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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
322/408

227話・語られる真実と溢れ出す力

お疲れ様です。


この暑さ・・・な、なんとかなぬのかっ!?

と、夏場は『虫の息』になる緋色で御座います。


ツイッターの方には載せましたが、

今回は『ラウル』をアップしました・・・。


今週中には『活動報告』にも載せますので、

よければ見てやって下さい。

めっちゃ・・・頑張りましたのでw


今回のお話ですが当然前回の続きですね^^

話の展開が相変わらず遅く読者の皆様には大変申し訳なく思っております。



それでは227話をお楽しみ下さい。

意味有り気な言葉を残しその場から立ち去ったイザナミ・・・。

そしてその言葉にラウルは動揺し顔を見にくく歪めていたのだった・・・。


ラウルを1人残し皆が『黒紅』の前に集まると、

イザナミは手を数回叩きながら、皆に注目するよう声を挙げた。


「はーいっ!そこっ!無駄にしゃべってないでっ!

 アタシの言う事を聞きなよ~」


口調も軽やかにそう声を挙げたイザナミに、

一同は皆注目した・・・。


「コホンっ!宜しい・・・。

 では早速私達が此処に来た目的を話すから、

 しっかり聞いてよね~♪」


全員が黙って頷くとイザナミは早速話を切り出して行った・・・。


「まぁ~、アタシは別にどーでもよかったんだけど~

 どーーーしても娘が頼みを聞いてくれってしつこいので~

 こーしてやって来たんだけどぉ~?」


傍に居る天照に一度視線を向け『ニヤっ』と笑みを浮かべると、

その目的を話し始めていった・・・。


「アタシ達が此処に来た目的は~?

 って・・・えぇ~っと~・・・だ、誰だっけ?」


勢いよくそう話を始めたものの、

イザナミの頭からその対象者の『名』を忘れてしまった事に、

天照と月読は項垂れ、皆は『ズルっ』と滑っていた・・・。


「は、母上っ!?

 ゆ、悠斗じゃ・・・神野悠斗じゃっ!」


「あはっ♪そうでしたそうでした~♪

 その『なんちゃら』って子を冥界から奪還する為にっ!

