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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
317/408

222話・悠斗とヲグナ

お疲れ様です。


泊まり込みの出張が続く今日この頃ですが、

皆さんはいかがお過ごしでしょうか?


正直言って緋色は湿度で死んでます・・・。

そしてまだ仕事用PCがないので、

まじで暇・・・です。


って言うか・・・ストックが><

今回のお話でストック消滅・・・orz


だがしかーしっ!

今週の木曜にはPCを取りに行きますので、

問題なーしっ!


因みに・・・。

朝になればまた出ます><


それと今回ですが・・・。

一応今回で悠斗の話は一旦終わり、

ノーブルでのお話になります。



それでは222話をお楽しみ下さい。

~  サンダラー邸・医務室  ~


再び此処・・・。

冥王の屋敷へと戻る事となった『悠斗とヴァン』


その医務室では虎恫とスタークが2人の目覚めを待っていた・・・。



『チッ、チッ、チッ、チッ』


医務室に置かれている時計の秒針が音を立てていた・・・。

そんな時計の秒針の音が、この場に居た者達にとっては、

耳障りな音となっていた・・・。


「・・・秒針の音ってこんなにも大きなモノだったか?」


「虎恫、お前何を苛立っているメル?」


時計の秒針の音に美感に反応する虎恫に対し、

スタークは小馬鹿にしたような口調でそう言うと、

『・・・はぁ?』とまたもや過敏に反応して見せた・・・。


「羊の分際で偉そうに・・・」


「・・・メル?」


虎恫の口からそんな言葉から漏れると、

スタークはやや顔を引き攣らせたのだった・・・。


「・・・虎恫?

 お前・・・いい加減にするメル・・・。

 八つ当たりは恰好悪いメル」


「・・・何だと?」


少し睨みを利かせながらそう言ったスタークに、

虎恫はあからさまに不機嫌な形相を浮かべた・・・。


「此処は病室メル・・・。

 それにこうなった原因は虎恫・・・。

 お前にあるメル」


スタークの核心を突く言葉に虎恫は怒声を発した。


「貴様ぁぁぁっ!?

 羊の分際で鬼に勝てると思うなよっ!?」


「・・・落ち着くメル。

 此処は病室メル・・・騒ぐのはよくないメル・・・」


「羊ーっ!表に出ろぉぉぉっ!」


虎恫の怒りの声が発せられると、

スタークは小声ながら『雑魚が・・・』と呟き、

その呟きが聞こえた虎恫は怒りの頂点に達した。


「くたばれぇぇぇぇっ!羊ーっ!」


突然怒声を発しながら放たれた虎恫の拳に、

スタークは『ちっ』と舌打ちすると、

その拳をガードしたのにも関わらず飛ばされ、

『ガシャァァァンっ!』と窓ガラスを突き破り弾き飛ばされた。


『のっし、のっし』と病室を歩き始めた虎恫はが、

破壊された窓に手を掛けた時、

屋敷の外ではスタークが怒りの形相を浮かべ立って居た・・・。


「・・・死ななかったのは誉めてやる」


口角を上げながらそう呟く虎恫に、

スタークは冥界の神力を溢れさせながら口を開いた。


「たかが鬼如きの拳で死ぬはずないメル。

 でも虎恫・・・。

 お前は想像以上に・・・弱いメル・・・」


「なっ!何だとっ!?

 たかが羊の分際で何を言ってやがるっ!?」


「たかが羊・・・じゃないメル・・・。

 俺達一族はこの冥界でも名の知れた、

 『戦闘民族」メルっ!

 鬼・・・舐めるなメルっ!」


「・・・面白い」


破壊された窓から外へと出た虎恫は、

『はぁぁぁぁ』と鬼の気をその身体から放出し始めると、

スタークは『メルっ』と笑みを浮かべながら構えた・・・。


「フッフッフッ・・・小動物がいかに弱者か、

 身を以って知るのだな?」


「・・・それはお前が身を以って知るメルっ!」


「行くぞぉぉぉぉっ!」


「少し遊んでやるメルっ!」


病室の外で『鬼と羊の戦い』が始まり、

様々な音が飛び交う中、

その音の騒がしさに悠斗が目を覚ましたのだった・・・。


「んんっ・・・んんん・・・あ、あれ?

