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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
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215話・ヴァンの素体と羊の秘密

お疲れ様です。


とりあえず無事に退院しましたっ!

ストックはまだあるので問題はないのでご安心をw


さて今回のお話ですが・・・。

簡単に言ってコミカルな話となっております^^


あと数話で悠斗の話は終わり、

残された『人界』の人達の話へと変わります。


楽しんでもらえたら幸いですが、

登録や感想などを頂けたら・・・か・な・り・嬉しく思いますw



それでは215話をお楽しみ下さい。

~  冥界王・サンダラーの屋敷  ~


意識を消失した悠斗が担ぎ込まれた病室で、

2人の男が悠斗を挟んで向かい合っていた・・・。


(・・・ヴ、ヴァン様が・・・ど、どしてユウトの病室に?

な、何故・・・だっ!?ど、どうして此処にいるっ!?

 あ、あれだけ敵対していたではないかっ!?)


冷汗が止まらない虎恫が顏を伏せるもその目は、

『キョロキョロ』と定まる事がなく、

とても居心地が悪かった・・・。


すると突然ヴァンが『・・・おい、お前』と口を開くと、

『はっ、はぃぃぃっ!』と、

虎恫が悲鳴にも似た声を発しながら直立しそのまま固まった。


「・・・と、突然・・・すまん」


「い、いえ・・・お、俺の・・・。

 いや、私の方こそ・・・」


「ふむ・・・普通に話せ。

 それとだな・・・頼むから座ってくれ・・・。

 落ち着かんからな・・・」


「は、はいっ!かしこまりましたっ!」


『ドスンっ!メキっ!』


勢いよく座った虎恫の椅子からは、

悲鳴にも似た椅子の軋みが聞こえ、

その様子にヴァンも無言となってしまった・・・。


「・・・・・」


『はぁ~』っと2人がほぼ同時に息を吐き出すと、

『コホン』と咳払いを1つした後、

未だ眠る悠斗に視線を移したヴァンが静かに口を開いた・・・。


「・・・な、なぁ、お前の名は?」


そう静かに発せられた言葉に虎恫は『虎恫と申し・・・ます』

その返答に苦笑いを見せたヴァンは気分を変えようと、

『自己紹介』を始めた。


「虎恫か・・・まぁ、俺の名を知っているとは思うが、

 改めて名乗ろう・・・ヴァン・アレンだ・・・宜しくな」


「・・・はい、ヴァン様」


「・・・ヴァンで・・・いい・・・」


「い、いや・・・でも・・・」


「・・・構わん」


「し、しかし、貴方様は将来この冥界を背負って・・・」


「・・・そんなモノどうでもいい・・・

 お互いにこれからは・・・」


「しかしそれではっ!?」


「・・・しっ、しつこいぞお前っ!?

 このやり取りを何度するつもりだっ!

 も、もう面倒臭いから対等でいいだろっ!?」


「た、たたたた・・・対等など滅相もないっ!」


虎恫の態度にヴァンは顔を顰めると、

『頑固者』に対して苦言を呈した。


「あ、あのな~・・・?虎恫よ。

 お、鬼ってのはみんなそうなのか?」


「・・・そ、そうなのか?と言われましても」


「あぁぁっ!もうっ!お前面倒臭せーよっ!?

 俺がいいってんだから対等でいいんだよっ!

 わかったかっ!?」


「・・・う、うぐっ」


半ば強引にヴァンの迫力に気圧されると、

『・・・わかった』と、漸く返答した虎恫に、

ヴァンは『お前は頑固過ぎるだろ・・・』と、

再び愚痴を言いながら話を進めて行った・・・。


「なぁ、虎恫よ・・・この人族・・・。

 ユウトは一体何者なのだ?」


「・・・何者と言われても、

 俺とユウトが出会ったのはほんの一瞬のようなモノだから・・・」


「・・・一瞬のような?」


そう聞き返してきたヴァンに、

虎恫眠ったままの悠斗を見ると『フッ』と笑みを浮かべた。


「あぁ・・・。こいつとの出会いは一瞬・・・。

 敵同士で出会い、そして俺はこの人族に敗れた・・・」


「敗れたってお前は『鬼』なのだろ?

