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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・壱
291/404

27話・日本・死闘・後編

お疲れ様です。


年末に向けて馬車馬より働いている緋色で御座いますっ!

あぁぁぁっ!もう何か無理っ!

まじでさ~・・・フリーランスのエンジニアを一体て何だと・・・。

と、この時期は毎年そう思いつつも働く・・・。


そんな『社畜』の緋色で御座いますw


で・・・。

今回は前回の続きで『後編』となります。

英二がその実力をどう見せるのか・・・。

期待していて欲しいですが、

そこはやはり英二なので・・・w


楽しんで読んでもらえたら嬉しく思います^^

そして面白ければ・・・。

登録や感想など宜しくお願いしますっ!


まじで励みになるので、

どうかどうかっ!感想が頂けたらと・・・。


それでは外伝27話後編をお楽しみ下さい^^

『赤紫の鬼の気』を溢れさせた『英二』は、

『槍』を振り回しながら『椿鬼』との距離を縮め行き、

突然跳躍すると笑みを浮かべながら『槍』を振り下ろした。


「おっらぁぁぁぁ~・・・よっとぉぉぉっ!」


『ドシャっ!』と『英二』の振り下ろした『槍』が、

『椿鬼』に叩きつけられたが、

涼しい表情を浮かべながらその一撃を躱した。


「・・・そんな大振りな攻撃・・・当たる訳ないでしょ?」


大振りする『英二』にそう口を開いた『椿鬼』だったが、

『英二』の顏を見ると何故か笑っているのが見えたのだった。


「・・・な、何、笑ってんのよ?」


「・・・・・」


冷静な口調でそう言った『椿鬼』に、

『英二』は感慨深い表情を浮かべながらその口を開いた。


「いや~よ・・・。

 実は前に一度、桜さんから『槍』もらった事があるんだけどよ~?

 どうにも上手く扱えなくてよ~・・・」


「・・・な、何の話をしているのよっ!?」


驚く『椿鬼』に『英二』は言葉を続けて行った・・・。


「・・・でな?

 それを伝えたら、俺専用にってよ~・・・

 わざわざこの俺の為に・・・。

 ったくよ~・・・桜さんは『神様』なんだぜ?

 それなのによ~・・・ははは、笑っちまうだろ?」


「・・・お前っ!何をさっきから訳のわからない事をっ!?」


『椿鬼』が苛立ちながら見下ろしていると、

『英二』は『ギロっ!』と『赤紫に染まった縦割れの瞳』向けていた。


「お、お前っ!?そ、その瞳は・・・き、鬼眼っ!?

 な、何て禍々しい・・・」


『英二』の『鬼眼』を見た『椿鬼』は、

その禍々しさに顏を顰めていた・・・。


だが『英二』はそんな『椿鬼』の言葉など気にする事もなく、

禍々しい視線を向けながらこう言った・・・。


「・・・俺の『鬼』は『神の手』によって、

 『実験的』に生み出されたモノだ・・・。

 だからよ~・・・『神』が使用する武器は使えねーんだと・・・。

 そしてこの『槍』は・・・

 そんな『紛い物』な俺でも使えるように作られた・・・

 『俺専用の槍』だっ!」


そう言い終わると同時に、

『英二』の身体から禍々しい『赤紫の鬼の気』が、

『バシュっ!』と音を立て噴き上がった・・・。


「うっ・・・こ、これはっ!?」


『槍』を担ぎながらゆっくりと立ち上がった『英二』は、

頭上で『槍』を回転させるとその『穂先』を『椿鬼』に向けた。


「よーく見やがれっ!生粋の鬼さんよぉ~っ!

 この槍がてめーを貫く俺の・・・武器っ!

 名を『業魔(ごうま)の槍っ!』

 今からてめーを退治する『槍』だっ!

