表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
241/404

188話 火山竜と鬼眼

お疲れ様です。


近年稀に見る忙しさに、眩暈がする緋色で御座います^^;


フリーランスと言うのは・・・本当に大変だと思う今日この頃ですが、

仕事を断らない緋色にも問題がある訳で・・・orz


それと今日・・・。

ツイッターにてアップしますと言う報告を忘れていました><

仕事が立て込んでいるもので・・・。

大変失礼致しました。


それでは、188話をお楽しみ下さい^^

落下するカロンを救ったのは、

ヴォルカニック・ドラゴンである事を未だに理解出来ずに居た。

そしてただ唖然とし瞬きを繰り返すだけだった。


そんな光景を下から見ていた悠斗とミレイ・・・。


悠斗は改めて火山竜の姿をまじまじと見つめていた。


(うぉぉぉっ!あ、改めて見てみると・・。

 ドラゴンって・・・まじかっけぇぇぇぇっ!

 あ~・・・でも頭部と右手・・・だけなんだけどね。

 た、頼んだら全身見せてくれるかな~?

 まじで・・・高まるっ!!)


そう目を輝かせながら悠斗は熱心にその姿を焼き付けていった。


そして火山竜の今の姿はと言うと・・・。

露出した頭部はまるで岩石のようにゴツゴツとしており、

掌にカロンを乗せているその右腕もまた・・・

同じようにゴツゴツとしていた。


(火山竜って言うよりも・・・岩石竜って感じだな~?

 あぁ~でも、今は冷えて固まっているんだっけ?

 じゃないと、カロンは今頃・・・。

 何気にカロンって悪運強いよな~・・・はっはっはっ!)


悠斗がそう感想を思っていると、

ミレイが痺れを切らしたように声を掛けて来た。


「・・・ちょ、ちょっとユウト・・・

 い、一体どうなってるのよ?」


「えっと~・・・見たまんまだと思うけど?」


「み、見たまんまってっ!?

 わ、私達は敵対しているはずでしょっ!?」


「いやいや、テレスも言っていたじゃんか?

 火山竜が乗っ取られたとかなんとかってさ~?」



「乗っ取られていたのはわかってるわよっ!

 い、いくら正気に戻ったからって・・・」


「ん~・・・つまりアレだろ?

 狂暴だとか最凶だとか言われているこの火山竜って、

 すっげーいいヤツだったって事なんじゃ・・・ね?」


「・・・・・」


悠斗とミレイがそう会話している事に気付いた火山竜は、

掌の上に居るカロンをそっと地面に下した。


そして火山竜は異質な力を宿すまだ子供らしさを残す悠斗に興味を抱くと、

ゆっくりとその口を・・・念話を通して話しかけた。


(・・・少年よ。この度は色々と世話になったようだな?)


そう話を切り出した火山竜だったが、

カロンとミレイはただ首を捻っていた・・・。


(うむ・・・。確か我々竜種の言語は人族には理解出来ぬのだったな?)


頬杖を着きながら困った表情を見せた火山竜に、

悠斗は笑みを浮かべながら声をかけた・・・。


(いや・・・俺にはしっかり聞き取れているけど?)


(・・・な、何とっ!?ハッハッハッ!

 しかも少年よ?我々と同じ竜種の言語で話してくるとは・・・な)


(はっはっはっ!俺にもどうしてかはわかんないんだけどね~

 急に竜の言葉を離せるようになったみたいだ♪)


悠斗と火山竜が笑いながら話し合え姿に、

流石のカロンもミレイも口をパクパクとさせながらも念話を飛ばし、

ミレイに話かけていた。


(なっ、何でユウトが竜語を話しているんだよっ!?)


(し、知らないわよっ!

 あんたは元・神なのにどうして竜族と話が出来ないのよっ!?)


(そ、そんな事言われてもよ~?

 俺は人族になった時から、他の言語を話せなくなっちまったんだよっ!)


(ったく~・・・あんた・・・ほんっっっとに使えないわねっ!)