 此処は・・・一度見た事のある天井だ・・・。

 って事は・・・」


よくあるセリフを口にした途端・・・。


『メルメルメルゥゥゥゥっ!』


『喰らえぇぇぇぇぇっ!』


『ドカーン・・・バキっ!』と一瞬にして悠斗は現実に連れ戻された。


「・・・この気って、虎恫とスタークか?」


そう言いながらベッドから身体を起こした悠斗は、

ふと・・・。きょとんとしながら声が口からこぼれた・・・。


「・・・なんで俺・・・裸なの?」


そんな悠斗に再び衝突音が飛び込んで来ると、

『あ、あいつら~』と顔を引き攣らせた悠斗がベッドから飛び出した。


「何が戦闘民族だっ!ゴラァァァっ!?」


「・・・お前程度が相手だと、ビースト化する必要もないメルっ!」


互いに笑みを浮かべ戦う最中、

『うおぉぉぉぉっ!』『メルメルメルゥゥゥっ!』と、

渾身の一撃を放った瞬間・・・。


『お前ら五月蠅いんだよっ!』と、

突然戦う2人の間に、悠斗が割り込んで来た・・・。


『なっ!?』と互いにそう驚きの声を挙げるも、

既に放たれた渾身の一撃を止める事は出来ず、

この後の惨事が2人の頭を過ぎった・・・。


だが・・・。


『パシっ!』と難なくその拳を受け止めた悠斗は、

『ギチギチ』と音を立てながらその受け止めた拳に力を加えていった。


『いててててててててててててててててっ!?』


『メッ!?メェェェェェェェェっ!?』


その強烈な力に虎恫とスタークは叫び声を挙げ、

膝を折ってその力に抑え込まれたのだった・・・。


「まだやるのか~?お前ら?」


「わ、わかったからっ!も、もうしないからっ!」


「ユ、ユウト・・・や、やめ・・・やめるメル・・・

 やめるメル・・・から・・・手を・・・手をーっ!?」


虎恫とスタークはその目に涙を滲ませ懇願するものの、

悠斗はその痛がり様に首を捻っていた・・・。


「ん?どうしてそんなに痛がるんだよ?

 大して力を入れてないんだけど・・・?」


平然とそう言った悠斗に、

涙を浮かべた虎恫とスタークは各々に声を挙げた。


「て、手っ!手を見ろよっ!」


「ユウトっ!ち、力をセーブするメルっ!」


「手って・・・?」


虎恫の声に視線を拳を掴む手へと向けると、

悠斗は『ぎょっ』として慌てて手を離したのだった・・・。


「えっ!?な、なんでっ!?

 す、すまない・・・2人共・・・」


そう謝罪しながら悠斗は己の両手を凝視し、

その指先から溢れ出る『赤黒い気』に顏を引き攣らせた・・・。


「ど、どうして俺からこんな『禍々しい気』が?

 自分で放っておいてなんだけど・・・気持ち悪っ!?」


悠斗自身も驚き身体を小刻みに震わせて居た・・・。

その『禍々しい力』に己自身も『ゾっ』としていたのだった・・・。



暫くして落ち着きを見せ始めた悠斗に、

虎恫は声をかけた・・・。


「・・・落ち着いたか・・・ユウト?」


「あ、あぁ・・・少しは・・・」


「そ、そうか・・・それは良かった・・・。

 こんな時に何だがユウト・・・質問がある」


その真剣な眼差しを向ける虎恫に、

悠斗は『俺が答えられる範囲でなら・・・』と返答した。


すると虎恫は『あぁ、それで構わない』とそう答えると、

話を切り出していった・・・。


「お前のその力の事だがユウト・・・

 お前・・・覚えていないのか?」


そう問い質して来る虎恫に、

悠斗は何かを思い出したかのように『あっ』と声を挙げた。


「そ、そう言えば俺・・・」


「・・・思い出しか?」


「ぜ、全部じゃないけど・・・ある程度は・・・」


頭を押さえ必死にその記憶を辿る悠斗に、

虎恫とスタークは顔を見合わせ軽く頷き合った・・・。


「ユウト・・・改めて聞くが・・・。

 その力の事・・・覚えているか?」


「あぁ・・・覚えて・・・いる・・・。

 記憶は確かじゃないけど・・・感覚的に覚えてる」


悠斗の声に再び虎恫とスタークは再び頷き合うと、

意を決したかのように言葉にした。


「・・・その力・・・使ってもらっていいか?」


「・・・えっ!?ちょ・・・ちょっと待てよっ!?

