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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・壱
280/406

17話・日本・我が子と呼ぶ者

お疲れ様です。


最近寒くなりましたね~・・・。

でも昼間は暑くてよくわからない天候にうんざりしている・・・

『緋色で御座いますっ!』


暑いのか寒いのかはっきりしろってんだっ!

と、言うのが正直な感想ですが、

相手は偉大なる自然・・・。

カスタマーセンターなどがあるはずもなく・・・。


皆さんも体調を崩されませんように^^

季節の変わり目には弱いそんな緋色で御座いますw


さて今回ですが・・・。

ある場所へ『黒蝶』が連れて行かれる・・・。

まぁ~ざっくりし過ぎていますが、そんな話ですww



それでは外伝・17話をお楽しみ下さい。


夕暮れに黒蝶の姿が赤く染まる中、

直次達を必死に『探索』していたのだった・・・。


(ど、何処なのよっ!?

 私の作り出した空間なのに・・・

 その存在までもが確認出来ないなんてっ!?)


その額に汗を浮かべながら必死に『探知』を試みるが、

直次達の姿は一向に確認出来なかった・・・。


そしてその焦りは『冥府魔道の力』をも消費していき、

その身体に負担が降り積もっていった・・・。


(な、直次さんっ!一体貴方は今何処にいるのよっ!?

 お、お願いっ!貴方の『命の鼓動』を私に聞かせてっ!)


黒蝶の・・・。

いや、『冥府魔道の力』の1つである『探知』とは、

『命在る者達の鼓動』を感じる事によって、

その居場所を突き止めるモノだった。


その『命の鼓動』が感じ取れないと言う事は、

即ち・・・『死』を確定する事にもなるのだが・・・。


(直次さんっ!お願いっ!

 何でもいいから貴方の『命の鼓動』を感じさせてっ!)


『探知』の範囲を広げ黒蝶は更に『術』の強化をして行くが、

直次達を探し出すことが出来なかったのだった・・・。


「ど、どうしてっ!?

 い、一体何が起こっているのよっ!?」


黒蝶が苦悶に満ちた表情を浮かべながらそう唸った時だった・・・。


『ニャ~オ』


「・・・えっ?」


突然聞こえた『猫』の鳴き声に、

黒蝶はその鳴き声の方へと視線を向けた。


「ど、どうして・・・ね、猫がっ!?」


驚愕するほど黒蝶が驚いたのには理由があった・・・。

それはこの『多層空間』を作り出した時、

その空間に存在している『生命』は、

『村人達』と『ゴブリン達』だけだったのだ。


それ以外の『生命』は存在しておらず、

『鳥の声』『虫の音』などは『音』だけの存在だった。


この空間を作り出した本人だからこそ、

目の前に姿を現した『猫』・・・

その『黒猫』の存在は『異常』と言わざるを得なかったのだ。


「あ、在り得ない・・・。

 こ、こんな『黒猫』わ、私は知らない・・・」


声を震わせそう呻いた黒蝶の存在に気付いた『黒猫』が、

何者かを確認するようにじっと・・・黒蝶を見つめていた。


『ニャ~オ♪』


再び『黒猫』がそう鳴き声を挙げると、

震える黒蝶に向かって歩み始めた・・・。


その『黒猫』の顔が黒蝶には笑みを浮かべているように見え、

とても不気味な存在に思えて仕方がなかったのだ。


「な、何者・・・な、なのよっ!?」


そう声を挙げるも黒蝶の声は掠れ、

その声が『黒猫』に届いてはいないようだ・・・。


そしてその『黒猫』が黒蝶の前へと辿り着くと、

姿勢よくお座りをしたその『黒猫』が再び『ニャ~オ』と鳴いた。


すると突然黒蝶の周りの空間が歪み、

気が付くとそこは・・・畳が敷かれた薄暗い広い部屋だと気づいた。


「・・・えっ?・・・えっ!?

 こ、ここはっ!?」


余りの出来事に焦りはするものの、

肌で感じる風の流れや手が触れている畳の感覚が、

現実だと気づくのにそう時間はかからなかった。


(こ、これは・・・現実っ!?

 で、でも私は一体どうやってこの空間にっ!?)


