214話・溢れ出た黒い液体
お疲れ様です。
只今ちょっと体調を崩しておりますが、
来週には復活致しますので・・・w
それでもまぁ~ストックはまだあるので、
全然問題御座いませんw
問題はアップする時間帯な訳で・・・w
それでは214話をお楽しみ下さい。
『くたばれぇぇぇぇぇっ!ユウトォォォっ!』
絶叫しながら意識を失っている悠斗に、
ヴァンは迷う事もなく槍をその胸板へと放った・・・。
『パシっ!』
「っ!?」
「ふ、ふぅ~・・・ま、間に合ったぁぁぁっ!」
突然何者かが『神門』を開き現れると、
間一髪・・・ヴァンの放たれた槍を掴み事なきを得た・・・。
「き、貴様ぁぁぁぁっ!何故邪魔をするっ!?」
その怒号は『玉座の間』に響き渡ると、
『ピシっ!ピシっ!』と放電現象が起こり、
ヴァンが激怒している事が伺えた。
するとヴァンの攻撃を止めた者が『お前な~』っと言いながら、
槍を捩じるように立ち上がると、その槍を奪い取り、
肩に担ぐとその顔をヒクつかせていた。
「・・・き、貴様っ!?」
槍を奪われた事にヴァンはその者に敵意剥き出しな表情を見せたが、
その表情は相手が何者かがわかると、
次第にその表情が青ざめ凍り付く事になったのだった・・・。
「こ、これはっ!?た、大変申し訳なくっ!
し、失礼な物言い・・・も、申し訳御座いませんっ!
・・・ヲグナ様っ!」
「ははは・・・いいよ・・・別に・・・さ・・・。
全然・・・大丈夫・・・多分・・・だけど・・・」
「・・・うっ」
正体が知れた途端ヴァンは土下座をし、
その額を『玉座の間の床』にゴツっ!』と打ち付けた。
「い、痛そうな音がしたけど・・・だ、大丈夫か?」
「は、はっ!も、問題御座いませんっ!」
「い、いや~・・・あ、あるだろ?」
「・・・御座いませんっ!」
「・・・あっそ」
まるで何処かの『御老公様』が正体を明かした時のような構図になると、
『おい・・・ヲグナ』と『玉座』から立ち上がったヴァマントが、
疲れきった表情を浮かべながら近寄って来た。
「やぁ、ヴァマント・・・こんな所で奇遇だな?」
そう軽口を叩くヲグナにヴァマントは盛大に顔を引き攣らせた。
「・・・き、奇遇な訳がないでしょっ!?
此処は私の屋敷なのよ?」
呆れながらもそう口を開いたヴァマントに、
背後から『俺の屋敷だっつーのっ!』と怒鳴るサンダラーが居たが、
ヲグナとヴァマントはその声を無視するかのように笑みを浮かべた。
そして妙な沈黙が続く中、
ヲグナは未だに『土下座』するヴァンに話しかけて行った。
「なぁ~・・・ヴァン。
お前は一体何やってんだよ?」
「・・・・・」
「お前程の実力があればわかるはずだろ?
彼が遠くお前には及ばないって事がさ~?」
「・・・そ、それは」
「余裕で勝てる相手に油断してさ~・・・
腕を切断された一撃だけじゃなく・・・」
「・・・ん?」
この時ヴァンはヲグナの言葉に『土下座』をしながら首を傾げ、
またそれはこの場に居た者達も同様だった。
すると『ちょん、ちょん』とヲグナの肩を叩いたヴァマントが、
今の言葉について質問したのだった。
「あのさ・・・ヲグナ?」
「・・・ん?何・・・?
俺は今、こいつの説教で忙しいんだけど?」
(や、やはりこれは説教・・・あ、甘んじて受けねば・・・)
「い、いや・・・説教はちょっと置いておいてさ?
