表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
316/408

221話・陰核

お疲れ様です。


最近ずーーっと出張続きであるのと、

この暑さに完全にやられております><


た、太陽ーっ!

ちょっとはこっちの身になれっつーのっ!

と、言うのが今の心境です^^;


さて今回の話は・・・。

悠斗の擬体に隠されたモノがメインとなります。


楽しんで頂けたら・・・と。



それでは、221話をお楽しみ下さい。

ヲグナの活躍によって命を取り留めたヴァンと、

突然意識を消失させた悠斗をサンダラーの屋敷に運び一夜が明けた・・・。


「ふむ・・・みんな揃っているよう・・・だね?って・・・」


サンダラーのとある一室に昨日あの場に居た者達が揃っていた・・・。

だが・・・。

『女帝』と言われる『冥王の姉』の姿が見当たらなかったのだ・・・。



「ってか・・・どうしてお前の『姉上』が居ないんだよ?」


『じ、実は・・・』やや顔を青くさせたサンダラーが口ごもると、

対面で腕を組んで目を閉じている黒犬が代わりに答えた・・・。


「ヴァマント様は昨日から『例の人族』の所に出向いておられましてな?

 何でも向こうでもトラブルがあったとかで・・・」


その黒犬の話にヲグナは『はぁ~』っと溜息を吐くと、

頭を掻きながら席に着いたのだった・・・。


そして出されたお茶に一口口を付けると、

不機嫌そうな顔を見せながら愚痴を言い始めた・・・。


「・・・まぁ~彼女は別に~?

 あの場に居なかったからいいんだけどさ~。

 ってか、彼の所でもトラブルって・・・やれやれだよ」


その愚痴にその場に居た者達は苦笑いを見せると、

続けて何か思いつめた表情を浮かべながら呟いた・・・。


「浅野涼平・・・いや、今の彼の名は・・・

 そう、確か・・・ユウナギだったかな?

 彼も試練をクリアしなくちゃ、

 この先・・・辛くなっちゃうよね・・・まったく・・・」


その呟きが聞こえるか聞こえないかの絶妙な声を発すると、

『さぁ・・・始めようか』と話を進めて行った・・・。


すると先程まで青い顔をしていたサンダラーが、

ヲグナに質問したのだった。


「ヲグナ様・・・。

 『絶様』は・・・?」


その『名』に『ピクリ』と反応したヲグナは、

盛大に顔を引き攣らせると苦々しい口調でこう言った・・・。


「あ、あいつ・・・?

 あいつ・・・ぜんっっっぜんっ!捕まらないんだよっ!?

 連絡1つ寄越さないでさ~・・・。

 一応あいつも神なんだからさ~

 連絡ぐらいしろってんだよっ!?

 『報連相』って言葉・・・知らないのかっ!?」


この場に居た連中は皆、

暫くの間『絶』に対する愚痴を聞く事になったのだが、

時間にしておよそ・・・1時間にも及んだとか・・・。


一頻り愚痴を言い終わったヲグナは、

何事もなかったかのように本題へと話を進めた・・・。


「で・・・?サンダラー・・・。

 ヴァン君の具合はどう?」


「はっ、身体に関してはヲグナ様の処置のおかげで、

 何事もないのですが・・・」


少し言いにくそうに言ったサンダラーに、

ヲグナは軽く何度か頷くと『まだ目覚めないか・・・』と呟いた。


すると黒犬が『もしかすると・・・』と声を挙げると、

ヲグナが話を続けるよう勧めた・・・。


「恐らくではありますが・・・。

 彼の・・・『鬼の力』をモロに浴びた影響も・・・」


その黒犬の声に一同納得すると、

ヲグナは『時期に目覚めるから安心しなよ』とそう言った。


そして次に・・・。

ヲグナはヴァンの『切断した両腕』の話を切り出して来ると、

あの場に居た者達の表情に緊張が走った・・・。


「一応あの両腕は送るには送ったんだけどさ~・・・」


そう言い始めたヲグナの歯切れが悪い事に皆が眉を潜めた・・・。


「・・・送るにはって?

 ヲグナ様にしては歯切れが悪いですね?

 何かありましたか?」


「・・・あぁ~、実はさ~?」


そう言いながらやや溜息混じりでそう言い始めると、

再びお茶に口をつけ『ふぅ~』と大きく息を吐いたのだった・・・。


「まぁ~この場に居るメンツになら、

 別に話してもいいかな~って事で話しちゃうとさ?