 この『名』を刻んで死にやがれっ!」


「・・・なっ!?」


『英二』の持つ『業魔の槍』は、

特殊な『神力』を用いて製作された『槍』であり、

人工的に作られた『英二』のみが扱える『武器』である。


その容姿は『槍』と言うには太過ぎて、

『鬼化』しなければ『英二』自身も扱えない代物である。

そして『金と黒』の派手な装飾と、

その『三又』に別れた『穂先』からは、

『赤紫の鬼の気』が、妖しく揺らめき立っていたのだった・・・。


「・・・神がお前の為に作っただと?」


「・・・あぁ」


「フンっ!ならばこの私がっ!

 その力のほどを試してやろうじゃないかっ!」


「けっ!言ってくれんじゃねーか~・・・椿鬼さんよ~?

 いつでもかかって来やがれってんだっ!」


『英二』がそう返した言葉を聞いた『椿鬼』は、

身を翻しながら距離を取ると『葛籠』の中から、

『トンファー』を取り出し『クルクル』と振り回しながら構えを取った。


「・・・トンファーとはね~?

 意外な武器を使うじゃねーか?」


「・・・私のお気に入りの武器さ♪」


「くっくっくっ・・・燃えて来たぜぇぇぇっ!

 行くぜっ!椿鬼さんよぉぉぉっ!」


「来いっ!この紛い物がぁぁぁぁっ!」



『ドンっ!』と言う振動が空気を伝って『いちか』に届く頃、

『英二と椿鬼』は激しく衝突した。


『シュっ!シュシュシュっ!』


『カンっ!カカカンっ!』


繰り出す『三又の穂先』が『椿鬼』を襲い、

その攻撃を『トンファー』で上手く弾き『英二』の攻撃に、

余裕な表情を浮かべていた。


「やるじゃねーか?椿鬼さんよ~?」


「・・・英二、お前・・・私を舐めているのか?」


「うんにゃ~・・・

 てめーが強いって事は嫌でもわかっているつもりだぜ?

 だから舐めた攻撃をしているつもりはねーよ」


「・・・そうか。

 なら・・・期待はずれもいいところね・・・

 英二・・・神に与えられたその紛い物の力は・・・

 所詮紛い物でしかなかったって事ね」


「けっ!好き勝手言ってんじゃねーよっ!

 勝負はまだ始まったばかりじゃねーかっ!

 行くぜっ!行くぜっ!行くぜぇぇぇっ!」


「・・・無駄な事を」


『英二』の咆哮に『椿鬼』は溜息を吐きながらも、

何度も繰り出される『突きと払い』に、

次第に険しい表情を浮かべ始めた・・・。


「・・・くっ!一体何なのよっ!この攻撃はっ!?

 単純かと思えば突きの速度を微妙に変えて来るなんてっ!?」



『近接戦闘』において・・・。

『リズム』と言うモノは『必要不可欠』である。


『リズム』よく攻撃していると、

その『攻撃リズム』に相手が慣れてしまい、

思わぬ一撃を喰らう事にもなる・・・。


だからと言って『不規則なリズム』にした場合、

己の攻撃も鈍くなり相手側に『波』を与えてしまい兼ねない。


それを『英二』は修練で徹底的に鍛え挙げ、

『完成』とは程遠いがある程度の形にまで至っていたのだった。


「・・・へへへっ。

 まぁ~この緩急の攻撃は完成とまではいかねーけどよ~?

 ある程度までいい形には掴めて来てんだ。

 俺も丁度・・・煮詰めたいと思っていたところで、

 椿鬼・・・てめーに会えた・・・。

 ありがてぇ~・・・と思ってんぜ~?」


『英二』の『不規則』な攻撃に、

流石の『椿鬼』も『くっ!』と声を漏らしていた。


「ま、全く・・・ど、どうにもやり辛い・・・わねっ!

