・・聞こえてる?}
{・・・た、たん?
さ、先程も確かそんな事を・・・}
{・・・そこは気にせずスルーで♪}
{・・・ス、スルー?
は、はい、わ、わかりました・・・}
{・・・ほいほい。
一応念の為・・・?つーかさ~?
ちと先に聞いておきたい事あんだけど?}
{・・・何でしょうか?}
{黒紅たんはアタシの門と繋がったのは偶然じゃないのよね~?}
{はい、偶然では御座いません}
{って事は~・・・黒紅たん単体でも~、
その場所に行けるって事で・・・おけ?}
{・・・お、おっけーです}
{・・・ほいほいほい♪}
目の前で装備を整えるイリアとセルンを見ながら、
そんな会話をしているとふと・・・『黒紅』は疑問に思った。
{あ、あの~?}
{・・・ん?}
{一つ質問・・・宜しいでしょうか?}
{・・・どぞ♪}
{あの方達は装備を整えているようですが、
私がその場所へと繋げたら、別に装備を整える必要がないのでは?}
そう問われたイザナミは無意識に『ニヤり』と口角が上がると、
イリアとセルンを見ながら『黒紅』に念話を返した。
{・・・あーね。
でもこのまま楽して悠斗に会ったところでさ~、
多分悠斗は生き返らない・・・ってか、
生き返る事なんてほぼ『不可能』}
{・・・えっ?ふ、不可能・・・なのですかっ!?
そ、それに・・・今、主様の『名』を?}
{ういうい♪
てか・・・単純にあの子達の・・・レベル?
それが全然足りないのよね~
それと~・・・坊やの事は『ひみちゅ』って事で♪}
{・・・ひ、ひみちゅ・・・ですか?
わ、わかりましたけど・・・。
ユウト様を生き返らせる為にレベルを上げないといけないって事ですか?}
{そっいうこと~♪
それにこのまま会えたってあの子の達の『命』が縮むだけなのよね}
{い、命が縮むのですかっ!?}
そう驚きの声を挙げる『黒紅】に、
イザナミは『チラっ』と視線を『黒紅』へと向けると、
再び装備を整える2人に視線を戻した。
{・・・縮む縮む~♪理不尽なくらい縮む~♪
冥界舐めんなよ?ってくらい縮む~♪
此処は冥界なのよ?『生ある者』が立ち入れる場所じゃないっしょ?
こうしている間にも・・・あの子達の『寿命』は削られていくのよん♪}
{・・・そ、そんな}
『黒紅』はそう言葉をこぼしながら、
作業を急ぐ2人を見て複雑な心境になっていた・・・。
そんな『黒紅』の様子に更にイザナミは言葉を続けた・・・。
{まぁ~でもあの子達の場合・・・。
エルフとダークエルフじゃんね?
だからとりま問題ないんだけど~
でも・・・急がないといけない事に変わりはないんだけどね~}
{・・・冥界という所は本当に恐ろしいのですね}
{・・・あーね}
するとイザナミが再び口角を上げると、
『黒紅』に対してもこう告げたのだった・・・。
{・・・あんたもレベル上げ・・・しないとね~?}
{・・・わ、私のレベルですかっ!?
門である私がレベルなんて上げても仕方がないのでは?}
そう驚く『黒紅』に構う事なく、
イザナミはこう話を続けた・・・。
{・・・あんたは『破滅の門』
確か古代の文献によけば『破滅の門』は戦闘出来る・・・ってね?}
{・・・も、門である私が戦闘っ!?}
{ういうい・・・。
アタシはそれを信じてあんたを鍛えてみたいのさ♪
カビの生えた古い文献に書かれている事が本当かどうか、
アタシはソレを確かめたいのさ・・・}
{・・・・・}
{それにさ~?
アタシのふる~いダチがさ~・・・
そういった実験的な事が好きなのよね~?
だから~ダチと・・・して?
