228話・いざっ!冥界へっ!
お疲れ様です。
今年も『盆休み』がない緋色で御座います・・・。
もう何年取ってないのやら・・・><
さて今回のお話は・・・ちと長いです。
す、すみません・・・。
白斗の突然出現した力・・・。
その他にもいろいろと問題がありどう対処していくか、
皆で頭を悩ませる・・・。
そう言ったお話となっております。
それでは、228話をお楽しみ下さい。
突然、白斗の小さな身体から溢れ出した『赤銅色の力』
その力は紛れもなく・・・悠斗と同じ『鬼の気』だった。
そして白斗自身・・・。
自分でも理解できていないようで驚きを隠せずに居た・・・。
「なっ、なんなんっ!?
な、なんでワシの身体から・・・主と同じモノがっ!?」
動揺する白斗にラウルが『もしかしたら・・・』と呟いた。
「ラ、ラウルはんっ!?
あ、あんた・・・何か知っとるんかいなっ!?」
一瞬にして白斗はラウルの肩に瞬間移動すると、
ラウルの柔らかい頬を『ペシペシ』と何度も叩き始めた。
「なぁっ!なぁーってっ!
はよ教えてーなぁぁぁっ!」
『ペシペシっ!』
「わ、わかった・・・わかったからっ!
ぼ、僕の頬をペシペシするのはやめてくれよっ!」
「ペシペシされと~なかったら・・・
さっさと話せやっ!
さもないと・・・もっとペシペシすんぞゴラァァァっ!」
よく分からない脅迫をする白斗に、
ラウルは呆れながらも考え得る事を口にした・・・。
「君が悠斗君のその力を溢れさせた原因は、
恐らく・・・君が彼の聖獣だからだと考えられる・・・」
「あぁ~なるほどな~?
ワシ主の聖獣やもんな~?
そりゃ~納得せざるを得んわな~・・・
って、納得できる訳ないやろぉぉぉっ!」
この時、天照は『おぉ~ノリツッコミじゃ~』と呟いたのを、
他の者達は知るはずもなかった・・・。
『ちゃんと答えたらんかいっ!』と、
白斗の理不尽な声が飛ぶ中、
ラウルは軽く溜息を吐きながら話して行った・・・。
「あくまで予想の範囲ではあるが、
僕の予想こうだ・・・。
悠斗君の聖獣である白斗君の力の源は、
神界、神が創りし聖域・・・そして精霊樹の結界内・・・。
主に『神力』で空間を満たしているモノから、
君達『聖獣や神獣』は力を得ている・・・」
そう説明し始めたラウルに、白斗や神界樹・・・。
そして人族と神達も納得し頷いていた・・・。
「だが1つだけ・・・」
そう呟いたラウルに白斗が首を傾げながら、
『1つだけ・・・なんなん?』と言うと、
ラウルはそんな白斗をじっと見つめ予想している事を口にした。
「君・・・つまり聖獣とこのノーブルの神獣達との違いは、
恐らく『主』の存在・・・」
「あ、主って・・・悠斗殿の事よの?」
「はい・・・。
基本的に僕の場合・・・。
神獣達には個々の気持ちを尊重し自ら生きる道を選んでもらう・・・。
その為、このノーブルの神獣達には『主』という存在が居ない」
天照や月読も『ピン』とは来ていないようだが、
それを見つめるイザナミは薄く笑みを浮かべて居た・・・。
「本来ならば聖獣である白斗君は神力を得る為、
聖域や神界などから得ている糧を・・・。
彼・・・つまり『主』である悠斗君から得ていた・・・。
そう仮定すると・・・今、見せている白斗君の力の説明が出来る」
「ほへ~・・・そないな事あるんかいな?」
白斗がそんな驚きを見せると、
突然『シュバっ!』と激しい音を立てると、
『赤銅色の力』が消失した・・・。
「なっ、なんなんやっ!?
と、突然『赤銅色の力』がのうなってしもうたやんっ!?」
勿論その驚きは白斗だけではない・・・。
ラウルや天照・・・そして薄く笑みを浮かべて居たイザナミでさえ、
驚いた表情を見せていたのだった・・・。
(・・・なに?なになになにっ!?
