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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
301/406

206話・我が主を越える者

お疲れ様です。


最近首の捻挫をしてからと言うもの、

肩が異常に凝り固まるという症状に悩んでいる緋色で御座います。


さて今回は・・・。

軽い・・・?手合わせの回となっておりますw


因みに前半での会話は後に・・・

もう1つの物語に関わる会話なのでご了承下さい。



それでは206話をお楽しみ下さい。

悠斗が『擬体』に慣れる為、

『勇者の国』で『擬体操作の訓練』をしている頃、

ライトニングはヴァマントに説明をすべく屋敷へと戻っていた・・・。


「・・・ただいま戻りました」


そう頭を下げながら『大扉』から入室するも、

その『玉座の間』には『女帝』の姿はなく、

『冥界の王・サンダラー』が部下と談笑している姿があった・・・。


「・・・サンダラー様?」


「お、おう・・・ライ・・・。

 今戻ったのか?」


「はい・・・ところでヴァマント様は?」


ライトニングの声にサンダラーは『それがな?』と答えると、

こちらへと歩みを進めながら状況を説明し始めた。


「実はな?姉ちゃんは今、『虎恫』の訓練をする為に、

 ここを離れているのだ・・・」


「・・・ほう。左様で御座いますか」


「ところで・・・ライよ」


そう口を開いたサンダラーはこの場に悠斗が居ない事に首を傾げると、

その説明をライトニングに求めたのだった。


「只今ユウト様は『擬体』に慣れる為、

 訓練の真っ最中でして・・・。

 それをヴァマント様にお伝えすべく戻ったのですが・・・」


そう説明しながらもライトニングは苦笑いを浮かべて居た。

そんな様子にサンダラーも乾いた笑みを浮かべると、

ライトニングに話を切り出して来た・・・。


「姉ちゃんには俺の部下にその旨を伝えさせるとしてだ・・・」


「・・・?」


「実はなライトニング・・・。

 貴様にやってもらいたい事があるのだが?」


そう話を切り出してきたサンダラーの表情が一瞬・・・。

強張った事を見逃がさなかったライトニングは、

『私は何をすれば?』と返答した。


するとサンダラーは『少し待て』と言葉を区切ると、

部下を呼び寄せヴァマントに悠斗の事を伝えるようにと指示を出し、

ライトニングの要件を終わらせたのだった・・・。


『じっ』とサンダラーを見つめるライトニングに、

『フッ』と笑って見せると、その内容を耳元で話し始めた。


その話を聞いたライトニングの双眼が一瞬・・・。

『カっ!』と見開き殺気を放ったのだが、

それをサンダラーが止めたのだった・・・。


「心配するな・・・ライ。

 『兄貴』の性格を考えたら、納得出来ると思うが?」



※ 『兄貴』とは・・・。

  別の異世界に居る『ユウナギ』の事であり、

  サンダラーは畏怖と尊敬の念を以って慕っている人物である。



「・・・ま、まぁ・・・確かにそうなのでしょうが・・・」


額に左手を当てたライトニングは、

数回頭を振り溜息を吐いて見せると、

サンダラーは腕を組みながら笑い始めたのだった・・・。


「はっはっはっ!それはそれとして・・・だ。

 しかし何だな~・・・ライよ?

 貴様は兄貴に忠告したのだろ?」


「は、はい・・・ご忠告はしたのですが・・・」


「クックックッ・・・。

 確か『シェオル・モード』と言ったか?

 『冥界の神力』を纏う戦闘スタイルを?」


「・・・はい。

 我が主は『冥界の力』との相性は『最悪』で御座いますから、

 決して長時間使用されぬよう申し上げたのですが・・・」


再び『ふぅ』と溜息を吐いたライトニングに、

サンダラーは苦笑いを浮かべた。


「ま、まぁ~・・・『兄貴の命』がどうにかならないように、

 『ヴァン』のヤツに『例のポーション』を持たせたから、

 そう心配する事もないだろ?」


「・・・あの『秘薬』を?」


「あぁ・・・アレしか治す事が出来んからな~?

 だが完全にはいかんだろうな?

 『兄貴』の身体にどのような影響が出るかどうか・・・

 全く想像が出来んのだ・・・」


「・・・ですな。

 それにこの話は・・・

 ヴァマント様には内密にされた方が宜しいかと」


「・・・あぁ、それな~?