ちょっと役に立ってあげちゃおう・・・なんつって~♪}
{・・・・・}
言い方はどこかおちゃらけてはいるものの、
その視線は決して笑ってなどいなかった・・・。
その事に気付いた『黒紅』は心の中で『戦闘』と言う単語を呟くと、
心の底から何か熱いモノが込み上げて来たのだった・・・。
そして意を決したかのように腕を組み2人に視線を向けるイザナミに、
『黒紅』は決意を新たに『念話』を飛ばした・・・。
{・・・私、レベル上げます}
そんな言葉がイザナミの頭に響いて来ると、
イザナミは顏を『クシャっ』とさせなが
『いいじゃん、いいじゃん♪』と返答したのだった。
それから少しして装備を整え最終チェックをお互いに確認し合うと、
イザナミに向き直り力強い視線を向けた。
『準備完了しましたっ!』
その言葉にまるで子供の様に『イシシ♪』と笑って見せると、
表情を真剣なモノへと変えながら声を挙げた・・・。
『うーしっ!じゃ~とっとと『冥界のダンジョン』を、
攻略しちゃいましょうかぁ~♪』
そう言い終わってイザナミは前方に在る『扉』に向かって歩き、
黒い『重厚な扉』の前で立ち止まった・・・。
そして気合いを込め始めると、
神力を身体に纏わせ声を挙げながら蹴り飛ばした。
『・・・ホーゥワッチャァァァっ!
開けーっ!ゴマァァァっ!』
『バキャっ!ブォンっ!』
「・・・なんつって~♪」
『・・・・・』
イザナミの気合いの入ったその蹴りは、
『重厚な扉』をまるでダンボールでも蹴ったかのように、
物凄い勢いで『ダンジョン』が続く洞窟の奥まで吹き飛ばしたのだった。
「・・・ん?みんなして・・・どったの?」
唖然とする3人に首を傾げて見せと、
イザナミは『気合い入れていこーっ!』と、
どこぞの主人公である『ゴムゴム的』な人ばりに、
両腕を高く上げながら声を発したのだった・・・。
『お、おー・・・?』
そしてイザナミは1人・・・。
『ズンズン』とダンジョンの奥へと入って行く姿を見て、
3人は慌ててその後を追ったのだった・・・。
すると突然思いがけない事が起こった・・・。
『ズガっ!ガガガガガ・・・ガリガリガリ・・・』
『?』
その凄まじい音に慌てて振り返ったイリアとセルン・・・。
言葉なく唖然とする中、
小走りで戻って来るイザナミが口を開き尋ねた・・・。
「・・・ちょいちょいちょい。
あんた達・・・一体どったの?」
その声にぎこちなく振り返るイリアとセルンは、
同じ方向を指差し顏を盛大に引き攣らせていた・・・。
「・・・ん?」
そんな2人の様子に小首を傾げたイザナミが、
その2人の指が指し示す方へと覗き込むように視線を向けた・・・。
『ズガガガガ・・・ガガっ!』
『・・・げっ』
イザナミはその光景に言葉を失ってしまった・・・。
何故なら・・・。
『冥界のダンジョン』の入り口では『黒紅』が身体を横にし、
必死で中に入ろうとしている姿があったからだった。
いくらまだ幼く扉が小さくとも・・・『門』である。
屋根瓦や横幅はそれなりにあるのだった・・・。
『・・・・・』
すると唖然とするイザナミ達を見たのだろう・・・。
黒紅は藻掻きながら口を開いたのだった・・・。
{・・・も、申し訳御座いませんっ!
か、瓦・・・が・・・お、思いがけず引っ掛かってしまいましてっ!
で、でも・・・い、今すぐ・・・今すぐ此処を・・
と、突破して御覧に・・・い、入れますからぁぁぁっ!}
『ガキンっ!ズガッ・・・ガチガチガチ・・・ガガガガガ』
{こ、このぉぉぉぉぉっ!
た、たかが瓦が引っ掛かったくらいでっ!
こ、この私を・・・止められると思うなぁぁぁっ!}
『・・・・・』
・・・そう。
この洞窟の入り口は人が並んで入れる場所ではなかった・・・。
ところが黒紅は凄まじい炸裂音をさせながら、
無理矢理中へと入ろうとしていたのだった。
「・・・う、嘘・・・よね?
まだ入り口じゃん?
気合い入れて『いこーっ!』って言ったばっかじゃんっ!?
そ、それなのに・・・」
{・・・も、申し訳御座いませんっ!
今すぐ・・・今すぐですからっ!
