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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
302/406

207話・力の片鱗

お疲れ様です。


えっと~・・・ですね。

皆さんはもうお気づきかとは思いますが、

前回緋色は・・・やっちゃいましたっ!


その事は『活動報告内』に書きましたので、

お暇な方は読んでみて下さい^^;


あぁ・・・今年は呪われてるな~・・・

って言うか・・・『大殺界』だもんな~


ってな訳で、今後も頑張りたいと思いますw



それでは207話をお楽しみ下さい。

嘗て『冥界の破壊者』と言われていた頃の自分が蘇ると、

ライトニングはその身体に纏う雰囲気を一変させた・・・。


そして悠斗の瞳を見据えライトニングは、

その身体から『冥界の神力』を溢れさせながら口を開いた。


『良かろう・・・ユウト。

 ほんの少しだけ・・・私の本来の力を見せてやろう・・・。

 だがな?私をがっかりさせるなよ?』


突然雰囲気も口調も変わったライトニングに、

悠斗は『ニヤり』と笑みを浮かべて見せた・・・。


「・・・いい度胸だ」


「・・・でしょ?」


悪戯っ子のように悠斗は笑みを浮かべながらそう言うと、

『くるり』と背中を見せながら再び距離を取る為歩き始めた。


だが悠斗の目は真剣そのものであり、

これから熾烈な戦いが始まる事を感じ取っていた。


「・・・どこまで通用するかわからないけど、

 今の俺の限界値を知っておきたい・・・」


そう呟きながら歩いて行き、

先程の場所まで戻ると再び重心を低くし構えると、

それを見ていたライトニングはその雰囲気の違いに目を見張った。


(・・・先程とは雰囲気も何もかもが違う。

 その溢れ出した・・・確か『鬼の気』と言ったか?

 ソレを最初から出すと言う事は・・・

 なるほど・・・それがお前の『本気』と言う事か?)


悠斗を見たライトニングはその覚悟を読み取ると、

『ならば期待に応えるとしよう』と笑みを見せながら構えた。


「・・・それがあんたの本気か?

 ははは・・・怖え~・・・まじで怖えーな・・・」


悠斗は『本気』を見せ始めたライトニングの構えに、

言い知れぬ怖さを感じた。


だがその言葉とは裏腹に悠斗の口元は緩んでいたのだった。


(ほほう・・・。

 怖いと言いながらも口角を上げるとはな?

 フッフッフッ・・・滾らせてくれる・・・)



そして今度は呟くように『行きますよ』と言うと、

『ドンっ!』と衝撃波がその足元から湧き上がり、

一直線にライトニングの元へと駆け出した・・・。


『はぁぁぁぁぁっ!』と気合いの籠る言葉を発しながら、

悠斗はその渾身の拳をライトニングに放った。


ところがライトニングはそんな拳を難なく躱しつつ、

カウンター気味にその腹へと蹴りを放ったのだった。


「うわっとっ!」


『ザザザァァァ』と、

草花が咲き乱れるその場所の土を抉りながら滑って行くと、

身体を反転させたと同時にすぐさま攻撃に転じた。


「はぁぁぁっ!うおりゃっ!」


『ヒュンっ!ブォンっ!』


悠斗の拳と足が幾度となく攻撃を繰り返すも、

ライトニングに当たらないどころか掠りもしなかった。


「あっ、当たらないっ!?」


余裕で躱し続けるライトニングはいつの間にか、

その目を閉じ悠斗の攻撃を見てもいなかったのだった・・・。


「めっ、目をっ!?

 こ、こんにゃろっ!」


「・・・・・」


ライトニングの姿に焦りを覚えた悠斗は、

異様な違和感に気付き眉を寄せた・・・。


(あ、当たらないどころか・・・これはまるで・・・)


悠斗がそう感じ始めた頃、ライトニングの口元が一瞬緩み、

悠斗の鋭敏な感覚に関心していた。


(・・・ほう。薄々感づき始めましたか?

 中々どうして・・・いいセンスをしている・・・)


口角が上がったライトニングを見た悠斗は、

後方に飛び退くと『ゴクリ』と喉を鳴らした。


(にゃるほど・・・。

 俺の赤銅色の鬼の気の流れから、

 俺の次の行動が読めるって訳だ・・・

 ははは・・・まじですげーな~?

