183話 豹変と指示
お疲れ様です^^
んー・・・。
今年は夏らしい事は何も出来なかったorz
そして電化製品は容赦なくぶっ壊れるし・・・はぅ><
今年の秋はなにか美味しいモノでも食べたいなぁ~・・・。
そんな事を思う今日この頃でしたw
それでは、183話をお楽しみ下さい^^
真っ逆さまに落下していくカロンとミレイ・・・。
意識が薄らいでゆく悠斗の脳裏に声が響いてきた。
(ユウト様っ!意識をしっかりっ!)
「んっ!?」
頭の中に直接響いた聞き覚えのある声に引っ張られるかのように、
その意識を取り戻したのだった。
「し、しまったっ!」
カロンとミレイが悲鳴を上げながら落下して行くその姿を見て、
悠斗は無意識に白凰の力を制御し、物凄い速さで降下し始めた。
「ミレーイっ!」
「ユ、ユウト様ぁぁぁぁっ!」
「いけぇぇぇぇぇっ!」
悠斗はそう声を張り上げながら手を伸ばすミレイの手を掴むと、
先に落下し始めたカロンを目で追いながらミレイを小脇に抱えた。
「間に合えぇぇぇぇぇっ!」
「ドンっ!」と言う衝撃波と共に、再び物凄い速度でカロンに迫った。
「カローンっ!手を伸ばせぇぇぇぇっ!」
「ユ、ユ、ユウトォォォっ!」
落下しながら必死に手を伸ばすカロンに迫る悠斗だったが、
その時突然・・・再び脳裏に響いた声がした。
(ユウト様、彼は心配無用です)
(・・・えっ!?)
その声に一瞬意識を持っていかれた悠斗は、
カロンの手を掴むタイミングを誤ってしまった。
「スカっ!」
「あっ!?」
「げっ!?」
「そっ!そんなバカなぁぁぁぁぁっ!?
ユウトォォォォォっ!」
「カローンっ!!」
そう叫びつつ悠斗は再びカロンに追いつこうと神力を放出しようとすると、
「ガクンっ!」と、突然飛行が安定しなくなった。
「ヤ、ヤバいっ!し、神力が・・・」
2人を助けるために残り少ない神力を放出してしまった為、
悠斗は浮くのもやっとなほど神力を消耗してしまったのだ。
「くっ!こ、こんな時にっ!」
「トプンッ!」
「カローンっ!!」
マグマ溜まりに落ちてしまったカロンを見て、
脂汗を流しながら悠斗にはもう・・・成す統べがなくなったその時、
再びあの声が脳裏に響いて来た。
(彼の事は心配いりません)
「・・・心配いら・・・ない?」
(はい、ですからゆっくりと降りて来て下さい)
複雑な表情を浮かべながら、
悠斗はその声の指示通りにゆっくりと大地に降り立った。
そして小脇に抱えるミレイを解放しながら、
ヨロヨロとマグマ溜まりの淵へと行くと、「ガクっ!」と両膝を着き、
項垂れてしまった。
「・・・ユ、ユウト・・・様・・・」
マグマ溜まりの淵で肩を揺らしながら両膝を着く悠斗に、
ミレイは力なく声をかけたのだが、その声は届いていなかった。
「・・・ご、ごめん・・・カロン・・・。
お、俺・・・お前を・・・」
涙を流しながら呻くようにそう言った時だった・・・。
「ピカーっ!」と、そのマグマ溜まりが閃光を放った。
その閃光は1本の柱となり、
その光の柱の中から1人の大人の女性が現れた。
「・・・ユウト様」
茫然とする悠斗だったが、その顔立ちや声に思い当たる節があり、
たどたどしい口調ながらも悠斗は声を挙げた。
「き、君は・・・もしか・・・して?」
そう言った悠斗にその女性は「コクン」と頷くと、
優しく微笑みながらその口を開いた。
「はい、私の名は・・・テレス。
ある神の命により、ユウト様をこの山へと導かせて頂きました」
暖かなその声に悠斗はゆっくりと立ち上がると、
口を開き質問していった。
「・・・これは一体どう言う事なんですか?
