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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
228/406

176話 悠斗の望み

お疲れ様です。


最近湿度が半端なくへばっておりますが、

皆さんはいかがお過ごしでしょうか?


そして今月ですが、

緋色が投稿し始めて、1周年となります。

早いものですね~・・・と、感慨深く思っております。


それで今月中頃の予定なのですが、

その1周年を記念して、自分の作品のコラボを予定しております。


楽しんで読んでもらえるよう頑張りたいと思います。



それでは、176話をお楽しみ下さい。

翌朝・・・目を覚ました悠斗とカロンは、

ロイサムの宿屋で朝食を食べ終わると、ギルドへと足を運ぶと、

掲示板である依頼書を手に取り、ポーラの居る受付けカウンターへと向かった。


「おはよう御座います♪ユウト様、カロン様」


「おはようポーラさん♪」


「ういーす」


そう挨拶を交わした後、悠斗はポーラに依頼書を手渡した。


「えっと~・・・これは昨日言っていた鉱石の採掘ですね?」


依頼書に目を通しながらそう言うと、

カロンが気だるそうに口を開いたのだった。


「ユウト~・・・本当に採掘なんてするのかよ~?

 別に今日くらいは休んでいいんじゃねーのか?」


そう言ったカロンに悠斗は眉をピクリと動かすと、

スキルを使用せず言葉で威圧するのだった。


「・・・今日くらいって・・・何?」


「・・・い、いや、お、俺はよ~?」


「別に嫌なら来なくていいんだけど?」


「俺はただ働きたくなくて言ってんじゃないんだってっ!

 人族ってのはしっかりとした休養をだな~?」


額に汗を滲ませながらそう口を開くカロンに、

悠斗は「やれやれ」と言いながら厳しい視線を向けたのだった。


「カロン、お前さ~?

 休養が必要なほど俺達は依頼をこなしてないってばっ!

 それにお前はただ酒を飲みたいだけだろ~?

 怠惰過ぎるんだよっ!

 だから訳の分からない連中に足元を救われるんだよっ!」


「・・・うぐっ」


当然悠斗の言葉に心当たりがあるカロンは言葉を詰まらせ、

苦笑いを浮かべるしかなかった。


「・・・わ、わかったよっ!わかりましたよっ!

