197話 牙笛と復活
お疲れ様ですっ!
何とか・・・何とか間に合いましたっ!(祝
今回も少し長いですが、読んでもらえたら幸いです^^
先週の土曜、親睦を深めに~・・・などの為、
デイキャンプに行きストレスもある程度解消されたはず・・・。
なのに・・・だ。
再び仕事と言う名の悪魔がっ!?
・・・ってなことで、再びストレスMAXです。
それでは197話をお楽しみ下さい^^
軽快な口調とは相まって、
悠斗の視線は尋常ではないほど怒りに満ちていた・・・。
赤銅色の気を溢れさせ、
そして炎鬼を納刀しながら悠斗はゆっくりと歩き始めた。
そんな悠斗の姿に童鬼は身体を震わせながらも、
威風堂々たるその姿に見惚れもしていた・・・。
「ユ、ユウト・・・」
「・・・何?」
畏敬の念を抱いた童鬼の声に悠斗はその足をピタリと止めた。
「お、お前のその力って一体?」
「・・・説明する気はないよ」
「・・・わ、わかった。
で・・・ヤツと・・・壇鬼と戦うのか?」
「・・・当たり前だろ?あいつは生かしておけない」
「・・・・・」
童鬼との会話中であっても、悠斗は壇鬼から視線を逸らす事はせず、
怒りの視線を向けたままだった。
「・・・童鬼」
「な、何だ?」
「邪魔・・・しないよな?」
「・・・あ、ああ。勿論だ」
「別に邪魔・・・してもいいけど・・・
その時はきっと殺しちゃうと思うから・・・」
「こ、殺し・・・っ!?わ、わかった」
「じゃ・・・行ってくる」
「・・・ああ」
童鬼は悠斗の言葉にただ答えるしか出来なかった。
一歩また一歩と、悠斗は静かに踏み出しながら、
その身体から溢れ出る赤銅色の気が濃くなっていくのだった・・・。
(カロン・・・ごめん。
俺が本気ださなかったせいで・・・お前を・・・。
だけど必ず・・・あいつは・・・壇鬼は殺すからな。
何があろうと絶対に・・・殺す)
そう心でカロンに話しかけながら、
悠斗はその握り締めた拳に怒りを込めて行った。
そしてカロンを殺した壇鬼は・・・。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・も、もうそろそろ限界・・・か」
壇鬼は両手を膝の上に着きながら呼吸を荒くしていると、
突然何とも言えない圧力を背後から感じ振り返った。
「なっ!?何だ・・・ア、アレは?」
振り返った壇鬼が見たモノは、
赤銅色の気を溢れさせながらこちらへと歩いて来る悠斗の姿だった・・・。
「ア、アレって・・・せ、赤銅色・・・お、鬼の気なのかっ!?
ど、どうして人間如きが鬼の気をっ!?」
目を見開き己が見ているモノの理解が出来ないでいた。
すると壇鬼は咄嗟に童鬼へと念話を送った。
(お、おいっ!童鬼っ!
や、奴がどうしてっ!?せ、説明しやがれっ!)
(あぁ~・・・その事か?
説明も何も・・・お前が見たまんまだが?)
(み、見たまんまってっ!?一体どうなってやがるんだっ!?
どうして人間から鬼の気が出てんだよっ!?)
驚愕する壇鬼に童鬼は冷めた口調で話して行った。
(はぁ?お前・・・御館様の話を聞いてなかったのか?)
(は、話・・・だとっ!?)
(呆れたぜ・・・。
何度かギョルスが消された時、密偵を放っただろ?
その時、報告に上がったのが・・・このユウトって男だ)
(こ、こいつがっ!?御館様が以前言っていた・・・例の男だとっ!?)
今更ながら驚いている壇鬼に流石の童鬼も呆れ果てていた。
(お前・・・。その男がユウトだと分かっていて、
俺を尾行していたのではないのか?)
