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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
326/406

閑話・日本・監視・後編

お疲れ様です。


この暑さに完全にやられてしまい、

只今絶不調の緋色で御座います・・・。


って言うか・・・。

油断した背筋痛めてしまい、

大変辛い日々を送っております・・・orz


小説のストックはまるまる1か月分ありますので、

全然問題はないのですがw


さて、今回は前回の続きで『後編』となっております。

ツイッターでも今回登場するキャラ・・・。

『いちか』の画像をアップしておりますので、

見て頂けるととても嬉しく思います^^


楽しんでもらえたのなら、

登録や感想など頂けたら・・・と思います。



それでは、閑話・後編をお楽しみ下さい。

木の陰から出て来た男が月明かりの下へと姿を現すと、

いちかに対し『こちらに来てもらおうか?』と、

嫌な笑みをうかべそう言った。



「・・・おじさん」


「・・・何だい?お嬢ちゃん」


「・・・抵抗・・・してもいいのよね?」


「あぁ~・・・フッフッフッ・・・別に構わないさ。

 ただし・・・その時はちょいと・・・痛い目に合ってもらうがね?」


その小太りで野太い男の醜い笑みを見ながらいちかは、

再び周囲の気配を探った・・・。


そしてその気配の数を確かめると、

余裕そうな笑みを浮かべながら、その男にこう言った・・・。


「いい歳をした大人が・・・

 こんな超・可愛くてイケてる女1人に対し、

 6人って・・・ふんっ!」


「っ!?」


いちかの言葉にその男の眉毛が『ピクリ』と反応した。


「・・・ほう、お嬢ちゃん。

 どうやって知ったかはわからんが、

 そんなに若いのに・・・中々どうして・・・

 やるもんだね~?」


そう言いながら1歩・・・。

その男が前に進むと、いちかは後方に飛び退き距離を取った・・・。


男がいちかの反応に顏を顰めた瞬間、

この夜の風に乗って『カチャっ』と金属音が聞こえた・・・。


その音を聞いたいちかが険しい表情を見せると、

再び口角を上げながら口を開いたのだった・・・。


「・・・拳銃・・・とはね?

 もうストーカーの域・・・越えてんじゃん?」


「・・・・・」


いちかがそう告げると、こちらへと歩みを進めた男の足が止まり、

周囲に緊張感が走った・・・。


「・・・お嬢ちゃんは只者じゃないようだね?」


やや緊張した声で男がそう言うと、

いちかは厳しい目を向けながら返答した・・・。


「・・・おじさん?

 私のストーカーなんでしょ?

 どうして私の事・・・知らないの?」


「・・・・・」


「・・・それに、おじさん達・・・。

 どう見ても素人さん・・・よね~?

 気配の消し方すら知らないなんて・・・ね」


険しい表情を見せたと思ったら、

突然いちかの表情が変わり、『ニヤ~』っと笑みを浮かべた。


「・・・こ、小娘如きがっ!」


野太い声の男がそう声を挙げた瞬間、

その周囲から『ガチャっ!』と、

数ヶ所で拳銃のスライドを引かれた音が聞こえた。


「・・・小娘、俺達と一緒に来てもらおうか?」


そう言いながらその男も懐から『拳銃』を取り出し、

スライドを引くと醜い笑みを浮かべた・・・。


「・・・おじさん?」


「・・・何だ?大人しく一緒に来る気になったか?」


「・・・クックックッ♪」


「・・・?」


いちかは咄嗟に肩に担いでいた『白鞘袋』から、

『白鷹』を取り出すと、腰を落し『抜刀術の構え』を取り静止した。


その行動に男は訝し気な表情を見せるも、

こちらの圧倒的な優位さに自信を持ちながらいちかにこう告げた。


「・・・刀と拳銃・・・どちらが速いか?

 そしてどちらが優位か・・・お嬢ちゃん・・・

 それくらいは分かる歳・・・だよね~?」


醜く歪んだ笑みを浮かべるその男に、

抜刀術の態勢で静止したいちかは静かにこう告げた・・・。


「・・・死にたいなら撃ちなさいよ」


「・・・なに?」


「・・・あんた達の悪意の弾丸は、

 この私を捉える事なんて出来ないわ・・・それに・・・」


不敵な笑みを浮かべたままそう言ったいちかに、

男は『それに・・・なんだ?』と訝し気に聞いて来た。


するといちかはー突然『涼華さんっ!?』と声を挙げると、

『あはははは』と笑いながら抜刀術の態勢を解いた・・・。


「・・・なっ、何だっ!?