そう思ったのと同時に黒蝶は、

すぐさま場所を特定しようと『術』を発動しようとするが、

何故か黒蝶の『術』は発動せず、動揺が色濃く顔色を変えていく・・・。


「・・・じゅ、術・・・が・・・」


『術』が発動しない事に焦りの色を浮かべると、

『ボっ!ボっ!』とその部屋の四隅にあった蠟燭に火が灯った。


突然火が灯った蝋燭に黒蝶は身構え警戒していると、

その部屋の一番奥に何者かの気配を感じ取ったのだった。


「だ、誰っ!?何者なのですっ!?」


咄嗟に後方へと飛び退いた黒蝶は、

懐から『黒い扇子』を取り出すと広げ、

戦闘態勢に移行した。


『ジジっ、ジジっ』と蝋燭の炎が音を立てて揺らめいた。


緊迫感漂う静寂に包まれたその緊張感に、

黒蝶は『ごくり』とその喉を鳴らした・・・。


すると部屋の奥に居る何者かの気配が、

一瞬揺らいだかに思い身構え警戒を強めると、

『フフっ・・・いい面構えよの?』と女性の声が聞こえた。


黒蝶はより態勢を低くし眉間に皺を寄せると、

再び『何者なのです?』と静かに口を開いた・・・。


『フフっ・・・。

 そう警戒せずともよい・・・我が子よ』


「わ、我が子っ!?」


突然『我が子』と呼ばれた黒蝶の本能が警鐘を鳴らすと、

咄嗟に『冥府魔道の力』を使用し、

その力を身体に纏わせようとした・・・。


だが、その力は黒蝶の身体を纏うどころか、

発動する事させしなかった。


「ち、力が・・・は、発動しないっ!?」


不安に満ちた声を挙げると、

黒蝶の正面に居る女性の声が聞こえて来た。


『・・・愚かよの?

 まだ此処が我の力の領域と気づかぬのか?』


「ち、力の・・・りょ、領域?」


その女性の言葉に『はっ!』と我に返った黒蝶は、

力が発動しないのがこれで2度目だと思い出した、


過度のストレスによる欠乏・・・。

己の許容量を越える事象に、脳が正常だと補完する為、

記憶の一部を欠乏させたのだった・・・。


「こ、この私がっ!?」


苦虫を嚙み潰したように顔を歪めると、

その女性が声を挙げた。


『うむ、まだ『冥府魔道の力』に慣れておらぬからの~?

 仕方のない事じゃて・・・。

 研鑽を積む事によってのみ・・・

 その力を我がモノとするしかなかろうの』


そう説かれた黒蝶はその声から温もりのようなモノを感じ取り、

警戒するだけ無駄だと悟ると扇子を懐へと収め、

その場で正座をし頭を垂れたのだった・・・。


『フフっ・・・。

 よいよい・・・そのように改まる事はなかろうて・・・。

 我が子にそのような態度をされては、

 我の心が居た(たま)れぬわ・・・フフっ』


何処か楽し気で優しく黒蝶の心を癒してくれる・・・。

それを感じ取った黒蝶の目からは自然と涙が零れ落ちていた。


『我が子よ・・・。

 其方を苦しめる者達の事が憎かろう?

 そしてその心が・・・辛かろう?

 我は其方の味方じゃ・・・。

 どんな時も・・・どのような場合でも・・・の』


「ありが・・・とう・・・ござ・・・います」


『慈愛』に満ちたその声に再び黒蝶は大粒の涙を零した。



畳に『ポタポタ』と涙の雨を降らせる黒蝶に、

その女性は口を開いて行った・・・。


『其方を此処へと誘ったのには理由があるのじゃ』


「・・・り、理由・・・ですか?」


『うむ・・・。

 其方が探す者達が姿を消した一件の事じゃ」


「も、もしかして・・・理由をご存じなのですかっ!?

 そ、そしてその所在もっ!?」


『・・・フフっ、当然じゃて・・・。

 我をなんと思っておる?

 とは言ったものの・・・1つ其方に詫びねばならぬ事があるのじゃ』


「・・・詫び・・・ですか?」


その女性の言葉に黒蝶は思わず顔を挙げた。

すると部屋の一番奥に居たはずのその女性の姿が、

いつの間にかその顔を認識出来るほどの距離に居た。


(・・・こ、この人・・・誰?)


黒蝶の認識から零れた言葉だった・・・。

見た事もなければ出会った記憶もない・・・。

そんな認識から出た言葉だったのだ。


だがその女性の『慈愛』には、

何処かで触れたような気がしてならなかった。


(・・・そう、あれは・・・)