そしてある神って・・・?」
その質問にテレスはにこりと笑みを浮かべ、
暖かな眼差しを悠斗に送りながら話を始めたのだった。
「そうですね・・・。
その前に私事ではありますが1つ確認したい事がありますので・・・」
そう言うと大人の姿をしたテレスが悠斗から顔を背けると、
「コホン」と1つ咳払いをした後・・・。
「あぁぁー、あぁー、・・・〇〇様・・・うーん」
そう声を発したテレスだったがその表情は曇っているようだった。
そして何かを確かめたテレスは悠斗に振り向くと、
申し訳なさそうにしながら謝罪してきた。
「あはは・・・どうやその神の名は言えないようです。
ユウト様・・・大変申し訳御座いません」
「え、えっと~・・・その神の名を言えないのなら・・・
まぁ~・・・仕方がないですよね」
苦々しい顔を見せた悠斗に、テレスも似たような表情で返して見せると、
「はっ!」と、何か思い出したかのように口を開いていった。
「その神の名は口に出来ませんでしたが・・・。
その神の種族ならお答え出来ますので、そちらでも宜しければ・・・」
「・・・種族ですか?」
「はい」
悠斗は茫然と2人のやり取りを見ていたミレイに顔を向けると、
慌てたように「コクリ」頷いて見せた。
「・・・わかりました。
じゃ~・・・テレス様・・・宜しくおね・・・」
悠斗がそう言いながら深々と頭を下げようとした時、
その言葉にテレスが割って入って来たのだった。
「・・・テレスです」
「・・・はぁ?」
お辞儀をした状態で悠斗は思わず顔を顰めると、
慌ててその顔を上げた。
「・・・私の名はテレスです。
「様」付けなど・・・不要です」
「・・・えっと~ですね?」
「・・・テレス・・・です」
悠斗は顔を引きつらせながらテレスを見ると、
とても素敵な笑顔見せているのだが・・・
その瞳は・・・笑ってはいなかった。
「・・・えっと~・・・テレス・・・
その姿から察するに~・・・か、神になったんじゃ・・・?」
「・・・はい♪ユウト様のおかげで私は約束が果たされ、
存在進化する事が出来ました♪
ですからなんとお礼を言ったらいいのか、悩んでしまいますね♪」
「・・・約束?存在進化?
す、すみません・・・俺の知らないワードがどんどん出て来るのですが?」
「あらあら♪それは大変失礼致しました♪
ですが私の事は・・・テレス・・・と・・・」
「その事を・・・覚えていたとは・・・。
意外とテレスって頑固なんだな~?
しかも前にもこんなやり取りがあったと思うんだけど・・・?」
頬をポリポリと掻きながら悠斗が苦笑していると、
テレスから激しい光を放ちながら笑顔を向けていたのだが、
その笑顔の瞳は・・・またもや笑ってはいなかった。
いや、むしろ・・・冷たく感じたのだった。
「・・・気のせいです♪」
「い、いや・・・し、しかし・・・」
「気のせいです♪」
「・・・ま、またこれか・・・」
「はぁぁ~」っと溜息を吐いた悠斗は隣に居るミレイに顔を向けると、
「やれやれ」と言ったジェスチャーをして見せていた。
そして再び軽く息を吐くとテレスに視線を向けながら両手を上げると・・・。
「・・・わかった、わかったよ・・・テレス。
俺の負けだ・・・やれやれ」
悠斗が降参しそう言うと、テレスはより華やいだ笑顔を見せながら、
先程の話の説明をし始めたのだった。
「実はですね・・・」
(テレスって人の話・・・聞かないよね~?
マイペースって言うか何と言うかさ~・・・)
そう心の中で呆れていた悠斗にテレスがこう言った。
「・・・人の話は聞いてますよ~?」
「・・・えっ!?」
「・・・フフフ」
(こわっ!?)
それからほんの少しの間の沈黙が続いた後、
テレスから再び説明がされていった。
そしてテレスの話はこうだった。
テレスは巫女としてその生涯を終えた思念体となって話す事も出来ず、
このテレス山脈を何百年も彷徨っていた。
そして今から1カ月前・・・
或る日森の中で1人の男性と偶然遭遇したそうだ。
テレスはその男に名乗られた。
「俺は鬼神・・・異世界の者ではあるが神だ・・・」と・・・。
そう名乗った鬼神は思念体であるテレスに頼み事をされ、
幻獣である馬を託されると、
ここを通る商人にこの馬を預けるように言われたのだとか。
そしてその後・・・。
若い男とその仲間達がこの山に来る事になるはずだから、
その男・・・に、全てを託せ・・・と。
「その男ならきっと火山竜の苦しみから解放してくれるだろう」
そう言われたらしい。
そしてこうテレスに約束したらしい・・・。
「もし俺の頼みを聞いて達成した暁には・・・。
お前をこの山の守り神として新たな使命を与えよう。
もう無駄にこの山脈を彷徨う事もなくなるのだ。
これからは巫女としてではなく、この山の守り神となれ・・・」
そう約束したその鬼神はテレスの頭に手を乗せると、
赤い何かの力を与えられ、
言葉すら発する事が出来るようになったのだと言う。
そうテレスから話を聞いた悠斗は「うーん」と低く唸っていた。
(鬼神・・・ね~・・・?