 それなのに人族如きにお前は敗れたのか?」


ヴァンの物言いに虎恫は『敗れた・・・か・・・』

そう含みのある笑みを浮かべながら呟くと、

目の前には不思議そうに首を傾げるヴァンに苦笑いをして見せた。


「あぁ・・・俺はこの人族に負けた・・・。

 しかも・・・だ。

 ほぼ一瞬と言っていいくらいにな・・・」


「・・・嘘だろ?」


「いや、嘘ではない・・・。

 そしてそれはこの冥界の地でも証明された・・・」


「・・・戦ったのか?ユウトと?」


興味深そうにヴァンが身を乗り出して聞き返すと、

『敗者』となったにも関わらず、

この虎恫は楽し気に話していくのだった・・・。


「フッフッフッ・・・戦った・・・戦ったよ・・・。

 まぁ~再び出会えるとは思ってもいなかったが、

 この冥界で多少なりとも鍛えた俺だ・・・。

 正直・・・勝てると思っていた」


「・・・だろうな?

 お前は伯母上に気に入られていたと聞くからな?

 『生』を再び受けたお前は以前とは比べ物にはならんだろ?」


「・・・そうだな。

 ヴァマント様に俺には『三本角』の価値があると言ってもらえたからな。

 だからまぁ~、俺もついその気になっていた。

 だが、こいつは・・・ユウトは・・・

 そんな俺を実力も出さずに簡単にあしらって見せた・・・。

 それこそ・・・子供扱いするようにな?」


「お、鬼を子供扱いって・・・」


「ハッハッハッ・・・まぁ~鬼を知る者であれば、

 当然そう言うだろうが・・・な。

 でもユウトは・・・俺にこう言った・・・。

 『手加減はした・・・』とな?」


虎恫の話にヴァンは眉間に皺を寄せ、

再びその視線を悠斗へと向けると『・・・こいつがね~』と、

そう言いながらも、何故かニヤけていたのだった・・・。


「ハッハッハッ!笑っちまうだろ?

 こいつは鬼相手に・・・手加減したと言ったんだ」


「・・・だな?

 確かにそれは・・・笑える話だ」


そうヴァンの言葉がこぼれたものの、

その表情に笑みはなく険しい表情を浮かべていた。


(・・・鬼を相手に己の力を出さずに勝つって、

 こいつの存在は一体?)


するとふと・・・。

眠る悠斗の傍らに立て掛けられていた『刀』に視線が移ると、

『・・・これって、ユウナギさんの?』と、言葉が漏れ、

その名に虎恫は訝しい表情を浮かべて居た。


不意にヴァンはその立て掛けられていた刀に手を伸ばすと、

自分の顏の前で静かに引き抜き、

その鈍く光る『刃』をじっと見つめ笑みを浮かべ言葉がこぼれた。


「あの鬼の気を纏っても、刃は何ともないのだな?

 ・・・流石だぜ・・・ユウナギさん」


再び聞いたその名に興味を持った虎恫は、

ヴァンに『それは誰だ?』と尋ねたが、

『すまん・・・今は言えないのだ』と断った。


「そ、そうか・・・それは残念だが・・・」


「すまんな?伯母上達から許しが出たら話してやるよ」


「・・・わかった、その時を楽しみにしている」



そして1時間程経過した時だった・・・。


虎恫の様子が『そわそわ』している事に気付くと、

戸惑いの表情を浮かべたヴァンが、堪り兼ねて口を開いた。


「お、おい・・・虎恫。

 何をそんなにそわそわしているんだ?」


そう尋ねられた虎恫は『チラっ!チラっ!』とヴァンを見ながら、

何やら戸惑っているようだった。


「だから・・・虎恫っ!

 俺に何か言いたいのなら言えっ!

