表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
222/404

閑話 神界の門 前編

お疲れ様です。


今回のお話は閑話となっています、

実はこの話・・・。

悠斗にとってとても重要な出来事に繋がります。


その時が来る日まで、頭の片隅にでも置いておいて下さい^^



それでは、閑話・神界の門 前編をお楽しみ下さい。

ウェズンと共に神界の門をくぐった悠斗だったが・・・。


「あ、あれ?ウェズン達・・・は?」


今、悠斗の目の前には、アシュリナの港町ではなく、

美しく花々が咲き乱れる草原に居たのだった。


「・・・綺麗な景色だな~?」


そんな呑気(のんき)な悠斗の口から漏れると、

その背後から何者かの気配を感じ振り向いた。


「・・・って・・・神界の門・・・さん?」


振り返った悠斗の目の前には、気品溢れる白き神界の門が居た。

建造物であるはずのその神界の門からは、

人と同じように気配を感じ、気が巡っている事に気付いた。


(あ~・・・やっぱ神界の門さんって・・・生命なんだな~?)


薄く笑った悠斗を見た神界の門は、

和やかな雰囲気のまま悠斗へと話しかけた。


「フフフ・・・突然このような場所にお連れして申し訳ありません」


「いえいえ、こんな素敵な場所に来られて、

 俺はとてもラッキーだったと思っていますよ?」


悠斗の返答に少し驚いたように見えた神界の門は、

とても嬉しそうに話を続けたのだった。


「ユウト様・・・。

 この前私が話した事を覚えておられますでしょうか?」


「えっと~・・・それって、神界の門さんのお子さんのお話ですか?」


「はい♪覚えていただけて誠に光栄です♪」


「ははは、かなりインパクト強かったので、忘れたりなんかしませんよ?」


和やかな雰囲気の中、とても心休まる会話が続いて行くと、

少し緊張した雰囲気を漂わせ話を切り出してきたのだった・・・。


「ユウト様・・・以前話しましたように、

 私の娘と契約をして頂けないでしょうか?」


(どうしたんだろ?言葉がとても強張っている気がする・・・)

「別に俺は問題ないですけど・・・、俺なんかでいいのですか?」


「はい♪貴方様のお人柄に惹かれましたので、

 それにユウト様なら、うちの大切な娘を預けても問題ないかと・・・」


(何だろ、問題ない・・・?話に何か違和感が・・・)

「わかりました」


一瞬悠斗は目を細めたが直ぐに笑顔を浮かべながらそう言うと、

神界の門はその娘を呼び出した。


「娘よ・・・恥ずかしがらず出て来なさい」


神界の門の背後でモジモジとしていた小さな・・・とても小さな門が、

恥ずかしそうに悠斗の前に姿を表したのだった・・・。


(・・・ちっさっ!?)


流石に言葉には出さなかったが、神界の門の背後から現れた子は、

高さと幅の大きさがわずか5cmほどしかなかった。

そんな姿を見て少し驚いては見たものの、

その幼き神界の門から流れてくる清らかな気に、

悠斗の心が「癒やされる・・・」そんな雰囲気を感じたのだった。


「やぁ、初めまして。俺の名はユウト。

 もし気に入ってもらえたのなら・・・俺と契約してもらえないかな?」


「・・・私でいいの?」


(な、何だっ!?この子からも違和感と言うか・・・。

 これって・・・哀しみの感情・・・か?)

「あ、ああ・・・勿論だよ♪」


しゃがみ込んだ悠斗から視線でも外すかのように、

その幼き神界の門は器用に身をよじって見せながらそう答えた。


(・・・き、器用に捻って見せたもんだな?

 素材は~・・・一体何で出来ているんだろ?)


そんな事を考えていた悠斗だったが、

幼き神界の門を観察していくと・・・。


「神界の門さん?この子・・・ピンク色なんですね?」


親である神界の門や、その他の神達の神界の門の色は、

白い色であるに対して、何故かこの子はピンク色だった。


「フフフ・・・神界の門の幼き姿は皆・・・ピンク色なんですよ?」


「へぇ~・・・可愛い色なんですね~?あれ・・・?」


悠斗は身を(よじ)る幼き門に、数箇所だけ黒い斑点があるのを見つけた。


「あの・・・?どうして黒い斑点が?