 だけどさ・・・)


『ふぅ~』と一瞬短く息を吐いた悠斗は、

再びライトニングに接近するとその眼前で姿を消した・・・。


(ほう・・・これは先程の?)


そう感づいたライトニングは迷う事無く、

地面に向かってその拳を放つと『ドカっ!』と地面が抉れた。


その放った拳は地面を抉ったばかりではなく、

飛び散ったその土の一片にまで『冥界の神力』が宿り、

その土は鉄のような強度を得たのだった・・・。


『ビシっ!ピシっ!ビシっ!』と、

一瞬にして姿を消した悠斗にその鉄の強度を持った土片が、

その身体にまるで・・・

『散弾銃』の放った弾が炸裂するほどの衝撃を喰らった。


『ぐあっ!痛っ!』と苦痛な声を漏らすと、

その声で居場所を察知したライトニングが既に、

悠斗の背後で攻撃態勢を取っていた・・・。


「・・・遅いぞ」


「ちっ!

 まだまだぁぁぁっ!」


『ブォンっ!』と物凄い風切り音を発しながら、

ライトニングは重い一撃を放った。


「な、何とっ!?」


悠斗はライトニングのその薙ぎ払うように放った脚に乗り、

その威力を利用しその場から離脱した見せた・・・。


だが悠斗の額からは一筋の汗が流れ落ち、

一瞬の気の緩みも許されないと感じていた・・・。


「ふぅ~・・・ヤ、ヤバかった・・・」


「・・・やるな、ユウト。

 今のは躱されるとは思わなかったぞ」


そう言いながら笑みを浮かべるライトニングに、

悠斗は『ちょっとは悔しそうな顔しろよっ!』と、

笑みを浮かべながら抗議した。


「はっはっはっ・・・。

 このくらいの攻撃を喰らうようでは、

 お前と手合わせしている意味を持たないからな?」


「・・・言ってくれんぜ」


悠斗はこれまでライトニングの動きを見て、

『やはり只者じゃないな』と感想を口に出すと、

『さ~て・・・試させてもらおうかな♪』と楽し気にしていた。


(・・・何かやる気だな?)


悠斗の様子に鋭く反応を見せたライトニングは、

再び『冥界の神力』による結界を張ると、

『スタっ、スタっ、スタっ』とその場でステップを踏んで、

悠斗の攻撃に柔軟に対応出来るよう対処していた。


「・・・嫌なステップだな」


そう感想を口にした悠斗だったが、

身体から『霧状の赤銅色の気』を放ち始めると、

『行くよ・・・』と誰に言うでもなく呟いた。


『ドンっ!』


再び足元より衝撃波を生みながら駆け出した悠斗は、

1人で『擬体操作』をしていた時のイメージを膨らませた。


(そう・・・確かあの時・・・)



