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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・壱
290/407

26話・日本・死闘・中編

お疲れ様です。


仕事してたら時間過ぎてました^^;


では手短にw

全開の続きですww


楽しんで頂けると幸いです^^

年末に向けて皆さんお忙しいかと思いますが、

頑張って行きましょうっ!


それでは26話中編をお楽しみ下さい。

怒声を挙げた『直次』は『刀』を抜き駆け出した・・・。


「な、直次さんっ!?」


怒りの形相を浮かべた『直次』に、

『黒蝶』はそう声を挙げたのだった・・・。


「黒蝶っ!?あのガキってあのっ!?」


迷う事もなく突っ込んで来る『直次』に、

『椿鬼』は『黒蝶』を見ると強い口調で言放った。


「黙りなさいっ!椿鬼っ!

 あの子の事は私に任せてっ!」


「し、しかしっ!」


「早く・・・早くその手を放しなさいっ!」


「ちっ!じゃ~あの直次とか言うガキはっ!

 あんたに任せたわっ!」


『椿鬼』の声に『黒蝶』は『こくり』と頷くと、

『刀』を抜き突進してくる『直次』の前へと躍り出た・・・。


「直次さんっ!」


「こ、黒蝶さんっ!?」


驚く『直次』に『黒蝶』は一気にその距離を縮めると、

組み技を仕掛け一度『椿鬼』へと視線を向けると、

それを悟った『椿鬼』は小さく頷いて見せ『英二達』へと駆け出した。


『人間っ!私がとっとと片づけてあげるわっ!』


その『椿鬼』の声に『英二といちか』の視線が『直次』から離れた。


(このタイミングなら・・・)


『英二といちか』の注意が逸れたこのタイミングで、

『黒蝶』は『直次』に組み付くと頭を自分の口元に寄せ話を伝えた。


「直次さん、戦っているフリをして私に着いて来て・・・」


「えっ!?」


「いいからっ!」


今いち状況の飲み込めていない『直次』だったが、

小さな声で『はい』と伝えると、

2人は戦うフリをしながら『黒蝶』は『直次』の手を取り、

その場から姿を消したのだった。



そんな事など露知らず・・・

『英二といちか』は迫る『椿鬼』に戦闘態勢を取った。


「いちかっ!やるぞっ!」


「で、でもっ!直次と黒蝶がっ!」


「あいつも魔狩りの者だっ!

 直次を信じてやれっ!」


「・・・くっ!」


『黒蝶と直次』が姿を消したのを確認した『椿鬼』は、

『ニヤり』と笑みを浮かべていた・・・。


(・・・陽動はこれくらいでいいわよね?

 しかし何だね~?

 黒蝶・・・異端人だからこちら側に・・・、

 まぁ~気持ちはわからなくないけどね~・・・

 黒蝶・・・所詮はその『ガキ』も・・・人間だって事・・・

 忘れるんじゃないよ?)


鼻で『ふっ』と笑って見せた『椿鬼』は、

眼前にいる者達に鋭い目付きを見せるとそのまま勢いよく飛び上がった。


「ヒャッハァァァっ!

 黒蝶っ!これからは私の好きにさせてもらうよっ!」


飛び上った上空で姿が消えた『黒蝶』にそう声を挙げると、

『戦闘態勢』を取り構える『英二といちか』の上を飛び越えて着地した。


「・・・フっ、行くよ?人間」


そう告げながら振り返った『椿鬼』は、

『うぉりゃゃゃっ!』と気合いの声を挙げると、

2人に向かって距離を詰めて行った・・・。


「いちかっ!」


「はいっ!」


2人はそう言いながら『抜刀』し、

『椿鬼』の左右へと展開し同時攻撃を仕掛けて行った。


「はぁぁぁっ!」


「どぉりゃっ!」


『英二』は膝上を狙い『いちか』は腹を薙いで行った・・・。


(左右同時攻撃で尚且つっ!上下では対処できないでしょっ!)


『いちか』は厳しい表情を浮かべながら『椿鬼』の顏を見て・・・。


(けっ!てめーが『例の鬼』かよっ!?

 あんまり・・・俺達の事、舐めてんじゃねーぞぉぉぉっ!)


