11話・日本・燃える門
お疲れ様です。
退院してそう時間も経っていないのに、
既にハードに社畜している緋色で御座いますorz
って言うか・・・暑いですね><
暑さにとても弱い緋色ですが、皆さんはいかがでしょう?
水分をこまめにとって、この夏を戦い抜きたいと思います。
さて、今回のお話ですが・・・。
引き続き英二と沙耶の戦いです・・・。
楽しんで読んでもらえると嬉しく思います^^
それでは、外伝・11話をお楽しみ下さい。
『はぁぁぁぁぁぁぁっ!』と力を漲らせ始めると、
徐々に見え始めた沙耶の『新たなる力』に、
いちか以外の者が言葉を失った。
「桜さんにももう見えますよね?
沙耶さんが身に纏っている力が・・・」
「あ、あぁ・・・し、しかし・・・どうして?」
沙耶の身体から吹き出るモノに、
目を離す事もなく桜はいちかにそう言葉を返した。
「あはは・・・私もさっき多少驚いたんですけどね~。
でもまぁ~、悠斗さんの・・・
師匠の姉上だから妙に納得しちゃって・・・」
のんきな声でそう話していくいちかだったが、
桜が気付いた時には、そのいちかの身体からも力が漏れ始めていた。
「い、いちか・・・お前?」
「ははは・・・す、すみません・・・桜さん・・・。
な、何だろ?
沙耶さんが力を見せ始めた時から・・・
私も・・・妙に『ウズウズ』しちゃって・・・」
(この子・・・沙耶の力に反応してっ!?
と、言う事は・・・やはりあの・・・)
『ウズウズ』としているいちかを横目で見ていると、
突然沙耶から気合の咆哮が響き渡った。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『バシュっ!』と言う音と共に一瞬・・・。
沙耶の噴き出した力が消失したかに見えた・・・。
だが再び沙耶が『はぁっ!』と気合を入れると、
消失したその力が沙耶の身体を包み込んでいたのだった。
「・・・ふぅ~、何とか安定したわね」
そう呟くその声に我に返った英二が戸惑いながらも声を挙げた。
「なっ、何だよ・・・それ?」
「ん?お前も知っているだろ?」
「じ、じゃ~・・・それってやっぱり・・・
いちかと同じ・・・」
「あぁ・・・赤銅色の・・・悠斗と同じ・・・鬼の気だ」
「「「っ!?」」」
沙耶が赤銅色の気が溢れ始めたその時から、
いちか以外の連中は予想がついていた・・・。
だが、沙耶の口からそう告げられるまでは、
誰もがそれが『鬼の気』だとは信じたくなかったのだった。
(ど、どうしてこの女が鬼の気をっ!?
な、何故っ!?)
目の前で起こっている現実を受け入れる事が出来ず、
ただただ黒蝶は狼狽えるばかりだった・・・。
そして此処にも狼狽える男が・・・。
「ははは・・・う、嘘・・・だよな~?
ど、どうしててめーが・・・鬼の気を・・・?
あ、ありえねー・・・ありえねーだろっ!?」
顏を引き吊らせながらそう言った英二に、
わざとらしくとぼけた表情を浮かべた沙耶は、
自信満々にこう答えたのだった。
「フフッ・・・。
私はあいつの姉・・・だぞ?
弟である悠斗に出来て、私に出来ない訳がないだろ?」
「・・・意味・・・わかんねーよ・・・。
だ、だけどよ・・・それは間違いなく鬼の気だ・・・。
って事は・・・だ。
沙耶・・・てめーも『鬼魂門』ってヤツを開いたんだな?」
脂汗を浮かべた英二が『ごくり』と、
乾いた喉を鳴らしながらそう言うと、
沙耶は何かを思い浮かべながらこう言ったのだった。
「ん?『鬼魂門』って何だ?
ひょっとして・・・あれの事か?
真っ赤に燃え上がっている・・・あの『門』の事か?」
「「・・・はい?」」
その沙耶の発言に英二は何度も瞬きをし、
いちかは凄まじい角度で首を傾げていた。
「い、いちか・・・?
『鬼魂門』とは一体・・・なん・・・っ!?