あ、あんたが今言った『一撃だけじゃなく・・・』って、何?」
「・・・はい?」
ヴァマントの質問に困惑した表情を見せたヲグナは、
『お前ら何言ってんだよ?』と訝しい表情を浮かべた。
「い、いや・・・だからさ・・・」
そう言われたヴァマント達もまた同様な表情を見せると、
ヲグナがライトニングに視線を向けた。
「・・・ま、まさかとは思うけど・・・お前も?」
「・・・は、はい、ヲグナ様。
面目御座いませんが・・・わ、私にも・・・」
「・・・まじか?」
全員が無言で『コクコク』と頷いて見せると、
ヲグナは『お前らな~・・・』と呆れながら顏を覆った。
そして『じー』と意味有り気な視線を周囲へと向けたヲグナは、
『まじで気付いてないみたいだな?』と声を漏らすと、
『土下座』をしているヴァンに立ち上がるよう命じた。
「・・・お、俺が・・・何か?」
ヲグナの視線と物言いに不安げな表情を見せたヴァンがそう尋ねると、
その身体の一部に視線を向けながら『スゥ』っと、
指先を胸板へと向けその瞳をじっと見据えた。
「・・・その擬体の『核』・・・斬られてるぞ?」
「・・・はぁ?」
ヲグナの言葉を理解出来ないヴァンがそんな声を挙げると、
言葉の意味を説明したのだった。
「お前は彼の連撃を防いでいたつもりだったかもしれないが、
お前の『核』・・・。
つまりその『擬体』で一番重要な『核』を、
彼は寸分狂わず斬っていたって事だ・・・」
「・・・き、斬った?
い、いや・・・でもしかし・・・
俺は御覧の通り何処も・・・」
ヴァンは己の身体を確かめるようにまさぐりながら、
この身体に傷がない事を確かめたのだが・・・。
『ドクン』
「・・・あ、・・・あ・・・れ?」
間の抜けたような声を発すると、
突然ヴァンの視界が歪み、意識が遠くのを感じ膝から崩れ落ちた。
『おっとっ!』
ヲグナはクズ落ちるヴァンの身体を支えると、
その胸板に向けて『神力』を流し始めヴァマントに声を掛けた。
「ヴァマント・・・俺が食い止めている間にヴァンを・・・
こいつの本体をこの擬体から引きずり出してくれ」
「あ、あぁ・・・わ、わかったよ」
「サンダラーっ!貴様もボ~っとしてないで、
ヴァマントを手伝えよっ!」
「は、はいっ!」
ヲグナの命により慌ただしく動き始めた『女帝と王』は、
抱き抱えられているヴァンの背後へと回ると、
『冥界の神力』を鋭いナイフのように放出し始めた。
「い、いいかい・・・背中を斬り裂き『プレート』を開け、
この擬体と繋がっている亜空間から、
この子を無理矢理に引きずり出すわよっ!」
「お、おうっ!任せろっ!」
「・・・行くわよ」
「いつでもいいぜっ!」
『ブゥブンっ!』と冥界の神力で作ったナイフを、
ヴァンの背骨付近の『広背筋』をゆっくりと斬り裂いて行くと、
『胸椎』の1つに埋まる、青紫に鈍く光る『プレート』を見つけ出した。
「ね、姉ちゃん・・・」
「えぇ・・・わかってるわ。
これを押したと同時にあんたは・・・
その腕を空いた空間に突っ込みなさいっ!」
「あぁっ!こいつを引きずり出すから、
姉ちゃんも空間の固定を頼むぜっ!
