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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・壱
263/404

4話 日本・異世界の魔物

お疲れ様です。


ちょいと身体を壊してしまった緋色で御座いますw

まぁ~それでも仕事は休めないんですけどね^^;

フリーランスの弱いところ><


そんな訳で外伝も進んでおりますが、

楽しんで頂けているでしょうか?


感想などを書いて頂けるととても嬉しく思います。


それでは外伝・第4話をお楽しみ下さい。

「・・・今一瞬、目の前の景色が歪んだ?」


そう感じたのは戒斗ばかりではなく、

他の者達も同様にその違和感に気付いた。


そして村の入り口に侵入した途端・・・。


「・・・居ないっ!?」


戒斗は隣に居るはずの者達の姿が消えている事に驚いていた。

だが後ろを振り返るとそこには、

村の入り口付近でこちらを見ている大介が心配そうに見ていたのだった。


「大介ーっ!お前の方からは俺達がどう見えているんだーっ!?」


「ど、どう見えているかって・・・?

 い、いや・・・皆さんは普通に戒斗様の横に居ますよ?」


「・・・やっぱりな」


戒斗は一度深呼吸をすると、インカム越しに他の者達へと通信を試みた。


「・・・みんな、現状を報告してくれ」


すると戒斗へとインカム越しに各々から連絡があった。


「・・・そうか、みんなそれぞれが1人って事か?」


戒斗は他の者達の現状を理解すると、

最初に説明した通りの任務を遂行するよう話すと、

後方でこちらを見ている大介に手を振りながら任務を遂行する為、

各々は駆け出したのだった。



一方桜と英二は・・・。


「ヒィャッハァァァっ!」


「ガキンっ!」


「ちっ!」


桜と英二は戦いの真っ最中だった。


「シュッ!ガキンっ!ギチギチ・・・ギチギチ・・・」


鬼の因子の力によって、長く伸びた爪と、

桜の神剣・双牙が激しくぶつかりながら火花を散らし、

鍔迫り合いを繰り広げながら睨み合っていた・・・。


「え、英二・・・も、もう一度だけ・・・言うわ」


「クックックッ・・・。

 何だよ桜さん?泣き言なら聞かねーぜ?」


「お、お前は鬼の因子によって・・・」


そう話したところで英二の表情が一瞬曇ると、

「けっ!」と大きく声を挙げながら爪を縮め、

大きく後退しその構えを解いた。


「桜さんよ~?

 戦っている最中に萎えるような事、言ってんじゃねーよっ!」


「・・・何だとっ!?」


「けっ!いいか~・・・犬っコロ~?

 今の俺様はな~?

 ただてめーと戦えているだけで満足なんだよ~・・・

 わかる~?

 それなのによ~?

 さっきから俺の中の鬼の因子がどうたらこうたらと・・・

 けっ!

 いちいち下らねー事で、この戦いに水を差してんじゃねーぞっ!」


あからさまに英二は不機嫌そうに桜にそう吐き捨てると、

「オラァァっ!」と声を挙げながら、

丁度傍にあった巨岩に向かって拳を振り下ろした。


「ドゴっ!」


振り下ろされた英二の拳は、巨岩の一部を粉々に粉砕すると、

怒りに満ちた瞳を桜へと向けて来た。


「時間・・・ねぇ~んだろ~?

 さっさと俺と()り合わないと、

 時間切れでくたばっちまうぜ~?

 それでいいのかよ~?

 桜さんよ~?」


「くっ・・・え、英二・・・」


(ほ、本当に殺し合わないといけないって言うのっ!?

 ここまで育て上げて来た・・・英二を・・・)


苦悶に歪む桜の表情に、英二はニヤりと笑みを浮かべて居たのだった。



「いいかっ!絶対に無理はするなっ!」


そう言いながら戒斗は村の中を走っていた。

その声に各々から「了解」と言う声は返って来たが、

声の主達の姿はどこにも見当たらなかった。


(本当にそれぞれが違う空間に居るのか?

 直次の言う通り・・・これが「呪符」によるモノだとっ!?

 俺が今まで戦って来て、一度もそんなモノにお目にかかった事がない。

 ふぅ~・・・頭が痛いぜ・・・)


戒斗が苦々しい表情を浮かべ各々の顔を思い出しながら、

最後にこう命令した。


「みんな・・・死ぬなよ?」


「「了解ですっ!」」


「は~い♪」


いちかの声に流石の戒斗もコケそうになったが、

乾いた笑いをしながら再び正面を向いて駆け出した。


(川崎いちかぁぁぁっ!お前だけ少しは怪我しろぉぉぉっ!)


