閑話・ 夢
お疲れ様です。
フリーランスなのに社畜な緋色ですが、
実は緋色の部屋にエアコンがつけられないのですっ!orz
ってなことで、只今の部屋の温度は33℃となっております><
で、今回は閑話と言う事で・・・。
179話でカロンが見た夢のお話となりますので、
楽しく読んで頂けたら幸いです^^
それでは、閑話をお楽しみ下さい。
俺はカロン・・・かつては武神と言われた元・神だ。
そう、俺はあの日・・・テレス山脈へ向かう為に、
宿屋に泊まった時に見た夢の話だ・・・。
宿で食事を終えた俺達はその後、部屋で話し合った結果、
明日は馬車を買い、その馬車でテレス山脈へと向かう事になった。
そして話し合いを終えるとミレイは部屋へと戻って行くと、
ユウトは俺に少しキツめの視線を向け口を開いた。
「お前・・・何をそんなにイライラしてんだよ?」
「べ、別に苛ついていた訳じゃねーけどよ・・・」
図星だった・・・。
俺は自分ではどうしようもない感覚に苛立ちを感じていた。
その感覚とは・・・。
この生身の身体の事だ・・・。
それを薄っすらと感づいているユウトが、
俺に意味有り気な視線を向けてくるのだが、
その俺を憐れんだ目で見ていると錯覚し、
それを俺はどうにも我慢がならなかった。
更にユウトは話を続けた。
「お前の体力の無さと何か関係があるのか?」
・・・そうぬかしやがった。
またしても図星で正直こいつの観察眼には恐れ入るぜ。
「体力っつーかよ?まだ生身の身体に馴染んでねーだけだ。
てめーが心配するほどの事じゃねーよ」
「本当にそれだけなのか?
俺にはまだ他に何かあるんじゃないかと思っているんだけど?」
「・・・ねーよ」
「・・・そうか、お前がそう言うのなら・・・」
ユウトのヤツはそう言うと、再び意味有り気な視線を向けてきやがった。
ったく・・・てめーはてめーの身の心配でもしてやがれってんだよっ!
ほんとにお前は・・・どこまでもお節介野郎だな?
こいつはきっと、純粋に俺の事を心配してくれているだけなんだろうが、
人族の優しさ・・・っつーのか?
まだ慣れていない俺には、かなりキツイってんだよ・・・
ったく・・・苛つくぜ。
ユウトは「明日は早いから寝ろよ?」って言いやがるが、
俺は「・・・ああ」としか言えなかった。
やはりと言うか何と言うか・・・。
俺は寝着けずに居た。
俺はベッドから身を起こし暗いその部屋へ視線を向けると、
ユウトのヤツはぐっすりと眠っていやがった。
「・・・人の気も知らねーで、救世主様はもうぐっすりかよっ!」
あまりにその安らかな寝息に、
俺は無意識にそう言葉を漏らすと・・・。
「・・・早く寝ろよ」
「!?」
俺の無意識に出た言葉に、ユウトのヤツから突然そう言われ、
俺の心臓はドクンっ!と激しく脈打った。
「起きているのならそう言いやがれってんだっ!」
「・・・・・」
そう俺はユウトのヤツに言ってやったんだが・・・。
「・・・ムニャムニャムニャ」
「寝言かよっ!?えらくハッキリとした寝言だな、おいっ!」
と、思わず突っ込んじまった・・・ははは、まじで驚いたんだけどな?
そして寝着けない俺はベッドを抜け出し、
心地いい風が吹き込んで来る窓辺へと移動し、
マジック・ボックスからティーセットを取り出すと椅子に腰を降ろした。
紅茶を飲み何気に視線を外へと向け、
俺は物思いに耽った。
そして寝返りを打つユウトを見た時、
こいつとも色々とあったよな?
そう考えると、俺は自然と苦笑していたようだった。
訳のわからないモノに操られ、
神として理不尽をし始めた時、俺はこいつに出会った。
最初はたかが人族だと、正直舐めてかかっていたが、
こいつの実力は間違いなく本物だ。
はっはっはっ・・・まさか操られているとは言え、
他所の星から来た人族に助けられる事になっちまったのは、
まじで・・・驚いた。
あぁ~・・・そう言えば「まじ」って言葉は、
ユウトに聞いたところによると、「本気」と書いて「まじ」と言うらしいな?