万が一にも中の『神水』が溢れ出さないようになっ!」
「あいよっ!」
『せーのーっ!』
青紫色に鈍く光るプレートをヴァマントが押すと、
『グチャ』っと嫌な音を立てたプレートは青紫色の点滅し始め、
『ウイーン』とその『プレート』が奥へと引っ込み始めた。
それから数秒後・・・。
『バシュ』と何かの『扉』が開くような音が聞こえ、
背中一面に真っ黒い穴が出現すると、
その中からゆっくりと『黒い液体』が溢れ出して来たのだった。
「こ、これはっ!?これは何よっ!?」
だがヴァマント達の表情は驚きに満ちていた・・・。
何故なら本来そこから出て来るモノは『神水』であり、
『黒い液体』など出て来るはずもなかったからだった・・・。
するとヲグナが現状を整理出来ていない『女帝と王』に、
『今は考えている場合じゃないっ!事を成せっ!』と声を発すると、
『女帝と王』は我に返りその表情を強張らせ行動に移った。
「く、空間固定っ!行くわよっ!愚弟っ!」
「任せろぉぉぉぉっ!うぉりゃぁぁぁっ!」
『グチャっ!』
「ぐぁぁっ!?う、腕が・・・腕が焼けるっ!?」
その両腕に冥界の神力を纏わせたサンダラーは、
その黒い穴に両腕を突っ込むと苦痛に顔を歪ませながらも、
その『黒い穴』の中を無作為に探し始め、
やがてその指先に触れたモノから冥界の神力を感じ取ると、
『見つけたぁぁぁぁっ!』と声を挙げ、
その腕らしきモノを掴んだのだった・・・。
「早く引き出すのよっ!」
「うぉぉぉぉりゃゃぁぁぁぁっ!」
気合いと共にその『黒い穴』から力一杯引っ張ると、
『ドポっ!』と音を立てながら、
匂いの酷い黒い液体まみれの『人型』が引きずり出された。
『ドシャっ!』
「はぁ、はぁ、はぁ・・・や、やったぜ」
『シュゥゥゥ』
力一杯引きずり出したサンダラーの両腕からは、
蒸気音に似た音を発し、コゲ臭い匂いを放ちながら、
その両腕から煙のようなモノが立ち昇っていた・・・。
「くそっ!い、痛てーな・・・。
って言うか・・・この黒い液体はなんなんだっ!?」
『・・・・・』
そう文句を言い始めたサンダラーだったが、
余程の神力を消費したらしく、
引きずり出された黒い液体まみれの『人型』の横に座り込むと、
荒い息を吐きながら天を仰いだ。
「よくやったわっ!」
「あ、あぁ・・・ヲ、ヲグナっ!早く浄化をっ!」
「わかってるよ・・・神使いが荒いな~・・・君達は~。
って言うか・・・呼び捨てかよ・・・」
「・・・うぐっ」
嫌そうな素振りを見せながらもヲグナは、
抜け殻となった擬体をその場に捨てると、
黒い液体まみれの『人型』に神力で『浄化』を施した。
すると『シュゥゥゥゥ』と嫌な匂いを放ちながら、
その黒い液体は蒸発し残されたのは、
この擬体の中に居たヴァン・アレンの素体だった・・・。
ヲグナは横たわるヴァンに手をかざし鑑定を行うと、
その身体に異常がないかを確かめ安堵の息を漏らした・・・。
「ふぅ~・・・何の問題もないようだ」
「・・・良かった」
安堵の息を漏らしていた時、『んん・・・』と呻き声を挙げ、
その閉じられた双眼が開き覚醒し慌てて身体を起こし唖然としていた。
「あ、あれ・・・?
お、俺は一体何を・・・?」
辺りを『キョロキョロ』とし始めたヴァンは、
サンダラーに事情を説明してもらうと、
再びヲグナの前で『土下座』をし礼を述べていった。
その『礼』を聞きながらヲグナは捨てられた『擬体』を見て、
苦悩していたのだった・・・。
(この擬体は我々が創り出した『擬体』なはずではないのかっ!?
こんな『黒い液体』の話など聞いてないぞっ!?
一体コレは・・・何だと言うのだ?
本来ならば『神水』によって亜空間に居る素体を守るのが役目・・・
なのに・・・だ・・・コレは何だ?
