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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
325/406

閑話・日本・監視・前編

お疲れ様です。


今回は『閑話・第2弾』って事で、

日本の話となっており、今回は『前編』ですね。


登場人物は主に『涼華』と『いちか』となっております。


そして今回の『活動報告』にアップする登場人物は、

『涼華』が登場します。


今週中にはアップする予定なので、

待てない方はツイッターをご覧ください。


プロフなんかは載ってませんけどw



それでは閑話・前編をお楽しみ下さい。

~ 神野邸・長女・涼華の部屋 ~


英二が『神野邸』を出てから半日以上が過ぎ、

今はこの『涼華』の自室に茜色の夕日が差し込んでいた・・・。


いつものように仕事を全て終わらせ、

後の事を部下に引き継ぎ自室へと戻った『涼華』は、

銀色の眼鏡を外しながら、

机の上に置かれている一冊の小説を手に取った・・・。


だが、その小説は『涼華』には不釣り合いなモノであり、

そのパッケージにはコミカルな絵が描かれていた・・・。


「・・・あの子のコレクションであるラノベを、

 まさかこの私が読む事になるとは・・・ね?

 異世界だとかあれやこれやと・・・ふぅ~、疲れるわね」


そう言いながらもその表情は微笑んでおり、

手に取った『ラノベ』を再び机に置いた『涼華』は、

『ふぅ~』っと軽く息を吐きながら服を着替え始めた・・・。



着替えを終えラフな格好になった『涼華』は、

いつものルーティーンへと移行していった・・・。


着替えが終わると湯を沸かし、

お気に入りの紅茶の茶葉を準備し煎れ終えると、

『紅茶』によく合うと言われている、

とあるメーカーのチョコレートを取り出し机の前に座った。


そして机の上に置かれている『ラノベ』に視線を落とし、

再び笑みを浮かべた時だった・・・。


{・・・聞こ・・・え・・・る?りょ・・・うか・・・}


『っ!?』


突然頭の中に流れて来た声に驚いた涼華は辺りを見渡した・・・。


(・・・気の・・・せい?)


そう思ったのも束の間・・・。

再びその頭の中に聞き覚えのある声が流れて来た・・・。


{・・・涼華?ねぇ・・・聞こえてる?}


(・・・あっ!?)


その声に聞き覚えがあった涼華は、

慌てると片耳を押さながら目を閉じ集中した・・・。


{・・・も、もしかして、桜様・・・でしょうか?}


{・・・ん?や、やっと通じたわね?}


涼華に『念話』を送ったのが『犬神の桜』である事がわかると、

そのまま勢いよく立ち上がりながら『念話』を続けたのだった。


{・・・さ、桜様、大変失礼致しました。

 私に何か御用でも?}


{えぇ~とね~?涼華・・・}


{・・・はい}


{今、英二と念話で話をしているんだけど・・・}


{・・・英二・・・と?}


『英二』と『念話』している事を告げられた涼華は、

その名を聞くと反射的に眉間に皺が寄った・・・。


{・・・えぇ、一応貴女に連絡しておこうと思ってね?}


{・・・英二のヤツがやっと死にましたか?}


涼華の発言に思わず桜は『何でよっ!?』と突っ込んでしまった。


桜は自らのツッコミに恥ずかしさを感じると数回頭を振り、

今、『英二』に起こっている事を説明し始めた・・・。



{・・・なるほど、あのバカが何者かに『監視』されていると?}


{えぇ、現状は私の知り合いに頼んでフォローに入ってもらっているから、

 今のところ・・・『英二』には問題ないけど・・・}


そう話した桜だったが、涼華はその言い終わり方に違和感を感じた。


{・・・桜様?何か気になる事でもあるのでしょうか?}


{・・・念の為・・・って訳じゃないけど、

 一応・・・聞いておくわ}


桜の物言いに険しい表情を見せた涼華は、

落ち着いた口調で『・・・何か?』と言った。


{・・・『川崎いちか』の所在はわかる?

 私が今居る場所からは『念話』の制限があって、

 今、いちかと連絡が取れないのよ}


{・・・いちか・・・ですか?}


{えぇ、私の気のせい・・・なら、それでいいんだけど、

 ちょっと気になっちゃってね?}


桜の声に涼華は何かを感じとると、

『少しお待ち下さい』とそう言って『念話』を一度終了させた。


(・・・いちかに何が?)