 あ、あまり覚えちゃいないけど、

 この力を使ったら・・・い、一体俺はどうなるのか・・・

 い、いや・・・。

 お、俺の事よりもお前達が・・・」


そう言いながら顏を引き攣らせる悠斗に、

虎恫とスタークは苦々しく笑みを浮かべていた・・・。


「構わん・・・俺達の事は気にするな。

 だからユウト・・・その力・・・使ってみろ・・・」


虎恫にそう言われた悠斗は、

その視線をスタークにも向けたが、

ただ『コクリ』と小さく頷くだけだった・・・。


「・・・わ、わかった」


そう短く答えた悠斗は静かに目を閉じ集中しいくと、

双眼を開くのと同時に魂に宿る鬼の気を解放した・・・。


『バシュっ!』


「・・・あ、あれ?

 さ、さっきと様子が違うんだけど?」


悠斗の擬体から音を立てて放出されたのは、

間違いなく『赤銅色の鬼の気』だった・・・。


『霧状』でもなく『爆炎』でも無い鬼の気が吹き出し、

逆に悠斗は唖然としたのだった・・・。


「驚いたかユウト・・・」


「・・・あ、あぁ」


「その擬体の『核』をヲグナ様のご友人である、

 『二本角の鬼』・・・。

 『陽様』がその擬体の『核』を交換してくれたのだ」


「・・・ヲグナ・・・様?

 陽・・・様?

 な、なぁ・・・それって誰だよ?」


「お、覚えていないのかっ!?」


「あ、あぁ・・・あっ、でも・・・」


「どうしたメル?」


「確か俺の前に立ちはだかったあの・・・

 チャ、チャラそうなヤツ・・・

 そんなヤツが居たような・・・居なかった・・・ような?」


「チャ、チャラそうなやつって・・・お前・・・。

 きっと大物になるな?」


「メルメルっ♪」


必死に思い出そうとする悠斗にスタークが掻い摘んで説明すると、

その説明に渋い表情を浮かべた・・・。


「・・・ま、まじか?」


「あ、あぁ・・・まじだ」


「何と・・・なく?そのチャラいヲグナって神は記憶にはあるけど、

 二本角の鬼の~・・・な、なんだっけ?」


「・・・陽様メル」


「そうそうっ!その陽様って人は・・・

 ん~・・・どれだけ考えても覚えてないな~・・・」


「・・・まぁ、そうだろうな?」


『やれやれ』といったポーズをして見せた虎恫は、

スタークへと少し綻んだ笑顔を向けていた・・・。


すると悠斗が和み始めた虎恫とスタークに対し、

声を出していった・・・。


「和んでいるところ悪いんだけどさ~

 でもさっきお前達の喧嘩を止めた時、

 『赤黒い力』が出ていたよな?

 アレを一体どう説明するんだよ?」


悠斗の質問に虎恫とスタークは顔を見合わせると、

『それはな・・・』と再び説明していった。


「・・・にゃ、にゃるほど・・・。

 『核』を新たにした事で、俺の『魂』に刻まれている、

 色んな力が混ざり合ってあんな感じになったって事か?」


「あぁ・・・。簡単に言えばそう言う事だ・・・。

 だから『霧状』でもなく『爆炎』でもない『赤黒い力』が、

 噴き出したって訳だ。

 だから俺達が改めてその力を行使させ、

 あの『赤黒い力』がなくなっている事を確かめたんだ」


「ふぅ~・・・。

 溜まっていた悪いガスを放出したって事ね~

 にゃるほど・・・やれやれ」


「・・・ははは」


一通り説明を聞き終えた悠斗は、

大きく息を吐きながらその場に座り込んだのだが、

スタークだけは1人・・・とても訝しい表情を浮かべ、

悠斗に対しその視線は実に冷たいモノだった・・・。


「なっ、何だよ・・・スターク?

 俺ってば・・・他にも何かやらかしたか?」


そう言った悠斗の声に賛同するかのように、

虎恫もまた・・・何度か頷いていたのだった・・・。


すると『はぁぁぁ~』っと大きく溜息を吐いたスタークが、

悠斗と虎恫に対し呆れた声を発した・・・。


「お前達・・・。

 俺がどうして溜息を吐いたメルか?

 そしてお前達の事を冷たい視線を向けている理由が・・・

 本当にわからないメル?」


スタークのそんな声に、今度は悠斗と虎恫が顏を見合わせ、

互いに首を傾げて見せたのだった・・・。


そして『はぁぁぁ~』っと再び溜息を吐いたスタークは、

まるでゴミでも見るような視線に変わると、

その理由を口にした・・・。


「ユウト・・・」


「・・・な、何?」


「お前・・・どうして全裸なんだメル?」


「・・・へっ?」


「・・・・・」


唖然とする悠斗に対し虎恫は余りの驚きに言葉を失った。


「だーかーらーっ!