~ 回 想 ~


意識もせず『擬体操作』のみに集中していた時、

俺はこの『擬体』と俺の身体の『感覚』にズレがある事に気付いた。


そして俺はその『ズレ』を修正すべく、

重心のバランスや足の運びを意識していたんだが・・・。


ふと・・・。

自分の身体の周りに『赤い霧状のモノ』が、

纏わり付くように漂っている事に気付いた・・・。


『・・・何だコレ?』


最初俺はそんな印象しか持たなかったが、

『身体操作』をしながら前方に拳を放った時、

その『赤い霧状のモノ』が、

俺の拳を『加速』させている事に気付いたんだ・・・。


『・・・これって一体?』


今の俺は『魂』だけの存在だ・・・。

だから魔力や神力・・・

そして『擬体』である為当然『気道』も使えない。


『・・・だったらコレは?』


そう思った時、その答えはすんなりと口から出ていた・・・。


『・・・赤銅色の鬼の気かっ!?』


あの濃い『赤銅色』とは違い『霧状』であるものの、

その『赤い霧状のモノ』は間違いなく『鬼の気』だと確信出来た。


『間違いない・・・。コレは『鬼の気』だ・・・。

 でも何故『魂』だけの存在であるはずの俺から、

 『鬼の気』が出ているんだ?』


そう疑問に思った時、俺はこう思った・・・。


『絶が言っていた『隔世遺伝』って言うのは、

 『遺伝子』だけの事じゃなかったのか?』


そう考えた瞬間・・・。

俺の頭の中ではこの力を活かす為の『2つ』の方法を思い付いた。


1つはこの『赤い霧状の鬼の気』と・・・。

もう1つは・・・。


そう考えた時、俺はそれを確かめるべく、

この『擬体』を動かし、その癖や反応などを把握する事に努めた。


そしてその結果・・・。


~ 回想終了 ~



「そう、俺は・・・」


余裕を持って悠斗の攻撃に対処しようとし、

『冥界の神力』であらゆる方向にも反応して来るライトニングに、

悠斗は拳を放つ寸前咄嗟に・・・

『行くぜ・・・鬼道(仮』と呟いた。


『っ!?』と一瞬悠斗の呟きがライトニングの耳を触ったが、

次の瞬間悠斗の放った拳が凄まじいまでの加速をして見せた。


『ガキっ!』と咄嗟に両腕で防御したその腕に、

悠斗の加速し『赤い霧状の鬼の気』を纏ったその拳が、

ライトニングの腕に炸裂すると、

有り得ないほどのその衝撃と重さに顏を顰めたのだった。


『ぐぁぁっ!』


そう呻き声を挙げるもライトニングは蹴りを放ち、

それを躱す悠斗の隙を付きその場から逃れた・・・。


「うぐっ・・・こ、拳が加速してっ!?」


ライトニングの両腕は今・・・。

その重さと衝撃で完全に腕が痺れてしまい、

その痺れから早く脱するべく、

何度も両腕を『ブルブル』と振っていたのだった。


その両腕に視線を落とし再び悠斗に視線を向けた時、

悠斗の身体からは先程よりも濃度が濃い、

『赤い霧状の鬼の気』がその『擬体』を包んでいたのだった。


「ま、まさか・・・」


「・・・正解」


「・・・我が主が創り出したその『擬体』が、

 オーバーヒートしていた原因が・・・ソレか?」


驚愕しつつ冷静にそう判断したライトニングに、

悠斗は構えを取ると・・・。


「・・・あぁ、半分正解だよ」


「は、半分?」


「あぁ・・・さっきは加減が分からなくてさ・・・。

 この『擬体』に予想以上の『負荷』がかかっちゃったみたいで、

 あんな事になっちゃったんだけど・・・」


構えを崩さずそう答える悠斗に、

ライトニングは『・・・これは現実か?』と口にした。


(我が主のレベルは『神力』だけなら『カンスト』しており、

 『擬体製作』に置いても、この『冥界』を含め、

 並ぶ者無しとまで言わしめたユウナギ様の擬体を・・・。

 オ、オーバーヒートさせるとは・・・。

 やはりこの男・・・)


そう考えていたライトニングは、

無意識に奥歯を『ギチっ!』と噛み締め、

その口から血液が滲み出していたのだった・・・。


睨みつけるように悠斗を見ると、

『少々手加減が過ぎたな・・・』と、

その悔しさからか、そんな言葉が口からこぼれていた。


「・・・ユウト」


「・・・何?」


「貴様の『力の片鱗』は確かに見せてもらった・・・」


「・・・それで?」


「だがな・・・。

 上には上が居ると言う事を・・・。

 次の俺の『一撃』を以って教えてやろう・・・」


互いに構えを崩さずそう会話した時、

ライトニングの身体からは、

先程までとは比べ物にもならない程の『冥界の神力』が溢れ、

またその色濃くなった『青紫色』が妖しく光り、

身体に纏い始めたのだった。


(・・・な、何だ?一体何が起こるんだよ?)


悠斗が『ゴクリ』と言い知れぬ緊張をしていると、

ライトニングは『真の恐怖を教えてやろう』と言いながら、

一度も外すことが無かった『白い手袋』を脱ぎ捨てた。


「いよいよ・・・本気ってか?」


「この程度で本気だと勘違いしているようだが・・・」


ライトニングからこぼれ出た言葉に、

悠斗の顏は一瞬引き攣りはして見せたが、

それは次第に覚悟を決めた表情へと変わったのだった・・・。


「・・・ま、まじで半端ない程の力を感じる・・・

 だけどさ・・・ライトニング。

 俺にも『負けられない理由』ってのがあるんだ・・・。

 だからさ~、精一杯抗ってやるっ!」


「・・・ほう。いい心がけだ・・・ユウト。

 真の恐怖・・・貴様の魂に刻みつけろっ!」


「・・・ぜっっっったいにっ!