 アタシ達はこーしてやって来たって訳~♪」


『・・・・・』


イザナミの口調から汲み取れるのは、

『別にどうでもいいけど・・・』と言う事は置いておいて、

天照の頼みを嫌々ながらに手伝うと言う事だけだった・・・。


複雑な胸中で居る中、皆がイザナミを見ていると、

険しい表情を浮かべた天照が母を押し退け皆に口を開いた。


「実はの・・・皆に頼みがあるのじゃ・・・」


『・・・?』


皆が首を傾げる中、天照は呼吸を整え口を開いた。


「此処に居る者達に・・・。

 冥界に悠斗殿を救いに行ってもらいたいのじゃ・・・」


『っ!?』


皆が天照の発言に驚いていると、

一早く挙手をして『私が行きますっ!』と声を挙げたのは、

真剣な眼差しを向けたセルンだった・・・。


そして少し遅れながらも『私もっ!』とイリアが挙手をすると、

神達以外が続けて挙手をし始めた・・・。


それを確認した天照が小さく何度も頷きながら⦅有難う』と言うと、

とても申し訳なさそうに頭を下げながらくちを開いた。


「皆の気持ちはよくわかったのじゃ・・・。

 その気持ち・・・とても有難く思うのじゃ。

 じゃがの・・・」


頭を下げながらそう言うと、

天照は顔を上げながら言葉の続きを口にした。


「冥界に行けるのは・・・2名だけなのじゃ・・・。

 皆の気持ちはとても有難く思うのじゃが、

 冥界に入れる資格を持つ者は・・・

 此処に居る2名だけなのじゃ・・・」


そう説明する天照に皆が顏を顰め顏を見合わせていた・・・。


「に、二名って・・・?」


そう誰かが呟き声を挙げると、

一歩前に足を進めた月読が天照と何やら確認を取り合いながら口を開いた。


「私が説明致します・・・。

 まず此処に居られる神達は当然承知の事なのですが、

 本来、『生在る者』は冥界へ行く事は『禁忌』とされています」


そう話し始めた月読に各々が神々へと視線を向けると、

その視線に神々は静かに頷いて見せた・・・。


そして各々が戸惑いを見せる中、

天照と月読はその視線をその『資格』を持つ者達に移すと、

その者達は『えっ!?』と声を揃えて驚いていた・・・。


「わ、私達に資格・・・が?」


狼狽えながらもそう口にしたイリアに、

月読が頷きながら皆に対しその理由を説明し始めた・・・。


「・・・『生』を持ったまま『冥界』へと行ける者達は、

 此処に居る『イリアとセルン』だけです」


そう声を挙げた月読に『どう言うこったよ?』と、

苛立った声を挙げたのはカロンだった・・・。


「俺達神が何の断りもなく冥界に行けないのは分かっている・・・。

 だがよ?それは『冥界の王』に『承諾』を得られればいいだけで、

 別にこいつらが『命』を賭けなくてもいいだろうがよ?」


月読を睨みつつそう言ったカロンに、

他の神々達や神獣達も無言の頷きを見せたが、

それはイザナミの声によって黙る事となった・・・。


「待ちな・・・」


その威圧を纏うその一言に、

神々が押し黙る中、天照達よりも一歩前に進んだイザナミは声を挙げた。


「アタシの娘達が言った事・・・聞いてなかったのかい?

 うちのツッキーが言ったじゃんね~?

 『資格を持つ者』だけが行けるってさ~・・・」


すると悠斗の弟子であるオウムアムアがその低い声を挙げた。


「・・・我々には何故資格がないのだ?」


威圧を放つイザナミにそう言ったオウムアムアだったが、

全身汗だくで視界が歪みつつも、

その理由を知りたいが為に声を挙げたのだった・・・。


その声にイザナミは『ほう』と笑みを浮かべると、

とても興味深そうにオウムアムアを見ていた・・・。


「貴様は・・・『亜神』か?

 ほう~・・・あんた、とても面白い亜神のようね~?

 あの坊やの弟子が亜神とは・・・クックックッ・・・。

 エグ過ぎて草生えんですけど~?」

 


イザナミの物言いにオウムアムアは『面白い・・・だと?』と、

『神力』を放ちながらそう言い返すも、

更に威圧を増したイザナミの前に『くっ』と唸りながら膝を着いた。


「あの坊やの弟子だけあって、中々いい度胸してんじゃんか?

 それに強めたアタシの威圧に耐えるなんて・・・

 ふ~ん・・・いい意味でエグいわ~♪」


そう言いながらイザナミはオウムアムアを軸に、

周りへと視線を泳がせていると、

ほぼ大半の者達が気絶しその場に倒れていたのだった・・・。


「なっ!?」


周りの状態を確認したオウムアムアがそんな声を挙げると、

かろうじて立って居る者達の顔ぶれに驚いていた・・・。


それは『岩場の聖域』で必死に特訓していた者達と、

神々だけだった・・・。


神獣さえも気を失わせるその威圧に、

イザナミと言う神の力にオウムアムアは恐ろしさを感じた。


「ふふーん・・・。

 このレベルに耐えるなんてあんた達、見所あるじゃん♪

 とは言っても・・・アタシはコレっぽっちも、

 力を解放していないんだけどね~?

 だけどさ~・・・それを考慮したとしても~・・・

 コレは・・・どー言う・・・事?」


首を少し傾け不思議そうにその視線を向けていたイザナミに、

オウムアムアはその視線を追った・・・。


すると・・・。


「・・・こ、これは我も驚いたっ!」


オウムアムアが驚きの声を挙げ理由は、

その視線の先に『セルカとアンナ』の姿があったからだった。


「お前達・・・」


そう声を挙げた時だった・・・。


「そんなに驚く事もないんじゃないか?」


突然聞こえたその声にオウムアムアは顔を向けた。

その声の主であるラウルは歩みながらセルカとアンナに声を掛けると、

とても柔らかい笑みを2人へと向けた・・・。


「君達の修行が無駄ではない事はこれで証明できたね?

 ははは・・・本当に君達は凄いな?」


「にゃはっ・・・。

 わ、私達はけ、警護・・・し、していたから、

 じょ、状況は・・・わ、わからにゃい・・・けど・・・

 こ、この力は・・・す、凄い・・・のにゃ・・・」


「・・・修行・・・し、していた・・・お、おかげ・・・で、

 な、何とか・・・」



今までセルカとアンナは緑色の空間の中で眠る悠斗を守る為、

イリアとは離れ神獣達と共に警護しており、

ラウルと天照達が話し終えるまで任務を全うしていたのだった・・・。


状況が理解出来ない中、

イザナミが放つその威圧に咄嗟にセルカとアンナは『気道』を使用し、

その力にギリギリ耐える事が出来たのだった・・・。


「いや・・・まだ君達は伸びるよ?