 小娘っ!?一体何をしているっ!?」


「・・・こ、こっちの事だから、気にしなくていいんで・・・」


「こ、小娘っ!貴様ーっ!誰と話しているっ!?

 そんなに死にたいのかぁぁぁぁっ!?」


その男が怒りに任せそう声を挙げると、

いちかは『りょ、涼華さん・・・ちょ、ちょっと待って!』と言って、

小太りの男に振り返って頭を下げ口を開いた。


「・・・一瞬っ!一瞬だからちょっと待っててっ!」


「んなっ!?

 き、貴様ら女は一瞬、一瞬ってっ!

 一瞬でやめた試しがないだろうがぁぁぁっ!」


激怒する小太りの男に対し、

引き攣った笑みを見せながらペコペコするいちかに、

更に小太りで野太い声の男は顔を引き攣らせていた・・・。



そして『ぐぬぬぬぬ』と唸り声を挙げ始めた男に

いちかは視線を向けながら小声で『らじゃ~♪』と何かに返答すると、

何事もなかったかのように『で・・・?何だっけ?』と言い放った。


「こ、小娘・・・い、いい加減に・・・」


メラメラと小太りの男の背後から怒りのオーラを滾らすも、

いちかは平然と『あっ、そうだった・・・』と、再び言い放った。


「そうそうっ!さっきの続きね?

 それに~・・・の、後の話なんだけど・・・。

 おじさん達ってさ~?

 本当のド・・・素人さんでしょ?」


「っ!?」


「だってさ~?いくら月明かりが在るとは言え、

 この暗さ・・・だよ?

 どうやって私に当てんのよ?」


その言葉を待っていたのだろうか・・・。

男はいちかの言葉に鼻で笑うと頭を後方に振りながら、

『ニヤり』と笑みを浮かべた・・・。


「心配はいらねーよ・・・お嬢ちゃん。

 俺達には『暗視スコープ』を着けた『狙撃兵』が居るんだよ」


実にその男は誇らしげにそう言った・・・。


例え暗闇だろうと俺達には、

『暗視スコープを着けた狙撃兵』が居ると・・・。

男は自慢げにそう言ったのだった・・・。


「ふ~ん・・・」


「・・・?」


そう聞いたいちかの反応に首を傾げた男が、

その態度に険しい表情を見せ怒鳴り声を挙げたのだった。


「小娘っ!貴様はもう俺達と一緒に来るしかないんだよっ!

 いい加減っ!大人しくしやがれっ!」


そう男が怒声を挙げたのにも関わらず、

いちかは片耳を『ほじほじ』としながら興味なさげにしていた・・・。


「小娘ぇぇぇぇっ!?」


月明かりでもわかるほど、男の顔が真っ赤になり、

怒りの眼差しをいちかへと浴びせたのだか、

そのいかちは小声で『おっけ~♪』とそう呟くと、

『白鷹』を抜き、その切っ先を男へと向けた・・・。


「・・・おっじさ~ん♪

 時間切れでーす♪」


「・・・?」


男はいちかの行動に困惑していると、

少し離れた暗闇から『ぐはっ!』という声が聞こえた・・・。



~ 涼華視点 ~


『タッタッタッタッ』


涼華はいちかが居るであろう場所目指し、

暗闇に支配されている山道を走っていた・・・。


『暗視ゴーグル』の淡い緑色の光が激しく揺れながら・・・。


暫く走った後、

涼華の鼻に『オイル』の匂いがした・・・。


(・・・ガンオイルの匂いっ!?)


『魔を狩る一族』には、

長年嗅ぎ慣れたその匂いが何かすぐに理解したし身を屈めた・・・。


(・・・いちかは?)


涼華はそう思いながらも、

その場に張り詰める緊張感を敏感に感じ取ると、

何かが描かれた小さな四角に加工された紙を取り出した・・・。


(・・・暗視ゴーグルじゃ、視認する範囲がたかがしれている。

 ここは貴子の呪符に頼るしかないわね?)


涼華は取り出された紙を折りたたむと、

目を閉じ呪文のようなモノを心の中で唱え始めた・・・。


(・・・小さきモノよ・・・我が目となり全てを晒せ・・・

 ・・・闇蟲(やみむし)・・・)


一瞬『ポっ』と青白く瞬いたソレは上空へと舞い上がった。


それを確認した涼華はそのまま目を閉じ意識を集中すると同時に、

この近くに居るであろういちかに再び念話を送った・・・。


{・・・いちか、聞こえる?

 ・・・いちかっ!}



修練不足の『念話』を使用しながら、

夜空に放たれた『闇蟲』から流れて来る映像を見ていた。


(・・・この近辺にはいないのかしら?)


