20話 謎の敵と女心
お疲れ様です。
やはり文章力を上げていくには
書きまくるしかないのでしょうね・・・。
日々痛感している今日この頃です。
ブックマーク及び感想など宜しくお願い致します。
それでは、20話をお楽しみ下さい。
「イリアさん、僕で良かったら話を聞くよ?」
微笑んだ悠斗の笑顔に魅入られたイリアは
「ポツリ、ポツリ」と、話し始めた・・・。
コーヒーのコップを両手で持ちながら・・・
「私がこの癒しの森へ来たのには理由があります」
コップを持つ手に力が入るのが見て取れる。
「私の住む森と言うのは嘆きの森と言われている森なのです。
此処から遥か先の南へ向かうとリント村・・・そういう名の村があり、
その村から北に進むと嘆きの森があります。
その森の半ばほどに私達の集落があるのです。」
イリアはコーヒーを一口飲むと話を続ける。
「1年前に遡るのですが・・・ある日の夕方
地鳴りが起こり大地が揺れ、家は倒壊し、木々は倒れ
動物も逃げ惑う・・・。
揺れが収まった時、今まで見たこともない・・・。
魔族や魔物に魔獣とも違う異形な生物が姿を現すと、
次々に私の仲間達を殺していきました。
勿論、私達も戦える者は戦ったのですが・・・奮戦虚しく・・・
いえ、奮戦すらできず・・・惨殺されていきました。
50人近く居た仲間も今では半数ほど・・・です」
イリアは恐怖と怒りと無力さに涙を溢れさせていた。
「無理して話さなくてもいいよ?」
その言葉を聞くと、イリアは体を小刻みに震えさせていた・・・。
悠斗はマジック・ボックスから大きな布を取り出すと
そっと、イリアにかけてあげた。
「あ、ありが・・・とう・・・」
イリアは涙を零しながら、布をかけた悠斗の手を握った。
悠斗はイリアの肩を「ポンポン」と、叩くと元の場所に戻り続きを聞いた。
「惨殺されただけ・・・ならばまだ良かったのですけど
ヤツは褒美をやろう・・・そう言って、集落の数人に呪いを施して行きました」
「呪い?それで、呪いの内容はわかる?」
「はい。ヤツが言うには・・・今から次の年の冬までに、
呪いを施した者達の生命力を全て奪う・・・と、言っていました」
「生命力を奪う・・・か・・・」
「はい。呪いを施された者達は日々弱っていき、
今から5ヶ月後には・・・もう・・・」
悠斗は顎に手を当てながら考える・・・
「その呪いをどうにかする為に癒しの森へ?
イリアさんはどうして無事だったの?」
「私も戦っていましたが、両親が私を逃して・・・くれて・・・
そ、その為に・・・パ、パパやママ・・・は・・・」
イリアは大粒の涙を流し、泣き崩れてしまった・・・。
「あっ、ごめん!嫌な事を思い出させてしまって・・・
悪気はなかったんだ・・・本当にごめん」
謝る悠斗にイリアは首を振る。
「い、いえ、す、すみません・・・。思い出して・・・しまって・・・」
(悔しかったろうな・・・俺にも、経験あるしな・・・)
悠斗は幼い頃、悠斗を守る為に祖父が命を張って魔と戦い命を落とした。
その時の祖父の後ろ姿を今でも覚えていた・・・。
あの時の事を思い出し、イリアに重ねていた。
(それに・・・あの時の魔って、真っ黒で俺には何かわからなかったからな
リベンジ出来なかったのは残念だけど、これも何かの縁だしね)
悠斗は焚き火に薪を焚べる。
パチパチっと、音が夜に響いていた・・・。
コーヒーのおかわりと蜂蜜をイリアに渡す。
小さな声で「ありがとう」と、礼を言う・・・
蜂蜜を混ぜ一口飲むと、「ふぅ~」っと、息を洩らす。
そして少し落ち着いたイリアは話しを続けた。
「私達が此処へ来たのは、呪いにも効果がある・・と、言われている
癒しの森にある、妖精の花と根、それと・・・
あの森の中央にある池・・・癒やしの水を取りにきました。
その3つを調合すれば、呪毒に効果があるポーションが・・・」
