187話 カウントダウン
お疲れ様です。
最近社畜たる自分に疑問を抱く緋色で御座います><
ってな事で、最近肌寒くなってきましたね~?
皆さんも風邪をひかないように気を付けて下さいね?
それでは、187話をお楽しみ下さい。
魔鉱石を死守する為、悠斗は火山竜の眼前へと飛び出し、
強烈な爆発音と共に悠斗はその炎の中に飲み込まれたのだった。
「・・・ユ、ユウト、う、嘘・・・だよな?」
「そ、そんな・・・ユ、ユウト様が・・・」
両膝を地面に落とし項垂れしまったカロンとミレイ・・・。
ミレイは絶望にワナワナと震えだし、
カロンは悔しさに怒りが込み上げていた。
(おっ、俺がもっと上手く戦えていたならっ!)
カロンが悔しさを滲ませ、怒りによって立ち上がろうとした時、
「・・・どう言う事だ?」と、カロンの眉間に皺が寄った。
その言葉に釣られるようにミレイも見上げると、
「・・・どうしてまだ攻撃が?」と言葉を漏らしたのだった。
その光景にカロンとミレイが立ち上がり、
未だ放たれる火山竜の攻撃をただ茫然と見ていると・・・。
「ふっ、2人ともっ!いつまでそんな所にいるんだよっ!?
危ないからちょっと離れていてくれないかっ!」
「「・・・っ!?」」
聞き慣れたその声にカロンとミレイは唖然としていると、
更に大声が響いてきたのだった。
「お前らっ!邪魔だから早くどけよっ!」
その声に2人は慌ただしくその場を後にすると、
カロンが念話で悠斗に話し始めた。
(お、おいっ!い、生きて・・・生きていたのかよっ!?)
(当たり前だろっ!こんな所で死ねるはずないじゃんかっ!)
「ホっ」と安堵の息を漏らしたカロンに続き、
ミレイもまた悠斗へと念話を送っていた。
(ユ、ユウト様っ!?ご、ご無事なのですねっ!?)
(も、勿論・・・生きてるよっ!)
(で、でも・・・あの状況でどうやってっ!?)
安堵の笑みを浮かべたミレイの質問に、
苦しそうな声を出しながらも、その質問に答えていった・・・。
(残った魔力で重力球を使って今・・・ぜ、絶賛防御中っ!)
(あ、あの状況でよく・・・)
(だ、だけど正直キツイからっ!早く避難してくれっ!)
(わ、わかりました)
ミレイは悠斗の機転に驚いていると、
更に悠斗からの言葉は続いた・・・と、言うよりも、
いきなり愚痴り始めたのだった。
(って言うか・・・こ、このブレス・・・
め・・・めっっっっちゃくちゃ重いんだけどっ!?
ほ、炎の質量ってた、確か計測するのが困難なほどなのに・・・
どっ、どうしてこんなに重いんだよぉぉぉっ!?)
悠斗の愚痴がカロンやミレイに伝わる頃、炎を吐き続ける火山竜は、
いつまで経っても気配が消える事のない敵に対し、
目を細めたかと思うと「カッ!」と見開かれた。
一瞬赤い炎を放つのをやめた火山竜は、
更に強力な攻撃を繰り出す準備に入った。
「グォォォォォンっ!」
「こ、この匂いってっ!?い、硫黄の・・・!?」
悠斗がその匂いによって顔を歪めた瞬間、
雄叫びを挙げた火山竜は再び猛烈なブレスを吐き出したのだが、
その炎の色は・・・青かった・・・。
(こ、これって炎色反応でっ!?)
「あ、青い炎のブレスだとっ!?」
「ユウト様っ!?」
「ゴオォォォォォっ!」と青い炎に飲み込まれながらも、
悠斗は必死に防御していた。
(俺の後ろには魔鉱石の鉱脈がっ!
こ、ここまで来たんだ・・・か、必ず手に入れ・・・)
そう改めて決意を固めながらも、悠斗は必死に防御しているのだが、
その青いブレスの攻撃に重力球達に亀裂が生じ始めていった。
「ピシッ!ピシッ!」
(ヤ、ヤバい・・・な・・・。
で、でもこれ以上は・・・も、もう・・・)
火山竜のその青いブレス攻撃に悠斗はただ防御するしかなかった。
そして重力球達が防ぐその青いブレスは、
激しい音を立てながら洞窟内の壁面を破壊して行ったのだった。
(も、もたな・・・い・・・)
そう悠斗が限界を迎えた重力球を見た時だった・・・。
(ユウト様っ!鬼の気の結界をっ!)