 どうしてお前は全裸メルかって聞いているんだメルゥゥゥっ!?」


「わっ、忘れてたぁぁぁぁっ!」


己の状態を改めて認識した悠斗は、

顏を真っ赤にして絶叫したのだった・・・。


そしてそんな時・・・。


小声で虎恫はこんな言葉を口にした・・・。


「き、気付かなかったが、実は俺・・・。

 部屋の中では『裸族』・・・だから・・・」


そう呟いた虎恫の声は何故か、

絶叫する悠斗の叫びを瞬時に止め・・・。

拒絶の表情を見せるスタークに顏を引き攣らせることになるのだった・・・。



一夜明け・・・。


サンダラー邸の一室に、

ヴァンを除く関係者一同が集まっており、

初対面である者達は悠斗に軽い挨拶と自己紹介をし終えていた・・・。


「さて・・・悠斗君。

 君の魂が今入っている擬体の『核』を、

 俺とこの『陽』が新たに創り出したんだけど・・・

 別に何か変わった事はないかい?」


そう尋ねられた悠斗は『うーん』と考え込むと、

『今の所別に問題ないよ』と笑顔で答えた・・・。


その声に軽く頷いて見せたヲグナと陽だったが、

ふと・・・悠斗の表情に違和感を感じ取った・・・。


「・・・ん?悠斗君。

 何か神妙な面持ちだけど・・・何かあるのかい?」


「いや・・・。別に問題があるって訳じゃないんだ。

 ただ・・・さ・・・」


「・・・ただ?」


「どうしてアスラってヤツの力が?って、

 ふと思ったからさ・・・」


少し首を傾げながら苦笑いする悠斗に、

ヲグナ達もまた似たような表情を見せたのだった・・・。


(今は本人に言わない方が得策かもしれない・・・。

 この冥界で魂だけの存在である彼には、

 あまりにも刺激的だろうからね・・・。

 まぁ~、来るべき時が来たら話す事にしよう・・・)



それから暫くの間・・・。


一同は悠斗の擬体について話して行く中、

虎恫からこんな話が持ち上がった・・・。


「冥王様やヲグナ様・・・。

 それに鬼神(キジン)の皆さんに問いたい議が御座いまして・・・」


突然虎恫からそう問われた者達は、

顏を見合わせながら『何だい?』と尋ねたのだった・・・。


「はっ、実はユウトの事ですが・・・」


「お、俺の事?

 まだ何かあるのかよ?」


悠斗が驚く中、虎恫は軽く頷いただけで流されると、

ヲグナ達に真剣な眼差しを向けた・・・。


「こいつは・・・。ユウトは・・・。

 いつ、肉体をいただけるのですか?」


『・・・っ!?』


虎恫の声に一瞬顔色を変えてしまったヲグナ達は、

少し項垂れ、己の未熟さを呪っていた・・・。


(じょ、上位神たるこの俺が表情に出るなんて・・・トホホ。

 でも・・・まぁ~しょうがないよね?

 そりゃ~気にもなるってものだよな~・・・)


『ふぅ~』っと息を吐いたヲグナは、

陽とサンダラーに無言の視線を向けると、

2人からも無言の頷きが帰って来た・・・。


『・・・わかった。

 では悠斗君の肉体についての話をしようか?

 でも・・・その前に・・・』


そう言うとヲグナは部屋の時計を指差すと、

『もう10時間くらい話しているから少し休憩しようか?』


そう言うと一斉に『ふぅ~』と緊張から解放された声が皆から聞こえ、

ヲグナ達も少しばかり疲労しているように見えた。



それぞれが思いのまま行動する中、

悠斗はバルコニーへと繋がる扉を開き風を浴びに出た。


(・・・色々と面倒な事になって来たな~?

 って・・・いつもそうだけど・・・あはは・・・あぁ~あ)


遠くに見える『黄泉道』を眺めながらそんな事を考えていると、

『ポン』と肩を叩かれ驚き振り返った・・・。


「な、何だ~・・・ヲグナか~?