(い、いや・・・お、俺はただ・・・
お前の手柄を横から奪ってやろうと・・・)
そんな発言を口にした壇鬼に童鬼は更に呆れ深い溜息を吐いた。
(・・・はぁ~・・・。全くお前は・・・)
(な、何だよっ!?)
(くだらないな・・・お前はガキかっ!?)
(・・・ガ、ガキだとっ!?貴様っ!)
念話での会話に壇鬼は怒りの形相を浮かべるも、
ゆっくりと歩みを進める悠斗の気迫に言い知れぬ恐れを抱いた。
だが、その恐れを認めたくない壇鬼は、
頭を振りながら再び念話を送った。
(ま、まぁ~いい・・・。
ヤツがそのユウトとか言う男が、
御館様の言っていた例の男だとしたら・・・こいつは俺がもらう)
(何だとっ!?壇鬼っ!お前と言うヤツはっ!)
怒鳴る童鬼に対し壇鬼は薄ら笑いを浮かべると、
頬を伝う冷たい汗を拭いながらもこう言った。
(手柄をみすみす貴様にくれてやるかよっ!
こいつは俺がぶち殺して、俺は必ずのし上がってやるっ!)
(のし上がるだとっ!?
お前の角の数では無理な事ぐらいわかっているはずだっ!)
(うるせーよ・・・だかな童鬼よ・・・。
俺にはそれを叶えるモノがあるんだぜ?)
(叶えるモノ・・・?)
そう会話をしたところで、壇鬼はニヤリと笑みを浮かべながら、
葛籠・・・。所謂マジックボックスからアイテムを取り出した。
壇鬼が取り出したモノを見て、童鬼は目を見開き驚愕し、
念話を送りながらも思わず大声を張り上げたのだった。
(壇鬼っ!お前がどうしてソレを持っているのだっ!?
答えろ壇鬼っ!返答によっては俺がお前を倒す事になるのだぞっ!)
その大声にピタリと足を止めた悠斗は、
童鬼の剣幕に思わず眉間に皺を寄せた。
(いきなりどうしたんだっ!?
・・・トラブルか?)
そう考えながらも悠斗は、
その視線を壇鬼から離さず睨みつけていたが、
壇鬼はそんな視線に汗を流しながらも不気味な笑みを浮かべ、
そのアイテムを愛おしそうに撫でていた。
(クックックッ・・・。
今の俺様は完全なるパワーギレだが、
それを回復する間はこいつの力を使って・・・
いや、ヤツがいくら強いと言っても所詮人間だ・・・。
それは揺るがない事実だ。
だから俺様が万が一にでも負ける事など・・・ありえんっ!)
そう己に言い聞かせた壇鬼は、
(やめろっ!)と念話で語り掛けて来る童鬼を無視して、
そのアイテムに再び視線を落とした。
(クックックッ・・・これは・・・
これは俺様が御館様の宝物庫より盗んだ「ドラゴンの牙笛」
この牙笛には特殊な能力があってな~?
俺様がこの牙笛に登録した俺の仲間達を召喚出来るんだよ。
5本角2体と4本角1体・・・。。
そして一つ目のギョルス5体・・・クックックッ・・・
俺様に隙などないんだよっ!
俺はそれをじっくりとなぶり殺しにされるのを見物しながら、
力の回復を待つとしよう・・・)
余裕すら伺わせて歪んだ笑みを浮かべる壇鬼・・・。
だが悠斗はそんな思惑など知る由もなくただ・・・、
その歩みを進めるだけだった。
(必ずお前は俺が・・・始末する)
そう決意する悠斗はこれから始まる戦いに向け、
冷静であろうとするのだった・・・。
それから数分後の事だった・・・。
漸く一歩その足を踏み出した壇鬼が、己の張った結界から出て来た。
「少しは力が戻ったが、正直動く事さえまだキツい・・・。
だからここは予定通り、牙笛を使うとしよう」
そう呟いた壇鬼はゆっくりと静かに歩んで来る悠斗に声を挙げた。
「おいっ!確かユウトと言ったか?