(・・・し、辛辣過ぎねーかっ!?)


そんな2人を放置するかのように、

気を遣った火山竜がたどたどしいながらも人族の言語で話かけてきた。


(オ、オレ・・・ヴォ、ヴォルカニッ・・・ク・・・ドラゴン。

 ヒトゾ・・・クタチニ・・・メ、メイワク・・・カケタ)


カロンとミレイにその言葉が通じたのか、

引きつった笑みを浮かべながらも自己紹介し、

そしてそれが終わった頃、火山竜は再び悠斗に対しその口を開いた。


(少年よ・・・)


(俺の名は悠斗・・・神野 悠斗・・・。

 異世界から来た人族なんだ・・・ユウトって呼んでもらえると嬉しい)


そう言いながら悠斗は右手を差し出すと、

その意図を察した火山竜がそっと右手の人差し指を出したのだった。


握手・・・?を交わした悠斗は言葉を続けた。


(早速だけどあの石碑・・・アレって何?)


(・・・アレか?・・・アレはな・・・)


そう答えていこうとした時だった。


突然悠斗達の目の前に一筋の光が差すと、

テレスがその姿を現すと火山竜の前で膝を着いた。


(お初にお目にかかります。

 私は神の命により、このテレス山脈を守護する神となった・・・。

 名を・・・テレスと申します)


(うむ、我はお主の存在には気付いておったが、

 フフフ・・・まさか女神になるとはな?)


(フフフ♪)


名乗りを終えたテレスは悠斗達に一礼した後、

再びその口を開いていった。


(竜種の言語がお2人には理解出来ぬようなので、

 この私が同時通訳したく思います)


火山竜の許可を得たテレスはとても優しい笑みを浮かべながら頭を下げ、

カロンとミレイに念話で通訳し始めていくと、

先程悠斗が話していた石碑の話になったのだった。


「か、火山竜さんよー?まじであの石碑ってなんなんだよ?

 俺の神力が全然通用しねーんだぜ?

 まじで自信喪失しちまうぜ」


カロンがそう話を切り出し、テレスが通訳した時だった・・・。


(・・・少し待て)


そう言って火山竜は一度天に向かって咆哮した。


「グォォォォォォォォンっ!」


するとどうだろう・・・。

赤く全身を輝かせた火山竜は、

みるみるうちにその姿を変えながら小さくなっていった。


そしてその赤い輝きが消え失せた頃、

悠斗達の前には、人族の姿になった火山竜が居たのだった。


(うむ・・・。かなり久々に人族の姿になったが・・・

 ユウト・・・だったな?

 どうだろうか?今の俺は人族のように見えるだろうか?)


少し照れ臭そうに悠斗の前でくるりと回って見せると、

悠斗は「ふむふむ」と言いながら火山竜の人型を見ていた。


「・・・いいね~♪」


そう言うと再び火山竜の姿を見ていった。


身長はおよそ190cmと高いのだが、

かなり痩せ細っているようだった。


この時悠斗の心の中では・・・。


(ん~・・・やっぱり火山地帯って事で、

 食料の調達とかが難しいのかな~?

 あぁ~でもっ!温泉があるからいいな~)


などと、そんな場違いな感想を抱いていたのだった。


人型となった火山竜のその肌は赤く、エルフのように尖った耳と、

オレンジがかった髪の色・・・。

服装は細やかな赤い色で彩色された文字らしきモノが縫い込まれていた。

そして一番目を引くのが・・・右目の下から鼻骨を通り左目の下まで在る・・・

緑色の鱗のタトゥだろう。


後にその鱗のタトゥーはリアルな鱗らしく、

悠斗は謝罪する事になるのだが・・・それはまた別の話。


少し場が和んだところでカロンが再び口を開き疑問を呈した。


「なぁ、火山竜さんよ~?

