170話 アヤメの願い
お疲れ様です。
コロナがまた蔓延してひどい状況になってきましたね><
それでも仕事は減らない緋色で御座います><
それでは、170話をお楽しみ下さい^^
悠斗達はアヤメの回復を確認すると、
アヤメをここ、イルミネイト教団本部に根付かせるため外に出た。
「なぁ~アヤメ?根付くって言っても、どこでもいいって訳でもないんだろ?
どこか思い当たる場所でもあるのか?」
屋敷の裏手へと回った悠斗から、ふと・・・そんな質問がされた。
アヤメは周辺を見渡すと・・・。
「そうですね・・・。
ミランダ様とクロ様が更地にした、あの獣道辺りが良いかと・・・」
悠斗はアヤメが示す場所に視線を向けると、苦笑して見せたのだった。
「ははは・・・まぁ~確かにあそこならミランダ達のおかげで、
いい感じに土も耕されているしな~」
「はい、それにこの本部の騎士達にも迷惑がかからないかと・・・」
「そうだね?ん~・・・いいんじゃないか?」
そう言いながら悠斗とアヤメは視線をロジーへと移すと、
にこやかに笑って見せていたのだった。
「・・・どうかな?」
「はい♪私共はそれで構いません。
アヤメ様が健康でいられるのでしたら、こんなに嬉しい事ありません」
そのロジーの言葉を聞いたアヤメはとても嬉しそうにし、
深々と頭を下げるのだった。
悠斗はその傍らで微笑みながら、
アヤメが示した辺りを見ながら考えていた。
(ここに居ればアヤメも心配する事なく、生きて行ける・・・。
そしてあの双子達と共に、この世界を支える力になってくれれば、
俺も安心して戦えるしな)
そう思いながら見つめる大地に少し淋しげな表情を見せていた。
そんな表情を見せた悠斗に、傍にいたカロンもまた・・・。
(こいつ、なんて顔しやがるんだ・・・。
こいつは一人で何でもかんでも抱え込みやがる。
もうこいつの悪い癖だな?
お前にはもうこんなに沢山の仲間がいるってのによ・・・。
少しは仲間に頼っても罰は当たらんだろうにな?
まぁ~でも、それがユウトって事でもあるのだが・・・)
複雑な表情を浮かべたカロン同様、ミランダやクロもまた・・・同じだった。
(元々は私達神の過ち・・・。
それをわざわざ異世界から呼び寄せこの世界の為に・・・。
ユウト・・・あんたは何があっても私達が助けるわ。
人族の世界には不干渉・・・そんなモノ・・・知ったこっちゃないわっ!
って言うか、もうこれだけ関わっちゃってるから、
不干渉も何もあったもんじゃないんだけどね♪)
ミランダは神の規律を思い浮かべると苦笑していたのだった。
そしてまたクロも・・・。
(んー・・・。困りましたわね?
ユウト様を慕う者達がこんなにもいるなんて・・・。
まぁ~ユウト様の魅力に気付く者達は見る目があると言えるのですが・・・。
ですがこのクロ・・・。
そんな者達に負ける訳にはいかないのですっ!
これからはドンドンアピールしていかねば・・・)
と、全然関係ない事を思っていたりするのだった。
暫く歩みを進めながら、悠斗はアヤメと話していく。
「なぁ~アヤメ?
お前が根付くにはどうしたらいいんだ?
それと・・・。俺に何か出来る事ってないのか?」
悠斗からそう言われると、アヤメは少し驚いたような表情して見せていた。
その事を不思議に思った悠斗は、そのまま話を続けたのだった。
「ん?どうしてそんな驚いたような顔をするんだよ?」
「えっ!?い、いえ・・・あの~・・・」
「ん?言いたい事はちゃんと言えよ?
言葉にしないとわからない事だってあるんだからな?」
少し俯いたアヤメは意を決すると悠斗を見つめた。
「・・・な、何?」
「はい、実はユウト様にお願いがあります」
「お願い?えっと・・・俺に出来る事ならするけど?」
「はい、恐らく・・・可能だと思いますけど・・・」
何を言いたいのかわからない悠斗は、
並んで歩いていたミランダに視線を向けた。
そしてアヤメの言いたい事に気付いたミランダは、
クロとカロンに視線を送ると笑顔で頷き合っていたのだった。
「ユウト・・・いい?」
「ん?・・・な、何?」
「アヤメが言いたい事なんだけど・・・?」
そう話しを切り出したミランダに、悠斗はその歩みを止めた。
「・・・深刻な問題だったり・・・する?」
「・・・いえ、そうじゃないわ。
ただ、アヤメにとっては・・・とても重要な事よ?」
「重要?」
ミランダはそう言うと、視線をアヤメへと向けた。
そしてその視線を受けとったアヤメは小さく頷くと話を始めたのだった。
「ユウト様・・・。
精霊樹の枝とこの大地に・・・ユウト様の神精力を注いで欲しいのです」
「神精力を?・・・別にいいけど?」
「有難う御座います。
それと・・・あと、1つ・・・」
深刻な表情を浮かべたアヤメに、悠斗はミランダ達に視線を送るのだが、
アヤメの方に向くように無言の合図が送られた。
「で・・・あと1つって?」
「はい・・・。
・・・このイルミネイト本部ごと・・・。
ユウト様に・・・そ、その・・・聖域化して欲しいのですっ!」
「・・・はい?」
意を決して口にしたアヤメの言葉に、
悠斗は首を傾げ固まってしまったのだった。
そんな悠斗に業を煮やしたカロンが苛立ちながら口を開いた。
「ユウトっ!お前・・・わかんねーのかよっ!?」
「えっと・・・ごめん、よくわからないんだけど?」
悠斗の言葉に目を固く閉じたカロンが目を開くと、
アヤメの言葉の説明を始めたのだった。
「いいか?アヤメが言いたいのはだな?