と、心の中で叫んだとか叫ばなかったとか、

それは誰も知らなかった・・・。



少しの間戒斗は村の中を走っていると、

妙な匂いにその足を止めた。


(な、何だ・・・この匂いは?)


辺りを見渡し匂いの原因を掴もうと注意を払うと、

ある家の外壁に見慣れないモノを発見した。


(・・・何だ・・・あれ?)


近付きソレを見ると、戒斗は涼華に言われた事を思い出し、

その場でしゃがみ込むと、刀に手を添えながら周囲を警戒した。


(これが姉貴の言っていた・・・石斧か・・・)


そう・・・。

家の外壁に突き刺さっていたのは、

現代では見る事のない「石斧」だったのだ。


(しかしここの住人達は一体どこへ?

 と、言うか・・・。

 この村の住人達まで見当たらない・・・。

 一体どうなっているんだ?)


そんな疑問が浮かぶ中、先程より強い匂いを感じたのだった。


(ま、またこの匂いっ!?

 んっ!?この家の裏側から・・・?

 それに・・・微かに声が聞えた・・・?)


戒斗はその強烈な匂いと微かに聞こえた声を感じると、

その異質な雰囲気にいつも以上に警戒を強めながら、

ゆっくりと家の裏手へと移動した。



息を潜めながら家の裏手の様子を伺うと、

戒斗はその光景に目を見開いた。


(なっ!?こ、これってっ!?)


家の裏手では、身長が1.2ⅿほどの緑色の肌をした生き物が1体居た。


(こ、これってゲームに出て来ていた・・・

 ゴブリンって魔物じゃっ!?

 でも・・・一体何をやって・・・?)


緑色の肌をしたその生き物は、地面に転がるモノに対し、

手に持っていた石斧を何度も何度も振り下ろしていた。


「ぐぁっ!」


(ちっ!)


戒斗はその光景に唖然としていたが、

人の呻き声によって我に返えると、考える前に身体が動いていた。


「お前ぇぇぇっ!?何やってんだっ!」


「グガァっ!?」


ゴブリンらしきその生き物が振り返った瞬間、

刀を抜いた戒斗は一瞬にして切断すると、

そのまま倒れている人へと駆け寄った。


「お、おいっ!しっかりしろっ!って・・・

 こ、これは・・・ひどい・・・」


倒れた人へと駆け寄った戒斗は、その無残な姿に言葉を失くした。


(りょ、両腕が・・・惨過(むごす)ぎる・・・)


この緑色の肌をした生き物によって、

倒れている男性の両腕は潰されそこは血の海と化していたのだった。


(何度もこの石斧で・・・。

 生きているのが不思議なくらいだ・・・)


戒斗が伏せ目がちになっていると、

死に際寸前のその男性が消え入りそうな声で何かを言い始めた。


咄嗟に男性の口元へと耳を近付けると・・・。


「・・・む、むす・・・め・・・が・・・」


「娘っ!?」


男性の口元から耳を離すと、

その男性は「ゴフっ」と血を吐きながらも、

何か言いたげに視線を戒斗からずらしあらぬ方向を見ていた。


「ん?」


戒斗がその視線の方へと向け、再び男性へと向くと、

その男性の口元が微かに何かを言っていた。


それに対し戒斗は大きく頷くと「任せてくれ」と言い、

涙を流しながら微笑んだ男性はそのまま息を引き取った・・・。


戒斗は静かに目を閉じながら息を引取った男性に手を合わせると、

干してあった白いシーツをその男性に掛け立ち上がると刀に手を掛け、

少し引き抜くとそのまま「カチンっ!」と納刀すると、

音叉のように「キーン」とした音が周辺に響き渡っていた。


「兄貴のように上手く出来たかどうかわからないけど、

 今の音で邪気は霧散したはずだ・・・。

 それと・・・あんたの娘さんは、必ず俺が助ける・・・。

 何も心配するな・・・」


一度頭を下げた戒斗は意を決すると、

男性が視線を向けた先へと駆け出したのだった。


「みんな・・・」


戒斗は事の顛末を説明し終えると、

それぞれから「ゴブリン」と言う生物に驚きの声を挙げていた。


「ゲームやファンタジーに出て来るイメージ画にあったように、

 本当に全身緑色の肌をした匂いのキツい生き物だった」


(ほ、本当に・・・居たんですね?)


