223話・親子喧嘩と新たなる門
お疲れ様です。
先週色々と大変ではありましたが、
とりあえずメンタル面は大丈夫です。
小説の方はノートにある程度書いていたので、
メンタル面が内容に反映されていないので、
それも問題ありません・・・。
ですが・・・。
ある意味問題はありまくしたw
今回の話をノートに書いていた時、
妙にテンション高くて・・・。
今回のお話はコメディ色強めです・・・。
って言うか、暫くそんな話が続きます^^;
それでは、223話をお楽しみ下さい。
時は少し遡り・・・。
此処ノーブルでは死亡した悠斗の遺体の前で、
イリアとセルンが再び出会った場面から話は始まる・・・。
「セ、セルンっ!?あ、貴女がどうして此処にっ!?」
双眼を見開き驚きの表情を浮かべるイリアに、
セルンはただ一言・・・。
『ユウトの身に良くない事が起こりそうな・・・
そんな予感がしたのよ』
「・・・・・」
「そ、それで・・・イリア?
ユウトは・・・ユウトは何処なの?
早く会って色々と聞かなくちゃいけない事があるし、
それに顏を見て・・・安心したいの」
「・・・セ、セルン」
イリアはセルンの名を呟くと、
そっと半身をずらし、セルンの視界が通るようにした・・・。
「・・・・・」
イリアの背後で淡い緑色の空間の中で横たわる悠斗を見て、
セルンは絶句していた。
「・・・お、おい・・・ま、まさか・・・
まさか・・・だろ?
あ、あの中に居るのが・・・
お前の『想い人』の・・・ユ、ユウトって男か?
おいおいおいおいっ!い、一体なんでこうなってんだよっ!?」
未だ状況が飲み込めないセルンに対し、
ラハトは声を荒げ拳を握っていた・・・。
「な、何だってんだよ・・・。
お、俺達は何の為に・・・こ、こんな所まで・・・。
だっ、誰かっ!誰か答えろよっ!?
どうして誰も何も言わねーんだよっ!?」
「・・・ユ、ユウト」
そう小さく声を漏らしたセルンは、
小刻みに震えながら俯くイリアの顏を見ると、
淡い緑色の空間に横たわる悠斗を何度も見比べて・・・そして察した。
「・・・う、嘘?」
「・・・・・」
「・・・ユ、ユウト・・・?
う、嘘・・・よね?
あ、貴方が・・・し、死ぬはず・・・な・・・い・・・」
そう呻くように声を漏らしたセルンに、
ラハトは哀しみの視線を向けていた・・・。
(こいつがこんなにも・・・
くそっ!一体どうなっていやがるんだっ!?)
「ユウト・・・どうして・・・」
セルンの言葉に言葉を詰まらせたイリアの反応で察すると、
雪が降り積もり身も凍るほどの『嘆きの森』で、
絶望色に染まったセルンが膝から崩れ落ちた・・・。
「そっ・・・そんな・・・そんな・・・」
「・・・セルン」
「ま、間に合わなかった・・・。
間に合わなかったぁぁぁぁぁっ!
わ、私がもっと早く・・・。
もっと早くユウトの身に危険が迫っている事を察知していればっ!?
もっと早く私が街を出て居ればっ!?
も、もっと・・・もっと・・・は、速く・・・」
「セルン・・・ソレを言ってもキリがねーぜ?