(・・・えっ!?)
突然ミレイの声が悠斗に響くと、
その声の主であるミレイに悠斗は視線を移した。
(イルミネイト本部で見せたっ!あの結界をっ!)
(あっ・・・そ、そっかっ!)
「重力球・・・有難う・・・」
「バリンっ!」と音を立てて砕け散る魔力球達に感謝を伝えると、
「はぁぁぁぁぁぁっ!」と声を発した。
その声と共に悠斗の目の前に出現した赤い半球状の結界は、
攻撃は勿論、その猛烈な熱までも防いでいたのだった。
(有難う・・・ミレイさん♪)
(・・・えっ!?)
優しい笑みを浮かべながら礼を言われたミレイは、
恥じらうように悠斗から顔を背けながら頬を真っ赤にしていたのだった。
「・・・けっ!」
そんな2人を見ていたカロンはそう言いながら、
面白くなさそうな表情を浮かべながらそっぽ向いたのだが・・・。
(・・・ん?アレは~・・・何だ?)
カロンはそっぽ向いた視線の先に違和感を覚えた。
(ユウトが防いだブレスの攻撃で・・・?)
カロンは目を細めながらソレを見つめていると、
何かを思い出し火山竜の攻撃を防いでいる悠斗へと声を挙げた。
「ユウトーっ!テレスが言っていたのはアレじゃねーのかっ!?」
カロンの声によって悠斗は、その指差す方向へと視線を移すと、
そこには漆黒の石碑らしきモノがあったのだった。
すると悠斗達の頭にテレスから声がかけられた。
(アレですっ!あの石碑が・・・ヴォルカニック・ドラゴンをっ!)
そう声を挙げたテレスに悠斗はカロンに指示を出した。
「カ、カロンっ!ここは俺が喰い止めるっ!
だ、だから・・・あ、あの石碑を破壊してくれっ!」
「おうよっ!任せろっ!」
悠斗の指示に高らかに声を挙げたカロンは地面を蹴ると、
物凄い勢いで駆け出して行った。
そしてカロンはその石碑を眼前に捉えると、
「うぉぉぉぉぉぉっ!」と声を挙げつつ神力を解放した。
「行くぜぇぇぇっ!マグナ・ブレイカァァァァっ!」
赤く染まったカロンの右拳が技の名と共に放たれると、
その赤い閃光を伴った攻撃が石碑に炸裂した。
「ドォーンっ!」
地鳴りかと思わせるほどのその振動と攻撃によって、
土煙を巻き上げそれが消え去れるのを待っていると・・・。
「なっ!?そ、そんな・・・バ、バカ・・・なっ!?」
そう声を漏らしたカロンは、目の前の光景に驚愕していた。
「ど、どうして俺の攻撃で・・・む、無傷なんだよ?
あ、ありえねー・・・ありえねーっ!」
ふと視線を悠斗へと向けると、
必死の形相で火山竜の攻撃を防ぐ姿があった。
カロンはその姿に再び拳を力を込めると漆黒の石碑に対し向き直った。
そして覚悟でも決めるかのように言葉を漏らした。
「まっ、まだだ・・・まだ手は残っている・・・」
自分に言い聞かせるようにカロンが呟くと、
呆れと怒声を含んだ念話が頭の中に響いて来た。
「あんたっ!また同じ事を繰り返すんじゃないでしょうねっ!?」
「っ!?ど、どうしてそれをっ!?」
己の攻撃に傷1つ付けられなかった現実に、
カロンは無意識に己の身体の中に在る、
神力球を全解放しようとしていた。
その無意識の行動を逃さなかったミレイが、
それを止めるべく念話で止めに入って来たのだった。
「そこの脳筋駄目神っ!少しは成長している所を見せなさいよっ!」
ミレイがそう念話で怒鳴り散らしながら、
その後方で精霊力を集中してでかい精霊魔法を発射しようとしていた。
「の、脳筋・・・だ、駄目神・・・だとっ!?
そっ、それになっ、何だよっ!?そ、そのバカでかい精霊魔法はっ!?」
「フンっ!あんたのだらしなさを見ていた精霊達がっ!
