167話 シロの真実・前編
お疲れ様です。
超久々の休みでリフレッシュして帰ってきたら、
物凄いスピードでストレスが溜まっていく緋色です><
・・・仕事を俺に回すなぁぁぁっ!
と、思わず言いましたが、気持ちはよくわかるので、
引き受けてしまったダメな緋色・・・orz
こからも色んな意味で頑張りたいと思います^^;
ブックマークや感想など、是非っ!宜しくお願いしますっ!
次回のアップはまた「活動報告やツイッター」などでお知らせしたいと思います^^
それでは、167話をお楽しみ下さい。
「ギィィィィィー」
突然神界の門が出現すると、中から男が1人出てきてこう言った。
「それは私にやらせてもらえないかな?」
その男の出現は、誰もが予期しない事だった・・・。
神達が唖然とその男を見ている中、
クトゥナ達が駆け出すと片膝を着き礼を取って見せたのだった。
「サ、サーマン様っ!ご無沙汰しております。
この間は大変お世話になりました。」
(って事は・・・あの人が医神・サーマンって神か?)
クトゥナ達がサーマンと話す中、悠斗はそのサーマンを見ていると、
カロンから念話が入ってきた。
(ユウト・・・)
(ん?カロン・・・どうかしたのか?)
悠斗がそう問いかけると、念話に入ってきたのはミランダだった。
(ねぇ、私も参加させてもらえるかしら?)
(あ、ああ・・・俺は問題ないけど、どうして不機嫌なんだ?)
念話で会話しながらミランダとクロが悠斗の傍にやってきた。
とても・・・不機嫌そうに・・・。
「な、何だよ2人とも~?
どうしてそんなに不機嫌なんだよ?」
改めて悠斗がそう問いかけると、返事は念話で帰ってきた。
そしてミランダはサーマンを見ながら悠斗の肩に手を置くと・・・。
(ねぇ、ユウト・・・あの勇者の仲間達はサーマンを信用しているけど、
私・・・いえ、少なくとも私もラウルも・・・そしてミスティも、
あの優男の事を信用していないわ)
(待って下さい、ミランダさん・・・私も同じでしてよ?)
悠斗に笑顔を向けながらそう答えたのはクロだった。
(どう言う事なんだよ?)
(なぁ、ユウト・・・ラウルの開いた会議の事を覚えているか?)
(えっと~・・・ああ~・・・覚えてるよ。
そう言えばその会議に医神・サーマンは出席していなかったんじゃ?)
(ああ、その通りだ。俺はその理由を知らねえけどな?)
少し口角を上げたカロンがそう言うと、続けてクロが話始めた。
視線を悠斗に向けながら・・・。
(あいつはね?油断ならない男なのよ・・・)
(だからどう言う意味なんだよ?
医神って言うくらいだから患者が居たとか、研究で手が・・・。
そう言う可能性だってあるんじゃないのか?)
悠斗がミランダにそう尋ねると、
そのミランダは首を振って見せたのだった。
(ん?ごめんミランダ・・・お前の意図がわからないんだけど?)
(ふぅ~・・・ユウト。
あの会議の前にチタニアはサーマンを見かけているのよ?)
(・・・どこで?)
その悠斗の問いに今度はクロが答えた。
(・・・ミューレの村です)
(ん~・・・でもさ?その村ってサーマンの庇護下にあるんだろ?
そこに居ても別におかしくはないんじゃないのか?)
(ユウト様は覚えていますでしょうか?
あの村には洞窟がある事を・・・)
(ああ、勿論覚えているけど?
確か蚕をその洞窟で飼っているんだったよな?)
(はい、ですが当時はまだ養蚕業はなく、
その洞窟は・・・元、ダンジョンだったのです)
(・・・ダンジョンか)
悠斗が腕を組み何かを考えている中、
カロン、ミランダ、クロは顔を見合わせると、小さく頷いていたのだった。
そしてその3人で念話を使用し会話を始めた。
(なあ、ユウトになら話してもいいんじゃないのか?)
(そうね?ユウトなら先入観に影響されないと思うわ)
(で、ですが2人とも・・・。
ユウト様をこれ以上神界の揉め事に巻き込むのは、
私は承認しかねますっ!)