ど、どー言う・・・事~?
あの『どギツイ』ワンちゃんの力・・・
消失してんですけどぉーっ!?
あ、あいつに見せたらどんな顔するかな~?
ゴイスーな顏しそうで草生えるんですけど~♪)
イザナミは『とある人物の顏』を想像すると、
顏をくしゃくしゃにして静かに笑っていたのだった・・・。
そんなイザナミを他所に・・・。
突然力が消失した白斗にラウルはもう一度やってみるよう指示をした。
「や、やっては見るけどな?
も、もし出来ひんかったら・・・堪忍やで?」
どこか自身なさげにそう言うと、
白斗は『神力』を放出する要領で再び放出し始めた・・・。
『はぁぁぁっ!』
『うぉりゃぁぁぁっ!』
『もう一丁っ!』
『まだまだやぁぁぁっ!』
何度も繰り返し悠斗と同じ『赤銅色の力』を発動させようとしたが、
それから一度もあの力は発動しなかったのだった・・・。
「・・・はぁ、はぁ、はぁ。
な、何でや・・・何でなんや?
さっき主と同じ力・・・出とったやん・・・
せやのに・・・なんでや?」
尻尾が項垂れ『シュン』と尻尾が垂れ下がってしまった白斗に、
ラウルは優しく微笑みながら話しかけていった・・・。
「白斗君・・・。
これも僕の予想でしかないんだけど・・・
悠斗君と同じ力を引き出すには、
何かしらの条件があるのかもしれない・・・。
だから焦らずゆっくりと・・・。
悠斗君が戻るその日の為に・・・探して行けばいいんじゃないかな?」
「・・・せ、せやな?
主も簡単に制御出来た訳やあらへんもんな?
せやからワシも地道にコツコツやっていくわ・・・。
ありがとさん・・・ラウルはん」
「・・・いえいえ♪」
ラウルが微笑みかけ、白斗はその微笑みに応えるように微笑むと、
1人・・・気だるそうな声を挙げ、
場の空気に再び緊張が走った・・・。
「いい加減に話を進めて欲しいんですけどぉ~?」
『っ!?』
「・・・イザナミっ!?」
ラウルの雰囲気は一瞬で変貌すると、
凍てつくような視線をイザナミへと向けたのだった・・・。
「はいはいはい・・・。
そう言うのはもういいからさ~・・・
ユー達・・・チャッチャッと話・・・進めちゃいなよ?
いい加減アタシ・・・飽きて来ちゃったんですけど~?」
イザナミの言葉にこの場に居た全員が険しい表情を浮かべたが、
その正論に納得せざるを得なかった・・・。
「・・・そ、そうじゃの。
確かにこのままでは時間を無駄にしてしまうの・・・」
緊張が満ちたその場の空気に、
天照がそう言って話を切り出して行くと、
セルンが声を挙げたのだった・・・。
「アマテラス様・・・。
それで私とイリアは一体どうやって冥界へ行くのでしょうか?」
セルンの声に天照は月読と顔を見合わせ頷き合うと、
天照は気だるそうにしているイザナミへと向き直った。
「母上・・・。
この者達の道案内・・・宜しくお頼み申し上げます」
イザナミに対し天照が深々と頭を下げると、
それを見下ろす形となったイザナミは『・・・あーね』と答えた。
「一応・・・娘達の頼みだから聞くけどさ~?
あんた達・・・本当にその覚悟はあるの?」
『・・・?』
イザナミの問いに顏を見合わせたイリアとセルン・・・。
そして小さく頷き合うとイザナミに対し片膝を着き礼を取って見せた。
『宜しくお願い致します・・・イザナミ様・・・』
「・・・覚悟は出来てるって事でいい?」
イザナミがそう言って2人の瞳を覗き込むと、
眉間に皺をキツく寄せたセルンは、
腰に装着していたナイフを引き抜きイザナミにこう告げた。
「・・・これが私の覚悟ですっ!」
『ズバっ!』
『なっ!?』
突然セルンは己の長いブロンドの髪を掴み束ねると、
手に持たれたナイフで髪を切り裂いたのだった・・・。
「・・・なになになになにっ!?
