3話 日本・異端・後編
お疲れ様です。
今回後編とはなりますが、楽しく読んでくれたら幸いです^^
最近寒暖差が激しくて、体調を崩しがちですが、
ぼちぼち書いております^^
皆さんも体調を崩さないようにして下さいね?
それでは、第3話をお楽しみ下さい。
「・・・裏切者には・・・死を」
そう呻くように呟いた英二の瞳は縦に割れ紫色に染まっていた。
そんな英二に桜は何度も声を掛けるのだが、
その声は「鬼化」した今の英二には届かなかったのだ。
(ちっ!よりにもよって・・・こんな時にっ!)
そう心の中で舌打ちをする桜だったが、
この現状はとてもまずかった。
(ただでさえ、あの子の「鬼化」には不安要素だらけなのにっ!
こんな場所でこんな事になるなんてっ!)
声が届かない英二と、これ以上距離を縮める事を良しとしない桜は、
一度大きく英二との距離を取り後方へと下がると観察していった。
(い、一番の問題は・・・。
今まで見た事もないような鬼の気の放出量って事・・・。
どうしてこんな力が出せるのよ?
あの子にはこんな力が出せるポテンシャルなんてそもそも・・・)
離れた位置で英二を観察しながら様々な角度で思考していくが、
桜にとってはそもそも想定外であり、
英二が鬼の力を使い始めて間がない事がネックとなり、
データが少ない現状では、思考そのものが意味をなさないのだった。
(どうすればいいのよっ!)
桜が苛立ちながら、心の中でそう叫んだ時だった・・・。
「#〇%÷△×っ!?」と、何処か遠くから声が聞え、
何者かがやたらと騒いでいる声が響き渡って来た。
「ま、まずいわっ!?
こ、これ以上一般人を巻き込む訳にはっ!?」
一般人にこれ以上の被害を望まない桜は、
咄嗟に声を張り上げ英二の注意を己に向くよう仕向けた。
桜のその張り上げた声に鬼化した英二が反応すると、
英二は桜を見ながらニヤりと薄気味悪い笑みを浮かべた。
「こうなったら・・・ヤるしか・・・ないわね」
唇を「キっ!」と噛んだその下唇からは、
桜の血が滲み出し、これから行わなければならない事に、
桜は己を呪ったのだった。
(・・・英二、私を怨め・・・。
お前の力になれなかったこの・・・私を怨めっ!)
桜は己の心の中でそう本音を漏らすと、
葛籠・・・所謂マジックボックスから二振りの両刃の剣を取り出した。
「神剣・双牙っ!」
桜はその神剣・双牙を構えると、
それを待っていたのか、鬼の因子によって暴走した英二が駆け出した。
「殺り合おうぜぇぇぇぇっ!桜さんよぉぉぉぉっ!」
「・・・くっ!え、英二・・・や、やるしかないのかっ!?」
襲い掛かって来る英二はあっという間に桜との距離を縮めると、
両手の爪を伸ばし、剣と化した爪で桜を薙いできた。
「死ねぇぇぇぇっ!はっはっはぁぁぁぁっ!」
「ヒュン」と言う風切り音がしたが、既に桜はその場所におらず、
先程「呪符」が貼られていた桜の木の上に移動していた。
再びニヤリと笑みを浮かべた英二はゆっくりと桜の方へと向くと、
「犬神の力ってのも、大した事ねーんだな~?」と告げ、
首を「ゴキ、ゴキ」と鳴らすと、桜を挑発し始めた。
「ほ~らっ・・・犬神さんよ~?
とっととそこから降りて来て、俺様と戦えってんだよっ!」
「え、英二っ!目を覚ませっ!
お前は鬼の因子に操られているだけだっ!」
桜の言葉に英二は「フンっ!」と鼻息を荒くすると、
「来ねーのなら・・・」っと、英二は一目散に声がした方へと走り始めた。
「し、しまったっ!?」
暴走し鬼化した英二に虚を突かれ、
桜は駆け出すのが遅くなってしまった。
(このままではっ!?)