3人の神達がそう話している時だった。
クトゥナ達と話をしていた医神・サーマンの視線がクロへと移った。
そして微笑みを浮かべながら近づくと、横目で悠斗を見ながら口を開いた。
「やぁ、3人とも・・・久しぶりだね?」
「あんた・・・ちょっと気安く私に話しかけないでもらえる?」
「ははは・・・相変わらず手厳しいね・・・ミランダは・・・」
「ふんっ!」
ミランダがそっぽ向く中、今度はカロンが口を開くのだった。
「うっす、サーマン・・・元気そうで何よりだな?」
「カロン・・・話は聞いたよ?
でも人族になったからって私達は友だからね?
何か困った事があったら、必ず連絡してくれよ?」
「ああ、その時は頼らせてもらうからよ。
覚悟しておくんだな?」
「ははは、お手柔らかに頼むよ?」
気軽に話しているように見えたのだったが、
サーマンの視線がクロを捉えると、少し険しい表情して見せた。
「・・・なんですの?何か言いたい事があるのなら・・・おっしゃいな?」
「うむ・・・君には色々と聞きたい事もあるのだけどね?
でもまずは・・・だ。
そこで私を無視している人族の事を教えてもらってもいいかな?」
苦笑しながら悠斗を見ていたサーマンの言葉で、
みんなの視線が悠斗へと集まると、
その悠斗は、腕を組んで何やら考え事をしているようだった。
そんな悠斗に苦笑しながらも、答えたのはカロンだった。
「ああ~・・・あいつの事は気にするな?
まぁ~かなりの変わり者だが、俺を助けてくれた大恩人だ」
「へぇ~・・・あの人族が・・・ね~。
と、言う事はアレが噂の・・・ふ~ん・・・」
医神・サーマンのその何気ない一言にキレたのは、
ミランダとクロだった。
「サーマン・・・今何て言ったの?」
「・・・えっ?」
「・・・今、ご自分が何をおっしゃったか・・・と、ミランダは聞いたのです」
2人の女神のその鋭い眼差しに、サーマンは気圧されながらも、
苦笑しその問いに答えたのだった。
「えっと・・・。私が人族の事を、人族と言って何が悪いのですか?」
「あんた・・・ユウトがどれだけこの世界の・・・
いえ、この神界をどれだけ救ってくれたのか・・・知ってるはずよね?」
「ははは・・・これは手厳しいね?
ごめん、僕はあまり詳しく知らないんだ・・・ごめんね?」
「白々しいですわね?」
「ははは・・・どうして君達がそれほどまでにこの人族を過大評価するのか、
私にはそれが全くわからないよ」
その言葉にカロンも含めミランダとクロが怒りを顕にすると・・・。
「あのーっ!ちょっとここで揉めないでもらえますか~?」
「「「「!?」」」」
そう口を開いたのは悠斗だった。
悠斗は溜息を吐きつつ勇者を指差すと、無言で首を振って見せたのだった。
そのやり取りを見たサーマンは険しい顔をして見せると、
悠斗に話しかけた。
「やぁ、初めまして・・・だね?
私の名はサーマン・・・医神・サーマンだ」
「初めまして、俺は悠斗・・・カミノ・ユウトです。
今後とも宜しくお願いします・・・サーマン」
「!?」
「・・・何か?」
悠斗は顔を顰めたサーマンに、薄く笑って見せると、
視線をカロン達に向け話を続けるのだった。
「カロン・・・今は揉めている場合じゃないからな?」
「あ、ああ・・・す、すまねぇ」
カロンは何度かサーマンをチラ見しながら、冷や汗を浮かべていた。
そんなカロンの様子がまるで目に入らないかのように、
悠斗は話を続けていった。
「兎に角・・・今は寿限無を何とかしなくっちゃな?」
そう言った時だった・・・。
あからさまに不機嫌な顔をしたサーマンが会話に割り込んできた。
「ちょっと・・・ちょっといいかな~?人族君?」
顔を引きつらせたサーマンがそう言葉を発するも、
悠斗はお構いなしに返答したのだった。
「あ、すみません・・・今、とても忙しいので・・・」
「なっ、何をっ!?わ、私が一体誰かわかって・・・」
「ええ、勿論わかっていますけど?