お前の神精力で、この場所を聖域化して欲しい・・・
そう言ってるんだぜ?」
「そ、それはわかるんだけどさ・・・
せ、聖域化ってさ?俺でも・・・出来るのか?」
「「「「はぁっ!?」」」」
悠斗のその発言に、アヤメと神達は驚いてしまった。
そしてそんな神達にアヤメが口を開いたのだった。
「ミランダ様?聖域化について・・・ユウト様にお話された事は?」
「・・・えっ、えっと~・・・んー・・・な、ないわ・・・ね?」
「・・・・・」
どこか偉そうなその物言いに、アヤメは苦々しい表情を浮かべたのだが、
そんなアヤメの心情を察したクロがミランダの肩を掴むと、
顔をヒクヒクとさせながら口を開いた。
「ミ、ミランダ・・・さん?」
「・・・な、何よ?」
「あなた・・・あなたの聖域内でユウト様が使用された・・・
あの・・・私達を気遣って張ったあの結界の説明をされていないのかしら?」
「え、えっと~・・・ど、どうだった~・・・か、かしらね~?」
ミランダはその時の事を思い出すと、
クロから顔を背け、頬をポリポリと掻いていた。
「あ、貴女って人はっ!」
「なっ、何よっ!あ、あの時はみんな・・・い、忙しかったじゃないっ!
だ、だから私も・・・つ、つい・・・」
「はぁ~・・・つまり・・・忘れていたって事ですわね?」
「・・・べ、別に忘れて・・・とか・・・そんな事じゃなくて・・・」
「ハッキリおっしゃいっ!!」
「は、はいっ!?わ、忘れてましたっ!ごめんなさいっ!」
「・・・わかりました。貴女にしては、素直でしたわね?」
「・・・ううぅぅぅぅ」
クロは口角を上げながらニヤついて見せると、
ミランダがとても悔しそうに唸り声を上げていたのだった。
そんな2人のやり取りを見ていた悠斗は、
大人3人が入れるくらいの結界を展開すると・・・。
「つまりコレのバカでかいヤツ・・・って事でいいのか?」
「何だよお前・・・作れるんじゃねーかっ!」
「いやいや、これのでかいヤツが聖域って事には気付かなかったよ?
だってコレ・・・神精力の力だけで作ってないしね」
悠斗は結界の壁をコンコンと鳴らしながら言った言葉に、
その場に居た全員が唖然としていたのだった。
「・・・な、何?どうして固まってんだよ?」
困惑顔の悠斗に口を開いたのはクロだった・・・。
「ユ、ユウト様?その結界・・・神精力だけじゃありませんの?」
「ああ、鬼の気を混ぜてより強固にしてあるんだけど?」
少し苦笑しながらそう答える悠斗に神達は唖然とするも、
いち早く復活したカロンが悠斗に詰め寄って胸ぐらを掴んできた。
「お、お前っ!?神の力と鬼の力を融合したのかっ!?」
「えっ!?ダ、ダメだったっ!?」
そう答えた悠斗にカロンは振り返りミランダとクロを見ると、
頷き合った後・・・説明をしていった。
「いいか?普通は神力と他の力は混ざり合わないって事は知っていたか?」
「い、いや・・・今初めて知りました」
「・・・だ、だろうな?
ゴホンっ!え~っとだな・・・」
カロンが悠斗に呆れた表情を見せいいあぐねていると、
痺れを切らしたミランダは溜息を吐きながら話の続きをしていった。
「ユウト~・・・いい~?
このバカキンダルマZもあんたと戦った時に見せたわよね?」
悠斗はカロンとの模擬戦で見せた技の事を思い出すと、
軽く頷いて見せた。
「神力と魔力・・・こいつはそれを別々に使っていたでしょ?
混ぜる事は出来なくても、別々に使う事は出来るのよ・・・。
まぁ~、特訓は大変だけど、人族だって努力すれば使えるはずよ?