 そんな視線を向けられては・・・気になって仕方がないぞっ!?」


虎恫は『あはは・・・そ、そうだよな~?』と乾いた笑みを見せると、

『なぁ~・・・ヴァン』と、話を切り出して来た。


「と、とても言いにくく・・・き、聞きにくい事なのだが?」


そう話を切り出した虎恫の表情は、

とても緊張した面持ちへと変わった。


『ゴクリ』


「なっ・・・な、何が聞きたいっ!?」


虎恫の緊張が移ったのか、

ヴァンは声を張り上げながら思わず立ち上がった。


「・・・ヴァンっ!」


「・・・なっ、何だよっ!?」


「お、お前の素体って・・・」


「俺の・・・素体?」


ヴァンの『素体』について虎恫が口を開いた時、

再び緊張が走ると再び『お前の素体って・・・と・・・』

緊張しながらも虎恫がそう言いかけた時だった・・・。


『お前の素体って『鳥さん』なんだな?』


「うぎゃぁぁぁっ!?」


「う、うおぉぉっ!?」


突然『ガバっ!』と起き上がった悠斗が、

虎恫の言葉を奪い楽し気に声を挙げたのだった・・・。


余りの出来事に虎恫とヴァンは大声を挙げると、

座る椅子から数センチ飛び上っており、

その反動で窓から垂れ下がる『カーテン』に半身を隠したのだった。


「あっはっはっはっ!2人とも~♪

 驚いてやんの~♪

 まじでウケるぅ~♪」


『お、おま・・・おまおまおま・・・』


とびっきりの笑顔で話す悠斗に、

身体の半身を隠したヴァンは、驚きのあまり上手く話せずに居た。


すると突然・・・。

悠斗が眠っていたベッドの向かい側の『カーテン』が引かれると、

『お前達っ!五月蠅いメルゥっ!!』と、

スタークが追い打ちをかけるように怒声を発した。


『うっぎゃぁぁぁっ!?』


『ぐぅおぉっ!?』


再び驚きの声を挙げた虎恫は再び飛び上ると、

その引き攣った表情の頬を嫌な汗が伝って行ったのだった・・・。


そしてヴァンはと言うと・・・。


『はぁ、はぁ、はぁ・・・』と、

腰でも抜かしたのか病室の床に尻もちを着き、

肩で息をし、心臓の辺りを押さえていた。



「ヴァン・・・お前~・・・驚き過ぎだろ~?

 あっはっはっはっはっ!」


「そうだメル~♪

 ヴァンって意外と臆病なんだメル~♪」


崩れ落ちたヴァンを、悠斗とスタークが笑い飛ばしていると、

少し落ち着いた虎恫が溜息を吐きながら口を開いた。


「お、お前達・・・何をやってんだよ?

 俺達を驚かせてそんなに楽しいか?」


虎恫の言葉に悠斗とスタークは視線を合わせると、

『ニヤ~』と笑みを浮かべた。


「そりゃ~楽しいに決まってるだろ?

 鬼と破壊者を継ぐ男なんだからさ~♪」


「・・・くっ」


「とっても面白いメル~♪

 とくに・・・ヴァンのあの驚きようったら笑えるメル~♪」


「・・・ぐぬぬぬ」


虎恫とヴァンはそう苦悶の表情を浮かべていると、

突然『バンっ!』とドアが開き、

看護師が『だ、大丈夫ですかっ!?』と飛び込んで来た。


そして再び虎恫とヴァンの叫び声が屋敷中に響き渡ると、

今度は看護師の怒声が響き渡り、

それは1時間にも及んだのだった・・・。



暫くしてサンダラーの屋敷から追い出される形となった者達は、

『トボトボ』と屋敷の門から出て来ると、

今後について話を始めたのだった・・・。


「で・・・ユウト・・・。

 お前はこれからどうするんだよ?」


この冥界の地に家を持たない悠斗は、

虎恫の問いに『うーん』と唸っていた。


そして暫く考えた結果、

その答えにヴァンも虎恫も呆れ返っていた・


「そうだな~・・・野宿でもいいかな~って思ってるけど?」


『・・・は、はぁぁ~?』


「・・・えっ!?ダ、ダメなのかっ!?」


本気で驚いた様子を見せる悠斗に、

この場に居た全員が『こいつはヤバい』と本気で思っていた。


するとその小さい身体を最大限に使うように、

スタークが何度も飛び跳ねながら何かをアピールしてきた。


「ぼ、僕の・・・僕の家に来るといいメルっ!」


満面の笑顔を見せながらそう言って来たスタークに、

ヴァンは渋い表情を見せると、やや説教気味に口を開いたのだった。


「お、お前の家って・・・。

 ダ、ダメに決まってるだろっ!?」


「ど、どうしてダメメルっ!?」


「そ、そりゃ~お前・・・。

 お前の住む森は『冥界の保護区』だからに決まっているだろっ!?」


「・・・?」


ヴァンの声にスタークは大袈裟なほど首を傾げて見せると、

『・・・知らない・・・のか?』と驚いていた。


すると悠斗が2人の話の間に入ると、

『『保護区』って何だ?』と尋ねて来た。


「あ、あぁ・・・このスタークの住む森って、

 別名『強者の森』って言われているんだが・・・」


「強者の森?」


「あぁ、基本的にその森へ入る事は禁じられていてな?