そう思った時、『りょ、涼華さんっ!?』と、

いちかから『念話』が返ってきた・・・。


{いちかっ!?あんたどこに居るのっ!?}


{えっと~・・・今、山に修練にきていまして・・・}


{それは知ってるわっ!}


涼華が少し苛立ちながら、いちかにそう言った時だった・・・。


(・・・居たっ!)


『闇蟲』から流れて来る映像には、

いちかを中心に数名が身を隠しながら取り囲む姿と、

1人の男と対峙するいちか達の姿が見えたのだった・・・。


{いい?いちか?

 そのまま黙って聞きなさい・・・。

 私が周りに居る者達を処理するから、

 無茶しないようにね?

 いい?わかった?}


{・・はいはーい♪}


(・・・あ、あの子・・・くっ!

 あぁ~・・・もうっ!

 慎重になっている自分が馬鹿らしくなってきたわ・・・)


いちかの楽観さに頭を押さえた涼華は、

慎重になっている自分に『自己嫌悪』を感じていた・・・。


「・・・馬鹿らしいわね。

 あの子に与えられたストレスを此処で発散するしかないわね?」


冷笑を浮かべた涼華は腰に装着した武器・・・。

伸縮する薙刀を『カシャンっ!』と伸ばし呼吸音を変えると、

『隠形と繰術』を使用しながら流れるように駆け出し1人1人確実に・・・

隠れて拳銃を握る男達を始末して行くのだった・・・。



~ いちか視点 ~


「なっ、何だっ!?お、おいっ!お前達っ!?」


男は周囲を見渡しながら懐から無線機を取り出すと、

ソレに向かって男が声を荒げて始めた・・・。


すると『プッ』という無線機から音が漏れると、

いちかには聞き慣れた声が流れて来た・・・。


「あら?ゴミムシのようなあんた達でも、

 無線機なんて洒落たモノは持っているのね?」


その声に男は青筋を浮かべながら怒声を発した・・・。


「だっ、誰だぁぁぁっ!貴様はぁぁぁぁっ!?」


「・・・あんたこそ誰なの?誰にそんな口を叩いているのかしら?

 今すぐ土下座して私に『命乞い』をしなさい。

 因みにコレは私からの『命令』よ?

 わかったら今すぐ無様に『土下座』をして(こうべ)を垂れなさい」


「なっ!?き、貴様ぁぁぁぁっ!?

 何者かは知らんが俺に向かって土下座しろだとっ!?

 それにどうして俺が貴様に『命令』されなきゃならんのだぁぁっ!?

 女ぁぁぁぁっ!貴様は一体何様なのだぁぁぁぁっ!

 ふざけるなぁぁぁぁっ!」


「・・・何様?

 貴方がどれだけあらゆる手を使っても手に届かないほどの女よ?

 ・・・それが声だけでわからないとは・・・ね?

 流石はブタというところかしらね?

 それにふざけているのはどちらかしら?

 私が折角『慈悲』をかけてあげているのに・・・

 それを無下にするとは・・・ね。

 この際だからそんな役にも立たない野ブタに教えてあげるわ・・・。

 私の言う事は・・・『絶対』なの・・・。

 それが守れない『下賤の者』は・・・『万死に値する』わ」


「き、貴様・・・よ、よくも・・・それだけの事を・・・」


「あら?まだゴミムシが私に口答えするのかしら?

 いいわ・・・貴様の命は・・・。

 ゴミムシよりも価値がない事が証明されたわね?」


「・・・なっ!?」


「・・・死を以って償いなさい」


氷のように冷たい・・・。

そんな冷気を帯びた声が無線機から聞こえて来ると、

それに天が応えるように突如として空が曇り月明かりを消した・・・。


そんな現象も相まって男は全身から血の気が引くのを感じ震えた。


そして『ワナワナ』と震えながら男はいちかを見ると、

満面の笑みを浮かべ中指を立てていた・・・。


「こ、こむっ・・・小娘如きがっ!」


男がそう吠えた時だった・・・。

突然その無線機から別の男の怒鳴り声が聞こえた。


「おいっ!おっさんっ!?俺の射線に被ってんだよっ!

 今すぐどきやがれーっ!」


無線から流れて来る怒声に、

『ヒィっ!』と声を挙げた男がすぐさまそこから横に飛び退くと、

その男の耳に『パシュっ!』と音が微かに聞こえた・・・。


(小娘もこれで終わりだっ!)


自信たっぷりにそう思った男だったが、

その自信は儚く消え失せたのだった・・・。


『チュインっ!』


(・・・な、何の・・・音だ?)


