27話・日本・死闘・後編
お疲れ様です。
年末に向けて馬車馬より働いている緋色で御座いますっ!
あぁぁぁっ!もう何か無理っ!
まじでさ~・・・フリーランスのエンジニアを一体て何だと・・・。
と、この時期は毎年そう思いつつも働く・・・。
そんな『社畜』の緋色で御座いますw
で・・・。
今回は前回の続きで『後編』となります。
英二がその実力をどう見せるのか・・・。
期待していて欲しいですが、
そこはやはり英二なので・・・w
楽しんで読んでもらえたら嬉しく思います^^
そして面白ければ・・・。
登録や感想など宜しくお願いしますっ!
まじで励みになるので、
どうかどうかっ!感想が頂けたらと・・・。
それでは外伝27話後編をお楽しみ下さい^^
『赤紫の鬼の気』を溢れさせた『英二』は、
『槍』を振り回しながら『椿鬼』との距離を縮め行き、
突然跳躍すると笑みを浮かべながら『槍』を振り下ろした。
「おっらぁぁぁぁ~・・・よっとぉぉぉっ!」
『ドシャっ!』と『英二』の振り下ろした『槍』が、
『椿鬼』に叩きつけられたが、
涼しい表情を浮かべながらその一撃を躱した。
「・・・そんな大振りな攻撃・・・当たる訳ないでしょ?」
大振りする『英二』にそう口を開いた『椿鬼』だったが、
『英二』の顏を見ると何故か笑っているのが見えたのだった。
「・・・な、何、笑ってんのよ?」
「・・・・・」
冷静な口調でそう言った『椿鬼』に、
『英二』は感慨深い表情を浮かべながらその口を開いた。
「いや~よ・・・。
実は前に一度、桜さんから『槍』もらった事があるんだけどよ~?
どうにも上手く扱えなくてよ~・・・」
「・・・な、何の話をしているのよっ!?」
驚く『椿鬼』に『英二』は言葉を続けて行った・・・。
「・・・でな?
それを伝えたら、俺専用にってよ~・・・
わざわざこの俺の為に・・・。
ったくよ~・・・桜さんは『神様』なんだぜ?
それなのによ~・・・ははは、笑っちまうだろ?」
「・・・お前っ!何をさっきから訳のわからない事をっ!?」
『椿鬼』が苛立ちながら見下ろしていると、
『英二』は『ギロっ!』と『赤紫に染まった縦割れの瞳』向けていた。
「お、お前っ!?そ、その瞳は・・・き、鬼眼っ!?
な、何て禍々しい・・・」
『英二』の『鬼眼』を見た『椿鬼』は、
その禍々しさに顏を顰めていた・・・。
だが『英二』はそんな『椿鬼』の言葉など気にする事もなく、
禍々しい視線を向けながらこう言った・・・。
「・・・俺の『鬼』は『神の手』によって、
『実験的』に生み出されたモノだ・・・。
だからよ~・・・『神』が使用する武器は使えねーんだと・・・。
そしてこの『槍』は・・・
そんな『紛い物』な俺でも使えるように作られた・・・
『俺専用の槍』だっ!」
そう言い終わると同時に、
『英二』の身体から禍々しい『赤紫の鬼の気』が、
『バシュっ!』と音を立て噴き上がった・・・。
「うっ・・・こ、これはっ!?」
『槍』を担ぎながらゆっくりと立ち上がった『英二』は、
頭上で『槍』を回転させるとその『穂先』を『椿鬼』に向けた。
「よーく見やがれっ!生粋の鬼さんよぉ~っ!
この槍がてめーを貫く俺の・・・武器っ!
名を『業魔の槍っ!』
今からてめーを退治する『槍』だっ!