しかもその中に両腕を突っ込んだサンダラーの両腕が、
焼け焦げていやがる・・・。
うちの『開発部』の『擬体』ではないと言うのか?
い、いや・・・待て・・・。
確かうちの『開発部』に新たな『主任』が着任したと聞いたが、
まさか・・・何かあるのか?)
物思いにふけるヲグナが険しい表情を見せていると、
説明を聞き終えたヴァンが頭を下げながら口を開いていった・・・。
「ヲグナ様っ!お聞きしたい事がっ!」
「なっ、何だよっ!急にっ!?びっくりするじゃないかっ!」
「俺の擬体の『核』が斬られた理由を・・・
教えて頂けませんかっ!?」
「あぁ~・・・それか~・・・ってさ・・・。
お前は相変わらず俺の話を聞かないよねっ!?
全く・・・こいつは・・・」
ヲグナは愚痴を言いながらも、
未だ意識を失い横たわる悠斗を見つめながら、
渋々その理由を説明し始めた。
「じゃ~・・・まずコレを見てくれ・・・」
そう言うとヲグナはその場から移動し、
意識を失い横たわる悠斗を見せると、
その右手に持たれている『刀』に指先を向けた。
「・・・まだ残留しているからわかるかと思うが?」
その向けられた指先を見た各々は、
その『刀の切っ先』から立ち昇るモノを見て表情を変えた。
「・・・こ、これは・・・まさか・・・お、鬼の気かっ!?」
最初にそう声を挙げたのはサンダラーだった・・・。
「今にも消え入りそうだが、これは間違いなく鬼の気だ」
「あぁ・・・そうだ・・・。
ヴァン・・・お前の擬体の『核』が斬られたのは、
この『鬼の気』がお前の神力のガードを突き抜けて、
擬体の『核』を斬り裂いたんだよ」
「・・・そ、そんなっ!?」
ヴァンが驚くのも無理はなかった。
『冥界の神力』を纏った防御をすり抜け、
擬体の『核』を斬り裂いたのだから・・・。
「こんな事が有り得るはずが・・・。
冥界の神力は『神界の神力』よりも強力なのだぞっ!?
そ、それが・・・『鬼の気』如きで・・・?」
そう驚きの声を挙げるもその視線を向けられたヲグナは、
驚愕する連中にこう言った・・・。
『・・・如き・・・で?
・・・はぁ?
いつ鬼の気が冥界の神力よりも弱いと言った?』
『・・・・・』
『そして誰がそう決めたんだよ?
お前達冥界の連中が勝手にそう言っているだけだろ?』
この時のヲグナの言葉に、
『冥界の頂点』に長らく君臨していた者達は唖然とし、
その様子にヲグナは怒声を発した。
『うぬぼれるなっ!冥界の者達よっ!
貴様達が胡坐をかいているからっ!
訳の分からない連中がのさばりっ!
全世界で『邪悪』が放置されているのだぞっ!
わかっているのかっ!?
貴様達がやっている行為は・・・『怠慢』以外何者でもないっ!』
ヲグナの言葉にこの場に居た者達は『ぐぅの音』も出なかった。
『怠慢』と言われれば納得せざるおえなく、
その言葉の重さにその表情を険しくさせたのだった・・・。
「彼をただの人族だと舐めた事をするからこうなるのだ。
死に物狂いで立ち向かう者の底力をあなどるからだっ!
ヴァマントっ!サンダラーっ!