男が唖然としながらいちかが立って居た方を見つめていると、

『ザっ、ザっ、ザっ』といちかが歩いて来るのが見えた・・・。


「なっ!?ど、どうして・・・?

 い、今・・・そ、狙撃された・・・はず?」


男は這いつくばったままその場で固まりただ・・・。

茫然とこちらへと向かってくるいちかを凝視したままだった・・・。


そしていちかは呟くように『ソレ・・・私がヤりますんで』と言うと、

突然駆け出し、這いつくばる男の横を通り過ぎる間際にこう言った・・・。


「おじさんは後で・・・ね?♪」


そう言ったいちかは風の如く男の横を通り過ぎると、

『パシュっ!パシュっ!』と微かに聞こえる射撃音を気にする事もなく、

前進し駆け抜けた・・・。


『チュインっ!チュインっ!』と

いちかの振るう『白鷹』によって弾丸は処理され地面に落ちて行く。


「ば・・・か・・・な?」


そんな言葉を這いつくばっている男が発したが、

いちかの耳に届く事はなかった・・・。


そしていちかの姿が見当たらなくなり沈黙が訪れた後、

『うがぁぁぁっ!』と言う断末魔のような叫び声が木霊した・・・。


『あわわわ・・・』


男は慌てながらその場から逃げようとするが、

その男の本能が恐怖によってその場から動く事を拒否していた。


「に、にげ・・・にげ・・・」


バタバタとその場で藻掻いていると、

その少し離れた後方から・・・凍てつくような声が聞こえた・・・。


「・・・逃げるの?」


「ひぃぃぃっ!?」


その凍てつく声に慌てて振り返ると、

そこには先程無線機から聞こえた女の声が男を見下ろし立って居た。


「おまっ、おまおまお前ぇぇぇぇっ!」


「・・・どうしたの?そんな慌てて・・・。

 逃げるなら逃げてもいいのよ?」


その女の声に男は思わず『逃げてもいいのかっ!?』と返答した。


「えぇ・・・逃げてもいいわよ?」


そう言った途端・・・曇っていた夜空から月が現れ、

そこに立つ女・・・涼華の姿を照らしたのだった・・・。


男は月明かりに照らされた涼華を見て息を飲んだ・・・。


その女の頬には返り血を浴びた後がくっきりと残っており、

男を見下ろすその眼光に迫力が増していた・・・。


「お、お前達は・・・い、一体・・・な、何者・・・なのだ?」


男がそう震えながら言葉をもらすと、

『ポタっポタっ』と水滴が地面に滴り落ちる音が聞こえ、

男は誘われるように視線を落とした・・・。


「・・・っ!?」


その男の視線の先には涼華の手に持たれた武器・・・。

『薙刀』があり、その刃にはべっとりと血が付着し、

仲間であった者達の血液が滴り落ちていた・・・。


「たっ、たす・・・け・・・だ、だれ・・・か・・・」


その場から一刻でも早く立ち去ろうと男が藻掻き始めた時、

冷たく見つめる涼華は言葉をこぼすようにこう言った・・・。


『ただし・・・逃げられるのなら・・・ね?』


「ひぃぃぃぃぃっ!」


男は涼華の言葉に『バタバタ』とし始めたが、

その身体は『絶対的な恐怖』によって上手く動いてはくれなかった・・・。


すると再び後方から声がした・・・。


「涼華さーん・・・」


「・・・あら、いちか・・・遅かったわね?」


涼華の元へと駆け寄って来たいちかに冷たくそう言うと、

いちかは頬を膨らませながら文句を言い始めた・・・。


「・・・どうして全部ヤっちゃうんですか~?

 せ~かくっ!遊べると思ったのに~・・・」


「あ、遊べるって・・・?

 あんたがだらだらとしているからでしょ?」


「えぇぇぇぇっ!?だって~こんな事って早々ないじゃないですか~?

 だからすっごく楽しんでいたのに~・・・。

 涼華さんったら邪魔しちゃうんだもんな~・・・」


「・・・邪魔って?

 あ、頭が痛くなってきたわ・・・」


「大丈夫ですかー?無理しちゃダメデスヨー・・・」


「・・・どうして棒読みなのよ?」


そんな会話を聞いていた男は『ジタバタ』と藻掻きながらも、

『こ、こいつら・・・まともじゃないっ!?』と慌てふためいていた・・・。


するといちかはその男に声を掛けた・・・。


「ねぇ、おじさん・・・?

 ラスト・チャーンスのお時間ですよ?」


「・・・へっ?」


その言葉に振り返った男は間抜けた声を出すと、

いちかは『拳銃もってるわよね?』と告げて来た・・・。


話しはこうだった・・・。


『1対1で勝負し勝てたら見逃す』と、言う・・・

ごく単純なモノだった・・・。


「か、勝てたらって・・・?