今の私に撃てるっ!最大の攻撃魔法を教えてくれたのよっ!」
「・・・さ、最大って、お、お前・・・。
ここは洞窟だって事、忘れてんじゃねーだろーなーっ!?」
「フンっ!気にしている場合じゃないでしょっ!」
「そこは気にしろよっ!?」
今のミレイはある意味・・・「エレメンタル・ハッピー」状態にある。
今まで触れる事すら出来なかったその精霊の力に、
状況判断力が欠如し、ただ・・・。
精霊達から次々に流れ込んで来る、
その誘惑の精霊魔法に魅了されていたのだった。
そんなミレイの状況を察したカロンが苦笑いをしていると、
精霊力を圧縮し終えたミレイから言葉が放たれた。
「死にたくなかったらっ!どきなさいよっ!」
「まっ!?まじかぁぁぁぁっ!?」
「ぶっ飛びなさいっ!
エレメンタル・フレイムエアバーストォォォォっ!」
ミレイは渾身の一撃・・・「エレメンタル・フレイムエアバースト」を放った。
「バっ!バカ野郎っ!」
その一撃は火と風の精霊の力を最大限に借りた炎の渦で出来た大砲。
まるでカロンの技を彷彿とさせる攻撃魔法のその巨弾が、
漆黒の石碑へと真っ直ぐ向かって行った。
そして・・・。
「ドカァァァンっ!」と爆発を起こし、再び土煙を巻き上げたのだった。
「ゴクリ」と喉を鳴らしながらカロンとミレイが見守る中、
悲壮な声が2人から聞こえて来たのだった。
「バッ、バカ・・・なっ!?」
「あ、あり・・・え・・・ない」
ミレイが地に膝を着き困惑の色を浮かべ項垂れている姿を見たカロンは、
怒りの形相にその表情を変えながらも、
己の不甲斐なさに苛立ちが込み上げていた。
(お、俺の力じゃ・・・む、無理なのかっ!?
な、何故だっ!?何故なんだよっ!?
俺は元・・・とは言え、神だった男だっ!
そ、それなのに・・・な、なんなんだよっ!?
この不甲斐なさはよぉぉぉっ!
ち、力を使う度に・・・お、俺は弱く・・・なっていきやがる・・・。
こ、こんな事って・・・こんな事ってよぉ・・・)
見つめる拳を強く握り締めつつも、
身体からは力が抜け、「ドシャッ」と地に膝を落した。
そんな時だった・・・。
(貴方達はここで・・・諦めてしまうのですか?)
静かな怒りを含ませたその声の主は・・・テレスだった。
「わ、私達にはも、もう・・・打つ手が・・・」
(2人とも・・・御覧なさい。
未だユウト様はあのように1人で耐えられているのですよ?
そのようなお姿を見ても・・・まだ、弱音を吐くのですか?)
「・・・あ、諦めたわ、訳じゃねー・・・が・・・」
悔しさを滲ませながら未だに戦う悠斗の姿を見ていた時、
ふと・・・悠斗から託された、
己の耳に在る・・・ピアスの事を思い出した。
(あっ、ああ~そうだった・・・。
テレスからもらったこの・・・赤い・・・ピアス・・・。
んっ!?・・・ピア・・・ス?)
「あっ!」
(も、もしかすると・・・神力系や精霊系では破壊できなくても、
鬼の気なら・・・なんとかなるんじゃ・・・?)
そう言葉が口からこぼれたカロンは悠斗へと顔を上げると、
精一杯の声で叫んでいた。
「ユウトォォォっ!俺と代われぇぇぇぇぇっ!」
「・・・っ!?」
背後からカロンの声が届いた悠斗は視線を向けると、
真剣な面持ちを見せながら念話を送った。
(・・・代わるって・・・本気っ!?)
(ああ・・・まじだぜ)
(つまり・・・何か手が在ると思っていいんだよね?)
(・・・ああ、手は・・・在る)
(・・・わかった)
悠斗は聖域の練習の時に自分の赤い結界が、
ある一定の時間、そこに現存している事を知っていた。
(俺が鬼の気を送り続ける事でこの結界はもっているけど・・・。
カロンの案に乗ったとしてだ、どれくらい持つんだろう?)
すると「ポンっ!」と言う音と共に、
久々であろうアナウンスの声が悠斗の頭に響いて来た。
(・・・およそ15秒ほどになります)
(・・・お、驚いた・・・けど・・・い、今は・・・)
15秒と言う時間を聞いた悠斗は後ろを振り返りながら念話を送った。
(カロンっ!15秒だっ!)
(・・・は?)
(15秒間・・・この結界は維持できるっ!)