時間は戻せねーんだ・・・」
「・・・わかってる・・・わ・・・よ」
すぐ傍に居たイリアにも聞き取れないほどの声でそう言うと、
セルンは大粒の涙を溢れさせていた・・・。
そんな様子をセルンのすぐ後ろで見ていたラハトは、
バツの悪いそうな表情を浮かべながら一歩前へと踏み出すと、
『・・・お前ほどのヤツがな?』と誰に言うでもなく、
そんな言葉が漏れていた・・・。
そう呟いたラハトに視線を向けたイリアに、
ラハトは軽く頭を下げながら自分達の事を口にした。
「こんな状況で言うのもなんだが・・・。
俺の名はラハト・・・。
簡単に言うと俺とこいつは仲間だ・・・。
突然飛び出したこいつを野放しに出来ねーと思って、
こうして俺は着いて来たんだが・・・
もう・・・意味がわかんねーよ」
頭を掻きながらそう言ったラハトに、
イリアが説明をしようとすると、
その背後から『創造神・ラウル』が声をかけ、
ラハト達は創造神を前に慌てて膝を着き頭を垂れた・・・。
それから暫くの間・・・。
未だ涙ぐむセルンとその仲間であるラハトに、
ラウルは現状を説明していった・・・。
そのラウルの説明に茫然としながらも、
セルンとラハトはその表情に怒りを滲ませていた・・・。
「ユ、ユウトが・・・
ま、まさかそんな事に巻き込まれていたなんて・・・」
「・・・神が選びし男か」
ラハトはそう言いながら、
未だワナワナと身体を震わせるセルンを見ると、
内心『こいつが信じる男ってのは、やっぱすげーな?』と、
今更ながらそんな事を思っていた・・・。
すると膝に乗せたセルンのか細い手が、
『グっ』と強く握られると顔を上げ創造神に対し声を挙げた。
「・・・ユウトを殺った鬼ってのは・・・
何処に行けば会えるのですか?」
「・・・えっ?」
その力強い・・・。
いや、復讐心に命を燃やしたセルンの眼差しに、
流石のラウルも一瞬たじろいだ・・・。
「・・・会って・・・君はどうするのかな?」
「・・・私の命に代えても必ず殺します」
「お、おいっ!?セルンっ!?
お、お前・・・一体何言ってんだよっ!?」
慌て声を挙げたラハトにセルンは鋭い視線を向けると、
さも当然かのようにこう言った。
「私が心から愛する男を殺ったヤツよ?
当然、何が何でも殺すわ」
「お、おい・・・セ、セルン・・・?
お、お前の弟はどうすんだよ?」
「私が居なくてもあの子は大丈夫・・・。
だからあの子の事はあんたを含めた仲間達に任せるわ」
「まっ、任せるってお前っ!?」
「それに弟を苦しめる毒は・・・
ユウトから送られたモノでどうにかなる。
私は・・・ユウトに借りを作ったままなのよ・・・。
私の事も・・・そして弟の事も・・・。
だから・・・私は私に出来る事をただするだけよっ!」
「・・・セルン、お前・・・そんなにも?」
「・・・えぇ」
セルンの本音を初めて聞いたラハトは、
その迫力にもう何も言えなかった・・・。
『クっ』と苦悶の表情を見せながら俯いたラハトを他所に、
セルンは真っ直ぐな視線を創造神・ラウルへと向けた・・・。
そして再び片膝を着き頭を垂れると、
創造神に対して口を開いた・・・。
「創造神様・・・。
改めてお聞き致します・・・。
彼を・・・ユウトを殺ったその・・・鬼とやらの所在を、
どうかこの私にお教え下さい・・・」
そう力強く創造神に言ったセルンの目には、
もう涙は一粒たりともなく、
ただその瞳には『覚悟』が刻みつけられていた。
「・・・君って子は・・・全く・・・」
『やれやれ』といった風に脱力したラウルに、
突然『ラウル様っ!』と声が挙がると、
片膝を着くセルンの横に並び同じように片膝を着き頭を垂れた。
「・・・まさか君も・・・かい?」
「・・・はい、ラウル様。
私・・・イリアもセルンと同じで御座います」
「・・・・・」
セルンと同じ事を言ったイリアに、
ラウルは再び項垂れていると、
セルンもまた『あ、貴女・・・本気なの?』と、
驚きの表情を見せていた・・・。
「えぇ・・・勿論本気よ?