 その顔面に一発入れてやるからなーっ!」


「行くぞっ!」


「来いよっ!」


対峙し構えを取る2人は、

身体から各々の力を吹き出させると、

互いに雄叫びを挙げながら地面を踏み抜き駆け出した。


「負けるかぁぁぁぁぁっ!」


「刻めぇぇぇぇぇっ!ユウトーっ!」


互いの踏み出した足場から衝撃波が後方の地形を変え、

2人が覚悟を以って激突しようとした瞬間だった・・・。


『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』


『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』


『ギィィィィ』


『っ!?』


突然『勇者の国』に現れた豪華な『冥界門』が開かれると、

飛び出した何者かが激突しようとしている2人の間に割って入った。


『ガシっ!』


『ガシっ!』


『プシュゥゥゥ』


2人の拳を受け止めた何者かは、

その手から摩擦熱による蒸気が発生しており、

互いの一撃の強力さが計り知れたのだった・・・。


「い、痛ってーな~・・・まじでよ・・・」


「ちっ・・・坊やの癖に小賢しいわね」


その威力の強さに愚痴をこぼした2人は、

荒ぶる悠斗とライトニングに声を荒げた。


『貴様らぁぁぁぁっ!

 兄貴の国で一体何をやっとるかぁぁぁっ!』


『坊やっ!このまま()り合ったらっ!

 あんたもただじゃ済まない事くらいわかるでしょっ!?』


突然『冥界門』から現れたのは、

姉であり『冥界の女帝』であるヴァマントと、

弟であり『冥界の王』であるサンダラーが現れ、

激突する直前の攻撃を喰い止めたのだった・・・。


「は、離せーっ!ヴァマントーっ!

 そこをどけーっ!」


「離せっ!サンダラーっ!

 さもないと貴様もぶっ殺すぞっ!」


場の雰囲気と『力の優劣』を本能で決着を着けようとした2人は、

『女帝』と『王』が間に入ってもその激しさを・・・

そう・・・その本能を消え去る事が無かった・・・。


「いい加減にどきやがれーっ!」


「この戦いを止める権利など貴様達にはないっ!」


2人はひどい興奮状態にあり、留まる事など予想出来なかった。


すると『女帝』と『王』は攻撃を喰い止めながらも、

念話を通じ仕方がなく対処する事にした。


「これだけ言ってわからねーとはなぁぁぁっ!

 ライトニングっ!目を・・・目を覚ませーっ!」


『バキっ!』


「ぼ、坊やっ!あんたもいい加減にしなっ!

 愛しの御方の国でっ!

 一体何やってくれちゃってんのよぉぉぉっ!」


『ドカっ!』


ライトニングはサンダラーの強烈な拳を顔面に喰らうと、

『ヒューン』と風切り音を発しながら森の樹木に激突し、

悠斗はヴァマントの凄まじい蹴りを腹に喰らうと、

『ブォンっ!』と風切り音を発しながら、

森の樹木に激突したのだった・・・。


そして『爆発音』を放ちながら2人が地面に落ちると、

『女帝』と『王』は声を揃え怒鳴り声を挙げた。


『ぶっっっとばすぞぉぉぉぉっ!』


打ち合わせも何もしていない・・・。

『女帝』と『王』は見事なまでにシンクロして見せると、

それに気付き2人は恥ずかしさの余り顔を真っ赤にしたのだった。


「ね、姉・・・ちゃん・・・?」


「な、何も・・・何も言うな・・・弟よ」


「い、いや、しかし・・・い、今の・・・は?」


「・・・言うなと言っているでしょっ!?