この『名』を刻んで死にやがれっ!」
「・・・なっ!?」
『英二』の持つ『業魔の槍』は、
特殊な『神力』を用いて製作された『槍』であり、
人工的に作られた『英二』のみが扱える『武器』である。
その容姿は『槍』と言うには太過ぎて、
『鬼化』しなければ『英二』自身も扱えない代物である。
そして『金と黒』の派手な装飾と、
その『三又』に別れた『穂先』からは、
『赤紫の鬼の気』が、妖しく揺らめき立っていたのだった・・・。
「・・・神がお前の為に作っただと?」
「・・・あぁ」
「フンっ!ならばこの私がっ!
その力のほどを試してやろうじゃないかっ!」
「けっ!言ってくれんじゃねーか~・・・椿鬼さんよ~?
いつでもかかって来やがれってんだっ!」
『英二』がそう返した言葉を聞いた『椿鬼』は、
身を翻しながら距離を取ると『葛籠』の中から、
『トンファー』を取り出し『クルクル』と振り回しながら構えを取った。
「・・・トンファーとはね~?
意外な武器を使うじゃねーか?」
「・・・私のお気に入りの武器さ♪」
「くっくっくっ・・・燃えて来たぜぇぇぇっ!
行くぜっ!椿鬼さんよぉぉぉっ!」
「来いっ!この紛い物がぁぁぁぁっ!」
『ドンっ!』と言う振動が空気を伝って『いちか』に届く頃、
『英二と椿鬼』は激しく衝突した。
『シュっ!シュシュシュっ!』
『カンっ!カカカンっ!』
繰り出す『三又の穂先』が『椿鬼』を襲い、
その攻撃を『トンファー』で上手く弾き『英二』の攻撃に、
余裕な表情を浮かべていた。
「やるじゃねーか?椿鬼さんよ~?」
「・・・英二、お前・・・私を舐めているのか?」
「うんにゃ~・・・
てめーが強いって事は嫌でもわかっているつもりだぜ?
だから舐めた攻撃をしているつもりはねーよ」
「・・・そうか。
なら・・・期待はずれもいいところね・・・
英二・・・神に与えられたその紛い物の力は・・・
所詮紛い物でしかなかったって事ね」
「けっ!好き勝手言ってんじゃねーよっ!
勝負はまだ始まったばかりじゃねーかっ!
行くぜっ!行くぜっ!行くぜぇぇぇっ!」
「・・・無駄な事を」
『英二』の咆哮に『椿鬼』は溜息を吐きながらも、
何度も繰り出される『突きと払い』に、
次第に険しい表情を浮かべ始めた・・・。
「・・・くっ!一体何なのよっ!この攻撃はっ!?
単純かと思えば突きの速度を微妙に変えて来るなんてっ!?」
『近接戦闘』において・・・。
『リズム』と言うモノは『必要不可欠』である。
『リズム』よく攻撃していると、
その『攻撃リズム』に相手が慣れてしまい、
思わぬ一撃を喰らう事にもなる・・・。
だからと言って『不規則なリズム』にした場合、
己の攻撃も鈍くなり相手側に『波』を与えてしまい兼ねない。
それを『英二』は修練で徹底的に鍛え挙げ、
『完成』とは程遠いがある程度の形にまで至っていたのだった。
「・・・へへへっ。
まぁ~この緩急の攻撃は完成とまではいかねーけどよ~?
ある程度までいい形には掴めて来てんだ。
俺も丁度・・・煮詰めたいと思っていたところで、
椿鬼・・・てめーに会えた・・・。
ありがてぇ~・・・と思ってんぜ~?」
『英二』の『不規則』な攻撃に、
流石の『椿鬼』も『くっ!』と声を漏らしていた。
「ま、全く・・・ど、どうにもやり辛い・・・わねっ!