いつの間にか俺もこいつの言葉が移っちまったぜ。
ほんとにこいつはおかしな野郎だ。
何故かは知らねーが、こいつは全てを救おうとしやがる。
そんな事、無理に決まっているだろうによ~?
それでもそうなるよう足掻いちまうんだ・・・バカだぜ。
俺はユウトの寝顔・・・じゃないな?
今は後頭部が見えているんだが、恰好つかないので寝顔って事にしてやる。
そう、こいつの寝顔を見て今までの事を思い出すと、
俺もこいつと一緒に居て、何だかんだと言いながらも、
楽しかったんだな~って・・・今、改めてそう思う。
だがっ!俺が何か言う度に、頭をボコボコ殴るんじゃねーよっ!
っと、そう思ってはいるが、
俺が悪いのだから許してやる事にした。
・・・つーかよ?俺が神であってもそうでなくても、
こいつは何も変わらないんだな?
ははは・・・ウケる。
おっと、これもユウトのヤツの口癖みたいなものか?
俺もすっかり馴染んじまったぜ。
俺は紅茶を飲みながら視線を再び外へと向けた。
「この身体・・・一体どうしたってんだ?
生身ってのはこんなにも動きが悪いモノなのか?
それとも生身の身体を扱えない俺に何か問題でもあるのか?
その理由がわからねー・・・」
俺がそう言葉を呟くと・・・。
「お前はバカだからな~」
「・・・あぁ~♪なるほどっ!俺がバカだからか~♪
はっはっは~っ!そりゃ~納得だぜ~♪
・・・って、おいっ!」
「スゥ~、スゥ~・・・」
「・・・お、起きてるのか?起きているんだよな?
おーい・・・ユウトーっ!?
って・・・まじで寝言かよっ!?
タイミング良過ぎだろっ!
って言うか・・・逆に凄いわっ!
流石救世主様だぜっ!」
まぁ~この時こいつの頬でもつねってやろうかとも思ったが、
後が怖いので止めておく事にしたのは言うまでもない。
「つーかよ?忘れがちなんだが・・・。
こいつの異能って一体何なんだ?
こいつの星にはこういったヤツがゴロゴロ居やがるのか?
あの力・・・普通じゃねー・・・
こいつにはまだ得体の知れないモノが絶対に在りやがるっ!」
俺はふと思った疑問を声にして、こいつに聞かせてやった。
それはこいつがまたタイミング良く寝言のふりをして、
何か言ってくるだろうと思ったからだ。
「・・・・・」(1分経過)
「・・・そろそろ何かあるだろ?」(5分経過)
「・・・お、おーい・・・ユウトさーん?」(10分経過)
「・・・やっぱり寝てやがんのかっ!?
ま、紛らわしいヤツだぜっ!」
それから俺は紅茶を飲み干すと、いい感じで睡魔に襲われ、
俺は眠りに着いていった。
(・・・ロン・・・カロ・・・カロン)
(ん?何だ?誰が俺を呼ぶんだ?)
俺が目を覚ました時、俺が立って居た場所は・・・
(ここはどこだ?・・・ん?滝の・・・音?)
辺りを見渡すとどうやら俺は、どこかの川辺に立って居た。
滝の音と思われる場所に自然と足が進み、
気がつけば俺の目の前には十数メートルはあるかと思える、
滝の前に俺は立って居た。
(・・・こんな所に滝?つーか・・・ここはどこだよ?)
(来たか・・・カロン)
俺は咄嗟に身を捩りながら回避行動を取り、
着地と同時に構えを取った。
(誰だっ!姿を見せやがれっ!)
鬱蒼と生い茂る木々に視界を奪われつつも、
俺は気配察知と魔力察知を使用した。
だが・・・。
(・・・スキルが使えねーっ!?)
魔力や神力も使用不可となっていた事に動揺していると、
「ガサッ!」っと茂みの中から、体格のいい男が現れた。
(・・・何者だっ!?)