そう思いつつも涼華は壁にかけられた電話の受話器を取ると、

内線を使用し部下に『川崎いちか』の所在を早急に調べるよう告げた。



それから1分ほど過ぎた頃だった・・・。


部下から『いちか』の所在を聞いた涼華の表情は険しくなっていた。

『うむ、わかったわ・・・有難う』とそう告げると電話を切り、

再び桜に連絡を取る為、慣れない『念話』を使用した。


{・・・桜様、いちかの所在が分かったのですが・・・}


そう『念話』を送った桜からはすぐに返答が来た・・・。


{・・・彼女は何処にいるの?}


{・・・はい、どうやら『修練』すると言う事で、

 ここを出たとの事ですが・・・}


『いちか』の事をそう告げた涼華に、

返答した桜の声が焦っているようだった。


{涼華っ!誰でもいいから腕に覚えのある者を、

 急ぎ行かせなさいっ!}


そんな桜の声を聞いた涼華は『直ちにっ!』とそう返答すると、

『念話』を切り再び内線を使用した・・・。


「私だ・・・。

 至急誰か腕の立つ者を、いちかに元へと行かせなさいっ!」


「・・・えっ?は、はいっ!」


内線の相手が慌ててそう返答すると、

受話器越しに部下達が慌てている声が聞こえて来た・・・。


少しして部下から返答があったのだが、

どうやらその声には焦りの色が伺えた・・・。


「・・・皆、出払っているという事ね?」


「は、はい・・・『実働部隊』も全て現地に到着しており、

 今から呼び戻したとしても時間的に・・・。

 また、沙耶様や戒斗様も同様で・・・。

 そして貴子様に至っては・・・」


「まぁ~あの子はこういった事には向かないから・・・」


涼華がそう言い終えると手に持つ受話器に力が入りつつも考えた。


(・・・つまり現状この場に居て動けるのは・・・?)


そう考えた結果・・・。


涼華は内線で待つ部下にこう告げた・・・。


「・・・私が出るわ」


「えっ!?」


受話器越しから聞こえて来る部下の驚く声に反応を示す事無く、

『私の装備を用意してっ!いいわね?』とそう告げた・・・。


「え、えっ!?涼華様が出られるのですかっ!?」


「・・・私しか居ないでしょ?」


「そ、それは・・・そうかもしれませんが・・・」


「いいから、黙って私の装備を用意しなさいっ!

 それと私のバイクもねっ!」


「か、かしこまりましたっ!」


部下の返答を聞くと受話器を『ガチャリ』と置いた涼華は、

再び桜に『念話』を送った・・・。


{桜様・・・涼華です。

 私がいちかの元に向かいます・・・}


{・・・分かったわ、頼むわね、涼華}


{はい、それでは・・・}


涼華は報告を終え『念話』を切ろうとすると、

頭の中に『ちょっと待ってっ!』と桜の声が響いて来た・・・。


{は、はい・・・何か?}


{・・・念の為に言っておくわ}


{はい}


{もしかすると相手は多いかもしれないからそのつもりで・・・}


桜の言葉に眉間に皺を寄せた涼華は、

『わかりました』と返答すると『念話』を終え部屋を飛び出した・・・。


(・・・一体何が起こっていると言うの?

 それに英二といちかに『監視』って・・・?)