何かを思い出しその記憶を巡ろうとしたが、

その女性の話は続き記憶を辿るのを止むを得ず諦めた・・・。


『其方に詫びねばならぬ事とはの・・・。

 『ある者達の介入』を許してしまった事なのじゃて・・・」


「ある者達・・・?」


『うむ、今はまだその者達の事は言えぬが、

 その者達によって、其方の見知らぬ魔物が現れたのじゃ。

 我が着いておりながら、誠にすまぬ事をしたのじゃ・・・。

 この通りじゃて・・・』


そう言いながらその女性は、

長い白髪をたゆませながら頭を垂れたのだった。


「そ、そんな事は・・・」


そう言って黒蝶は申し訳なさそうに言うと、

顔を上げたその女性の顔がはっきりと見て取れた。


頬は少しコケてはいたが、

その目は優しく・・・そしてその瞳は赤く、

そして何よりもその纏う気品に溢れた出で立ち・・・。


蝋燭の炎だけが揺らぐその部屋では、

肌の色などの識別は出来なかったが、

その身に纏う和装は身分の高い女性だと一目でわかった。


そう感想を抱く黒蝶に微笑みかけたその女性は、

黒蝶に優しく微笑みながらも話を続けていった・・・。



『其方が探す者達の行方はの?

 今の其方の力では『探知』出来ぬ空間に居るのじゃ』


「今の私では『探知』出来ない場所・・・」


『うむ。じゃがそれも追々研鑽を積む他ない(ゆえ)

 今を嘆いていても仕方がなかろう・・・』


「・・・は、はい」


『して・・・、その場所じゃがの?』


そう言いながらその『長い白髪の女性』は、

驚いた事に突然己がその身に纏う和装の袖を千切り取って見せた。


「な、何をっ!?」


余りの突然の出来事に黒蝶が身を乗り出し声を挙げると、

『よいよい・・・其方が気に病むことはないのじゃて』と、

まるで少女のように無邪気に笑って見せ、

黒蝶はその笑みに釣られ同じように微笑んでいた事に気付かなかった。


『長い白髪の女性』は、

その千切り取った袖に『ふっ』と息をかけると、

千切り取られた袖が形を変え、

先程出会った『黒猫』へとその姿を変えた。


「こ、この『黒猫』は先程の?」


呆気にとられた黒蝶がそう呟きながらその女性を見ると、

反対側の和装の袖が無くなっている事に気付いた。


(あ、あっ・・・もう片方の袖が・・・)


もう片方の袖がない事に黒蝶が気付くと、

その女性は再び『よいよい♪』と笑っていたのだった。


「あ、有難う御座います」


再び頭を垂れる黒蝶に微笑みかけながらその女性は、

この『黒猫』について説明していった。


『この『黒猫』はの?

 言わば其方の『未熟な力』を補うモノじゃ」


「・・・補う?」


『うむ、そうじゃ・・・。

 今の其方には開けられぬ別の『時空洞』と言う扉があっての?

 この『黒猫』はその扉を見つけ出し扉を開け追跡するモノぞ?

 他にもこの『黒猫』には能力が在る故、

 付き合いながら確認しておくがよい。


「は、はいっ!有難う御座います」


『我が子よ・・・。

 その『黒猫』を今後も其方に預ける・・・。

 そして其方が自らが『目論む策』の為、

 『黒猫』を役立てればよいのじゃ』


「重ね重ね・・・有難う御座います。

 必ず・・・事を成し遂げて見せます・・・」


『・・・うむ』


その女性が微笑んで見せたかと思うと、

黒蝶の視界が再び歪み始めたのだった。


慌てた黒蝶は咄嗟に『貴女様のお名前はっ!?』と声を挙げると、

『我はその『黒猫』と連なる『白蛇』・・・。

 分体にして名は持たぬモノぞ』と、そう告げた。


「連なる『白蛇』?

 そ、それに・・・分体・・・?」


そして最後に遠ざかる声が黒蝶に届いた、


『其方は決して1人ではない・・・

 その事を忘れるでないぞ?

 我が子よ・・・。

 再びまみえるその日まで・・・さらばじゃ』


その声が最後まで聞き終えると、

目の前にはあの『寺』の本堂があった・・・。


「・・・はい、決して忘れません」


そう呟くと黒蝶は決意も新たに直次達を『探索』して行くのだった。



一方、黒蝶との戦いを終えた桜達はと言うと・・・。


いちかがマジックボックスに収納していた、

桜の擬体を渡しているところだった・・・。


「す、すまないな・・・いちか・・・。

 回収してくれていたのだな?」


「うふふふ♪

 勿論移動しながら、しっかりガッチリ回収しておきましたよん♪」


「・・・本当に有難う」


「・・・えへへへ」


桜はすぐに擬体へと入り、その擬体のダメージ状況を確認すると、

疲れ切り横たわる沙耶の元へと駆け寄った。


「沙耶・・・私がすぐに回復してやるからな?」


「・・・桜様、お願い致します」


沙耶の治療に入った桜は『神力』を使用すると、

その身体が淡い銀色の光を纏いながら、

蓄積されたダメージがゆっくりと回復し始めた。


それを見ていた英二の視線に気づいた沙耶は、

不思議そうな表情を浮かべ見ていた。


「・・・ん?な、何よ?