(フッフッフッ・・・それだけであれば問題ねぇーんだが・・・
1つ問題があってよ~?
それは・・・俺が飛べないって事だ・・・)
(・・・あっ)
カロンの言葉に表情が曇った悠斗に、
ミレイが親指を立てながら声があがった。
(その事なら問題ないわっ!)
(・・・ミレイさん・・・何か策が?)
(ええ・・・勿論あるわよ♪)
意味有り気にそう答えたミレイの表情は笑みを浮かべていたのだった。
そんなミレイに悠斗は薄く笑みを浮かべると、
カロンとミレイに対しこう告げた。
(・・・カロンっ!今からお前の案に乗るっ!
ミレイさん・・・こいつのフォローを頼みました)
(まっかせなさいっ!♪)
(・・・お、おう)
少し不安げな表情を見せるカロンだったが、
他の手が思い浮かばない以上・・・やるしかなかった。
(あ、あの女が何をするかわからねーが・・・。
い、嫌な予感しか・・・し、しねーぜ)
悠斗は作戦を立てると瞬時のそのイメージを、
カロンとミレイに伝えたのだった。
(・・・けっ!やってやるぜっ!
ユウト・・・いつでもいいぜっ!)
念話でそう告げたカロンに悠斗はカウントダウンを開始した。
「3・・・2・・・1・・・スタートっ!」
悠斗の掛け声と同時に、アナウンスによるカウントダウンが始まった。
「15」
「とおりゃああああっ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
スタートの声を挙げた瞬間、
カロンは悠斗に向かって駆け出しながら飛び上がった。
「14」
悠斗は空中で赤い結界を固定すると「ギュン」と飛び出し、
飛び上がりながら手を伸ばすカロンの腕を掴むと、
「いけぇぇぇっ!」と叫びながらカロンを赤い結界のある場所まで投げた。
「13」
そして投げた瞬間、待機して精霊力を凝縮するミレイに声を挙げていった。
「ミレイっ!後は・・・頼んだっ!」
「・・・まっかせなさーいっ♪」
「12」
悠斗は声を挙げながら鬼の気を増幅し始めながら、
漆黒の石碑へと向かって行った。
カロンは半球状の赤い結界の前へと辿り着くのだが、
空中に留まる術はなく・・・当然と言えば当然・・・落下が始まった。
「11」
「ヤッ、ヤベェーっ!?」
「ふわっ」とした浮遊感がカロンを襲った頃、
精霊力を凝縮したミレイがカロンに向かって声を挙げた。
「10」
「踏ん張りなさいっ!」
「ふ、踏ん張れって・・・
む、無茶い、言うんじゃ・・・ね、ねぇーよっ!
・・・む、無理ぃぃぃぃぃっ!
うぉぉぉぉぉぉっ!おっ、落ちるぅぅぅぅぅっ!」
「9」
絶望の声を挙げながら落下して行くカロンだったが、
ミレイの声が耳に届いて来た。
「エレメンタル・ストームっ!」
「8」
「うをっ!?」
その声が聞こえたのと同時に、カロンの身体が再び浮遊感に包まれると、
赤い結界の元へと瞬時に戻っていたのだった。
「7」
この時カロンはテレスに念話で叫んでいた。
(テレスっ!このピアスは本当に攻撃防いでくれるんだよなっ!?)
「6」
(はい、1つのピアスに付き3度まで・・・。
その青い炎だろうが、石コロ1つだろうが、3度までです)
「5」
(・・・わかったっ!)
「それとユウトっ!その石碑は神力系では無理だっ!」
「・・・らじゃ♪」
「4」
(と、とりあえずそれを信じるしかねーなっ!
