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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・壱
271/408

10話・日本・冥府の義眼

お疲れ様です。


暑いですね・・・いやまじで・・・。

緊急の仕事で4日間徹夜したら・・・。

PCのSSDが死にましたorz


データはバックアップ取ってあったから、

仕事上の被害は最小で済みましたけど、

暫くメインPCは・・・><


ってな事で、この酷暑です。

皆さんも何かと気をつけて下さいね^^



それでは、外伝・10話をお楽しみ下さい。

命を軽んじ己を神をも越える存在と・・・。

そう言って嘲笑う黒蝶の姿に、英二は拳を握り締めた・・・。


「こ、黒蝶・・・さ、様」


「・・・何です?」


「い、命に対して・・・わ、笑っちゃ・・・いけねーよ」


「・・・はい?」


「こ、この世に・・・む、無駄な命なんてありゃ~しねーんだ」


「・・・英二?貴方はさっきから何を言っているのです?」


黒蝶は首を傾げながら英二に対し怪訝な表情を浮かべて居た。


「わ、わからねーのかよ?」


「・・・・・」


「あんた・・・一体何者なんだ?

 俺達と同じ人間なんじゃねーのかよっ!?

 どうしてそんな事もわからねーんだよっ!?」


堕ちたはずの英二からそんな言葉が投げかけられた・・・。

だがその問いに対し黒蝶からはこんな答えが返って来た。


「私が何者か・・・?フフフ♪

 今日ここでお話するつもりはなかったのですが・・・。

 いいでしょう・・・。少し・・・お話致しましょう」


面で表情まではわからないが、

だが、その右目からは青白い光が立ち昇り冷たく揺らめていた。


「かつて私は人間・・・でした」


「・・・でした?」


「はい、ですがある御方がこの私を導いて下さり、

 神達が人間に対して、どれだけ酷い蛮行を行ってきたか、

 そしてその命をどれだけ弄んできたかを・・・話して頂けました」


黒蝶が静かにそう話し始めると、

顔を顰めた桜が堪り兼ねて声を挙げた。


「待てっ!黒蝶っ!一体誰がそんな事を貴様に吹き込んだのだっ!?

 わ、我々神はっ!何の理由もなくそんな事などはしないっ!」


声を荒げそう叫ぶ桜に、黒蝶のその右目の青白い光が、

一瞬激しく光って見せた。

そしてそれに呼応するかのように、黒蝶もまた声を荒げた。


「お黙りなさいっ!

 神の言葉など耳障りですっ!」


「くっ!あ、頭の・・・な、中に・・・」


そう言い放った黒蝶の言葉には、

神に対して強い憎悪が籠っており、桜自身の頭の中に直接流れて来た。

そして桜が苦痛に歪めると黒蝶は再び口を開いていった。


「私はその御方に選ばれ・・・そして認められ・・・。

 冥界へと続く門を開いて下さったのです。

 ですが私が選ばれたからと言って、

 そうやすやすと冥界へは行けません。

 愚かで下等な・・・そう・・・私は人間でした。

 ですがその御方は私の右目を代償にすれば、

 その御方がある御方に話を着けて、

 人間であろうとも、冥界へと続く門を通れるようにと・・・」


苦痛に顔を歪めながらも桜は黒蝶の話を聞き、

ある事に気付いたのだった・・・。


「こ、黒蝶・・・そ、その・・・み、右目は・・・

 も、もしかして・・・?」


一瞬黒蝶のその右目が『ギラっ!』と鈍く光ったが、

薄く気味悪い笑みを浮かべ口を開いた。


「・・・フフフ♪

 やっと・・・お気付き・・・ですか?」


「で、では、やはり・・・その目はっ!?」


「はい・・・義眼です♪」


「バっ!バカなっ!?に、人間である貴様がっ!

 『冥府の義眼』をっ!?」


「・・・はい♪」


桜と黒蝶の話に誰一人・・・その話には着いて行けなかった。

沙耶も聞き慣れないその言葉に、

今はただ沈黙し最後まで聞くしかなかった。


「そ、そんなモノを人間である貴様が取り込めばっ!