 これもひょっとして、幼い頃にあるモノなんですか?」


「え、ええ・・・そのようなモノ・・・です」


悠斗の何気ない質問に、その場の空気が張り詰めたのを感じると、

その雰囲気を変える為、重い空気を感じていないかのように、

話を変えたのだった・・・。


「ところで・・・神界の門の成長ってどうすればいいんですか?」


その質問に神界の門は少し間を空けてから話し出した。


「・・・本来ならば神に使える我々は、

 その神により神力をいただき成長するのですが・・・」


そう話し始めた神界の門だったが、少し不安がるような気を感じると、

しゃがみ込んだ悠斗が、幼き神界の門を見つめながら口を開いた。


「この子は・・・皆さんと少し違うって事?」


「えっ!?」


悠斗は幼き神界の門の頭・・・?を撫でながらそう言うと、

悠斗の問いに答え始めたのだった。


「はい・・・この子は皆とは少し違っておりまして、

 神力では・・・成長しないようなのです」


「・・・でもそれじゃ・・・この子は成長しないはずなのでは?」


「はい、ですからこの子は(いま)だに幼いままなのです」


「ん~・・・どうして俺にこの子を?」


撫でる悠斗の指に甘えるように、幼きその門はじゃれていた。


「そうですね・・・。

 それは、ユウト様の神精力に反応を示したからです」


「・・・えっ?」


「試しに・・・ユウト様の神精力を与えてみて頂けませんか?」


「えっと・・・指先とかでもいいのかな?」


「はい、それで結構です」


悠斗は神界の門からそう聞くと、幼き門がじゃれるその指先に、

神精力を流して行ったのだった。


すると・・・。


「ピシッ!」と、突然幼き門から音が聞こえると、

わずか5cmほどしかない体長に亀裂が走って行った。

その様子に悠斗は顔を引きつらせると、

顔を上げ不安そうな表情を浮かべるのだった。


「こ、これ・・・だ、だ、大丈夫・・・?」


「はい♪ユウト様から与えられた神精力によって、

 我が子は成長する為に脱皮しているのです」


「だ、脱皮っ!?神界の門って・・・脱皮して成長するのっ!?」


「はい♪少しずつ脱皮する事によって、私達神界の門は成長して行くのです」


「・・・ま、まじか」

(確か甲殻類って脱皮を繰り返して・・・って・・・同じ感じなのか?)


かなりの驚きを見せた悠斗だったが、

今、まさに目の前で脱皮して行く幼き門を見つめていると・・・。


「・・・ピシッ!ピシッピシッピシッ!」


亀裂が入ったその全身の中から光が漏れ始めると、

パラパラと殻・・・?外壁・・・?が少しずつ崩れ落ちると、

少し成長した幼き門がその姿を表したのだった。


「・・・せ、成長・・・?」


そう言葉を漏らす悠斗の視線の先には、

5cmほどだった幼き門は15cmほどの大きさに成長したのだが、

身体・・・?から発せられた光はまだ消失する事がなかった。


「神界の門・・・ッパねぇ~・・・」


「フフフ・・・私達は主の御力を分けて頂き成長します。

 ですから主を持たない門達はいずれ朽ち果ててしまうのです」


「・・・神界の門と言えど、色々と苦労があるのですね~」


悠斗は未だ光を発している神界の門を見つめながら、

色々な質問をしていくのだった。



「神界の門さん、いくつか質問したいんだけど?」


「はい♪いくつでもどうぞ♪」


「えっと、俺の力を大量に与えたらどうなるのか?って事と、

 普段食事的なモノはどうするのか?

 そして、どのように呼び出せばいいのか?

 ん~・・・とりあえず今、思い付く事はこの3つくらいかな~?」

(本当は一番聞きたい事があるんだけど・・・後でいいか・・・)


悠斗は神界の門にそう聞いた時だった・・・。

突然神力を感じ振り向くと、そこには笑顔を向けているシロの姿があった。


「あっ・・・シロっ!」


「えっと~・・・ユウト~・・・様~・・・どうして~・・・?」


そう声を発したシロに、悠斗は少し顔を引きつらせた。


(あれ?昨日は普通に話していたのに・・・元に戻ってるっ!?

 あ~・・・また会話で苦労しそうだな~?)


そんな事を思っていた悠斗だったが、雰囲気が少し違っているようだった・・・。


「ユウト様・・・色々とご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした」


(・・・普通にしゃべってるっ!?)