貴様達の怠慢さには呆れる・・・
そしてヴァン・・・貴様も同様だ・・・」
『ぐっ』
「貴様達が絶をどう見ているかは知らないが・・・
少なくとも絶は、貴様がどんなに足掻いても抗えない相手だ。
何も言わないあいつもあいつだが・・・
『鬼神』を舐めるのも大概にしろっ!」
「・・・は、はい」
未だ怒りが静まらないヲグナに『宜しいですかな?』と、
今まで口を閉ざしていたライトニングが声を挙げると、
意識を失っている悠斗の傍まで歩み寄りじっと見つめていた。
「何だ・・・?」
「ヲグナ様のおっしゃる事はごもっともですが、
私はユウト様の攻撃の事をお聞きしたいのですが?」
「・・・攻撃の事?」
「はい・・・。
先程の話をお聞きしますと彼は・・・
その攻撃が通るとわかっていたような口ぶりだったもので・・・」
そう尋ねて来るライトニングにヲグナは首を傾げ、
『更にどう言う事だ?』と尋ね返したのだった。
「・・・はい。
私にはどうしても彼が、
『鬼の気』の事を理解しているように思えないのです。
それに彼は『赤い霧状の鬼の気』がどうしてそうなっているのか?
と・・・理解出来ておりませんでした」
「・・・えっ?」
ライトニングから聞かされた悠斗の話に、
ヲグナは困惑した表情を見せた。
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよっ!?
か、彼って・・・さ?
鬼の気を理解して使っているんじゃないの?」
「はて・・・。
そんなご様子ではなかったようですが?」
「・・・お、俺は絶から『鬼の気』を教えた・・・
そう聞いたんだけど?」
「・・・・・」
「・・・えっ!?う、嘘・・・だよね?
ま、まじな話なのか・・・?」
「・・・残念ながら」
「・・・ま、まじか~・・・まじなのか~?」
ライトニングの口からそう聞かされたヲグナは、
一瞬その脳裏に絶の顏を思い出すと、
『そう言えばあの時、微妙な顔してたな?』と思い出した。
そしてその顔を思い出した途端・・・。
「はっ、計られたっ!?」
「い、いえ・・・別に『絶様』は計ってなどは・・・」
「は、嵌められたぁーっ!」
「ほっほっほっ♪
私の話などもはや聞こえておりませんな~♪
一発・・・『ガツン』と拳でも叩き込めば、
私の話をしっかりと聞いてもらえますかな?」
ライトニングの何気ない言葉に、
一同は寒気が走ったが、そんな言葉さえ聞こえていないヲグナは、
『あいつめぇぇっ!』と怒りの形相に変わり、
『問い詰めてやるっ!』と怒声の声を発しながら『神門』を呼び出した。
そしてその扉が開かれ姿を消そうとした時、
振り返ったヲグナはこう告げた。
『いいか・・・貴様ら?
彼の事をしっかりと頼むぞっ!』
と、そう言うと、
返答を聞く事もなく慌ただしくヲグナはその姿を消したのだった・・・。
そして暫くの間、沈黙が続いた後・・・。
ライトニングが放置されたままの擬体を見ながら口を開いた。
「ところでこの擬体・・・どうされるのですか?」
その問いに『女帝と王』が顏を見合わせると、
ヴァマントが『焼却するしかないだろ?』答えた。
だがしかしライトニングが険しい顔を見せると、
『一度調べたほうがいいかもしれませんね?』とそう言った。
「調べるって・・・何をよ?」
「気になりませんか?
・・・この擬体の亜空間に在る『黒い液体』の事が?」
『・・・・』
「本来擬体の素体である身体を守るモノは、
『神水』と決まっているはずです。
それが何故・・・こんな悍ましい『黒い液体』などに?
