24話・日本・暴走・後編
お疲れ様です。
今日原付のナンバープレートを盗まれ、
色々と大変だった緋色で御座います><
この忙しい12月に・・・何をやってくれるんだか・・・。
これから手続きが色々と大変で・・・orz
まぁ~そんな感じではありますが、
今現在外伝26話を書いてるところです・・・。
さて今回は外伝の後編・・・。
楽しんで頂ければ嬉しく思います^^
それでは24話をお楽しみ下さい^^
『ヤラセナイ、ミナゴロシニスル・・・』
突然豹変した『戒斗』の言葉に『桜』は戦慄し、
また、それを目にした『魔物達』も同様に『戦慄』していたのだった・・・。
「か、戒斗・・・お、お前・・・」
『桜』は無意識に『ガタガタ』と震えながら手を差し伸べていた。
それは今、この様な『無様な姿』を晒す『犬神』であっても、
豹変した『戒斗を救いたい』と思っての事だった・・・。
だが・・・。
「・・・サクラ・・・サマ・・・。
イ、イマ・・・タスケ・・・ルカラ・・・」
「・・・か、戒斗・・・お、お前、言葉が?」
『桜』に対し振り返る事なく、
背中越しにそう呟いた『戒斗』は『魔物達』に眼光を向けた。
「グギィっ!?」
「・・・っ!?」
まるで先程までの『戒斗』と同じように、
『魔物達』は『金縛り状態』になってしまっていた。
「グギィィィィ・・・」
「・・・ヴ・・・ヴガァ・・・」
甲高い『赤い三角帽のゴブリン』の声が、
静まり返ったこの『夜の世界』で一際その声を響かせていた・・・。
「ウル・・・サイ・・・ナ・・・。
ウルサ・・・イヨ・・・」
そう呟いた声により一層『魔物達』は竦み上がってしまった。
それを見ていた『桜』は、
『戒斗』が『鬼の力』に捕らわれているのを確信した。
「お前は『鬼の力』に捕らわれて・・・。
それほど強大な力だというのかっ!?」
『ジリっ・・・ジリっ・・・』と『戒斗』の足が歩みを進めると、
『グギィィィィィィっ!』と絶叫しながら『金縛り』を、
必死で解こうとしていた。
「・・・ムダナコト・・・スルナ・・・
イマスグ・・・コロシテ・・・モ、イインダ・・・ゾ」
そう『戒斗』が呟いた時だった・・・。
『ピタリ』と突然『戒斗』がその歩みを止めると、
その背後には先程倒れた『黒いトロール』が立ち上がっていた。
「・・・ウガァっ!」
「・・・・・」
『黒いトロール』の気合いが入った声が聞こえるも、
『戒斗』は歩みを止めたまま『無言』を貫いていた・・・。
「ヴカヴガァっ!ウッガァァァっ!」
「・・・オマエ・・・コロスニハ・・・オシイ・・・。
コンナヤツ・・・ラニ・・・シタガウ・・・コトナイ」
『桜』は『戒斗』の言葉を聞き、
理性自体は在ると確認するもその秘めた『暴力性』に顔を顰めた。
(さっき戒斗は今すぐ殺してもと言った・・・。
と、言う事は戒斗の気分次第で『生殺与奪』が決まる。
って事は、もし機嫌が悪かったらとなると・・・危険だわ。
それに『魔物の言語』も理解している・・・。
『鬼』とはそれほど優れていると言うの?)