 生きて・・・生きていられるはずがない・・・

 いやっ!それどころか・・・その存在までも消えて・・・」


桜の言葉はやがて悲しみに変わり弱々しくなった・・・。

だが桜とは対照的に黒蝶は楽し気に笑みを浮かべ、

その笑みを見たいちかや英二は寒気を感じずにはいられなかった。


「・・・フフフ♪

 桜様~?だから言ったではありませんか~?

 私は選ばれたのだ・・・と♪」


「・・・そんな馬鹿な・・・ありえん」


「・・・フフフ♪

 私をお選びになったその御方は、神をも凌駕する御方♪

 貴女如きが太刀打ち出来るはずもありません♪」


「・・・お、おのれぇぇ」


悔しさに顏を歪めて見せるも、

手がかりのないこの状況では、神で在る桜もどうしようもなかった。


そしてそんな桜を見下すように見ていた黒蝶は、

拳を握り奥歯を強く噛み締める英二へと向き直った。


「英二・・・私への不躾な態度・・・。

 今は不問と致します」


「・・・くっ」


「ですから・・・さっさとその女を・・・。

 沙耶を殺してしまいなさいっ!

 貴方の力はそんなモノではありません。

 この私が与えた力なのですよ?

 この程度の女に負けるはずがありませんっ!

 英二っ!殺しなさい・・・今、直ぐっ!」


「し、しかし黒蝶様・・・」


「・・・私に逆らうのですね?

 いいでしょう・・・。

 ならば私が・・・」


薄気味悪い笑みを浮かべた黒蝶は目を閉じ再び何かを唱え始め、

そして目を開いた瞬間・・・。

『冥府の義眼』からユラユラと青白い光が揺らめていた。


「さぁ・・・参りましょう♪」


「ぐぁっ!」


黒蝶がそう言葉を発すると、

英二の身体が何かに支配されたかのように動き始め、

意思とは関係なく鬼の力が・・・

『紫色』の鬼の気が身体から流れ始めた。


「なっ!?ど、どうなってやがんだっ!?

 か、身体が勝手にっ!?」


「・・・フフフ♪」


英二の意思に反しその身体は沙耶へと向き直った。


「さ、沙耶っ!に、逃げろっ!」


そう苦しそうに声を挙げた英二だったが、

対峙する沙耶は薄く笑みを浮かべると、その肩を竦ませて見せた。


「さ、沙耶っ!?」


「フッ・・・この私が・・・逃げる?

 フッフッフッ・・・。

 私は神野沙耶だぞ?

 こんな美味しい状況から逃げる訳ねーよな~?」


「さ、沙耶さんっ!?

 こ、こんな時に一体何言っちゃったりしてんですかっ!?」


再び拳を『バキ、ボキ」』と鳴らし笑みを浮かべる沙耶に、

いちかは思わず声を挙げた。


「い、いちかの言う通りだぜっ!

 沙耶っ!この身体は完全に乗っ取られてんだっ!

 てめーっ!この状況分かってんのかこらぁっ!

 俺の意思ではもうどーにもなんねーんだぞっ!?」


そう捲し立てる英二の言葉に沙耶は、

『ざけんじゃねーっ!』と、怒鳴り返して見せたのだった。


「ざ、ざけ・・・っ!?はぁっ!?

 お、お前何言ってんだよっ!?」


「・・・黙れっ!英二っ!」


英二の言葉を遮るように沙耶がそう一喝すると、

流石の英二も言葉を詰まらせるしかなかった。


「・・・いいか~?英二・・・。

 こんなチャンス・・・早々ないって事くらい、

 お前にならわかるわよね~?」


「はぁ?お、お前こんな時に何言ってんだよっ!?」


「人間辞めた小娘と、操られ乗っ取られたバカな男・・・。

 そしてその力は、そこの小娘によって強化されてるときやがる・・・。

 クックックッ・・・。

 こんな美味しい状況が他にあるか~?

 私はなぁ~・・・英二よ。

 こんな状況をずっっっと待っていたんだよ・・・。

 だからこの戦いを邪魔するヤツは・・・

 誰であろうと・・・ぶっ潰すっ!」


意気揚々とそう話す沙耶に、

この場に居た誰もが何も言えなくなったのだった。

だが1人・・・黙っていない者も居た。


「・・・否事を」


「・・・あぁ~ん?」


「人間を越え、今まさにこの黒蝶は神に近付いている存在なのですよ?