 鬱陶しいったらありゃしないわよっ!」


『くぅ~っ!』と再び声を漏らした『椿鬼』は、

『英二』の攻撃を嫌い、一度後方に飛び退き『間』を取った。


「・・・緩急がこれほどとは・・・

 こんな『いやらしい』攻撃があったなんて・・・

 私もまだまだって事なんだろうけど・・・

 それにしても『ネチネチ』とした攻撃ね・・・嫌になるわ」


『へっへっへっ』と『槍』を担いだ『英二』が笑って見せると、

『ふぅ~』と呼吸を整え『トンファー』を構えた。

 

「第2ラウンドと行きましょうか?」


「・・・へへへ、いいぜ~・・・椿鬼、付き合うぜ」


互いに笑みを浮かべると『椿鬼』は『フっ』と自笑すると、

『お前に力を使う事になるとはね~?』と言葉を漏らした。


「・・・力?」


駆け出した『英二』は『椿鬼』の言葉に悪寒が走った。


(・・・何だかわからねーが、やべぇ~感じがする。

 だが・・・だからと言ってっ!)


その気配に『英二』は『槍』を回しながら、

己の身を包むべく『赤紫の気』を身体に纏わせた。


「はぁぁぁぁっ!行くぜーっ!椿鬼ーっ!」


『トンファー』を構えた『椿鬼』は『スゥ~』と息を吸い込むと、

『英二』の攻撃が迫る中、目を閉じた・・・。


「て、てめーっ!この状況で一体何をっ!」


目を閉じた事に苛立ちを見せた『英二』だったが、

攻撃の手を止めずそのまま『槍』を振り下ろしたのだった・・・。


「てぇりゃぁぁぁぁぁっ!」


『ガキンっ!』


「・・・んなっ!?」


『英二』の攻撃は『椿鬼』の右肩口に直撃したのだが、

どう言った訳か・・・。

その攻撃は『椿鬼』の肉体にめり込む事すら許さず、

大きく弾かれたのだった・・・。


驚きの声を挙げた『英二』に、

薄く笑みを浮かべた『椿鬼』が静かな口を開いた。


「・・・そんな攻撃・・・今の私には通用しないよ?」


「な、何だとっ!?」


「私は言ったはずだ・・・『力』を使うと・・・ね。

 ふっふっふっ・・・よ~く見てごらんよ?英二・・・」


「・・・こ、これはっ!?」


その言葉に目を凝らした『英二』が見たモノは・・・。


「透明度が高くてハッキリとは見えねーが、

 こ、これは・・・鬼の気かっ!?」


「あぁ~そうだよ・・・英二・・・。

 ご名答と言っておくわ・・・。

 これは三本角以上の鬼が基本的に使う『纏い術』

 それを私は極限にまで高めた代物よ♪」


「ま、纏い術だとっ!?

 ・・・ちっ!」


『英二』のようにあからさまに『鬼の気』が纏っている訳ではなく、

 薄くそして強固に『椿鬼』のその身体を覆っていたのだった・・・。


「・・・くそっ!」


そう言いながら後方に飛び退いた『英二』だったが、

それとシンクロするように『椿鬼』は駆け出し、

着地したのと同時に『英二の腹』に『ドンっ!』と蹴りを放った。


「ぐぁぁぁぁっ!」


『英二』の身体が『九の字』に曲がり、

後方へと飛ばされると『椿鬼』は『逃がさないわよ?』と笑みを浮かべた。


「ぐぁぁぁぁっ!」


飛ばされる『英二』は呻き声を挙げ右目を薄く開けると、

その後方から『これで済むと思ってる?』と『椿鬼』の声が聞こえた。


「い、いつの間に俺を追い越してっ!?」


「まだまだ行くわよっ!」


『ドンっ!』と音を立てながら再び『英二』は蹴り飛ばされ、

それが『ドンっ!ドンっ!ドンっ!』と数回続いた・・・。


『ドッシャァァァァっ!』


「ぐはっ!」


『スタっ』と軽く着地した『椿鬼』は、

地面に転がる『英二』を、

まるで『虫ケラ』でも見るように見つめていた。


「・・・へぇ~、まだ生きているとはね~?

 お前の鬼化ってのもまんざらでもないって訳ね?」


「ごほっ!ごほっ!・・・うぐぅ・・・」


「でも私がほんの少し・・・力を使っただけでこの有り様・・・。

 これだから人間ってのは軟弱で困っちゃうわね~?