鬼神って言うのがどんな存在かはわかんないけど、
・・・まさか・・・だよな~?)
そう考えてはみたものの、
悠斗は軽く頭を振りながら今後について口を開いた。
「今、その鬼神について考えても仕方がない。
とりあえず後回しにして先へ進むしかないな」
そう言いながら悠斗はミレイに視線を向けると、
戸惑いながらも「コクリ」と小さく頷いたのだった。
そして悠斗は再びその足を進め始めると、
ミレイが慌てたように口を開いたのだった。
「ちょっ、ちょっとっ!ユウト様っ!?」
「・・・んっ?どうかした?」
呆気にとられた悠斗が振り返ると、
ミレイが頭を抱えながら呆れたようにその口を開いた。
「ユウト・・・あ、あんたね~?
カロンの事・・・まさか忘れたんじゃないでしょうね?」
「・・・えっと~・・・カロン・・・?」
悠斗は何度か瞬きをして見せると、声を張り上げ慌て始めたのだった。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!そっ、そうだったぁぁぁぁっ!
カッ、カローンっ!?」
「・・・はぁ~」
項垂れるミレイを他所に悠斗はそう声を張り上げながら
熱くないマグマ溜まりの淵から叫んでいた。
「カッ、カローンっ!」
そう声を力一杯張り上げてはみたものの、
マグマ溜まりに飲まれたカロンの生存は絶望的だった。
「・・・ご、ごめん・・・カロン」
悠斗が呻くようにそう呟いた時だった・・・。
「フフフ」と笑い声が悠斗の耳をかすめると、
驚いた表情を浮かべながら顔を上げた。
「ユウト様・・・ユウト様に聞きたい事が御座います」
「・・・はい?」
含んだ笑みを見せたテレスに悠斗は困惑の色を見せたのだが、
テレスはその含んだ笑みを見せながら口を開き質問したのだった。
「さて・・・ユウト様」
「・・・はい」
「貴方が落としたモノは・・・」
そう言いながらテレスは、
左腕を熱くないマグマ溜まりに向かって手をかざすと、
熱くないマグマが吹き上がりテレスの左腕がその中に飲まれたのだった。
それと同様に・・・。
「それともこちらの・・・」
そう言うと、今度はかざした右腕が噴き出したマグマの中に飲まれた。
「・・・なっ、何をっ!?」
驚く悠斗を他所にテレスは神力を一瞬放出すると、
その噴き出した左腕のマグマの中からカロンがその姿を現したのだった。
「「カロンっ!?」」
驚愕する2人を見てご満悦のテレスは、にこりと微笑みながらこう言った。
「さて、ユウト様・・・。
貴方か落としたカロンは、こちらのカロンですか?
それとも・・・こちらですか?」
「・・・はい?」
悠斗の反応を確認して笑みを浮かべたテレスは、
再び神力を一瞬放出させると、その右腕が飲まれたマグマの中から、
もう1人のカロンがその姿を見せたのだった。
「カっ、カロンが・・・も、もう1人っ!?」
そう驚愕の声を挙げたのは口をアワアワとさせていたミレイだった。
そしてそれを確認したテレスは続けてこう言った。
「この左手の中に居るのは「いいカロン」。
そしてこの右手の中に居るのは「悪いカロン」です」
「い、いい・・・カ、カロンと、悪い・・・カロンっ!?」
テレスの両手に・・・。
いや、猫のように掴まれ意識を失くし項垂れているカロンの姿を見て、
悠斗とミレイは相談し始めたのだった。
「どっ、どするんですかっ!?」
「え、えぇっ!?ど、どうするって言われてもさーっ!?」
「だ、だってっ!カロンが2人も居るんですよーっ!?