鬱陶しいったらありゃしないわよっ!」
『くぅ~っ!』と再び声を漏らした『椿鬼』は、
『英二』の攻撃を嫌い、一度後方に飛び退き『間』を取った。
「・・・緩急がこれほどとは・・・
こんな『いやらしい』攻撃があったなんて・・・
私もまだまだって事なんだろうけど・・・
それにしても『ネチネチ』とした攻撃ね・・・嫌になるわ」
『へっへっへっ』と『槍』を担いだ『英二』が笑って見せると、
『ふぅ~』と呼吸を整え『トンファー』を構えた。
「第2ラウンドと行きましょうか?」
「・・・へへへ、いいぜ~・・・椿鬼、付き合うぜ」
互いに笑みを浮かべると『椿鬼』は『フっ』と自笑すると、
『お前に力を使う事になるとはね~?』と言葉を漏らした。
「・・・力?」
駆け出した『英二』は『椿鬼』の言葉に悪寒が走った。
(・・・何だかわからねーが、やべぇ~感じがする。
だが・・・だからと言ってっ!)
その気配に『英二』は『槍』を回しながら、
己の身を包むべく『赤紫の気』を身体に纏わせた。
「はぁぁぁぁっ!行くぜーっ!椿鬼ーっ!」
『トンファー』を構えた『椿鬼』は『スゥ~』と息を吸い込むと、
『英二』の攻撃が迫る中、目を閉じた・・・。
「て、てめーっ!この状況で一体何をっ!」
目を閉じた事に苛立ちを見せた『英二』だったが、
攻撃の手を止めずそのまま『槍』を振り下ろしたのだった・・・。
「てぇりゃぁぁぁぁぁっ!」
『ガキンっ!』
「・・・んなっ!?」
『英二』の攻撃は『椿鬼』の右肩口に直撃したのだが、
どう言った訳か・・・。
その攻撃は『椿鬼』の肉体にめり込む事すら許さず、
大きく弾かれたのだった・・・。
驚きの声を挙げた『英二』に、
薄く笑みを浮かべた『椿鬼』が静かな口を開いた。
「・・・そんな攻撃・・・今の私には通用しないよ?」
「な、何だとっ!?」
「私は言ったはずだ・・・『力』を使うと・・・ね。
ふっふっふっ・・・よ~く見てごらんよ?英二・・・」
「・・・こ、これはっ!?」
その言葉に目を凝らした『英二』が見たモノは・・・。
「透明度が高くてハッキリとは見えねーが、
こ、これは・・・鬼の気かっ!?」
「あぁ~そうだよ・・・英二・・・。
ご名答と言っておくわ・・・。
これは三本角以上の鬼が基本的に使う『纏い術』
それを私は極限にまで高めた代物よ♪」
「ま、纏い術だとっ!?
・・・ちっ!」
『英二』のようにあからさまに『鬼の気』が纏っている訳ではなく、
薄くそして強固に『椿鬼』のその身体を覆っていたのだった・・・。
「・・・くそっ!」
そう言いながら後方に飛び退いた『英二』だったが、
それとシンクロするように『椿鬼』は駆け出し、
着地したのと同時に『英二の腹』に『ドンっ!』と蹴りを放った。
「ぐぁぁぁぁっ!」
『英二』の身体が『九の字』に曲がり、
後方へと飛ばされると『椿鬼』は『逃がさないわよ?』と笑みを浮かべた。
「ぐぁぁぁぁっ!」
飛ばされる『英二』は呻き声を挙げ右目を薄く開けると、
その後方から『これで済むと思ってる?』と『椿鬼』の声が聞こえた。
「い、いつの間に俺を追い越してっ!?」
「まだまだ行くわよっ!」
『ドンっ!』と音を立てながら再び『英二』は蹴り飛ばされ、
それが『ドンっ!ドンっ!ドンっ!』と数回続いた・・・。
『ドッシャァァァァっ!』
「ぐはっ!」
『スタっ』と軽く着地した『椿鬼』は、
地面に転がる『英二』を、
まるで『虫ケラ』でも見るように見つめていた。
「・・・へぇ~、まだ生きているとはね~?