 アァ~っ!ハッハッハッ!」


『英二』の事を見下すように嘲笑した『椿鬼』は、

一頻り笑うとその表情を一変させ・・・怒声が響き渡った。


「舐めんじゃないわよっ!この人間風情がぁぁぁっ!

 お前程度の者がっ!生粋の鬼に勝てると思うなぁぁぁっ!」


「うぐぅぅぅ・・・お、俺は・・・まだ・・・」


地面の土を抉りながら立ち上がろうとする『英二』に、

顏をヒク付かせた『椿鬼』は『トンファー』を振り上げた。


「これで終わりよっ!英二ーっ!」


そう叫びながら『椿鬼』が、

『トンファー』を振り下ろした瞬間だった・・・。


「・・・待ちなさいよ」


「・・・っ!?」


立ち上がろうとする『英二の頭』に、

振り下ろされた『トンファー』が直撃する一歩手前で、

『椿鬼』は『ピタリ』とその動きを止めたのだった・・・。


眉間に皺を寄せた『椿鬼』が声がした方へと振り返ろうとした時、

『シュゥゥゥゥゥ』と蒸気音にも似た音が聞こえて来た・・・。


(声の主が・・・いちかだとはわかる・・・

 で、でも・・・このプレッシャーは・・・な、何?

 わ、私が・・・この私が・・・振り返るのをためらっているっ!?)


そんな時だった・・・。


「へっへっへっ・・・ま、待てよ・・・いちか」


「・・・え、英二・・・さん?」


『椿鬼』に圧倒的な力の差を見せつけられ、

身動き出来ないはずの『英二』からそんな声が挙がった・・・。


「うぐっ・・・は、早まるんじゃねーぞ・・・こら・・・」


歯を食い縛り必死に立ち上がろうとしている『英二』に、

『いちかと椿鬼』は言葉を失ってしまっていた・・・。


「・・・ま、まだ俺は・・・こいつに・・・

 ま、負けちゃ・・・いねーよ」


「ちょ、ちょっと待ってよっ!?

 え、英二さんはもう・・・ズタボロじゃないですかっ!?

 何を強がってんですかっ!?」


「うるせーっ!」


「っ!?」


『業魔の槍』にもたれかかるように立ち上がった『英二』は、

そう怒鳴り『いちか』を一括し黙らせた。


「・・・へっへっへっ。

 いちか~・・・て、てめーはもう少しそこで・・・見てろ。

 こ、ここから・・・なんだ・・・。

 ここからが、お、俺の・・・み、見せ場・・・なんだよ」


『フラフラ』としながら『椿鬼』に向き直った『英二』は、

両足を踏ん張ると構えて見せた・・・。


「・・・英二。

 立ち上がったその根性だけは・・・認めてやる。

 お前はもう戦える状態じゃない・・・大人しく身を引け・・・」


『椿鬼』の『眼光』が鈍く光り、

『槍』を構える『英二』にそう告げたのだった・・・。


「・・・けっ!ふざけんじゃねーよ・・・。

 向こうで俺の事を待っている『(ヤツ)』が居るんだ・・・。

 あいつは生きている・・・必ずな?

 その為には・・・」


そう言葉を続けた『英二』の身体から、

『赤紫の気』が『ゴォォォォっ!』と音を立て、

放出されていた。


「な、何て悍ましい鬼の気なのっ!?」


『英二』が放出し始めた『鬼の気』は『赤紫』でなく、

そう・・・。

限りなく『黒』に近い『鬼の気』を放出し始めたのだった。


「え、英二・・・さん・・・?

 そ、その鬼の気って・・・い、一体なんですかっ!?

 そんなモノ・・・今まで見た事も・・・」


驚く『いちか』の言葉に『へっへっへっ』と笑うと、

自笑気味に照れながらも答えて言った。


「・・・こ、こんな紛い物の俺にも・・・よ。

 とっておき・・・ってのはあるんだぜ?