 『神の創りし擬体』に関して・・・。

 俺的にちょっと思う事があるんだよね~・・・。

 だからさ・・・実はあの『切断した両腕』はさ、

 俺の知り合いの所に送ったんだよね~・・・」


苦笑いしながらそう言ったヲグナに、

皆から『知り合い・・・?』と口々に声が漏れていた・・・。


するとやや控えめに挙手をした南雲が、

申し訳なさそうに口を開いた・・・。


『儂・・・擬体の事は知らんのじゃが?』


南雲の声に皆が『ハっ!?』とする中、

ヲグナはやや声を荒げて『お前はいいのっ!』と口にした。


「そ、そうなのっ!?わ、儂はいいのっ!?」」


ヲグナの勢いで納得するしかなかった南雲だったが、

黒犬が苦い顔を見せながら・・・。

『俺は説明を受けたが、お前には説明していなかったな?』と

何故か拗ねているヲグナの代わりに説明した。



その間・・・。

ヲグナは何やら『ブツブツ』と言いながら、

お茶を飲み干しサンダラーのメイドにお代わりをもらう頃、

説明をし終えた黒犬が話を進める為、

ヲグナに事情を求めたのだった・・・。


「して・・・ヲグナ様?

 何故『ラボ』が信用出来ない・・・と?」


『あぁ、それは・・・』と険しい表情に変わると、

その場が突然緊張に包まれた・・・。


「現・ラボの主任・・・。

 まぁ~とりあえずこの場では名を伏せておくが、

 どーも・・・素性が・・・な?」


その物言いにヲグナらしからぬ雰囲気を察すると、

皆はそれ以上詳しく聞こうとはしなかった・・・。


そんな空気にヲグナは『皆、すまない』と頭を下げると、

『ただ・・・』と言葉を続けたのだった。


「今の『ラボ』には何かある・・・。

 まだ分からない事だらけだが・・・そのうちに・・・」


何かしらの強い意志を感じ取った一同は、

小さく頷くと悠斗の話しへと入って行ったのだった・・・。



その悠斗に関してサンダラーが口を開いていった・・・。


「彼もまた未だ目覚めず、

 ユウトに関してはヴァンと違っていつ目覚めるのやら・・・」


そう言いながら険しい表情を見せたサンダラーに、

ヲグナは口を開いていった・・・。


「何故かはまだ分からないが・・・

 ヤツの・・・アスラの因子によって、

 有り得ないほどの力を放出させたんだ・・・。

 だからその反動が来ているんだろうし、それにさ~?

 彼が擬体だったから・・・

 アレくらいで済んだ・・・と、俺は思っている。

 もし、アレが生身だったら・・・?」


険しい表情を皆に向けながらヲグナがそう問うと、

皆が内心『ゾっ』としていたのだった・・・。


それを感じたヲグナは話を続けた・・・。


「心配するとすれば・・・だ。

 彼の『魂』がどれほどのダメージを受けたか・・・?

 それが一番の懸念材料だよ・・・」


そんなヲグナの話にサンダラーは不安げな表情を見せると、

神妙な面持ちで話していった・・・。


「もし・・・『魂』にダメージがあったとしたら・・・。

 このままユウトは目覚めない・・・と?」


「あぁ・・・もしそうなら・・・ね?」


この場に居た者達がヲグナの言葉に項垂れていた・・・。


そんな様子にヲグナは僅かに口角を上げると、

『彼って意外と好かれてるよね?』と呟いた・・・。


そして更に話をこう続けた・・・。


「諸君っ!落胆する事はないよ・・・」


『・・・・?』


「だってさ~・・・

 まだ彼の魂が大回廊に戻って来たって報告は聞いてないしさ?

 それに考えてもみてよ~?