ユウトを愛しているのは貴女だけじゃないの・・・。
元々私はそのつもりだったし、
誰も行かなくても私一人でも行くつもりだったわ」
そんなイリアの覚悟を感じたセルンは、
『プっ』と吹き出すと『まさか貴女がね~?』と、
おどけるように笑って見せた・・・。
「な、何も笑う事ないでしょっ!?」
「フフフ・・・。
まぁ~いいわ・・・イリア。
これも何の因果か共に1人の男を愛した者同士・・・。
敵を討つのにこれ以上の相棒はいないわ。
頼りにしているわよ♪」
「フフっ・・・まぁ~見ていてよ・・・セルン。
特訓の成果・・・見せてあげるわ♪」
「フフフっ・・・それは楽しみね♪」
そんなセルンとイリアの姿を見ていた者達が、
それぞれ声を挙げ始め、
皆が悠斗の仇を取ると言い始めたのだった・・・。
そんな盛り上がりを見せる者達に、
ラウルが頭を抱えて居た時だった・・・。
突然その場に夥しい神力を垂れ流した『神界の門』が出現すると、
ラウルも含め皆が瞬時に警戒モードへと切り替わった。
「神界の門が突然どうしてっ!?
一体・・・この『神界の門の所有者』は誰なんだっ!?」
『神界の門』の出現によって、ラウルは困惑するも、
すぐにこの場に居た神々に視線を移したが、
この『神界の門』の所有者は見当たらなかった・・・。
「ラウルーっ!ユウトと関りが在る神達は、
ミスティとサーマンを除くと此処に居る者達だけだぜ?
し、しかもこの『神界の門』からは・・・ヤバい神力が溢れてやがる」
そう声を挙げながら駆け寄って来たのは『武神・カロン』だった。
そんなカロンの行動にこの場に集った神々は、
眼前にある恐ろしいほどの神力を放つその・・・
『神界の門』に視線を向けていた。
その様子を固唾を飲んで見ていたイリアとセルンが声を挙げた。
「ラウル様・・・これは一体?」
「創造神様・・・何故警戒されるのですか?」
そんな2人の問いにラウルは表情を渋くしていると、
先程から数名の・・・とは言っても『女神達』だけなのだが、
殺気にも似た視線をイリアとセルンに向けていた・・・。
「イ、イリア・・・?
な、何故女神達は私達に・・・こ、このような視線を?」
「た、多分・・・皆・・・。
ユ、ユウトの・・・こと・・・を・・・」
「・・・なっ!?」
余りの驚きにセルンの声が上ずると、
『ギロっ』と睨み付けていた『邪神の女神・ミランダ』が口を開いた。
「この地で貴女達の会話をずーっと見てたんだけど・・・
貴女達・・・ほんっといい度胸しているわね~?」
『ゴクリ』
「ユウトの事を愛してるって・・・フっ。
何も貴女達だけがユウトの事愛しているんじゃないわ・・・
私達もっ!ユウトの事・・・愛しているんだからね?
って言うか・・・特に私は・・・ねっ!」
『・・・・・』
「でも・・・私達神々を前に啖呵を切って見せるなんて・・・
フッフッフッ・・・見どころあるじゃない?
いいわ・・・人族達・・・貴女を私のライバルとして認めてあげるわ」
思いがけない発言にイリアとセルンは唖然としていた。
そんな事を言ったミランダだったが、
すぐにその表情を厳しいモノへと変えると、
『だけど・・・今は・・・』と余裕のない声色へと変え、
『邪神槍』を持つ手に力が入っていた・・・。
そんなミランダの声が耳に入りながらも、
ラウルの傍ではチタニアがラウルと何かを話し合っていた。
「・・・で?いかがされますか?」
「って・・・チタニア?
確か僕の事を殺そうとしていたのに、
いいのかい?」
「・・・今は私情を挟んでいる場合ではありませんわ。
それに私達は神です。
この場に居る人族達を守る義務が御座いますわ」
「・・・恩にきるよ・・・チタニア」
「ユウト様が守って来た人族達ですもの・・・。
当然の事ですわ・・・」
「・・・そうだね」
そう言い終えたチタニアが一瞬・・・。
後方に居るイリアとセルンに視線を向けると、
その余りの視線の強さに2人の背中には悪寒が走って震えていた。
暫くの間・・・。
出現した『神界の門』は動きを見せずただ・・・。
その場に具現化しているだけだった。
「なっ、何だってんだよ?
どうして神界の門が開かないんだ?」
カロンの意見は当然である・・・。
出現したっきり動きを見せない『神界の門』に、
ラウル達は動きようもなかったのだった。
そんな空気にこの場に居た人族達からは動揺の声が挙がり始めると、
ラウルは呟くように『・・・まずいな?』と唇を噛んだ。
「・・・このままでは人族達にもいい事ねーぞ?