お前にはまず・・・こいつらと戦ってもらおうかっ!」
「・・・こいつら?」
壇鬼の言葉に怪訝な表情を浮かべた悠斗は、
警戒しつつもその歩みを止める事はなかった。
「あいつめ・・・止まる気配すらねーな?
・・・まぁ~いい・・・目にもの見せてやるぜ」
歩みを止めない悠斗に驚きを見せた壇鬼だったが、
その手に持つ牙笛を口に咥えると、力一杯に吹いたのだった・・・。
「ブォォォォ~ブォォーっ!」
「出て来やがれっ!俺様の下僕達っ!」
まるで地鳴りのような音が壇鬼の持つ牙笛から鳴り響くと、
悠斗の手前・・・およそ10mほど先の空間に渦状の穴が出現した。
「・・・何だっ!?」
その渦状の穴を見た悠斗はその足を止めると呼吸を整え、
いつでも臨戦態勢に突入出来るよう気構えた。
(さてっと・・・何が出て来るんだ?)
突然空間に現れた渦状の穴の奥から赤い光が漏れ始めると、
その中から3ⅿ越えの数体の鬼が出て来た・・・。
(でかっ!?まじか~・・・って・・・ん?
角が・・・あるって事は、やっぱり鬼か。
身体が無駄にでかいヤツと、妙に細いヤツ・・・。
それと・・・ん?でも一人・・・角の数が少ない・・・な)
その穴から現れた鬼達は辺りを見渡していると、
その鬼達の動きが急に止まり、何かを聞き入るような行動を取っていた。
(・・・あれって念話・・・か?)
悠斗がそう思ったのも束の間・・・。
その鬼達は話を終えたのか一斉に悠斗に視線を向けて笑みを浮かべた。
「グフフ・・・。
要するにアレだろ?この人間を始末すればいいんだろ?」
「たかが人間を殺す程度の事で、
俺達を召喚するとはな~?
壇鬼のヤツもヤキが回ったんじゃねーか?」
笑みを浮かべそう話していると、
4本角の体格のいい鬼が声を挙げ5本角の鬼達を制した。
「おい、お前ら・・・いい加減にしろ」
静かな口調だがその4本角の鬼から放たれている威圧感は、
5本角の鬼達よりも遥かに強いと感じられたのだ。
すると後方に居る壇鬼が声を挙げた。
「クックックッ・・・驚いたか?人間・・・。
俺が持っているこのドラゴンの牙笛には特殊な力があってよ?
俺が回復している間、そいつらと遊んでいてもらおうかと思ってな?」
壇鬼が何やら自慢げにそう話していると、
悠斗は「ふ~ん、それで?」と呟いた。
距離的に聞こえるはずもなかったのだが、
悠斗の発言は目の前に居る鬼達から念話で伝えられていた。
「クックックッ・・・いい度胸だ。
その度胸に免じていいモノ見せてやろう。
魔物の名は「ギョルス」お前ならよ~く知っているんじゃないか?」
そう言うと壇鬼は再び牙笛を高らかに吹くと、
再び渦状の穴が現れ、その中から出て来たのは、
5体のギョルスという1つ目の小型の魔物だった・・・。
ギョルスの容姿は20cmほどの大きな目玉に、
コウモリの翼が生えている印象だった。
「ギョワァァァっ!」
穴から出て来た小型の魔物ギョルス・・・。
興奮でもしているのか、悠斗を見て威嚇し始めたのだった・・・。
「あぁ~・・・こいつってギョルスって名前だったのか?
別に名前なんかどうでもいいけどね」
「ほう~・・・人間の分際でなまいきな」
(あぁ~でも前に見たヤツと違うよな?