 僕が言うのも何だけどさ~・・・

 彼ってしぶとそう・・・でしょ?」


おどけた口調でそう言ったヲグナに、

皆が『確かに・・・な』と少し・・・笑顔になった。


だがそんな雰囲気の中、

再びヲグナは険しい表情を見せながら口を開いた。


『これくらいでくたばるほど・・・。

 彼は生温い中で生きて来た訳じゃないからね。

 彼とアスラの『因果関係』だけじゃない・・・。

 きっと何者かが『裏』で操っているヤツがいるはずさ・・・。

 そう・・・。俺にはあの『アスラ』さえ、

 『駒』の1つであるような気がするんだ」


その重苦しい空気の中・・・。

皆が『ゴクリ』と喉を鳴らした時、

ヲグナの瞳が妖しく光り、その雰囲気に寒気が走った。


『・・・今はまだそいつの影すら見えないけど、

 必ず突き止める・・・。

 そしてその為にも彼には・・・。

 『神野悠斗と浅野涼平』この2名には、

 こんな所で死んでもらっては困るんだ・・・』


その名を口にしたヲグナに誰も何も言えなかった・・・。

そしてそのを知る者・・・知らない者・・・。

各々にその者達の顔を思い浮かべながら、

話は次の話へと移って行ったのだった・・・。



『で・・・。次の話へと行きたいところなんだけど・・・』


そう言いながらヲグナは部屋に在る時計に視線を向けた・・・。

その様子に黒犬が『どうかされましたか?』と尋ねると、

『・・・遅いな?』と口にした・・・。


「いや、ちょっとある人物を待っているんだが・・・」


「・・・ある人物?」


ヲグナは軽く頷きながら再び時計に目をやり、

お茶で喉を潤すとティーカップを置いた。


「実は今、俺の知り合いに彼の・・・。

 悠斗君の擬体を調べてもらっているんだよ」


「・・・あの擬体をですかっ!?」


「あぁ、だってさ~考えてもみなよ?

 あの意識の絶ち方はあからさまに何かある証拠でしょ?」


そう答えるヲグナに南雲が険しい表情を見せながら口を開き、

またその声に皆も頷くのだった・・・。


「しかしながら『孫』のあの擬体を、

 此処に居られる冥王様や黒犬様がお調べになりましたが、

 別段変わったモノなど見つかっておらぬと聞いておりますが?」


一同が頷くのを見たヲグナは、

何故か得意げに『チッチッチッ!』と指を立てながら言うと、

悠斗の擬体について把握している事を口にした。


「彼が意識を絶つ間際・・・聞いちゃったんだよね~?」


「な、何をですかっ!?」


「・・・バキンって何かが割れる音をさ♪」


皆が顏を見合わせ確認を取るかのようにしているが、

皆は小さく頭を横に振っていた・・・。


この場に居る皆が意思疎通を確認すると、

『・・・それは本当なのですか?』と南雲が訪ねた。


「あぁ、本当さ・・・。

 君達とは距離があったしね~。

 それにあの力の前に様々な感覚が鈍っていたはずだ・・・

 だから聞こえなかったのさ」


そう話し終えたヲグナはふと何者かの気配を感じ取り、

『・・・やっと来たか』と口にした。


『トントン』とその部屋の両開きの扉がノックされると、

その向こう側からメイドの声が聞こえた・・・。


『・・・(よう)様がご到着されました』


『入ってくれ』


『かしこまりました』



部屋の両開きの扉が『ギギィ』っと音を立て開くと、

そこにはメイドの背後で見知らぬ男が『大きなあくび』をしていた。


その男の白髪混じりのぼっさぼさの頭髪と、

彼の額には『二本の角』が生えており、

背丈はおよそ2ⅿほど・・・。

そしてその身なりは和装の上に白衣を着ており、

それを見てわかる通り『研究者』だと理解出来た・・・。


そして入室と同時にサンダラーが大きな声を挙げた。


「あっ、貴方様はぁぁぁっ!?」


そう声を張り上げると慌てて立ち上がり深々と頭を下げたのだった。


「ご、ごごごご・・・ご無沙汰しておりますっ!」


「・・・・・」


突然大声を挙げたサンダラーに『陽』は眠い目を擦すると、

一言・・・こう言った。


『・・・誰だっけ?』


「・・・えっ?」


『ふぁぁぁ~』っと再び大きなあくびをした『陽』は、

メイドに促されるまま着席すると、

差し出されたお茶に口をつけて安堵の息を漏らした・・・。


「・・・・・」


頭を下げたまま硬直するサンダラーに誰も触れずに居ると、

ヲグナは『座ってくれ』と無慈悲な声が聞こえた。


「・・・はい」



漸く・・・。

ヲグナが待ちわびた者が到着した事によって、

『次』の話へと移行していった・・・。


「え~っと・・・次の話は悠斗君の擬体についてだ」


そう話し始めたヲグナに、

少しザワ着いていた者達を代表して、

南雲が声を挙げた・・・。


「す、すまぬのじゃが・・・ヲグナ様」


「・・・ん?」


「その御方がどなたかを説明してもらえると有難いんじゃが?」


「・・・説明・・・ね~?」


ヲグナは眠そうにしている『陽』を横目で見ると、

『わかった』とそう答え説明したのだった・・・。


『・・・彼の名は『陽』

 彼は『鬼神(キシン)』である『絶』の仲間で『鬼神(キジン)』だ』


『・・・・・』


ヲグナの声にザワついていた者達が妙な雰囲気になったのを感じると、

ヲグナは『・・・今度は何?』と口にした。


「あ、あの~・・・大変申し訳ないんじゃが~・・・。

 『鬼神(キシン)鬼神(キジン)』の違いが分からんのじゃが?」


南雲の質問にヲグナと彩は首を傾げて見せると、

『あぁ~』と呟き、何かに納得したのか簡単に説明した。


『まぁ~そうだろうね~?