ま、まじすっごいねー・・・あんた・・・。
エルフの嬢ちゃん・・・くっくっくっ・・・
アタシ~そういうの嫌いじゃないわよ?」
「・・・有難う御座います」
そう言いながらセルンは切り裂いた己の髪を、
片膝を着きながらイザナミに献上したのだった・・・。
「・・・確か名は『セルン』だっけ?」
「・・・はい」
「ふむふむ、いいじゃん、いいじゃん♪
アタシ・・・あんたの事、気に入ったわ♪」
再びセルンが『有難う御座います』と返答した時、
隣に居たイリアの手は固く握られ悔しさを滲ませていたのだった・・・。
そしてその後・・・。
イザナミが『覚悟があるのよね?』と再び尋ねると、
2人からはとても力強く『はいっ!』と返答したのだった・・・。
「・・・フフフっ」
2人の返答に満足したのかイザナミは大きな笑みを見せると、
『神界の門』に手をかざし声を挙げた。
『神界の門よっ!冥界の大門へと繋げっ!』
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・ん?あ、あれ?」
イザナミの声に無反応を示す『神界の門』
そんな神界の門にイザナミは苛立ちを見せた・・・。
「ちょ、ちょっとっ!あんたっ!?
いい加減機嫌直しなさいよっ!」
「・・・・・」
「こ、こいつ・・・
まだ怒ってんのっ!?
いい加減にして欲しいんですけどぉ~?」
「・・・・・」
「・・・あ、あんた・・・まじでアタシに逆らうつもり?
あんたはア・タ・シ・のっ!門でしょうがぁぁっ!?
どーして言う事聞いてくんないのさーっ!?」
「・・・・・」
「・・・こ、こいつ・・・エグくない?」
暫くの間・・・。
イザナミ自身の『神界の門』を説得し続けたが、
その『神界の門』は、うんともすんとも応える事無く、
ただ・・・その場に断固として居続けたのだった・・・。
「・・・だ、断固として開かないつもり・・・ね?
あっそうっ!?わかったわよっ!もういいっ!」
幾度ともなく説得を試みたイザナミだったが、
相変わらず『黙秘』する『神界の門』に苛立ちを募らせていった。
身体をプルプルと震わせ怒りが滲み出して来たイザナミは、
その『神界の門』の前で右腕を突き出し『ビシっ!』と指を差すと、
沸き起こる怒りをそのまま声にした。
『・・・あんたがその気だったらもういいわっ!
あぁ~まじでウザっ・・・。
だったらもういいわ・・・ぶっ壊すっ!』
イザナミがそう言い放つとその突き出された右腕の指先に、
途轍もない神力が集約され始めた・・・。
「・・・その態度のツケは、あんたの命で払ってもらうわ」
引き攣った笑みを浮かべてそう言い切ったイザナミに、
もう迷いはなかった。
『・・・イっちゃいなっ!』
そう呟き右腕の指先に神力が集約され、
その眩い光が『キュイーン』と音を立てた時だった・・・。
慌てた天照が大声を張り上げた・・・。
『み、皆の者ーっ!
と、止めるのじゃぁぁぁぁっ!』
『おっ、おぉぉぉぉぉっ!』
イザナミの背後から天照の声が響くと同時に、
ノーブルの神達が一斉に飛びかかった。
「ちょ、ちょっとっ!?
や、やめなさいよぉぉぉっ!」
「早まらないでくださーいっ!」
「う、撃たせてはならぬぞぉぉぉっ!」
「ま、まじで・・・どきなさいよ・・・って・・・
だ・・・だだだだ、誰よっ!?アタシの胸掴んでるのはっ!?」
「わ、我ではないぞっ!?」
「私じゃないわよっ!?