『桜』の心配とは他所に、
『戒斗』は『黒いトロール』の前に1歩・・・踏み出したのだった。
そして『黒いトロール』を見上げると、
『魔物の言語』を理解し話した『戒斗』に驚き、
口を『パクパク』としながらも何も言葉にならなかったようだった。
「オマエ・・・カイホウ・・・シテ・・・ヤル」
一瞬『チラっ』と後ろを見た『戒斗』は瞬く間にその姿を消し、
気が付けば・・・。
「ウ、ウガっ・・・!?」
「・・・オマエノナカ・・・イル、
オニカ・・・ラ・・・カイホウシテ・・・ヤル・・・」
『黒いトロール』の巨大な背中越しで『桜』には見えなかったが、
『戒斗』の右腕は『黒いトロール』の、
胸の『正中線上』に突き刺さっていたのだった・・・。
『黒いトロール』はその視線をゆっくりと下げ、
今、己の身に何が起こっているのかを視認したのだった・・・。
「ウっ・・・ウガァァァァァァっ!?」
驚くのも無理はないだろう・・・。
敵である『戒斗』の腕が、自分の胸に突き刺さっているのだから・・・。
「・・・サワグナ・・・イマ・・・カイホウスル・・・」
見下ろす『黒いトロール』の視線を見上げ、
『戒斗』がそう言うと・・・。
『ハァァァァっ!』と気合いを込め始めると、
その身体から『緑色の鬼の気』が吹き出し始めたのだった。
だが『黒いトロール』はと言うと、
痛みなども一切なくたた・・・。
『戒斗』の様子を漠然と見つめているだけだったのだ。
「モウ・・・スコシ・・・ダ」
『緑色の鬼の気』を放ちながら暫くすると、
『ピタリ』と放出が止み『戒斗』はその腕を引き抜いた。
「・・・ウ、ウガっ!?」
「・・・オマエ・・・カイホウシタ・・・」
すると見る見るうちに『黒いトロール』の姿は変化を起こし、
黒いその身体も青白い色へと変化した。
そしてその時その『トロール』は、
こうなってしまった状況を『戒斗』に手短に話すと、
『魔物の言語』を理解し小さく頷き、
小さな声で『マカセロ・・・』と言った。
その時だった・・・。
暗い夜空に突然『雷雲』が立ち込め『ゴロゴロ』鳴り出すと、
『ピッシャァァァっ!』と寺の裏手に落ちたのだった。
そしてその時『桜』が『落雷』中、見た光景は、
緑色に染まった縦に割れた『鬼眼』ではあるものの、
その瞳はとても穏やかで優しいモノだった・・・。
「・・・戒斗、お前は一体・・・?」
唖然としそう言葉を漏らした『桜』に構う事無く、
『戒斗』は再び鋭い目付きに変わると、
『金縛り』になっている『魔物達』を睨みつけた。
「「っ!?」」
そして睨みつける『戒斗の口』から衝撃的な言葉が吐かれた。
「オマエタチ・・・。
コイツノ・・・カゾク・・・ヒトジチニ・・・シタナ?
タタカイタク・・・ナイ・・・コイツ・・・
タタカワセタヨナ・・・?」
『戒斗』の言葉が通じている訳ではないようで、
その問いに対し『魔物達』は互いの顏を見合わせ困惑していた。
「・・・サァ・・・コノオレト・・・タタカエ」
そう言いながら『戒斗』は『魔物達』に向け手をかざすと、
『金縛り』から解放されたのだった・・・。
「グギィィィ・・・」
「・・・・ウガっ!」
睨みを効かせる『魔物達』は、
四肢の状態を確かめつつ武器を取り出した。
『赤い三角帽のゴブリン』は弓と矢を・・・。
そしてもう1体の『黒いトロール』は肩から角を引き抜くと、
それは『大斧』へと形を変えたのだった・・・。
「グギャアギギっ!」
「・・・ウガァァァァ」
それぞれが唸り声を挙げると先陣を切ったのは、
『赤い三角帽のゴブリン』だった・・・。
『黒いトロール』の肩に飛び乗ると素早く上空から弓を構え、
矢を3連射した。
『シュっシュっシュっ!』
その放たれた矢が棒立ちになっている『戒斗』に迫る直前、
『黒いトロール』が駆け出しながら『大斧』を振り回し始めた。