得体の知れない恐怖は伝染する。
俺達神がこんな体たらくじゃ~な?」
カロンの耳打ちにラウルは『確かにね』と答えると、
人族達に向き直り声を挙げた。
「皆・・・聞けっ!
これは間違いなく『神界の門』である。
よって敵対行動は許さぬ・・・よいな?」
ラウルの言葉に皆が片膝を着き頭を下げると、
一人・・・『神界の門』の前へと歩み寄った・・・。
「・・・何者だ?いい加減姿を見せたまえ」
「・・・・・」
ラウルの声に姿をみせている『神界の門』からは、
何の返答もなかった・・・。
だが・・・。
「・・・ん?な、何か・・・聞こえて・・・?
一体・・・何が?」
『神界の門』から微かに何者かの声が聞こえた気がしたラウルは、
『ゴクリ』と固唾を飲みながらゆっくりと『神界の門』に近付き、
その両開きのドア越しに耳を傾けた・・・。
『○✕△◇・・・』
(・・・や、やはり誰か居る・・・ようだが、
でも開かないのはどういう事なのだ?)
耳を澄まし集中すると、
その微かな声がラウルの耳に届くようになり、
ドア越しに聞こえて来るその内容に、
ラウルの顏は言い知れぬほど引き攣っていた・・・。
「・・・ぼ、僕・・・頭が痛くなって来たよ」
そう呟きつつ引き攣った笑みを見せたラウルに、
神々はラウルと同様の行動を取った・・・。
だが神々達はその『神界の門』の向こうから聞こえて来るその声に、
ただただ・・・絶句する事になった。
~ 『神界の門・内側』 ~
「・・・はっ、母上っ!?
何故この神界の門は開かぬのじゃっ!?」
「・・・あ、姉上っ!?
い、いけませんっ!お母様に掴みかからないでっ!」
「いやぁぁぁぁっ!
ア、アタシの娘が~エグくてデンジャーになってるぅ~♪」
「だ、誰がエグくてデンジャーなのじゃぁぁぁぁっ!?
と、言うかじゃなぁ~?
母上はどうして肌が真っ黒になっておるのじゃぁぁぁっ!?
それに・・・何なのじゃぁぁぁっ!?
その金髪はぁぁぁっ!?
威厳もクソも何もないであろうにぃぃぃぃっ!?
いい加減っ!説明せぬかぁぁぁぁっ!?」
『母』と呼ばれた女性は今・・・。
その肌が浅黒く焼けているばかりか、
嘗ては美しかった長い黒髪も、今は金髪にド派手だった・・・。
「ま、真っ黒にしたのはそれがイケてると思ったからですぅ~♪
それと~この金髪は~・・・今、めっちゃ流行ってるんですぅ~♪
流行に乗らないなんて無理ゲーにもほどがあるっしょ~♪
そ・れ・に~・・・
娘如きに指図される覚えなんてある訳ないっしょっ!?」
「お、おのれぇぇぇぇっ!
こ、こうして・・・
久方ぶりに母上にお会い出来たかと思うておったと言うのにっ!?
この妾のこの母への想いをどうしてくれるのじゃぁぁぁっ!」
「ふっふーんだっ!
アタシは此処でエンジョイしてんのよ~?
今更娘達がしゃしゃり出て来て一体な~に言ってんだか~?
それに説教って・・・プププゥゥゥ♪ダッッッサダサね~♪
アタシはチルく生きるんだから、口出ししないでよね~・・・
あぁ~・・・まじウザいんですけど~♪」
「ぐぬぬぬぬぬ・・・お、おのれぇぇぇぇっ!
我が母ながら何とも情けないっ!
こ、この妾が・・・身内の代表としてっ!
成敗してやるからそこに直れぇぇぇぇぇっ!」
「きゃっはっはっはっーっ!