いちかっ!?」
「・・・はい?」
「お、お前っ!?く、首の角度がおかしくなってるぞっ!?」
と、桜が驚愕するほどいちかは首を傾げていたのだったが、
そのいちかは気にする事もなく口を開いていった。
「・・・わ、私の門・・・燃えてなんていませんけど?
って言うか・・・燃え上ってるって・・・何?」
「・・・えっ!?」
眉間に皺を寄せるいちかは、同じように固まる英二へと声をかけた。
「英二さーんっ!」
「なっ!?えっ!?い、いちかっ!?
何だよっ!びっくりさせんなよっ!」
「え~っとですね~?
そんなことはどーでもいいんですけど・・・」
「・・・どうでもいいって、お、お前ね~?」
「英二さんの『鬼魂門』って・・・どんなのですか~?」
いちかのその質問に英二は軽く上を見ながら、
自分の『鬼魂門』の姿を思い出していた・・・。
「ど、どんなってよ~?
紫色のちょっとファンキー色強めの門つーか?」
「英二さんの『鬼魂門』って・・・む、紫色してんですか~?
えぇ~・・・キモっ!
やっぱアレですかね~?
ペットなんかと同じように、持ち主に似るんですかね~?
ファンキーとか言っちゃって・・・ダサダサですね~♪」
「ダ、ダサダサって・・・てめー、好き放題言いやがってっ!
お、お前な~?
ディスるにしてももうちょっとあんだろうがよっ!」
「因みに私の『鬼魂門』はですね~?」
「・・・聞けよっ!俺の話をよっ!」
英二がそう叫ぶ中・・・。
自分の『鬼魂門』を思い浮かべながら、
いちかは自分の門が『朱色』の門だとそう答えた。
「習字の先生に文字を直してもらう時の色・・・
って言えばわかってもらえるかな~?」
そう答えるといちかは沙耶の方へと向き直り、
再びおかしな角度で首を傾けながら質問していった。
「・・・でも燃えているとかっておかしくないですか?」
「・・・い、いちか・・・お前の首の角度が・・・
って、今は別にいいけどよ・・・。
ってか・・・
俺やいちかの『鬼魂門』には、そんな現象は起こってねー・・・
って事はつまり・・・?」
「沙耶さんの門が・・・おかしい・・・?
ぶっ飛んでる?まさに・・・絶賛炎上中・・・?」
「・・・え、炎上ってのは兎も角よ・・・
まぁ~、そう~・・・なるわな~?」
そんな会話がいちかと英二の間で行われていると、
顏を『ヒクヒク』とさせながら黙って聞いて居た沙耶が、
漸く口を開いたのだった。
「てめーら・・・
さっきから黙って聞いて居れば言いたい放題・・・」
「げっ!?」
「・・・沙耶っ!てめーっ!盗み聞きしてんじゃねーぞっ!」
「盗み聞きも何もっ!それだけ大声で話していたら、
誰にも聞こえるに決まってんだろうがぁっ!」
怒りを滲ませながらそう吠えた途端、
沙耶の身体から熱風が巻き起こり、
その周囲に居た連中にその熱風が襲い掛かった。
「熱っ!?」
「うおっ!?」
「こ、この熱風はっ!?」
「っ!?」
その熱風を受けた者達が静まり返った時、
『コホン』と咳払いをした沙耶が話し始めた。
「黙って聞いてりゃ~好き放題・・・。
何か?私のその『鬼魂門』ってのが燃えてちゃ悪いのか?」
沙耶のその双眼を見た英二といちかは喉を『ごくり』と鳴らした。
「いやいやいやっ!さ、沙耶さん・・・。
べ、別に悪いって言っている訳じゃないですってばっ!
た、ただ・・・」
「・・・ん?
いちか・・・?ただ゜・・・何だ?