 まじであの石碑はなんだよ?」


火山竜は漆黒の石碑があった場所見つめながら、

あの石碑について語り始めた。


(うむ・・・。よかろう・・・。

 あの石碑は半年前・・・ある者によって設置されてしまったのだ)


訝しい表情を浮かべた火山竜に口を開いたのはミレイだった。


「あ、あの・・・か、火山竜様・・・」


人型になってもその圧倒的な力の前に、

竜種と言う凄みを肌で感じていたミレイだった。


(・・・様付けはせずともよいぞ?)


「あ、有難う御座います。

 では、早速お聞きしたいのですが・・・?」


(うむ)


「半年前とおっしゃられましたが、それは間違い御座いませんか?」


(・・・俺の記憶が正しければ半年前で間違いはない)


火山竜の言葉にミレイは顔を顰めると、

悠斗達に向き直り、ミレイは思い当たる節を口にし始めた。


「・・・皆さん実は半年前になりますが、

 丁度冒険者達の間で妙な噂が流れていました」


「・・・妙な噂って?」


「はい、このテレス山脈で妙な男達を見たと言う噂があったのです。

 冒険者ギルドも真実を確かめる為、

 ここ、テレス山脈に2組の冒険者達を派遣したのですが・・・」


神妙になったミレイの表情に、悠斗とカロンは顔を見合わせ、

またテレスと火山竜はその話に小さく頷き合っていたのだった。


その様子を気にしながらも今度は悠斗が口を開いた。


「で・・・?その冒険者達はどうなったの?」


「はい・・・。

 1組5人構成で計10名のBクラスの冒険者達だったのですが・・・

 1人を除いて・・・全滅しました」


「「っ!?」」


ミレイの言葉に沈黙する事しか出来なかった悠斗達を察し、

そのまま言葉を続けていった。


「生き残った者によりますと・・・。

 数名は突然湧き出て来た大蜘蛛にやられ、

 残った者達は、その男達に殲滅されたそうですが・・・」


今度はそう言葉を続けたミレイの表情が曇り、

何とも言えないもの悲しさに悠斗達は顔を顰めたのだった。


「その男達ってよ・・・一体どんな奴らだったんだ?」


「・・・はい。

 今から話すこの話は・・・Aランク以上の冒険者達にし告げられず、

 緘口令(かんこうれい)が下されました。

 で・・・、その内容ですが、当然その男達についてです。

 こ、これもまた・・・妙な話なのですが・・・、

 その生き残った者が言うには・・・

 その男達のリーダーらしき者には、角・・・が生えていたらしいのです」


「なっ!?」


「角ってまた・・・えらく目立つだろうによ?」


カロンが薄く笑いながらも、

視界に入っていた悠斗の表情が変わった事に気付いていた。


しかしカロンはそれを告げる事はせず、

テレスに口を開いたのだった。


「テレス・・・?

 それに、火山竜さんよ~?

 当然・・・何か知ってるよな~?」


カロンの問いにテレスと火山竜は再び頷き合うと、

テレスがその口を開き、その問いに答えていった。


(・・・そうですね。

 見たままで宜しければお話致します)


「ああ、頼むぜ」


軽く息を吸い込むとテレスは半年前に見た事を告げていった。


そのテレスの話はこうだった・・・。


当時思念体であったテレスは、

この山脈に時空の揺らぎらしきものを感じ、その場所へと向かって行った。

そしてそこで見たモノは・・・。


何もない空間が突然裂け始め、

その中から10名近い何者かが姿を現したとの事だった。


そしてそのリーダーらしきフードを被った何者かが指示を出すと、

数人が裂けた空間へと戻り、

残った者達は魔鉱石の採掘場へと向かったとの事だった。


するとテレスはその美しい表情とは異なり厳しい表情を見せると、

少し震えたような口調で口を開いた。


(採掘場の入り口にその連中のリーダー格らしき男が、

 その黒いフードを脱ぐと・・・

 その男の頭部には、1本の角が生えておりました)


テレスの話を聞いたカロンとミレイは眉間に皺を寄せ、

そして悠斗は・・・拳を握り締めながら眼光に鋭さが増していたのだった。


(ほうほう・・・ユウトよ。

 お主、何か心当たりがありそうだな?)


