表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第一章 岩場の聖域編
24/404

閑話  日本 4 醜い争いと降臨

もうすぐお盆休みの帰省ですね。

今年は一体どうなるのでしょう?

色々と心配ですが、何事もなければ幸いです。


ブックマーク及び感想など頂けたら嬉しいです。


それでは、閑話 4をお楽しみ下さい。

暫くの間、英二と神野ファミリーは「日本の神」を、待つことにした。

しかし・・・1時間・・・2時間と、時は過ぎていく。


英二は来る気配もない神に祈りつつ

神の到着を待つ神野ファミリーの面々の様子を伺っていた。


現当主の半蔵は、時折お茶を口に含むが

腕を組み目を閉じ、威厳を漂わせつつ沈黙を守っていた。


(やっぱ当主とだけあって、こんな時も半端ねぇー威厳だなー)


長女涼華は椅子に座って腕を組み、静かに目を閉じている・・・

かと思えば・・・実際は、眉間に皺を寄せ足を何度も組み換え

「カタカタ」と、揺すっていた。


(涼華さん、まじこえぇぇよ。殺気がだだ漏れなんですけど

 ちょっと泣きそうなので勘弁してもらえませんかね・・・)

英二は漏れ出る殺気に泣き出しそうになっていた。


(まじでこの人・・・苦手なんだよな~。

 俺の本能がこの人をものすごーーく拒絶する!)



そして、次女の沙耶は、酒を飲み始めたかと思うと、すでに寝ていた。


(あー・・・この人が寝てくれているのは非常に有り難い!

これで無駄な血が流れなくて済む)


腕力最強を誇る沙耶が寝てくれているのは

恐らく誰にとっても一番有り難い事と思える。

これは、英二は当然として、神野ファミリーも同意見であった。


(出来ればもう、目を覚まさずこのまま永眠してください。

 お願いします。世の中何事も拳で解決できないからね?

この人と組むと、味方の被害も甚大だから・・・)


三女であるが・・・

「神が着いたら呼びに来なさい」そう言って、自室に戻った。


(あー・・・この人ってマイペースだよな~。

 一応巫女なんだろ?そんなことで大丈夫なのかねぇー。)


英二が三女の事について考えていると

突然ドアが勢いよく開き、三女が中に入ってくると

躊躇なく英二の顔面を掴んできた・・・。


「痛っ!痛い痛い、いたたたた、何するんだよ・・・

 まじ痛いからやめてくれーー!!」

英二の言葉に顔面から手を離すと・・・

「なんだか不埒な事を考えている輩が居た気がしたもので・・・

 貴方・・・では、ありませんでしたか?」


妙な迫力で英二を圧倒する三女の貴子。

その睨みに視線をそらしつつ・・・


「ど、どうして俺なんだよ!戒斗かもしれないだろ??」

英二がそう言うと、貴子は兄である戒斗に詰め寄り・・・

「お前か?」その言葉にはまるで、呪術がかけられているかのようだった。


戒斗は小さく首を振りながら

「あのさ、僕な訳ないよね?それに僕は君の兄なんだけど?

その尊敬に値する兄に対してその言葉遣いは何?」


この2人は水と油である。

したがって、当然、分かり合えるはずもないのである。

英二は戒斗に話しを振る事によって、

己に降りかかるであろう厄災を回避したのである。


「尊敬に値する・・・?誰が?

私の尊敬する人は、お父様と悠斗お兄様だ・け!・・・ですけど?」

引きつった笑みを浮かべながら睨みつける三女。


「いいかげんにしなさい」静かに・・・怒りを込めながら涼華が止める。

戒斗は姉の言葉に「ふんっ」と、横を向いてしまうが

貴子は涼華をも睨みつける・・・


「涼華姉様、邪魔・・・しないでくれます?」

「誰にモノを言ってるのかしら?」

「貴女ですよ、貴女?いつも高い所から人を見下している涼華という

 狐女の事なんですけど、心当たりありますよね?」


その言葉に涼華の眉が「ピクリ」と動いた。

涼華は軽く息を吐くと・・・


「今は英二の言う、日本の神が降臨されるのを待っているのよ?

貴女の言動は、神を冒涜するものです」

「私が神に対して、いつその様な事を言いました?