『英二』の全身の毛が逆立つぼと、

『椿鬼』の『鬼の気』を『ビンビン』に感じ取ってはいたが、

『強敵』に対し一歩も引けないと気合いを入れていた。


ところが・・・だ。


『英二といちか』の『刀』が『椿鬼』に当たる瞬間、

『・・・フっ』と意味有り気に笑みを浮かべた『椿鬼』は、

『・・・そんなもの』と呟くと、

全身から『青い鬼の気』を放出した・・・。


『バシュっ!』


『ガキンっ!』


『ガキンっ!』


『椿鬼』の身体を2人の『刃』が斬り裂いていたはずだった・・・。

だがそうなる事なかった・・・。


「う、嘘っ!?刃がっ!?」


「んなっ!?や、刃が全然届いてねーだとっ!?」


斬り裂くどころか2人の『刃』は、

『椿鬼』の数センチ手前に張られている、

『青い鬼の気』によって阻まれてしまっていたのだった・・・。


「ざ~んねんでした~♪」


「ちっ!」


「くっ!」


『アッカンベェー』としながら見せた『椿鬼』の瞳は縦に割れ、

その瞳は『青く』染まっていたのだった・・・。


『英二』は咄嗟に『いちかっ!距離を取れっ!』と声を挙げると、

悔しそうな表情を浮かべた『いちか』は渋々距離を取ったのだった。


「英二さんっ!」


「あぁ~・・・言われなくてもわかってんよ~・・・

 こいつは今までの相手とは違う・・・『鬼』だ」


『英二』の言葉に無言で頷いた『いちか』は、

高熱にも関わらず呼吸を整え再び集中していった・・・。


(進化前って『鬼化』出来るのっ!?)


そんな不安が『いちか』の頭をよぎったのだが、

この緊縛した空気の中、『英二』の声がいつもよりよく聞こえて来た。


「いちかっ!やるぜぇぇぇっ!」


「・・・え、英二さんっ!?

 わ、私は今っ!」


「うるせーっ!ごちゃごちゃ言ってんじゃねーっ!

 てめーは『進化』が終わるまで自分の出来る事をしやがれぇぇっ!」


「・・・ちっ!」


(・・・進化ってっ!?どう言う意味なのよ?)


『椿鬼』は『進化』と言う言葉に顏を顰めた姿を見る事も、

そして『いちか』の舌打ちを聞く事もなく、

『英二』は『コォォォォォっ!』と呼吸音を変えつつ、

『はぁぁぁぁっ!』と『赤紫の鬼の気』を溢れさせ始めた・・・。


「・・・赤紫っ!?

 な、何なのよっ!その『鬼の気』はっ!?」


『英二』が溢れさせた『赤紫の鬼の気』に、

不快な表情を浮かべ驚いていると、

その隙を狙って『いちか』が『どこ見てんのよっ!』と、

固まる『椿鬼』に一気に距離を詰めると『刃』を横に寝かせていた。


『いちかっ!お前の斬撃など私にはっ!』

『いちか』に視線を向けつつ『青い鬼の気』が在る為、

さほど気にもしていなかったのだが・・・


「私を舐めんじゃないわよっ!椿鬼ーっ!」


そう叫びながら『いちか』は『コォォォっ!』と呼吸音を変え、

『白鷹の刃』に『気』を流し纏わせていった・・・。


『これが気刃剣っ!

 喰らいなさいっ!白鷲流・剣技・変異風牙っ!』


『ズシャっ!』


「・・・ぐふっ!よ、横薙ぎ・・・じ、じゃ・・・

 な、なかった・・・の・・・?」


『いちか』の『刃』が根本まで『椿鬼』の脇腹に突き刺さっており、

それを見ると『・・・わ、私の気の壁を?』と、

口から血を吐きながら驚いていた。


「・・・この技は『白鷲流』の中の1つ・・・

 だけど今のは『(きょ)の技』・・・。

 本来はそのまま横薙ぎに行き身体の軸を中心回転させる技。

 だけど私は横薙ぎに行く瞬間・・・。

 気道を使っての身体強化と、

 更に踏み込みつつ手首を返し切っ先をあんたに突き立てる事にしたのよ」


「へ、へぇ~・・・い、いちか・・・や、やれば出来るじゃない?」


「・・・椿鬼、あんた・・・人間を舐め過ぎよ?」


「・・・ははは、だ、だろう・・・ね」



『勝負あり・・・』

『いちか』がそう思った瞬間だった・・・。


「・・・な、何だよ?