 読み方が違うってのがややこしところなんだけど・・・。

 まぁ~簡単に言うとさ・・・。

 鬼神(キシン)ってのは鬼の世界の『神』の事で、

 『一本角』である事が最低条件であり、

 鬼神(キジン)ってのは基本的に『二本角』である事だな』

 

『角の本数によってそんなに実力差が?

 興味深い話ですな~?』


「あぁ、まぁ~そんな感じだ・・・。

 そして彼・・・『陽』はだな?

 『五鬼神』として絶大な力を誇る者達の1人だよ。

 ち・な・み・に・・・。

 残りの者達は皆『二本角の鬼神(キジン)』なんだ。

 そしてついでに言うとさ~・・・。

 彼は主に『擬体の研究』などをしていて、

 その道の『エキスパート』でもあるのさ♪」


『おぉぉぉ~』


その簡単な説明に納得したのを確認したヲグナは、

気分良く笑みを浮かべると、今回の本題と言っていい・・・。

『次の話』へと移ったのだった・・・。



『悠斗君の擬体についてたが・・・』


再びそう切り出したヲグナに、

皆が黙って頷き話に耳を傾けた・・・。


「陽・・・頼めるか?」


「・・・はいよ~」


だらっとそう返事をした『陽』はマジックボックスを開くと、

中から『擬体の鑑定結果』と書かれた資料を取り出した・・・。


そして『パラパラ』とめくりながら再び確認すると、

その資料を閉じ口を開いていった・・・。


「えぇ~っと~・・・。

 彼・・・。つまり『神野悠斗の擬体』を鑑定した結果、

 とても珍しいモノが見つかったんだよね~・・・」


『珍しいモノ?』


ヲグナが少し眉間に皺を寄せてそう聞き返すと、

『陽』は『とりあえず最後まで聞いてから質問してね~』っと、

抑揚なくそう答え、その声にヲグナは顔を引き攣らせた。


「で・・・話を戻すけど~。

 通常我々神が使用する擬体の場合・・・。

 『核』と言われる『神力の結晶体』が使われているんだ。

 だけどあの擬体は何処かの『人族の研究者』によるモノであり、

 根本的に違うんだよね~」


そう説明した所で『陽』は頭を数度掻くと、

再び話を続けていった・・・。


「んー・・・。

 ところがさ~・・・どうにもあの擬体・・・変なんだ」


「・・・変?」


「あぁ、『神力の結晶体』である『核』が使えないから、

 それを補う為に『魔石』を代用するのはわかるんだ・・・。

 だけどさ~・・・わからないんだ・・・」


「・・・わかるのにわからないってどう言う意味なんだ?

 矛盾しているだろ?」


「んー・・・彼の使っている擬体。

 『魔石の陰に違う魔石』が在るんだよね」


『・・・?』


『陽』の言葉の意味が理解出来ない者達は、

ただ首を捻るしかなかった・・・。


だが理解出来ているはずの者達にも、

今の『陽』の発言は理解出来なかったのである・・・。


「おいおい・・・陽。

 俺や冥王・・・それに黒犬までも理解出来ていないんだけど?」


ヲグナの最もな質問に『陽』は『だよね~?』と言って、

再び頭を掻き始めた・・・。


するとサンダラーが神妙な面持ちで、

頭を掻く『陽』に尋ねたのだった・・・。


「・・・魔石の陰にと言う言葉の意味も理解出来ないのですが?

 そもそも『陰』とは一体?」


そう尋ねたサンダラーに同意を示すかのように、

黒犬もまた頷いていた。


「だよね~?んー・・・どう言えばわかるだろ?

 例えば~・・・そうだな~・・・。

 あの擬体の『魔石』って、どうやら『特別』みたいでさ?」


「・・・特別・・・ですか?」


「うんうん・・・特別も特別。

 誰かの手によって細工が施されているようなんだけど・・・」


その魔石が『特別』であると告げた『陽』だったが、

表情は浮かないモノだったのだ・・・。


するとヲグナが『陽』を急かすように口を開いた。


「じれったいなーっ!?