 私は巫女ですよ?冒涜するような事などあるはずがありません!」


神野ファミリーの長女と三女は、お互いに譲らない・・・。

当主である半蔵もまた・・・2人を止める気配もない。

英二もまた、気配を殺しつつ2人の様子を見守る。

(・・・つーか、まじ二人共こえぇぇぇよ。

 姉妹喧嘩は他の場所でやってくれよ・・・頼むぜ、もう!)


英二がそう思ったとたん、三女貴子の視線が英二に向けられたが

またすぐに、その視線を涼華に戻した。

(や、やべー・・・どうして考えている事がわかんだよ)


視線を戻した姉妹は更にヒートアップする。

「だいたい涼華姉様は、悠斗お兄様を便利に使いすぎなのです!

戒斗兄様を使われたら宜しいでしょうに・・・

どうしていつも、悠斗お兄様なのでしょうか?」


「そうね。どうしてかって言われると・・・

 悠斗を使った方が味方の損害が少なくて済むのよ。戒斗は使えないわ」


涼華の言い放った一言に戒斗が噛み付く。

「ちょっ・ちょっと!な、何だよその理由は!

 俺は兄貴よりも強いんだぞ?もっと扱い方ってモノがあるだろうに!」

激しく抗議する戒斗に冷たい視線で睨みつつ涼華は話しを続ける。


「言いたい事はそれだけかしら?

こいつはね、剣の天才だとか無敗だとか言っているけど

 悠斗と絶対にやらないのよね?負けると分かっているからなのよね?

そんな根性なしの弟なんて使える訳ないでしょ?」


戒斗は図星をつかれて言葉も出ず俯いてしまった。


「涼華姉様、本当の事言っては可哀想ですわ♪

 プライドを守る事が、戒斗兄様の得意とするところですし♪

 悠斗お兄様とやって負けたりでもしたら、唯一無二の天才剣士の名が

 音を立てて崩壊してしまいますわ♪

 他所様は戒斗兄様を、プライド王子なんて呼んでいたりしますもの♪」


流石の英二も、戒斗が可哀想になってしまい口を挟む・・・

「あ、あの?もうその辺でいいのでは?

 こんな争う姿を神が見られたら、一体どう思うでしょうか?」


英二はこれ以上、兄弟達の醜い争いを見ていられなかった。


悠斗が居たら・・・と、英二も少し思ったが

(あいつは・・・あ~・・・放置が一番って言ってたっけなー)

居ても同じだった相棒を思い出しながら神の到着を願っていた。


英二に水を刺された三女貴子は、「ぶつぶつ」言いながら椅子に座った。

涼華もまた無言で座ってお茶を飲んでいた。


それから更に1時間・・・

トータル時間が6時間を経過し、皆に限界が訪れた時

当主半蔵の後ろで一本の光の筋が差していた。


あまりにも巨大な存在感に一同は床に伏せていた。


(こ、これが神のお力か・・・)

半蔵は圧倒的な力の前に、一筋の涙すら流していた。

(神とは一体何なの?この力は・・・)

物事をロジックでしか思考できない涼華。

(おおお!こ、これが神の力!戦ってみたいわね・・・)

そう密かな願望を抱く沙耶。

(わ、私が今まで感じた事のない力を・・・。素敵ですわ♪)

巫女たる者、神に対しては絶対服従精神である。

(か、神・・・だと?ふざけるな・・・こんな力が存在するとは)

戒斗は認めつつもプライドがそれを許さないでいた。


英二もまた、伏して降臨するのを待っていたが・・・

(お、おせぇーよ!どんだけ茨の蒸し風呂に入っていろって言うんだよ!)

英二は針の蒸し風呂等ぬるい・・・そう思うほど苦痛だったのだ。


そして・・・

光の筋が濃くなり、それが消えると・・・

一人の女性・・・?