お前の鬼化ってのもまんざらでもないって訳ね?」
「ごほっ!ごほっ!・・・うぐぅ・・・」
「でも私がほんの少し・・・力を使っただけでこの有り様・・・。
これだから人間ってのは軟弱で困っちゃうわね~?
アァ~っ!ハッハッハッ!」
『英二』の事を見下すように嘲笑した『椿鬼』は、
一頻り笑うとその表情を一変させ・・・怒声が響き渡った。
「舐めんじゃないわよっ!この人間風情がぁぁぁっ!
お前程度の者がっ!生粋の鬼に勝てると思うなぁぁぁっ!」
「うぐぅぅぅ・・・お、俺は・・・まだ・・・」
地面の土を抉りながら立ち上がろうとする『英二』に、
顏をヒク付かせた『椿鬼』は『トンファー』を振り上げた。
「これで終わりよっ!英二ーっ!」
そう叫びながら『椿鬼』が、
『トンファー』を振り下ろした瞬間だった・・・。
「・・・待ちなさいよ」
「・・・っ!?」
立ち上がろうとする『英二の頭』に、
振り下ろされた『トンファー』が直撃する一歩手前で、
『椿鬼』は『ピタリ』とその動きを止めたのだった・・・。
眉間に皺を寄せた『椿鬼』が声がした方へと振り返ろうとした時、
『シュゥゥゥゥゥ』と蒸気音にも似た音が聞こえて来た・・・。
(声の主が・・・いちかだとはわかる・・・
で、でも・・・このプレッシャーは・・・な、何?
わ、私が・・・この私が・・・振り返るのをためらっているっ!?)
そんな時だった・・・。
「へっへっへっ・・・ま、待てよ・・・いちか」
「・・・え、英二・・・さん?」
『椿鬼』に圧倒的な力の差を見せつけられ、
身動き出来ないはずの『英二』からそんな声が挙がった・・・。
「うぐっ・・・は、早まるんじゃねーぞ・・・こら・・・」
歯を食い縛り必死に立ち上がろうとしている『英二』に、
『いちかと椿鬼』は言葉を失ってしまっていた・・・。
「・・・ま、まだ俺は・・・こいつに・・・
ま、負けちゃ・・・いねーよ」
「ちょ、ちょっと待ってよっ!?
え、英二さんはもう・・・ズタボロじゃないですかっ!?
何を強がってんですかっ!?」
「うるせーっ!」
「っ!?」
『業魔の槍』にもたれかかるように立ち上がった『英二』は、
そう怒鳴り『いちか』を一括し黙らせた。
「・・・へっへっへっ。
いちか~・・・て、てめーはもう少しそこで・・・見てろ。
こ、ここから・・・なんだ・・・。
ここからが、お、俺の・・・み、見せ場・・・なんだよ」
『フラフラ』としながら『椿鬼』に向き直った『英二』は、
両足を踏ん張ると構えて見せた・・・。
「・・・英二。
立ち上がったその根性だけは・・・認めてやる。
お前はもう戦える状態じゃない・・・大人しく身を引け・・・」
『椿鬼』の『眼光』が鈍く光り、
『槍』を構える『英二』にそう告げたのだった・・・。
「・・・けっ!ふざけんじゃねーよ・・・。
向こうで俺の事を待っている『友』が居るんだ・・・。
あいつは生きている・・・必ずな?
その為には・・・」
そう言葉を続けた『英二』の身体から、
『赤紫の気』が『ゴォォォォっ!』と音を立て、
放出されていた。
「な、何て悍ましい鬼の気なのっ!?」
『英二』が放出し始めた『鬼の気』は『赤紫』でなく、
そう・・・。
限りなく『黒』に近い『鬼の気』を放出し始めたのだった。
「え、英二・・・さん・・・?
そ、その鬼の気って・・・い、一体なんですかっ!?