妾って人が~怒り心頭中なんですけど~♪
その怒りで唇がプルってる~♪
まーじ・・・ウケんですけど~きゃはははは♪」
「こっ・・・殺すっ!」
「まじギレ~♪
うぷぷぷぷぷ~♪」
~ ノーブル・嘆きの森 ~
『・・・・・』
ノーブルに居た神々はそんな会話が繰り返されている事に唖然とし、
誰もその事に対し口を開こうとしなかった・・・。
するとその様子に首を傾げたイリアが、
溜息を大きく吐いていた『魔法神・アリエル』に尋ねた。
「し、師匠・・・い、一体何が?」
そんな可愛い弟子の質問にアリエルは再び大きく溜息を吐くと、
どうでもいいような口ぶりで言った。
「あぁ~・・・ただのくっだらない親子喧嘩よ」
「お、親子・・・」
「・・・喧嘩?」
アリエルの言葉にイリアとセルンは、
顏を見合わせながらそう言うと、
『神界の門』の階段にいつの間にか座り込んでいたラウルが、
項垂れているのが見えた。
「・・・誰かはな~んとなく想像ついちゃったよ・・・。
絶様がおっしゃっていた・・・ギャル子ってのも・・・ね。
昔は威厳ある・・・いい御方だったのにな~?
どーして・・・こんな事に・・・
・・・あ、会いたくない・・・な~・・・。
か、帰っちゃう?ねぇ・・・帰っちゃおうか?」
「・・・ダメに決まっていますわ」
「・・・ですよね~」
そんなラウルの嘆きは・・・。
どんなに深い谷よりも深かったのだった・・・。
ノーブル側では何とも言いようのない雰囲気を醸し出す中、
『神界の門』を出現させた側ではまだ言い争いが続いていた。
~ 『神界の門』・内側 ~
「お、お母様、姉上・・・。
こ、この『神界の門』は一体どうなっているのでしょうか?
お、押しても引いてもビクともしないばかりか、
ドアノブでさえも微動駄に致しません」
必死に扉を開けようとするものの、
ただ額に汗を浮かべるだけでビクともしない扉に困惑するしかなかった。
「だいたい昔から母上はっ!」
そう再び声を荒げ始めると、
『母』と呼ばれた女性は娘に対し右腕を突き出すと、
その迫力に気圧された。
「・・・は、母上・・・一体何を?」
「・・・あーね」
「は、母上?あ、あーねとはどう言う・・・?」
「・・・あぁ、やっぱりね・・・の略よ?
そんな事も知らないの?」
「うぐっ・・・」
「あはは・・はは・・・」
『母』と呼ばれた女性は『神門の扉』の前で腕を組み、
何かに納得していたようだった。
「・・・と、兎に角っ!
一体・・・ど、どう言う事なのですかっ!?
お、お母様・・・説明をっ!」
「・・・そうね~」
娘たちの声にそう返答すると、
くるりと向き直り真剣な眼差しを向け、
そしてその口調は恐ろしいほどテンションが低かった・・・。
「・・・断固として開ける気ないみたいなんですけど~?」
『・・・はぁっ!?』
「いやいや、だからさ~・・・。
暫く『神界の門』を使っていなかったせいで~、
すっかり拗ねちゃって・・・ははは・・・ウケる~・・・。
ってか・・・MTね~・・・」
「え、MT・・・とは?」
「・・・まさかの展開って事~」
『・・・・・』
そうテンション低く娘達に説明はするものの、
そのこめかみは『ヒクヒク』と引き攣っていた・・・。
そして大きく『はぁぁ~』っと溜息を吐くと、
『母』は娘達に思いがけない言葉を吐いたのだった・・・。
『ねぇ・・・『神界の門』のヤツもこんなだしさ~・・・
もう・・・バックレるしかないっしょ?』
「は、母上ーっ!?
い、今は緊急時なのだと何度も言っておるではないかぁぁぁっ!?
今やらずいつやると言うのじゃっ!?」
「・・・後っしょ?」
『・・・・・』
そう抑揚もなく答えた『母』に、
流石の娘達も言葉を失ってしまった・・・。
~ ノーブル側・嘆きの森 ~
此処ノーブル側では、未だに開く事のない『神界の門』の前で、
カロンが『どーするよ?』と頭を悩ませていた・・・。
するとこの突如・・・
『嘆きの森・中央付近』の空間に、
『赤黒い力』が具現化し渦を巻き始めた・・・。
「クっ!こ、この力は何なのだっ!?