「呪いに効果があるモノがあるのか・・・」
「いえ、かも・・・しれない。確信はないけど、それでも・・・」
俯いてた顔を上げ悠斗を見る。
「そっか・・・確かに、やってみないとわからないからね」
「はい。私達にはそれにすがるしかないのです」
悠斗は薪を焚べ、コーヒーを飲みながらイリアに聞く。
「イリアさんは一人で来たの?」
その問いにイリアは小さく首を横に振った。
「此処に来たのは私を含め4人。男女2名ずつでした。
でも、魔獣達の襲撃に合い・・・散り散りになってしまいました」
「連絡手段はないのか?」
悠斗の問いに再び首を横に振る。
「んー・・・。これからどうするの?」
イリアは眉間に皺を寄せると・・・
「そうですね・・・港町に行って、冒険者にクエストを出すか
私も登録して、冒険者達と一緒に行こうかと思います。
散り散りになった仲間を探している時間はないかと・・・」
悠斗は薪を焚べながら考えていた・・・
(んー。此処で魔法の練習をしなくちゃいけないのだろうけど
俺も港町にはどの道行くことになるし・・・
っていうか・・・こんな話を聞いてほっておけるはずもないな)
悠斗は「よしっ」っと声を出すと・・・
「イリアさん、俺も一緒に行ってもいいかな?」
イリアは驚いた顔をしていたが・・・
「いいの?見ず知らずの私に付いて来て・・・?」
「あはは、いいんだよ。どの道港町には行く事になっていたし、
それにさ、今の話を聞いていたら、俺も協力出来ないかと思ってさ。
あと、俺も冒険者登録したいと思っていたしね」
悠斗の言葉にイリアは静かに涙を流す。
「あ、ありがとう・・・本当に、ありがとう」
悠斗の手を取り涙ながらに感謝した。
「あっ、ところでさ・・・その敵って、どんな特徴があるのかな?」
イリアは拳をギュッと握り締めながら話した。
「身長は4m近くあり、肌の色は赤黒く、角が頭部に3本
瞳はトカゲの様な金色の目をしていたわ。
あと・・・左胸に入れ墨のような痣があったわ」
(4mか・・・でかいな。話しを聞く限り・・・
ま、まさかな・・・まさか・・・・だよね?
鬼・・・なんてことはないよな?)
悠斗が何やら深刻な顔をして黙ってしまった。
イリアは少し不安になりながらも声をかける。
「ユウト?どうしたの?何か・・・心当たりでも?」
イリアの言葉に我に返ると・・・
「思うところはあるけど、今は何とも言えないかな?」
「そ、そう・・・手がかりがあればと思ったんだけど・・・」
「ごめんね、でも、確信が持てたら話すよ、必ず・・・約束するからさ」
「わかったわ。お願いします」
沈黙が暫く続く・・・
悠斗は相変わらず考え事をしているようだ・・・
イリアは改めて悠斗を見る。
(彼は一体何故こんな所にいるのかしら?
怪しいところも気配も見当たらないけど・・・15歳であの強さ
どうしてあんなに強いの?さっきから鑑定をつかっているけど
何かの力に阻害されて、彼の力が測れない・・・。
彼・・・本当に何者なの?
でも、あれだけ強いとなるとランクBくらいかしらね・・・
あっ、でも彼は冒険者じゃないって言ってたわね。)
悠斗の顔をまじまじと見つめる。
(ユウト・・・ありがとね♪貴方に出会えて私はラッキーだったわ。
クールな雰囲気だし身体も・・・私のタイプね♪
はっ!ま、まさか・・・彼女とか・・・居たり・・・?
でも、このルックスなら・・・居るのでしょうね。はぁ~・・・)
悠斗は考え事をしながら視界にイリアを入れると
何やら体をクネクネしたりため息ついたりと・・・
(はは、色々と忙しい人だなー)
顔を少し綻ばせながらコーヒーを飲む。
(まぁーでも~、私と暫く一緒に行動してくれるみたいだから
私にもきっとチャンスは巡ってくるわね!
彼女が居ても奪い取るわ!弱肉強食なのよ!
200年、彼氏なんて出来なかったのはきっと!