前に見たヤツはもっと小さかったし・・・それに羽なんて・・・。
色々とタイプがあるって事なのか?
まぁ~別にどうでもいいんだけど・・・)
目の前に居る5本角の1人が威圧を込めてそう言うと、
突然もう1体の無駄にでかい5本角が悠斗へ襲い掛かった。
「うがぁぁぁぁっ!」
派手な土煙りを挙げて突進してくる鬼に、
悠斗は慌てる事なく回避行動を取ると、
その着地と同時に戦闘態勢を取った。
「動きは・・・悪くないようだ」
静観していた4本角の呟きが悠斗の耳に届く頃、
5本角鬼達は悠斗を挟み込むかのように陣取った。
「・・・へぇ~挟み撃ちってところかな?」
眼球だけを動かし左右へと別れた5本角に対してそう言って見せると、
その言葉はまたしても壇鬼へと伝えられていた。
「クックックッ・・・本当にいい度胸だな・・・お前。
その余裕がいつまで続くか見せてもらおう」
壇鬼がそう言うとその場に腰を落し、
葛籠から今度は酒を取り出し呑み始めると、
「殺れっ!」と壇鬼の怒号が木霊した。
壇鬼の声と同時に5本角の鬼達は一斉に悠斗へと襲い掛かった。
「うがぁぁぁぁっ!」
そう雄叫びを挙げ無駄にでかい鬼が突進し、
妙に細い鬼が一足飛びに悠斗に向かってジャンプすると、
腰に携帯していた剣を抜いて斬りかかって来た。
「・・・・・」
「ドッドッドッ!」と突進してくる鬼を気にする事もなく、
悠斗はジャンプして来た鬼の対処をすべく飛び上がると、
斬り下ろすタイミングを崩されたその細い鬼の手首を掴み、
そのまま突進して来る鬼へと投げつけた。
「なっ!?」
「はぁぁっ!」
突進して来る鬼へと投げつけたはずの鬼だったが、
ヒラリと態勢を変えると突進して来る鬼の頭の上に着地した。
着地した悠斗は苦笑しながら「まじか・・・」と呟くと、
ある気配を感じそちらへと視線を向けた。
「・・・ははは・・・。無事・・・だったんだな?」
そう呟いたはずの悠斗の声は、
どうやら無意識に念話を使用していたようで、
「・・・奇跡は起こるモノなのだな?」と野太い声が返って来た。
悠斗の反応にその場に居た全員の視線がある方向へと注がれると、
一番の驚きの声を挙げたのは・・・壇鬼だった。
「お、お前・・・な、何故・・・生きてるっ!?」
「フッフッ・・・。俺がそう簡単に死ぬはずもなかろう」
「・・・お、おのれぇぇぇっ!」
そう唸り声を挙げた壇鬼の声を消す様に、
悠斗の声が鳴り響いて来た。
「ヴォルカニック・ドラゴンっ!!」
そう声を挙げた悠斗に火山竜は視線を少し落としながら、
震えた声を出していた。
「そ、そうか・・・。カロンのヤツ・・・」
「・・・・・」
「ヴァオォォォォォォォォォォっ!」
震える声でそう言うと、火山竜が突然怒りの咆哮を挙げた。
硬く握られたその両拳が打ち震えるのを、
距離がある悠斗からも見て取れたのだった・・・。
「火山竜・・・」
「俺が着いていながら何とも不甲斐ないっ!
ユウト・・・すまなかったっ!」
「・・・俺に謝罪はいらない。
ただ・・・この戦いが終わった後、あいつの為に祈ってやってくれ」
「・・・そうだな。わかった。
こやつらを葬る事で、カロンへの手向けとしよう」
突然復活した火山竜に流石の壇鬼も茫然とすることになったのだが、
絞り出すように口を開いていった。
「貴様・・・た、確かに死んだはず・・・。
何故貴様が生きているっ!?」
壇鬼の問いに火山竜は突き刺さる視線を向けながら、
指を・・・あるモノに向けて差した。
「・・・この笛・・・?