 確かに・・・そう・・・だな」


一通り『ユウナギ』の説明を終えたサンダラーは再び話を戻すと、

ライトニングは『かしこまりました』と頭を垂れたが、

例の話については『いつから・・・?』と言葉を続けたのだった。


「・・・少なくともユウトってヤツの・・・

 『模擬戦』が終了してからだな」


「・・・承知致しました」



そう話し終えた頃・・・。

この『玉座の間』に戻って来た部下が、

ヴァマントに伝えたとの報告を受けた。


「・・・それで姉ちゃんは何て?」


「はっ!ヴァマント様は大層上機嫌でこう申されました。

 『それは都合がいいわね~』・・・っと」


それを聞いたサンダラーは『やれやれ』と言葉を漏らし、

ライトニングは『いやはや・・・』と意味有り気に笑って見せた。



少しの間サンダラーとの談笑を終えたライトニングが、

悠斗が訓練をする『勇者の国』へと戻ると・・・。


『ユ、ユウト様っ!?』


戻って来たライトニングが目にしたのは、

悠斗が操る『擬体』の関節各所から煙りが放出されていたからだった。


駆け寄ったライトニングは、

四つん這いで項垂れる悠斗の傍に駆け寄ると、

心配そうな声を挙げた。


「い、一体何が・・・何があったのですかっ!?」


その声に閉じられた悠斗の目が開くと、

疲労困憊な表情を浮かべ口を開いていった・・・。


「い、いや・・・な、何・・・。

 べ、別に大したことじゃ・・・」


『へへへ』と強張った笑みを浮かべる悠斗に、

ライトニングの目もまた強張っていた。


「ちょ、ちょっと張り切り過ぎたって・・・言うか、

 でも無茶した自覚はあるんだ・・・

 だからコレはその代償って言うか・・・さ」


『代償』と口にした悠斗の言葉に、

ライトニンクは『何をどうしたらこんな事に?』と頭を悩ませた。


(ユウナギ様が創られたこの擬体を、

 一体何をしたらこんな状態に?

 こ、この御方のポテンシャルはユウナギ様をも越えて?)


その考えに険しい表情を浮かべていると、

悠斗は『あはは』と引き攣った笑い声を挙げながら、

その説明をしていった。


「この擬体は正直凄いモノだと俺にもわかる・・・

 だけどさ・・・

 俺の得意とする『気道』が使えないんだ・・・。

 そりゃ~コレは擬体だから『肺』などの内臓がないからね、

 使えなくて当然だけどさ~・・・」


そう言って再び『あぁ~あ』と項垂れてしまった悠斗に、

ライトニングは訝し気な表情を浮かべると、

『少しお聞きしたい事が・・・』と申し出て来た。


「ユウト様・・・。

 その『気道』と言うモノは何で御座いましょうか?」


「・・・はい?」


項垂れていた悠斗はライトニングの言葉に顏を上げると、

『そっか、気道ってそっちの世界では・・・』と言葉を続けた。


そして『気道』についてある程度説明を終えると、

ライトニングはとても興味深そうに口を開いた。


「なるほど・・・生身であるが故の『技』ですな?」


「・・・あぁ、だから擬体では使えなくてさ」


「それは困りましたね?」


「そうなんだよ・・・」


そう言ったところで悠斗は『それにさ~』と言葉を・・・。

いや『愚痴』を続けた。


「俺ってば魂だけの存在だから、

 魔力も無ければ神力も・・・ない・・・」


ライトニングは悠斗の言葉に何度か瞬きをすると、

『ま、また1つ宜しいですか?』と尋ねて来た。


「・・・ユ、ユウト様は・・・その・・・

 し、神力もお使いになられるので?」


「・・・神力?」


「・・・はい」


「えっと~・・・色々と使い分けてるけど?」


「・・・はい?」


『使い分ける』と聞かされたライトニングは、

益々悠斗に驚愕し興味を抱かせたのだった・・・。


「いや、だからさ~・・・。

 魔力に神力・・・それに~神精力・・・とか?」


「・・・・・」


「ラ、ライトニング・・・さん?

 い、いや、あの~・・・ですね?

 俺の攻撃の軸は『気道』なんですけど、

 補助的・・・な?感じで『魔法』を使用して、

 相手の出方によって『神力』を使って、

 精霊が相手なら・・・

 『神精力』の方が有効かな~?って、思うんですけど、

 まだソレは試してないので何とも言えなくてですね?

 あっ、あぁーっ!それとですね?