 お、お前達・・・正気なのか?」


いちかから提案された内容に唖然としていた男がそう言うと、

いちかと涼華は顔を見合わせ淀みなく『・・・えぇ』とそう言った。


(こっ、こいつらはバカなのかっ!?

 お、俺が持っているのは拳銃なんだぞっ!?

 どこから出て来るのだっ!その自信はっ!?)


顏を伏せながら『ニヤ』ける男は、

怯えたフリをしながらその『勝負』を受けたのだった。


いちかと小太りの野太い声の男はある程度の距離を取ると、

少し離れた場所へと移動した涼華は、

右腕の小さなポケットから細い葉巻を取り出し、

それに火をつけ吸い始め煙を吐くと同時にいちかを見た。


「まぁ~何でもいいけど・・・。

 早く終わらせなさいよ?」


涼華の言葉にいちかは『ベェーっ!』と舌を出して見せると、

肩を竦め冷めた笑みを見せた・・・。


『ヒュ~』っと冷たい夜風が音を立てて吹き抜けていく・・・。


『ゴクリ』と喉を鳴らし緊張している男とは対照的に、

いちか『フフっ』と舌舐めずりをしてこの状況を楽しんでいた・・・。


(・・・こ、こいつら、狂っていやがる)


楽し気に笑みをうかべるいちかを見ていると、

『ふぅ~』と大きく煙りを吐いた涼華が『ポーン』と、

火のついた葉巻を上空へと弾いたのだった・・・。


男は腰に装着した『拳銃』に手を伸ばすと、

火のついた葉巻の行方を追った・・・。


(バカめ・・・この距離では刀など無意味っ!)


そう心から湧き上がる笑みを浮かべていると、

突然いちかから『コォォォっ』と呼吸音を変える音が聞こえた。


(・・・なっ、何だっ!?)


一瞬男は火のついた葉巻かせ視線を外したが、

すぐさま視線を戻し火のついた葉巻が地面に落ちる・・・

その間際だった・・・。


男は歪んだ笑みを浮かべながら『バカめぇぇぇぇっ!』と叫ぶと、

態勢を低くしたままのいちかへと狙いを定めた・・・。


「死ねぇぇぇぇっ!」


『ポトっ』


男がそう雄叫びを挙げるのと同時にトリガーを引くと、

火のついた葉巻が地面に落ちた。


『バンっ!』と軽快な『9mm』の弾丸の炸裂音が響く中、

『勝利』を核心した男は歓喜を声を挙げた・・・。


『死ねぇぇぇぇぇっ!ヒャッハァァァっ!』


だが・・・。

その『歓喜の雄叫び』は瞬時に沈黙へと変わった・・・。


『・・・?』


沈黙の後・・・『ズシャっ』と背後に人の気配を感じた・・・。


「・・・な、何が?」


男がゆっくりと顔だけを後方へと向けようとした時、

『・・・白鷲流剣技・疾風一閃』といちかの呟く声が聞こえ。


『カチっ』


刹那の沈黙の後、いちかが『白鷹』を納刀した瞬間・・・。


『ブシャァァァァっ!』と血飛沫と共に、

男の右腕が『ドサっ』と静かに地面に落ちたのだった・・・。


『うぎゃぁぁぁぁぁぁっ!』と、

その男の絶叫が山に木霊した・・・。


勝負がつき止血を始めたいちかを見ていた涼華は、

内心穏やかではなかった・・・。


何故なら合図と共にいちかの身体から放出された『赤銅色』に、

涼華は身体が硬直したからだった・・・。


(・・・い、今のは・・・『神野流・剣技・一閃』・・・よね?

 は、速・・・過ぎる・・・。

 慣れれば見切れなくはないかもしれないけど・・・

 初見では・・・見切れないかもしれないわね・・・

 それにしても・・・この子は一体・・・?)


そんな疑問を持ちつつも今はこの状況を処理しなければならなかった。


一抹の不安を抱えながらも涼華はいちかと共に、

仲間が来るまでその場に留まるのだった・・・。




ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


ん~・・・。

『監視』している連中は一体何者なのでしょうか?

この『冥界編』が終了すると、

再び『外伝』がありますので楽しみにして頂ければと・・・w


それから~・・・。

『活動報告』の方に、今回のメインキャラである、

『いちか』のプロフィールを今週中にアップしますので、

よければご覧ください。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 『いちか』って単なる脇役キャラかと思ってたのに、 何かあるんですね。 英二君を中断されてガックリですが、 この後も楽しみにしています♪
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