 依頼をこなしていけばいいんだよなっ!?」


嫌々仕事をすると言う雰囲気を漂わせたカロンに、

悠斗は鋭い視線を向けるとこう言った。


「・・・別に来なくていいからな?」


「・・・・・」


その悠斗の冷めた視線にカロンは思わずゴクリと喉を鳴らしたのだった。



そんなやり取りが少しの間続くと、

ポーラが申し訳なさそうに口を開いたのだった。


「あ、あの~・・・?この依頼・・・どうされますか~?」


引きつった笑みへと変わったポーラに、

悠斗とカロンは頭を下げ謝罪するとその依頼を受ける事にした。


その依頼の内容とは・・・。


魔鉱石20個の納品と記載してあった。

悠斗は少し考える仕草を見せると、ポーラに尋ねるのだった。


「ポーラさん・・・魔鉱石って何?」


「・・・はい?」


キョトンとするポーラに悠斗は首を傾げると、

背後に居たカロンから声がかかった。


「・・・お前、魔鉱石が何かも知らないで依頼を引き受けたのかよ?」


呆れたように口を開いたカロンに悠斗は渋い顔をして見せると、

ポーラが魔鉱石の説明をしていった。


「魔鉱石と言うのは、魔力の素となる魔素を含んだ鉱石となります。

 その魔素を含んだモノを魔鉱石と言うのですが、

 非常に硬く、並みの鍛冶師にも手が出せないモノとなっております」


「・・・へぇ~」


ポーラの話を聞いていたにも関わらず、

悠斗はトボケた返事を返した事に苛立ちを見せたカロンが、

背後から悠斗の頭を叩いたのだった。


「い、痛っ!?何すんだよっ!」


「お前っ!ちゃんとこの嬢ちゃんの話を聞いていたのかっ!」


「・・・聞いてたよっ!」


「じゃ~どうしてそんな生返事をしてんだよっ!」


悠斗はこの時、ある事を考えながら返事をしたため、

生返事になってしまっていたのだった。


その返事についてしっかりとポーラに謝罪した後、

悠斗は話を切り出していった。


「えっと~ポーラさん」


「はい?」


「その魔鉱石を扱える鍛冶師を紹介してもらえませんか?」


「・・・魔鉱石を扱える鍛冶師ですか?」


「はい」


悠斗の真剣な眼差しに、ポーラは笑顔浮かべると「はい♪」と返事をもらった。



悠斗とカロンはポーラに鍛冶師の居場所を聞くと、

ギルド本部を出て東の門へと向かって行った。


その間、カロンは悠斗を横目に見ながらも、

不機嫌そうな表情を浮かべていたのだった。


「・・・なぁ、カロン・・・」


「・・・何だよ?」


「どうして苛立ってるのか教えてもらっていいか?」


悠斗の問いにカロンはこめかみをヒクヒクとさせながら答えていった。


「どうしてだぁ~?ふざけてんのかお前っ!」


「・・・はい?」


「お前・・・魔鉱石の話を聞いてから、目の色が変わりやがってよ~?

 俺はもうお前の相棒だよな?

 その相棒に理由を言わないってーのは、どう言う事なんだよっ!」


「・・・はぁ~」


カロンの苛立ちの理由を聞いた悠斗は、

思わず深い溜息を吐くと、その理由を口にしたのだった。


「お前は駄々っ子かっ!まぁ~別にいいけどさ・・・。

 俺が魔鉱石と鍛冶師を求めてる理由なんて・・・1つしかないだろ?」


「・・・何だ?剣でも作ろうってのか?」


「・・・そうだよ」


そう言いながら悠斗は東の門へと向かいながら、

マジックボックスからショートソードとロングソードを取り出した。


「・・・見てくれよ」


そう言われ手に取って見たカロンはまじまじと見つめると・・・。


「・・・これがどうかしたのか?」


「・・・はぁ?」


カロンは顎に手を添えながら不思議そうに剣を見ていたのだった。


「・・・わからないとはね~?」


溜息混じりにそうつぶやいた悠斗は、

ショートソードとロングソードについて口を開いた。


「・・・その剣はラウルにもらったんだけどさ~?

 品質が悪過ぎてまともに戦えないんだ」


そう苦々しく話す悠斗に、カロンは不思議そうな表情を浮かべた。


「品質って・・・お前には別に関係のない話だろ?」


「は、はぁ?どうして関係ないんだよっ!」


「だってお前・・・武闘家だろ?」


まじめな顔でそう言ったカロンに、悠斗の顔は盛大に引きつったのだった。



「違うよっ!いつから俺は武闘家になったんだよっ!」


反論する悠斗だったが、カロンは真顔のまま口を開いた。


「いや~だってよ?何だかんだと言いながら、

 お前って結局素手で戦っている事が多いよな?」


「・・・うっ」


カロンにそう言われ、悠斗はノーブルに来てからの事を振り返ると・・・。


「・・・た、確かにそうとも言えるけど・・・」


「だろ?だから別に品質が悪い剣だって、あまり必要性を感じねーんだが?」


そう言い切ったカロンの表情には、何の淀みもなく、

ただ感じたまま答えただけのようだった。

しかし悠斗はそのカロンの言葉を全力で拒否し始めるのだった。


「・・・俺は剣士なのっ!わかる?ジャパニーズ・サムライなのっ!」


「ジャ、ジャパニーズ・・・サ、サムライ?」


「そうだよっ!だ~か~ら~・・・。

 俺が本領発揮するには、どうしても剣が・・・いや、刀が必要なんだよっ!」


悠斗は必死にそう訴えるのだが、

カロンは頭の上に?マークが浮かんでいるのが手に取るようにわかったのだ。

だからこそ・・・カロンに訪ねてみた。


「なぁ~カロン?刀って・・・わかる・・・よな?」


そう尋ねてきた悠斗に、カロンはニヤリと笑みを浮かべると、

自身満々にこう言った。


「はっはっはっ!そんなモノ・・・知らんっ!」


「ピシっ!」


堂々とそう答えるカロンに、悠斗の周りの空間に亀裂が走った・・・。

ような感覚を感じたカロンは、薄っすらと汗をその額に滲ませたのだった。


「ど、どうせ・・・あ、あれ・・・だろ?