アマルテアなんじゃないのっ!?」
「私がそんな事するかぁぁぁっ!」
それぞれが大声を張り上げながらイザナミに襲いかかると、
『ま、まじでもう・・・は、早く・・・どきなさい・・・よ』と、
神界の門の破壊を阻止するべく、
イザナミの身体に圧し掛かった者達の重さに顏を真っ赤にしながら、
呻き声を挙げていたのだった・・・。
そして・・・。
『ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ』と各々が息を切らせながら、
イザナミを押さえつけると、難を逃れた神界の門が、
無言で『ぺこり』とお辞儀をして見せた・・・。
そんな神界の門の姿に、ノーブルの神達はこう思っていた・・・。
『神界の門ってお辞儀出来るほどの柔軟性あったんだね~?』っと・・・。
そんな呑気な事を思いながらも神達がイザナミを解放すると、
娘達2人から物凄い剣幕で説教され、
それを正座しながらも太々しく聞くイザナミの態度に、
ノーブルの神達も呆れ果てていた・・・。
暫くして娘達の説教から解放されたイザナミは、
足を崩すと顏を顰めながら悶絶していた・・・。
『はぁ~』っと深く溜息を吐く娘達は頭を数回振ると、
その視線を茫然とするイリアとセルンへと向け謝罪し、
話を本題へと移していった・・・。
「コホン・・・。
色々と話が逸れてしまったが・・・。
もう一度聞くが・・・良いのじゃな?」
『はいっ!』
天照の問いに力強く返答したイリアとセルンに、
『わかったのじゃ』と答えると、イザナミの神界の門に向き直った。
「・・・門よ。
冥界の大回廊へと続く大門へと繋げてくれんかの?」
「・・・・・」
「・・・門・・・殿?」
「・・・・・」
天照の問いに何も示さないイザナミの神界の門に、
天照と月読が困り果てた表情を見せていた・・・。
するとイリアとセルンは互いに顔を見合わせると、
『あ、あの~?』と2人から同時に声が挙がった・・・。
「・・・ア、アマテラス様?
何か問題が・・・?」
心配そうに声を挙げたイリアに続き、
セルンも声を挙げた・・・。
「アマテラス様やツクヨミ様の御二人の門ではダメなのですか?」
セルンにそう問われた月読は、
申し訳なさそうに返答した・・・。
「私達、神界の神々には制約というモノが御座いまして、
冥界の権限を持つ神達に許可が得られなければ、
立ち入り出来ないのです・・・」
『・・・・・』
『あちゃ~』と言わんばかりに頭を抱えるイリアとセルンに、
見かねたラウルが2人に声を掛けて来た・・・。
「・・・イリア君セルン君。
僕からの提案なんだが・・・?」
ラウルは困り果てているイリアとセルンにそう言いながら、
その視線はこちらを向く天照と月読へと向けていた・・・。
再び視線をイリアとセルンへと戻すと、
ラウルは2人の背後へと指を差しながらこう言った・・・。
「彼女なら・・・。
黒紅君なら・・・君達を冥界へと送る事が出来るんじゃないか?」
ラウルのそんな声にイリアとセルン・・・。
そして天照と月読がほぼ同時に『あっ!』と声を挙げ、
その熱い視線を向けた・・・。
{・・・え、えっと~}
その熱い視線に身体をモジモジとさせ戸惑う黒紅に、
ラウルは笑顔を向けながら近付いて行った・・・。
「・・・どうだろう、黒紅君。
君は先程、冥界へとその扉を繋いで見せた・・・。
だからこの2人を冥界へと連れて行ってはくれないだろうか?」
そう黒紅に頼み出たラウルに黒紅は門を・・・
その身体をほんのりと赤らめながら戸惑いながら返答した・・・。
{い、今のお話を聞いておりますと・・・。
わ、私のやった事は、
そ、その~、神々のルールとやらを破った事になるのですが?}
そう不安げな声を挙げた黒紅に、
ラウルはイザナミへと視線を向けると、
肩を竦めて見せただけだった・・・。
そのラウルの視線に気付いたセルンが、
『ラウル様っ!』と大きな声を挙げると、
その大きな声に驚きながらも振り返り話を聞いた・・・。
「イザナミ様に許可を頂けば、アマテラスや月読様・・・
それに此処に居られる神々も冥界へと繋げられるのではっ!?」
期待を寄せそう声を挙げたセルンだったが、
ラウルを含め他の神々達の顏は曇っていた・・・。
「・・・えっ?ど、どうされたのですか?」
「あぁ~・・・・」
項垂れるようにそう声を挙げたラウルだったが、
何故か次の言葉が続かなかった・・・。
そんなラウルに不審がるイリアとセルンに、
声を掛けて来たのは意外にもカロンだった・・・。
「えっとよ~・・・嬢ちゃん達・・・。
確かにその通りなんだが・・・。
イザナミ様にはその権限がねーんだよ・・・」
「・・・えっ!?どうしてっ!?」
「えっとな~・・・あぁ~・・・どう説明すりゃ~いいんだ?」
イリアとセルンの声に頭を悩ませたカロンは、
助け船を求めるべく周りに居る神々へと視線を向けた・・・。
すると『・・・あーね』と、
面倒臭そうに言ったのはイザナミだった・・・。
皆の視線が集まる中・・・。
イザナミはその場に座りあぐらをかくと、
その理由を面倒臭そうに説明していった・・・。
「ちーっとばっかしややこしいんだけどさ~?