あんたは・・・訓練とかしてないんでしょうけどね?」
悠斗はミランダの言葉に首を傾げると・・・。
「コォォォっ!」っと、突然呼吸音を変えた。
「「「「!?」」」」
悠斗の突然の行動に驚く者達は、その意図を計りかねていた。
すると悠斗は一度視線を全員に向けると・・・。
「・・・気道+魔力っ!」
悠斗は右手に気を集め、左手に魔力を集めていった。
一度全員の反応を伺うように視線を向けると、
少し何かを考える素振りを見せたのだった。
(あ~・・・やっぱりもう普通の気道は使えないな~・・・。
俺の気が真っ赤になってるし・・・
はぁ~・・・ちゃんと検証しないと、どんな弊害があるかわかんないからな~。
おっと・・・とれあえずわかりすくっと・・・)
「・・・ん~と・・・わかりやすくするかな?」
そうつぶやいた悠斗は、魔力に意識を向けると、
「・・・着色」そう言って、左手に集まった魔力を青い色に変化させたのだった。
「う、嘘・・・魔力の色が変わったわ」
「お、お前なんてモノ見せんだよっ!?」
「ど、どうやって色を変化させたんですのっ!?」
そう感想を漏らす神達同様、他の者達も無言のまま頷いていた。
すると・・・。
「気の方は見た目通りわかりやすいから変えないけど・・・。
いいか?これから混ぜるからな?」
「・・・着色の話はスルーかよっ!」
「あははは・・・ま、またの機会って事で・・・」
そう言うと、悠斗は両手を胸の前でそれぞれの力を合わせていく。
一瞬・・・小さな閃光が掌から漏れると、紫色に染まった球体が、
悠斗の掌の上に浮き上がっていたのだった。
「・・・これが、魔導気」
(はっはっはっ!・・・出来ちゃった♪
ちゃんと検証してなかったからちょっと緊張したけど、
上手く行って良かったっ!)
悠斗の言葉にそれを知る者達は小さな声で「ああ~」っと、漏らした。
そして苦笑して見せる悠斗は口を開いて行く・・・。
「気と魔力って全く別物だろ?
まぁ~俺は元々そう言う知識がなかったから、
混ぜちゃえっ!的なノリでやったんだ。
その結果出来ちゃったんで、神精力と鬼の気も出来ると思ったんだよね♪」
楽しそうにそう説明する悠斗に一同もまた笑顔を向けるのだった。
そんな悠斗に苦笑したミランダが、本題となる聖域の話を始めた。
「まぁ~そうよね?あんただから生まれた発想だもの・・・
出来て当然・・・かも・・・いや、どうなんだろ?
ま、まぁ~今はいいわ・・・それで聖域化の話なんだけど・・・。
単純な話、それを広域化したモノが聖域化と呼ばれるモノよ。
ただ・・・問題なのは、その力の定着と自然との融合化・・・なのよ」
「定着と自然との融合化?」
「ええ、聖域化って言うのは、永続出来なければならないわ。
それが大前提なのはわかるわよね?」
「ああ、じゃないと聖域化した意味がないし、
何より聖域化した中じゃないと生存出来ない種もいるだろうしね」
「そう言う事よ♪そしてもう1つ・・・意味があるわ」
悠斗はミランダの立てた指先を見つつ考えるのだが、
知識のない悠斗にわかるはずもなく、肩を竦めて見せたのだった。
そんな悠斗にミランダ達神は少し笑みを見せると、
今度はクロがその答えを説明していった。
「では、ここからは私が・・・」
「ああ、頼むよ」
「はい。つまり聖域化しても、その場に在る力はいずれ消失致します。
それでは聖域化の意味を持ちませんわ。
ですから力を自然と融合させる事によって、力の循環を行うのです」
「・・・力の循環?」
「はい、力の循環とは・・・。
聖域化の力を大地が吸収して、それをまた大地が聖域に送り込む・・・。
自然の摂理や食物連鎖と同じ様に、和となり回って行くのですわ。
私達のすべき事は1つ・・・聖域化する事・・・。
後はこの大地に任せておけばよいのですわ♪」
「つまり・・・こう言う事でいいのかな?
神力で聖域化と言う蓋をしただけでは意味がない・・・。
聖域と大地を融合させて力の循環をこの自然に任せておけば・・・
永続的に聖域化出来る・・・」
「はい♪その通りですわ♪
例え神の力でも永久的に力は残ったり致しませんわ。
ですが、自然と融合させてしまえば・・・」
「・・・にゃるほど♪」
悠斗はこの時、自分に置き換えて考えていた。
(気と魔力と同じって事でいいんだよね?
でも自然と融合か~・・・難しそうだな~。
アヤメの為にも何とか出来るといいんだけど・・・)
そう思いながら悠斗はアヤメに視線を向けると、
にこっと微笑んで見せてくれたのだった。
(ははは・・・期待に応えられるかどうか・・・)
悠斗はそう思いながら天を仰ぎ決意を固めたのだった。
モチベが上がらないのに仕事は減らない・・・。
うぅぅぅ・・・お、おのれ・・・。
そんな中、コロナの影響でまたキャンプが遠のいてしまう・・・。
ないわ~・・・まじないわ~・・・。
肉・・・食べたいw
はぁ~・・・なにかいい事はないかと思う今日この頃でした><
ってなことで、緋色火花でした。