呼吸を整え身体の重心を落すと、俺は戦闘態勢に入った。
しかし俺の目の前に立つ男は、何故か俺に笑顔を向けていやがった。
(・・・驚かせてしまったかな?)
この男は終始笑顔でいたが、その身体から滲み出る力を
隠そうとはしていないようだった。
(・・・答えろっ!貴様は一体何者で、ここはどこなんだっ!?)
俺がそう言うと、その男は笑顔を崩さないまま口を開いていった。
(・・・まずはその警戒を解いてもらえるように、自己紹介するとしよう)
(・・・自己紹介だ?ふざけてんのか・・・てめー・・・)
(はっはっはっ!そう警戒しないでくれ。
俺の名は・・・「ヲグナ」
眠っている君の夢の中で語りかけている)
(ヲグナ・・・?俺の夢の中?)
(あぁ~、そう言う事だ。君の意識に直接語り掛け、
今後君達に起こるであろう最悪から守る為に語り掛けているんだ)
(訳わかんねー事いいやがってっ!うさん臭せーぜっ!)
俺は持てる限りのプレッシャーをヲグナと名乗る男に放ったが、
それすらも不発に終わったようだった。
するとヲグナは真顔に変わるとこう言った。
(いいかい?この場所をしっかりと覚えておけ・・・。
近い将来、君達はこの場所を必ず訪れる事になる)
(ち、近い将来・・・だと?)
(あぁ、そして君は・・・この地である選択を強いられるんだ)
(選択・・・?その選択ってのは・・・何だよ?)
(・・・フフっ、それはまだ言えないが、
その選択次第によっては、君は死ぬ事になるだろう)
(お、俺が・・・し、死ぬ・・・だとっ!?)
(あぁ・・・だからその選択を見誤らないで欲しいんだ。
だからこうして俺が忠告に来たって訳だ)
この時俺はこの男の言う事が理解出来なかった。
そりゃ~そうだせ?
突然そんな事言われて、理解しろってのがおかしいだろ?
俺がそう考えていると、知るか知らずかはわからねーが、
そのヲグナは言葉を続けた。
(彼には既にある方が付いておられる。
だから一応・・・心配ないとは思うが、それでも念の為・・・。
まぁ~そう言う事だ)
(・・・彼?ある方?・・・全然わかんねーよ)
(そうか・・・。だが今はそれでいい・・・。
ただ、この場所を忘れないでくれ。
君にとっても、彼にとっても・・・この場所は・・・
・・・もう時間・・・か。
これもまた・・・運命と言う訳か・・・)
ヲグナはそう言うと光り輝き、
一瞬にして白鳥へとその姿を変化させると、
羽ばたきどこかへと飛んで行ってしまった。
(・・・一体何が起こるってんだよっ!)
そう言葉を吐き捨てた俺は、急激に闇の中へと落ちていった。
そして再び目を覚ました時・・・。
「ん?起きたか~・・・カロン、おはよう」
「ん、んっ?・・・ユ、ユウト・・・?」
ユウトは俺を見ると何故か不思議そうな顔をしていた。
その事をユウトに話をすると・・・。
「ほらっ・・・」
そう言って俺のベッドの上から、木の葉を数枚取って見せた。
「ほら・・・どうしてベッドに木の葉があるんだよ?」
「・・・木の葉?た、確か・・・どこかで?」
ユウトにそう聞かれると、俺は誰かに何かを言われたような気がしていた。
俺は必死に思い出そうとするのだが、
突然「グゥゥゥ~」と鳴った腹の虫に負けてしまい、
結局思い出さないまま宿屋を出て、俺達は馬車を買う為に歩き始めたのだった。
そしてその道中・・・。
俺は馬車の中で再び声を聞いた・・・。
(因果応報って事かな?色々と邪魔が入るようだな?)
その言葉と同時に、俺は馬車の中で目を覚ますのだった。
さて、今回のカロンの夢のお話はいかがだったでしょうか?
夢の中で語り掛けて来たヲグナと言う人物は、
以前にも実は出て来ています^^
それと次回のアップですが・・・。
180話は通常通り来週水曜か木曜辺りで、
問題なくアップしますので^^
ってなことで、緋色火花でした。