悠斗の纏う雰囲気を察した火山竜は他の者達に聞こえないように、

直接悠斗に話しかけた。


(あぁ・・・ちょっと思い当たる事があるけど・・・

 確信が持てない今、ここで話す訳にはいかないんだ・・・すまない)


(フフフ・・・そうか。それが良かろうな)


薄く笑みを浮かべた火山竜に対し、

悠斗もまた同じように笑みを返していた。



それから今後の事について話し合いが進むと、

悠斗達は火山竜達の案内で、一番質のいい魔鉱石の鉱脈へと案内された。


「カツンッ!カツンッ!」と、

一心不乱にミレイとカロンは魔鉱石を掘り出す中、

悠斗は作業もそこそこに何かに思いふけっていた。


(角か・・・。まさかとは思うけど・・・おっさんと何か関係が?)


悠斗が以前、鬼の力の使い方を教わった絶と言う男の事を思い出していた。

すると悠斗に視線を向けていた火山竜がゆっくりとその足を進め、

何かに苦悩する悠斗の傍までやってきたのだった。


(ユウト・・・何故掘らぬのだ?)


(・・・えっと・・・そ、そうだな)


引きつる笑みを浮かべた悠斗はカロンとミレイの所まで来ると、

ピッケルを手に持ち、魔鉱石の採掘を始めようとした時だった・・・。


「お、おい、ユウト・・・」


「・・・ん?」


「そう言えばお前・・・。あのカウントダウンの時、

 どうして鬼眼じゃなかったんだよ?」


悠斗はカロンの言葉の意味が理解出来ず、

ただ首を傾げているだけだった。


「鬼眼じゃなかったって・・・?何言ってんだよ?」


「何ってお前・・・自分で気づいてねーのかよ?」


「気付くも何もさ・・・」


悠斗とカロンがそう話す中、

その話のやり取りを離れて見ていた火山竜がその話に入って来た。


(テレス・・・この男に通訳を頼む)


(承知致しました)


一礼しそう述べたテレスは、火山竜に言われた通り通訳し始めた。


(ユウトよ・・・。今、その男が言ったように、

 お主の目は人族そのものの目をしておった)


「・・・ん~・・・。

 二之門まで開けて鬼眼になっていないなんて・・・」


(ふむ・・・今までにはなかったと?)


「・・・はい」


「なっ!だから言ったろ?俺はてっきり別の力でも使うのかと思ってよ?」


「・・・そ、そんな器用にいくつも使え訳じゃ・・・」


悠斗が困惑の色を浮かべながらそう話していると、

火山竜が悠斗を凝視した後、口を開いた。


(ユウトよ・・・。今、お主の能力を俺の竜眼で見てみたのだが・・・?)


「・・・りゅ、竜眼っ!?」


(うむ、今はその話は別として・・・。

 その鬼眼とやらを俺に見せてくれ)


興味深そうに火山竜がそう告げると、

悠斗は首を傾げながらも鬼道を発動し鬼眼になって見せた。


「・・・こんな感じなんだけど?」


(うむ、なるほど・・・それが鬼眼か・・・)


そう言ったきり火山竜は口を閉じたままだった。

そして暫く沈黙が訪れカロンが痺れを切らし声を荒げ始めた。


「お、おいっ!竜のおっさんよっ!?

 こいつに何かあるのなら、さっさと言ってくれよっ!」


(うむ・・・)とだけ答えた火山竜だったが、

沈黙し不安げな表情を見せる悠斗の目を真っ直ぐ見るとこう告げた。


(どうやらユウトよ?

 その鬼の気・・・とやらと、

 その鬼眼はお主と連動しておる訳ではないようだ)


「・・・はい?」


(その2つの力は・・・全く別物と考えた方がよさそうだな?)