そう!きっと、この日の為だったのね♪)
イリアは悠斗を凝視しながら妄想の海へ潜っていた。
悠斗は何だか懐かしい視線に気づくと「ぷぷっ」っと笑い
(・・・ミスティを思い出してしまった)
小刻みに震えている悠斗を心配してイリアが声をかける。
「どうしたの?大丈夫??」
「あはは、違うよ。ただの思い出し笑いだよ」
その言葉に安心したイリアも同じように笑っていた。
ふと、イリアが何か考え始めたので聞いてみる。
「イリアさん、どうしたの?他に何かあるなら聞くけど?」
心配してもらえると実感できたイリアは嬉しそうに話した。
「えっとね。いくつかあるんだけど・・・・」
「うん、いくつでもいいよ?」
「えっとね。まず、イリアさん・・・じゃなくて、呼び捨てにしてほしいわ」
「えっ?うん、そう言うなら・・・そうするよ
じゃ~・・・俺の事もユウトでいいからね」
思いがけない言葉に少し戸惑うが、笑顔で居てくれるなら・・・
そう思い、話に付き合う事にした。
「イリア・・・それで他には?」
呼び捨てにされ喜ぶイリアは話を続けた。
「えっとー」と、イリアは可愛さをアピールしようと奮闘中。
まぁー・・・悠斗にはその手を使っても意味はないのだが・・・。
それに、悠斗には女心という未知の領域などわかるはずもなかった。
「プライベートな事を聞いて悪いかもしれないけど・・・」
「ん?俺は全然平気だから大丈夫だよ?」
「言えない事があったら、言わなくてもいいからね?」
「あ、ああ、わかったよ」
急にテンションが上がり始めたイリアに再び驚く。
(女の変わり身の早さには、まじで驚愕だなー)
「ユウトってさ・・・彼女・・・居るの?」
イリアはドキドキしながら聞いてみた。
心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張していた。
「ああ~彼女かー・・・暫くの間居ないな~・・・」
「(ぼそっと)それに・・・面倒臭いし・・・ね」
イリアには聞こえないようつぶやいた。
「ん?最後の方は聞こえなかったけど・・・そっかー居ないんだね♪」
「ほ、ほらー。ずっと旅をしていたから出来るわけないよ」
悠斗は、ずっと旅をしているという設定に感謝した。
「一人でずっと旅なんて・・・寂しくなかったの?」
「ああ、俺は気ままな旅が好きだからさ、全然大丈夫だよーわっはっはっ」
何故か棒読みになってきた悠斗。
「ああ、それと・・・さっき戦った時って、素手だったけど
武器は使わないの?素手で戦うから驚いちゃった♪」
「武器は使うよ?剣や槍にロッドかな」
「色んな武器使うんだね♪それに魔法まで・・・すごいわね♪」
「んー。別にすごくはないよ?色んな武器が使えると
戦いに幅が生まれるからね。それに、そうする事によって
メリット・デメリットも計算できるからさ」
イリアは悠斗の話しに夢中になって聞いていた。
安心を与えてくれる悠斗に惹かれていった・・・。
「ユウトってさ、15歳にしては落ち着いているし
考え方も全然他の子達と違うのね?」
その言葉にドキッ!っとしてしまったが・・・
「あは、あははは・・・ず、ずっと旅をしていたから
そ、それで色々と学んだからだよー・・・」
「旅っていいものなのね~♪価値観を変えてくれるって言うし・・・」
「う、うんうん!機会があったら是非!っと、俺は勧めたいね」
(な、なんとか、乗り切った・・・か?)
悠斗はイリアの顔を見ると・・・とても楽しそうにしていた。
そして暫くの間、焚き火の前で悠斗が悪戦苦闘していくのだった・・・。
ラウル ・・・ また僕が出ていない・・・なせだ・・・
ミスティ ・・・ それは仕方がないように思えますが?
ラウル ・・・ 悠斗君と話せなくて、僕は悲しいよ
ミスティ ・・・ しかしあの小娘は許しがたいわね。
ラウル ・・・ 急にどうしたんだい?可愛い子じゃないか・・・
ミスティ ・・・ ラウル様、あのような小娘を放置しておくのですか?
ラウル ・・・ だって・・・彼女、ヒロインなんでしょ?
ミスティ ・・・ ええっ!!ヒロインはわ、私なのでは・・・?
ラウル ・・・ いやいや、違うに決まっているでしょう!
ミスティ ・・・ 原作者に抗議してきますわ!もしくは袖の下など・・・
ラウル ・・・ や、やめなさい! それに袖の下って・・・
ミスティ ・・・ 今から神々を集め、署名運動をして参りますわ!
ラウル ・・・ お、お願い!落ち着いて!まじ止めてっーー!!
ってなことで、緋色火花でした。