使い切るまでに何とかユウトが・・・)
「3」
そして悠斗が漆黒の石碑に到着したと同時に、
指先に集めた鬼の気弾を放った。
「鬼弾っ!」
「バシュッ!」と音を立てて放たれた赤い鬼の気弾が、
漆黒の石碑に当たると「パンっ!」音を響かせながら弾けた。
(何かの障壁が・・・?そんな事だと思ったよ♪)
「2」
「くっそぉぉっ!ユウトでもダメなのかぁぁぁっ!」
そう叫ぶカロンを他所に、悠斗は薄く笑みを浮かべて狙いすますと・・・。
「連射っ!」
「バシュッ!バシュッ!」と鬼弾を連射した。
「1」
そして再び鬼弾が赤い帯を伴いながら漆黒の石碑に命中すると、
初弾が弾けたのと同時に一瞬・・・空間が歪んだ。
「いっけぇぇぇっ!」
「0」
そしてアナウンスのカウントダウンがゼロになったのと同時に、
「バキンっ!」と音を立てた漆黒の石碑に風穴が開いたのだった。
そしてカロンの方では、カウントゼロになったと同時に、
ヴォルカニック・ドラゴンの青い炎のブレスが容赦なく襲い掛かっていた。
「ぐぉぉぉぉぉぉっ!」
「カっ、カローンっ!?」
「間に合えぇぇぇっ!」
悠斗の叫んだ声とミレイの絶叫にも似た叫び声が洞窟内に響き渡り、
その火山竜の青い炎のブレスの中に飲み込まれてしまった。
「ペキッ!・・・ペキ、ペキ、ペキっ!」
悠斗の放った鬼弾の穴から、みるみるうちに亀裂が生じ、
「ガラガラ」と音を立てて漆黒の石碑は崩れ去った。
悠斗はその光景を見る事もなく、カロンの前後に赤い結界を出現させると、
魔鉱石の鉱脈とカロンを守って見せたのだった。
漆黒の石碑が崩壊した事によって、火山竜の動きが止まり、
青い炎のブレスが止んだ時だった・・・。
火山竜の動きと重なって、ヘル・スパイダーの動きも停止した時、
悠斗がすぐさま声を挙げた。
「ミレイっ!ヘル・スパイダーを撃てっ!」
「っ!?」
ミレイはカロンを空中に留めるべく、未だに精霊力を流していたのだが、
悠斗の声に我に返ったミレイは疑似生命体である精霊達に声を挙げた。
「お願いっ!貫通力のある魔法をっ!」
ミレイの心からの願いに疑似生体である精霊達は答えた。
(・・・この魔法ならいけるはずだよ♪)
(これしかないよね♪)
(・・・しっかり決めてくれよ?)
その声がミレイの脳裏に届いた瞬間、
ミレイは杖をかざしながら声を挙げた。
「ロック・バンカァァァァっ!」
ミレイの目の前に巨大だが槍のように鋭く尖った岩が出現すると、
魔法の名を叫び終わるのと同時に「ドンっ!」と言う、
衝撃波を伴いながら発射され、
それと同時にミレイの使用していた杖が粉々に砕け散った。
そしてその槍は「ヒュンっ!」と言う風切り音を響かせながら、
ヘル・スパイダーを貫きつつ、
その蜘蛛の身体ごと、洞窟の壁面に突き刺さり、
ヘル・スパイダーは絶命していた。
「・・・や、やった・・・わ」
ミレイは精魂尽きたかのように、その場にへたり込むと、
聞き慣れた叫び声が響いて来た。
「ロック・バンカー」の発射時には、
「エレメンタル・ストリーム」への精霊力は流されておらず、
当然ながら力を得ない魔法は・・・消えてなくなる。
「ミ、ミレイーっ!?てっ、てめぇぇぇぇーっ!?
うわぁぁぁぁぁぁっ!ま、また落ちるぅぅぅぅぅっ!」
「・・・あっ!?」
そう声を挙げたものの、
ミレイにはもう立ち上がるだけの体力など残されていなかったのだが、
落下を見守る事しか出来なかった悠斗とミレイは、
焦りの色を浮かべるしかなかった。
「おっ、お助けをーっ!うぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」
大ダメージを覚悟し目を固く閉じたカロンだったが、
「ドスン」と何かの上に落ちると、恐る恐るその目を開けた。
「ハハハ・・・まっ、まじか・・・?」
そう声を漏らしながら何度も瞬きをするカロンは、
ヴォルカニック・ドラゴンの掌の中に居たのだった・・・。
「・・・いつ・・・手を出したんだろ?
確か地面からは首と顔しか出てなかったよね?」
「・・・グルル(汗)」
悠斗のその言葉にヴォルカニック・ドラゴンは何故か、
渋い顔をしているようだった。
ってなことで・・・今回の話はいかがだったでしょうか?
楽しんで読んでもらえたなら嬉しく思いますが、
最近ですね~・・・。
仕事の方がほんっっっっっとうに忙しくてですね~?
満足に小説が書けなくなっています。
自分で満足できない話をアップしたくはないので・・・。
その時は無理せず一週見送る事にします。
メンタルは日々ゴリゴリ削られますからね~><
せめて小説の中ではね♪
ってなことで、緋色火花でした。