医神・サーマンだよね?」
「なっ、何だ・・・とっ!?」
悠斗は鋭い視線をサーマンへと向けながらそう答えると、
そのサーマンは身体を小刻みに震わせていたのだった。
その様子を見ていた者達は、ただ見守る事しか出来なかった。
ダンケルは念話を通じ、クトゥナやフォルティナと会話していた。
(ユウト様のあの態度・・・間違いなく神への冒涜なのですが・・・)
(はっはっはっ!私は流石にもう慣れちゃったわよ?
あのユウトがあんなあからさまな態度を取るなんて・・・ね?
驚きではあるけど、ユウト・・・だからね~♪)
フォルティナはどこかでこうなる予感があったらしい。
あまり動じてはいないようだった。
(はぁ~・・・ほんとにあいつは誰と会っても態度を変えないのね?
私達にとってはサーマン様はリアーナの恩人でもあるわ。
だからちょっとは・・・って思うわよね?)
そんなクトゥナの言葉にフォルティナは笑みを浮かべると・・・。
(クトゥナ、じゃ~何かい?あんたはサーマン様に着くって事でいいね?)
(そ、それはどう言う意味なのよっ!?)
(意味も何も・・・そのまんまの意味だけど?)
そんなやり取りに笑みを浮かべたダンケルも、
楽しそうに参戦して来たのだった。
(私は~・・・ユウト様の味方をしますぞ♪)
(はっはっはっ!ダンケル~・・・あんたはもう立派なユウト信者だからね~?
それで・・・クトゥナ、あんたはどうなのさ?)
(わ、私は・・・も、勿論・・・ユ、ユウトに・・・)
(フフフ・・・なら、決まりだね?)
そして悠斗の態度を見ていたロジー達は呆れた表情を浮かべていたが、
1人だけ・・・不安に胃をキリキリさせていた。
「ああ・・・ま、またユウト様が・・・」
まずそう言葉を漏らしたのはサウザーだった。
「フフ、お父様・・・いい加減に慣れなければ、
ユウト様に付き従う事などできませんよ?」
「い、いやはや、また何ともまた・・・。
ユ、ユウト様はどうしてこう・・・トラブルが・・・」
そんなサウザーに豪快に笑って見せたのは、
グラフィス・ベルフリードだった。
「わっはっはっ!」
「グラフィス殿っ!?わ、笑い事でありませんぞっ!?」
「これでこそ我が主と認めたユウト様だっ!
サウザー殿?ユウト様が敵とみなした相手ならば・・・、
たとえ神であっても儂は剣を向けるぞっ!」
「そ、そんな・・・グラフィス殿まで・・・はぁ~・・・。
わ、私の寿命がどんどん削られていくような・・・」
力なく項垂れるサウザーに対し、ロジー含めここに居る全員が、
たとえ相手が神であったとしても、刃を向け戦う事を誓った者達だったのだ。
そんな中、1人ポツンとしているサウザーの顔色は、
どんどん青ざめ生きた心地がしないようだった。
そして睨み合う悠斗とサーマン・・・。
この場の空気を察したのは、悠斗ではなくサーマンだった。
「はぁ~・・・わかりました。
無礼だったと私は非を認めます。大変申し訳ありませんでした。」
「・・・こちらこそ・・・失礼しました」
軽く頭を下げた悠斗は、早速話を本題へと戻すと・・・。
「寿限無の治療しなくちゃいけないんだけど・・・」
そう話を切り出した時だった・・・。
サーマンが悠斗の言葉を遮るように話始めた。
「私が治療しましょう」
全員がサーマンの話に頷いて見せたのだったが、
悠斗がその申し出をあっさり断ってしまった。
「すみませんが・・・サーマンに頼むつもりはないんだけど?」
その悠斗の一言に全員が唖然とし首を捻っていた。
「まっ、待ちなさい・・・ユ、ユウト君っ!」
「・・・何ですか?」
「い、いや・・・ほら、私・・・医神・・・なんだけど?」
「ええ、知ってますけど?」
「えっ!?い、いや・・・だからね?
私以外に一体誰が治療すると?」
その言葉に笑みを浮かべて見せた悠斗に、
悠斗をよく知る者達は苦笑いを浮かべていたのだった。
(まぁ~ユウトの事だからそんな気はしてたけど・・・。
どうせあんたが治すって言うんでしょ?