「い、いや・・・それは別にいいんだけど・・・」


「有難う御座います。これからは私も生命の為に、

 女神の1人として、温かく見守って行こうと思います」


「ああ・・・クロと2人でしっかりと頼むよ。

 俺も精一杯頑張るからさ♪」


「はい♪」


悠斗の問いに明るく「はい♪」と答えたシロのその表情は、

神界のアイドル・・・そう呼ばれのに相応しい、とても優しい笑顔だった。


悠斗とシロの間の(わだかま)りは解け、

信頼出来る神の1人として、悠斗は心から笑顔を向けると、

シロの視線が神界の幼き門へと注がれている事に気付いた。


「えっと・・・これは~」


そう言葉が淀むも上手く説明出来ないでいると・・・。


「・・・成長途中の状態ですね?」


「あ、ああ・・・」


「これはユウト様の・・・?」


シロの質問に悠斗が答えようとした時だった・・・。

悠斗の後方に居た神界の門から言葉が流れてきた。


「チタニア様・・・いえ、シロ様?

 私がユウト様にお願いして、御力を注いで頂きました」


「・・・そうですか」


シロは幼き門の成長を見つめながら、

何やら考えにふけっているようだった・・・。


そんなシロに少し首を傾げた悠斗が口を開いた。


「シロ・・・?この子って、普通の神界の門じゃない・・・よね?」


「えっ!?」


「!?」


悠斗の問いにシロと神界の門はとても驚いたようで、

シロの時間だけが止まっているかのように、その身体は微動だにしなかった。


「ユ、ユウト様・・・?と、突然どうしてそのような事を?」


(あ~・・・図星っぽいな~?)

「ん~・・・違和感・・・を、感じたからなんだけど?」


「違和感・・・ですか?」


「ああ、この神界の門さんから伝わる緊張感・・・。

 そしてこの子から伝わった哀しみ・・・と、言うか・・・

 諦め・・・みたいな感情・・・。

 そして・・・シロ、あんたから伝わる恐れ・・・?

 そんな違和感が俺には感じ取れるんだよ」


シロと神界の門はお互い念話でもしているのだろうか?

口を開くまで少しの時間がかかった。


そして話を終えたのか、シロが悠斗に向き直ると、

突然頭を下げ謝罪を口にしたのだった。


「も、申し訳御座いませんっ!」


「は、はい?」


戸惑う悠斗にシロがポツリ、ポツリと話始めた。


「ユウト様が感じられたように、この子はただの神界の門ではありません。

 数百年に1度生まれる希少種・・・です」


「・・・希少種ってどう言う事だよ?」


悠斗の言葉を聞いたシロは、

まだ光を放ったままでいる幼き門を見つめると・・・。


「こ、この子の正体は・・・は、破滅の・・・門」


「破滅・・・って・・・また物騒な名だね?」


驚きを隠せない悠斗に、話を続けたのは神界の門だった。


「数百年に1度・・・この子のような門が生まれるのです。

 何故そのような門が生まれるのか、創造神様でさえ・・・わからないのです」


「・・・じゃ、じゃ~今までは・・・?

 今まで生まれてきた幼き門達は・・・?」

(嫌な予感が・・・はずれている事を願いたいけど・・・)