ど、どっちにするかは・・・ユ、ユウトが決めればいいじゃないっ!」
「えぇぇぇっ!?どうして俺が決めるんだよーっ!?」
「だ、だって・・・ずっと一緒に居るのはユウトじゃないのよっ!」
「だ、だからってっ!べ、別に俺が決めなくってもさーっ!」
などと、相談と言うよりも言い合いが始まってしまった。
そんな2人に最初はにこやかに微笑んでいたテレスの表情が、
しだいに引きつり始めた。
「あ、あの~?お2人とも~?」
ぎこちない笑顔でそう語り掛けたテレスだったが、
一向に収拾着かない状態を見て・・・「ピシッ」と言う音と共に・・・キレた。
「あんた達ぃぃぃぃっ!いい加減にしなさいよぉぉぉぉっ!」
「テッ、テレスっ!?」
「ひぃぃっ!?」
今までの口調とは打って変わって、
テレスの口調はもはや神としての威厳などなかったのだった。
「あんた達~・・・とっとと決めなさいよっ!
いつまで私がこうやってこいつを持ってなくちゃいけないのよっ!
腕が疲れるんですけどぉ~?
この筋肉ダルマを笑顔で持っているのって、
ほんっっっっっとーにっ!疲れるんですけどぉぉぉぉっ!」
「「・・・す、すみません」」
(い、今、テレスって筋肉ダルマって言ったっ!?)
(・・・思いっきり言ったわね)
両手でそれぞれカロンを1人づつ掴みながら、
「カツンっ!カツンっ!カツンっ!」と、
空中なのに靴を鳴らしながら苛立ちを見せると、
まるで姑の如くブツブツと文句を言い始めた。
「ったく~・・・ちょっと優しくすればつけ上がっちゃってさ~?
いい加減にしてくんない?まじでさ~・・・
それに時間もかなり押しちゃってんじゃないの~?
いつまでもこんな所でクダグダとまぁ~・・・いい加減にしてよねっ!
ほんっっとにもうっ!最近の若い人族ときたら・・・まったくもうっ!」
余りのテレスの豹変に、事態が上手く飲み込めない悠斗とミレイ・・・。
そんな中・・・怖がりつつも悠斗は思ったことを口にしたのだった。
「・・・テ、テレス・・・」
「んー?何よ?決まったの?ちゃっちゃと決めちゃってよね~・・・」
「・・・口調って言うかキャラ・・・変わっちゃってるよ?」
「・・・キャラって・・・あんた一体何を・・・」
悠斗の言葉に首を傾げていたテレスだったが・・・。
「げっ!?」と言う言葉と共に再びキャラ変した。
「・・・い、いやん♪私ってなんてはしたない言葉を・・・♪」
「「ドサッ!」」
テレスのその身の早変わりに、流石の悠斗もミレイと共にズッコケたのだった。
それから暫くの間やり取りをした後・・・。
悠斗はとりあえず「いいカロン」を選択したのだった。
「・・・こっちでいいのね?」
そうテレスが告げ、いいカロンが解放されると、
目を覚ましたカロンが突然悠斗の前に駆け出し、
見事なジャンピング土下座をした。
「ユ、ユウト様ーっ!わ、わたくしの為にっ!
こ、このような手間を取らせてしまいっ!
ま、まことにぃぃぃぃ、まことにぃぃぃぃぃっ!」
そう言いながら、いいカロンは何度も額を地面に打ち着けていたのだった。
そしてそれを見た悠斗とミレイは、
全身に鳥肌が「ぞわぁぁぁ~」っと立つと凍えながら声を挙げた。
「「きっ、きっ、気持ち悪いぃぃぃぃぃっ!!」
「・・・えっ!?き、気持ち・・・悪い・・・っ!?」
悠斗とミレイの反応に驚いた「いいカロン」は、
顔を上げた途端、再び悠斗とミレイが叫び声を挙げた。
「いやぁぁぁぁぁっ!カッ、カロンの目がぁぁぁっ!