 これからの成長が僕は楽しみでならないよ♪」


「・・・にゃは」


「は、はい・・・」


「でもね?今は無理しなくていいから・・・」


イザナミの威圧に耐えていたセルカとアンナだったが、

ラウルの言葉に黙って頷くと、そのまま崩れ落ち意識を失ったのだった。


「本当に君達には頭が下がる思いだよ・・・」


気を失ったセルカとアンナを優しい眼差しで見つめた後、

打って変わってラウルは険しい表情を浮かべイザナミを睨みつけた。


「・・・何故こんなマネをする?」


静かにそう言ったラウルに、イザナミは笑みを浮かべた。


「何故ってそりゃ~・・・面倒じゃん?」


「・・・面倒?」


「だってそうでしょ?

 何でこのアタシがいちいち人族に説明しなきゃなんないのよ?」


「・・・イ、イザナミ・・・貴様っ!」


『ギリっ』と歯を食い縛ったラウルに、

イザナミは続けてこう言った・・・。


「アタシはね~・・・ラウルっち・・・。

 どーしようもない人間になんて興味ない訳よ~

 ・・・わっかる~?

 まぁ~元々アタシとあのバカが創造し損ねたせいで、

 チルく平和な世界とは無縁になっちゃって・・・

 だからさ~?

 正直・・・もうどうでもいい訳よ?

 それに今の人間に何を期待すんのさ~?

 ワンチャンも何もないでしょ?」


正直過ぎるイザナミの声に、

ラウルばかりか神々達・・・いや、

天照や月読でさえもその怒りに強く拳を握り締めていた・・・。


そんな様子に気付きつつも、イザナミは話を止めなかった。


「だ~いたいさ~・・・あんた達・・・。

 あんた達神もわかってんでしょ?

 人間なんてロクなもんじゃないってさ~?

 こっちの世界でも人間の悪意が『精霊樹』を殺したんでしょ?

 それにその時に何もしなかった神々が、

 今更・・・何?って話なんですけど~?

 草越えて『笹』なんですけどぉ~?♪

 キャハハハっ!」


イザナミの本音に何も言えないラウルだったが、

怒りを抑え堪えると静かに口を開いていった・・・。


「・・・どうしてイリア君とセルン君がその『資格』を?」


「あ~ね?

 その話はとりま・・・アタシの娘達から聞きなよ~?

 ア・タ・シ・・・興味ないから~♪うふふふ♪」


『はい♪交代ね~ん♪』と、

イザナミはにこやかに笑いながら、

怒りを堪える天照に交代を告げると己の神界の門の前で寝転がった。


「さっさと話したんさいな~ふぁぁぁ~」


「・・・・・」


そうあくびをしながら言ったイザナミに、

顏を顰めながら前へと踏み出した天照は、

ラウルに対し深々と頭を下げ謝罪を口にした・・・。


「すまぬ・・・ラウル殿・・・」


「・・・・・」


「わ、妾も其方と同じ気持ちじゃ・・・。

 じゃがの・・・ラウル殿。

 今は・・・今は堪えてくれぬかの?」


「・・・わかりました。

 今は・・・仕方ありませんね・・・。

 確かに今僕が此処でごちゃごちゃ言っても仕方がないですからね」


「すまぬのじゃ・・・」


天照が深々と頭を下げ謝罪し終えると、

ラウルが静かに口を開き天照に質問した。


「それで・・・天照。

 どうしてイリア君とセルン君に『資格』なんてモノがあるのか、

 その説明をして頂きたいのだが?」


ラウルの質問に『うむ』と答えた天照には、

もう何も隠し事はすまいと言う意思が見て取れた・・・。


「その理由は・・・。

 とは言ってもの~・・・?

 妾の話を信じてもらえるかどうかなのじゃ・・・」


不安がる天照に寄り添うように、

月読が『姉上・・・』と言ってその身体を支えると、

ラウルは『信じてみようと思う』と真っ直ぐ視線を向けて来た・・・。


『わかったのじゃ・・・ラウル殿』


そう弱々しく言った天照は、

哀し気にポツリポツリとその理由を話していった・・・。



「何故この者達にその『資格』があるかと言うとじゃ・・・

 それはこの者達それぞれに、

 我が姉上である『ヒルコの魂』が、

 2つに分かれて宿っておるからなのじゃ・・・」


『なっ!?』


この場に立って居た者達が驚きの表情を見せると、

ラウルは『ちょっと待てっ!』と言って慌てて口を開いた。


「い、一体どう言う事だっ!?