このままでは新たに被害者を出すと感じた桜は、
犬神本来の身体へと戻り先を行く英二の後を追って行ったのだが、
桜が変化した後には、「ガシャ」と音を立て、
擬体がその場に残されたのだった・・・。
犬神とは言え神である・・・。
桜が神である以上・・・
現世で過ごすには例外なく擬体が必要なのである。
その生命線となる擬体を捨てたと言う事は・・・。
つまり現世での活動時間に限りがある・・・と、言う訳である。
そう・・・。
これは暴走し鬼化した英二の策略だったのだ。
英二はわざと桜の声に反応を示して見せ、
油断させておいて虚を突き、
桜から擬体を捨てさせるよう謀ったのである。
桜・・・活動限界まで残り・・・29分45秒・・・。
これを越えると犬神である桜は・・・死を迎えるのだった。
そんな事とは露知らず、犬神へと姿を変えた桜は全速力で英二を追った。
だが、英二と桜が並んだ瞬間、英二は桜にニヤ~っと笑みを浮かべると、
そのまま桜へと体当たりをぶちかまして来た。
「ドゴっ!」と言う鈍い衝突音と共に、
英二と桜は転がりながら坂を下って行った・・・。
そして20ⅿほど転がると、お互いに飛び退き構えを取っていた。
「英二・・・一体どう言うつもり?」
「けっ!どう言うつもりも何もよ~?
擬体を捨てたあんたは遅かれ早かれ後、30分ほどで死ぬ。
俺はただ・・・あんたの死が見たいだけなんだ♪」
「き、貴様・・・」
「はぁ~はっはっはっ!
神など何の役にも立たねーってところを、
この星の人間共に見てもらいたくてな~?」
縦に割れた英二の瞳を睨んだまま、
どう対処するかを考えては見たのだが・・・。
(やはりこうなってしまっては、英二を救う事など・・・)
「もはやこれまで・・・」と、そう小さく呟いた桜は、
英二の命を断つ決心をすると、人型へと再び姿を変えながら、
己の不甲斐なさに苛立ち、神剣・双牙を葛籠より引き抜くと、
声を挙げながら鬼化した英二に向かって駆け出した。
「英二っ!お前はこの私が責任を持ってこの場で断つっ!
行くぞっ!指宿英二ーっ!はぁぁぁぁっ!」
「へっへっへっ・・・。いいぜ~、桜さんよ~?
殺れるもんなら、やってみろってんだっ!
犬神ーさんよぉぉぉっ!うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
犬神である桜は擬体を捨て、活動限界が迫る中、
鬼化した英二と戦う事になったのだった。
そしてその頃、村の入り口付近では、
合流した戒斗が装備を纏いながら待機する大介し話していた。
「状況は大体わかったが、
でも、無線が使えないってのはどう言う事なんだ?」
「り、理由はわかりません・・・。
ですが先程から何度呼びかけても、ノイズ音が聞こえるだけで、
英二さんだけではなく、犬神である桜様とも連絡が・・・」
大介の話はこうだった・・・。
英二と桜が村へと侵入してからおよそ20分後、
突然インカム越しに・・・
「フフフ」と言う女性の笑うような声が聞こえたと思ったら、
「ピィー・・・ブッ、ガァ、ガガァー」と言うノイズ音に代わり、
その後一切の連絡がつかなくなったとの事だった・・・。
「女性の声ね~?」
戒斗はそう言いながらも装備の確認をし終えると、
一緒に連れだって来たまだ若い男・・・。
「織田 直次」と何かを話し合っていた。
そして少しの間を置いて結論が出たのか、
戒斗と直次は2人して村の中へと侵入しようとした時、
1台の車が物凄いスピードで向かって来た。
「ちょっと待ってぇーっ!」
車の窓を開け大声で声を挙げた人に、
大介は顔を綻ばせながらその声に応えた。
「い、いちかぁぁぁっ!」
「キィィーっ!ザザァーっ!」と車をスライドさせながら停車させると、
いちかと塚本が大介の元へと駆け寄って来た。
そして一通り説明を受けたいちかと塚本は、
村の入り口付近で何やら作業をしている戒斗と直次に視線を向けた。
「で・・・?戒斗さんと・・・アレって直次?