いや・・・、一人の幼女が立っていた・・・


英二は思っても見なかった光景に唖然としていた。


神と思われる幼女が英二にウインクして見せると

「皆の者、面を上げて良いぞ」

その言葉に面を上げる神野ファミリーもまた・・・言葉を失っていた。


半蔵も神が幼女だったという事実に愕然としながらも

「し、失礼致しました。私は神野家六十二代当主、半蔵と申します。

 ご尊顔を拝し、誠に感謝致しまする」


その言葉に困り顔をした幼女は・・・

「あ~、その、なんじゃー。そんな言葉遣い等不要じゃ。

 妾はお主らの本来の言葉で見聞きをしたいのじゃ」


「英二とやら、遅れた事・・・誠に申し訳なく思っておるのじゃ

 まっこと、すまぬな?」

またもや思いがけない言葉をもらった英二は緊張のあまり声が上ずる。

「い、い、いや~・・・コホン、わざわざ来て頂き感謝の極みです」


英二の言葉に首を少し傾げながら・・・

「なんじゃーお主?ラウル殿の時とは言葉遣いが違うようじゃが?」

幼女な神は少しがっかしていたようだった。


「では・・・宜しいのですね?」

「うむ」

英二は深く息を吸い込むと、いつものように話し始めた。


「つーか神様よ~・・・まじおせぇーよ!!どんだけ待たせるんだよ!」

本音を話した瞬間、神野ファミリーは英二の顔を睨んでいた。

幼女な神が「よいのじゃ」と、言うと、その視線はなくなった。


「本当にすまぬのじゃ、こちらとしても何かと都合と言うモノがあっての?

あの若造の言う事など無視しようとは思うたのじゃが

 妾の悠斗の友の事とはあっては急ぎ用を済ませてきたのじゃが

 こんな時間になってしもうた・・・申し訳ないのじゃ」


一同は同じ疑問を抱いた・・・

しかし、神に慣れている英二以外は、口を開いていいものかどうか悩んでいた。


「あ、あのーところでお名前等聞いてもいいですかね?」

「あ、ああ、すまぬのじゃ。妾は天照大神、まぁ、この国の主神じゃな」

「ええええええ!!まじですかー!!!」

英二はあまりの出来事につい・・・大声で叫んでしまった。


神野ファミリーもまた絶句してしまっていた。


「い、いや~・・・それ程の神でもないのじゃがの?」

いくら主神とは言え、皆の敬いに驚いてしまう天照。

「我ら神は基本方針として、子らの人生には例外を除いて干渉はせぬ。

 それは、我々神々の決まり事なのじゃ。

 しかし此度は少しちごうての・・・神野家には本当にすまぬのじゃ」


天照は申し訳なく思い、謝罪したのだが・・・

神野家の反応が悪い・・・

「本当じゃぞ?本当に悪く思っておるのじゃ・・・

 怒る気持ちはわかるのじゃが・・・何か話してくれんと妾も・・・」

全く口を開かなくなった神野家の面々に天照は困り果てていた。


「あ、あのー?多分それは・・・天照様の力が強いからでは?

俺はそのー、ラウルで慣れてしまったので大丈夫みたいですけどね」


その言葉に納得した天照は力を緩めた。

すると、崩れるかのように一同深く息を吐き、また吸った。


(あーこれって妾のせいじゃったのか?人の子という存在は

 こんなにも弱々しい存在になってしもうたのかの? )


英二は天照の力に屈している神野家の面々を見て

昨夜の自分と重ね合わせていた・・・。

(俺も最初こんな感じだったよな~・・・昨夜の事なのに懐かしいぜ)

苦笑していると天照と目が合いお互いに笑ってしまっていた。


「さて、皆の者・・・此度の出来事を説明せねばならんな」

そして再び部屋の空気が重くなるのであった。

 






英二 ・・・ やっほ~いっ!俺の出番がきたぜー!

ラウル ・・・ どうして君が出てくるのさ?

英二 ・・・ えっ?だってよー閑話って俺の出番でしょーよ?

ラウル ・・・ そんな決まり事などない!

英二 ・・・ つーかよ?逆にどうしてお前がここに居るんだよ?

ラウル ・・・ はあ?人族の子よ・・・我は創造神ぞ?

英二 ・・・ 今更創造神って言われてもなー

ラウル ・・・ 君・・・かなり不敬だと思わないかい?

天照 ・・・ おい、若造・・・何をしておる?

ラウル ・・・ あ、天照様・・・

天照 ・・・ 我らの子に何をしておるのじゃ?

ラウル ・・・ 申し訳ございません。

英二 ・・・ すみませんね~天照様。俺のために・・・

天照 ・・・ お主何を言っておる?全部、妾の悠斗のためぞ?

英二&ラウル ・・・ まじかっ!


ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 悠斗君って神様系に好かれる体質ですかね? 何かそうさせる要因が?解明されるのでしょうか。。。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