 椿鬼さんよ~・・・もう少しだけ・・・付き合えよ」


その力漲る言葉に『椿鬼』は『・・・いいだろう』と応えた。


「・・・英二さん」


『いちか』がそう言葉を漏らした時だった・・・。


「俺のとっておき・・・見せてやんぜ・・・覚悟しろっ!」


「・・・来いっ!英二っ!お前に引導を渡してあげるわっ!」


『椿鬼』は再び限りなく透明に近い『青い鬼の気』を纏い、

『英二』は『うぉぉぉぉぉぉぉっ!』と吠えながら、

全身から限りなく『黒』に近い『鬼の気』を解き放った。


(これはまだ完成には程遠い『力』だ。

 そ、それに今の俺じゃ『時間制限付き』と来たもんだ・・・。

 だ、だがよ~・・・。

 ここなんだっ!この窮地の状態で試さなくちゃよ~・・・

 あいつに・・・『悠斗』に顔向けできねーんだっ!

 この劣等感の塊であるこの俺がっ!

 掴んだこの『力』でっ!)


『英二』は『悠斗』の顏を思い浮かべると、

『うぉぉぉぉぉぉぉっ!』と咆哮した。


『オレ流・鬼道っ!武装纏いっ!黒獅子っ!』


「なっ、何だそれはっ!?」


『英二』は『黒い鬼の気』を解放すると、

その『鬼の気』は瞬く間にその身体を包み込み、

『黒い鎧』と言うには程遠いものの、

その身を包み一応の『鎧』へと具現化したのだった。


「行くぜーっ!」


『ドシャっ!』と地面を抉り、

『ドンっ!』と言う衝撃波を産んだ『英二』は駆け出すと、

その光景に茫然とした『椿鬼』の懐に潜り込んだ。


「え、英二ーっ!」


「うぉぉぉぉぉぉっ!」


かがみ込んだ姿勢を維持した『英二』は、

『お返しだぁぁぁぁぁっ!』と声を張り上げると、

『椿鬼』の『腹部』に強烈な『拳』を見舞った・・・。


『神』によって・・・

特殊な技法で『英二』の為に作られた『槍』ではなく、

『拳』を使ったのだった・・・。


『ドゴーンっ!』


そう・・・。

その音はまるで『大砲』のように地響きを立て、

その踏み出した左足の地面を『グシャ!』と踏み抜いた。


「ぐはっ!」


(じ、時間がねーっ!

 俺の未熟なせいで既に『黒獅子の鎧』が霧散し始めやがった!?

 ま、まだだ・・・まだやれるはずだっ!)


『椿鬼』がそうしたように・・・。

『英二』は『まだまだぁぁぁっ!』と吠え、

『ドゴンっ!ドゴンっ!』と強烈な音を立て、

地面に叩きつけやり返して見せたのだった・・・。


『ドシャァァァァァっ!』


『ぐぁぁぁぁっ!』


激しく地面に打ち付けられた『椿鬼』は、

初めて大きな呻き声を挙げた・・・。


「・・・へっへっへっ」


地面に這いつくばる『椿鬼』に、

『ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ』と荒い呼吸をする『英二』は、

戦闘態勢を崩す事無く口を開いた。


「・・・こ、これくらい・・・で、

 す、済む訳・・・ね、ねーよな~?

 ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・

 こちとら時間がねーんだ・・・

 さ、さっさと・・・た、立ち上がれってんだっ!」


荒い呼吸をしながら声を挙げた『英二』に、

『椿鬼』は『うぐっ』と呻きながら『ヨロヨロ』と立ち上がった。


「・・・や、やるじゃないか・・・英二・・・。

 み、見くびって・・・悪かった・・・わ 

 ・・・でも・・・ね」


「・・・?」


『椿鬼』の言葉に一瞬眉を寄せた『英二』は、

次の瞬間・・・。


『ぐはぁぁぁっ!?』と、

身体を再び九の字に曲げながら地面に膝を着いた。


(・・・・い、一体・・・な、何がっ!?