キッ、キラキラしてるぅぅぅぅっ!」
「キッ、キモッ!?カロン・・・まじでキモッ!」
「そんなぁぁぁぁぁっ!」
キラキラ&ウルウルとしたその「いいカロン」の瞳に、
ミレイはもはや失神寸前だった。
意識を朦朧とさせ始めたミレイを見た悠斗は、
慌ててテレスに声をかけた。
「テ、テレースっ!ちょ、ちょっとターイムっ!」
悠斗はテレスに対しタイムの要請をすると、
そのテレスは首を傾げながらも「いいカロン」を眠らせその動きを止めた。
「・・・ユウト様、いかがされましたでしょうか?」
「・・・えっ、えっと・・・チェ、チェンジでっ!!」
「いいカロン」は悠斗の予想を遥か斜め上を行く言動に、
たまらずチェンジしたのだった。
そして悠斗はこう考えていた・・・。
(こ、これって逆に・・・悪いカロンってのを選択した方が・・・
き、きっとマシなんじゃ・・・?)
そう考えた悠斗はテレスに願い出ると今度は「悪いカロン」を選択したのだった。
そして解放される「悪いカロン」・・・だったが・・・。
意識を取り戻した途端・・・。
「うぉぉぉぉぉぉっ!この世界をぶっ壊してやるぅぅぅぅっ!」
「「そっ、そのまんまだったぁぁぁぁっ!」」
そう叫びながら「悪いカロン」は神力を凝縮し解放しようとした時・・・。
「ガスッ!」と、激しい音と共にカロンが前のめりで意識を失ったのだった。
そしてその「悪いカロン」の背後に居たのは、
シルバーロッドを持ち「ぜぇぜぇ」と肩で息をしていた悠斗だった。
「そ、そのまんま悪いカロンじゃんかぁぁぁっ!」
そう叫びながら威圧を込めた視線をテレスに向けると、
「ガクッ」と膝を折り謝罪を口にしたのだった。
そして・・・。
「な、なぁ~、テレス・・・。
普通のって言うか・・・いつものカロンって・・・ないのか?」
悠斗の威圧に冷や汗を流していたテレスは「うーん」と唸るとこう言った。
「えっと、じゃ~いっその事・・・混ぜちゃいます?」
「「・・・はい?」」
そう言うとテレスは・・・。
いいカロンと悪いカロンを再び熱くないマグマ溜まりに漬けると、
何やら「こねこねこねこね・・・」と、まるで呪文でも唱えるように、
カロンをこねくり回し始めた。
悠斗とミレイが「?」となる中・・・。
「出来たっ♪」と声を挙げにこやかな表情を浮かべたテレスの姿があった。
そして「ジャジャーンっ!」と効果音を口にしながら、
「でーんっ!」と地面にカロンを置きながら自慢げに口を開いた。
「゛フッフッフッ・・・完成ですよっ♪」
「「・・・・・」」
無言になる2人を他所に、テレスはドヤ顔をしながら口を開いていった。
「名付けてっ!カロン初号機っ!ここに爆誕っ!」
「しょ、初号機って・・・どうしてまた?」
引きつった笑みを浮かべた悠斗を見て察したのか、
テレスが自慢げに口を開いた。
「えっと~・・・これって、ユウト様の世界の知識・・・ですよね?」
「・・・はぃぃぃっ!?」
驚愕した悠斗にテレスは説明していった。
鬼神の力をもらった時、このような知識も一緒に授かったのだと・・・。
(どう言う事なんだっ!?だ、誰が一体・・・)
そう思った悠斗だったが1人・・・思い当たる人物が頭に浮かぶのだった。
「ははは・・・まさか・・・だよね?」
そう呟いた時、カロンが意識を取り戻した。
そして悠斗の顔を見るなりこう言った。
「何してんだよ~?さっさと魔鉱石を取りに行くぞっ!
ったくよ~・・・熱いんだからとっとと行こうぜっ!」
そう愚痴を漏らしながらカロンは上を目指しだるそうに上り始めたのだった。
そんなカロンの後姿を見た悠斗はテレスに視線を向けると、
少し鋭い目で睨みながら2人に聞こえないように口を開いた。
「・・・これも鬼神の指示なのか?」
「・・・は、はい」
悠斗はほんの少しだけ殺気を混ぜてそう言うと、
「・・・やれやれ」と呟きながらその場を後にしたのだった。
と、言う事で・・・いかがだったでしょうか?
カロンを混ぜ混ぜしたシーンは、
もう少し書きたかった気もするのですが・・・w
って言うか・・・ストックがないので、
仕事と相談しながら頑張りたいと思いますw
ってなことで、緋色火花でした。