言いたい事があるのなら、命が在るうちに言っておけよ?」
「・・・こ、こわっ!」
沙耶の静かなる怒りに小刻みに震えるいちかだったが、
疑問が生まれた以上、話さずにはいられなかった。
「・・・さ、沙耶さんの燃えている『鬼魂門』って、
ちゃんと開くのでしょうか?」
「・・・開く?」
そう疑問を話された沙耶はいちかのように、
凄まじい角度で首を傾げて見せたのだった。
そしてそんな沙耶から出た言葉が・・・。
「この門って・・・開くのか?」
「「・・・・・」」
言葉を失くすいちかと英二・・・。
だが沙耶自身は至って真面目にそう言っている事はわかっている。
それを踏まえての・・・無言である。
だがそんな時だった・・・。
『ちょっといいか?』と桜が話に入って来た。
立ち上がった桜は歩み寄るとこんな話をし始めたのだった。
「たった今、思い出したんだが・・・
前に向こうで悠斗から聞いた話なのだが・・・聞く気はあるか?」
そう話し始めた桜に、いちかと英二だけではなく、
黒蝶も興味有り気に近寄って来たのだった。
「待ちなさい・・・犬神。
私もその話には興味があります。
その話が終わるまでは一時休戦としましょう」
「・・・黒蝶、随分と都合がいい事を言うのだな?」
「・・・仕方がないでしょ?
そんな話を持ち出されては、聞くしかないでしょ?」
「我々がそんな提案を受け入れるとでも?」
「攻撃すると言うのなら・・・お好きにされてはいかがですか?」
「何だと?」
「私を攻撃すると言うのなら、英二を盾にするまでですが、
神で在る貴女にそのような事が出来るのですか?」
「・・・貴様」
「まぁ~どちらにせよ・・・。
私にとっては実に興味深いお話のようであり、
また・・・あの悠斗さんのお話ならば余計に・・・」
「な、何だか俺・・・ひでー扱いなんだが?」
(ほう~・・・。黒蝶のヤツも興味津々だな?
ん?黒蝶は悠斗と知り合い・・・なのか?)
しょぼ暮れる英二を他所に桜がそう考え始めると、
『早く話しなさい』と、少々苛立った黒蝶から声がかかった。
「・・・そうね。
悠斗から聞いた話だから、
あんた達に当てはまるがどうかわからないわ。
それでもいいなら・・・話すけど?」
そう桜が尋ねると、いちかや英二・・・それに沙耶も頷いて見せた。
「悠斗もある事がきっかけで、
その『門』とやらが開いたと言っていたわ。
そしてそれまで使っていた『赤銅色の力』。
そう、それはつまり『鬼の力』ってヤツね?」
そう桜が話し始めた時、
いちかが手を挙げながら『ちょっといいですか~?』と、
話に割って入って来た。
「私が沙耶さんの『赤銅色』に気付く事が出来たのは、
特別任務で悠斗さんの後を着いて行った時に、
何度も何度もソレを見たからかも・・・」
そう話すいちかに今度は今の話について桜は話していった。
「いちか・・・その話なのだが・・・。
実はな?色々と神々達から話を聞き結論付けた事がある」
「ほぇ?か、神々の皆さんとですかっ!?」
「あぁ・・・そして私なりに結論付けた答えがこうだ。
お前は悠斗のストーカーだったのだろ?」
「・・・へっ?」
桜の『ストーカー』発言にいちかは固まり、
その話を聞いて居た黒蝶からは軽蔑の眼差し・・・
更に英二は目を閉じながら何度も頷いていたのだった。
「ちょっ!ちょちょちょちょっと待って下さいよーっ!?
えっ!?か、神々の皆さんの認識が、私をストーカーだとっ!?」
「あぁ・・・違うのか?」
「ちっ、違いますよっ!
それに私はちゃんと悠斗さんに、
今日もずっと後を着け回しますね~?って、
ちゃんと言ってありますからっ!」
「い、いや、だから・・・それがストーカーと言うのではないのか?」
桜といちかのどうでもいいやり取りが暫く続くと、
ドス黒い気を発しながら、黒蝶が『パチンっ!』と扇子を閉じた。
「・・・くだらないやり取りはまだ続くのでしょうか?」
その一言に沙耶も英二も頷いて見せると、
桜が少し顔を赤らめながら話をしていった。
「さ、先程いちかは悠斗の後を着け回していたから、
沙耶の鬼の気が見えたと言ったが、
神々の見解は違う・・・。
恐らくいちかの場合、無意識に放出されていた悠斗の鬼の気を、
浴び続けたのが要因でないか?
そしてそり要因が、いちか・・・お前のDNAを書き換えた・・・。
私を含め月読や天照も同様の考えだが・・・
これはあくまで想像の範囲だ・・・」
桜の見解に空を見上げたいちかは、
『う~ん』と暫く唸って見せると、
『あぁ~』っと意味有り気に声を挙げた。
「3ヶ月くらい後だったかな~?