 私もかなり恥ずかしいんだからっ!」


「ははは・・・や、やっぱ、そう・・・だよな?」


「・・・うぅぅ。

 こ、こんな姿・・・ユウナギ様に見られでもしたら・・・

 わ、私・・・お嫁に行けなくなっちゃうじゃないのっ!」


「・・・知らねーし。

 別に元々()き遅れてんだから・・・いいじゃねーか」


苦笑気味に笑みを浮かべたサンダラーに、

『女帝』の眉間に激しく皺が寄った・・・。


そしてその瞬間・・・。


『バッッッキィィィっ!』と・・・。

先程の攻撃など可愛いと思えるほどの炸裂音を発すると、

一瞬にして『キランっ♪』と・・・。

サンダラーは空の彼方に消えたのだった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。

 や、やっぱり愚弟には修正が必要よね・・・うんうん」


堅く握り込まれた拳にそう誓いを立てると、

ヴァマントは吹き飛ばされた2人を見てこう呟いた。


「・・・戦う相手が違うでしょ?

 男ってほんっっっとに、脳筋だから困っちゃうわ♪

 って・・・誰も聞いてないんだけどね~♪」


『やれやれ』と言ったようなポーズをしながら、

樹木の下で伸びているライトニングの元へと向かい、

叩き起こし正気に戻すとそのまま悠斗の元へと向かったのだった。


そしてその道中・・・。


『最近のガキはさ~・・・』と言いながら歩いていると、

ふと・・・ヴァマントはある事に気付き顔面を蒼白にさせていた。


『・・・ヤ、ヤバく・・・ないっ!?』


血相を変え駆け出したヴァマントは、

悠斗の元へと辿り着くと気絶する悠斗の擬体の肩を掴み、

激しく揺らしながら声を張り上げた。


「ちょっ!ちょっとっ!ぼ、坊やっ!?

 お、起きなさいよっ!ねぇっ!ねぇってばぁぁぁっ!」


激しく悠斗の擬体の身体を揺らすヴァマントに、

背後に居たライトニングが申し訳なさそうに口を開いた。


「あ、あの・・・ヴァ、ヴァマント様・・・?」


「な、何よっ!?五月蠅いわねっ!

 私は見ての通り今忙しいのよっ!?」


「い、いや・・・あ、あの~・・・ですね?」


そう再び声を掛けるもヴァマントの耳に、

ライトニングのその声は届いていなかった・・・。


「あぁぁぁぁっ!もうっ!

 坊やっ!坊やったらぁぁぁぁっ!

 目を覚ましなさいよぉぉぉっ!」


『ガクガク』と大きく身体を揺らすヴァマントは、

焦る原因を口にしたのだった・・・。


「こ、この身体は『擬体』なのにっ!

 わ、私ったら・・・

 私ったらっ!割と本気でマジ蹴りしちゃったぁぁぁっ!

 も、もしこの擬体が壊れでも・・・した・・・ら?」


突然言葉の勢いを止めたヴァマントは、

その先に見えた未来に顔色を変え青ざめていった・・・。


そんな様子にライトニングは心の中で・・・。


(流石は私の敬愛するヴァマント様・・・。

 彼の心配を心底しておられる・・・。

 まさに、この冥界において『女帝』と言われるだけはありますな♪)


『うんうん』と何かに納得し頷いているライトニングを他所に、

ヴァマントは『あわわわ・・・』と狼狽えながら口を開いた。


「も、もし・・・もしこの擬体に何かあったら・・・」


(・・・はて?ユウト様ではなく・・・擬体ですか?)


「・・・ユ、ユウナギ様に、

 冥界全土よりも愛しているユウナギ様に・・・

 嫌われるじゃないのよぉぉぉぉっ!?

 嫌ぁぁぁぁぁぁっ!

 それだけは絶対にっ!嫌ぁぁぁぁぁっ!」


そう悲痛な叫びを挙げながらヴァマントは大量の涙を流し、

それを呆れ顔で見ていたライトニングはの心の中では・・・。


(あっ・・・そちらでしたか?♪)


と、ただ意味もなく笑みを浮かべながら、

絶叫し号泣するヴァマントの背中を見て微笑んでいたのだった・・・。


まぁ~そんなこんなで・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?

ぜ、前回はこの『あとがき』でやっちゃったので、

今回は大人しく・・・。


えっと~・・・これからも頑張りたいと思いますっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘狂はどうしようもありませんね(笑) でもライトニングと悠斗を吹っ飛ばすサンダラーとヴァマントはさすがですね♪ 悠斗の鬼の気の謎もわくわくします♥︎
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