だが『戒斗』は棒立ちのままだった・・・。
『戒斗っ!?』
『ウガっ!?』
『桜と黒いトロール』が声を挙げるが、
『戒斗』は微動だにせずただ・・・。
『フンっ!』と気合を入れると、
身体の周りに『緑色の障壁』が展開し3連射された矢は、
呆気なく弾かれ防がれたのだった・・・。
『戒斗』は矢の事など目も暮れず、
その視線は『大斧』を振り回す『黒いゴブリン』へと向けられていた。
『ウガァァァァァァァっ!』と『バインド・ヴォイス』を放つも、
今の『戒斗』に通用するはずもなく、
迫る『黒いトロール』に対し『刀』に手を掛け口角を上げた。
「ウッガァァァっ!」
「・・・・・」
気合い一番『黒いトロール』は『大斧』を振り上げ、
渾身の一撃を『戒斗』に向けて振り下ろすのだが、
その攻撃は当たる事もなく『ドーンっ!』と派手な音を立て、
地面にめり込んでいったのだった・・・。
「・・・ウっ、ウッガァっ!?」
『・・・カチン』
『大斧』を地面にめり込ませた『黒いトロール』が、
背後で納刀する音を聞いた時、
視界が『ぐるん』と空へと動くとその両腕と胴体が、
横一閃に切断され崩れるように『絶命』し倒れた。
「グギッ!?」
その驚きようは尋常でなかった・・・。
『赤い三角帽のゴブリン』は腰を抜かすと漏らしながら後退り始めた。
『ジリっ、ジリっ』と歩み寄る『戒斗』・・・。
『魔物』は既に戦意喪失し何やら命乞いをし始めた・・・。
「グギっ!グギギガゴっ!」
土下座のような姿を見せると、
すぐさま濡れた地面に頭を擦り付け始めた。
その様子を見ていた『桜』は『ほっ』と胸を撫で下ろし、
安堵を息を漏らしながら『・・・何とかなったわね』と呟くと、
突然『戒斗』がその容姿に似合わない笑い声を挙げたのだった。
「ギャハハハハハハハァァァァっ!」
「なっ!?か、戒斗っ!?」
「・・・っ!?」
そして一頻り大声を挙げ笑った声が『ピタリ』と止んだ瞬間、
『ドカっ!』と言う音と共に『ペギャっ!』と言う声が聞こえると、
『赤い三角帽のゴブリン』が高く宙に舞い上がった・・・。
「お、おいっ!戒斗っ!?
あんた何やってんのよっ!?」
『桜』は慌てて声を挙げ、
『トロール』は目を見開きながら宙に舞う『モノ』を、
ただ見ているしかなかった。
「クックックックッ・・・ヨクトブナ~・・・」
その言葉を聞いた『桜とトロール』は、
全身の毛穴が開き、汗が噴き出すのを感じ『恐怖』した。
「やっ、止めないかっ!」
そう声を挙げる『桜』だったが、
もうその声は今の『戒斗』の耳には届かないようだった・・・。
「ハッハァァァっ!ケルトキ・・・ノ・・・
カンショク・・・タマラ・・・ナイナァァァァっ!」
「戒斗ーっ!?もうやめろーっ!」
『桜』がそう叫んでもその声は届かない・・・。
宙に舞い上がった『魔物』だったモノは、
全身から血を吹き出し、四肢が弾け飛び絶命していた。
「ヒャァッハァァァァっ!」
だが『戒斗』はまだ蹴り上げる事を止めず、
悦に浸り発狂しながら何度も何度も上空へと蹴り上げていたのだった。
『ウ、ウガァァァっ!』と突然声を挙げた『トロール』は、
『戒斗』に向かって駆け出すと、背後から羽交い絞めにしていた。
「ウガっ!ウガっ!」
どうやら『トロール』は『戒斗』を止めたかったらしい。
必死な形相で『戒斗』の動きを封じようとしていたが、
『戒斗』は『・・・邪魔だ』と低い声で呟くと、
一瞬にして『緑色の鬼の気』で両腕をほどき、
その場から脱出したのだった・・・。
『ヒュ~』と『戒斗』と『トロール』の間に、
冷たい風が吹き抜けて行った・・・。
『トロール』は必死に何かを伝えるべく、
目の前に居る『戒斗』に向けて口を開いて行ったが、
その『戒斗』はただ・・・『お前も殺すぞ?』と告げたのだった。
「お、お前・・・戒斗っ!?