 王族の一部の者達にしか立ち入れを許されていないんだ・・・」


『・・・どうして?』と、

当然ながら訪ねて来る悠斗の声にヴァンは渋い表情を浮かべた。


「ま、まぁ~・・・お前になら話してもいいだろ?」


そう答えたヴァンは門の前から歩きながら説明を始めたのだった。


そしてその説明とはこうだった・・・。



遥か昔の事ではあるが・・・。


まだこの冥界の地に種別関係なく出入り出来た時代の事・・・。


その見た目の可愛らしさ・・・。

そしてその戦闘力に羊達を誘拐する者達が現れ始め、

『戦闘民族』である羊達は『密漁』の対象となり、

事態は『戦争』に発展するほど大きな出来事なった。


羊達を守る為に冥界の住人達は立ち上がったのだが、

『戦争』へと発展してしまった以上・・・。

『死者』も多数出す事になったのだった。


堪り兼ねた冥界の神々は神界の神々と協議した結果。

冥界の地にいくつかの『門』を設置し、

直接冥界の『大門』へと入れる者は、

『許可』を受けた者か『死者』のみとなったのだった・・・。


その為に『大回廊』が在る『大門』の傍には、

それを監視する『門番達』が常駐しており、

許可なき者達は即刻抹殺される事となった・・・。



大まかではあるがヴァンの説明を聞いた悠斗は、

『・・・あのさ~』と声を発した。


「・・・でも保護区になってるって事は?」


「あぁ・・・未だに密漁はあるんだよ」


「・・・まじか」


悠斗が険しい表情を浮かべて居ると、

それまで話を黙って聞いていた虎恫が口を開いた。


「そう言えばヴァン・・・。

 お前、スタークと戦っている時、

 『人界』で戦っていたような事を言ってなかったか?」


虎恫の問いに『あぁ~』とその時の会話を思い出したヴァンは、

その『人界』での話をし始めたのだが、

『女帝と王』にユウナギの事を口留めされている為、

話は少し濁す事にしたのだった・・・。


「・・・まぁ~そんな事があったが、

 無事にスタークを救出し、この地に戻って来たんだ」


「・・・にゃるほど。

 つまり未だ『密漁』は続いているから、

 『保護区』となっているって事か~・・・」


「あぁ、そう言う事だ・・・」


「でもさ~、良かったよな?」


「・・・何がだ?」


何気なく言った悠斗の言葉に一瞬その場に緊張が走り、

『ん?』と首を傾げた悠斗はヴァンの表情が強張った事に気付いた。


「・・・えっと~」


「ユウト・・・良かったとはどう言う意味だ?」


悠斗と向き合う形で足を止めたヴァンに戸惑いを見せると、

虎恫が慌てて2人に間に割り込んで来た。


「つ、つまり・・・アレだろ?

 いい人族に助けられて良かったって話だろ?