その日も悠斗さんを着け回し観戦していたんですけど、
目の前で戦っている悠斗さんの身体から何かが流れて来て、
その赤い煙みたいなモノが私の身体に巻き付いてきたんですよね~」
何だかいちかはあの時の光景を思い出しながら話すと、
懐かしそうに思い出にふけっていた。
「それが・・・『赤銅色』って訳か?」
そう口を開いたのは沙耶だった・・・。
「悠斗の赤銅色の気を・・・。
鬼の気を浴び続けたから・・・お前は鬼の力を手に入れたと?」
「・・・うーん。どうなんでしょうね~?」
首を捻りながら沙耶の問いにそう答えたいちかだったが、
自分自身でもはっきりと断言する事は出来なかった。
すると今まで無言で話を聞いて居た黒蝶が静かに口を開いていった。
「あの御方に少し聞いた事があります」
そう話し始めた黒蝶に一同が黙ってその話に耳を傾けた。
「鬼の気と言うモノは・・・。
人間が浴び続ける事は出来ないと・・・。
鬼の気と言うモノは人間にとって『毒』だと言うのです。
ですから今の貴女のお話は、常人ではありえない・・・と、
そう言わざるを得ません。
ですが実際のところ・・・。
貴女はこうして『赤銅色』の気を操っています。
ですからあの御方にも知らぬ事があるのでしょう・・・。
貴女みたいな人間も実際には存在する・・・。
と、言う事ですね」
興味深く・・・。
黒蝶はいちかを見つめると、
いちかは桜の背中に身を隠してしまった。
「こ、黒蝶が私の事をすっっごい見てるーっ!?
怖いんですけど・・・まじて怖いんですけどっ!?」
その行動に桜が『フッ』と笑みを浮かべると、
話を本題へと進めていった。
「悠斗から聞いた話の中では『鬼魂門』と言う名称はなかった。
ただ・・・『門』とだけ聞かされていたから、
その話を思い出すのに少々時間がかかってしまった。
で・・・だ。
悠斗が最初使っていた『赤銅色の気』と言うのは、
本来の『鬼の気』の姿ではないようだ」
「・・・えっ?どう言う意味だよ・・・桜さん?」
「うむ、英二・・・前に話してくれたわよね?
お前達が森の中で出会った異世界の神と対峙した時、
お前を守ろうとした悠斗の身体から、
『赤い気』が吹き出したのを・・・」
「あ、あぁ・・・そう・・・あの時・・・。
あいつは俺の前に立ち塞がって・・・。
悠斗は神が放つ威圧に耐えながら必死に俺を・・・」
「その時に見せたのがあの『赤い気』だな?」
「・・・あぁ。
い、いやでも・・・桜さん・・・
でもあの時悠斗の身体から吹き出したのは、
間違いなく・・・『赤』だっ!
『赤銅色』とは全く違うぜ?」
その話にいちかや沙耶・・・そして黒蝶までもが聞き入っていた。
そんな連中の表情を細かく見つめながら、
桜は更に話を進めて行った。
「まぁ~お前の話やいちか・・・。
そして沙耶の現状・・・。
それを聞くとどうやら悠斗の仮説は当たっているようだ」
「・・・仮説って何だよ?」
「うむ、悠斗の仮説とはな?
まだ悠斗がその『門』を開く為に必死になっている頃、
あいつのはその『門』の特性を把握しようと、
色々と模索し検証していったようだ」
「・・・検証って、はっはっ・・・あの子らしいね~?」
沙耶はこの世界に居ない弟の顏を思い出しながら、
空を見つめていた。
「あいつの仮説では、その『門』には個々の特性が在ると・・・。
その門の形や色・・・そして規模なども個々で違うはずだってね」
そう話す桜に英二は訝しい表情を見せていた。
「お、俺の場合は・・・
天照様に与えられた力だから悠斗の話には納得するけどよ?