大介さん、どうして直次がここにいるのよ?」
「さ、さぁ~、俺もどう言う事なのか、説明はされていないんだよ」
訝しそうにしながら村の入り口付近にいる2人を見つめていると、
こちらに気付いた戒斗が手招きしてきた。
3人は一度顔を見合わせ静かに頷き駆け寄って行くと・・・。
「恐らくこれは、何者かによる結界だと考えられるな」
そう言いながら立ち上がった戒斗は「やれやれ」と言うポーズを見せ、
直次はただ小さく頷いていた。
その様子を見ていちかの表情に少し緊張が走ると、
迷う事無くその足を進め、村の中へと侵入しようとした。
「待て、いちか・・・」
そう言って止めたのは戒斗だった・・・。
いちかは苛立ちを感じながらも振り返るとそこには、
過剰な程の緊張感を伺わせる戒斗の強張った表情があったのだ。
「・・・戒斗さん?」
その緊張感がこの場に居る全員へと感染したのか、
一同が戒斗と同様にその表情が強張った。
「・・・これはかなり厄介な事になりそうだ」
重々しくそう口を開いた戒斗は、
その言葉の意味をここに居るみんなへと話していった。
「何者かまではわからない・・・。
だけどコレは恐らく、「呪符」により湾曲させられた結界だ」
「・・・?」
全員の頭に「?」が着くほどの言葉に、
戒斗は嫌味たらしく「フッ」と笑みを浮かべると説明を始めた。
「君達は知らなくて当然さ。
これは俺達一部の者にしか知らされていない事だからな?」
「・・・戒斗様、それは一体どう言う事なのでしょうか?」
訝しい表情を浮かべながらそう口を開いたのは、
神野家で執事を務める「塚本 修一」だった。
「塚本・・・。
いくら父上のお気に入りだと言っても、
この事実だけは知らされていないようだな?」
「はい、ご当主様からは何も伺っておりません」
その眼光が鋭くなった塚本に、いちか達は喉を鳴らす事になったが、
それを気にする事もなく、戒斗は説明し始めた。
「今現在、この世界は科学に支配されてしまっているが、
何も古の力が失われてしまった訳ではない事を、
この世界で生きていれば、当然知っているかと思う」
一同は戒斗の話に静かに頷いていた。
その様子に戒斗も小さく頷き返すと、更に話を進めていった。
「だけど・・・俺達のような専門家でさえ、
一部の者達にしか、知らされていない事がある・・・。
それは人間であって人間ではなく・・・
人であって人ではない・・・そんな者達が居た・・・。
いや、今この現代になっても、その者達は生き永らえて居る」
戒斗の言葉に直次を除く者達が首を傾げてしまった。
その反応に薄く笑みを浮かべた戒斗は、
傍に居る直次を見てこう言った。
「直次・・・。幻術を解け」
「・・・わかりました。戒斗様」
2人を除く全員が怪訝な表情を見せるが、
直次はそれを気にする事もなく軽く息を吸うと、
口を開きながらその姿を変えていった。
「僕は人間であって人間にあらず・・・。
人であって人にあらず・・・。
我々は古来よりこう呼ばれて来ました・・・。
異端なる亜種・・・と・・・。
そして時代が流れ、人々は僕達をこう総うして呼んだ。
「異端人」と・・・」
「い、異端なる亜種・・・?
そ、それが・・・異端人っ!?」
静かに目を閉じそう話す直次は、
ゆっくりとその姿を変え、目開いた時・・・真の姿を現した。
その真なる姿に一同には緊張が走ったのだった。
直次の容姿はかなりの変化を見せ、
見た目で分かる事と言えば・・・。
濡れたような黒・・・いや、黒よりも黒い髪の色・・・。
そして顔にある目は・・・3つと、
その細くて長い指は・・・6本もあった。
「・・・な、直次が・・・そ、その異端人っ!?」
「はい、やはり気持ち悪い・・・ですか?
ははは、そうですよね?
僕達はこの見た目のせいで化物扱いされてきましたから、
正直、つらいですが・・・いつの間にか慣れてしまいました」
苦い顔をしながらそう口を開いた直次に、
最初は戸惑いを見せたいちかが「フッ」と笑みを浮かべた。
「ん~・・・別に気持ち悪くはないわよ?」
「えっ!?」
「上手く言えなくて悪いんだけど、
その濡れたような真っ黒い髪って、とてもオリエンタルな雰囲気だし、
それにその3つ目の・・・その第3の目っ!