多分あんたが治した方が、私達は安心出来るんだけどね~?)
ミランダは内心そう思いつつも、心のどこかでこう思っていた。
(・・・サーマンざまぁーっ!)っと。
そしてカロンは呆れ返りつつも・・・。
(はっはっはっ!言うと思ったぜっ!ぜっっったい言うと思ったぜーっ!
ほんっとにこいつだけは・・・フフフ、見ていて飽きねぇーな~?)
と、内心本気で爆笑したい気持ちを必死に押さえていた。
(はぁ~・・・ユウト様はそう言う御方ですものね?
信用出来ない相手ならば尚更ですわね?)
半ば諦めつつも苦笑を浮かべていたクロは、
真剣な眼差しをサーマンへと向ける悠斗に釘付けだったのだ。
(・・・また惚れ直してしまいますわね?はぁ~)
そんな連中を他所に、戸惑うサーマンは異議を唱えていた。
「まっ、待ちなさいっ!いいですか?私は医神なのですよ?
これ以上の適役が他に居ると言うつもりですかっ!」
医神としてのプライドが許せないサーマンは、
気持ちが高ぶり歯止めが利かなくなり始めたのだった。
「だいたい人族の分際で・・・この神を差し置く事が許されるとでもっ!?」
悠斗はそんな言葉を吐いたサーマンに睨みを利かせながら殺気を放った。
「うがっ!」
(こ、これが人族の・・・さ、殺気なのかっ!?)
地に膝を着いたサーマンから苦痛の呻きが漏れると・・・。
「あんた・・・人の話を聞かずによくもぺらぺらと・・・。
医神だろうが邪神だろうが・・・。
これ以上ないくらいの適役がいるんだよっ!
神だろっ!?少しは空気読めっ!」
その言葉を聞いた全員が実はこう言いたかった。
(・・・お前も・・・なっ!)っと・・・。
それを何とか堪えると、悠斗の話の続きに耳を傾けた。
「わ、私の他に適役っ!?・・・ははは、そんなバカな・・・」
「居るよ?あそこに・・・」
そう言って悠斗が指を差すと、全員の視線がある人物に向くのだった。
そしてそれを見たサーマンが声をポツリと漏らした。
「・・・か、彼女がっ!?」
「ああ・・・寿限無の治療は・・・シロが適任だと思う」
突然悠斗に指を差され戸惑うシロに、全員が驚いたのだった。
理屈は・・・わかる。
だが何故・・・?
そう思っていると、サーマンが悠斗へと視線を移し口を開いた。
「ど、どうして彼女が?」
「・・・説明するまでもないと思うんだけど?」
そう言った悠斗に今度はシロが口を開いた。
「何故・・・私なの?」
「お前には責任があるだろ?」
シロは少し首を捻って見せると、悠斗が威圧しとぼける事に釘を刺した。
するとその言葉にクロが割って入ってきたのだった。
「ユウト様っ!?今のは・・・どう言う意味なのですかっ!?
せ、責任ならばっ!わ、私の方がっ!?」
すると悠斗は悲しげに少し俯き口を開いていった。
「クロに罪はないと思う。
全部・・・シロが仕組んだ事だからね?
それと負の種・・・
それの出処が・・・シロだから・・・かな?
少なくとも、クロがあんなふうになったのは・・・
シロがそう仕向けたからだよな?」
「えっ!?」
「事情は当然俺にはわからないけど、
クロがああなったのは、シロがそう仕組んだ事だからだと思う。
勿論、チタニアが操られる前に、
シロを分離するとわかっていたからこそ・・・ね?」
「う、嘘・・・ですわ・・・そんな事・・・」
「そうだといいんだけど・・・ね」
この場に居た全員が困惑する中、悠斗は話の続きをしていくのだった。
実は今回・・・前後編にするつもりはなかったのですが、
勇者の閑話での反省を活かし、2つに分ける事にしました。
駆け足ってやっぱり自分に合ってないようで、
勇者の閑話は3つに分けるべきだったと、今でも後悔しています><
展開が遅いのはもう緋色の特性と言うか習性と言うか・・・。
米国ドラマの24方式だとでも思って下さいw
今後とも頑張って面白いモノを書きたいと思いますので、
宜しくお願いします。
ってなことで、緋色火花でした。