険しい表情を浮かべながら涼華は、

装備を整える為、長い廊下を駆け抜けて行くのだった・・・。



~ とある山中に在る(ひら)けた草原 ~


『はぁぁぁぁっ!ふんっ!せいっ!とぉりゃぁぁぁっ!』


そう気合が籠った声を挙げながら、

『川崎いちか』は鍛錬をしていた・・・。


『シャっ!シュっ!スパっ!』と、

小気味良い風切り音を発しながら愛刀である『白鷹』を振っていた。


暫くして『ふぅ~』と息を吐き、

心地よい汗を衣服の袖で拭いながら、

後方の切り株の上に置かれたリュックサックの元へと向かった・・・。


その切り株の隣にはキャンプ用の小さな椅子が置かれており、

その椅子に『ドカっ』と座るとリュックの中からタオルを取り出し、

流れ出る汗を拭っていった・・・。


『サァァァァっ』と風が吹き抜け、日暮れ間近で薄暗くなり始めた頃、

いちかはペットボトルの中の水を全て飲み干すと、

『やりますかぁ~♪』と楽し気に言いながら立ち上がり、

その場から離れて行った・・・。


愛刀を静かにその場に置くと、

吹き抜ける風に逆らうように向き直り、

姿勢を正すと目を閉じ呼吸を整え始めた・・・。


『スゥ・・・ハァァ・・・スゥゥゥ・・・ハァァァ・・・』


吹き抜ける風が草原の草花を揺らす音を聞きながら、

いちかは更に集中力を上げて行った・・・。


そして自分の集中力が頂点に達すると同時に、

双眼を開き呼吸音を変えた・・・。


『コォォォォォォっ!』


「・・・繰術」


そう静かに呟くと、何もない草原の上を駆け出し、

特殊な呼吸法によって身体能力を向上させながら、

拳による攻撃や蹴り技を放ち、

イメージによっていちかの目の前に創り出された、

『敵』を攻撃し続けた・・・。


『はぁぁぁっ!せいっ!せいやぁぁぁっ!』


いちかが攻撃を放つ度、

灯一つないこの暗闇の中、気合の籠った声だけが響いていた・・・。


(・・・黒蝶っ!椿鬼っ!

 あんた達はこの私が・・・必ず倒すっ!)


そう・・・。

いちかが『敵』として想定していたのは、

つい先日戦った・・・『黒蝶と椿鬼』だったのだ。


いちかは気合の籠った声を発しながら、

自分自身の目で見た『黒蝶と椿鬼』の動きをトレースしていった。


(こっ、これじゃ・・・まだっ!)


イメージで作り出した『黒蝶と椿鬼』のその速さに、

いちかは追い付けず苦悶の表情を滲ませていた・・・。


(もっとっ!もっと速くっ!

 全身の筋繊維に酸素が上手く溶け込むようにっ!

 そして血液の循環と気のエネルギーをっ!)


呼吸に乱れが生じないよう細心の注意を払いながら、

いちかはイメージで創り上げた『黒蝶と椿鬼』を攻撃し続けた・・・。


『はぁ、はぁ、はぁ・・・』


あれからどれくらいの時間が過ぎたのだろう・・・。


体力の限界を迎えたいちかは、

その草原の上に崩れ落ちると四つん這いとなり、

滴り落ちるその汗の量がこの鍛錬の激しさを物語っていた。


「さっ、さす・・・がに・・・も、もう・・・

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」


息も絶え絶えにいちかは這いずるように・・・。

リュックが置かれた場所へと向かい、

その中からペットボトルを取り出し勢いよく飲み始めた・・・。


『ゴキュっ、ゴキュっ、ゴキュっ』と、

一気に飲み干すと、いちかはそのまま仰向けに寝転がり、

星が美しく瞬く夜空を見上げた・・・。


「ふぅ~・・・い、生き返った・・・」



ペットボトルの水が全身に行き渡るのを感じると、

満面の笑みを浮かべていた・・・。



そんな時だった・・・。


いちかはリュックの中から微かに聞こえる、

スマフォの音に気付いた・・・。


「・・・もしかして、英二さん・・・だったり?

 もう~、どこまで寂しんボーイなんですか~?♪」


そうニヤけ呟きながら重い身体で這うようにリュックへと辿り着くと、

スマフォを取り出し画面に表示される名前を見た・・・。


(・・・えっ!?涼華・・・さん?

 んっ!?な、何でっ!?)


いちかの予想にもしなかったその名前に、

小首を傾げながら『なんだろう?』と思いつつもタップしようとした。


『ザワっ!』


「っ!?」


ほんの一瞬・・・だった・・・。


涼華の名を見たいちかが無意識に周囲に対し警戒した瞬間、

いちかを見つめる気配を感じ取ったのだった・・・。


『ザっ!』といちかは咄嗟に地面に身を伏せると、

更に目を閉じこちらを見つめる気配を探った・・・。


(・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・6・・・

 ろ、6人もっ!?)


目を閉じながらもその表情を険しくしたいちかは覚悟を決めると、

頭をフル回転させ考えた・・・。


(・・・まだ感づかれていないみたいね?

 だったら・・・)


一瞬『ニヤり』と笑みをうかべたいちかは早速行動に移り、

悟られないよう立ち上がると、大きなあくびをして見せた・・・。


『ふぅあぁぁぁぁぁぁっ!』


そして気だるそうにしながらリュックの中から着替えを取り出すと、

おもむろに背中を見せながらその場で着替えを始めたのだった・・・。


(・・・これだけ無防備なのにどうして出て来ないのよ?

 ま、まさか・・・の、覗きっ!?

 もしそうなら・・・ぶっコロースっ!)