俺のドラゴンの牙笛が何だと言うのだっ!?」
ドラゴンの牙笛を握り締めながらそう言うと、
火山竜は静かに答えていった。
「ドラゴンの牙笛と言うか・・・それは?
恐らくその牙笛の力によって俺は復活できたのだろう」
「どう言う事だっ!?」
「忘れたのか?俺も・・・竜族だって事をなっ!」
ワナワナと震えながら壇鬼が牙笛を握り締めていると、
顏を引きつらせながら呻き始めた。
「こ、この牙笛は違う星のモノなんだぞっ!?
そ、それなのに・・・こ、こんな事ってっ!?」
怒りが込み上げて来る壇鬼だったが、
その怒りをぐっと堪え鋭い視線を火山竜へと向けた。
「ま、まぁ~いい・・・。
貴様程度の存在が蘇ったところで、
痛くも痒くもないのだからな?
それよりも・・・だ。
いいのか?こんな所に居て・・・」
「・・・何が言いたいのだ?」
「あの男は今、窮地に立たされているのだぞ?
俺と会話をしている場合ではないだろ?」
壇鬼の言葉に促されるように、火山竜は視線を悠斗へと向けた。
「確かに・・・窮地だな」
そう声を漏らすと火山竜の背中から翼が飛び出し、
壇鬼が驚く頃には既に悠斗の傍に立って居たのだった。
「あの竜族・・・な、なんて速さをしてやがるっ!
侮れないかもしれないな・・・くそっ!」
力の回復を待つ壇鬼はその誤算から、
奥歯を「ギリッ!」と噛み締めたのだった。
悠斗と合流した火山竜は隣に立つ事で驚きを見せていた。
(話している時にも感じたが、雰囲気がいつも違う・・・。
上手くは言えないが、まるで何かを押さえつけているような?
ユウトは今、一体何と戦っているのだ?
カロンの事が原因だろうが、横に居るだけで身体がピリピリしやがる)
そう感じた火山竜は異常なまでの圧力を感じていたのだった。
そして悠斗の方は、火山竜が思っていた「何か」と戦っていた。
(まだだ・・・まだ解放する事は出来ない・・・
この力はあいつにぶつけてやらないと・・・気が済まない・・・)
この時悠斗は己の中の鬼の気が爆発しそうなまでに高まっており、
それを押さえつける為に必死に内なる自分と戦っていたのだった。
そんな時だった・・・。
悠斗達の目の前に居る4本角の鬼の口が開いた。
「いつまでこうしているつもりだ?」
「別に待ってくれと頼んだ覚えはないけど?」
冷静に話しているように見える悠斗だったが、それは違った。
こんな最中でも悠斗は己の力を制御しようと、
戦いの中でも修練していた。
そんな悠斗の姿に火山竜が口角を上げた。
(フフフ・・・真横に居る俺にしか気づかれんとは、
この男はとんでもない器の持ち主なのだな?)
「ユウト・・・何か要望はあるか?」
「・・・はい?」
突然火山竜の口からそんな事が出ると、
悠斗は拍子抜けしたかのような声が漏れてしまったのだ。
「いや、すまぬな?
こやつらを・・・この鬼だったか?