 人の事じっと見て・・・」


半分照れたようにそっぽ向く英二に、

沙耶は疑問をぶつけたのだった。


「英二・・・お前・・・元気そうだな?」


「は、はぁ?な、何だよ・・・その言い方はよっ!?

 元気で悪り~かよ?」


目を吊り上げながら声を荒げると、

沙耶は更に言葉を続けたのだった・・・。


「いや・・・単純に思ったんだが・・・英二・・・

 いくら桜様に回復してもらったとは言え、

 一応・・・腹を貫かれているんだぞ?

 なのにお前はもう・・・平気な顔をしている・・・。

 一体どう言う事なんだ?」


そう疑問を呈した沙耶に、

この場に居た全員が唖然とする英二にその視線を向けた。


「・・・は、はぁっ!?・・・え、えぇっ!?

 だ、だって・・・よ?

 そ、それは桜さんが治療してくれたおかげじゃねーの?

 神パワー的な何かでって事だろ?」


「か、神パワーって・・・意味不明な事を・・・」


「う、うっせーよっ!」


突然の質問に英二は慌ててそう答えるも、

他の者達との温度差に驚いている様子だった。


そして沙耶を治療している桜が訝しい顔をして見せていた、


「なっ、何だってんだよっ!?桜さんまでっ!?

 俺が『完全回復』したのは桜さんのおかげだろ?」


「い、いや・・・それは違うわ・・・英二」


「・・・はい?

 ち、違うって何がだよ?」


そう聞き返してくる英二に桜はふとその視線を外した。


(確かに・・・おかしいわね?

 で、でも・・・もしかしたら・・・?)


そう考え再び視線を英二へと戻した時、

桜は疑念に駆られながらもその言葉を口にした。


「英二・・・ちょっと今、『鬼化』して見せて・・・」


桜の言葉に英二は『は、はぁぁっ!?』と声を挙げるも、

その桜の真剣な顔に『わ、わかったよ』と返答したのだった。


英二は沙耶の治療をする桜達から少し離れると、

呼吸を整え『はぁぁぁぁっ!』と気合いと共に、

『紫色の鬼の気』を放出した。


「・・・ま、まぁ~・・・一応お、鬼化したけどよ?

 これが一体何だってんだよ?」


戸惑う英二に桜はつま先から頭のてっぺんまで見つめると、

右手で沙耶を治療しながら、左手で自分の顎を撫でていた・・・。


「お、おい・・・桜さ・・・」


英二が不安に駆られ桜の名を口にした時だった・・・。

その名を言い終わる前にこんな事を桜が口にしたのだった。


「英二、お前・・・黒蝶にもらった力・・・

 まだ使えるか?」


「・・・は、はぁっ!?」


突然桜にそう問われた英二は思わず声が裏返ってしまった。

そして声が裏返った事に英二は少し顔を赤らめながらも、

桜に対し声を荒げてしまった・・・。


「なっ!何言ってんだよっ!?

 黒蝶にもらった力は、そもそも『冥府の種』ってのが原因でっ!

 それを回収したのは桜さん自身じゃねーかっ!