そう思いながらいちかは着替え終わると、先程居た場所まで戻り、、

『白鷹』を手に取り白鞘袋に収納したのだった・・・。


『白鷹』を収容した『白鞘袋』を肩に担ぎながら踵を返し、

リュックが在る切り株の所まで戻ったのだが、

身を屈めると同時に双眼を見開き苛立ちを募らせた・・・。


(・・・何が目的なのよっ!?気持ち悪いわねっ!)


そう心の中で悪態をつきながら椅子の上に座ると、

再びリュックの中から水の入ったペットボトルを取り出した。

いちかは周囲の気配に気を付けながら水を飲み始めると、

再びこちらを見ていた何者かの気配を感じ取った。


そして『もう・・・限界』と『ボソっ』と呟くと、

気配がした方へと声を張り上げた・・・。


『いつまで隠れてんのよっ!』


そう声を張り上げながら、

いちかは水が入ったペットボトルを投げつけながら立ち上がり、

そのペットボトルがある樹木付近に落ちると、

木の陰から何者かが動く気配を感じた・・・。


『ザっザっザっ』


その気配が歩みいちかの元へと進んで来ると、

月明かりに照らされその身を晒したのだった・・・。


「・・・あんた、誰よ?」


ぶっきら棒にそう問ういちかに、

野太い男の声が聞こえて来た・・・。


『やぁ~お嬢さん・・・。

 君が『川崎いちか』さん・・・だね?』


「はぁ?・・・あんた・・・何者よ?」


再びいちかにそう問われた野太い声の男は、

『フンっ』と鼻で笑うと、いやらしく口角を吊り上げながら言った。


『・・・ただのストーカーだよ?

 はっはっはっ!』


「・・・ストーカー?」


「あぁ~・・・お嬢ちゃん・・・。

 悪い事は言わねぇ・・・こちらに来てもらおうか?」


片手をポケットに突っ込みながら醜い笑みを見せたその男に、

いちかは寒気を感じたのだった・・・。



そして涼華は・・・。


『神野邸』をバイクで飛び出した涼華は、

いちかが所有するスマートフォンの電波を追ってバイクを飛ばしていた。


『フォォンっ!フォォォォォォォォンっ!』


涼華はその最中・・・。

インカムで何度もいちかのスマフォに連絡を試みていた・・・。


(・・・チっ!何度掛けても出ないわね・・・。

 『念話』を試みよとしても、私の修練不足で上手く行かない・・・

 ・・・今更後悔してもどうしようもないのだけれど・・・)


顏を顰めた涼華はそう苛立ちながらも急ぐ為、

アクセルを開きバイクを飛ばすのだった・・・。



暫く走り、いちかの居るであろう場所へと続く山道に到着し、

バイクから降りると自分の装備のチェックをしていった・・・。


装備のチェックをし終えた涼華はインカムで『本部』へと連絡すると、

そのままいちかのスマフォの電波を監視するよう告げた。


(・・・いちか、あまり暴れないでよね?)


一瞬苦笑いを浮かべた涼華は、

『魔狩り退治』で使用するゴーグルの暗視装置をオンにし駆け出した。


そして暫く山道を走って行くと、いちかに『念話』を送った。


{いちかっ!いちか・・・聞こえるっ!?

 私が今、そっちに向かっているからっ!

 私が着くまで誰も・・・殺さないでよっ!?

 いちかっ!?聞こえてるっ!?}


(あ、あの子・・・だ、大丈夫なんでしょうね~?

 皆殺しなんてしちゃったら・・・

 情報が取れないんだからねっ!?)


いちかの行動に不安を抱きつつ駆けて行く涼華・・・。

己の修練不足で『念話』に自信がない事をこの時・・・

激しく後悔するのだった・・・。


『あぁぁぁぁ、もうっ!』


自分自身の未熟さに苛立った涼華がそう怒声を発しながら、

闇に包まれた山道を駆け抜けて行くのだった・・・。




ってな事で、今回のお話はいかがだったでしょうか?


英二に引き続きいちかまで・・・。

一体どこの組織が?


怪しい動きを見せる者達・・・。

これからの展開を楽しんで頂ければと思います^^


登録や感想など宜しくお願いします。


それからこれから続々とアップする予定のキャラ達も、

合わせて楽しんで頂ければと思います。


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 涼華は今まで描写が少なくてイメージがわきにくかったので楽しみです♪ 画像、衣類とかまで細かいのがすごいですね! AIでここまでできるんだなーと感心しています。
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