そんなモノ・・・今まで見た事も・・・」
驚く『いちか』の言葉に『へっへっへっ』と笑うと、
自笑気味に照れながらも答えて言った。
「・・・こ、こんな紛い物の俺にも・・・よ。
とっておき・・・ってのはあるんだぜ?
椿鬼さんよ~・・・もう少しだけ・・・付き合えよ」
その力漲る言葉に『椿鬼』は『・・・いいだろう』と応えた。
「・・・英二さん」
『いちか』がそう言葉を漏らした時だった・・・。
「俺のとっておき・・・見せてやんぜ・・・覚悟しろっ!」
「・・・来いっ!英二っ!お前に引導を渡してあげるわっ!」
『椿鬼』は再び限りなく透明に近い『青い鬼の気』を纏い、
『英二』は『うぉぉぉぉぉぉぉっ!』と吠えながら、
全身から限りなく『黒』に近い『鬼の気』を解き放った。
(これはまだ完成には程遠い『力』だ。
そ、それに今の俺じゃ『時間制限付き』と来たもんだ・・・。
だ、だがよ~・・・。
ここなんだっ!この窮地の状態で試さなくちゃよ~・・・
あいつに・・・『悠斗』に顔向けできねーんだっ!
この劣等感の塊であるこの俺がっ!
掴んだこの『力』でっ!)
『英二』は『悠斗』の顏を思い浮かべると、
『うぉぉぉぉぉぉぉっ!』と咆哮した。
『オレ流・鬼道っ!武装纏いっ!黒獅子っ!』
「なっ、何だそれはっ!?」
『英二』は『黒い鬼の気』を解放すると、
その『鬼の気』は瞬く間にその身体を包み込み、
『黒い鎧』と言うには程遠いものの、
その身を包み一応の『鎧』へと具現化したのだった。
「行くぜーっ!」
『ドシャっ!』と地面を抉り、
『ドンっ!』と言う衝撃波を産んだ『英二』は駆け出すと、
その光景に茫然とした『椿鬼』の懐に潜り込んだ。
「え、英二ーっ!」
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
かがみ込んだ姿勢を維持した『英二』は、
『お返しだぁぁぁぁぁっ!』と声を張り上げると、
『椿鬼』の『腹部』に強烈な『拳』を見舞った・・・。
『神』によって・・・
特殊な技法で『英二』の為に作られた『槍』ではなく、
『拳』を使ったのだった・・・。
『ドゴーンっ!』
そう・・・。
その音はまるで『大砲』のように地響きを立て、
その踏み出した左足の地面を『グシャ!』と踏み抜いた。
「ぐはっ!」
(じ、時間がねーっ!
俺の未熟なせいで既に『黒獅子の鎧』が霧散し始めやがった!?
ま、まだだ・・・まだやれるはずだっ!)
『椿鬼』がそうしたように・・・。
『英二』は『まだまだぁぁぁっ!』と吠え、
『ドゴンっ!ドゴンっ!』と強烈な音を立て、
地面に叩きつけやり返して見せたのだった・・・。
『ドシャァァァァァっ!』
『ぐぁぁぁぁっ!』
激しく地面に打ち付けられた『椿鬼』は、
初めて大きな呻き声を挙げた・・・。
「・・・へっへっへっ」
地面に這いつくばる『椿鬼』に、
『ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ』と荒い呼吸をする『英二』は、
戦闘態勢を崩す事無く口を開いた。
「・・・こ、これくらい・・・で、
す、済む訳・・・ね、ねーよな~?
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・
こちとら時間がねーんだ・・・
さ、さっさと・・・た、立ち上がれってんだっ!」
荒い呼吸をしながら声を挙げた『英二』に、
『椿鬼』は『うぐっ』と呻きながら『ヨロヨロ』と立ち上がった。
「・・・や、やるじゃないか・・・英二・・・。
み、見くびって・・・悪かった・・・わ
・・・でも・・・ね」
「・・・?」
『椿鬼』の言葉に一瞬眉を寄せた『英二』は、
次の瞬間・・・。
『ぐはぁぁぁっ!?』と、
身体を再び九の字に曲げながら地面に膝を着いた。
(・・・・い、一体・・・な、何がっ!?