一体何やってんのよっ!?」
「・・・たかが犬神如きが・・・」
その流暢になった『戒斗』の言葉を聞いた『桜』は、
『鬼の力に完全に捕らわれて・・・』と言葉を漏らした。
『桜』を見る事もせず『戒斗』がそう言ってのけると、
『刀』に手を掛けた『戒斗』は、
自分の手で助けたはずの『トロール』をいきなり斬りつけた。
『カチン』と納刀する音がこの夜の世界に響くと、
『ボタっ、ボタっ』と『トロール』の両腕が切断され地に落ちた。
「ウっ・・・ガァァァァっ!?」
その痛みに絶叫する『トロール』に向き直った『戒斗』は、
『・・・折角助けてやったのにな~?』と、
薄く笑みを浮かべながらそう言った・・・。
「か、戒斗ぉぉぉぉっ!き、貴様ぁぁぁぁっ!」
『戒斗』のした事に怒りの形相を浮かべた『桜』は、
気力を振り絞り立ち上がると、胸の前で何かの『印』を結び始めた。
そして呻くようにこう言った・・・。
『お前は一線を越えてしまった・・・、
私は貴様を・・・『神』として見逃す事は出来ないっ!』
『桜』の目が血走り覚悟を決めると、
『・・・犬神・天現っ!』と空に腕を振り上げながら叫んだ。
『シュゥゥゥゥ』と・・・
『印』に向かって何かの『力』が収束し始めると、
『桜』の身体は光り輝き、その収束した光が消える頃、
姿を現したのは『素体』に戻り『犬神』となった『桜』だった。
『ガルルルルル・・・』
「・・・フンっ!たかが『犬神如き』」
(こいつはもう・・・完全に・・・。
し、しかしここまでの成長・・・『鬼』とは一体なんなのよっ!?)
そう鼻で笑い飛ばすかのように『犬神』となった『桜』を見ると、
その緑色の縦に割れた『鬼眼』が『ギョロリ』と不気味に光った。
「・・・犬神~?
どうしたんだ・・・その身体は?」
「・・・くっ」
『戒斗』が言ったように今の『桜』は、
『素体』がダメージを受けその全身は大部分を、
『黒』く染めていたのだった。
「・・・堕天になるのが先か?
俺に殺されるのが先か・・・?
まぁ~どちらにせよ・・・あんたはもう・・・」
『戒斗』の言葉に『桜』は顔を顰めるも、
『念話』を送ったのだった・・・。
{例え私が堕天しようとも・・・お前は必ず殺すっ!
向こうに居る『悠斗』の為にも・・・な}
『悠斗』・・・。
その『名』を聞いた途端・・・『戒斗』の表情が変わり、
『その名を口にするなぁぁぁぁっ!』と絶叫しながら駆け出した。
{は、速いっ!?}
そう思ったの束の間・・・。
『ドカっ!』と派手な衝突音を響かせると、
『キャイーンっ!』と『犬神』となった『桜』の悲痛な声が聞こえた。
『ドシャっ!』と地面に転がる『桜』だったが、
ヨロヨロとしながらも立ち上がろうとすると、
『戒斗』が声を震わせながら血走った眼を向けて来た。
『あ、兄貴の名を・・・く、口にした・・・
お、お前が・・・お前が悪いんだ・・・
お前が・・・お前がぁぁぁぁっ!』
{よ、避けられない・・・}
傷つき起き上がれない『桜』がそう思った時だった・・・。
『戒斗ぉぉぉぉぉっ!きっさまぁぁぁぁぁぁっ!』と、
『戒斗』のよく知る声が聞こえて来た。
一瞬にして顔を引き攣らせた『戒斗』は、
その場で立ち止まり声がした方向へと視線を向けると、
『炎の色』に染まった何かが・・・物凄い速度で迫って来た。
『・・・さ、沙耶・・・姉・・・?』
そう考えたのも束の間だった・・・。
その激しく揺らめく『炎』は、
声を荒げながら『戒斗』に突進して来たのだった。
「・・・修一っ!『桜様』の事は任せたっ!」
「了解っ!
それで沙耶様は・・・?」
「愚問ねっ!修一っ!
当然・・・愚弟を・・・ぶっとばぁぁぁすっ!」
「・・・存分に」
そんなやり取りが『戒斗』に届いた瞬間、
『炎』を纏った『沙耶』の拳が唸りを挙げて、
『戒斗』の顔面を襲った。
『メキっ!パキンっ!』
猛烈な痛みが顔面を襲い顔の骨が砕けるのを感じながら飛ばされ、
気が付けば寺の壁と一緒に『戒斗』は埋もれていた。
(・・・痛っ!?い、一体何が・・・?)