ヴァンの擬体は勿論・・・『上位の神』より賜ったモノですよね?」
厳しい表情を見せたままのライトニングが、
ヴァンにそう尋ねると『・・・あぁ、直接賜ったモノだ』とそう答えた。
「そうなると・・・何かきな臭い匂いが致しますね?」
腕を組み顎鬚を撫でながらそう言うと、
サンダラーもまた厳しい表情浮かべながら訪ねて来た。
「・・・まさか上位神達の『開発部』で何かが起こっていると言う事か?」
「・・・はい、ですがあくまで・・・予測の範疇ですが、
その可能性は充分に・・・」
「ちっ!なんて事だっ!」
その言葉に一同が険しい表情を見せると、
『・・・確かにそうね?』とヴァマントが神妙な声を挙げると、
ライトニングが『擬体の事ですが・・・』と口を開いた。
「一度我が主にご相談されては?」
「・・・ユウナギ様に?」
「はい・・・。
それにヴァンの擬体の事もありますし、
皆様の擬体も『上位神』から賜ったモノですよね?」
「・・・そうね」
「ならば急ぎ・・・我が主に『擬体』の注文をしてみては?」
『・・・・・』
「因みに私の擬体は、我が主様の製作で御座います♪」
「・・・お、おのれ」
ライトニングの提案を聞いたヴァマントは、
複雑そうに『わかったわ』と告げると、
微笑みを見せたライトニングは一礼をして見せた・・・。
「・・・どうしたのよ?」
「それでは私はそろそろお暇を・・・」
「・・・はぁ?」
「この後・・・厄介な仕事がありますので・・・」
「・・・そ、そう言う事なら、仕方がないわね」
そう言うと、ライトニングはその視線をサンダラーへと向けた。
そして『それにどうやら・・・』と呟くと『ピシっ!』と何かを掴み取り、
その掌の中から小さな煙が昇って行くと、
一瞬にしてその場から姿を消したのだった・・・。
後に残された者達は・・・。
意識を失っている悠斗を介抱する為、
部下達によって運び出されると、
その後に着いて虎恫とヴァンが『玉座の間』を後にし、
サンダラーは『王』たる仕事へと戻って行った・・・。
そして1人『玉座の間』に残ったヴァマントは、
空間を見つめながら『何が起こっているのよ?』と、
険しい表情を浮かべていた。
そして此処はサンダラーの屋敷から少し離れた場所に在る、
廃屋の一室・・・。
2名の女性がモニターに映る映像を見ていた・・・。
『それにどうやら・・・』
『ピシっ!ブブゥン・・・』
「・・・あっ!?」
『コツン』
2人の女性の背後に、突然靴音が背後から響き、
一瞬にしてその顔から血の気が引いたのだった・・・。
「あはっ・・・あははは・・・」
「・・・ははは」
「おやおや御二方・・・。
この様な場所で一体何をされているのでしょうか?」
ゆっくりと振り返るとそこには、
不気味な笑みを浮かべるライトニングが立っており、
それを見た女性2人は苦笑いを浮かべるしかなかった。
すると突然ライトニングにヴァマントから念話が入った。
何度か頷きながら返事をすると念話を終了し、
再び2人の女性に声を掛けたのだった。
「・・・もう一度だけ・・・お聞きいたしますが、
御二方はこんな場所で一体何を?」
そう再び尋ねたライトニングは握り締められた手を広げ、
その中に在るモノを見せるとその目は冷たくなっていった・・・。
「コソコソとこんなモノを使って・・・
貴女方は何をされているのでしょうか?
シシリーとマイノーター・・・説明して頂けるのですよね?」
『パラパラ』と粉々になった何かが、
ライトニングの掌から落ちて行くと、
突如としてこの部屋の温度が一気に下がり始めたのだった・・・。
「さっ、さむっ!?」
「さ、流石に・・・わ、私も寒いですわ・・・」
「ほっほっほっ♪
いかが・・・されました・・・かな?
お嬢さん・・・方・・・」
そんな丁寧な口調にも関らず、
ライトニングの瞳かせは冷たくも怒りの形相が見て取れ、
生きた心地が全くしなかったのだった・・・。
ってな事で、今回のお話はいかがでしたか?
って言うか・・・。
『ヲグナ』って誰かに似てますね~w
今回の話にも色々と張り巡らせているので、
もしお気付きの方が居れば、
今後の展開を楽しみにしていただければと・・・。
読者様方に楽しんでもらえたら嬉しく思いますが、
登録や感想など頂ければもっと嬉しく思いますっ!
特に・・・今・・・w
来週には退院しまーすっ!w
ってなことで、緋色火花でした。