よく見るとその第3の目の瞳の色はライトブルーなのね~?
とても澄んでいて綺麗だわ♪」
いちかがそう楽しそうに話すのを見て、
直次の動揺の色を浮かべたが、
戒斗を含めた一同は嫌がる素振りも見せず、
それぞれがいい感触を持って直次に声をかけたのだった。
「ありがとう・・・」
そう直次が呟くと、さの3つ目の目の事を話しだした。
「人で言うところの第3の目は、
別に額にある訳ではなく、僕のように前頭部・・・。
つまりおでこの左側に有る者や逆だったりする者もいるんです」
その説明に関心を示していると、
突然真剣な表情に変わった直次が重々しく口を開いた。
「で、そんな異端人で在る僕が見た限りでは、
この村の入り口の先は、全く別の空間になっているはずです」
「べ、別の空間っ!?」
「はい、英二さん達が入った空間とは違う次元のこの場所に、
移動してしまうはずです・・・」
その言葉に塚本は小さく手を上げると、
そう説明する直次に質問をし始めた。
「君が言う通りだとしたら、
誰かがこの入口より先に入り違う空間に飛ばされても、
入り口の手前に居る俺達には、普通に存在している・・・。
と、言う事でいいのかな?」
「はい、そう思っていただいて構いません。
恐らくこれは、何者かが誰かに向けて作られた結界だと思います」
「だ、誰かって・・・?
も、もしかして・・・そ、それって・・・え、英二さんですかっ!?」
声を荒げ慌て始める大介に、
いちかは大介の頭を軽く叩き落ち着かせた。
そんな意気消沈する大介に直次は口を開いた。
「大介さん・・・。
この結界を張った何者かの目的が、
英二さんとは限りません。
ですが、ここで全員で入ってしまっても、
英二さん達と同じ場所に行けるとは限らない・・・。
だからここは・・・なるべくバラバラになって、
この村に侵入する事が一番いいかと思います」
「で、でもっ!バラバラになってしまったら、
貴重な戦力が分散してしまうじゃないですかっ!?」
そう直次の提案に異議を唱えたのは、
英二の事を誰よりも慕う大介だった・・・。
そんな大介を見て薄く笑みを浮かべた戒斗は、
声を荒げる大介に諭すように話していった。
「大介・・・。
英二先輩を慕うお前の気持ちはよくわかる。
だけどな?今、この場に居る連中の顔をよく見てみる事だな?」
「こ、ここに居る連中って・・・」
「あぁ・・・よく見てみろ?
今現在、神野の最強を誇るメンツが居るんだぞ?
俺達以上に戦えるヤツなんて・・・早々いないだろ?」
「た、確かに・・・確かにそうですが・・・でもっ!」
ワナワナと震えながら何かを話したそうにしていた大介だったが、
その言葉は結局吐き出される事はなかった。
(・・・悠斗さんがっ!ここに悠斗さんが居てくれたらっ!)
そう心で声を挙げてはいたが、
異世界に居る悠斗の名を出したところで、
現状が何も変わらない事が分かっていたからだった。
そんな大介の気持ちを察したいちかが押し黙る大介の肩に手を乗せた。
「大介さんっ!安心してここで待っていて下さいよ♪」
「えっ!?」
「こう見えても私・・・すっごく強いんですよ?
悠斗さんから受け継いだこの天才的魔狩り人の私が、
ダメダメな英二さんを無事に連れ帰りますから~♪
ドロ舟・・・じゃ・・・なかった・・・。
大船に乗ったつもりで待っていて下さいよ~♪」
「・・・ドロ舟って、いちかお前・・・わざと・・・」
「えへへ♪」
大介を和ますつもりでわざとそう行ったいちかに、
この場に居た全員が「くすくす」と笑っていたのだった。
その雰囲気に少し安堵した大介は戒斗へと向き直ると、
その手を取り、強く握りながら目を見てこういった。
「戒斗様っ!そして・・・皆さんっ!