 こ、この2人にも・・・だとっ!?

 天照の姉君(あねぎみ)が『葉月穂高』の中にあると言ったではないかっ!?

 貴様ーっ!まだ何か隠しているのかっ!?」



「ラ、ラウル殿・・・そ、それを今から説明するのじゃ、

 だから最後まで妾の話を聞いて欲しいのじゃ・・・」


「ちっ!」


「話の続きをするが・・・の?

 確かに妾は『姉君の御霊は『葉月穂高』の中にあると・・・

 妾はそう言った・・・じゃがの?」



そう言葉を続けた天照にラウルの表情は更にその険しさを増した。

そして天照はそんなラウルに向けて諭すように口を開いていった・・・。


「よく・・・。

 よく考えて見て欲しいのじゃ・・・ラウル殿」


「・・・な、何を?」


「妾の星と其方の星とでは・・・。

 そもそも『時間軸』が違うのじゃよ?」


「時間軸って・・・って・・・あっ」


ラウルがそう声を漏らすように、

『地球』と『ノーブル』ではそもそも時間の流れが違っており、

『葉月穂高』が死亡してからかなりの時間が流れていたのだった。


「そ、それなら・・・頷けはするが・・・、

 し、しかし・・・だからと言ってそんな事が・・・?」


「うむ・・・ラウル殿の申したい事はよくわかる。

 『地球』で亡くなった者達は、

 ラウル殿の星で転生する事など・・・通常はありえぬのじゃ。

 ところが・・・じゃ。

 実際は妾達が思うておるよりも複雑なようで・・・の?

 妾達の常識を超えた事象がこうして現実となっておるのじゃ。

 まぁ~確かにの・・・。

 当初は妾も『姉君の御霊』が『地球圏』に居るモノとばかり・・・。

 まさか『ヒルコの御霊』が何処にもおらぬので慌てたのじゃ」


「ど、どうして・・・地球の神が・・・わ、私の星に?」


天照が口にした真実にラウルは唖然としながらそう聞くと、

天照は静かに首を横に振った・・・。


「わからぬ・・・わからぬのじゃ・・・ラウル殿。

 これまでそのような事象など、ありはせぬ・・・。

 しかしの・・・。

 これは紛れもなく真実なのじゃ・・・。

 どうしてそうなったか?

 それは未だ妾にもわからぬ・・・。

 ただ『ヒルコの魂』が二つに分かれ、

 こうして此処に()る・・・それは紛れもない真実なのじゃ」


ラウルは天照の言葉に『そんな・・・そんな・・・』と、

何度も繰り返し呻くように呟いていたが、

月読の言葉によって現実に引き戻れた・・・。


「ラウル様・・・。

 心中お察し致しますが、今は姉上の話に耳を傾けて頂けませんか?」


哀しくも切ない・・・。

そんな月読の声にラウルは『わかりました』と答えるしかなく、

その心情を月読も容易に察する事が出来た・・・。


そして天照と月読が互いに頷き合うと、

再び話の続きをし始めた・・・。


「・・・ラウル殿、先程は母上の乱入によって、

 最後まで語る事が出来ずに居たが、

 我が姉上である『ヒルコの魂』の復活には、

 『悠斗殿』が鍵を握っておるのじゃ・・・」


そう話すとラウルは思い出したかのように声を挙げたが、

その声にはもう焦りの色はなく、

ただ天照が話す『真実』を知りたい一心だった・・・。


「・・・何故、彼なのですか?」


「うむ、何故悠斗殿かと言うとじゃな?

 彼が『特異点』であるが故・・・じゃの」


『特異点』・・・。

神の影響力の外に在る存在であり、

『善』と『悪』・・・。

この世界ではどちらに転ぶかわからない危うい存在・・・。


『善』に転べば世界を護り救う『救世主』となり、

『悪』に転べば世界を滅ぼす存在となる・・・。


「・・・そんな存在故にじゃ、

 妾は悠斗殿の力を借りたく、決して・・・

 決して死なぬよう・・・そして『悪』に染まらぬよう・・・

 最善の道を選んで来たつもりじゃった・・・。

 しかしの・・・ラウル殿。

 『上位神達』はそんな悠斗殿の力を利用しようとし、

 更に力をつけるべく『冥界』になんぞ送りよった・・・。

 妾が懸念しておるのは・・・じゃ。

 悠斗殿が『冥界』に行く事によって、

 その清らかで澄んだ『御霊(みたま)』が穢れるのでは・・・と、

 そう思っておるからなのじゃ・・・」


そう諭すように言った天照の言葉に、

ラウルは深く眉間に皺を寄せながら考え始めた・・・。


「た、確かに・・・冥界ともなれば、

 『弱肉強食』と言う元々古代(いにしえ)から伝わる理念がある・・・。

 その理念に彼が溺れた場合・・・。

 『特異点』である『彼』は、そのまま力に飲み込まれる可能性がある」


「上位神達がどう言った目的で悠斗殿を鍛えるのか?