 も、もう・・・終わりなのかよっ!?」


そう言って文句を言い始めたのは、

『鬼化』した『英二』だった・・・。


「え、えっ!?え、英二さんっ!?」


『英二』の声に戸惑う『いちか』は、

『ズボっ!』と『椿鬼』の脇腹から『刃』を抜くと、

『椿鬼』が『がくっ』と力なく地面に膝を着けた・・・。


「せ、折角・・・『鬼化』したのによ~?

 つーかよっ!この場面って絶対に俺の見せ場じゃんよっ!?」


「・・・そ、そう・・・ですか・・・ね?」


「そうなんだよっ!見ればわかるだろうがよっ!?

 な、何してくれんてんだよっ!ったくよーっ!?」


物凄い剣幕で『いちか』に詰め寄る『英二』は、

『鬼化』したままのその迫力ある顔を、

『いちか』の顏に息がかかるほどにまで接近していた。


「ち、近い、近い、近いしっ!

 それに怖い怖い怖いっ!は、離れてよっ!」


『鬼化』した『英二』の顏を突っぱねた『いちか』は、

『白鷹』を正眼に構え、近付こうとする『英二』を牽制した・・・。


「・・・お前~まじで可愛げね~な?」


呆れ顔で『英二』がそう言った瞬間だった・・・。



『クックックッ・・・』と、

血を流しながら地に膝を着いた『椿鬼』が、

突然笑い始めたのだった・・・。


「・・・何が可笑しいのよ?」


鋭い視線を向ける『いちか』がそう問うと、

『英二』が『・・・こ、こいつ、ダメージを受けてねー』と呟いた。


「え、えっ!?どう言う事よっ!?

 私との白鷹は間違いなく椿鬼の脇腹を・・・」


そう怒鳴りながら抗議した『いちか』に、

緊張した面持ちになった『英二』は更に言葉を続けた・・・。


「お前がいくらそう言ってもよ~?

 鬼化している今の俺なら・・・わかんだよ・・・。

 見てみな~・・・いちか、あの『鬼』をよ?

 ヤツの腹の傷・・・何ともなってねーだろ?」


『えっ!?』と言葉を漏らした『いちか』は、

地に膝を着く『椿鬼』を見て愕然としていた・・・。


「そ、そんな・・・?

 で、でも確かに・・・私は・・・」


「・・・お前に刺された箇所に在る図形・・・。

 あれが今・・・不気味に青く光ってんぜ・・・」


そう『英二』が『いちか』に告げると、

薄く笑みを浮かべた『椿鬼』が、

己の口元に付着している『血液』を拭いながら立ち上がった。


「ふぅ~・・・いちか・・・。

 確かにお前のその刀は私の脇腹を貫いた・・・。

 だけど・・・忘れた?

 私はあんたが一度切断した腕を再生させたって事をさ?」


「・・・くっ」


『椿鬼』に言われた事によって思い出したその光景・・・。

『いちか』は思わず『面倒臭いわね』と言葉をこぼした・・・。


すると『椿鬼』は『英二』へと視線を向けると、

とても興味深そうにつま先から頭までその視線を這わせた。


「・・・な、何・・・ジロジロと人の事見てんだよ?」


「・・・フフフ。

 今の私の興味は・・・お前にある・・・」


「・・・きょ、興味っ!?」


そう言って不気味に笑う『椿鬼』に、

『英二』は身を捩りながら顔を引き攣らせた。


「・・・ま、まさかとは思うが・・・」


『ニヤり』と笑みを浮かべた『椿鬼』に、

『英二』は声を張り上げたのだった・・・。


「まさかこの鬼化した俺にっ!

 運命を感じ惚れてしまったんじゃねーだろうなぁぁぁっ!?」


「「・・・はい?」」


『英二』の発言に『椿鬼』は目が点となり、

『いちか』はその発言に『英二』の耳を引っ張りながら、

少しの間・・・『説教』される事になったのだった・・・。


その時『いちか』の頭の中で『ポーン』と鳴ると、

薄く口角を上げこう考えていた・・・。



(残り・・・5分っ!