私が受け持つ区域はあくまで『地球圏内』だけなんだわ。
そもそも今回だって、急遽『上位神界』へと申請して、
たまたま・・・?
何故かその『申請』が通ったからこっちに来られたのよね。
普通は有り得ない事なのよ・・・。
だけど『急遽』なのにも関らず、何故か『申請』が通った・・・。
正直、アタシ自身・・・『意味不』なんだわ。
『神界と冥界』には色々と制約がある事はさっき聞いたじゃんね?
『地球圏の冥界』から『ノーブル』に来るのはオッケーなんだけど、
それは片道切符・・・。
私以外の者が『ノーブル』から『冥界』へと移動する事は、
ルール上・・・タブーって訳」
「・・・そ、そんな」
イザナミの話を聞いたイリアとセルンは、
そう言いながら俯いてしまった・・・。
そんな様子に流石のイザナミも申し訳なく思ったのか、
鼻の頭を『ポリポリ』と掻き苦い表情を見せていた・・・。
イザナミはどうしようかと思案していた時・・・。
その視界に天照と月読達が入った・・・。
そしてイザナミはそんな娘達を示唆するように、
ぶっきら棒に口を開いたのだった・・・。
「まぁ~でもさ・・・?
こちら側に『無許可』で来ているバカな者達も居るけどね~?
本当なら『上位神』の権限で、
そのバカな連中に『罰』を与える事が出来るんだけどさ~?」
イザナミの言葉に天照と月読が罰悪そうにする中、
更にイザナミは話を続けた・・・。
「まぁ~・・・本来なら・・・ね?
でもアタシには関係ない話だしぃ~?
『罰』を与えるとか『一体どの口が~』って言われかねないじゃん?
そんな『罰』・・別に与えるつもりもないんだけどさ~?
ってか・・・面倒臭いし♪」
意味有り気な笑みを浮かべたイザナミに、
天照と月読は驚いた表情を浮かべて居た・・・。
そしてイザナミは黒紅を見つめながら、
話をこう続けたのだった・・・。
「まぁ~・・・この『破滅の門』
いや、『なんちゃら君の門』なら・・・
別にいいんじゃね?
こんな『門』が表に出て来るなんて事、今までねぇ~し~?
前例がないからアタシ達も『罰』ってのを与えていいものかどうか?
正直・・・わっかんないのよね~♪
ぷぷぷぷぷぅ~♪
まじで『破滅の門』なんて、私だってリアルで見た事ねーし♪
だから『お手上げ~♪』って事でいいんじゃね?♪」
そう笑顔を見せながらそう言い放った『地球圏の上位神』に、
皆が顏を引き攣らせ『それでいいのか?』と思っていた・・・。
そしてイザナミは話を聞いていた黒紅に手を添えると、
優しい笑みを浮かべ囁くように声をかけた・・・。
『・・・ってな事で~。
コレはアタシの管轄外だからさ~
あの子達をアンタが連れてってやりなよ・・・』
{・・・イザナミ様}
イザナミの言葉に感動した黒紅が感動で震えながらそう言うと、
小声で更に言葉を続けた・・・。
「それでさ~?その~・・・ついでにって訳じゃないんだけど~?