 その私の力で操るのです。

 そしてその身体が持つ力は、この私が与えたモノ・・・。

 到底貴女如きが敵うとお思いですか?」


今にも高笑いをして見せようと沙耶を見下しながら言葉を吐くが、

その沙耶の目は生き生きして見せていた。


そして一言・・・。

黒蝶に対し挑発するように口を開いた。


「・・・御託はいい・・・さっさと来な」


「・・・愚かな」


そう黒蝶が呟き終わる頃、

身体を操られた英二が突然駆け出した。


「っ!?」


「うおっ!?い、いきなりかよっ!?」


突進して来た英二をひらりと躱した沙耶は、

反撃する事もなくただ静かに構えていた。


「・・・フフフ♪上手く躱したではありませんか?

 その調子で奮闘して下さいね♪」


「う、うぉぉぉぉぉぉっ!?

 さ、沙耶っ!は、早く逃げろぉっ!」


英二が必死にそう叫ぶも、沙耶にはその声は届かなかった。

何故なら今の沙耶は凄まじいまでの集中力で、

全神経をこの戦いに注いでいたからだった。



そして戦いが始まったと同時に、

桜といちかはその成り行きを見守っていたが、

いちかはその戦いから目を離さずに、桜に問いかけたのだった。


「さ、桜さん・・・。

 鬼の力を強化された英二さんに・・・勝てると思いますか?」


「・・・まだ強化されたあの『赤紫』の力は使っていないようだ」


「黒蝶がしきりに『私が与えた』って言ってたやつですか?」


「あぁ・・・」


「桜さん自身はどうだったんですか?」


「どう言う意味だ?」


「状況的に見て・・・英二さんとやり合ったんですよね?」


視線を桜へと向けずとも、

いちかの真剣な眼差しが見えるようだった。


桜は一瞬そんないちかへと視線を向けると、

含みのある笑みを浮かべながらいちかの問いに答えていった。


「・・・天照が植え付けた『紫』の力では、

 私が負ける要素はない・・・。

 でも黒蝶が与えたあの『赤紫』の力・・・。

 アレをまともに喰らったら・・・結構なダメージが入るわね」


「それって・・・ヤバいですよね?」


「・・・相手があのバカだからね?

 私もどうしていいか悩んだ挙句・・・。

 黒蝶に取り込まれると言う大失態をしでかしてしまったわ」


苦笑気味にそう話す桜だったが、

いちかからはどうでもいい・・・と、言わんばかりの言葉が返って来た。


「・・・別にいいんじゃないですか~?

 隙を生んだ英二さんが悪い訳であって、

 バカ弟子を思うが余り・・・って事でしょ?」


「フフ・・・あぁ、そうだな」




そして今、桜といちかの目の前では、

沙耶と英二が激しい戦闘をしていたのだが、

桜は対等に戦っている沙耶に疑問を持っていた・・・。


「どうして沙耶は黒蝶が操る英二と対等に戦えている?」


これは独り言のはずだった・・・。

だがただの人間であるはずの女性が、

鬼の力と対等に戦えている事に不思議でならなかったのだ。


そんな言葉にいちかは『クスっ』と笑うと、

更に言葉を続けた。・


「何でって・・・そりゃ~アレのせいじゃないですかね~?」


「・・・アレ?」


首を傾げ不思議がる桜にいちかは英二の攻撃を躱す沙耶へと指差した。


「・・・沙耶がどうかしたのか?」


「・・・はい?さ、桜さん・・・

 やっぱり『アレ』が見えていないんですね?」


「・・・えっ?一体何の話を?」


いちかの言う『アレ』とは・・・。



「うおぉぉぉぉっ!さ、沙耶ぁぁぁっ!避けろぉぉぉっ!」


『ブンっ!』


もう何度目だろうか?

英二の攻撃を紙一重で躱し、一切の攻撃を繰り出さないのは・・・。

そんな事が繰り返される中、流石の黒蝶も苛立ちを見せていた。


「一体どうなっているのですっ!?