み、認めたく・・・な、ないものですね・・・。
『門』故の過ちと言うモノを・・・}
『ズガガガっ!ガキンっ!ボコっ!バキンっ!』
「オォゥ・・・ノォォォォォォォォっ!」
その様子を見たイザナミは頭を抱えながら膝から崩れ落ち、
予想だにしないこの事態に血の涙を流しながら絶叫したのだった・・・。
そして此処はノーブルの『嘆きの森』
ラウルと天照は今後の話をする為、
此処を離れ後の事をミランダ達に任せ扉を潜って行った・・・。
そして残された者達は・・・。
真冬で雪がしんしんと降り積もる中、
それぞれが寒さに耐えていた・・・。
その様子を見たカロンが『ちっ!しょうがねーなーっ!』と、
やや笑みを浮かべながらそう言うと、
空に向かって手をかざした・・・。
『ブォン』
カロンの右手から神力が放出されると、
辺り一帯はカロンの神力によって『聖域化』され、
その空間に帯びた熱の影響で、徐々に降り積もった雪が解け始めた。
両手を『パンパン』と音を鳴らして見せると、
カロンは『これでどーよ?』と言って笑って見せると、
意識を取り戻した者達は感謝を伝えたのだった・・・。
それから身辺を少し清掃し始めた時、
『魔法神・アリエル』が作業をする皆に声を挙げた・・・。
「・・・皆、聞いてくれ」
その声に皆が作業を止め集まると、
アリエルは今後について口を開いていった・・・。
「・・・まず最優先すべき事は、
あそこに眠るユウトの身体を守る事・・・
それはわかるわね?」
その問いに神達も含め全員が頷いて見せると、
アリエルはミランダに視線を向けれ頷き合うと声を発した。
「イリア達がユウトを復活させるまで、
この地を護る者達が居るのだが・・・誰か名乗り出る者はいないか?」
そう言ってアリエルは皆を見回しながら待っていると、
アナザーのメンバーであるセルカが声を挙げた。
「アリエル様・・・。
この人数では限界がありますのにゃ」
セルカの正論にアリエルは『確かに・・・』と呟くと、
続いてアンナが声を挙げた。
「アリエル様っ!
人手が足りないとおっしゃるのでしたら、
我がアシュリナ家の者をお使い下さいっ!
私達はユウト様に返し切れない恩が沢山あるのです。
ですから、どうか・・・我がアシュリナ家の者達を・・・」
そうアンナが膝を着きながらアリエルに懇願した時だった・・・。
『ブォン』っと神界の門が出現し、
その中から姿を現したのは『時空神・ミスティ』と、
悠斗の力でこの世に生を受けた双子の兄妹・・・。
『エルナトとミアプラ』だった。
「ミ、ミスティ・・・それにエルナトとミアプラ?
ど、どうしてこんな所にっ!?」
そう驚いていたアリエルの声に、
ミスティは悲しげな眼を兄妹に向けながら返答した。
「・・・ラウル様には連れて来るなと言われましたが、
どうしてもこの子達が・・・」
ミスティの返答にこの場に居た神々達の眉間に皺が寄ったが、
兄妹の気持ちを察すると何も言えないでいた・・・。
すると兄であるエルナトがミスティを見上げると、
小首を傾げながらこう言った・・・。
「ねぇ、ミスティ様・・・。
パパの身体は何処なの?」
「・・・・・」
その問いに答えられなかったミスティは、
アリエルに視線を向けると、その意図を察し小さく頷いたのだった。
「・・・2人共、こっちよ」
そう言いながらアリエルは悠斗の身体が眠る場所へと歩き始めると、
皆が揃って共に歩み始めたのだった・・・。
そしてその歩んで行く中・・・。
兄妹達は何故か楽し気に会話をしていた。
兄妹達のその無邪気さに神々達は、
悠斗の死をまだ理解できていないのだろう・・・。
そう思っていたのだが、
兄妹達の会話を聞いていくうちに神々は違和感を感じたのだった。
「ねぇねぇ、エルナト?」
「何だい?ミアプラ・・・」
「パパが戻って来たら何がしたい?」
「うーん、そうだな~・・・。
あっ!そうだっ!パパが戻ってきたら最初に、
僕達の修行の成果を見てもらおうよ♪」
「それっ!いいわねっ!
私達がちゃんと言いつけを守って頑張っていた事を、
パパに見てもらいたい♪」
「あははは・・・でもいいのか~?ミアプラ~」
「・・・ん?何が~?」
「お前、勉強は苦手だろ?
いっつもミスティ様に怒られていたのに、
フフフっ、そんな余裕な事言ってていいのかな~?」
「うぅぅぅ・・・。
パ、パパにはその事を言わないでぇ~っ!」
「あはははははっ♪」
兄妹達のそんな会話を聞いていた者達が不思議がっていると、
その空気を察したエルナトが先を歩くアリエルに声を掛けた。
「・・・ん?僕達・・・何か変な事を言いましたか?」
その問いにアリエルは足を止めると、
兄妹達に近寄り、頭を撫でながら口を開いた・・・。
「・・・君達はどうしてそんな明るく振舞えるの?
もう知っているかと思うけど・・・パパ・・・
つまりユウトはもうこの世には居ないのよ?