悠斗は眉間にグっと皺を寄せると首を捻って見せ、

「ちょっと何言ってるかわかんない」とだけ答えた。


すると火山竜は再び悠斗を凝視すると再びその口を開いていった。


(うむ、鬼の気とやらの能力は、遺伝的なモノと繋がっておるのが、

 俺の竜鑑定でもはっきりと見て取れる・・・)


「・・・竜・・・鑑定?」


(そしてその鬼眼だが・・・それは2つの力が混ざっており、

 その眼の力を逆に妨げているようだ)


「・・・えっと、よ、よくわかんないんだけど?」


(今はまだ・・・その鬼眼は完全に覚醒している訳ではないが、

 いずれ・・・完全覚醒する可能性があるようだ)


「ん~・・・」


そう言って悠斗は腕を組み困惑顔を見せていると、

カロンも困惑しながらも質問を口にしたのだった。


「なぁ~竜のおっさん・・・。

 2つの力って・・・俺にはよくわからねーんだが?」


その質問に火山竜は軽く頷いて見せながら答えていった。


(簡単に言うとだな?その2つとは・・・聖と魔・・・。

 そう言った方が分かりやすいだろうな)


「・・・聖と魔ねぇ~」


そう言いながらカロンは悠斗へと向き直ると、

今の話に対しする悠斗の考えを待った。


「・・・聖と魔・・・?

 ん~・・・そう言われてもな~?」


「なっ、何だよっ!?反応薄いじゃねーかっ!?」


「いや~そんな事言われてもさ~?

 俺の居た世界では聖と魔って、そんな考え方なんて・・・」


悠斗がそう言いながら肩を竦めて見せたのだが、

「はっ!」と何かに気付き急ぎ口を開いていった。


「・・・聖と魔って、やっぱり俺にはピンと来ないんだけど・・・。

 陰と陽・・・って事なら・・・わかる」


「陰と陽ね~?それってあれだろ?

 お前の世界の言葉だよな?

 悪いが俺達の世界には無い言葉だな」


「ああ、陰と陽ってつまり・・・聖と魔って事なのかもしれない。

 もしそうなら・・・その2つを上手く分ける事ができれば・・・」


聖と魔を自分の世界に置き換えた悠斗がそう言うと、

火山竜が頷き助言をしていった。


(うむ、その2つを上手く分ける事が出来たのなら・・・。

 お主は今よりも更に・・・力を増すだろう。

 だが問題はその方法だ。

 それを見つけるまでは、藻掻いて見せる事も必要だろうな?

 くれぐれも鍛錬を怠らないようにな?)


「・・・はいっ!」


火山竜の言葉に悠斗は真摯に向き合う事を誓うと、

再び魔鉱石採取の為、楽しい採掘作業へと戻ったのだった。


そしてその採掘場で一夜を過ごし火山竜やテレス達と語り合い、

就寝したのだった。



別れの朝・・・。


採掘場を出た悠斗達は朝陽を眺めながら、テレスと火山竜に別れを告げた。


「テレス、火山竜さん・・・色々とお世話になりました」


(フフフ♪やはり我が神のおっしゃった事は真実となりましたね♪」


「ははは・・・あぁ~・・・一体誰かはわかんないけどさ~

 何とかなって良かったよ・・・」


(フフフ♪)


すると火山竜が一歩前へ踏み出すと、

悠斗に対し右手を出してきた。


(ユウトよ・・・本当にお主には色々と世話になった。

 またこの地を訪れる事があったのなら・・・必ず顔を出して欲しい)


「ああ、勿論その時は・・・必ず会いに来るよ♪」


固い握手をした悠斗と火山竜に、カロンとミレイも照れ臭そうにしていた。

すると「おっと、忘れていた・・・」そう言った火山竜は、

己の懐から小さな革袋を悠斗へと差し出した。


「・・・これは?」


(うむ、俺とテレスからの・・・餞別だ)


「・・・餞別?」


(うむ、この袋の中には貴重な素材が入っているのだが、

 これはアイテム収納になっていてな?

 取り出せば原寸大へと戻るから、押し潰されないようにな?)


「・・・お、押し潰されるようなモノが入っているのか・・・?