え、英二さんを・・・宜しくお願いしますっ!
弱い僕は何も出来ませんが、皆さんを信じて・・・
ぼ、僕は・・・ここで・・・待って・・・います・・・」
今にも大声で泣き出しそうな大介の言葉に、
全員が「任せておけっ!」と、力強く声を挙げたのだった・・・。
そして戒斗は再び直次の提案を受け入れた上で、
村の入り口である結界の中へと1人ずつ浸入する事に決めたのだった。
「いちか、塚本は直ぐに準備をしてくれっ!
それが整い次第・・・この村の中へと侵入するっ!」
「「了解っ!」」
そう言うと、いちかと塚本は装備を纏い始め、大介はその手伝いをし、
戒斗と直次は再び何かを話し始めた。
「直次・・・あいつらが居ない今だから聞いておく・・・」
「はい、何でしょうか?」
「お前には、この結界が誰の仕業かわかっているんじゃないのか?」
戒斗の言葉に直次は一瞬眉間に皺を寄せると、
誰にもバレないように小さく頷いた・・・。
「個人までは特定する事は出来ません・・・が・・・」
「ん?お前にしては歯切れが悪いな?」
「一度前に似たように事象を目にした事があります」
「・・・えっ!?ちょっと待てよっ!?
そ、そんな報告・・・俺は・・・」
直次の話に戒斗は目を剥くように驚きを見せ、
その様子に直次はこう話を続けた。
「実は去年の話なのですが・・・。
ある仕事の最中に単独で行動する悠斗様と遭遇しました」
「・・・あ、兄貴とっ!?」
「はい、僕は魔の探索で先行していた時の話です。
そこで単独行動する悠斗様にであった時・・・」
戒斗は直次の話を聞き終わると愕然とし言葉すら出てこなかった。
その表情は強張り、その目は虚無の空間を見ていた・・・。
そして絞り出すように出た言葉が・・・。
「・・・ま、まさか・・・。
か、神野と・・・共闘する連中の中に・・・
て、敵が・・・いるだとっ!?」
「はい・・・。
僕の意見だけなら兎も角・・・。
あの悠斗様がそう断言されていましたから、
恐らくこれは確定ではないかと・・・」
「・・・あっ、兄貴もっ!?」
「・・・はい」
戒斗は苦悶の表情を浮かべると、
直次もそれ以上一言も口を開く事はなかった。
そして一言だけ・・・戒斗は直次にこう言った。
「・・・直次、今の話・・・誰にも口外するなよ?」
「・・・涼華様達にも・・・ですか?」
「ああ・・・。
ただでさえ・・・兄貴は居ないんだ・・・。
これ以上の混乱は・・・。
それにこの件・・・。俺も密かに調べてみる。
だからその時までは・・・」
「・・・わかりました。
その時が来るまで、口外致しません」
そうする内に準備を整えたいちかと塚本が戒斗達と合流すると、
村の入り口手前で横一列になった。
「みんな・・・。
これから村の中へ浸入する」
「「「はいっ!」」」
(くそっ!仲間に敵がっ!?
一体どうなってんだよっ!兄貴っ!
どうして俺に・・・ちっ!)
この場に居ない悠斗に腹立たしさを感じながらも、
戒斗は村の中へと浸入する為に声を張り上げ気合を入れた。
「目的は桜様と英二先輩の救出・・・もしくは援護だっ!
行くぞっ!」
戒斗達は気合を入れ直すと、
1人1人順番に村の中へと入って行くのだった。
そして1人残された大介は戒斗達へと願っていた。
「皆さん・・・どうか英二さんを無事に・・・。
そして皆さんも気をつけて・・・」
姿が消えた村の入り口の前で祈る大介・・・。
その祈りを応援するかのように、
鳥達が囀る声が山々に響き渡っていたのだった・・・。
ってな事で、今回のお話はいかがだったでしょうか?
今回新しく直次というキャラが登場しましたが、
感想などあれは聞かせてもらえると嬉しく思います^^
次回は外伝の閑話となる予定ですので、
宜しくお願いします^^
ってなことで、緋色火花でした。