 あ、当たらない・・・私が操っているのですよっ!?

 それなのにどうして当たらないのですかっ!?」


声を荒げ怒鳴り散らす黒蝶に、

沙耶は英二の連続攻撃を躱しながら漸くその口を開いた。


「黒蝶・・・お前・・・戦いの素人だろ?」


「・・・?」


「お前がこのバカの身体を操っている限り、

 戦闘のプロであるこの私に一発も当てる事なんて出来やしないよ?」


「・・・ぐぅぅぅ。

 さ、流石は『破壊神』とまで言われた女・・・」


「はっはっはっ!まだこのバカが自分でやった方がマシじゃね?」


「わ、私の未熟さがこんな所で露呈するとは・・・」


悔しそうにそう唸る黒蝶だったが、

英二は2人の話を冷静に聞き分析していた。


(いくら黒蝶様が戦いの素人だと言ってもよ?

 一発くらいまぐれ当たりがあってもいいんじゃねーか?

 いや、別に当たらなくてもよ?

 体当たり何なり必ず当たるもんだぜ?

 それに素人の攻撃なんてプロからしたら予想なんて出来やしね~・・・。

 なのに・・・よ?全てが紙一重・・・。

 って・・・、おいおいおいっ!待て待て待てっ!

 どうして沙耶は全てを紙一重で躱してんだよっ!?

 おかしいじゃねーかっ!?

 それに全然攻撃もして来やがらねー・・・。

 な、何かあるとしか思えねーぜっ!

 まじこれはぜぇぇぇぇぇったいにっ!何かあるっ!)


英二はそう結論付けると、

この一方的な戦いに痺れを切らし黒蝶に声を挙げた。


「こ、黒蝶様ーっ!お、俺にっ!俺にやらせてくれっ!

 このままじゃ埒があかねーっ!頼むっ!頼むよっ!」


「・・・・・」


英二の言葉に最初は耳を貸さず虫を決め込んでいた黒蝶だったが、

戦闘において手も足も出ないこの状況では、

英二の言葉を聞き入れるしかなかった。


それに黒蝶は感じていた・・・。


(お、思っていたよりも力の消費が激しいモノなのですね?

 まぁ、この義眼にまだ完全に馴染んでいないのも否めませんが・・・)


力の消費が激しくこの現状が不毛だと感じた黒蝶は、

英二の提案を受け入れる事にしたのだった。



「はぁ、はぁ、はぁ・・・いいでしょう、英二。

 貴方に任せると致しましょう・・・」


息を荒げながら操っていた英二の身体を解放すると、

英二は笑みを浮かべ喜んでいたのだった。


「やっほーいっ♪俺に自由が戻ったぜぇぇぇ♪

 オラオラオラオラオラァァァっ!やってやんぜぇぇぇっ!」


喜び飛び跳ねる英二に沙耶は怪訝な表情を見せていた。

そして『はぁ・・・』っと溜息を吐いて見せたのだった。


「おい、こら・・・はぁ~・・・ってよ~?

 やいやいやいっ!沙耶っ!

 てめー・・・今何で溜息なんか吐きやがったんだこらっ!」


「はぁ~・・・折角いい修行になってたってのに・・・

 英二・・・邪魔すんじゃないわよっ!

 ぶっ殺すわよっ!」


「・・・ぶ、ぶっ殺すって・・・

 り、理不尽かっ!お前はっ!」


「・・・それで?今度はあんたがやるの?」


「何で嫌そうなんだよっ!?意味不明だわっ!」


「ったく・・・しょうがないわね」


「・・・人の話を聞けっつーのっ!」



嫌々だとアピールしながらも、

沙耶のその表情は笑みを浮かべて居た。


そんな表情を見た英二もまた、

仕切り直す為に背を向けた瞬間・・・笑みを浮かべて居たのだった。


そしてある一定の距離を取り構え直した時、

英二は沙耶に質問したのだった。


「沙耶・・・今の戦いでてめーはどうして攻撃しなかった?」


「・・・気付いてたのね?」


「誰でも気付くっつーのっ!