こやつらと1人で戦いたいのかと思ってな?」
「・・・そう・・・だね。
こいつら程度なら・・・今の俺なら問題ないよ」
「わかった・・・では、俺はあの目玉を相手にするとしよう」
そんな会話が鬼達の耳に入ると、
5本角の鬼達は怒りの形相を見せたが、
4本角の鬼はどうやら違い、悠斗自身に興味を持っていた。
「人間如きがふざけるなっ!」
「俺達の相手は1人で充分だとっ!?舐めやがってっ!」
(この人間・・・何かが違う・・・。
まだそれが何かはわからんが、嫌な予感がする)
そう感想持った4本角の鬼は5本角の鬼へと指示を出すと、
一端悠斗達から距離を取り戦いに備えた。
そして・・・。
「行くぞぉぉぉっ!人間っ!目にモノ言わせてやるわぁぁぁっ!」
妙に細い5本角の鬼が身体に似合わないほどの大声を張り上げると、
5本角の鬼達は一斉に駆け出した。
だが、4本角の鬼は腕を組んだまま動く事はなく、
悠斗の様子を伺っていたのだった。
そして5体いるギョルス達も「ギョァァァァっ!」と言う、
奇声を発しながら悠斗達の元へと羽ばたいた。
「ユウトっ!鬼達は任せたぞっ!」
「・・・ああ、火山竜・・・。
あいつらは力を吸収するはずだから気をつけてな?
油断してると・・・殺られるぞ?」
「・・・善処するっ!」
こうして戦いが火蓋を切った。
火山竜はギョルス5体と戦うべく、
悠斗からのアドバイスを思い出し考察していた。
(力を吸収するとは言っても・・・な)
火山竜の居る大地から上空へと移動したギョルス達は、
再び奇声を放つと火山竜を囲むように散った。
そして火山竜の真上に居たギョルスが発する合図に、
ギョルス達は四方から一斉に奇声を発した。
「「「「ギョワァァァァァっ!」」」」
「ぐぁっ!?」
ギョルスの発した奇声には硬直効果があるらしく、
その奇声を浴びた火山竜は呻き声を挙げながら身体の自由を失った。
すると火山竜の状態を確認していたもう1体のギョルスが、
凄まじい速度で降下すると、硬直する火山竜の顔へと張り付いた。
「グォン、グォン」と奇妙な音を立てながら、
火山竜の顔に張り付いたギョルスが緑色へと光り始めた。
「ぐぁぁぁぁっ!」と唸り声を挙げるも、
ギョルスの力の吸引は続き、その緑色の光も激しさを増すのだった。
その様子を離れた場所から見ていた壇鬼は、
酒を飲みながらニヤリと笑みを浮かべていた。
「クックックッ・・・あの程度とはな?
必要以上に警戒する事もなかったな・・・」
そう言いながら一気に酒を煽ると、
視線を火山竜達に向けながら歩いて来る童鬼から声がかかった。
「・・・いいご身分だな?壇鬼」
「フン・・・何をしに来た?」
「いや、その牙笛の話でもしようかと思ってな?」
「フンっ!あの人間を殺してしまえば、
こんな牙笛の事などどうでもよくなるだろうよ・・・」
「事がそう簡単に運ぶといいがな?」
意味有り気にキラリと光る童鬼の目に、
壇鬼はあからさまに不安になり怒鳴り散らした。
「だ、だいたい貴様があの人間をすぐにかたづけないからだなっ!?
せ、責任は貴様にもあるのだぞっ!?それをわかっているのかっ!?」
「あぁ・・・分かってるさ・・・充分にな?」
「ちっ!貴様が傍に居ると、酒も不味くてしょうがないっ!」
悪態着く壇鬼を他所に、童鬼の視線は悠斗達へと向けられていた。
(そう簡単に運ぶ訳がない・・・。
あいつは・・・ユウトはまだ力の一端すら見せていないのだからな?)
そう思いながら童鬼は哀れんだ目を壇鬼へと向けていたのだった・・・。
ってなことで・・・。今回はいかがだったでしょうか?
慌てて書き上げた為、いつも以上に誤字脱字があるかと思いますが、
温かい目で読んでやって下さい。
えっと~ここからは予告と言いますか・・・。
200話までに閑話が少なくとも2話ある予定です。
って言うか、閑話2話は必ずありますw
ひょっとすると・・・1話増えるかもしれませんが・・・。
ってなことで、緋色火花でした。