 それはある程度予想はついておる・・・。

 じゃがの・・・ラウル殿。

 『無垢』なる悠斗殿の『御霊』が、

 その神達の目論見によって穢れる事は、この天照・・・。

 断じて感化する事できぬのじゃっ!」


天照はそう言って強く拳を握ると、

その表情の険しさから心からそう思っている事が見て取れた・・・。


「た、確かに・・・。

 冥界に行けば『力』は格段に上がる・・・。

 でもそれが『彼』にとっていい事かどうかは・・・」


顏を顰め再び考え込み始めたラウルに、

天照も月読もとても険しい表情を浮かべて居たのだった・・・。


そしてそんな重苦しい雰囲気が立ち込める中、

その空気を打ち破る者が呆れながら口を開いた。


「・・・あほらし」


『っ!?』


その声の主に皆の視線が一斉に集まった・・・。


そしてその視線の先に居た者に、

天照は声を荒げたのだった・・・。


「あ、あほらしいとはどう言う事じゃっ!?

 返答次第によっては白斗っ!

 厳罰に処す事になると思えっ!」


皆の視線に居た声の主は、

『神界樹』の肩に乗って呆れ返っている聖獣白斗が居た。


「・・・あんたら、うちの主の事・・・見くびっとるんかいな?」


「なっ、なんじゃとっ!?」


「せやかてそうやんか?

 今まで主の事見て来て・・・何でそないな事考えとんねんな?

 力に溺れる・・・?

 シッシッシッ!な~んやそれっ!?

 主がそんなもんに溺れるはずないやんか?

 考えたらわかるやろ?

 今までそんな事あったか~?

 鬼の力を使おうが神化しようが・・・

 主は常に主のままやったんやんけっ!

 そんなくだらん事言うてるから、先手打たれとるんやろがっ!

 神野悠斗っちゅ~お人はな~?

 何処で何が起ころうとも『神野悠斗』なんやっ!

 うちの主舐めとったら・・・バチコーンっ!っていわしたるでっ!」


そう言って不敵な笑みを浮かべた白斗の身体からは、

今まで一度も・・・

そして『神界樹』にも見せた事もない『神力』を溢れさせた。


「・・・は、白・・・斗?

 そ、それは神力・・・なのっ!?

 一体その力は何っ!?」


そう言って驚いたのは白斗を肩に乗せている『神界樹』だった。


そして白斗が溢れさせているその神力のようなモノ・・・。

それは紛れもない・・・

悠斗の鬼の力である、『赤銅色』の『鬼の気』だった・・・。


「は、白斗っ!?

 お主がまた、ど、どうして鬼の気を纏っておるのじゃっ!?」


驚きの余り声を挙げた天照に、

白斗は『ニヤり』と笑みを浮かべ声を・・・

いや、漲る力の咆哮を放った。


『ワオォォォォォォォォォォォンっ!』


そして再び不敵に笑みを浮かべ、

驚きの余り固まる神々の前で堂々とドヤ顏でこう言った・・・。


『・・・知らんわっ!ボケェェェっ!

 ワシが一番驚いとんねんっ!

 ちょっとは空気読めやぁぁぁぁっ!このあほんだらぁぁぁっ!』


その声に、この場に居た者達全てが、

顏を盛大に引き攣らせながら固まるのだった・・・。




ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?

やっと『白斗』が白斗らしく・・・しゃべりましたねw

白斗はやはりこうでないと・・・w


そんなのんきな事を思った緋色で御座いました。


さて・・・次回はどの『キャラ』をアップしようかな?

そんな事を思っている今日この頃でしたw



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私も「白斗らしい!」とうれしかったです♪ しかしイリアとセルンがまさかの、です。 まだまだ裏がありそうですね。 今回はそういうビックリ展開と白斗節で楽しませていただきました♪ ラウル…
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