 ・・・まじか?やれやれ・・・」


苦い顔をして見せた悠斗に、火山竜とテレスが笑みをこぼすと、

「またな・・・」とそう言って、悠斗達は下山したのだった。


すると・・・。


「グォォォォォォォンっ!」と悠斗達の後方で火山竜が雄叫びを挙げると、

元の姿・・・人型ではない火山竜が全身を見せたのだった。


「うおぉぉぉぉぉっ!かっけぇぇぇぇっ!

 ぜ、全身・・・マグマのように赤く・・・い、いや・・・

 黄金のような・・・まじで・・・高まるっ!」


飛び跳ねながら悠斗は全身で喜びを表現すると、

火山竜から念話が送られて来た。


(・・・ユウトよ?

 改めて言うが世話になった。

 礼と言っては何だが・・・俺が街まで飛んで送ってやろうか?)


(・・・はい?)


何度か瞬きをした悠斗は、火山竜の言葉の意味を理解すると・・・。


(い、いえ・・・遠慮しておきます)


(・・・遠慮など不要なのだぞ?)


(いやいやいやっ!火山竜が飛んで街に現れた時にはっ!

 街中大パニックになるってばっ!

 だ、だからその・・・き、気持ちだけ・・・で・・・)


(あっはっはっはっ!)


「グオォォォォォォォンっ!」


そう再び雄叫びを挙げた火山竜に手を振った悠斗達は、

笑みを浮かべながら港町の帰路に着くのだった。



下山した後、幻獣が引く馬車内にて・・・。


「ところでよ~」


そう言って話を切り出したのはカロンだった。


「・・・ん?」


「お前さ~・・・いつの間に竜語なんて話せるようになったんだよ?」


「あぁ~・・・それか?」


悠斗は昨夜就寝した後、喉の渇きを覚え水を飲んでいた時だった・・・。


まだ「パチ、パチ」と洞窟の前で火が燃える焚火の前に、

火山竜とテレスが何かを話しているのに目が止まったのだった。


それが気になった悠斗は2人に話しかけると、

(どうしてユウトが竜語を話せるのだ?)と言う話になり、

色々と話し合った結果・・・。


「あぁ~そう言えば・・・空を飛ぶのに神獣の力を借りたんだった」


そう悠斗が話すと火山竜は笑みをこぼしながらこう答えた。


(神獣殿の御力なら・・・言語力の付与などもされたのでしょうな?)


それの話をカロンへと聞かせると、

そのカロンが悠斗にジト目を向けながらこう言った。


「・・・まじでチート野郎だなっ!」


「・・・お、俺のせいじゃないじゃんかっ!」


「あとよ・・・もう1つ聞きたい事があるんだが?」


「・・・今度は何だよ?」


「お前・・・神精力がなかったはずだよな?」


「・・・あ、ああ」


「じゃ~・・・どうして飛べたんだ?

 神精力がないってーのにっ!どうやって飛んだんだよっ!」


カロンはそう言って悠斗に喰ってかかると、

「ああ~・・・それか~?」と真顔でそれを口にした。


「・・・試しに鬼の気を代わりに使ってみたんだけど?」


「・・・はぁっ!?ま、まじでかっ!?」


「う、うん・・・でもぶっつけ本番だったけど、

 上手くいってラッキーだった♪」


顔をヒクヒクとさせたカロンが最後にポツリとこう言った・・・。


「・・・死ね」


そう言葉を吐いたカロンは馬車の中でコロンと横になると、

悠斗に背を向け眠り落ちて行ったのだった。


そして最後に・・・。


「し、死ねってっ!?ひどくねっ!?

 どっ、どうしてそんな事言うんだよぉぉぉぉっ!

 カ、カローンっ!?」


悠斗の絶叫が樹海に響き渡る中、

ただミレイだけが(フフフ♪)っと、

笑みを浮かべ馬車を操っていたのだった。





と、言う事で・・・。


今回の話は長くなってしまいました。

楽しんで読んで頂けたのなら幸ですが・・・。


来週のアップなのですが・・・。

正直まだわかりませんので、ツイッターにて報告させて頂きます^^



ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