(まさか実際にそんな生物が居たなんて・・・)


(まぁ~察しは着いていたけどね~?)


「察しが着いていたって?

 いちか・・・どうしてそう思ったんだ?」


走りながら戒斗がいちかにそう尋ねると、

(・・・言える訳ないでしょ?)と返事が返って来た・・・。


いちかの返答に「あっ、そっか・・・」と声を漏らした戒斗は、

いちかに話を切り出した。


「なぁ~、いちか?

 例の話・・・今ここでしていいか?」


(例の話・・・?って・・・

 は、はぁ~っ!?

 わ、私がそんな事決められる訳ないじゃないですかっ!)


いちかの言う事は最もだった・・・。

悠斗関連の話はトップシークレットとなっており、

執事を務める塚本でさえ、

詳しくその事情は告げられてはいなかったのだ。


戒斗は駆け出したその足を止めると、

この場に居る者達へ、事の説明をし始めたのだった・・・。


(い、異世界って・・・戒斗様?

 それ・・・本気で言っているんですかっ!?)


(私の場合は悠斗様が何処かへと向かわれた・・・。

 ですから私はてっきり海外へ行ったものとばかり・・・。

 しかし戒斗様・・・?

 そんな話を私達に話されても良かったのですか?)


直次は戒斗の話にまだ疑いを持っており、

塚本は戒斗の発言に驚き戸惑いを感じ、

そしていちかは・・・。


(あぁ~あ~・・・言っちゃった~・・・。

 私・・・し~らないっ♪)


と、何だか楽し気な声が返って来た・・・。


(い、いちかのヤツ・・・フォローする気なしかよっ!?)


そう顏を引きつらせていた戒斗は再び事情を説明すると、

それぞれに対し口外しないように告げた。


「詳しい説明は戻った時にでも姉貴達を交えてするが、

 今は気を引き締めて事にあたってくれ」


「「了解です」」


塚本と直次からそう返事が返って来ると、

再び戒斗は駆け出して行ったのだった・・・。



戒斗は捕らわれた娘を救うべく駆け出す中、

男は村の中央付近にある木造の公民館の前で足を止めると、

妙な気配に腰に携えている刀に手を添えていた・・・。


すると公民館の脇にある茂みから、

一瞬「ガサっ!」と音が鳴るのと同時に、

先程戒斗から報告があった緑色の肌をした魔物が、

2体飛びかかって来た。


「グゥガァァァっ!」


「ギィィィィっ!」


「っ!?」


その攻撃を紙一重で躱し、魔物が着地したその瞬間を狙って、

その男は刀を抜き、2体同時に切り払ったのだ。


「・・・戒斗様が言っていた魔物・・・。

 いや・・・ゴブリンってヤツか?」


そう言いながらその男は、

刀に付着した魔物の血液を横一閃しながら吹き飛ばすと、

納刀しゴブリン達が飛び出してきた茂みに注意を払いながら、

その男は公民館の中へと入って行った・・・。


鮮やかなその身の(こな)しと、

その卓越した剣技を見せるのは・・・。


代々禍払い師として続く神野一族の執事として貢献する、

「塚本 修一」だった・・・。


そう・・・その柔らかい物腰と端正な顔立ち・・・。

そして黒い長髪を後ろで束ね、その線の細いイメージとは裏腹に、

この男は嘗て・・・「死神」と実戦部隊の仲間達からも恐れられた、

超一流の「魔狩り人」なのである。


そんな男の話がいずれ語られる事になるだろう・・・。



塚本修一は公民館の中に入ると・・・。


(・・・上・・・か?)


決して大きな音ではないが、

公民館の外から・・・。

いや、中に入っても聞こえ辛いような音を、

この男には聞こえていたのだった・・・。


塚本は周囲を警戒しながらも、

微かな物音がした2階へとその足を進めたその時だった・・・。


突然塚本が目指す2階から「ドゴンっ!」と大きな破壊音・・・。

そしてそのすぐ後「バリンっ!」と硝子の割れる音がすると、

先程塚本が匂ったゴブリンの悪臭が流れて来た。


(この匂いっ!?まさか・・・ゴブリンがっ!?)