 相手によってはたまにですね・・・

 『神化』したりと・・・って、聞いてます?」


「・・・・・」


悠斗の話に着いて行けなくなったライトニングは、

『す、少し宜しいですか?』と断ると、

背中を見せ座り込んでしまったのだった・・・。


「ラ、ライトニング・・・さん?

 大丈夫・・・ですか?」


ライトニングの様子に慌てた悠斗は、

そう言って気遣ったのだが、

当の本人はそれどころではなかったのだった・・・。


(魔法に神力・・・此処までは理解出来ますが・・・

 ユウナギ様もそうですから・・・。

 ですが神精力って・・・何でしょうか?

 それと一番わからないのは・・・『神化』ってっ!?

 わ、私もユウナギ様の御傍に仕えるようになってから、

 それなりの時間を過ごして参りましたが・・・

 こ、このユウト様と言う御方は・・・

 我が主以上の・・・存在なのでは?)


背中越しに心配そうな声を挙げる悠斗を一瞬・・・。

振り返り『チラッ』と覗いて見たが、

『こ、この少年がまさかそんな力をっ!?』と困惑した。


そして悠斗が何度目かの『ライトニングさん?』と、

心配そうな声を挙げた時だった・・・。


「ほっほっほっ・・・だ、大丈夫ですよ。

 少々私の思考がキャパオーバーしてしまいましたが、

 問題は何も御座いません」


引き攣った笑みを浮かべながらそう話すライトニングに、

悠斗は『・・・そう・・・ですか』と言うしかなかったのだった。



そんな悠斗を見ながらライトニングは、

『もう少し宜しいでしょうか?』と尋ねると、

ヴァマントと虎恫の現状を伝え暫く時間がある事を伝えた。


「あぁ~そうなんだ・・・。

 じゃ~、もう少しこの『擬体』に慣れておこうかな?」


周りを見渡しながらそう呟いた悠斗に、

ライトニングはこう提案し始めたのだった・・・。


「宜しければユウト様・・・。

 (わたくし)めと軽くお手合わせを・・・」


「・・・今から?」


「はい♪」


微笑みながらそう申し出たライトニングに、

悠斗は何かを考える素振りを見せると『いいよ』と答え、

背中を見せ距離を取る為歩き出した。


(・・・ユウト様が一体何者なのか、

 謎が解けるかもしれませんが、しかし・・・)


悠斗の背中を見ながらそんな事を考えていると、

足を止めた悠斗が振り返り口を開いた。


「ライトニングさーん・・・。

 この辺りでいいかな~?」


「はい、問題御座いません♪」


「じゃ~・・・行くよ~・・・♪」


「はい♪いつでも・・・♪」


互いに和やかな口調で会話し

これから『手合わせ』をする事など微塵も感がられなかった・・・。


悠斗は大きく背伸びをし、

『ふぅ~』と大きく息を吐いた瞬間だった・・・。


身体を沈め中腰になると『よーい、ドンっ!』と声を発した。


悠斗はゆっくりと駆け出し、

ライトニングは構える事はしなかったが、

警戒は怠らぬよう努めていた。


『タッタッタッ・・・・』


ゆっくりと何かを確かめるように、

悠斗は地面を踏みしめ真っ直ぐライトニングの元へと駆けて来る。


(さぁ、ユウト様・・・。

 貴方の力を見せて頂きましょうか?)


警戒を怠る事もなく・・・。

ライトニングは悠斗の『一挙手一投足』に目を見張った。


(・・・どう来ますかな?)


そう思いライトニングの口角がほんの数ミリ動いた時だった・・・。


突然背後から『トンっ』と軽くライトニングの肩に触れると、

そのまま金縛り状態で唖然と立ち尽くした。


(・・・えっ?)


声に出す事はなかったが、

ライトニングは現状が全く飲み込めていなかった・・・。


(あ、あれ?私は一体何を・・・?

 確かにユウト様はゆっくりとこちらへと向かっており、

 私は全て見逃すまいと警戒を怠る事もな・・・く?)


茫然とし微動駄にしないライトニングに、

悠斗は背後から声を掛けた。


「・・・ライトニングさーん、

 俺・・・よーいドンって言ったよね?