 な、なっ!ユウトっ!?」


「あ、あぁ・・・そうだけど?」


表情を変える事無く肯定して悠斗に、

ヴァンは『・・・そう言う意味か?』と呟くと、

その場の緊張が解けたのだった。


誤解が解けた悠斗達は再び移動を始めると、

スタークが『だからどうするメルか?』とみんなに口を開いた。


「ん~・・・俺の家はヴァマント様に借りているんだが、

 とても狭くベッドも1つしかないしな~」


虎恫は『すまん』と悠斗に対して頭を下げると、

『だから野宿でいいってばっ!』と悠斗は声を挙げた。


すると虎恫は悠斗の言葉に『お前な~』と反論してきた。


「お前此処が何処かわかってんのかっ!?」


「・・・冥界だろ?それくらい分かってるよっ!」


「いいやっ!お前は全然わかってねーよっ!」


「・・・分かってますぅ~」


「ユウト・・・お前というヤツはっ!」


まるで子供の喧嘩ような言い争いに、

ヴァンは呆れ返りスタークは『おろおろ』としていた。


「いいか・・・ユウトっ!」


「・・・何だよ?」


「この冥界の地は死者達にとっても命がけなんだぞっ!?」


「・・・死んでいるのに?」


「・・・あ、あぁ、そうだよっ!」


「この冥界には死者ですら安息出来ない理由ってのがあるんだよっ!」


「・・・どういう事だよ?」


ついさっきまで『死者』だった悠斗には理解出来なくて当然である。

何せこの地・・・冥界では、

死者の魂を専門に食す・・・

『ソウルイーター』が存在するからだった。


「・・・ソウルイーター?」


「あぁ、そいつらは死者を襲い魂を喰らう者達だ。

 魂を食われた者達は『転生』する事などなく、

 そいつらの力となり『負』のエネルギーとして、

 永遠に彷徨う事になるんだ」


虎恫の声に悠斗はヴァンに視線を向けると、

軽く『コクリ』と頷いて見せた。


無表情に頷くヴァンを見ながら悠斗は『ニヤっ』と笑みを浮かべると、

『そいつら・・・強いのか?』とそう尋ねてきた。


「・・・はぁ?お前、何言ってんだ?」


楽し気に尋ねてきた悠斗に、流石のヴァンも怪訝な表情を見せると、

悠斗は再び笑みを浮かべると口を開いていった・・・。


「そいつらを狩って行けば・・・

 俺はもっと強くなれるんじゃ・・・ね?」


『・・・はぁぁぁぁっ!?』


悠斗の声にこの場に居た面々が呆れた声を挙げ、

虎恫は頭を抱え込みながら諭すように話し始めた。


「お、お前・・・相手が誰か説明したよな~?

 ソウルイーターってのは、物理攻撃が通用しないんだぞ?」


虎恫は呆れながらも悠斗にそう言い聞かせようとするも、

その悠斗は反論したのだった。


「魂だけだからそう言っているんだろうけどさ~、

 俺には・・・鬼の気があるでしょうがぁぁぁっ!」


『なっ!』とそう言いながらヴァンに促すと、

『・・・そうとは限らないだろ?』と冷たく反論され、

またスタークには『強引過ぎるメル』と呆れたように言われた。


すると悠斗は辺りを『キョロキョロ』とし始めると、

『じゃ~試しにやってみようじゃんかっ!』と声を挙げた。


周りの静止を振り切るように駆け出した悠斗は大回廊に向かうと、

ふとその視界に『ゆらゆら』と浮遊しているモノを見つけたのだった。


「・・・ん?アレが・・・そうじゃないのか?」


目を細めソレを凝視すると、

ソレの手には『死神』が持つ『大鎌』があり、

『魂を喰らう者』のイメージにぴったりだった。


「おぉ~♪居た居た居たぁぁっ!

 アレ・・・だよな?

 でも・・・あの姿って俺達のイメージにある・・・

 『ザ・死神』なんだけど・・・まぁ~いいっか~♪」


悠斗は左の腰に携えた『刀』に視線を落とすと、

『はぁぁぁぁっ!』と気合いを入れた後、

一目散に駆け出したのだった・・・。


そしてその背後ではこんな声が発せられていた。


「そ、それはソウルイーターじゃないっ!

 それは『死者』に対し『絶対無敵』なっ!

 『死神様』だぞぉぉぉぉっ!?」


そんな虎恫の声も聞こえない程、

悠斗は楽し気に向かって行ったのだった・・・。


その光景を茫然と見る事になった者達は・・・。


「あ、あのバカっ!

 いくら擬体を纏っていようと、魂だけの存在のお前にっ!

 ソレはどうしようもないんだよ・・・」


そんな言葉が虎恫の口からこぼれ落ちたのだった・・・。


ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?

病室で騒いで追い出されると言うお話でしたが、

楽しんで頂けたでしょうか?


次回は思いがけない人が登場しますので、

楽しんで頂けたらと思います^^


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 思いがけない人って誰でしょう? キャラの範囲広くて全くわかりませんが楽しみにしています♪ ヴァンの鳥姿が想像つかないのですが、すっかり鳥さんなのでしょうか? 引き続き続編を楽しみにしてい…
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