 ちゃーんす♪これで『進化』の時間が稼げる~♪

 英二さん、砂粒くらいには見直しましたよ~♪)


『チラっ』と一度『椿鬼』に視線を向けた『いちか』は、

出来る限り時間稼ぎをしようと目論むのだった・・・。



一方、姿を消した『黒蝶と直次』は・・・。


『ここまで来れば・・・』


そう呟くと『直次』の手を離した・・・。

『あっ』と小さく声を出した『直次』だったが、

振り返った『黒蝶』の真剣な眼差しに頭を切り替えた。


「・・・黒蝶さん、どうして僕を?」


不思議そうな目を向ける『直次』に、

『黒蝶』は少し目を伏せ気味にしていた・・・。


『ふぅ~』と軽く息を吐いた『黒蝶』は、

少し緊張した面持ちになって口を開いていった・・・。


「・・・そうですね、突然で驚かれるかとは思いますが、

 直次さん・・・私の手助け・・・

 いえ、仲間になっていただけませんか?」


「・・・えっ?」


突然過ぎる『黒蝶』の申し出に、

『直次』は驚きを隠せなかった・・・。


「い、いや・・・でも、どうして僕をっ!?」


「・・・フフフ。

 それは貴方があの『神野一族』に利用されているからです」


「・・・り、利用っ!?ぼ、僕を利用ですかっ!?」


この時『直次』の頭の中は真っ白に染まっていたが、

それと同時に頭の片隅でこんな事を思っていた・・・。


(な、何を言ってんだよ・・・黒蝶さんっ!?

 ど、どうして僕を利用なんか?

 はっ!こ、これはもしかして・・・『術の(たぐい)』ではっ!?)


そんな事を頭の片隅で考えてはいたのだが・・・、

『黒蝶』は優しく笑みを浮かべると、

『・・・私は術など使っていませんよ』と告げたのだった。


「・・・す、すみません」


『黒蝶』の言葉に思わず謝ってしまった『直次』は、

少しの沈黙の後・・・。

『その理由を聞かせて下さい』と返した。


「・・・貴方の・・・。いえ、『異端人』の特徴として、

 体力の無さがまず挙げられると思うのですが・・・」


そう話し始めた『黒蝶』に、『直次』は無言で頷いた。


「ですが『異端人』には戦闘力の低さをも覆す、

 膨大で強力な・・・『呪力』があります。

 その『呪力』をあの『神野半蔵』が『戒斗』に命じ、

 貴方を利用している・・・のです」


「・・・ご、御当主・・・さ、様がっ!?」


『直次』が驚愕するほど、

『黒蝶の話』に大声を出して驚いてしまっていた。


慌てて両手で自分の口を押えた『直次』は、

辺りを『キョロキョロ』と見渡していた・・・。


「・・・フフフ♪

 此処には誰も居ませんから安心して下さい♪」


「・・・は、はい」


優しく微笑みながらそう言った『黒蝶』に、

『直次』も笑みを浮かべ『安堵』したのだった・・・。


だがしかし・・・。

『黒蝶』から放たれる『気配』が、

『ピリっ』と緊張したかと思うと、その表情にも表れていた。


「・・・直次さん、貴方は今日・・・どんな事を言われましたか?」


「・・・はい?」


「貴方の尊敬する『戒斗』が『敵』に立ち向かおうとする貴方に、

 一体何と言いましたか?

 それと・・・『次女の沙耶』も貴方に何と・・・?」


「・・・ど、どしうて・・・それをっ!?」


『黒蝶』の問いに『直次』は思い出し、

頭を押さえながら険しい表情を浮かべて居た・・・。


「私は貴方に『術』は使用していません・・・。

 その理由は・・・

 私も嘗て・・・『半蔵達』に利用されていたからです」


『カっ!』と目を見開いた『直次』は、

『・・・こ、黒蝶さんも?』と声をこぼした・・・。


「はい・・・。

 私には大切な『姉』が居ました・・・。

 大人達は『姉』を利用し『至福』を肥し権力を手に入れました。

 そして『姉』はその『命』を奪われ・・・

 今はこの私すらも『権力(ちから)』の為に・・・。

 ですからこの私は・・・いえ・・・今はもう違いますね?」


そう言うと『黒蝶』は悲し気な眼差しを向けると、

再びその口を開き『真実』話し始めた。


「・・・私は『冥界』に『魂』を売り渡し、

 『力の代償』を払ってこの『冥府魔道の力』を得たのです。

 そして必ず・・・『神野半蔵とその妻』をっ!

 こ、この手で・・・」


そう話し終えた『黒蝶』は己の両手を見つめ、

何度も『この手で・・・』と、

呟きながら身体を振らわせていたのだった。


そんな状態になってしまった『黒蝶』を見た『直次』は、

その見つめる両手を咄嗟に握り、

真っ直ぐな瞳で見つめながら強い口調で言った。


「は、話はわかりましたからっ!