だけどいちかや沙耶はどうなんだよ?」
「うむ・・・確かにお前はある意味特別だ。
だが生命を持つ者達はそれぞれ個性が在る。
だから同じ『鬼の気』であるはずが、
その個々の個性によってそれぞれの形へと変化するのではないか?」
「・・・うーん」
苦悩した表情を浮かべて居る英二だったが、
黒蝶がどう言うつもりなのかこんな話を口に出した。
「・・・あの御方の『鬼の気』ですが」
突然そう話し始めた黒蝶に全員が驚いていた。
だが黒蝶はその表情を確認すると目を閉じ構わず話していった。
「・・・『黒』でした」
「・・・『黒』?」
誰となくそう声が漏れたが、
黒蝶はまるで独り言でも話すかのように話を進めて行ったのだ。
「『黒』と言うよりも『闇』と言った方が適切でしょうね?
それを見た私は一瞬にして絶望したのですから・・・。
ですから悠斗さんのその仮説・・・恐らく正解でしょう。
流石としか言いようがありません♪」
哀しそうに・・・。
だが楽しそうにそう口を開いた黒蝶だった。
(こやつ・・・やはり悠斗を知っているな?
と、言う事はやはり・・・『魔狩りの者』か?)
そう確信めいたモノを感じた桜は沙耶へと向き直ると、
真剣な眼差しを向けた。
「沙耶・・・」
「・・・はっ!」
突然名を呼ばれた沙耶は、
その桜の眼差しに込められる想いを察し片膝を着いたのだった。
「その燃え上る門は必ず開くはずです・・・。
悠斗の仮説はこの時点では確証とまでは至らないけど、
その可能性は大だと見ていいはず・・・。
その燃え上る門は貴女の個性と言っても過言ではありません。
だから沙耶・・・精進しなさい。
そしてその『門』を必ず開きなさい」
強く・・・。
桜の言葉が沙耶へと送られると、
『はっ!精進致しますっ!』と力強く返答したのだった。
一応の話が決着したと踏んだ黒蝶は薄く笑みを浮かべると、
踵を返し後方へと下がって行った。
そして振り返るなり黒蝶の事を見ていた英二に声を挙げたのだった。
「・・・英二。休戦は終了しました。
思う存分・・・戦いなさい・・・」
落ち着いた口調で・・・そう口を開いた黒蝶に、
英二は『うっスっ!』と答え、
その目付きが『ギラっ!』と鋭く変わると沙耶へと向き直った。
「・・・沙耶、もう話はいいよな?」
「フっ・・・あぁ、殺り合おうか?」
ニヤりと笑みを浮かべた沙耶に英二もまたニヤりと笑みを浮かべた。
その笑みを返した英二にはもう・・・恐怖など無く、
ただ目の前に居るその強敵に心を躍らせていたのだった。
「最初から・・・行くぜ?」
「・・・いつでも」
言葉短く交わし合うと、英二は『赤紫」の気を解放した。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!これが俺様の全開だぁぁぁっ!
開けっ!俺の『鬼魂門』っ!」
『バシュっ!』と英二の身体から噴き出す『赤紫の鬼の気』・・・。
だが今回の鬼の気はどうやら一味違うようだった。
「へっへっへっ・・・。
沙耶さんよ~?どうやらさっきの話を聞いたおかげで・・・。
俺も一皮剝けたようだぜ~?」
歓喜に満ちた表情を浮かべた英二だったが、
今度は冷静にその熱い気持ちを内へと秘めていた。
そんな英二の気持ちを察した沙耶もまた・・・。
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『バシュっ!』と吹き出した沙耶の『赤銅色』・・・。
その見た目は先程と何も変わらないようだった。
「おいおい・・・沙耶さんよ~?
まさかそれが限界だって事はねーよな~?」
「フッ・・・弱いヤツほどよく吠えるってね?」
「けっ!言ってくれんぜ・・・じゃ~・・・行くぜっ!
うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「英二よ・・・最終決戦と行こうか?
はぁぁぁぁぁぁっ!」
両者最後の激突を見守る桜といちか・・・。
だがその2人は顔を見合わせると小さく頷いていたのだった。
ってな事で、今回のお話はいかがだったでしょうか?
沙耶の『燃える門』・・・ふむ・・・。
絶賛炎上中ですね・・・。
とても熱そうで近寄りたくない『門』ですね~。
楽しんで読んでいただけたのなら嬉しく思いますが、
登録や感想などいただけると嬉しいです。
ってなことで、緋色火花でした。