この時悠斗はとても嫌な予感がしていた・・・。

その予感がはずれる事を心の底から願っていのだが、

そんな悠斗の予想は的中してしまった。


「今まで生まれてきた幼き破滅の門達は・・・、

 その生命の誕生と同時に・・・絶たれて・・・」


「・・・ちっ!」


神界の門から流れ込んでくる悲しみと、

自分の予想が的中してしまった思いが重なって、

悠斗は無意識に舌打ちしてしまったのだった。


そんな悠斗にシロが話を続けた。

そう・・・とても悲しみに満ちた表情を浮かべて・・・。


「神に属する者達には、必ず1体神界の門が居るのです。

 1人に対し必ず1体・・・。

 ですが破滅の門と呼ばれる門には・・・仕える神はいないのです」


「だから神界の門さんは俺に・・・?」


「・・・そのようですね?」


シロはそう言うと、神界の門へと厳しい視線を向けたのだった。

その視線に神界の門は震えた声で説明を始め、

その話が終わる頃・・・幼き門の成長が終わったのか、

光が消え、そして姿を表したのは・・・漆黒に染まった門だった。


「・・・・・」


言葉を失くした悠斗達だったが、

悠斗は頭を数回振ると、神界の門の話を思い出していった。



その説明とは・・・。


元々神界の門の生命の誕生は、新たな神の誕生を察知すると、

選ばれた神界の門が自らの身体の一部を壊し、

その破片から生まれてくるとの事・・・。


そして悠斗の目の前に居る神界の門は選ばれ、

その身を砕いたまでは良かったのだが、

破片から生まれたのは、黒い斑点を持つ幼き門だった。


我が身を砕き生まれ出た幼き門が破滅の門と知り、

絶望を感じすぐに闇へと葬ろうとしたのだが、

すり寄ってくる我が子を見て、隠れて育てていたらしい・・・。


自分が仕える神・・・つまりシロにも内緒に育てていたのだと言う。

先程のシロの厳しい視線は、そう言う事だったのだ。



悠斗は溜息を吐くと口を開いた。


「破滅の門って成長したらどうなるんだ?」


「そ、それは・・・この世が・・・滅ぶと・・・」


恐る恐る答えるシロに、悠斗はあからさまに睨んで見せると、

厳しい口調で言い放った。


「・・・確証はないんだよな?

 それなのに・・・色が違うとか、仕える神が居ないとか・・・

 そんなくだらない理由で差別してないよなっ!?」


「そ、それは・・・その・・・」


顔を伏せ俯き唇を噛み締め言葉を飲み込むのだった。


「・・・図星かよ」


冷たく言い放つ悠斗は黒き破滅の門に一度視線を送ると、

神界の門へ向き直り笑顔を向けたのだった。


「・・・ユウト様?」


悠斗の笑顔の意味がわからない神界の門に、

悠斗は再び黒き破滅の門に視線を移しながらこう言った。


「心配いらないよ?あの子とちゃんと契約するからさ♪」


「!?」


「ユ、ユウト様っ!?」


苦々しい表情を浮かべていたシロはそう驚きの声を挙げ、

神界の門はただ・・・驚くだけだった。


悠斗はそんな2人を他所に黒き破滅の門へと、その足を進めた。

言葉なく悠斗の歩みをただ見つめる事とか出来なかった。


そして悠斗は黒き幼き門の元へ来ると、

しゃがみ込み笑顔を浮かべて口を開いた・・・。


「はっはっはっ・・・成長してもまだ15cmくらいなんだな~?

 だけど気にするなっ!これからは俺がお前の主だからなっ♪」


悠斗の言葉に黒き破滅の門は驚いたような素振りを見せるが、

すぐに近寄ると、再び悠斗の指にその身体を擦り付けるのだった。


黒き破滅の門に微笑みを浮かべていると、

悠斗の頭の中に、こんな声が聞こえてきた。


「ありがとう♪主様♪」


その幼い心地いい声と感情に、悠斗は満面の笑みを浮かべると、

黒き破滅の門を手に乗せ立ち上がると振り向いた。


「で・・・?こいつと契約ってどうすればいいんだ?」


そう言った悠斗の表情は、先程と全く違った・・・。

とても温かな笑顔だった。




クロ ・・・ ご無沙汰しております。クロです♪

シロ ・・・ は、初めまして・・・シ、シロです。

クロ ・・・ フフフ、2人揃ってなんて・・・初めての事ですわね?

シロ ・・・ え、ええ・・・き、緊張で・・・い、胃が・・・。

クロ ・・・ あらあら~?こんな大役を任されているのに・・・。

シロ ・・・ だ、だって~・・・。

クロ ・・・ 貴女はフアンの皆様の前に出る事が多いはずですのにね?

シロ ・・・ そ、それとこれとは・・・。

クロ ・・・ 緊張なんて必要ありませんわよ?

シロ ・・・ えっ?クロ・・・それはどう言う意味なの?

クロ ・・・ だって~♪あ・の・・・ミランダさえ務まるのですから~♪

シロ ・・・ ああ~♪そうですね♪って事・・・言えませんよ~

クロ ・・・ フフフ♪



ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 神界の門でこんな細かい設定、私は初めて見ます。 目の付け所がおもしろいですね♪ 今後の悠斗にとっても大切な要素になるとの事。 楽しみにしています♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