塚本は迷わず2階へと昇ると、

硝子だけが割れたのではなく、窓枠ごと破壊されていたのだった。


(戒斗様はゴブリンの身長は1.2ⅿほどだぞっ!?

 それが一体どうやって窓枠ごとっ!)


塚本はその破壊力に驚きながらも、

侵入したはずのゴブリンの後を追った・・・。


「タッタッタッタッタッ・・・」


塚本の駆け出す足音はとても小さく、

常人と比べればその音は無い・・・に、等しかった。


すると一番奥の部屋から「きゃぁぁっ!」と、

まだ幼い子供の叫び声が聞こえた。


(生存者が居るのかっ!?)


更に加速する塚本は扉を蹴破り中へと入ると、

3体のゴブリンが、女の子2人に詰め寄っており、

絶体絶命となっていた。


突然侵入した塚本の存在に目を細めたゴブリン達は、

互いに頷き合うと2体が塚本へと飛びかかり、

もう1体は女の子達へとその醜い顔を向けた。


(ちっ!)


心の中で舌打ちをした塚本は、

飛びかかって来る2体のゴブリンに構う事無く駆け出すと、

床を滑り込みながら、襲い掛かる2体のゴブリンを躱し、

その勢いを利用し前へとダイブした。


「その子供達に手を出すなぁぁっ!」


そう声を挙げながら手を添えていた刀を空中で抜くと、

塚本の声に驚いたゴブリンが振り返った。


八咫流(やたりゅう)陰術(いんじゅつ)っ!

 飛び(がらす)っ!」


「バサっ!」


まるで大きな鳥が翼を羽ばたかせたような音が鳴り響いた。

そしそれとほぼ同時に床に左手を着いた塚本は、

その反発作用を利用して真上に飛びながら体を捻り、

女の子達の前に立ちはだかるように目の前に納刀しながら着地した。


「君達・・・大丈夫か?」


余りに驚いた女の子達は「あぁ・・・あぁ・・・」と、

声を漏らすのがやっとだった。


そんな女の子達の動揺に塚本は柔らかい声で語りかけていった。


「もう心配ないよ?君達は、俺が守るから・・・」


その優しくも柔らかい塚本の声に、

女の子達はその安堵からか突然泣き始めたのだった・・・。


女の子達に背中を向けたままの塚本は、

やや困り顔をしていたが、

現状魔物を前に悠長な事は言ってられなかった。


「お嬢ちゃん達・・・。

 もう少しだけ我慢・・・出来るかな?

 すぐに終わるからさ」


塚本のその声に女の子達は泣きながらも鼻水をすすりながら、

小さな声で「・・・ぐすん・・・うん」とだけ答えたのだった。


女の子達の必死に泣き堪える返事に、

塚本の口元が少し緩むと、

再びゴブリン達に鋭い視線を向けながら、

ゆっくりと立ち上がったのだった・・・。


そして振り向く事なく塚本は女の子達にこう言った。


「後で一緒にお菓子を食べよう♪」


塚本の言葉に女の子達はキョトンとしたが、

すぐに涙を激しく拭きながら「「うんっ!」」と、

元気良く答えたのだった・・・。


「・・・ははは、いい子だ♪」


正面に居るゴブリン達に威圧を放ちながらも、

塚本は背後で怯える少女達に意識を向けていた。


(・・・カラ元気・・・か。

 まぁ~当然だよね?

 こんなの大人だって怖いんだから・・・。

 って、この状況・・・昔悠斗様と仕事をした時、

 似たような事があったな?

 で、あの時・・・俺は悠斗様にすごく怒られたんだっけ?

 ・・・多少理不尽であったけど・・・ははは)


この状況で昔にあった事を思い出した塚本は苦笑いを浮かべつつ、

悠斗の言葉を思い出す事になった・・・。


(確か・・・お前のその力は何の為のモノなんだって・・・。

 悠斗様・・・あの時俺に怒っていたな?

 いつまでも過去の事を気にしてちゃ・・・ダメだよね?

 悠斗様も居ないんだ・・・。

 いい加減・・・腹を決めるかっ!

 見ていて下さいよ・・・悠斗様・・・)


この地球には居ない悠斗の事を思い出しながらも、

塚本は腹を決め、神野一族より賜った偽名を捨て、

自らの意思で力強い一歩を踏み出した。


その踏み出しの迫力にゴブリン達が怯む中、

塚本は突然己の右目から何かを取っていた・・・。


「グギィ?」


「・・・悪いな?