『ガラガラ』と寺の砕けた壁を押し退け立ち上がると、
先程まで『戒斗』が立って居た場所に、
身体から『炎』を揺らした『沙耶』がこちらを睨んでいた。
「・・・さ、沙耶姉・・・何するんだよ?」
「・・・それはこっちの台詞だよ。
あんた・・・桜様に一体何やってんのさ?」
静かではあったが『沙耶』の身体から吹き上がる『炎』が、
激しく『ゴォォォっ!』と音を立てて燃えている。
そんな『闘争心』剝き出しの『沙耶』に、
立ち上がりながら『戒斗』は口を開く時には、
既に『鬼の気』により、砕かれた顔面の骨は元通りになっていた。
「・・・何って、まぁ~今の俺には『神』の力なんていらないから」
「・・・はぁ?」
「見て分かるだろ?
今俺は・・・『鬼と一体』になっているからな?
それに見た感じだと・・・
『沙耶姉』も『鬼化』しているみたいだけど、
俺の足元にも及ばない・・・」
饒舌にそう話した『戒斗』に、
『ふっ』と笑みをこぼした『沙耶』は、
睨みつけるようにこう言った・・・。
「・・・『鬼と一体』になっているだって~?
はぁぁぁぁ~?
あんたっ!それは一体じゃなく・・・
取り込まれてるってんだよっ!」
「・・・俺は取り込まれてなんてっ!」
『沙耶』の言葉に噛み付いたが、
『鬼の力』に取り込まれていた『戒斗』はこの時・・・
『炎』を纏う『姉の力量』を完全に見誤っていた。
「・・・愚弟。いい度胸してんじゃない?」
『バキっ!ゴキっ!』
『沙耶』はそう言いながら拳を鳴らし、
首をも鳴らして見せ『格の違い』とでも言わんばかりに、
威圧し『戒斗』を挑発し始めた。
「・・・お、俺はここで『沙耶姉』・・・
いや、お前を・・・超えるっ!」
「・・・やってみな?愚弟」
互いに『臨戦態勢』となった2人は、
一瞬にして激突し戦闘に突入した・・・。
それを見守る『桜と修一』だったが、
『バキっ!ドスっ!ドゴっ!』と、聞こえて来る音に喉を鳴らした。
『ザザァー』と互いが距離を取った瞬間、
その姿を見た『桜』が驚きの声を挙げた。
「しゅ、修一・・・」
「・・・何でしょうか、桜様?」
「さ、沙耶のヤツ・・・まさか・・・?」
「・・・はい、桜様が思っている通りです」
「・・・や、やはり『鬼の門』を・・・?」
互いに距離を取った2人には、
明確過ぎる事があった・・・。
それは1人は顔を在り得ない程腫らし、
もう1人は口角を挙げ『不敵』な笑みを浮かべていたからだった。
「・・・バ、バカ・・・な・・・
お、俺の・・・この俺の『鬼の力』がっ!?」
『戒斗』はその『歴然の差』に腫れ上がった顔を顰め、
『不敵な笑み』を浮かべる『沙耶』を睨み付けた。
「・・・戒斗。
貴様・・・愚弟の分際で調子に乗ってんじゃねーよっ!」
「・・・く、くそったれっ!」
「・・・私を超える・・・だと?
寝言は寝てから言いなっ!この愚弟っ!
はぁぁぁぁっ!『開けっ!一之門っ!』」
『ギギィィ』と『一之門』と書かれた燃え盛る『門』が開くと、
『沙耶』の身体から凄まじい『炎気』が放出された。
「う、嘘だろっ!?こんなヤツが・・・こんなヤツがぁぁぁっ!
お、俺を・・・この俺を超えているだなんてぇぇぇっ!?
み、認め・・・ないっ!
お、俺の『鬼』が・・・さ、最強なんだぁぁぁっ!」
「愚弟・・・。貴様如きが『最強』だと?
身の程を知れっ!愚弟ーっ!
コォォォォォォっ!