か、神々よっ!この力から人族達を守るのだっ!」
『創造神・ラウルの命』に一斉に神々達が行動を起こすと、
『ミランダっ!そこをどきなさいっ!』と怒声を発しながら、
イリアとセルンの前に躍り出て障壁を展開した・・・。
「ちょっ、ちょっとアマルテアっ!?
いきなり何すんのよっ!?」
「うるさいわね~・・・邪神の女神っ!?
ちょっとこの子達に話があるから変わりなさいよっ!」
「・・・かっ、勝手な事を・・・この剣神がっ!」
苛立った表情を見せるも、
ミランダは『剣神・アマルテア』の気持ちを察し、
『・・・まぁ~いいわ』とそう言って、銀色の美しい髪を掻き上げた。
『赤黒い力』の渦がより激しさを増した時、
障壁を展開していたアマルテアは、
その力に耐えながらも後ろに居るイリアとセルンに口を開いた。
「あ、あんた達・・・。
私達の・・・いやっ!私の前でよくもユウト様の事をっ!」
そう怒声にも似た声を挙げたアマルテアに、
イリアとセルンは顔を顰めた・・・。
「で、でもね・・・そういうの・・・。
私・・・嫌いじゃ・・・ないわ・・・」
『えっ!?』
「ライバルが多いほど・・・愛は美しく燃え上がるのよっ!」
「そ、そう・・・ですね?」
「・・・そうなの?」
「知らないわよっ!?」
「だから認めてあげる・・・。
でも・・・生きて戻らないと・・・許さないわよ?」
アマルテアはそう言いながらゆっくりと顔を向けると、
謎の力の圧力に耐えながら笑みを浮かべた・・・。
イリアとセルンはそんな『剣神・アマルテア』の気持ちに、
力強く『はいっ!』と答えたのだった・・・。
謎の『赤黒い神力』がより激しく渦を巻き、
その『赤黒い力』の圧力に、
この場に居た神々でさえも顔を顰めていたが、
只一人・・・。
この『赤黒い力』が何かを知る者は驚きに身体を震わせて居た。
その力に顏を顰め圧力に耐えながらも一歩踏み出すと、
まるで母親かのように口を開いた・・・。
『・・・大きくなって』
その声に反応したのか・・・。
渦を巻く『赤黒い神力』が『パンっ!』と大きな音を発すると、
誰もが見た事ない・・・。
そして誰も知るはずがない『赤黒い門』が突如出現し、
やがてその『赤黒い門』から声が聞こえた・・・。
『シロ様・・・。
いえ、今は御二人がお揃いのようですので、
チタニア様・・・ですね?』
「・・・えぇ、そうよ。久しぶりね?
元気そうで・・・何よりですわ♪」
「・・・はい、私は元気にしております」
そう親し気に話すチタニアに、
『あぁーもうっ!?一体何が何だかっ!?』と声を挙げながら、
ラウルはチタニアに声を掛けた。
「チ、チタニア・・・?
こ、この・・・『門』の事を・・・知っているようだね?
勿論・・・説明してくれるよね?」
やや緊張した面持ちでそう尋ねたラウルに、
チタニアは目に涙を浮かべ・・・
『はい♪よく・・・存じております』と答えたのだった・・・。
するとその『赤黒い門』はラウルに対しこう言った・・・。
『創造神・ラウル様・・・。
御初に御目にかかり光栄に御座います。
私の名は・・・『黒紅』
我が主『神野 悠斗』様の『神界の門』に御座います』
『・・・えっ!?』
『黒紅』と名乗るその『神界の門』に、
ラウルばかりか他の者達も驚愕したのだった・・・。
ってな事で・・・。
今回の話しはこんな感じでした・・・。
ん~・・・この時の緋色のテンションが・・・ww
ギャル語って本当に難しいですね・・・><
次回もテンション高いので、
コメディー色強めとなっておりますが、
生暖かい目で見守ってやって下さい。
それともう暫く話が続きますと、
『閑話』も入れて行きますのでお楽しみを^^
ってなことで、緋色火花でした。