 お、俺はどうして今・・・地面を・・・見ているっ!?

 どう・・・なってやがんだっ!?)


「・・・へぇ~、これでもまだ動けるのね?」


そんな『椿鬼』の声が、

地面に膝を着く『英二』の耳に届いた・・・。


「・・・い、一体どうなって・・・」


壊れた人形のように・・・。

膝を着きながらも背後の『椿鬼』へと視線を向けると、

そこには両足の『図形』が青白く光っているのが見て取れたのだった。


「・・・ま、まじ・・・かよ?」


「英二・・・。お前が纏うその禍々しい鬼の気で、

 私の『纏い』を貫けた事には正直驚いたわ・・・。

 でもね?それは私の『技』のほんの・・・一部。

 それくらで『三本角の鬼』に、勝った気でいてもらっちゃ困るわ」


「・・・くそったれっ!

 ま、まだ届かねーのかよ・・・ったく・・・」


『英二』の背後で腕を組みながらそう話す『椿鬼』に、

悔しさだけが心を支配していた。


「・・・だったら・・・よ・・・」


そう言いながら『英二』はしぶとく立ち上がろうとした瞬間・・・。


『ボっ!』と一瞬激しく『黒い鬼の気』が噴き出すと、

そのまま消滅し『英二』の身体を纏っていた『黒い鎧』が消滅した。


「・・・くっ!じ、時間・・・切れ・・・かよ・・・」


悔しそうに口からこぼれた声に『英二』は、

2人の戦いを見守っていた『いちか』を見た・・・。


「・・・す、すまねー・・・い、いちか。

 あ、後の事は・・・た、たの・・・ん・・・だ・・・」


眉間に皺を寄せる『いちか』にそう言うと、

苦々しい笑みを浮かべながら『英二』は『バタリ』と倒れ、

その意識を手放したのだった。


『ジャリっ、ジャリっ、ジャリっ』


無言で『いちか』は『英二』に近付くと、

気絶している『英二』の背中に『手』を置いた・・・。


「・・・少しは見直しましたよ、英二さん。

 この戦いが終わったら、その『黒い鬼の気』の事、

 ちゃんと説明して下さいね?」


そう言いながら薄く笑みを浮かべた『いちか』は、

こちらを見つめ鋭い視線を向けている『椿鬼』へと向き直った。


「・・・英二さんの『(かたき)』は私が取るっ!」


「ほう~・・・言ってくれんじゃない?

 って言うか・・・いちか~?

 あんたにちょいと聞きたい事があるんだけど?」


「・・・何よ?」


「さっき英二が言っていた・・・『進化』って何?」


「・・・気になるの?」


「・・・そうね」


互いの視線がぶつかり合い、身構え戦闘態勢に入ると、

『いちか』は笑みを浮かべながらこう言った、


『三本角の鬼さん・・・。

 最初に行っておくけど・・・今の私・・・超・強いわよ?』


そう言い切った『いちか』は不敵な笑みを浮かべると、

『ゆらゆら』とその身体から『朱色の鬼の気』が溢れ始めたのだった。





ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


まだ未完成な技を使用する英二の無謀さは、

緋色的には好印象ですw

まぁ~実際だと・・・『頼むからやめてくれっ!』


そう思わざるを得ないのですが・・・w


そして次回はいよいよいちかと椿鬼の最終局面となります。

進化したいちかの力とは・・・?


また次回も楽しんで頂けたらと思いますので、

応援のほど・・・宜しくお願い致しますっ!


・・・次回はもう来年になりますね?


今年1年間、応援して下さり有難う御座いました。

また2023年も頑張りますので、

応援のほど宜しく御願い致しますっ!


それでは皆さん、良いお年を・・・。


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼の気にも色々あり、技にもバリエーションがあるんですねー。 結局いちかにバトンタッチした英二君ですが、 更に成長してまた頑張って欲しいです♥︎ 今年もお疲れ様でした。 来年もお体に気をつ…
感想一覧
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