お、俺はどうして今・・・地面を・・・見ているっ!?
どう・・・なってやがんだっ!?)
「・・・へぇ~、これでもまだ動けるのね?」
そんな『椿鬼』の声が、
地面に膝を着く『英二』の耳に届いた・・・。
「・・・い、一体どうなって・・・」
壊れた人形のように・・・。
膝を着きながらも背後の『椿鬼』へと視線を向けると、
そこには両足の『図形』が青白く光っているのが見て取れたのだった。
「・・・ま、まじ・・・かよ?」
「英二・・・。お前が纏うその禍々しい鬼の気で、
私の『纏い』を貫けた事には正直驚いたわ・・・。
でもね?それは私の『技』のほんの・・・一部。
それくらで『三本角の鬼』に、勝った気でいてもらっちゃ困るわ」
「・・・くそったれっ!
ま、まだ届かねーのかよ・・・ったく・・・」
『英二』の背後で腕を組みながらそう話す『椿鬼』に、
悔しさだけが心を支配していた。
「・・・だったら・・・よ・・・」
そう言いながら『英二』はしぶとく立ち上がろうとした瞬間・・・。
『ボっ!』と一瞬激しく『黒い鬼の気』が噴き出すと、
そのまま消滅し『英二』の身体を纏っていた『黒い鎧』が消滅した。
「・・・くっ!じ、時間・・・切れ・・・かよ・・・」
悔しそうに口からこぼれた声に『英二』は、
2人の戦いを見守っていた『いちか』を見た・・・。
「・・・す、すまねー・・・い、いちか。
あ、後の事は・・・た、たの・・・ん・・・だ・・・」
眉間に皺を寄せる『いちか』にそう言うと、
苦々しい笑みを浮かべながら『英二』は『バタリ』と倒れ、
その意識を手放したのだった。
『ジャリっ、ジャリっ、ジャリっ』
無言で『いちか』は『英二』に近付くと、
気絶している『英二』の背中に『手』を置いた・・・。
「・・・少しは見直しましたよ、英二さん。
この戦いが終わったら、その『黒い鬼の気』の事、
ちゃんと説明して下さいね?」
そう言いながら薄く笑みを浮かべた『いちか』は、
こちらを見つめ鋭い視線を向けている『椿鬼』へと向き直った。
「・・・英二さんの『敵』は私が取るっ!」
「ほう~・・・言ってくれんじゃない?
って言うか・・・いちか~?
あんたにちょいと聞きたい事があるんだけど?」
「・・・何よ?」
「さっき英二が言っていた・・・『進化』って何?」
「・・・気になるの?」
「・・・そうね」
互いの視線がぶつかり合い、身構え戦闘態勢に入ると、
『いちか』は笑みを浮かべながらこう言った、
『三本角の鬼さん・・・。
最初に行っておくけど・・・今の私・・・超・強いわよ?』
そう言い切った『いちか』は不敵な笑みを浮かべると、
『ゆらゆら』とその身体から『朱色の鬼の気』が溢れ始めたのだった。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
まだ未完成な技を使用する英二の無謀さは、
緋色的には好印象ですw
まぁ~実際だと・・・『頼むからやめてくれっ!』
そう思わざるを得ないのですが・・・w
そして次回はいよいよいちかと椿鬼の最終局面となります。
進化したいちかの力とは・・・?
また次回も楽しんで頂けたらと思いますので、
応援のほど・・・宜しくお願い致しますっ!
・・・次回はもう来年になりますね?
今年1年間、応援して下さり有難う御座いました。
また2023年も頑張りますので、
応援のほど宜しく御願い致しますっ!
それでは皆さん、良いお年を・・・。
ってなことで、緋色火花でした。