 聞こえてなかった?」


悠斗の声に『あっ・・・』と声をこぼしたライトニングは、

『も、申し訳御座いませんでした』と言葉を発した・・・。


悠斗が『次はちゃんと聞こえるように・・・』と話し、

元居た場所へと戻って行く中、

ライトニングはその背中を見て背筋に寒気が走った。


(・・・た、確か彼の身体から赤い何かが・・・)


そう考え始めた時、

再び悠斗から『行くよーっ!』と声がかかった。


その声に戸惑いながらも大きく手を振って見せたライトニングは、

無意識に構えを取ると『魔力』を身体に漲らせた。


その事に笑みを浮かべた悠斗は薄く笑みを浮かべると、

『・・・気道や魔力・・・そして神力は使えなくても・・・

 俺にはまだ・・・』


そう呟くと一気に駆け出した。


『タッタッタッ・・・』と先程と同じように駆け出した悠斗・・・。


そんな悠斗にライトニングは魔力を溢れさせ、

その溢れ出させた魔力を結界とし、

悠斗の動きを捉える為のセンサーとしたのだった。


『次は見逃しませんっ!』


無意識に構えたライトニングのその拳が強く握られると、

身体から放出された魔力の濃度が増した。


「・・・これは魔力っ!?

 なるほどいい手だとは思うけど・・・それでもっ!」


悠斗はそう口走るとその『魂』が震えるのを感じた・・・。


そしてその『魂の震え』は、

『擬体』であるはずの身体から『霧』の如く噴き出した・・・。


ライトニングは突然言い知れぬ『力』を完治すると、

目を見開き眼前で起こる現象に『恐怖』を感じたのだった。


「・・・こ、この力はっ!?」


一瞬その『力の波動』に狼狽えたライトニングは、

真正面に迫って来る悠斗の姿を見失ってしまった。


「なっ!?か、彼はっ!?」


そう戸惑いの声を挙げた時だった・・・。


「・・・ここだ」


「・・・んなっ!?」


『ドスっ!』と鈍い痛みがライトニングの腹に走ると、

落した視線の先に悠斗がその拳をめり込ませていた・・・。


『・・・うぐぁっ』と呻き声を挙げたライトニングは、

その衝撃に違和感を感じると、

続いて『ドクンっ!』とその心臓が大きく脈打った・・・。


『うがぁぁぁ』と再び呻き声を挙げたライトニングは、

己の『心臓』を押さえながら崩れ落ちると、

立ち上がった悠斗が口を開いた・・・。


『・・・俺の魂に刻み込まれている『鬼の気』は、

 無くなってはいないみたいだ・・・』


「ユ、ユウト・・・さ・・・ま・・・」


「・・・ライトニングさん」


そう言いながら悠斗はライトニングに手を差し伸べると、

その掴んだ手を引きながらこう言った・・・。


『・・・本気・・・出してもらってもいいですか?』


「・・・はっ?今・・・何と?」


「ライトニングさん・・・。

 貴方は『冥界の住人』なんですよね?」


「・・・はい」


「なら・・・どうして魔力・・・なのですか?」


「・・・・・」


「貴方本来の力・・・。俺に見せて下さい」


悠斗のその言葉にライトニングは・・・。


(・・・フフフ。

 その様な御言葉を頂いてしまっては、

 このライトニング・・・。

 嘗ての『冥界の破壊者』と言われた頃の血が・・・

 奥底より蘇ってしまうではありませんか・・・♪

 それに『我が主を越える者の力』と言うモノを、

 見ておく必要がありそうですね♪)


引かれた手を強く握り返したライトニングに、

悠斗は薄く笑みを浮かべた・・・。


『さっき俺がどうしてああなったのか・・・

 ライトニングさん・・・見たくないですか?』


そう微笑んで見せた悠斗にライトニングは・・・。


『・・・それは大変興味深いですな?』


そう返答するとその目は嘗ての『冥界の破壊者』と言わしめた、

高貴で鋭いモノへと変わっていたのだった・・・。



ってな事で、今回のお話はいかがだったでしょうか?


結局は熾烈な模擬戦となってしまいましたね~w

そしてスラスターなどの事を忘れてしまていた悠斗・・・。

書いている緋色が言うのもなんですが、

『うんうん、君はそういう子だって知ってたよ?』と、

言いたくなる場面でしたw


さて今回のお話を楽しんでいただけたなら、

登録や感想、そして費用化など宜しくお願い致しますっ!


因みに・・・208話までは書き上がっておりますので、

御心配なきよう・・・w



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユウナギの話のあの部分がここにつながるのかな?とパズルのような楽しみ(?)が増えましたね(笑) この後の戦闘狂2人の熾烈な模擬戦を楽しみにしています(笑)
感想一覧
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