 で、でも・・・もう少し考えさせて下さいっ!

 ぼ、僕はまだ・・・『戒斗様』を信じたい・・・

 だけど・・・本当にそうなら・・・僕は・・・」


『黒蝶』の両手を握り締める『直次』の手に、

『ギュっ』と『力』が入り動揺の色が濃く出ていた・・・。


そんな『直次』に『黒蝶」は、

『・・・わかりました』と悲し気な瞳を見せたのだった・・・。


『・・・直次さんは『戒斗』の事を信じているのですね?』と、

『直次』の手を振り払い背を向けてしまった・・・。


「・・・あっ、あの・・・こ、黒蝶さん・・・

 な、何も・・・

 僕は何も貴女の『仲間』にならないとは言ってないっ!

 ただ・・・ただ・・・時間が欲しいんです。

 今すぐとは・・・いかなくても・・・

 僕が『あの人達』を・・・『敵』だと認識出来るまでは、

 ・・・お願いです。

 もう少し・・・僕に時間を下さい・・・」


『直次』の言葉に『黒蝶』は背を向けながら、

『そうですか・・・』と少し寂し気に答えたのだった・・・。


「・・・すみません。

 だけど、表立って協力出来ないけど、

 『み、密偵・・・』みたいな事は出来ますっ!

 ですから『御当主の情報』があれば、

 何らかの手段で必ず連絡しますっ!」


そう『力説』した『直次』に『黒蝶』は、

『・・・ありがとう』と小さな声で『礼』を述べると、

その場から『直次』を置いてその姿を消したのだった・・・。


そして『黒蝶』の居なくなったその場所に佇む『直次』は、

空虚を見つめながら、

『・・・黒蝶さん』と言葉を悲し気に漏らし、

吹き抜けて行く風がとても冷たく感じるのだった・・・。



そして再び『いちか達』は・・・。


思い違いをしていた『英二』を『いちか』が説明し、

呆れ顔の『椿鬼』は溜息を吐いていたのだった・・・。


「なぁ~いちか~?

 その男・・・いろんな意味で大丈夫なの?」


呆れ顔の『椿鬼』が溜息混じりでそう言うと、

『いちか』も同様に呆れ顔を見せながら返答した・・・。


「・・・大丈夫って聞かれても・・・

 元々手遅れな人だから・・・私から言わせれば、

 今更そんな事聞かれたって・・・。

 と、答えるしかないわね?」


そんな辛辣な『いちか』の返答に、

『椿鬼』は『・・・そ、そうなんだ』と答え、

それを聞いた『英二』は『ふっざんけんなっ!てめーらっ!』と、

怒りを爆発させながら、対峙する『椿鬼』に向き直った。


そして何事もなかったかのように、

意味なく笑みを浮かべた『英二』は口を開いていった。


「って事でよ~・・・椿鬼って言ったか?

 此処からは俺がっ!

 てめーの相手をしてやるぜ・・・」


そう言いながら『英二』は『槍』を構えると、

『・・・こ、こいつ、今の出来事をなかった事にっ!?』と、

ある意味『驚愕』する『椿鬼』は咳払いをした後、

口を開いたのだった。


「コホン・・・た、確か名は英二・・・だっけ?

 あんたのその『赤紫の鬼の気』を確かめさせてもらうよ?」


「・・・確かめる?」


「あぁ・・・。そのあんたの『鬼の気』

 いけ好かない『匂い』がするもんでね~?

 それを確かめようってのさ」


「・・・けっ!ふざけた事言ってんじゃねーよっ!

 俺の力・・・見せてやるぜっ!」


「・・・フンっ!どうにも・・・いけ好かない『匂い』だね~?」


そう言いながら笑みを浮かべる『椿鬼』に、

『英二』は『行くぜ、行くぜ、行くぜーっ!』と、

声を張り上げながら『椿鬼』に向かって駆け出したのだった・・・。




ってな事で・・・。


今回はこんな感じとなりましたが、

楽しんで頂けたでしょうか?


この後の展開を楽しんで頂けたらと思います^^



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやー、英二君らしさ満開で嬉しかったです(笑) この暗く複雑な物語の中で英二君と白斗君は癒しですね♥︎ 次回も楽しみにしています♪
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