 つーか・・・てめー・・・わざと紙一重で躱してただろ?」


「・・・ふ~ん」


英二の話に沙耶はにんまりとしながらもそう相槌を打つと、

英二の問いに答えていった。


「・・・この力のコントロールがどこまで出来るかと思ってね~?」


「は、はぁ?お前・・・何言ってんだ?

 この力・・・?コントロール・・・?

 沙耶・・・お前、頭は大丈夫か?」


真剣に答えたつもりで居た沙耶は、

英二の言葉に片眉を『ピクリ』と動かすと何度も頷いて見せていた。


「うんうんうん・・・そうかい、そうかい・・・。

 私は真剣に答えたつもりだったんだけどさ~?

 そんな心優しい私に対して・・・お前はそう返すのか?」


(なっ、何だっ!?い、今一瞬・・・全身がぞわっとしたぞっ!?)


何とも言い表せない・・・。

そんな悪寒が英二の身体を駆け抜けて行ったのだ。

そして条件反射・・・とでも言うのだろうか?

英二は思わず身の危険を感じ構えを取って見せた。


「いいね~・・・英二♪」


そう答えると沙耶も構えを取ると合図もなく両方が同時に動き出した。


「うぉぉぉぉぉっ!」


「はぁぁぁぁぁっ!」


駆け出した2人はその中央付近で激突した。


「ガシっ!」


両手を組合い互いの力比べを始め、

『うぉぉぉぉっ!』と唸る英二の声が響いていた。


「フッ・・・これが鬼の力の全力って訳?」


表情を変えず平然とした顔つきでそう呟く沙耶に、

英二のこめかみが『ヒクっ』とひくついた。


「吠ざいてんじゃねーっ!

 見てろよっ!俺様の実力を見せてやんぜぇぇぇっ!

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」


『バシュっ!』と英二の身体から『紫色』の気が吹き上がった。


「・・・悪くないわね」


そう沙耶から言葉が漏れた時、

英二は先程質問しとた言葉を口にしたのだった。


「沙耶っ!どうして攻撃しなかったっ!?」


「・・・・・」


『フッ』と笑みを薄く浮かべるだけで何も答えない英二は、

再びその質問を繰り返すと、

力比べをしながら沙耶はその質問に対し口を開いた。


「・・・力のコントロールと自分の限界値を試したのよ」


「は、はぁ~?何言ってんだてめーっ!」


「・・・バカなお前でもわかるように説明してあげるわっ!」


そう言葉を吐くと沙耶は英二の腹に蹴りを放ち、

英二との距離を取って構えた。


「ぐはっ!いててててて・・・」


「自分の身体に私の新たな力を使って薄い膜を・・・

 言わばセンサーの役割りを持つ結界を張ったのよ・・・」


「・・・すまん、何言ってるか全然わかんねー」


「・・・・・。

 ま、まぁ~いいわ・・・バカだからしょうがないわね」


「バカは余計だっつーのっ!

 それで・・・?その新たな力っつーのは一体何だよ?」


「まぁ~別にもう秘密にする理由もないし、

 見せてあげるけど・・・

 だけどその前に英二・・・」


「・・・な、何だよ?」


「そこの小娘に強化された例の『赤紫の力』ってのを出しな」


「はぁっ!?」


沙耶のその発言に英二は後方に居る黒蝶へと顔を向けると、

驚いた様子を見せていた黒蝶は静かに頷いて見せたのだった・・・。


「・・・沙耶、いいんだな?

 どうなっても・・・知らねーからな?」


「・・・どう言う意味よ?」


「この力は桜さんと互角以上に渡り合える力なんだぜ?

 人間であるてめーとぶつかった日にはよ?

 てめー・・・一瞬で死ぬぜ?」


英二はそう言いながら、

沙耶に対して首を掻っ切るポーズをして見せると、

その沙耶は楽し気に高笑いを始めたのだった。


「わぁ~はっはっはぁぁぁぁっ!」


「な、何がおかしいってんだっ!?」


「英二・・・寝言は寝てから言え・・・」


「・・・て、てめー」


沙耶の物言いに英二の表情が変わると、

その英二の身体から『赤紫』の鬼の気が漏れ始めた。


「てめー・・・いい気になってんじゃねーぞ?