 ちょっと過去との自分にケリを着けようかと思って、

 カラコンを取ったんだよ・・・」


「「グギャ?」」


塚本の行動にゴブリン達は顔を見合わせると、

更に1歩踏み出した塚本はその右目を開けた・・・。


「・・・っ!?」


開かれたその右目は灰色の瞳をしており、

妖しく光っていたのだった・・・。


そして何かと決別したかのように、

塚本は力強く声を発した・・・。


「八咫流・陰術・・・塚本・・・。

 いや・・・八咫 修一・・・参るっ!」


そう言いながら腰を落とし戦闘態勢を取った塚本・・・。

いや・・・。

八咫修一は先程までは打って変わって、

凍えるほどの気を纏いながら、

驚く2体のゴブリンへと駆け出したのだった・・・。


「グギャっ!」


「グギィィっ!」


八咫修一の突進に2体のゴブリン達も応戦する為1体が突っ込み、

もう1体は少し間を置いてから駆け出した。


修一とゴブリンが衝突するその瞬間、

刀を抜いた修一は振り下ろされる石斧を刀の背でかち上げつつ、

右足を軸に回転し首元へと蹴りを放った。


「ビシっ!」と首の辺りから亀裂音を発すると、

「ウギャっ!」と目の前に居るゴブリンが叫び声を挙げながら、

吹っ飛ばされた。


くるりと修一が身体を一回転させ再び正面に向き直ろうとした時、

「グギャャャャっ!」と、もう1体のゴブリンが石斧を振り上げ、

修一目掛け飛びかかって来た。


「舐めるなぁぁぁっ!」


そう声を張り上げながら修一は回転する軸足の膝を沈ませると、

斜め後ろへと飛び上がって見せたのだった・・・。


飛びかかって来たゴブリンは、

絶妙なタイミングで飛びかかっては来たものの、

斜め後ろへと飛んだ修一に、振り下ろされた石斧は掠りもしなかった。


「グギィィ」


恨めしそうな表情をして見せたゴブリンに修一は、

薄く口角を上げると「はずれ」と呟きながら着地した。


先に着地したゴブリンが再び駆け出そうとした時、

「カチン」と静かに刀を納刀する音が修一から聞こえてきた・・・。


すると襲い掛かろうとしたゴブリンの首に白い一筋の線が入ると、

「ゴフっ!」と口から鮮血が溢れ出し、

それと同時に首から血を吹き出しながら、

ゴブリンの首だけが真後ろへと倒れた。


後方へと首を倒したゴブリンの目が見開いたまま絶命すると、

蹴りが直撃したゴブリンの表情が恐怖へと変わり、

慌ててその場から逃走を計ったのだった。


「グギャァァァっ!?」


その姿を冷ややかに見ていた修一は、

慌てる事もなく腰に携えていたグロッグを引き抜くと、

トリガーを引き2連射した。


その弾丸はゴブリンの後頭部と心臓を背中から撃ち抜くと、

入り口付近の壁に激突しながら息絶えたる事になったのだ。


「ふぅ~・・・」


軽く息を吐きグロッグをホルスターへと納めた修一は、

少女達に向き直ると優しい笑顔を見せながら、

腰のウエストポーチからチョコレートを2つ取り出した。


「さて・・・お嬢さん達・・・。

 お菓子を一緒に食べようか♪」


そう告げると、まだ恐怖で引きつらせた顏を見せながらも、

修一へと駆け寄り抱き着く少女達は、大きな声で泣きじゃくった。


それを優しく抱き締めた修一は・・・。


(俺の一族達とも決着をつけないと・・・な)


そう決意を新たに修一は少女達を連れ公民館を出ると、

村の入り口付近で帰りを待つ、大介の元へと戻るのだった・・・。





ってな事で、今回このようなお話となっております。


楽しんで頂けたら幸いです。


次回ですが・・・。

塚本修一の閑話となる予定です・・・。


体調が優れない場合、次週へと延期になりますが、

無理のないペースで書いて行く予定なので、

これからも頑張りたいと思います^^



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 塚本もとい八咫修一。。。 なかなかカッコいいキャラですねー。 次回の閑話を楽しみにしています♥︎
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