 びっくりするからやめて欲しいんだけど?」


「あははは・・・すまないすまない。

 君が今、一体何を考えているのか気になっちゃってさ~?」


舌を『ペロっ』と出しながらそう言ったヲグナを見て、

ふと・・・。

懐かしい顔を思い出したのだった・・・。


「・・・ん?何だい?人の顏を見て笑ってさ~?」


「あははは・・・ごめんごめん。

 ふとさ・・・。

 ノーブルに居た頃のどうしようもない、

 グータラ創造神の事を思い出しちゃってさ~・・・」


「グ、グータラっ!?」


「・・・ん?どうしたんだ?」


「あはっ・・・ははは・・・。

 い、いや・・・そ、そんな創造神も存在するんだな~ってさ?」


「存在って・・・ヲグナ~?

 そんな怠慢な神を野放しにしてるって・・・

 それってば神としてどうなんだよ?」


「う、うぐっ・・・い、痛いところを・・・」


「ヲグナは『上位神』なんだろ?

 ならっ!もっとしっかり管理してくれないとっ!

 ミスティが困るだろっ!」


悠斗の口から思いがけない名を聞いたヲグナは、

二重に驚きその顔が引き攣ったのだった・・・。


「・・・ん?ヲグナ?

 ミスティの事・・・知ってるのか?」


「い、いや・・・し、知らないよ?

 ってか・・・。

 神だけでもどれだけ存在していると思っているんだよ?

 下々の神の名なんて・・・わかるはずないでしょ?」


「下々って・・・おいおい」


ヲグナの物言いに思わず悠斗も笑顔を浮かべ、

それに釣られるようにヲグナも笑顔を向け笑ったのだった。


そんな和やかな雰囲気の中・・・。

悠斗の目にあるモノが映り嫌な気配を感じた・・・。


「なぁ~・・・ヲグナ?」


「何だい?」


「その襟についてるソレ・・・何だよ?」


「・・・襟?」


悠斗が指し示したその指先の先にには、

ヲグナの服の服の襟の後ろに昆虫のようなモノがへばり着いていた。


「ほら・・・その虫っぽいやつ」


「む、虫っ!?うぎゃぁぁぁぁっ!」


『虫』と聞いたヲグナは顔色を変えると慌ててその服を脱ぎ捨てると、

ソレに向かって手をかざし『滅びよっ!』と声を挙げた。


そしてその瞬間『ブォっ!』と燃え上り、

脱ぎ捨てた服は一瞬にして消え去ったのだった・・・。


だがこの時・・・。

悠斗は奇妙な音を聴き取っていた・・・。


「なぁ~ヲグナ?」


「・・・ん?もう虫はいないよね?」


「あ、あぁ・・・でもさ・・・。

 服が燃えた時・・・一瞬『ジジっ』と音が聞こえたんだけど?」


「・・・僕には聞こえなかったけど?」


「ん~・・・気のせい・・・なのかな?」


「だと思うよ?

 俺は『上位神』だよ~?

 俺に何か出来る訳ないじゃないか・・・」


「・・・そう・・・だな」


「はっはっはっ!君も案外心配性なんだね~?」


「案外って何だよっ!?案外ってさっ!」


「はっはっはっ!悪い悪い♪」



再び長小屋かな雰囲気になった時だった・・・。

悠斗は突然神妙な表情に変わると話を切り出して来た・・・。


「なぁ~ヲグナ?」


「・・・今度は何だい?」


「俺・・・ノーブルに戻れるのか?」


そう言いながら真っ直ぐな視線を向けて来た悠斗に、

ヲグナは『フっ』と笑みをこぼした・・・。


「一応さ~・・・この後の話しで話す予定ではあったんだけど、

 簡単に今・・・話そうか?」


「・・・う、うん」


「悠斗君・・・結論から言うと・・・。

 今のままでは『人界』には戻れないよ?」


「・・・えっ?」


笑顔を見せてはいるものの、

ヲグナのその表情には感情が乗っていなかったのだ。


その言葉とその表情を見た悠斗は、

目の前が真っ白になって行くのを感じていたのだった・・・。

 


ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?


告知と言いますかお知らせと言いますか・・・。

次回223話からノーブルのお話となります。


まぁ~ちょくちょく悠斗のお話も挟みますので、

今後とも応援のほど宜しくお願いします^^


また登録や感想など頂けたら、

・・・まじで頑張りますw


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] いろいろと気になるポイントがありましたね。 それにしても神ってどれくらいいるんやー?どんな階級制度なんやー?とまだまだ謎だらけです。 次回からノーブルですね。 ぜひぜひ英二君を見たいも…
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