 どうなっても知らねーからなぁぁぁっ!」


「・・・面白い」


「見せてやんぜ・・・俺様の本当の力をなぁぁぁぁぁっ!

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


英二の中の『鬼魂門』が音を立てながら開くと、

その門の中から『赤紫の気』が英二に向かって流れ込んで来た。


「うぉぉぉぉぉっ!来た来た来たぁぁぁぁっ!

 力がっ!途轍もねー力がっ!噴き出してくんぜぇぇぇぇっ!」


気合と共に英二の身体から『赤紫の鬼の気』が噴き出すと、

英二の顔付きまでもが変化し始め、

身体が『グングン』と巨大化し、

その身長は2ⅿ30cmをを越えたのだった。


そして英二の口からは上下に犬歯が伸び、

その狂暴さが見て取れていた・・・。



『ヒュ~♪』と沙耶は英二の変化に口笛を吹いて見せ、

期待にそのはち切れんばかりの胸を更に大きくしていた。


「はっはっはっ!沙耶っ!見たかぁぁぁっ!

 これが真の俺様の力だっ!」


「・・・英二、ほんのすこ~しだけ・・・見直したわ♪」


「ほんの少しって何だよっ!?」


平然と・・・いや、とても楽し気にそう口を開いた沙耶に、

英二ばかりか黒蝶や桜達も驚きを見せていたのだった。


(こ、この女・・・ど、どうして平然とっ!?

 め、目の前の現実がわからないと・・・?

 い、いや、この女は決してそのような女じゃないわ。

 でも・・・それならどうして?)


黒蝶は沙耶の様子に困惑するばかりだった。

そしてそれは2人を見守る桜達も・・・。


「さ、桜さんっ!?

 え、英二さんがっ!?」


「あ、あぁ・・・わ、私自身も正直驚いている・・・。

 私と戦った時はあそこまでの変化は見せなかったわ・・・」


桜の反応にいちかも驚くと、更に桜から言葉が続いた。


「あの子は・・・。

 英二は私と戦いながらも本気じゃなかったと?

 黒蝶の例の『呪符』では・・・

 完全に与えられた力は解放されなかったと?」


「・・・そうみたいですね~?」


桜はいちかがそう話すと、

何故かいちかの物言いに違和感を感じたのだった・・・。


「い、いちか・・・?

 どうしてお前は今の英二を見て、

 そう平然としているのだ?

 最初は私と同じように・・・驚いていたわよね?」


「・・・そう・・・ですね?」


「ならどうして今・・・お前は?」


唖然とする桜にいちかは顎で『クイっ』と沙耶の方へと促した。


「・・・沙耶がどうかしたのか?」


「まぁ~、見てて下さいよ♪」


沙耶と同じようにいちかまで楽し気にしているのを見て、

桜は益々不思議に思うのだった。



黒蝶に与えられた力を『完全開放』した英二は、

その鋭い眼光で沙耶を睨みつけ威圧するのだが、

肝心の沙耶は・・・ただ楽し気に笑みを浮かべて居るだけだった。


「沙耶・・・まさか実力の差がわからねー訳じゃねーよな?」


「・・・フッ、当たり前だろ?

 私をお前如きと一緒にするな・・・」


「けっ!どこまでもムカつく女だぜっ!

 こうなったらもう、まじで容赦しねーからなっ!

 て、てめーを・・・必ずギッタギタにしてやんぜっ!」


「・・・やってみな?」


沙耶はそう言うと更に後方へと飛び退き、

巨大化した英二との距離を取ると『見せてやるよ』と呟いた。


「力を得たのは・・・何もあんた達だけじゃないのさ・・・

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


力の解放を始めた沙耶に、

いちかを除いた者達が驚愕し言葉を失ったのだった・・・。



ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょう?

まぁ~外伝の方も伏線を張って行きますので、

楽しみにしていただけると幸いです^^


また感想なども宜しくお願いします^^


『空が青いな~♪』っと、呟きたくなる今日この頃ですw



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 盛り上がってきましたね♪ 時々 「あれ?これが外伝?なんで本編じゃないの?」 と思ってしまいますがw 黒蝶がどす黒い空気の中、英二君のセリフがいちいちバカっぽくて癒されます♥︎ さすが英…
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