死というモノがまだわからない?」
優しい眼差しでそう告げたアリエルに、
兄妹達は顏を見合わせると『フフっ』とお互いに笑い合っていた。
「・・・ど、どうかしたの?」
驚きの表情を浮かべながらそう尋ねて来るアリエルに、
今度はミアプラが元気な声で答えていった。
「・・・アリエル様、変なの~?♪」
「・・・へ、変っ!?わ、私がっ!?」
「うんうんっ!だって~・・・パパは生きてるもーん♪」
その元気な声で答えるミアプラに、
この場に居た者達全員が硬直した・・・。
そしてミアプラの話の続きをエルナトがしていった・・・。
「確かにパパの肉体は今、お休み中だけど、
でもパパはちゃんと『冥界』って所で生きてるよ?」
エルナトの言葉に一同が驚愕していると、
兄妹達は互いに顔を見合わせ『ね~♪』と楽し気にそう答えた。
「お、お前達・・・ど、どうしてユウトが『冥界』に居るとっ!?」
アリエルの問いに首を傾げ不思議そうな顔を見せると、
ミアプラが少し困った顔をしながら口を開いた・・・。
「だって・・・パパから連絡あったよ~?」
「・・・へっ!?」
「今、パパは『冥界』って所に居て修練してるから~
何も心配するんじゃないぞ~って♪
それと~いい子に頑張って居たら、また絵本作ってくれるって~♪」
そう言うとミアプラは再びエルナトへ顏を向けると、
『ね~♪』っとそう言って笑い合っていたのだった・・・。
そん兄妹達を見た一同は驚きの余り硬直し、
瞬きを数回繰り返していたカロンは一言呟いた・・・。
『・・・あいつはまじで何でも有りだな?』
苦虫を潰したような顔でそう言ったカロンに、
ミランダもただ『・・・あははは』と、
盛大に顔を引き攣らせ、乾いた笑いをするしかなかったのだった。
そして此処は『冥界』・・・。
悠斗は今、祖父である『南雲』に連れられて、
『冥界』に在る『闘技場』へと来ていたのだった・・・。
『・・・でか』
『闘技場』を見てそんな言葉が悠斗の口からこぼれるも、
『南雲』はそれを無視するかのように中へと入って行った・・・。
「・・・見た目通りって言うか、
中もやっぱり広いんだな~・・・」
そんな印象を受けた悠斗の口から声が漏れた時、
『闘技場』の中央付近に来た『南雲』はその足を止め振り返った。
「悠斗や・・・。
先程説明した通り・・・
此処がお前の修練場となる・・・」
「・・・うん」
「で・・・じゃ。
今のお前のその身体は『擬体』であり、
当然『気道』が使えないのは理解しておるかの?」
「・・・まぁ~、とりあえずはわかってるけど?」
「うむ、ならばじゃ・・・。
まずは体術の修練から始めるかの?」
「・・・わかった」
南雲の言葉に素直に返答していく悠斗に、
内心『こやつは相変わらず変わっとるの?』と呟くも、
孫である悠斗との久方ぶりの『修練』に心を弾ませていたのだった。
内心『ニヤニヤ』としつつも南雲は悠斗に構えるよう指示を出すと、
その構えに目立った隙が見当たらない事に驚いていた・・・。
そんな悠斗に驚きつつも南雲は何気にその顔を見ると、
思わず『・・・こりゃ~たまげたわい♪』と言葉をこぼしたのだった。
その真っ直ぐに向けられた視線と、
余分な力が入っていないその構えに、
南雲は再び笑みを浮かべ『・・・期待させる目じゃの?』と呟いた。
そんな言葉が悠斗の耳に入ったのか、
悠斗が少し訝しい顏を見せると、南雲は声を挙げた・・・。
「まずは悠斗・・・。
お前の体術を見せてもらうとしようかの?」
そう言った南雲は直後・・・。
その孫に向けていた表情が一片し、険しい表情へと変わった。
「・・・・・」
そんな南雲を察した悠斗は呼吸を整えると、
南雲に引けは取らない気迫を溢れさせたのだった・・・。
「・・・行くぞ、悠斗」
「・・・あぁ、いつでもいいよ」
『カっ!』と2人の双眼が見開くと同時に駆け出し、
悠斗と南雲は激突したのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
イザナミと黒紅・・・。
ある意味『迷コンビ』になりそうな気が・・・><
これからもコメディ色強めになりそうで嫌な予感がしますが、
これからも頑張りますので、応援のほど宜しくお願いします。
登録や感想など是非っ!宜しくお願いします^^
次回はどのキャラをアップしようかな?w
ってなことで、緋色火花でした。