拳撃・一徹っ!」
右脇に構えられていたその拳が、
『ボッ!』と激しく音を立てながら燃え上がると、
『鬼の力に惑わされるなぁぁぁぁっ!』と声を荒げ放たれた。
『沙耶』の声に『ビクっ!』と身体を硬直させた『戒斗』は、
防御をする事すら出来ず、
ただ・・・『姉』である『熱い沙耶の拳』を受ける事になったのだった。
『馬鹿なぁぁぁぁぁぁっ!?俺がっ!俺がぁぁぁぁっ!?』
そして暫くして・・・。
暗い夜が再び静寂に包まれた時だった・・・。
外灯に照らされている『戒斗』は、
冷たくなった風に身を縮こませると意識を取り戻した。
「・・・んん・・・?あ、あれ?
か、身体はっ!?俺の身体はっ!?」
そう言いながら身体を起こした『戒斗』は、
まるで悪い夢で見ていたかのような感覚にその頭を振った。
「・・・起きたな?愚弟。
お前の身体なら、とっくの昔に『鬼の力』で再生されている。
正気にも戻ったようで・・・何よりね」
「・・・さ、沙耶姉・・・お、俺は一体?」
そう言いながら再び頭を振った『戒斗』は、
『修一』に説明を受けると、
血相を変えた『戒斗』は傷つき横たわる『桜』の元へと駆け寄った。
「さ、桜様っ!?す、すみませんでしたっ!
お、俺は桜様にな、何て事をっ!?」
『謝罪の言葉』を口にした『戒斗』を薄目を開け見た『桜』は、
『・・・ふっ』と笑みを浮かべると、そのまま目を閉じてしまった。
「さ、桜・・・さ・・・ま?
う、嘘・・・ですよね?さ、桜様・・・嘘ですよねっ!?」
『戒斗』は必死に横たわる『桜』の身体を揺り起こそうとしたが、
一向に『桜』は眼を覚ます気配がなかった・・・。
そんな『桜』を見た『戒斗』は己のしでかした事を悔い、
大粒の涙を流したのだった・・・。
「う、うわぁぁぁぁっ!
嘘・・・だろ?
じ、じゃ~・・・な、何か?
こ、この俺が・・・桜様を・・・?」
横たわる『桜』の前で愕然とする『戒斗』を見た2人は、
悔しそうに顔を背け『戒斗』に対し怒りが爆発するのを堪えていた。
そんな時だった・・・。
この暗い夜空の上から一筋の光が降り注いだ。
「・・・な、何よ・・・これ?」
「・・・わ、わかりませんけど・・・
でも・・・これは・・・」
「・・・・・」
その降り注いだ一筋の光は、
横たわる『桜』に降り注ぐとその傷ついた身体が宙に浮かび上がった。
「・・・桜の事はこの月読が責任を持って預かります。
一刻もと・・・言いたい所ですが・・・。
皆さんも傷つきその精神も疲弊しているみたいですね?
少しこの場に留まり休息した後・・・
いちかさん達の元へと向かって下さい。
そして事のついで・・・と言っては何ですが・・・」
そう言った『月読』は暴走した『戒斗』によって、
両腕を切断された『トロール』に手をかざすと、
『シュっ!』と音を立て何処かへと消え去ってしまった・・・。
『・・・後の事は頼みます』
そう言い残した『月読』は光に包まれた『桜』を引き受けると、
瞬く間にその姿を消したのだった・・・。
姿を消したのを確認した『沙耶』は、
『すまない・・・少し眠らせて』と言うと、
その場に前のめりに倒れ眠りに落ちたのだった・・・。
無理もない・・・。
慣れない『鬼の力』を使ったばかりか、
『一之門』までも開けてしまったのだから・・・。
そしてその直ぐあと・・・。
修練不足の『八咫の術』を使った『修一』も、
『お、俺も限界・・・みたいです』と気を失うように落ち、
『鬼の力』に翻弄された『戒斗』もまた、
そのまま眠りに落ちたのだった・・・。
だがこの眠りに落ちた3人はまだ知らない・・・。
いちか達が出会った『生粋の鬼』の『力』を・・・。
ってな事で・・・。
今回の『後編』はいかがだったでしょうか?
楽しんでもらえたのなら幸です。
そして来週はいよいよ『いちか』の登場となります。
因みに25話からは『前中後編』となりますので、
登録や感想など頂けたら大変嬉しく思いますっ!
あと、『活動報告』や『ツイッター』なども、
気軽に覗いてもらえたら・・・と思っております^^
ってなことで、緋色火花でした。