 ちゃんと説明してくれよっ!」


「・・・わ、わかってるよ。

 だけどさ~・・・この僕にもよくわからないんだ」


「はぁぁぁっ!?君ほどの男が・・・。

 たかが『人族』が作り出した『モノ』がわからなって言うのかっ!?」


そう声を挙げ驚くヲグナに『陽』は肩を落とすと、

力なく答えたのだった・・・。


「うぅぅ・・・そう正面きって言われると情けなくなるんだけどさ~

 正直わからない。この僕にも・・・ね」


「・・・嘘だろ?

 君ほどの男が分からないってそう断言するのかっ!?」


「・・・製作者はどう言う理由で、

 この小さなモノを『魔石』に隠したのか?

 本当に皆目見当もつかないんだよね・・・」


力なくそう答える『陽』に、

ヲグナは首を傾げながら疑問を口にした。


「・・・小さいモノを魔石に隠した?

 どう言う意味なんだよ?」


「えっと~・・・ね。

 通常の・・・とは言っても・・・。

 『神の鑑定』などでは発見出来ないよう細工されていて、

 僕みたいな『特殊な鑑定』が使えないと、

 発見出来ないようになっているんだよね~」


「・・・はぁぁぁっ!?」


そう驚きの声を挙げたのはヲグナだけではなかった。


『神の鑑定』でも発見出来ないと聞き、

擬体の事は分からずとも『神』でさえも発見出来ないと聞いた者達は、

あまりの衝撃に愕然としたのだった・・・。


『神にも・・・?』


『まさか・・・の。

 神でさえも欺く事が出来る『人間』がいるとはの?』


『・・・もしかすると、あの時の『人族』が創ったメルか?

 もしそうなら・・・凄過ぎるメルっ!?

 サ、サインくらいはもらっておくべきだったメルっ!?』


それぞれが反応を示す中、

ヲグナは一段と険しい表情浮かべて居たのだった・・・。


(そんな事が有り得るのかっ!?

 神々を凌駕する者が居る・・・馬鹿なっ!?

 一体そんなモノをどうやってっ!?)


両手を組み合わせているヲグナの手に、

より一層の力が込められると、

それを横目で見ていた『陽』が口を開いた・・・。


「・・・ヲグナ、これはあくまで僕の予想だけど、

 確かにコレを作ったのは『人族』なのだろう・・・。

 だけどどう考えてもコレは『人族』にも介入出来ない領域だよ?

 ・・・ちゃんと調べた方がいいかもしれないね?」


険しい表情を浮かべるヲグナに、

『陽』はそう言いながらその肩を軽く叩いたのだった。


「あ、あぁ・・・すまないな・・・陽。

 一度製作者である『彼』に会う必要があるね?」


「・・・そうだね。

 出来れば僕もその『人族』には会って見たい」


「・・・えっ!?会ってみたいのっ!?」


そう驚きの声を挙げたヲグナに『陽』は首を傾げた。


「えっ!?そんなに驚く事っ!?」


「いやいやいやいやっ!

 だって・・・君・・・他人に全く興味を示さないじゃないかっ!?」


「・・・失敬だな・・・君はっ!?

 ぼ、僕は~・・・その~・・・アレだ・・・。

 誰かに対してちょっと興味が薄いだけなんだっ!

 でも・・・コレを作った者には・・・

 んー・・・非常に興味は尽きないね~♪」


そう楽し気に笑みを浮かべる『陽』に、

ヲグナは驚きを隠せなかったのだった・・・。



すると『陽』は突然こんな事を言い始めた・・・。


『あの核となる魔石の陰に在るモノ・・・。

 それを僕は『陰核(いんかく)』と命名する事にするよ』


何もない空間を見つめながら笑みを浮かべる『陽』を見たヲグナは、

言い知れぬ寒気が『ゾクっ』と走ったのだった・・・。




ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


メインとなるのは『陰核』の話でしだか、

完全に明かされた訳ではありません。

正直・・・。

触れた程度なので今後とも楽しんで読んでもらえるよう、

日々精進したいと思いますので、

応援のほど宜しくお願いしますっ!


登録や感想など頂きたく思いますので、

どうかお願いしますっ!


ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やはり擬体がらみで何かありそうですね。 ユウナギの方ともめちゃくちゃシンクロしてて目がはなせませんね♥︎ そういえば「神々に巻き込まれた者達」は続き書かれないのでしょうか? あちらもつ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