 お前が居た国の~・・・剣士的な~・・・」


カロンは悠斗の殺気に目を泳がせながらそう答えたのだが、

悠斗はジト目でただ慌てるカロンを見ているだけだった。


そんな悠斗だったが軽く息を吐くと、

自分がいま何を望んでいるのかを口にしたのだった。


「現状として今の俺は、100%で戦えていないんだ」


「・・・はぁ?えっ!?お、お前・・・それを本気で言ってるのか?」


「・・・勿論本気だよ」


悠斗の言葉にカロンは愕然とするしかなかった。

武闘家だと思っていたカロンにとって、

今現在の力が本来のモノではないと知ったからだった。


「ユウト・・・ぶ、ぶっちゃけ・・・

 お前はまだ本気で戦っていなかった・・・って事か?」


「いやいや、勿論本気で戦っていたよ?

 だけど俺の本当の力を示すんだったら、刀ははずせないんだよ」


「・・・まじか」


悠斗からそう告げられたカロンはこう思っていた。


(じ、じゃ~何か?俺は本領発揮できない状態のこいつに・・・

 か、神である俺に、そんな状態で勝った・・・ってのかっ!?)


その事実に驚愕する事しか出来ないカロンは、

平然としながら歩く悠斗を横目で見ながら冷や汗を流したのだった。



それから当たり障りのない会話をしながら、

悠斗とカロンはポーラに教えてもらった店の前に到着した。


「ここ・・・かな?」


「みてーだな?」


2人は閉ざされたドアに近付くと、悠斗がノックをして声を発した。


「すみませーんっ!」


「・・・・・」


少し待っては見たが店からの返事はなかった。

2人は何度かノックを声を発してはみるが、店からの返事はなかった。

悠斗は思わずドアに手をかけ入ろうとするのだが、

押しても引いてもカギがかかっており、中へは入る事ができなかった。


2人は顔を何度か見合わせると、「日を改めよう」と言う事になり、

店の前から立ち去ろうとした時だった。


「ガチャ」と、言うカギをはずす音が聞こえると、

その店の中から立派な白髭をたくわえたドワーフが不機嫌そうに、

悠斗とカロンをギョロっとした目で睨みつけていた。



「あ、あの~・・・」


悠斗が少し戸惑いながらもそう声を発すると、

そのドワーフの男が口を開いた。


「なんじゃ・・・お前達は?」


ドスの効いたドワーフの声に、威圧感を感じたのだが、

悠斗はここに来た目的を話し始めたのだった。


「こんにちは、俺の名はユウト・・・そしてこいつはカロンと言います。

 このお店に来たのは、冒険者ギルドのポーラさんに聞きまして・・・」


そう話を切り出した悠斗に、

そのドワーフの男は2人を値踏みするかのように視線を這わせた。


そして「・・・うむ」とだけ呟くと、

顔を店の中へと振って「入れ」と促してきたのだった。


悠斗とカロンは顔を見合わせ小さく頷き合うと、

促されるまま店の中へと入って行った。


店の中へと入った2人は、その店内の暗さに戸惑いを見せていると、

ドワーフの男は口を開いていった。


「すまねぇ~な?こんなに暗くてよ・・・」


そう言うと男は指をパチンと鳴らすと、

店内が照らされ明るくなったのだった。


「ここ暫くの間は、俺の都合で休業してんだよ」


ぶっきらぼうにそう言ったそのドワーフの男の顔は、

何故か沈んだ表情を浮かべていたのだった。



悠斗とカロンはそのドワーフの男に促されるまま、

店内の隅に在る丸いテーブルへと移動しその腰を下ろした。


そして2人が座った事を確認したドワーフの男は、

「ちょっと待ってろ」とそう告げると、店の奥へと消えて行った。。


少しの間、悠斗とカロンは椅子に腰をかけたままで居たのだが、

店内に飾られている商品である武器を見るため席を立った。


その店は武器だけれではなく、

防具やメンテナンスの器具までも揃っており、

この店のグレードが知れるには充分だと感じていた。


そして暫くの間、店内を見学していると、

酒樽とジョッキを3つ持ったドワーフの男が現れた。


慌てて席に戻り座り直すと、そのドワーフの男が口を開いていった。


「ギルドの嬢ちゃんから聞いたって事は、

 どうやらお前さん達は合格・・・と、言う事だな?