 だから今の俺が黒蝶にもらった力なんてもう・・・

 使えるはずねーだろうがよっ!」


真っ当な英二の返答に流石の桜も、

『・・・そうよね?』としか言えなかった。


そして桜が悩む中・・・。

あっけらかんとした口調で口を開いたのはいちかだった・・・。


「・・・使えるでしょ?」


「「「・・・はぁ?」」」


いちかの声に見事にシンクロして見せた3人に構う事無く、

呆れていたいちかがそのまま話を続けていった・・・。


「いやいや・・・だ~か~ら~・・・。

 『冥府の種』ってのが無くなったところで~

 一度発現した力は~使えるでしょ?って言ったんですけど?」


「・・・え、えっ!?ま、まじかよっ!?」


いちかの言葉に英二は驚き声を挙げ、

桜は沙耶と顔を見合わせると驚きの表情を浮かべながらいちかを見た。


「い、いちか・・・お前・・・

 例の『鬼鑑定』を使って確認したのか?」


そう声を挙げた桜にいちかはただ『いいえ~』と言った。


「鬼鑑定を使うまでもなく、

 英二さんの中に黒蝶に与えられた力をまだ感じますけど?」


「・・・ほ、本当なの?」


「・・・ま、まじかよ・・・いちか?」


桜と英二の質問にいちかはただ『はい』と言ってのけたのだった。

『それなら・・・』と言う事で、

英二は緊張しながらも呼吸を整え集中すると、

『はぁぁぁぁぁぁっ!』と再び『紫色の鬼の気』を吹き上げた。


『うぅぅっ』と突然呻き声を挙げ苦しみ始めた英二に、

桜がいちかに『大丈夫なのっ!?』と声を荒げるも、

いちかはただ笑みを浮かべながら・・・

『まぁ~見ていて下さいよ♪』っと楽観的に言ってのけたのだった。


疑心暗鬼になりながらも、桜は止めさせるかどうか思案していると、

いちかが英二に向かって声を挙げた。


「英二さんっ!それでも男なんですかっ!?

 な~にビビっちゃってんですかぁ~?

 だからモテないんですよ~♪」


『プププゥ』と吹き出しながら笑ういちかに、

英二のこめかみが最大限にヒクつくと・・・


「てっ、てめーっ!いちかぁぁぁぁっ!

 モテるってのは今は関係ねーだろうがっ!

 それにこの俺を見下して笑ってんじゃねぇーぞっ!

 み、見てろよー・・・いちかぁぁぁっ!

 うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

 開けっ!俺の中の『鬼魂門っ!』」


英二の怒声一発・・・。

怒りの咆哮を挙げた英二の身体から、

突然『バシュっ!』と『赤紫の鬼の気』が噴出したのだった。


「・・・え、えっ!?ま、まじかぁぁぁっ!?

 まじで開きやがったぁーっ!?」


「・・・噓でしょ?」


英二本人も驚く中、桜もまた驚きを隠せないようだった・・・。

そんな(かたわ)ら桜の治療を受けている沙耶は、

『あ~っはっはっはっ!』と爆笑しており、

いちかは『やれば出来るじゃん♪』と笑みを浮かべていた、


『シュゥゥゥゥゥゥゥ』っと、

『赤紫の鬼の気』が音を立てて英二の身体から流れ落ちて行く・・・。


そんな自分の両手を見つめていた英二は、

その身を『ブルブル』と震わせると『まじでかぁぁぁぁっ!?』と、

再び歓喜の声を挙げはしゃいでいた。


するといちかが英二に向かってこんな事を言い始めた。


「喜び方がガキっぽくて・・・草」


今時の言葉に鋭く反応を示した英二は、

『てっ、てめぇぇぇぇぇぇっ!』と怒りの声を張り上げ、

いちかを追いかけ廻すのだった・・・。


「やーい、バーカ、バーカっ♪」


「待てぇぇっ!て、てめーっ!このっ!いちかぁぁぁっ!」


そしてそれを微笑ましく見ていた桜は沙耶の治療を終えると、

元気に追いかけっこをしているいちかを呼び、

『そろそろ連絡を』と促したのだった・・・。


『わかりました~』と元気よく答えたいちかだったが、

首を捻り『ぶつぶつ』と言っているいちかが口を開いていった。


「ん~・・・。おかしいんですよね~?

 合流ポイントに居る『大介さん』と連絡取れないし、

 『戒斗様』にも連絡が取れないんですよ~?」


「・・・故障か?」


沙耶がそう呟くも、何故か胸がザワザワするのだった。

その悪寒にも似たザワめきが、

何かの『予兆』かも知れないと感じ取った沙耶は、

急ぎ合流ポイントへと戻って行くのだった。



そして合流ポイントで大介に聞かされた・・・。


「さ、沙耶様っ!桜様っ!

 か、戒斗様達3名が・・・音信不通ですっ!」


「・・・えっ?」


大介の言葉に驚きの声を挙げたのは『沙耶』だった・・・。


「ちょ、ちょっと待てっ!大介っ!?

 一体どう言うこったよっ!?」


「え、えっと・・・英二さん・・・実は・・・」


そう言って話を切り出した大介の表情は、とても曇っていたのだった・・・。


夕暮れに赤く染まり始めた合流ポイントには、

再び不穏な空気が流れ始めたのだった・・・。




ってな事で・・・。

今回のお話はいかがだったでしょうか?


何やら色々と陰で動いている者達がいるようですね^^

今後を楽しみにして頂ければ嬉しいです^^


因みに・・・。

この後のお話は既に4話分のストックがありますので、

問題なくいつもの時間にアップしていきますのでご安心を・・・w



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] お忙しい中お疲れ様です。 もしやあれですかね。 学生時代、テスト勉強中につい部屋の片付けしてしまう的な?w まだまだ謎のキャラが出てきてすでに頭の中が整理できませんが、いつか集約すること…
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