アタシの事も送ってくんない?」
{はい??}と驚く黒紅にイザナミは『テヘペロっ♪』と舌を出し、
茶目っ気たっぷりで『はにかんで』見せた・・・。
その後・・・。
神々達で集まり話し合った結果・・・。
『破滅の門』である黒紅の『特異性』を理由に、
冥界へ行く事を『地球圏の上位神』イザナミがオッケーを出した。
「ラウル様・・・。
それに『地球の神々様』や『ノーブルの神々達』
必ずユウトを連れ帰って来ますので、
それまでどうか・・・ユウトの身体をお願いします」
イリアが力強くそう言うと、
ノーブルの神々達から『頑張れよ』と応援する声が掛けられた。
「何があっても・・・どんな事があっても・・・。
私達は必ずユウトを連れ戻しますっ!
どれくらい時間がかかるか分かりませんが必ず・・・」
セルンの固い意志を感じ取った神々は、
『信じてるぞ・・・必ず連れ帰ってくれ』と言葉をかけてもらった。
そして・・・。
『ギギィー』っと黒紅の小さな扉が開くと、
黒紅は申し訳なさそうに声を挙げた・・・。
{ち、小さくて大変申し訳御座いません・・・}
「あは、ははは・・・い、いいのよ・・・黒紅さん」
「き、気にする事・・・な、ないわ・・・黒紅さん。
こ、これくらいの事・・・ど、どうって事・・・ないわ」
そう言いながらもイリアとセルンは顔を真っ赤にしつつも、
そのお尻を隠す様に四つん這いになり、
急ぎ扉の中へと消えて行った・・・。
「そんじゃ~アタシも~って事で~♪
『いざっ!冥界へっ!』なんつってぇ~♪
ノーブルのみんな~・・・それと~ラウルっち・・・。
まぁ~色々とあったけどさ~
今後とも~シクヨロ~って事で~、
じゃ~ね~ん♪
バイバイ・アディオースっ!」
そう陽気に言いながら四つん這いになると、
小さな黒紅の扉に向かって行った・・・。
そして何かに気付くと・・・。
わざとらしく声を響かせた・・・。
「あぁぁぁっ!?
そう言えばアタシぃ~♪ノーパンだった~♪」
『っ!?』
そう言いながらヒラヒラとするスカートの端をめくって見せると、
再びわざとらしく・・・。
「な~んつって~♪んな訳ないっしょ♪
見んなっ!ボケっ!金とんぞっ!テヘペロっ♪」
そう言ってノーブルに残る者達を笑いながら、
小さな扉の中をくぐって行くと、
それと同時に『黒紅』もその姿を消したのだった・・・。
「・・・やっと行った・・・の?」
「え、えぇ・・・姉上」
どっと疲れた表情を見せた天照と月読が苦笑いを見せていると、
ラウルが厳しい視線を向けれている事に気付き向き直った。
「・・・ラ、ラウル殿」
「・・・ラウル様?」
「・・・天照・・・月読・・・」
凍てつくようなその声に天照と月読は寒気を感じた・・・。
そしてその迫力に急速な喉の渇きを感じ、
『ゴクリ』と喉を鳴らすと、ラウルは話を続けた・・・。
「・・・まだお前達との話は終わってないぞ?」
ラウルの放つ神力に天照と月読はどこか懐かしさを感じていたが、
その凍てつくような瞳に心底震えたのだった・・・。
そして絞り出すように天照は返答した・・・。
「・・・わ、わかっておる。
わ、妾達も今後の話をしておきたいのじゃ・・・」
「はい、ですが・・・姉上?」
「・・・な、なんじゃ?」
「私もお話がありますので・・・」
『ゴクリ』
そう言った月読に妙な迫力を感じた天照は、
喉を鳴らし、その額に汗を滲ませたのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
やっっっと冥界へと旅立ちましたね~w
どんだけ時間かかってんだっ!?
と、まぁ~自分でも自覚しておりますが・・・^^;
それと、ツイッターにアップした『天照』は見ていただけましたかね?
気に入ってもらえるといいのですが・・・。
面白かったと思った方は、
登録や感想など宜しくお願いします。
次回は・・・ん~・・・どのキャラをアップしようかな?
ってなことで、緋色火花でした。