「・・・合格?」


そう呟いた悠斗にドワーフの男は話を続けた。


「俺はその辺にゴロゴロと居る冒険者なんぞの面倒は見ん。

 そしてこの話はギルドの嬢ちゃんにも話は通してある。

 お前さん達がここに来たって事は・・・だ。

 俺が武器を作るのに値する・・・。

 だから俺は「合格」と言ったんだ」


そう言い切るドワーフの男に、

悠斗とカロンは苦笑して見せると、

更にドワーフの男はこう話を続けた。


「お前さん・・・確かユウトと言ったか?」


「・・・はい」


悠斗がそう答えると、ドワーフの男は再びその視線を向けチェックし始めた。


「お、俺の身体が・・・どうかしましたか?」


そう声を発した悠斗にドワーフの男は初めて見せる笑みを浮かべてこう言った。


「ひょっとして~・・・お前さんがこの街の英雄・・・ユウトか?」


そう言われた瞬間、悠斗の顔は一瞬にして赤く染まり、

顔が盛大に引きつり始めたのだった。


それを真横で見る事になっさたカロンが「プッ!」と吹き出すと、

その高笑いが店内に響き渡って行った。・


「わ、笑う事ないだろっ!」


「はっはっはっ!わ、悪りぃ~悪りぃ~!

 つ、つい・・・わ、笑っちまってよぉ~・・・」


悠斗はこのニックネームが恥ずかしいらしいが、

一瞬にして顔が真っ赤に染まったのを見て、

普段とのギャップを感じたカロンは思わず噴き出したとの事だった。


そんな様子を見ながらドワーフの男も笑みを浮かべながら口を開いた。


「はっはっはっ・・・

 なんだユウト殿はこの通り名がお気に召しませんようだな?」


そんな言葉に悠斗とカロンは目を丸くしてドワーフの男を見ていると、

キョトンとした表情を浮かべたドワーフの男が何かを察すると、

再び笑顔を浮かべて話し始めたのだった。


「いや~すまんすまん・・・。

 まさか俺の店にこの街の恩人であるユウト殿が来てくれるとはな~。

 そんな街の英雄に、呼び捨てでは失礼にあたると言うものだ・・・」


「・・・え、英雄は兎も角として・・・。

 コホン・・・。俺の事はユウトと呼び捨てで構いませんので・・・」


そう答える悠斗にドワーフの男は温かみのある笑顔を向けて口を開いた。


「いや、俺もこの港町の住人だからな・・・。

 恩人であるユウト殿に対して敬意を持って接したいんだ」


そう言われてしまっては、流石の悠斗も何も言えなくなり、

承諾するしかなかったのだ。


そしてドワーフの男は悠斗とカロンにジョッキを渡すと、

冷えた酒を注ぎ、乾杯したのだった。


酒を少し飲んだところで、ドワーフの男がジョッキを置くと、

突然自己紹介を始めたのだった。


「俺の名はベガ・・・ドワーフの鍛冶師としてはちょっとは知れた男だ」


そう言ってギィロっとカロンにその視線を向けると、

「次はお前だ」とだけ言い、再びジョッキを手に取り飲み始めたのだった。


「・・・お、俺はカロン・・・。

 今は訳あってこいつの相棒として冒険者をしている」


そう言い終わりジョッキを手にした時だった。

ベガがカロンを凝視しながらその口を開いた。


「・・・カロン?

 まるで・・・どこぞ役立たずの神のような名だな?」


そう言い終わると再び豪快に酒を流し込んでいった。


悠斗は唖然としながらも横目でカロンの様子を伺っていると、

プルプルと小刻みに震えながら、怒りが今にも吹き出しそうになっていた。


(あぁ~・・・役立たずって言われたら~さ、流石にな~?)


手に持たれたジョッキの中の酒も、

カロンとまるで呼応するかのように、

同じようにプルプルと小刻みに波立っていた。


(・・・こ、この2人って、相性悪いんじゃね?)


そう直感的に思う悠斗だった。


そして暫く酒を飲みつつ雑談した後・・・。

ベガは(おもむろ)にショッキを置き、姿勢を正すと・・・。


「して・・・ユウト殿。

 俺はどんな武器を作ればいいんだ?」


先程までとは打って変わって、ベガがそう話を切り出すと、

悠斗もまたジョッキを置き、姿勢を正すとこう言った。


「・・・俺の望みは剣・・・いや、「刀」です。

 その制作をお願いしたい」


そう答えた悠斗の言葉に熱い情熱を感じるベガだった。







ってなことで・・・。


今月中頃コラボを予定しております。


ユウトとユウナギの競演となりますが、

どう話が転ぶかわからないので、緋色も苦戦しております。


このコラボ作品を楽しんで読んでもらえたら嬉しく思います^^


また、感想など頂けると非常に嬉しいです。



つてなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 刀ですか。。。 寄り道のような話かと思ってたら、 結構大事な事に繋がるのですね。 ベガさんもいい味だしてますね♪ 次回も楽しみにしています♪
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